━━━━━ ネギ・スプリングフィールド ━━━━━
期末テストは無事2-Aがトップをとって無事終了。食券大量ゲットでウハウハです。
終了式の日にでも、僕の奢りでパァーッと打ち上げでもしましょうかね。
あ、その前にホワイトデーがあるな。それだったらホワイトデーにパーティーですかね。
それとバレンタインにはせっかく手作りの物を貰ったんだから、僕もジンジャークッキーでも作って皆さんに配るとしますか。
「ネギ先生、ちょっといいですか?」
「はい? 何でしょうか、長谷川さん?」
? どうしたんでしょう?
何だか妙に神妙そうな顔してますね?
「私も神楽坂達にやってる勉強会に参加させてほしいんですけど…………いいですか?」
「それは構いませんけど。
…………もしかして後ろに隠れている龍宮さんも一緒にですか?」
「え? 龍宮?」
「…………相変わらず鋭いね、ネギ先生は。
私も同じ用件だったんだが、構わないだろうか?」
「げ……いつの間に? というか何故気づけるんですか? …………これだから非常識人間共は」
まぁ、気配の察知には自信ありますからね。
しかし、何でまた長谷川さんと龍宮さんが? あまり勉強に興味がないタイプの二人だったのに、何でこんなことを言い出すんですかね?
別に期末テストが悪かったわけではなかったのに…………。
「ご存知の通り、放課後の居残り以外にもエヴァさんの別荘でやるときもありますので、事情を知っている長谷川さん達でしたらソチラの参加も歓迎します。年をとってもいいというならですけどね。
…………そんなに明日菜さん達に負けたのが悔しかったんですか?」
特に明日菜さんは200前半の順位でしたね。バカレンジャーの平均は300後半でした。
佐々木さんは別荘での授業に参加していなかったのでそこまで上がってはいませんが、それでも500前半に上がってましたしね。
エヴァさんも茶々丸さんも今回の期末テストは本気を出したのか、順位を大きく上げていました。
皆さん頑張っていましたからねぇ。
「…………アイツラを馬鹿にするわけじゃないですし、アイツラが頑張っていたことも知ってはいたんですが…………。
さすがに私も少し勉強頑張らなきゃって思いまして…………」
「…………刹那のあの勝ち誇った顔が…………。
あやうくあの広いデコにエアガンをブチ込むところだった…………」
オーケイ、そういうことなら歓迎しましょう。これで正式に教師にもなれましたし、最近は良いことが続きます。
バカレンジャーに負けた釘宮さんや柿崎さんなんかは絶望していましたけどね。ハッハッハ。
あとは京都旅行の準備しないとなぁ。フェイトはもういるだろうし、シッカリと準備しないといけませんね。
そうそう。そういえば“頭の良くなる魔法の本”の噂は流れませんでした。
おかしいなー。なにかげんさくとはちがうことしちゃったかなー?
がくえんちょうのごーれむとかついすたーげーむたのしみだったのになー。
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そしてエヴァさんと今後についての打ち合わせ、という名目で放課後ティータイム。
うん。コーヒーも好きだけど、紅茶の方がやっぱり好きです。
「宮崎さんと綾瀬さんの修行の調子はどうですか?」
「まぁまぁだな。やはり基礎から始めるので時間がかかる。熱意はあるが、それでもやはりな…………」
「それは仕方ありませんよ。焦らずにジックリと教えてあげてください。
僕も手伝えることがあったら手伝いますので、遠慮なく言ってくださいね」
僕が教えることは何故か学園長には止められましたけどね。土下座までされて。
僕が見習い魔法使いだということが理由でしたが、宮崎さん達が僕の影響を受けないようにでしょう。
…………やりすぎたかな?
「何かあったらそのときは頼む。まあ、今は基礎の段階だからあまりないし、お前を参考に修行されても困るしな。
…………いや、一つあったな。綾瀬と宮崎だけでなく魔法バレした連中全員になんだが、少し魔法の怖さを教えてやろうと考えていてな」
「魔法の怖さ、ですか? ああ、特に綾瀬さんなんかはファンタジーの魔法に憧れているみたく、あまり魔法の怖さを理解できていないみたいですからね。確かにそういうのも必要かもしれません。
しかし、具体的にはどうするのですか? 魔法バレ全員ということは明日菜さんや木乃香さん達もなんでしょうが、まさか模擬戦というわけにもいかないでしょう」
「そんなことはわかっている。私が考えているのは、アイツ等が14歳の年頃の少女だということだ。
現に神楽坂明日菜なんかは、錬金術や惚れ薬が実在するのかどうか聞いてきたしな」
「錬金術と惚れ薬ですか。錬金術は一応出来ないことはないんですけどね。ただ、例えば1万円分の金を作るのに、費用が数百倍かかってしまうだけで。
惚れ薬は効果が高すぎるのは違法ですけど、確かに14歳の女の子は興味を持ちそうですね」
「だろう? だから、先手を打って人の心を操るというのはどれほど恐ろしいものかをわかってもらうことにする。
具体的には、惚れ薬を実際に飲ませてジジイに惚れさせる」
鬼ですか、あなたは?
「私は吸血鬼だ。 安心しろ。実際に惚れさせるのは、幻術をかけてジジイの真似をさせた相坂さよだ。
いくら私でも、実際にジジイに惚れさせるほど酷くはないぞ」
「相坂さんですか。そういうことなら安心ですね。
相坂さんも2-Aに馴染んできたみたいですし、いろんなことをし始めてもいい頃ですね」
「人の心を操ることがどれだけ酷いことなのかを知れば、惚れ薬を作ってみようとは思わなくなるだろうからな。
そこでネギに頼みたいのは惚れ薬の効果の確認だ。一応作ってみたのはいいが、何分初めて作ったからな。実際の効果はわからん。
多分、大丈夫だと思うんだが……………………」
つまり僕に惚れ薬を飲めと?
そこはかとなく不安になるのですが…………。まぁ、エヴァさんのお手製なら大丈夫かな?
それに、今まで惚れ薬って飲んだことないんですよねぇ。惚れ薬飲んだ自分がどうなるのか、ということには少し興味あります。
何か問題あったら『咸卦治癒』で治療すればいいですしね。
「そういうことなら構いませんよ。
エヴァさんの腕を疑うわけではありませんが、安全を期するのに越したことはないですからね」
「そ、そうか!? …………なら、これを飲んでもらおうか。効果は約30分。惚れ薬を飲んだあとに初めて見た異性を好きになってしまうタイプだ。
あ、だから当日は来ない方がいいぞ。アイツ等全員に惚れられたら大変だろうからな。それに生徒に惚れ薬で惚れられるというのは嫌だろう?」
「それは勘弁して欲しいですね。
今ですと、僕が惚れてしまうのはエヴァさんしかいないですけど良いんですか?」
「別に構わん。若さが暴走して襲われそうになったら反撃するからな。それに効果の程をこの目で見ないと落ち着かん。
まぁ、無理を言っているのはコチラなのだから、多少のことなら許すがな。
それと、お前はアイツ等と違って魔法抵抗力が高いんだからあまり我慢するなよ。効果が見れないとアイツ等に飲ませていいのかわからんからな」
「わかりました。それでは頂きます。………………甘。かなり甘いですね、コレ?」
「子供に飲ませるものだからなぁ」
カキ氷のシロップを薄めたような味です。
うわ、口の中に残る。紅茶飲んで口直し。
…………駄目だ、舌に残った甘ったるさが全然取れません。
「……………………で、どうなんだ?」
「もうちょっと待ってくださいよ。
こういう薬系は、体内に吸収されるまでどうしてもタイムラグが生じますからね」
フム、まだあまり実感はありませんねぇ。
エヴァさん見てもドキドキしませんし。
いや、実を言うとやっぱりドキドキはするんですよね。前世の関係上。
正直な話、前世ではエヴァさんに惚れられてた駄目親父に嫉妬したこともあります。
もちろん前世のエヴァさんも好きでしたが、今僕の目の前にいるエヴァさんのことも好きです。
何だか獲物を狙う獣の目で見られること以外は関係は良好ですし、何よりエヴァさんは可愛らしい人ですからね。
以前、エヴァさんが体育の時間に足を捻ったらしいので、『咸卦治癒』で足をさすって治療しましたが、そのとき心臓ドキドキしましたもん。
気の応用で血流を操作して、すぐに落ち着きましたけどね。
気とかマジ便利です。
普段から心拍数とか血流とか交感神経とか諸々を一定に保っているおかげで、2-Aの突飛な行動にも冷静に対処することが出来ます。
さすがに限度はあって、動悸が少し落ち着かなくなったり、顔が赤くなったりするぐらいはありますけどね。
エヴァさんの綺麗なおみ足を前にしたときなんかも。
エヴァさんの足ってスベスベしてるんですよね。
余分な贅肉がなくてスラっとしていて、雪のように白い肌で、触るとヒンヤリと少し気持ち良い冷たさを感じられるようなおみ足でした………………って、何を考えているんだ、自分は?
え、あれ? ……………マズイ、惚れ薬が効いてる。エヴァさんを見るとドキドキしてくる。
顔が赤い。僕自身でも顔が真っ赤になっているのがわかります。
顔が熱い。まるで熱中症にかかっているみたいです。体が溶けてるみてー…………ではないですけどね。
「ど、どうした、ネギ? 顔が赤いぞ?
そろそろ惚れ薬が効いてきたのか」
「…………はい。効いてます。エヴァさんを見るとドキドキします。
僕は今、エヴァさんのことが好きになっています」
「そ、そうなのか? 私は、惚れ薬を飲んだことないからわからないが…………ど、どういう風に私のことが好きなんだ?
正直に答えろよ。…………コ、コレはあくまで実験なんだからな」
「全部好きです。好きじゃないところはないです」
「…………え? …………あ、あぅ…………」
エヴァさんも混乱してるな。安心してください。僕も内心では混乱中です。
マズイ、本気でエヴァさんのことが好きだ。
惚れ薬がこんなに凄いとは思わなかった。これは惚れ薬が違法になるわけだ。
━━━━━ エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル ━━━━━
落ち着け。落ち着くんだ私。これはあくまで惚れ薬を飲んだから言っているだけなんだ。
とりあえず、今のところ計画通りだ。
惚れ薬を飲ませて私のことを意識させる。
もちろん、これで既成事実を作ったりはしない。あくまでも私を意識させるだけだ。
アルちゃんが見せてくれた好感度ランキングから考えるに、ネギは色恋方面のことは興味がないわけではなく、ただ単にまだ知らないか理解出来てないだけのようだ。
だったらまずはソチラ側のことを理解させなければなるまい。
飲ませた惚れ薬は効果が切れても、効いていた間のことは覚えているタイプのものだから、ネギの記憶には私に惚れたということが残る。
どうせ直ぐに消えてしまうものだが、ネギが“恋愛”というものを理解できる切欠にはなるだろう。
それを突破口にして、今度からは薬無しで私に惚れさせなければならない。
「もう一度言います。全部好きです。好きじゃないところはないです。
…………エヴァさんに触れてもいいですか?」
「………………あ、あうぅぅぅ…………」
だから落ち着け! 落ち着くんだ私!!!
これはあくまで惚れ薬を飲んだから言っているだけなんだ!!!
だがこれは予想外だった。真っ直ぐに攻めてくるネギがこんなに厄介だったとは…………っ。
しかし、ここで許すわけにはいかない。
惚れ薬で既成事実を作ったなどと思われるのは、私としても納得がいかん!
「…………ふ、触れるだけなら……………………」
って、そうじゃないだろ、私!? 何を口走っているんだ!?
「…………それじゃ、失礼しますね」
「…………あ…………」
ネギの手が私の髪の毛を撫でる。
優しく、壊れ物を扱うかのように。
「好きです。このサラサラと流れるような金髪も」
ネギの手が私の手を握り締める。
相変わらずネギの手は温かい。厳しい修行をしているはずなのに、柔らかさを失わない掌。
足をさすられたときも、温かく気持ち良かった。
「この白く細い、たやすく手折れそうな手足も」
ネギに抱きしめられる。
おんぶなんかで私から抱きつくことはあっても、ネギに抱きしめられるのは初めてだ。
ネギに抱きついてネギの温かさを感じるのとは、また違う気がする。
「強く抱きしめたら、壊れてしまいそうな身体も全部です」
やめろ、これ以上はやめてくれ。戻れなくなる。このままでも良いかと思ってしまう。
これはあくまで惚れ薬を飲んだから言っているだけなんだ。こんなので愛されるのは嫌だ。人形みたいなネギは嫌だ。
私はありのままの私を見てくれる人が欲しいんだ。
薬でおかしくなったネギでは嫌なんだよ…………。
「ネ、ネギ、これ以上は…………」
「大丈夫です。これ以上はしません。
したいという気持ちはありますけど、十分抑えられます」
「そ、そうか…………」
「明日菜さん達に使う場合は、少し薄めるなどして効果を落としたほうがいいかもしれませんね。
魔法使いの僕でも結構我慢してますから、明日菜さん達には辛いかもしれません」
「…………そうだな、そうしようか」
「効果が切れるまで、あと20分以上ありますね。
それまでずっと立ってるというわけにもいきませんから、一度座りませんか?」
「う、うん…………」
よかった。あのまま進んでいたら、キスぐらいは許しそうになるところだった。
さすがに初めてのキスが惚れ薬のせいなんてのは嫌すぎる。
「それじゃ、コッチに…………」
「…………あ…………」
そう言って、私が座らせられたのはネギの膝の上だった。
ソファーの上にネギが座り。そして私が横座りでネギの膝の上に座る。しかも、ネギが抱きしめてくる。
…………許すのはここまでだ。絶対にこれ以上は許さん…………と、思う。
「…………○ってはいないんだな」
「え? 座ってますけど?」
「な、何でもない。忘れろ」
「? …………まぁ、いいですけど。 もうちょっと強く抱きしめてもいいですか?」
「…………や、優しくなら」
やはりまだソッチ側は目覚めていないのか。
10歳だから仕方がないかもしれんが。
でも、もし既に目覚められていたら、私はどうすればよかったのだろう?
「…………あ…………」
ギュッ、と先程より強く抱きしめられる。
私がネギの膝の上に乗っているために、私の顔の近くにネギの頭が、ネギの顔が私の首の辺りに当たる。
「ネ、ネギ。一度腕を解いてくれ。…………私もネギを抱きしめる…………から…………」
「ここまでしておいて言うのもなんですが、惚れ薬飲んでるとはいえいいんですか?」
「べ、別にこのぐらいなら構わない。あくまでコレは実験なんだからな。
…………どうだ? 何かおかしなところはないか?」
「エヴァさんを好きになったこと以外はありませんね。お腹が痛くなるなんてこともないですし。
ああ、これが“惚れる”ということなんですね。惚れ薬が違法になる理由がわかります」
「そ、そうか…………」
「好きです、エヴァさん。愛しています、エヴァさん
エヴァさんの事をもっと知りたいです。エヴァさんの事はみんな、全部知っておきたいです。
もっと力強く、潰しちゃうくらい抱きしめたいです。出来るならキスもしたいです」
「キ、キスは許さんぞ!」
「わかってます。そんなことはしません。
エヴァさんをもっと感じたいですけど、それ以上にエヴァさんのことが愛おしいです。エヴァさんを傷付けたくないです。
エヴァさんには僕だけを見て欲しいし、僕だけのものになって欲しいですけど、それ以上に今の気高いエヴァさんのことが好きです。エヴァさんに変わって欲しくないです。
ああ、いろんな感情がごちゃ混ぜになってます」
「わ、我侭なんだな…………」
「大浴場でも言ったじゃないですか。僕は独占欲が強いんですよ。
でも、エヴァさんを独り占めしたい気持ちも、今のエヴァさんから変わって欲しくない気持ちも全部本当です」
…………本当にちょっと効果が強すぎたかな? 本の通りに作ったし、わざと効果を強めたりは別にしていないんだがなぁ。
まあ、地下室にあった昔の本だったからなぁ。
「エヴァさんが麻帆良の外に素っ裸で出ろというのなら、やってもみせます!」
「それはやめてくれ」
…………うん。アイツラに飲ませるときは、半分ぐらいの薄さに調整してから飲ませよう。
当日はネギは来ないから、アイツ等の面倒を私一人で見なきゃならん。
説明も無しでジジイの姿をした小夜さよに惚れさせようと思っていたが、ちゃんと説明してからにしよう。
そうじゃなきゃ後始末が大変そうだ。
「エヴァさんって、良い匂いしますね…………」
く、首に鼻を擦り付けて匂いを嗅ぐな。ちゃんと事前にシャワーを浴びたから大丈夫だけど。
…………惚れ薬の効果が切れるまで、まだ時間はあるな。
惚れ薬は金輪際作らん。
本気で抜け出せれなくなりそうだ。こんなことはこれっきりにしよう。
私が欲しいのは自らの意思で抱きしめてくれるネギなんだ。多分、今でも惚れ薬を使わなくても頼めば抱きしめてくれるんだろうがな。
しかし、ネギに頼んで抱きしめてもらうなんて、まるで私の方がネギに惚れているみたいではないか?
…………まあ、惚れ薬を使うのはこれっきりなんだから、今はこの時間を有効に使おう。少しでもネギを感じておきたい。
正面からネギを抱きしめるのは初めてだな。
ギュッ、と私からネギを抱きしめる。
ネギの温もりを感じる。『咸卦治癒』を使った状態でくっつくのとは違う。ネギだけの温もりを感じることが出来る。
神楽坂明日菜や近衛木乃香は毎晩このようなことをしているというのか? オノレ。
ギュッ、とネギからも抱きしめられる。
トクトクトク、とネギの心臓の鼓動が伝わってくる。
トクトクトクトクトク、と私の心臓の鼓動がネギに伝わっている。
心臓の鼓動が心地良くて落ち着くけど、心臓の鼓動を意識しすぎて落ち着けない。
ネギの温もりが気持ち良くて眠たくなるけど、ネギの温もりを感じるせいで目が冴えて眠れない。
…………ナギとは助けてもらったときに手を握られたのと、最後に頭を撫でで貰っただけだったな。
こんなことは結局したことなかった。
失いたくない。今度はもう失いたくない。
もう一人になるのは嫌だ。この温もりと光は失いたくない。
一度知ってしまえば、これはもう手放せなくなる。
ナギの馬鹿者め。
「光に生きてみろ」なんて言っておき…………ああ、そういえばナギが最後に言ってたのは「光に生きてみろ。そしたらその時お前の呪いも解いてやる」だったか。
ネギという光を手に入れると同時に、ネギが私の呪いをもうすぐ解いてくれるとはな。
まったく、どういう因果なんだか?
…………フン、ナギはこうなることなんか、予想してなんかいなかったろうがな。
ありがとう、ナギ。
『登校地獄』を解かずに死んだと聞いたときは恨んだけど、最高の置き土産を残していってくれて。
お前がしてくれなかったことは、お前の息子にしてもらうことにするよ。
その代わりネギは私が守ってやるし、ネギは私が最高の男に育ててやるよ。
天国か地獄のドッチにいるが知らんが、安心して寝ているといいさ。
━━━━━ 後書き ━━━━━
「(惚れ薬を飲ませるなんて)大人の…………やることかぁッ!?」
「大人だからやれるんだよッ!!!」
やっぱりネギはナギの生存をエヴァに言ってません。
っていうか、もう既にナギが生存してること自体忘れてるかも?
ちなみに期末テストの成績はマナは400前半、ちうたんや釘みー達は400後半です。
そしてネギの“色欲”が低い、最大の要因が明らかとなりました。
気の応用で心拍数とか血流とか交感神経とか諸々を一定に保っているため、“色欲”がわきません。
心拍数とか諸々を一定に保つキャラは結構いそうですけど、小さい頃からやっていたらこうなっちゃうのではないでしょうか?
そして、本人は全然このことに気づいてません。普通に気の扱い方の訓練してたら、副作用でこうなっただけです。たつみーですら完璧と言わしめた、気の制御技術が仇となりました。
気の扱い方のカンを取り戻せた7歳ぐらいの身体が標準となってますので、○たせようとしても無理です。
このことに気づかない限り、ネギは魔法使いをマジで卒業できません。
気による身体制御の他、20年にわたる子供生活、“紅き翼”の修行で恋愛する暇がなかったこと…………などの様々な要因から、“色欲”がほぼなくなりました。
もう数年程このままの状態で過ごすと、おそらく“植物のような心”を手に入れることとなるでしょう。
そうすれば、激しい“喜び”も、深い“絶望”もない、“平穏な生活”を送れます。
……………………独りでしたらね。
将来的に苦労することになりそうです。
バレンタインデーの出来事から約3週間。
ちなみに刹那への“色欲”はもう0点に戻ってます。
それと明日菜の質問はあくまで興味本位デスヨ。イヤ、ホントホント。
原作デモ聞イテマシタシネ。