━━━━━ ネギ・スプリングフィールド ━━━━━
フハハハハハ!
来た、来た。この感じです。力が満ちてきます!
僕の狙いは『闇の魔法』…………いや、『闇の咸卦法』による魔力容量の拡大。
わざわざ痛い思いをしてまでフェイトの一撃を食らっただけのことはあります。さすがにあの怪我なら『闇の咸卦法』を全力全開にする言い訳になりますからね。
前世では修行と『闇の咸卦法』による影響で、魔力容量が倍ぐらいに増えました。
その後に再転生したときは神様?が言っていた通り、魔力容量は増えたままで肉体は0からやり直しになったのです。それは肉体が『闇の咸卦法』による影響を受ける前に戻ったということも意味します。
要するに、もう一度『闇の咸卦法』による魔力容量の拡大が可能になったということなのです。
しかし、ただでさえ最初から子供にしたら大きすぎる魔力を持っていたのに、麻帆良に行く前に魔力容量の拡大をしたら、更に魔力容量がとんでもないことになります。
それだとさすがに不審に思われるでしょうし、何よりあれ以上向こうで無茶してネカネ姉さんに叱られるのは避けたかったです。
それを避けるために
「麻帆良に来てからすればいいじゃん!」
という結論に達しました。
そのため麻帆良に来た最初は魔法関係者の皆さんに年齢不相応な実力を持っていることを見せ、尚且つ「ネギ君ならしょうがない」という雰囲気を蔓延させるなど、僕のことをとても良く理解してもらいしました。
多分、これで更に魔力容量が増えても
「またネギ君か!?」
「あの子の担当は高畑先生でしょ!」
「いや、あの子を麻帆良に呼んだのは学園長らしいですよ」
「だったら学園長に投げましょうよ」
とかで終わらしてくれるでしょう。
…………学園長はまた入院するかもしれないですけど。
そして『闇の咸卦法』を全力全開出来るチャンスが遂に来ました。
それがこの京都旅行でのフェイトによる『石の槍』での攻撃です。
フハハハ、わざわざご苦労さん、フェイト。
お礼に両腕とアバラ数本だけで勘弁してあげる。『閃華裂光拳』での怪我だから、もう治せないけどな!
まあ、原作のエヴァさんがフェイトのことを“人形”とか言っていましたので、腕とか取り替えれば復帰できるんじゃないですかね? 時間はかかるでしょうけど。
それに京都に来るのが時期的に原作より早まってしまいましたからね。それに伴ってヘルマン卿襲撃の時期なども変わってくるかもしれません。
そのためにフェイトがしばらく治療に時間を費やすようにしておきました。治療を諦めるにしても、身体を取り替えるにしても、一月ぐらいの時間は延ばせるでしょう。
でも別にフェイトが脱落しても僕的に問題ないですけどね!
…………フム、治癒もだいたい終わったかな。
ざっと魔力容量が更に倍になった感じです。以前の表現で現すなら魔力容量約20。木乃香さんやエヴァさんクラスの約4倍。一般の人の約10倍の魔力容量ってところですね。
これが転生し直した特典。
『闇の咸卦法』による影響を繰り返すことで、魔力容量を増やすことが出来る。
つまり、転生する程強くなる!!!
…………いや、転生するのはこれで最後でいいですけどね。
いいか! 再々転生させるなよ! 絶対再々転生させるなよ!
ネタ振りなんかじゃないからな!!! マジで3回目とかやめてくれよ!!!
「…………ネ、ネギ? 大丈夫……なの?」
「ん? ああ、大丈夫ですよ、明日菜さん。すっかり全開です。むしろ今までより調子がいいぐらいですね。
ところで何で皆さんの背が縮んでるんで…………あれ?」
明日菜さん達が小さくなっているんじゃなくて、もしかして僕の視点が高くなっている?
って、おわっ!? 何この身体は!? ラカンさん以上のマッチョになってる!? 『闇の咸卦法』の影響でこうなったの?
さすがにこれは予想GUYでした。
「…………でも、これはこれでアリかな?」
大人の身体になるなんて、幻術以外では20年振りです。マジで前世は大人になる前に赤ん坊に戻りましたからね。
うわー、何か本当に久しぶりだ。もう子供の身体に慣れていたつもりでしたが、やはり背がおっきくなるのはいいですね。
視点が高いと見える風景も違ってくるなぁ。
「ちょ、ちょっと待て、ネギ!? お前は何を言っているんだ!?」
「本気ですか、お兄様!?」
「正気に戻りなさい、ネギっ!」
「いやいやないやろっ! さすがにそれはないやろっ!」
「ネ、ネギ先生はそれで平気なんですか!?
(え? ちょっと待って? 私は今度からあのネギ先生と修行後に一緒に寝るの?)」
「…………聞いたことがあります。日本人がカッコいいと思うような男性は、欧米人によると貧弱なぼーやにしか見えないらしいです」
「わ、私もその話聞いたことあるな。そのせいでジャ○ーズとかの日本男性アイドルは欧米人に人気がないとか…………」
「え? もしかして…………あ、あの姿がネギ先生の理想の姿…………?」
「おい、そのことも確かに重要だが…………私達の後ろで頭が出始めているリョウメンスクナノカミはどうするんだ?」
「それと吹っ飛ばされた術者達を回収しなければならぬでござるな。拙者が術者の回収を引き受けるので、ネギ坊主とリョウメンスクナノカミは皆に任せるでござる。ニンニン!」
「か、楓ーーー!? 逃げるアルか!?」
いや、さすがにここまでマッチョなのは嫌ですけど。
あ、それにちゃんと元に戻れるみたいですよ。
でもせっかくここまでマッチョになったのですから、この戦いはこのカッコのままで行きますか。
といっても、今はパワーはとても強いですが、膨れ上がった筋肉のせいでスピードが劇的に落ちちゃってます
要するに「おまえを殺すぞ、セル……!」のときのトランクス状態ですね。
でも動けないスクナ相手なら楽勝です……というかカモです。
…………原作のカモ君じゃないですよ。
「ではリョウメンスクナノカミは僕がやります。皆さんはここで待っていてください。刹那さんとエヴァさんは念のためにもう一度結界を張っておいてくださいね。
ハッ!」
うを! 凄いジャンプ力。 1回のジャンプで、スクナ封印の大岩まで跳べました。100mぐらい?
別にまだ意識的に身体強化とかしてないんですけどね。
…………そういえば何でスクナの封印が解けそうになってるんだろ? 何かあったのかな?
ま、いいか。
とりあえず一発スクナの頭にブチかましましょう。
「ハァッ!!!」
メメタァッッッ!!!
…………あれ? この擬音だったらスクナ無事じゃね?
━━━━━ 犬上小太郎 ━━━━━
…………うっ……く………………。
お、俺は…………?
ドゴォオオオォォンッッッ!!!
!? な、何の音や!? それに俺は…………そうやっ!?
ネ、ネギ!? ネギはどこ行ったんや!?
ここは…………座敷牢なんかじゃないな。というかスクナ封印の祭壇やん。時間も月の位置見る限りそんなに時間経ってないな。
いったいあれからどうなったんや? それになんで俺は無事なんや? 俺は確かネギに…………。
くそっ、ネギの顔面に一発ぶち込めたのはええけど、遊ばれてただけや。結局魔法の1発で気絶させられたし。
それに手が治ってる? 確かに骨が折れてたはずやのに?
ネギが治したんか?
…………要するに、ネギにとって俺は敵ですらないということなんか。
…………あ、祭壇の上に木乃香の姉ちゃん達がおるな。…………何か変な赤い柱も立っとるけど?
あそこにいけばネギの居場所もわかるやろ。
…………もうええ。どうやらせっかく助かった命みたいやけど、ここまで舐められては男がすたるわ。
ネギには絶対かなわへんけど、こうなったら死んででも俺の覚悟をネギに見せたる。いくらブン殴られようが死ぬまで食らいついてやるで!
「おーう、姉ちゃん達。ネギはどこや?」
「!? お嬢様、私の後ろへ…………って、犬上小太郎か、よく生きてたな? ………………いや、本当に。
うん、よく無事だったな。良かったじゃないか」
「大丈夫なん? 氷の上をカーリングみたいに滑って、向こう岸に頭から激突してたけど?」
「頭がやけに痛いのはそのせいかいっ!? …………ってスマンな。俺は別に大丈夫や。
それよりネギはどこや? それと俺はもう木乃香の姉ちゃんを狙わんし、他の姉ちゃん達にも手出しせえへん。そもそも女を殴るんは趣味やないからな。
目的はネギだけや、誓ってもええ。だから邪魔せんといてくれ。俺はネギに一矢報いたいだけなんや」
「…………ネギ君ならそこにおるえ」
は? そこって…………何か赤い柱があるだけやん?
姉ちゃん達がネギを危ない目にあわせたくないのはわかるけど、俺よりネギの方が強いから大丈夫やで。
…………悔しいけどな。
だから、ネギの居所を教えてく…………あれ?
「…………ネ、ネギ……さん?」
「そうだよ、小太郎君」
何で俺はネギに“さん”付けしとるんや!?
っていうか、マジでこのデカイのがネギかいっ!? 赤い柱だと思ってたのはネギの髪の毛!?
え? 何でマジでこうなっとるの? 髪の毛がとんでもなく伸びてたり、筋肉ムキムキになってたり!?
「小太郎君は今、「僕に一矢報いたい」と言ったね。本当に出来ると思っているのかい?」
「…………で、出来る出来ないやない! やるんやっ!!!
例え死ぬことになったとしても、俺はこの生き方を変えたりせえへん!!!」
「…………フゥ。わかった。こっちに来なよ。明日菜さん達を巻き込みたくない。
こっちだ。ついてくるんだ」
悠然と俺の死線を横切って、姉ちゃん達からネギが離れていく。…………あの巨体なのに全然反応出来んかった。
いや、そりゃ姉ちゃん達を巻き込むのは俺としても嫌やけど…………やっぱり、ついていかなアカンかな?
何かもう止めておきたい気が…………俺馬鹿やから英語わからんしな。
…………何でそんな憐憫の目で見るんや、姉ちゃん達?
姉ちゃん達の目。育ちきったせいで買われていくことのないペットショップの犬でもみるかのように憐憫の目やん。
残酷な目や。「かわいそうだけど○○○○にかけられて、明日の朝には他の犬の○○になる運命なのね」ってかんじの!
………………もしかしなくとも早まった?
「小太郎君。同年代の男の子の僕の経験からみて、今の君に足りないものがある」
「な、何なんや、それは!? っていうか、“同年代の男の子”!?」
どう見たって今のネギ……さんは同年代の男の子見えへんって!!!
アカン。何故か“さん”付けしなきゃいけない雰囲気に呑まれてしまう。
…………ま、まぁ…………それに確かまだガキの俺に足りないもんはにたくさんあるな。単純な力やったり経験やったり…………。
「違う。“危機感”だよ」ボッッッ!!!
「ガッハァッッッ!!!」メキメキメキメキィッ!!!
一瞬で間合いを詰められて、腹への蹴りで上空に吹っ飛ばされた!?
ぐっ、アバラは何ぼ…………折れていない!? 何でやっ!?
確かに今、俺のアバラが折れる音が聞こえたはず!? 痛みもある。幻術なんかやあらへん。何がどうなってるんや!?
いや、そんなことはどうでもええ! 今は体勢を立て直さんと。空中で立て直しにくいけど、下で待ち受けてるネギに反撃を何とか!
大丈夫や。ネギは俺がもう戦えないと思って大振りの一撃を準備してる。ソレを避けて反撃を!!!
いけるで!!! このタイミングなら確実に2発、いや3発!!!
ネギの顔面に渾身の拳をぶち込んで、ネギの攻撃前に回避できる!!!
くらえネギ!!!
まずはフェイトの分!!! 次は千草姉ちゃんの分!!! その次が月詠の分や!!!
しかしおかしいな俺。フェイトのことは別に仲間とか思っておらへんかったのに。
いや、むしろいけ好かない奴とか思ってたのに、いつの間に俺の中で親友までランク上がって、なんでこんなムキになって仇討とーとしてんやろ?
仇っつーかフェイトまだ死んでおらんけど(多分)。
ま、やっぱ一緒に死線くぐったのがデカイわ。命懸けで何かを共に行なう奴なんて、無条件で親友やしな。
なのにこのクソッたれのネギ! そんな俺らの覚悟を足蹴にしやがって!
死ぬ気で戦って、殺される事すら覚悟している相手に手加減!?
武士の情けもあらへんのか!!! この野郎!!!
うぉぉぉマジ増々むかついて来たわ!!
俺の分も含めて4発入れる!!!
って俺すげぇな。今人生で一番頭回転してるやろ?
……まだ身体が動かせない? おそらく300文字以上考えてっけど!?
あれ? これって…………アレじゃね?
時間がゆっくり…………周りが凄いスローになるって…………死ぬ前の…………。
…………身体が、動かん? な、何で動かせんのや!?
今の一撃がそんなに重かったんか?
怪我はない。それなのに動けない? いったい何がどうなっとるんや!?
動け! 動け動け動け動いてやっ!!!
今動かなきゃ何にもならないんや! 今動かなきゃ、今やらなきゃネギに一泡吹かせられないんや!
もうそんなのは嫌なんや………………だから、動いてやっ!!!
「君もしかしてまだ、自分が死なないとでも思ってるんじゃないかい?」
皆……悪い。失敗った…………。
━━━━━ 近衛詠春 ━━━━━
…………終わった。ようやく終わりました…………いろいろと。
え? スクナの再封印が終了? 術者全員の無事の確認も終わった?
ならそろそろ撤収しましょうか。
「うーん、こんな感じでどうでしょう?」
天ヶ崎千草と犬上小太郎、そして木乃香や木乃香の友人のお嬢様方、それに目の前で身体を伸び縮みさせていろいろと試しているネギ君も連れてね。
あ、ちゃんと犬上小太郎は生きてましたよ。さすがにネギ君も木乃香達の前では、汚い花火を咲かせることはしませんでしたからね。
「…………いや、雰囲気は違うが本当にナギに似ているな。むしろナギより大人っぽいぞ」
「そうですね。ナギは大人になっても悪ガキのような雰囲気が抜けませんでしたが、ネギ君にはそれがありませんね」
「へぇー、そうなんですか。どうです、皆さん? 大人になった僕は?
今の僕の肉体年齢は20歳くらいだと思いますけど」
…………いや、本当に凄いですね。
さっきのラカン以上のマッチョから一転して、確かにネギ君が大きくなったらこうなるであろう姿なんですが、本当にナギに似ています。
あ、破けた服は転移魔法に手を突っ込んだと思えば、新しい服を取り出してました。転移魔法はネギ君の鞄に直結していたらしいです。
戦闘で服が駄目になることや幻術で大人になることを想定して、“こんなこともあろうかと”複数の衣服を用意してあったそうです。
…………“こんなこともあろうかと”と言ったときは、何故かやけに嬉しそうでしたが。
「ネギ君、ロボットアニメとか好きやからなぁ」
そうなんですか、木乃香?
年齢相応のところもあるようで少し気が楽になりますね。
大人になったネギ君の雰囲気はアリカ様に似てますが、アリカ様のような冷たい感じだけではなく、ナギのような人懐っこい感じもあります。
ナギとアリカ様の良いとこ取りといった感じですね。木乃香達も赤い顔して見惚れちゃっていますよ。
…………まだ木乃香に恋愛は早いと思うのですが。
「…………い、いいんじゃないかしら?」
「う、うん……ホンマにカッコエエよ、ネギ君」
「は、はい。その…………見違えました。普段のネギ先生は可愛い感じなのですが、大人のネギ先生はカッコいいです……って私は何を口走って!?
(え? ちょっと待って? 私は今度からあのネギ先生と修行後に一緒に寝るの? ………………ゴクリ)」
「は、はわわわわ…………」
「の、のどかシッカリするです。気持ちはわかりますが、心を強く持ってください…………でも、これは本当に……私は…………」
「いや、これはマズイだろ。うわぁ……子供が学校の先生やるなんて駄目だと思っていたけど、この顔で女子中の先生やる方が駄目だ。ネギ先生が子供で良かったわ。
この大人のネギ先生がウチの担任だったら、学校で昼ドラ並みの騒動が起きるぞ」
「せ……戦闘も終わったので、“お試し契約”は破棄させてもらうぞ…………」
「…………………………」
「古、ボォーっとしてどうしたでござるか? いや、気持ちはわかるでござるけど。
…………ネギ坊主は将来、拙者や真名より背が大きくなるでござるか。…………でもあの姿だとネギ“坊主”と呼ぶのは…………」
「…………やはり待てそうにないな。ネギがああなるまであと10年。こうなったらネギを別荘に現実時間で150日間ほど監禁して…………」
「落ち着いてください、マスター」
「オレトシテハサッキノ筋肉ノ方ガ良カッタンダケドナァ」
何か1人ほど危ないことを口走っているのがいましたが、ネギ君なら大丈夫でしょう。
それに…………確かに木乃香達は大人のネギ君に夢中になっていますが、それはまるで何かを無理矢理にでも忘れようとしているようにしか見えません。無理ないですね。
しかし、大丈夫といえばネギ君は本当に大丈夫なんでしょうか?
怪我自体はもうないようですが、『闇の咸卦法』とやらの影響は…………?
「ネギ君、これから本山に戻りますが、ネギ君の身体は本当に大丈夫ですか?
怪我は完治しているようですが、『闇の魔法』を暴走させると魔族化してしまうようなことを聞いたことがあります。
とても言いにくいことですが、本山にそのまま入ろうとして結界に反応するようなことは?」
「あ、大丈夫ですよ。魔族になったわけじゃありません。
身体が変化したときも、別に人外の怪物になったわけじゃなかったですからね」
「………………ソウデスネ」
「確かにちょっと変わりましたが、人間をやめたわけじゃないです。
そうですねぇ…………。“狐”が“白面金毛九尾の狐”に一足飛びにレベル…………ランク? いや、ステージアップしたみたいな感じです。ホラ、“白面金毛九尾の狐”も狐であることには変わりませんよね。
だから僕も人間のままデスヨ?」
ソッチの方がやばくないですか!?
それに一足飛びどころか九足飛びしてますよね、それ!?
それになんでまだ疑問系?
「いや、肉体年齢を自由に操作できるってことは、もしかして不老と同じことではないかと思って…………。
いつの間にやら人類の夢が叶っちゃったのかな? まぁ、あとで詳しく調べます」
「もうただの人間じゃなくて神クラスにいってるんじゃないか? いわゆる一神教の神じゃなくて、多神教の神の方だが。
ネギなら神にだって勝てるだろ。…………というか、一撃でスクナを倒しただろ。魔力と気を込めただけのパンチ1発で」
「え、いや? どうなんでしょう? 戦ったことないから何ともいえません。スクナは確かにリョウメンスクナノカミだから神様で鬼神ですけど、封印されていたから何とも…………。
…………でも神って宇宙空間でも生きてられるんですかね?
もし宇宙空間で生きられないなら、転移魔法で宇宙に転移させれば勝機があるか「さあっ、本山に帰りましょう! お嬢様方をいつまでもこんなところに置いておくわけにはいきません!」……? ええ、そうですね」
…………もうネギ君は喋らないでくれ、お願いだから。
やれやれ、それにしても後始末が大変そうです。
本山は一時的に壊滅近くまでいくわ、それを救ったのは見習い?西洋魔術師だったりするわ、リョウメンスクナノカミが復活しそうになるわ、関西呪術協会を救ってくれた見習い?西洋魔術師が大怪我するわ。
しかも下手人がウチの構成員と“完全なる世界”。
東に対する落とし所が厄介になりそうです。
何しろ私達が助かったのはネギ君の、関東魔法協会から派遣されていた西洋魔術師のおかげですからね。
そういうつもりで派遣されていたというワケではないのですが…………。
とはいえ、ネギ君はあくまで関東魔法協会には修行のために所属しているだけで、いわばメルディアナ魔法学校からの留学生。
ですので東に貸しを作るのではなく、ネギ君個人に貸しを作る形にすれば少しはマシですね。それにあそこまでの大怪我したからには、私達の方からもメルディアナに伝えた方がいいでしょう
幸い私とナギの関係は世間が知っています。難しいでしょうが東西の間の話ではなく、“千の呪文の男”の息子と盟友の間の話に持っていければ何とか…………。
あとここでネギ君個人に対し、個人相手とするなら過剰ともいえるような御礼をすれば、東としてもそれ以上は言い難くなるでしょう。
まさか留学生の手柄を取り上げるなんてことは出来ないでしょうからね。
お義父さんとも連絡をとってそのように取り計らいますか。これ以上東西の仲が悪くなるのはお義父さんとしても望むところではありませんでしょうし。
ネギ君を英雄のように祭り上げるのは不本意ですが、他に良い手がありません。
…………というかネギ君なら気にしなさそうですし。
しかし、ネギ君がああなってしまった責任はどうやって取れば…………って、そうか。一時的とはいえ今のネギ君は東の所属になっているから、ネギ君のことはお義父さんに丸投げすればいいのか。
確かにネギ君がああなった責任の一端はこちらにありますが、それに対することは関東魔法協会との話し合いで決めることにしましょう。
さっきと言ってることが180°違うかもしれませんが、コレはコレ、ソレはソレ、ということで…………。
頑張ってください、お義父さん。
ネギ君のことはお義父さんにお任せします。
東に必要以上に貸しを作るのは好ましくありませんが、ネギ君がああなった責任をネギ君個人に対して取るのと、東に任せて東に貸しを作るのだったら、後者の方がまだマシです。
他の者も反対したりしないでしょう。…………ここに一緒に来た、今でも信じられないものを見るような目でネギ君を見ている腕利きの術者達は特に。ウン。
もし反対する人がいたら、その人にネギ君との交渉役を任せることにしましょう。
…………いや、本気で何であんな子になったんだ?
私はナギがまだ小さい頃、とはいっても今のネギ君よりも少し年上ですが、その頃からナギとの付き合いがあります。
当時のナギの年齢に合わない戦闘力に驚いたものですが、ネギ君はナギ以上ですね。
しかし、それこそネギ君に対する御礼はどうしましょうか?
関東魔法協会から物言いが出ないようなものとなると……………………うーん?
「ネ、ネギ君! そのな…………魔力をネギ君に分けたから疲れたんよ。
だから……その……『咸卦治癒』で治療してくれへん?」
「ん? ええ、構いませんよ。
魔力を分けてもらったのもありますし、何より木乃香さんは誘拐されてお疲れでしょうからね」
「ホ、ホンマ?
それじゃあお願いするわ…………って、ヒャアッ! お姫様抱っこ!?」
「あ、嫌でした? 前に部活巡りの時にしたことありますし、やってみたかったんですよね。こういうの」
「ええよ! バッチ来いや!
…………そうや、せっちゃんも一緒に! ウチは右腕で抱っこして、せっちゃんは左腕で抱っこ!!!」
「うえぇっ!? お、お嬢様!?」
「ちょ、ちょっと待って! 抜け駆けはズルイわよ、木乃香!!」
「早い者勝ちか!? ならばネギの背中は私が貰った!!!」
…………いや、木乃香にはまだ早いですよね。
確かにそれならば御礼としては十分でしょうし、“千の呪文の男”の息子と盟友の間の話にも持っていきやすいですが…………。
まさか……そんな…………ねぇ?
━━━━━ 後書き ━━━━━
僕は…………超ネギです。
ネギの魔力容量が更に倍率ドン!
…………お前どこの蟻の王だよ?
そもそも『完全魔法無効化能力』があるから食らわないことも出来ましたが、このような理由でわざと食らいました。
ちなみに不老にはなってません。また長くなるので、それに関しては次回以降で詳しい説明をば。
身体の変化方法は超野菜人式でもなくゴンさん式でもなくビスケ式でもなく、幽々白書の幻海と同じ方法です。…………ホントだよ。
…………3回目の転生どうしましょうかね? とりあえず完結させてから考えますか。
そしてスクナ退場のお知らせ。マジで出番ネェっす。
これで京都編での戦闘は終了です。
小太郎をブン殴ったときは、『咸卦治癒』は『過剰回復呪文』にならないぐらいで発動中でしたので、攻撃と同時に怪我が治っています。痛みとかは当然ありますが。
もうこれマジ拷問です。
でも、あくまで男同士の対等の戦いの結果なので、ネギの被害者リストには入りません。
○○○○とか○○は興味がない限り調べようとしないでください。ジョジョ元ネタのセリフより酷いですので。
ヒントとしては、サンデーでやってた“ワイルドライフ”でそういう描写がありました。
【ネギの被害者リスト】
メルディアナ学校長:燃やされた
カモ:去勢された+『仮契約』儀式の手伝い
鳴滝姉妹:悪戯し掛けて返り討ち
エヴァンジェリン:紅茶吹かされた
バカレンジャー:勉強地獄
学園長:ストレスによる急性胃潰瘍にて吐血
さよ:知らないうちに成仏させられるところだった
魔法先生一同:「この子ホントにどうしよう?」という絶望
愛衣:幼児退行させられた
高音:露出狂の嫌疑かけられた
刀子:露出狂の嫌疑かけられた
バレーボール:破裂させられた
タカミチ:コーヒー吹かされた+担任クビ+マダオ就任
刹那:勉強地獄+バカホワイト就任
明日菜:失恋
関西呪術協会:変態集団疑惑
天ヶ崎千草:勝っても負けても“死”?+心を連れていかれた
“完全なる世界”:“ょぅι゛ょ誘拐犯”
ルビガンテ:名前忘れられた
月詠:メガネ壊された
フェイト:○○化?
リョウメンスクナノカミ:出番無し ← new!