━━━━━ ガンドルフィーニ ━━━━━
「…………本当なんですか? 本当に皆さんは実力を隠したりしていなかったのですか?」
「そうなんだよ、ネギ君。
だけど、例え君より魔力を持っていない魔法先生だとしても、その魔法先生の今まで培ってきた経験は見習うべきだと思うよ」
「え、ええ…………それは承知しています」
………………よかった、やっとネギ先生が信じてくれた。
危なかった。他の先生は既に力尽きてしまい、もう私と高畑先生しか残っていなかった。
残った私達も疲労困憊していて、これ以上の抗戦は不可能だったろう。
「…………タカミチの言うことはわかりました。
もう少し時間を貰ってもいいですか? ちょっと今までのことを思い出しながら考えたいので…………」
「ああ、それは構わないよ。今まで思っていたことが間違っていたんだから、少し昔のことを思い出すのもいいさ」
「そうだな。今日はネギ先生の生徒に魔法がばれてしまうなど色々あったからな。
明日と明後日の休日を使ってゆっくり考えてみるといい」
「わかりました、そうします。…………そういえばエヴァさんはもう説明し終わった頃ですかね?」
「ん? いや、まだじゃないかな? 電車も動いてないから、エヴァの家に行くのも時間がかかるだろうからね」
…………冷静になって考えてみれば、“闇の福音”に生徒を任せてよかったのだろうか?
まあ、学園長が復帰してから相談しよう。ネギ先生がついていれば差し迫った危険はないだろうし、それに生徒には悪いけど今日はもう疲れた…………。
「…………ところで話は変わりますが、人払いをしていたはずの校舎に明日菜さん達が入ってきたのはいったい?」
「ああ、秘密にしておいて欲しいんだけど、実を言うとアスナ君には特別な力があってね。
おそらくそれが作用してしまったと思うんだけど…………」
…………ふぅ、これでようやく家に帰れる。
娘はもう寝てしまっただろうか? でも、寝ててもいいから顔を一目見たいな…………。
━━━━━ 神楽坂明日菜 ━━━━━
「…………というわけで、ネギお兄様は刹那様を意識してしまったのです」
「そうなのです。私がネギ先生のことをとても恥ずかしがってしまい、ネギ先生もそれに影響されただけなんですよ」
「アスナ様や木乃香様だって、寝ているときにネギお兄様が身体を触ってきたら意識してしまいますでしょう?」
「ネ、ネギはそんなことしないわよ!」
「そうやなぁ。ネギ君って、自分からはくっついてこないんよ」
そうなのよね。私が落ち込んでいた最初の頃は背中を優しくポンポン叩いて慰めてくれたけど、最近は全然そういうことないのよねぇ。
恥ずかしがりやというか何というか…………無意識状態でないと甘えてくれないし。
紳士なのは良いことなんだけどさ。本音を言うと、もうちょっと甘えてきてほしかったりして…………。
「“色欲”の1という数値は、相手に異性を感じてしまったらそれだけで出てしまう数値です。
ですので、あまり気になされる必要はないかと」
「ちょっと待って、アルちゃん。それって要するに、ネギって桜咲さん以外は女の子と意識していないってこと?」
「…………なん、やて?」
「ち、違うのです、お嬢さま…………」
「いえ。意識していないというより、まだそういうことがわからないのだと思います。アスナ様や木乃香様のことは、家族で“姉”のようには認識していても、“女性”とは認識出来ていないのかもしれません。
実際、私もネギお兄様の“色欲”が0点以外の数値が出たのは初めて見ましたし」
「あー、10歳ならしょうがないアルよ」
「そうでござるな」
「…………しかし逆に言えば、ネギはそういうことに興味が出始めてきたということか?
それこそ10歳なら仕方がないな」
「ネ、ネギが!?」
「そ、そうなん!?」
「え!? …………私は今後ネギ先生とどうやって接すれば? もしかしてネギ先生は私のことを…………」
や、やだ。そんなこと言われたらコッチも意識しちゃうじゃない。桜咲さんと寝たときのネギもこういう気持ちだったのかしら?
…………う、私の顔赤くなってるわね。
こ、今度から一緒に寝るときどうしましょうか?
「というか、私的にはアスナさん達がネギ先生と一緒に寝てることのほうが驚きなんですが」
「ネ、ネギ先生と一緒の布団で…………」
「べ、別にいいじゃない! 一緒の部屋で暮らしている家族みたいなものなんだし。
ネギは弟みたいなものよ。だったら一緒に寝てもいいじゃない!」
「そうやで~。ネギ君抱きしめて寝ると、あったかくて気持ちええんよな~」
そうなのよねぇ。子供の体温は高いって言うけど、ネギってかなり高いのよね。
だから寒い日でも、ネギが一緒に寝るだけで全然平気だし。
…………ああ、そうだ。
「今度からは刹那さんみたく、あの『咸卦治癒』を使ってもらってからネギと一緒に寝ようかしら。
私はエヴァちゃんへのお願い決まってなかったのよねぇ。魔法とか習いたいとも思わないし、学費とか生活費を払ってもらうというのはいくらなんでも悪いしね。ネギしか叶えられないお願いは、ネギが叶えてくれるらしいし」
「あ! それええなぁ! ウチは魔法習うのをエヴァちゃんへのお願いじゃなくて、おじいちゃんに別口で頼めばええし」
「な、何だと貴様ら!? それはずるいぞ!」
「そ、そうですよ! ただでさえネギ先生と一緒に寝ているというのに、更にこれ以上ネギ先生へお願いするのはずるいのです!」
「そ、それだったら魔法を習うのはやめて、私もネギ先生と一緒に……………………で、でもそれはいくらなんでも無理だよぉ…………」
へっへーん! これはネギと一緒に暮らしてる人だけの特権だもんねぇ~。
「ま、待て! 綾瀬夕映、宮崎のどか! 貴様達の“魔法を習いたい”という願いはもう決定済みだ! 今更変更するなど許さん!!!
我が弟子として、貴様達2人は私が直々に鍛え上げてやろう!
我が配下に連なる化け物にふさわしい魔法使い……………………悪の小ボスにな!!!」
「ええぇっ!?」
「ちょ、ちょっと待ってくださいエヴァンジェリンさん!? そんなの聞いてませんです! 弟子って!?」
「もう遅い! 中途半端は認めん!!! やるならとことんまでだ!!!
ついでにネギと一緒に寝るなんかも認めん! 私だってそんなことしていないんだぞ!!!」
「私情入りまくりじゃないですか!?」
「あ、悪の小ボスなんて嫌ですよ~~~」
「尚、修行中貴様らの服は常に黒! ゴスロリ服とす…………いや、やっぱり服はいい。ネギは私のゴスロリ姿を可愛いと言っていたからな」
「ネ、ネギ先生はゴスロリ服がお好きなんですか!?」
「フン! 違うな、ゴスロリ服を着ていた私にそう言ったんだ。 私の金髪が黒のゴスロリ服で映えて、それがとても可愛いそうだ」
「な、ならのどかは白系のゴスロリで攻めるのです。のどかの黒い髪が白いゴスロリに映えて、きっと可愛いと言ってくれるはずです!」
「誰がそんなこと許すかぁっ! 貴様らはジャージで修行しろ!!!」
「そ、そんなぁっ!?」
「…………私はいつも寝巻きにジャージを使っていて、ネギ先生と寝るときもジャージなんですが…………。
そんなにジャージは駄目なんでしょうか?」
「駄目やよ、せっちゃん。女の子なんだからちゃんとお洒落せんとな。
そうや! 今度一緒に服を買いに行こうえ!!!」
「え!? …………は、はい、木乃香お嬢さま!」
「(PCとかは無理そうだし、私はどうしようかな? …………あのガキと一緒に寝るのは恥ずかしいけど、あの回復魔法は惜しい。アレさえあれば、もうフォトショップを使わなくてよくなるかも…………)」
考えてみれば別にお願いを使わなくても、ネギだったら普通に頼めばやってくれそうよねぇ。
やっぱりお願いはとっておいて、何かあったときのための保険にしておこうかしら?
それにしても、ネギがあんなに私のことを…………その…………す、好きなんてねー。
やっぱりまだまだ10歳っていう誰かと一緒にいたい年頃なんだから、一緒に住んでる私のことを好きになるのはしょうがないわよね。ウン。
まぁ、木乃香のことも同じくらい好きみたいだし、ネカネさんやアーニャちゃん達には“親愛”と“愛情”は負けてるけど、“恋愛”は私の方が勝ってるもんね。
…………エヴァちゃんには“恋愛”が1負けてるけどね。ムゥ。
それでも“愛情”は勝ってるし、“親愛”は私が4も上だから良いけどさ。
それにしてもネギったら、他にもたくさんの女の子のこと好きになっちゃって。まったくもう。
帰ったらネギとお話しなきゃ。
「フン! この指輪を見てみろ!
これはネギが私に贈った指輪だ!!!」
「ネギ先生からの贈り物!?」
「そういえば教室でそんなこと言ってましたね!?」
「な、何やて!? 2人はそこまで進んどったんかい!?」
「いや、エヴァンジェリンさん。その指輪は…………」
…………それにしてもネギったら、エヴァちゃんに指輪のプレゼントなんかしちゃって。まったくもう。
帰ったらネギと“ O H A N A S H I ”しなきゃ。
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ふぅ、落ち着いたわ。茶々丸さんの紅茶は美味しいわね。お菓子も美味しいし。
…………ここにいたら太っちゃいそうで怖いわね。
とりあえず、ネギとはどうせ寮に帰ったら一緒に寝るんだから、そのときにいろいろとお話することにしましょう。
「ところで話は変わるのでござるが、ネギ坊主はどの位強いのでござるか?」
「うん? …………そうだな、とりあえず剣の腕や体術は私以上だ。10歳ということもあって身体能力ではさすがにまだ私達の方が上だが、『咸卦法』などの技法を使われれば私達を上回るだろう。
魔法については本気で使っているのを見たことないからわからないな」
「ええ~? ネギ君て、せっちゃんより強いんか?」
桜咲さんは剣道部でも強い方だったはずなのに…………そういえばネギはくーふぇにも勝ったわよね。
ネギったら、強いのねぇ。
「私との試合は本気でなかたということアルか?」
「あー…………ネギ先生の実力は本当にわからん。アルちゃんが言うには雷系最強呪文の『千の雷』を使えるらしいな。
それと古、ネギ先生の本気と戦おうとするのはやめておけ。ネギ先生は武人というより軍人の類だ」
「…………何でネギはあんな子供に育ったんだろうか?
やはりネギはナギより酷いぞ」
「ネ、ネギお兄様は素直で純真なんです」
まぁ、確かにネギは素直で純真よねぇ。
いつもニコニコ笑ってて、何か面白いことあるとコロコロ笑って、無意識に甘えてくるときは本当に幸せそうな顔をするし。
「おい、綾瀬夕映、宮崎のどか。魔法を教える前に予め言っておくが、ネギのような魔法使いになれるとは絶対に思うな。
アレはバグキャラの類だ」
「そ、そんなにネギ先生は凄いのですか?
確かに学園長室での一件から魔力はたくさん持っておられるのはわかったのですが、600年も生きておられるエヴァンジェリンさんにそこまで言われるとは…………」
「へぇ~、ネギ先生って凄いんですねぇ」
「いくら模擬戦に負けたとはいえ、封印さえ解ければネギに負けはしないと思っていたがなぁ…………。
何だかネギと戦うこと真面目に考えたら嫌になってきた。アイツ絶対、モビルスーツや『闇の咸卦法』以外にも隠し玉持っているぞ。
ネギとは戦いたくないな。何を仕掛けてくるか全然わからん。まあ、どういうことを仕掛けてくるかには興味はあるんだが…………」
「そうだろうな。ネギ先生には底知れない何かを感じるときがある。
ルール無しなら武道四天王と呼ばれている私達全員が相手をしても負けるだろう。ルール有りの試合形式ならもしかしたら何とか、といったところか。
ちなみに古。お前が本気のネギ先生と戦おうと思ったら、空を飛ぶことが出来るか射程数kmの飛び道具がないと絶対勝てないからな。きっと始まると同時に空に逃げて、遠距離からプチプチと攻撃してくるぞ」
「それだたら私絶対に勝てないアルよ!?」
「そうなったら真名頼みでござるなぁ」
「“プチプチ”ィ? ありえんな。
ネギだったら、それこそマグナム弾を使って『千の雷』を“ブチブチ”と虫を踏み潰すように連射してくるだろうよ」
「ネギ先生だったらそうでしょうねぇ…………」
み、皆ネギに対してに言いたい放題言っているわね。普段見ているネギとはギャップがありすぎて違和感を感じちゃうわ。
ネギったら、エヴァちゃん達にいったい何をしたのかしら?
「ところでマグダウェルがさっき言ってた、『闇の咸卦法』って何なんだ?
何だか名前からして物騒な感じがするんだけど…………」
「ん? ネギ先生が開発したオリジナル技法だよ。オリジナルといっても既存の技法を2つ組み合わせたものなんだが、その2つの技法は『闇の魔法』と『咸卦法』という究極技法と呼ばれるほど難易度の高い技法でな。
その2つを組み合わせるなんて、おそらくネギ先生にしか出来ないだろう」
「さっき学園長室で長谷川さんのニキビを治したのがそれですよ。
『咸卦法』は私達のような武人が使う“気”と、魔法使いが使う“魔力”という2つの相反する力を融合させ、爆発的な力を得ることが出来るものです」
「『闇の魔法』は私が以前に開発したものだ。ネギは言い伝えに残っている私の逸話から自己流で再現したらしい。
簡単に言えば、攻撃魔法を自らの肉体に取り込むことによってのブーストといったところだ。ネギは主に回復魔法を肉体に取り込んでいるがな。
その2つを組み合わせた『闇の咸卦法』は、“気”と“魔法”を融合させて、自らの肉体に取り込むものだ」
「“気”と“魔力”ではなく、“気”と“魔法”ですか……? いろんなものがあるのですね」
「それは追々教えてやる。ただ、確かに長谷川千雨の言うように、“闇”と名がつくだけあって扱いが難しい。
私のような人外の闇の眷属でないと闇に飲まれてしまい、私と同じ人外の闇の眷属になってしまう可能性もあるな」
「ちょっと!? そんなの使ってネギは大丈夫なの!?」
その“闇の眷属”っていうのがどういうものかはわからないけど、人間じゃなくなっちゃうって…………。
ネギったら大丈夫なのかしら?
「安心しろ。取り込むのが回復魔法なためか、『咸卦法』を併用しているためかもしれんが、ネギ本人は至って健康だ。侵食されたような気配は欠片もない。
『闇の魔法』を扱うためには善も悪も全てを飲み込む度量が必要なのだが、ネギにはそういう度量はあるみたいだしな」
「ふーん、確かにネギ先生は度量というか度胸というか、悠然としている感じはあるな。
というか、ネギ先生は本当に10歳なのか? 年齢詐称してるんじゃないかと思うときがあるんだが…………」
「私もそれは不思議に思ったことあるが、正真正銘の10歳だよ。しかも数えでな。
要するに、実年齢は今のところまだ9歳だ」
「アヤ? それ本当アルか?」
「9歳でそこまでとは…………ネギ坊主は凄いでござるな」
「おいおい、前から思っていたけど、ネギ先生ってマジでチートだなぁ。何か欠点はないのかよ?」
大丈夫ならそれでいいけどさ…………。
でもやっぱり心配ねぇ。ネギに確認しておきましょうか。
…………それにしても、ネギの欠点か。そういえば思いつかないわね。
私達に勉強教えれる位頭が良くて、桜咲さん達に勝てるぐらい運動神経が良くて、2-Aの皆に好かれる位人当たりが良くて、料理も出来るし、裁縫も洗濯も…………。
アレ? 私って、ネギに勝ってるところなくない?
「ネギ先生の欠点は、魔法関係者なのに魔法関係の常識を持っていないことだな」
「いや、一応常識は持っているだろう。勘違いしていることが多そうだが…………」
「やはり一度、ネギとは常識というものについて話し合った方が良いみたいだな」
「なら、そのときは拙者も同席させて欲しいでござるよ。
拙者は山奥で育った故に、裏の世界の常識には疎いのでござる」
「ん、そうだな。今度ネギを含めて、全員まとめて魔法の世界についての講義をするか。
記憶を消さないというのなら、関わる気がなくても知っておいたほうがいいこともあるからな」
「…………私もかよ。裏の世界について聞いたら、もう戻れなくなるなんてことはないだろうな?」
「そんなことはない。騒ぎ立てずに知らん振りしていれば平気だ。
裏の世界といってもピンキリでな。タカミチのようにNGOに所属して軍人紛いのことをやっているのもいれば、魔法薬の原料に使う薬草栽培なんかで表の世界の農家とほとんど同じ生活をしているのもいる。
確か、ガンドルフィーニ…………学園長室にいた背の高い黒人の男のことだが、奴の妻は一般人のはずだ。結婚するときに事情は話しているだろうがな」
「魔法使いの人でも一般人と結婚することがあるのですか?」
「そ、それだったら、ネギ先生も一般人と結婚する可能性も…………?」
「…………あるにはある。 まあ、どうしても最初は事情が話せないから、隠し事しているのと同じだからな。そのせいで浮気とか、変な風に勘繰られて喧嘩になりやすいらしい。黙っているのも罪悪感が沸くだろうし。
そのために、なかなか結婚まで辿り着けないらしいな」
「(…………刀子さんは今のところうまくいってるみたいだけどなぁ)」
「それと、拒絶されるというのが怖いのかもしれないな。
もし、結婚するに当たって事情を話し、その結果拒絶されたり魔法使いの存在をばらされそうになったら、相手の記憶を処置しなければならん。
誰だって惚れた相手の記憶を弄りたくはないだろう? 結婚という最後の一歩を踏み出せずに別れることも多いらしい」
「…………それは、悲しいです」
「そうやねぇ。ウチだったら耐えられないわ」
「…………あとは、そうだな。葛葉刀子が西の出身だから、西洋魔術師とは違った視点から…………いや、近衛木乃香。
確かお前は春休みに里帰りするな?」
「うん、そうやで。お父様とこれからのことについて直接会って話してみたいと思うんや。
せっちゃんが言うには、ネギ君とエヴァちゃんも一緒に来てくれるらしいけど、本当なん?」
「私は観光目的でお前の護衛はついでだがな。それならコイツラ全員も連れていくか。西洋魔術師の視点でだけではなく、日本古来からの呪術師の視点からの意見も聞いたほうがいいだろう」
「大丈夫なのですか? 東西の仲は悪いのでは?」
「お前達は西洋魔術師からの被害者だからな。
「ひょんなことから裏の世界の事情を知ってしまったのですが、記憶を消されるのは嫌ですし、関東魔法協会の説明だけではそれが本当かどうかわかりません。
もしかしたら関東魔法協会にとって都合の悪いことは隠されて説明され、私達は騙されているかもしれません。
そこで関東魔法協会と仲の悪い関西呪術協会からも話を聞いて、本当かどうか確認したいと思います」
とでも言えば、むしろ嬉々として教えてくれるだろうよ。
へたしたら、逆に勧誘されるんじゃないか?」
主な加害者はエヴァちゃんだけどねぇ~。
服を弁償してもらわなきゃいけないわね。
それに京都かぁ~。この前、ネギが京都旅行のパンフレット見てたっけ。
「…………それは、確かにそうだな。別にネギ先生を疑うわけじゃないけど、ネギ先生はまだ子供だからな。もしかしたらネギ先生も騙されているかもしれないし。
学園長達だけでなく、中立…………というには敵対的だが、外部からの話も聞いておきたいな」
「ウム。冷静な考えだ、長谷川千雨。旅費についてはジジイに頼めばいいだろう。嫌とは言うまいよ。
難しいことは考えずに、ただの京都旅行と割り切って楽しむのもいいさ」
「むしろその話を学園長にして、駄目だと言われたら学園長達は何か隠していると思ってもいいな。何にせよ、学園長達が私達をどう思っているのか測る試金石になりそうだ。
…………タダで京都旅行出来るのも美味しいし」
「よし、そのときは私も護衛として着いていってやろう。
なぁに、依頼料は学園長に請求するから安心しろ」
「龍宮、便乗しようとするな。
(…………元から、里帰りのときのお嬢さまの護衛の手伝いを頼むつもりだったから丁度いいけど)」
「京都ですか。神社仏閣巡りとか出来ますかね?」
「ゆえはそういうの好きだもんね~」
「日本人なんだから、西洋魔術ではなくて日本の呪術を学びたいと思っても構わん。どうせ春休みまでは基礎中の基礎だけで精一杯だからな。取り返しがつかなくなるということはないだろう。
神楽坂明日菜や長谷川千雨も、願い事はそれまで待ってからの方が良いかもしれんな」
「じゃあ、春休みはここにいる皆とネギ君で京都旅行やな!?
うわ~、何か今から楽しみや」
「ネ、ネギ先生と旅行!?」
「(…………これは、のどかとネギ先生の仲を進展させるチャンスですね)」
京都旅行かぁ。うん、いいわねぇ。
新聞配達の当番を休めるようにお願いしておかないと。
…………それと、いいんちょ達にばれないようにしないといけないわね。
ネギも一緒に行くなんて聞いたら、絶対着いてくるだろうし。
━━━━━ 後書き ━━━━━
テレレレッレッテッテー!(ドラクエ風に)
ネギは現実を知ることが出来た(フリをした)。
もちろん、今までのことはわざとで、最初から知ってましたけどね。
本屋とゆえっちの強化フラグが立ちました。
明日菜よりは才能はないと思われるので、あくまでも小ボスクラスです。
京都旅行フラグが立ちました。フェイトが西に来る前に終わらせる、というわけではありませんのでご安心を。
【ネギの被害者リスト】
メルディアナ学校長:燃やされた
カモ:去勢された
鳴滝姉妹:悪戯し掛けて返り討ち
エヴァンジェリン:紅茶吹かされた
バカレンジャー:勉強地獄
学園長:ストレスによる急性胃潰瘍にて吐血
さよ:知らないうちに成仏させられるところだった
魔法先生一同:「この子ホントにどうしよう?」という“諦観” ← rank up!
愛衣:幼児退行させられた
高音:露出狂の嫌疑かけられた
刀子:露出狂の嫌疑かけられた
バレーボール:破裂させられた
タカミチ:コーヒー吹かされた+担任クビ
刹那:勉強地獄+バカホワイト就任
明日菜:失恋