━━━━━ ネギ・スプリングフィールド ━━━━━
さて、遂に明日から新学期の始まりです。
原作では“桜通りの吸血鬼事件”の時期ですが、もちろんそんなもの起こっていません。
エヴァさんとは良好な仲ですし、『登校地獄』も解けるのが分かっていますからね。
エヴァさんが佐々木さんやのどかさんを襲ったり、エヴァさんが僕を襲ったり、僕が茶々丸さんを襲ったりする事件なんか起こるはずがないのです。
「…………で、茶々丸にナニしたネ? ネギ坊主、エヴァンジェリン?」
「いきなりネギが「茶々丸さんに魔力じゃなくて、『咸卦法』で気と魔力を合成したのを供給したらどうなるんですか?」とか言い出した」
「そしたらエヴァさんに「面白そうだから『咸卦法』じゃなくて『闇の咸卦法』で試してみろ」って言われました」
「茶々丸…………大丈夫?」
「も、問題あり……ません…………ハカセ……。
……い、今は触らないで……ください…………」
僕とエヴァさんが別の意味で茶々丸さん襲っちゃいましたけどね。
いやあ、知的好奇心が疼いちゃいまして。アハハハハ…………。
「…………ふぅ。いきなり電話で「茶々丸さんが大変なんですっ!」と言われたときは驚いたヨ」
「いや、本当にお騒がせしました。ありがとうございます、超さん」
「駆けつけたら悶えてた茶々丸がいたのにはもっと驚きましたけどね」
「迅速な対応すまなかったな」
「2人とも全然反省してないネ。というか、謝るならエヴァンジェリンはネギ坊主の膝の上から退いてから謝て欲しいヨ」
原作でも似たようなシーンがあったので、魔力供給で茶々丸さんが悶え始めても平気だと思ったらあんまり平気じゃありませんでした。
何だか痙攣し始めるし、ブツブツと機械語みたいなことをループして口走ってましたし…………。
うん、やりすぎた。
ちなみに現在、僕は大人の姿のままですがエヴァさんは元の子供の姿に戻っています。
美術館デートが終わった後、アスナさん達が“夕食ぐらいはエヴァさんと一緒に”と言ってくれましたので、エヴァさんの家に移動して茶々丸さんが作ってくれたディナーを楽しみました。
その後はチーズなんかを肴にして、ワインを飲みながらゆっくりと談笑していました。
…………え、僕は未成年だろって?
大丈夫ですよ。気の身体制御で肝臓機能強化すればアルコールなんかすぐに分解できますので、急性アルコール中毒になったりなんかしません。気とかマジで便利です
それにイギリスでは未成年者飲酒禁止法なんてないですので、向こうでも少し飲んでましたので慣れています。イギリスではお酒を買えるのは18歳になってからですが、5歳以上で親の同意さえあれば家で飲めるんですよ。
僕が飲んでいたのは強い蒸留酒じゃなくて、主にワインとかサイダーでしたけどね。よくスタン爺さん秘蔵のワインをこっそり拝借とかしてました。
それと茶々丸さんが魔力だけでなく、気も使えることになったらすごくありません?
魔法の進歩のためには少々の非人道的行為もむしろやむなしです。ねえ、葉加瀬さん?
「え!? …………いや、いくら私でもそこまではしませんよ!」
「「嘘だっ!!!」」
「…………最近やけにネギ坊主とエヴァンジェリンは仲が良くなてないカ」
「………………ネ、ネギ先生」
「おお、茶々丸。もう大丈夫カ?」
「今日は家事をしなくていいからもう休め、茶々丸」
「ネギ先生…………もう一度……さっきのことをして頂けませんか?」
「「「「……………………ハ?」」」」
…………今なんと仰いましたでしょうか、茶々丸さん?
明らかに茶々丸さんのキャラとは違うことを仰られませんでしたか?
「もう一度っ! もう一度だけお願いしますっ!!!」
「ちゃ、茶々丸!? 何言てるネ!?」
「ネ、ネジを回してください、ネギ先生っ! ネジの先っぽだけでも良いんです!!!」
「お、落ち着きなさい、茶々丸!
…………って、モーターの回転数がさっきよりもトンデモないことになってます!!!」
「先っぽだけっ! 先っぽだけで我慢しますからぁっ!!!」
「正気に戻れ! 茶々丸っ!!!」
……………………やっべ、茶々丸さん壊しちゃった。
━━━━━ 超鈴音 ━━━━━
ネギ坊主。私のご先祖様。
予想してた人物像かなり違うガ、今のところ一つを除いて大きなイレギュラーはないネ。
予想していた過去とは違うところもある。けど私が過去に来たことにより歴史自体が変わるなどの、計画の根底自体を揺るがすとんでもないイレギュラーが発生するかもしれないと思ていたが、まだ想定の範囲内ネ。
…………ネギ坊主の強さだけは物凄いイレギュラーだけど。
イヤ、ホント。アレどうしたらいいネ?
そりゃ私のご先祖様で天才魔法使いということだし、超家に残ていた記録からもある程度強いとは思ていたヨ。
それでも“闇の福音”より強いてどういうことネ? 学園祭のときどうしたらいいのヨ?
龍宮さんにも「正面きって戦わなければならないのなら、計画抜ける」とまで言われるし…………。
しかし、それは“正面”からではなくて“側面”か“背面”からなら戦てくれる、ということでもあるネ。現にまだ龍宮さんは計画から完全には抜けていない。
龍宮さんに抜けられると計画に支障が出る。さすがに田中さんや茶々丸達だけで魔法関係者を抑えることはできないからネ。
ここは何としても龍宮さんを繋ぎとめておくために、早急にネギ坊主攻略のプランを立てなければならないネ。
…………ソレ、どうしたらいいのヨ?
『“強制時間跳躍弾”による不意打ち』
NON.
絶対回避される。そして狙撃者が反撃されて終わる。例え狙撃者が龍宮さんでも同じネ。
それに“強制時間跳躍弾”による時間跳躍は精々3時間程度ヨ。これだと儀式完了の3時間前以降にネギ坊主を未来に跳ばせば勝ちだけど、逆に言えば3時間より前のとき未来に跳ばしても、それだと儀式完了の前に戻ってくるということヨ。
要するに儀式完了の3時間前まではネギ坊主には手を出せないということでもある。それはいくら何でも危険すぎるヨ。
しかも未来に跳ばすなんてことしたら、絶対にネギ坊主に敵としてロックオンされるネ。戻てきたブチ切れネギ坊主が事態を把握して、私を探して捕らえる。…………さて、これに必要な所要時間は何分カネ?
とりあえず戦闘でネギ坊主に勝つのは諦めた方がいいヨ。
『アスナさん達を人質にとる』
NON!
そこまでして計画を完遂したくない…………わけでもないが、そんなことしたら絶対死ぬ。ネギ坊主に絶対殺される。それも学園祭が終わた後で。
アスナさん達を取り戻せたら、ネギ坊主は遠慮する必要なくなるからネ。
自分に厳しく敵には容赦なく、味方に優しく守る人には激甘。それが私の抱いたネギ坊主の感想ヨ。アスナさん達はネギ坊主の従者だけど、今のところ“共に戦う仲間”ではなくて“庇護対象者”として皆を見ているネ。
しかも恋人候補でもあるということで、最近のネギ坊主はガラにもなく浮かれているヨ。デートでチョッカイかけてきた男を手荒くあしらてたし、独占欲カネ? …………まあ、年齢を考えたら仕方がないガ。
とにかく、そんな彼女達を互いに了承済みでの戦いならともかく、不意打ちで危害を加えようものなら烈火の如く…………いや、絶対零度の冷酷さで敵対される。
全世界に魔法をバラすのを成功しても、その後でネギ坊主に殺されたら本末転倒ヨ。
私にとて大事なのはその後なのダカラ、あくまで学園祭のことは“目的”ではなくて“手段”なんだヨ。
『プレゼントする“航時機”による時間跳躍にて学園祭一週間後の未来に送る』
…………NON.
自販機の缶ジュースですら毒物検査をするぐらいのネギ坊主の慎重さだと、タイムマシンなんて貰ったら徹底的に調べるヨ。
ヘタしたら細工を見つけられて私が事情を聞かれるネ。そんなことなったら逃げ場はないヨ。
…………それでもネギ坊主の根底はお人好しだし、私が事前に怪しまれたりしてなければ成功するかもしれないネ。
となると、これからは学園に睨まれないような行動をとて、むしろ学園に協力をして信用を勝ち取るべきネ。エヴァンジェリンの要望にあった茶々丸ボディの開発も行なて、点数稼ぎをしておくカ。
このプランは一応進めておいた方がいいネ。
『ネギ坊主を味方につける』
………………NON.
思想的には私の考えに賛同してくれる…………カナ? どうダロ?
ていうか、素直にネギ坊主に私の事情を話して協力を求めたら、ネギ坊主特有のとんでもない考え方で私の案より良いものを出してくれそうなのは気のせいカ? だてネギ坊主だし。
…………イヤ、思考放棄しちゃ駄目ヨ。
学園長達みたく“だてネギ坊主だから”で終わらせちゃ駄目ヨ。科学に魂を売った狂科学者として、不確定なことに希望を託しちゃ駄目ヨ。
でもネギ坊主と戦うよりも成功の可能性がありそうなのが怖いヨ…………。
『学園祭の時期だけ麻帆良から離れてもらう』
NO…………アレ? これいいんじゃないのカ?
日本国内ならすぐさま戻ってこられそうだけど、例えばウェールズの生まれ故郷なんかに何らかの理由で一時帰省してもら………………やはり駄目ネ。
そういえばこの前、エヴァンジェリンの家に凄い大仰な転移陣を用意してたヨ。ヘタしたら地球の裏側からでも転移で帰て来れそうなヤツ。
何か女子寮にもいろんな侵入者防止のトラップとか仕掛けてたし、ネギ坊主は女子寮をどうする気ネ?
結論は、魔法先生にもネギ坊主に邪魔されず、学園祭後もネギ坊主と敵対しないで済む。そんな方法ヨ。
…………それ何て無理ゲー?
………………ホントにあの子どうしよう?
あの強さもイレギュラーだし、そもそも想像していたご先祖様の性格と思いきり違うヨ。
そりゃネギ坊主の父親であるナギ・スプリングフィールドも“千の呪文の男”と呼ばれているガ、実際は魔法を10個も覚えてない人らしいネ。
それと同じようにネギ坊主の強さや性格も間違って未来に伝わていたのかもしれないヨ。
ネギ坊主に関してわかていることで、今のところ関係あるのは
“6年前に住んでいた村を襲われ、メルディアナ魔法学校に入学すること”
“3学期に2-Aに教師として赴任してくること”
“京都にて“完全なる世界”と接触すること”
残念ながら、住んでいた村を襲われたという証拠は見つけることができなかたネ。ネギ坊主自体の情報が徹底的に隠蔽されているので仕方ないガ。
しかし、ネギ坊主が通常より早く魔法学校に入学したところから、おそらく実際にあたことと考えていいネ。表向きは“才能溢れる少年が道を誤ることを防ぐため”とかなていたガ、そんなとてつけたような理由にされてもコチラが困るヨ。
あとちゃんと2-Aに教師として来てくれてよかたネ。
ネギ坊主は教え方がうまいおかげで古の成績が良くなてきたヨ。古に勉強を教えるのは私でも苦労したのだが、さすがは私のご先祖様ネ。
気になるのは京都で“完全なる世界”と接触したのは確かだけど、まさか“ょぅι゛ょ誘拐犯”扱いとは思わなかたネ。
しかもボコボコにして返り討ちにするし…………。
何だか過去じゃなくて平行世界に来たって言われた方がシックリする感じヨ。本当にあのネギ坊主は魔法世界の崩壊を防げなかたのカ?
むしろ防“げ”なかたじゃなくて、防“が”なかたじゃないかと思てしまうネ。“自分達のことは自分達でやれ”って感じで………………あのネギ坊主だったら有り得るヨ。
しかしネギ坊主があんなに強いなんてのは本当に記録になかたヨ。魔法世界崩壊時の混乱で資料が失われたのかもしれないけどネ。他にもあのモビルスーツというのは記録になかたヨ。
でも、神楽坂サンの『完全魔法無効化能力』でモビルスーツを一撃で消されてからドンドン使用頻度が減たのデ、これからは使わなくなるのかもしれないネ。
ネギ坊主はそこらのことがドライで、今までしてきた努力を簡単に捨てることが出来るタイプだからネ。そのせいで未来に伝わっていなかったかもしれないヨ。
…………大まかにこの時代のことがわかているというのは、逆にあまり良くないことかもしれないネ。
ご先祖様であるネギ坊主に直接会て話を聞いたわけでもないし、超家に残てた記録から判断するしかないのが辛いヨ。
世界樹の発光が1年早まるが良い例ね。アレにはさすがに焦たヨ。
記録を残したご先祖様は、こういうことも記録しておいて欲しかたネ。
何とか田中さん達の配備も学園祭までには間に合いそうだが、出来ればもう一年準備期間が欲しかたヨ。
学園祭まで2ヵ月半。それまでに田中さん達の配備を行うのはもちろん、ネギ坊主対策も考えなければいけないのが辛いヨ。
本気でコレどうしたらいいネ?
「超さん、考えことですか?」
「ム? …………悪いネ。何の話をしてたかナ?」
「いえ、エヴァンジェリンさん家を出てから一言も喋らなかったので気になって…………。
ネギ先生のことですか? それとも茶々丸の?」
「ま、ネギ坊主のことだがネ。
…………でも考えてみれば茶々丸も、今日見た様子だとマズイんじゃないのカ? 完璧にネギ坊主に惚れているネ。まさか茶々丸が“恋”をするなんて思てもいなかたヨ」
「はあっ!? 茶々丸がネギ先生にですか!?
そんな…………エヴァさんの人形みたく魔法使いが魂を吹き込んだ訳じゃないんですよ!? ああっ“魂を吹き込む”だなんて、何て非科学的な!
それにしても“恋”とは!! それは喜怒哀楽の感情と性愛を含めた“心”、つまり“主観”の問いじゃないですか! これは科学史哲学上最大のナゾに踏み入れてしまったということになりますよ!?」
…………ハカセのスイッチが入てしまたネ。
でもこんなことはそもそもアルちゃんの“好感度ランキング”で、“恋愛”の点数が高かったことから予想は出来ていたことヨ。
ネギ坊主は本当にイロイロとやてくれるネ。あれで無意識というか本能のままというのがおかしいヨ。
とりあえずは『プレゼントする“航時機”による時間跳躍にて、学園祭一週間後の未来に送る』方法でいくとするとしようカ。
最初に使い方とかちゃんと説明して、精密機器だから分解とかしたりしないように言ておけば、素直なネギ坊主の性格なら案外うまくいくかもしれないヨ。
ハカセや龍宮さんにも相談して、より良い策が見つかたらソレに切り替えるけどネ。
━━━━━ 神楽坂アスナ ━━━━━
「ただいま帰りましたー」
「ネギ君お帰り~」
「お帰りなさいませ、ネギ先生」
…………朝帰りにならなくて良かったわ。
エヴァちゃんを信じてはいるし、同盟で“抜け駆け無し”って決めといたけど、それでもエヴァちゃんは京都旅行のキスの件とかで前科があるから不安だったもの。
一緒に寝るぐらいなら私達もしてるから何も言えないんだけど、エヴァちゃんはもっとアダルトなことするかもしれないのよねぇ。
ま、せっかくネギが今日帰ってきたんだし、順番通りに私が抱き枕にして寝ましょうか。
「お帰り、ネギ。
…………もしかして、エヴァちゃんに付き合ってお酒飲んだ?」
「あ、匂いますか? これからシャワー浴びて肝臓機能の強化もしておきますので、明日の新学期初日に残るなんてことはないですよ。
アスナさん達はちゃんと明日の準備出来てますよね。といっても明日は始業式だけですが」
「大丈夫よ。ちゃんと春休みの宿題も終わったし、予習もバッチリ。
もうクラスの誰にもバカレンジャーなんて言わせないんだから。ねえ、刹那さん?」
「はい、5月にある中間テストをお楽しみにお待ちください。
それとネギ先生。ここは日本なんですから、子供がお酒を飲んじゃ駄目ですよ」
「はいはい、今度から気をつけます」
…………全然応えてないわねぇ。
ネギって基本的に生真面目なんだけど、それでもどこか不真面目なところがあるわ。
最近……というより魔法を知った日から刹那さんがよく私達の部屋に来るようになった。木乃香がネギと一緒に寝る日なんかは、木乃香、ネギ、刹那さんの3人で川の字になって部屋に泊まってくし。
事情を知らないときに木乃香に刹那さんのことを相談されたときはこんな風になるなんて思わなかったわねぇ。
でも木乃香と刹那さんが昔みたいに戻れたのは良かったわ。私としてもバカレンジャー脱退のために一緒に勉強した仲で、剣の師匠になってくれている刹那さんと仲良くなれて嬉しい。
今のところ、私は剣と咸卦法の制御に重点を置いて修行をしている。
剣といっても、当然ながら神鳴流は教えてくれないけどね。今はまだ基礎の段階。剣を振ることにまず慣れなきゃ。他にも受け身とか身体の動かし方の基礎から始めている。
記憶が戻ったおかげか、咸卦法は使えるから身体能力は充分だけど、それでもネギの『咸卦法』に比べたら制御が甘いし、今まで専門的に武術を習ってきたわけじゃないからね。
でも修行すれば修行するだけ伸びていくのが実感出来るから、修行は苦にならないわ。
あ、そうそう。
新聞配達のバイトはもう辞めることにしたわ。今までお世話になったところだから、引き継ぎとかがちゃんと終わるまでは辞めないけど。
ネギが関西呪術教会から貰ったお金で学費を払ってくれるって言ってたけど、そもそも私を麻帆良につれてきたのはタカミチなんだから、タカミチが払うってのがスジじゃない?
…………ま、実際は新聞配達のアルバイトするよりも、ちゃんと修行をして身を守るようになるためだけどね。
事情が事情だから学費とか諸々は免除になったし、生活費もちゃんと学園長が出してくれることになったしさ。
ああ、これで将来についての希望が持てるわ。
勉強も順調、修行も順調、それにそもそも私はネギのお嫁さんになるんだし。
「シャワー浴びるんだ。
じゃあ私も一緒に浴び「駄目です」…………ネギのケチ」
…………手強いわねぇ。無理とはわかっていたけどさ。
私達が告白してからネギとの距離はますます近くなったと思うけど、それでもこういうところはキッチリしてるのよねぇ。スキンシップはOKだけど、一緒のお風呂とかキスはNG。水着着てのお風呂ならOKだけど。
一緒の布団で寝てるからお風呂もいいかなぁ? なんて思ったけど、ネギの中では駄目みたい。キスも結局『仮契約』のときだけで、普段からしたりはしないし。
エヴァちゃんがネギの判断基準がよくわからないって言ってたけど、私も正直よくわからないのよね。
ま、いいわ。私と木乃香はネギと一緒に暮らしている分、本屋ちゃん達に比べたらネギとスキンシップが格段にとれるもんね。
というか、本屋ちゃん達は可哀想だわ。よりにもよってパルと同じ部屋だから、魔法バレのバツゲームのこと考えたら迂闊なことは絶対出来ないもの…………。
アルちゃんにお願いして、ネギが私達のことをどう思っているのか“好感度ランキング”を見たい気もするけど、皆との約束でそれはナシということにもしたしね。
時間はたっぷりあるんだし、ゆっくりとネギとの仲を深めていくことにしましょうか。
それにしてもネギったら、ナギやアリカのことは本当にいいのかしら?
私も2人の行方を知っているわけじゃないから、聞かれても逆に困るんだけどさ。
私のことを話してもネギは全然気にしなかった…………というか、
「ああ、やっぱりそうなんですか」
で終わった。ちなみにナギのことも「ふーん」で終わったし、アリカのことも「へぇ~」で終わった。
私のことは『完全魔法無効化能力』と“アスナ”という名前のせいで、前々から予想はしていたみたい。アリカのことも他に母親候補がいなくて、十中八九そうだろうと予想していたみたい。
勘が鋭いというか何というか…………。
それどころか「せめて名前も変えろよ、タカミチ」とか「幻術使って姿を常時変えさせとけばいいのに」って感じでタカミチに駄目出ししてたわ。
それにしてもまさかネギも『完全魔法無効化能力』持っているなんて…………。
『完全魔法無効化能力』調べてる過程で“アスナ・ウェスペリーナ・テオタナシア・エンテオフュシア”のことを知ったらしいわね。
ま、別にいいけど。私のことを話し終わったら、ネギは「アスナさんのことは僕が守ります」って言ってくれたもん。
でもやっぱりこれって運命じゃない?
何しろ私とネギは『完全魔法無効化能力』を持っている。この能力は魔法世界の人達や“完全なる世界”にとても重要なものだから、私達2人は彼らにずっと狙われることになる。そう、ずっとね。
それなのにネギが私のことを守ってくれるということは、これからずっと一緒にいてくれるということじゃない。
もうネギったら、10歳の癖にプロポーズなんて早いじゃない。
ム、シャワーの音が止まったわ。
ネギが出てくるわね。だったらドライヤーで髪を乾かしてあげて、乾かし終わったら終わったらネギと一緒に寝ましょうか。
明日から新学期だから、早めに寝ないといけないもんね。
━━━━━ 後書き ━━━━━
前話で茶々丸関連終わりと思った人、手挙げて。
…………そんなわけないじゃないですか。この話を書いているのは嘴広鴻ですよ。ハッハッハ。
ま、学園祭で茶々丸が『咸卦治癒』供給のために裏切るなんてことはないので、その辺はご安心ください。
次の話は時間が跳びます。ヘルマンが来るころですね。
超は詳しい過去のことを知らなかった、ということでお願いします。
原作でも世界樹発光の時期を間違っていたりとかイロイロと不備があるようなので、ネギの性格と強さが大きく違っていても受け入れるしかない、という感じでしょうか。
まあ、ネギの中身が違うから、超の冗談通りに平行世界ということは間違っていないんですがねw