━━━━━ ガンドルフィーニ ━━━━━
「…………なるほど、『完全魔法無効化』とはこういうものですか」
凄いよ、このネギ先生! さすが“千の呪文の男”の息子さん!!!
「何でネギ君が『完全魔法無効化』を使えるのさっ!?」
「…………えーっと……“何となく”?
でも、僕の『完全魔法無効化』は、昔に本で読んだ『完全魔法無効化』とは何だか違いますね。効果が薄いみたいですし、意識しないと魔法を無効化出来ません。もうちょっと練習すればうまくいくかもしれませんが。
…………モビルスーツの装甲や盾は、無意識に『完全魔法無効化』を応用していたのかな?」
「“何となく”で魔法世界でも数少ないレアスキルを使わないでくれっ!
(…………あれ? でも血筋的にはおかしくないのか?)」
すまない、娘よ。お父さんはここまでのようだ。小学校にも上がっていないお前を残して逝ってしまうのを許して欲しい。
妻よ、私達の娘のことを頼んだぞ。
私は君達のことを愛していたよ。
「…………グハァッ!!!」
「ガ、ガンドルフィーニ先生まで!? 僕を残して逝かないでください! ネギ君の相手は僕一人じゃ無理ですよ!!!」
高畑先生、君も疲れたろう? 私も疲れたんだ。
何だかとても眠いんだ、高畑先生……………………。
「ガンドルフィーニ先生、こんなところで寝ると風邪引いちゃいますよ。
他の皆さんも床に突っ伏して寝てますけど、お疲れなんですかね?」
「…………ネギ君。お願いだから君はもう黙っていてくれ…………」
ゴメン、もう無理。
━━━━━ 綾瀬夕映 ━━━━━
「ぶっちゃけた話、ネギ先生はどう凄いのですか? 素人の私達にはよくわからないのですが…………」
「んー、あれだ。“片足が沈む前に片足を出すの繰り返してたら水の上歩けました”ぐらい凄いな」
その例えではよくわかりませんです。
「あー、そんな感じだな」
「ネギ先生は三段論法で物事を考えるところがありますからね。『闇の咸卦法』を開発した時だって、
『咸卦法』は“気”と“魔力”の合成
↓
『闇の魔法』は“魔法”を体内に取り込む
↓
じゃあ、その二つを組み合わせたらどうなるんだろう?
という感じで開発したらしいですから」
「何でそれで「じゃあ~」という発想が生まれるんだ、ネギは? というか、何でそれで『闇の咸卦法』を開発出来たんだ?」
「ネギ先生だからだろう。私は理解するのは諦めた」
「…………まあ、柔軟な発想が出来るという点は、間違いなくネギの長所なのだがな。『闇の咸卦法』は私にも出来ないし、特に『咸卦治癒』は直接触れなければならないという制限があるとはいえ、治癒魔法としては最上級だろう。
お前達がどんな魔法使いになりたいのかは知らんが、治癒魔法だったらネギに習った方がいいな。私は不死身なせいで治癒魔法使わないから得意じゃないんだ。適性もあるから、好みの魔法を使えるようになるかはわからんが…………」
フム、治癒魔法ですか。
ファンタジーのような魔法も使ってみたいとは思いますが、実生活に役立つのは明らかに治癒魔法の方ですね。
それにのどかの性格なら、誰かを傷付ける攻撃魔法というものは使いたがらないはずです。
治癒魔法を勉強するということは、ネギ先生から魔法を教えてもらえて、のどかの性格にあった魔法を学べる。まさに一石二鳥。
ハッ!? 治癒魔法を自らにかければ、睡眠時間を減らして読書の時間を増やせるのでは!?
「不死身……ねぇ。
それにしても、エヴァちゃんが吸血鬼ってどういうことなん? 何で吸血鬼が麻帆良におるんや?」
「そういえばそうだな。何だかネギ先生のせいで忘れてたけど、マグダウェルは吸血鬼なんだったか。
さっきの話で“封印”とか何とか言ってた気がするが…………」
エヴァンジェリンさん。
ネギ先生の説明では600年を生きた吸血鬼の魔法使いで、ネギ先生が足元にも及ばない凄腕らしいのですが…………あくまでネギ先生の説明なのですよねぇ。
「まぁ、いろいろあってな。簡単に言えば、15年前にネギの父親にこの麻帆良に封印されたんだよ。
『登校地獄』という、学校に強制的に登校させられる呪いをかけられてな。
3年経ったら解きに来る、とは言われていたが、結局解きに来ないで奴は死んだ。それ以来ずっと中学生を繰り返している…………」
「うわぁ、15年前ってことはウチらが生まれる前から。それは辛いなぁ…………」
「…………エヴァちゃんも苦労しているのねぇ。私だったら耐えられないわ」
「ネギ先生のお父さんに?
でも、エヴァンジェリンさんはネギ先生と仲が良いみたいですけど…………?」
「ああ、ネギの父親……ナギがかけた呪いは誰も解くことが出来ず、ずっとこのまま中学生をしていなきゃならんのかと思っていたんだが、ネギが私の呪いを解いてくれることになっているんだよ。
さっきまでネギのことを悪く言ったかもしれんが、ネギには感謝しているよ。麻帆良の外には出られず、警備員として飼い殺しになっていた私を助けてくれるんだからな。
完全解呪にはまだ時間がかかるみたいだが、春休みには京都旅行に行けるぐらいには改善できるみたいだし」
…………なるほど、それをきっかけにネギ先生を狙うようになっていたのですか。
大浴場のときといい指輪のことといい、アスナさんに匹敵するのどかの障害になる人です。
く、ネギ先生は本当に人気がありますね。
確かにのどか達の気持ちはわかるのですが、ネギ先生はまだ10歳なのですよ。
というか、アスナさんは高畑先生のことが好きだったのでは…………?
「それからはネギにこの別荘を貸してやったり、茶を飲みながら魔法について話し合ったりするような友人付き合いをしている。
…………もっともネギは友人だけとは思っていないようだがな、フフフ…………」
「…………どういう意味かしら、エヴァちゃん?」
「さっきアルちゃんが見せてくれた、ネギが私に抱いてる想いを思い出せばいいさ」
「…………ネギ坊主はもてるでござるなぁ」
「お前らなぁ…………、ネギ先生は10歳にもなっていないんだろ?
宮崎みたいな奥手には丁度いいのかもしれないけどさ…………」
「え!? わ、私はその…………」
「そんなこと言われてもな、長谷川千雨。私にとっては学園長のジジイでさえ、500歳以上年下なんだぞ」
「それでも10歳相手にマジになるのはおかしいだろ。40歳と25歳のカップルならおかしくなくても、25歳と10歳のカップルなら犯罪なのと一緒だろ」
「別に今のネギをどうこうしようとは思っておらん。それにネギが食べ頃に熟すまで、最低でもあと5年は…………」
「食べ頃言うな! 生々しすぎて笑えねーよ! 逆光源氏計画立ててんじゃねーよ!!!」
た、食べ頃!?
確かに5年もすれば、ネギ先生は今よりも格好良くなっているのでしょうが!?
「まぁ、その前にネギが私を求めてきたら、答えてやるのもやぶさかではないがな」
「アハハ、ややわぁ、エヴァちゃん。コッチにはネギ君から女の子と意識されてるせっちゃんがおるんやで?」
「お、お嬢さまっ!?」
木乃香さんまで参戦するのですか!? しかも桜咲さんと共同戦線!?
の、のどかはどうすれば…………。
いくらのどかが可愛い女の子でも、木乃香さん&桜咲さんのタッグに勝てる確率は低いと言わざるをえないです。
こ、こうなったら私がのどかと組んで…………って、何を考えているのですか、私はっ!?
「おいおい、近衛も本気なのかよ?
というか桜咲を巻き込んでやるな」
「こ、木乃香お嬢さまがお望みならば、私は…………」
「え? いやいや、冗談やって、せっちゃん。そんな本気にせんでもええよ。
でもそうやなぁ…………ネギ君はやっぱりまだ弟って感じやわ。優しいしカッコええからネギ君のことは好きやけど、ウチもまだ恋愛についてはようわかっとらんからなぁ。
近くにいる男の子がネギ君だけやから、ネギ君に対する気持ちが恋愛感情かと聞かれても比べる人がおらへんし………………でも、ネギ君を誰かにとられちゃうのは嫌ってところやな。
…………せっちゃんはネギ君どう思ってるん? 何か満更でもなさそうやけど?」
「ええ!? わ、私ですか…………?
しょ、正直に申し上げますと、ネギ先生のことは嫌いではありません。一緒に寝ることが出来るぐらいには…………す、好きです。
しかし、恋愛感情かと聞かれると、それはわかりません。私もお嬢さまと同じく、他の男性との付き合いはあまりないですから…………」
「…………あー、そうだったな。
ネギ先生は10歳の子供だけど、考えてみれば私達も14歳の子供なんだよな。しかも女子中育ち」
「ま、お前らぐらいの年頃ならそうだろう。お前ら全員ネギに対して多かれ少なかれ好意を抱いているのだろうが、それを“恋愛感情ではない”とハッキリと断言できるのは龍宮マナと長瀬楓ぐらいじゃないか?
大浴場でネギと風呂に入ったとき、お前らネギの裸を見てドキッとしただろ?」
「…………えーっと…………」
「それは、まぁ…………凄かったやね。ネギ君の裸見たの初めてやったし…………」
「ネ、ネギ先生の裸…………」
「…………ネギって顔は本当に子供っぽいのに、身体は筋肉質で大人っぽくてギャップが凄いのよねぇ」
「な、何アルか!? ネギ坊主と一緒に風呂!?」
「水着着用で、でござるよ、古。確かにネギ坊主の肉体は、磨き上げられたガッシリとした筋肉をしていたでござるなぁ」
…………い、いや、私も正直ドキッとしてしまいましたが…………。
あくまで水着着用でしたので、海に行ったのと同じようなものなのです。
それに裸といっても上半身だけでしたので、その………………う、うぅぅ…………。
「ネギもそうだが、お前らの年頃では“友愛”と“親愛”と“恋愛”の区別は厳格には出来んだろう。
…………フム、アルちゃんの出番だな」
「え? 今度は皆様からネギお兄様への好感度ランキングですか?」
「そうだ。今のお前達は自分の気持ちがわからない状態だ。
アルちゃんの好感度ランキングは、あくまで無理矢理に数値化したものだからそれで全てというわけではないが、それでも自分の気持ちを理解するキッカケにはなるだろう」
「そういうことでしたら構いませんが…………」
「面白そうアルな」
「まあ、ネギ坊主の拙者達への想いを一方的に知るだけではなんでござるからな」
「うむ。今のお前達は丁度、大人と子供の中間ぐらいの年齢だ。
そんなお前達が自分の気持ちを知るのは良い経験になるだろう」
「…………良いこと言ってるみたいやけど、ライバル見極めるためとはちゃうよね?」
「………………そんなことはない」
こっち見てください。
し、しかし、私もなのですか!?
別に私はネギ先生のことを恋愛対象とは思っていないので、わざわざそんな…………。
「…………はい、出ました。
えーっと、皆様のネギお兄様への好感度は………………ハァ、エヴァンジェリン様?」
「えっ!? 今度は私なのか!?」
「見たらわかります、どうぞ」
友 親 恋 愛 色 計
明日菜 6 9 7 9 6 37
茶々丸 8 6 7 8 7 36
エヴァ.. 7 4 8 6 9 34
木乃香 7 8 5 8 5 33
のどか. 6 3 8 8 6 31
刹那 8 4 5 4 8 29
千雨 4 7 4 6 5 26
夕映 5 3 5 4 5 22
古菲 6 3 3 3 2 17
さよ 4 4 3 4 1 16
楓. 5 4 1 3 2 15
マナ.. 5 3 2 1 1 12
こ、これは…………皆さんやけに“色欲”が高くないですか? エヴァンジェリンさんの9点って!?
というか、私も“色欲”が5点!? しかも、“恋愛”も5点!?
ち、違うのです、のどか。私は別にネギ先生のことは恋愛対象とは思っていないのです!
「やったー! 私いっちばーーーん!
この中だったらネギは私のことを一番好きで、私がネギのことを一番好きなのよ!!!」
「グ、グヌヌヌヌ…………“親愛”が低いの仇となったか。まあ、私はネギのことを弟として想いたいわけじゃないしな。
…………おい、茶々丸? お前やけにネギへの好感度高くないか?」
「………………いえ、大丈夫です。マスターは“色欲”では一位となっております」
「というか、10歳のネギお兄様に“色欲”が9点って…………」
「あー、ウチは確かにこんなもんかなぁ。友達みたいに料理について話し合ったりするし、ネギ君のこと弟みたいに想ってるし…………。
で、でもウチもやけど……確かに皆やけにネギ君に比べて“色欲”が高いんやな。やっぱり一緒に風呂に入ってドキッとしたせいなんかな。
エヴァちゃんの9点とか…………せっちゃんの8点とか? ………………せっちゃんお風呂一緒に入ってへんかったよね?」
「5位だけど…………“親愛”を抜かしたら、家族として一緒に暮らしているアスナさんと合計点は同点。私、負けてないよね」
「…………違うんです。これは違うんです。誤解なんです…………」
「いや、桜咲。その言い訳は通らないだろう。ネギ先生みたいな子供に対して“色欲”8点て…………、本気でマズくねぇか、お前?
(…………う、私が意外と高い。別にあのガキのことは嫌いってワケじゃねぇし、2-Aの連中に滅茶苦茶にされるのは見てられなかったから、いろいろ手助けしてたのが数値に出たのか。
…………確かに風呂で見たあの裸にはドキッとしちゃったけどさ)」
「そ、そうです! “恋愛”と“色欲”に5点もあるのは、大浴場でネギ先生の裸を見てしまって意識してしまっただけなのです!
他の皆さんも“色欲”が高いから、私が高くてもしょうがないのです!!!」
「楓も一緒に風呂に入ったのではないアルか?
私は…………まぁ、こんなものアルかね。ネギ坊主のことは普通に好きアルし」
「確かに拙者も一緒に風呂に入ったでござるが、故郷の里には筋肉質の子供はたくさんいて慣れていたので平気でござったよ」
「私にとってネギ先生は恩人ですからー」
「…………まぁ、妥当なところだろう」
…………それにしてもアスナさんが本当に高いですね。
ネギ先生からの好感度も一番高かったですし、やはり一番の障害はアスナさんですか…………。
しかし、何故アスナさんはここまでネギ先生のことを? アスナさんの好みは“渋いダンディーなオジサマ”で、高畑先生のことが好きだったはずでは?
それに何故あそこまでネギ先生への好意を隠さないのでしょう?
いくら一緒に暮らしていて、アスナさんが落ち込んだときにネギ先生が慰めてくれて仲良くなったとはいえ、今までの意地っ張りなアスナさんだったら、
「わ、私がこんなにネギのこと好きなわけないじゃない!!!」
とか言いそうなのに…………。
それとも委員長さんのように、ショタコンに宗旨替えしたのでしょうか?
「…………アスナさん、何があったのですか?
アスナさんは高畑先生のような大人の男性が好きだったはずではないのですか?」
「え!? べ、別に何もないわよ!」
「そういえばそうだよな。神楽坂は子供が好きじゃないとか言ってなかったか?
ネギ先生と一緒に暮らして情が移ったか? それとも高畑先生に振られてネギ先生に走ったのか?」
「フン! ありそうな話だな!
大方あの朴念仁に相手にもされずに振ら……れ……て…………おい? 神楽坂明日菜?」
…………ア、アスナさん? 急に動きを止められてどうしたのですか?
な、何故だか寒気もしてきたのですが…………。
「ア、アスナさん…………? か、顔が……能面みたく…………」
「(だからその無表情はやめてほしいでござる!)」
「……………………」
「ア、アカンよ! 皆!!!」
…………え? マジですか? 高畑先生に振られてしまったのですか?
そういえばアスナさんが一時落ち込んでいたのは知っていましたが、どうして落ち込んだかは知りませんでしたね。
ネ、ネギ先生の性格なら、落ち込んだアスナさんを一生懸命励ますはずです。
もしかしてそれがキッカケで、ショタの道に走ったのですか!?
「ア、アスナ~? 大丈夫……アルか?」
「ワ、ワリィ。冗談のつもりだったんだが…………」
「し、知らなかったんだ! そんなことになっていたとは…………」
「アスナ! 気にしたらアカンよ!!! 皆悪気はなかったんやし…………」
「…………。
……………………。
………………………………う、うわあああぁぁーーーんっ!!!」
ア、アスナさーーーんっ!?
どこに行くのですかーーー!?
マズイです。アスナさんが泣いて明後日の方向に走り去っていきました!? ってか足早っ!?
さすがは春日さんと毎回短距離走で1、2位を争っているだけありますね!
「ア、アスナぁーーー!?
せっちゃん! 楓! アスナを捕まえてーーーっ!!!」
「わ、わかりました!」
「あいあい、承知したでござるよ」
「足止めはまかせろー」パァッーーーーーン!
何故に発砲音!? 龍宮さんはライフル銃を構えて何をしているのですかっ!?
「安心しろ、ただのエアガンだ」
「あ、アスナさんが転んだ」
何だか発砲音がエアガンらしくなかったと思うのですがっ!?
いや、別にエアガンとかの音を良く知ってるわけじゃないのですが…………。
というか、転んだアスナさんが動かないんですけど!?
「ん!? (弾種を)まちがったかな…………」
そんな冷静に!? と、とりあえず急いでアスナさんを助けないと…………。
転んだままのアスナさんに近寄ってみると、ちゃんとアスナさんの泣き声がします。
…………よかった。(精神的にはともかく身体的には)無事だったんですね。
まあ、ふくらはぎに弾が当たったような赤い跡がありますけど…………。
「……ヒック……ヒック………………いいもん。私にはネギがいるもん。ネギは私に優しくしてくれたもん…………」
…………うわぁ。アスナさんマジ泣きです。
どんだけ高畑先生からこっ酷い振られ方をされたんですか?
「…………こうなったらネギのお嫁さんにしてもらうもん。ネギは私のこと魅力的って言ってくれたもん…………。
だから…………だから、高畑先生なんて…………高畑先生なんて…………ヒック…………う、うわあああぁぁーーーんっ!!!」
「はいはい、辛かったやねぇ。大丈夫やよ。ネギ君ならきっとアスナをお嫁さんにしてくれるで。
だから、ホラ。もう泣かんとき…………」
「ご、木乃香ぁ~~~!!!」
「アスナさん! 大丈夫です!!! アスナさんは魅力的な女の子です!!!」
「…………うん。やっぱり今は思いっきり泣いてええよ。考えてみたら、この失恋でアスナが泣くの初めてやね」
「…………変な話題振って申しわけありませんです」
「マジで悪かった。…………本当にごめん」
「あ、あ~…………泣きたくなったらこの別荘を使ってもいいぞ。
いつでも遊びに来い。だから元気出せ、な?」
堰き止めていた想いが溢れ出したのか、アスナさんは全然泣き止む様子はなく、むしろどんどん酷くなっていきます。
いや、本当にごめんなさいです。
…………こ、こんなアスナさんを見ていたら、のどかの応援をしづらくなりますね。
のどかもアスナさんを見て思うところがあるのか、涙ぐんで木乃香さんと一緒に慰めていますし…………。
ああ、恨みますよ高畑先生。こんなのどうしろというのですか?
ネギ先生に担任の座を奪われるぐらい出張行ってたり、魔法使いなのに魔法を使えなかったり、アスナさんをここまで泣かせたり…………もう高畑先生はまるで駄目なオッサンでしかありませんね!
略して“マダオ”ですよ!
━━━━━ 高畑・T・タカミチ ━━━━━
「それじゃあ、僕はエヴァさんの家に行ってみますね」
「…………うん。アスナ君たちによろしく言っておいてね。土日は忙しいから、何か質問があったら月曜日に聞いてくれ、と伝えておいてくれ。
それと『完全魔法無効化』のことは他の人には秘密にしておいてほしい。魔法世界でも確認されているのが少ないレアスキルだからね。よからぬことを考える人がいるかもしれない」
「わかりました。まずは僕が自分で一通り調べてみてから、『完全魔法無効化』の詳細を明日菜さんに教えますね。
それじゃあ、おやすみなさい。タカミチ」
「…………うん、おやすみ。ネギ君」
…………ようやく終わった。
家に帰ろう。そして土日は寝て過ごそう。出張明けで土日は休みを貰っているから、ゆっくりと過ごせるはずだ。
僕だって、たまには自堕落な時間を過ごしてもいいはずだ。うん、そうしよう。
…………これからは、胃薬を家と学校の机に常備しておこうかな。とりあえず今は学園長の胃薬を貰っとこうか。
えーっと…………あったあった。これか“徳用胃薬”。大容量な入れ物だな。学園長も苦労しているんだなぁ…………。
━━━━━ 後書き ━━━━━
何か勘違いしていた人もいらっしゃるかもしれませんが、まだネギのバトルフェイズは終了していなかったぜ!
そして誰も覚えていられないかもしれませんが、一応ネギも『完全魔法無効化能力』を神様?から貰っています。
タカミチは自分が知らないところでマダオとなりました。
タカミチの株価は現在、ロープレスバンジージャンプ中です。
ちなみにアスナは失恋していなければ、“友愛”以外の点数はそれぞれ2~4点は低かったです。
【ネギの被害者リスト】
メルディアナ学校長:燃やされた
カモ:去勢された
鳴滝姉妹:悪戯し掛けて返り討ち
エヴァンジェリン:紅茶吹かされた
バカレンジャー:勉強地獄
学園長:ストレスによる急性胃潰瘍にて吐血
さよ:知らないうちに成仏させられるところだった
魔法先生一同:「この子ホントにどうしよう?」という“絶望” ← rank up!
愛衣:幼児退行させられた
高音:露出狂の嫌疑かけられた
刀子:露出狂の嫌疑かけられた
バレーボール:破裂させられた
タカミチ:コーヒー吹かされた+担任クビ+“マダオ就任” ← new!
刹那:勉強地獄+バカホワイト就任
明日菜:失恋