━━━━━ ネギ・スプリングフィールド ━━━━━
遂に来たという感じですね。原作との大きな乖離が…………。
“航時機”で過去に跳んだとき、魔力の消費がかなり大きかったです。
跳ぶ時間にもよりますが、10時間の跳躍だけで僕の全魔力量の1割ぐらい。戦闘に使うような極短時間の跳躍なら、1回につき『千の雷』1発分ぐらいの消費量でしょうか。
説明書では一度に跳べるのは24時間となっていましたので、24時間跳ぶにはそれこそ超さんが言った通りに普通の魔法使い5人分ぐらいの魔力量、僕の全魔力量の2割ほどが必要みたいでした。
さすがにこれだと戦闘で頻繁には使えませんね。
どうやら“航時機”が細工されているようです。
タイムトラベルに必要な魔力量なんて誰も知らないでしょうから、多く吹っかけられてもこちらとしては信じるしか出来ませんから文句は言えません。
さすがに原作よりもネギに対しては明らかに警戒しているようですねぇ。僕の力を削ぐためにこんな小さいところから仕掛けてくるなんて…………。
まぁ、今までいろいろと僕がハッチャケてましたから仕方がないですが。
それにしてもタイムマシンって…………本当にタイムマシンなんですねぇ。
…………言葉的にはおかしいですが、突っ込まないでください。
いや、でも時間移動出来るなんて本気で驚きましたよ。知識では知っていましたが、前世では超さんいなかったから体験しませんでしたから。
さて、それではどうしようか?
とりあえず学園長に超さんが何か企んでいるということを伝えたら、監視の意味でも“まほら武道会”にも出ることの了解をもらえました。
原作と違ってグッドマンさん達は出ないみたいです。あとはアスナさんや刹那さん、エヴァさんも出ないです。
今のアスナさんは別にお金に困っていませんし、刹那さんには原作通りにちびせつなさんで一緒に武道会会場の裏を探ってもらうようにお願いしましたからね。
エヴァさんは単純にめんどいそうです。原作と違って僕の力のことはよく知ってるでしょうし、ディナーなら頻繁に付き合っているのでわざわざこの大会で賭ける必要はないみたいです。
原作通り出場するのは菲さんと楓さん、それと小太郎達君。主に力試しとか娯楽的な意味で。
小太郎君は賞金オワタとか言ってましたけど…………ま、諦めてちょうだい。
僕だってのどかさんに贈った“鬼神の童謡”とかで貯金を結構使っちゃったから1000万円は惜しいんだよ。
それと超さんの目的についてですが、僕としてはもちろん全世界への魔法バレなんかはさせるつもりはありません。そんなことしたら麻帆良に居られなくなりますからね。
そのためにも超さんの計画を潰すためには以下のことをしておけば大丈夫でしょう。
① 今のうちに飛行船を故障させておく
② 今のうちに鬼神を破壊しておく
③ 今のうちに超さん達に病気になってもらう
④ 今のうちに魔力溜まりの魔力を吸い取っておく
⑤ 今のうちに世界樹自体を破kゲフゲフンッ!
…………失礼。最後は変な電波を受信しました。いくら何でもそこまではしないです。
それにヘタに未来を変えて、わざわざ原作を知っているというアドバンテージをなくす必要はありません。そこまでしなくても普通に勝てますからね。
それとあまりげんさくとはなれていることはしたくないですしー。
でもなんだ、勝つのは簡単じゃないか。
とりあえずまほら武道会に優勝することを目指しましょう。
「へぇー、龍宮神社で試合を行なうんやね」
「頑張りなさいよ。応援しているからね。
えーっと、ユニコーンガンダム…………でいいのかしら?」
「なぁ、本気でそれで出るつもりなんか? ネg『今の僕はネギじゃないってば』むぐぅっ!?」
さっき注意したのに、駄目だなぁ小太郎君は。
そんなお喋りの口はずっと塞いでおいちゃうよー、と念話で小太郎君にお願いをします。
というわけでやってきました、まほら武道会予選会会場の龍宮神社へ。
初日の今日はクラスのメイドカフェに顔出した後はアスナさん達と一緒に学園祭を回りました。
原作みたく保健室で一日寝過ごすことはありませんでしたが、普通に皆さんの部活の出し物を回ったり、麻帆良祭マル秘コスプレコンテストにちうさんと一緒に参加したりして、普通に楽しい時間をすごすことが出来ました。
そして今の僕は、コスプレコンテストのときと同じく、年齢詐称薬で大人になった上でユニコーンガンダムになってます。ちなみに小太郎君も同じく大人Verです。
これなら誰も今の僕を見て普段の僕を連想したりしないでしょう。終わった後でマスコミに囲まれるのは面倒臭いですから。
そしてガンダムになった利点はもう一つ。
田中さんのレーザーがOKなら、僕のビーム・マグナムとかもOKってことですよ。
きっと多分おそらくそのはずです。
…………そうですよね? 田中さんはOKで僕はNGってことはないはずですよね?
一応は田中さんがレーザー撃ったら僕も使い始めるようにしますが、それなら超さんから文句出たりしないでしょう。いえ、出させません。
まさかそんな主催者が贔屓したりはしないですよねー?
うわーい。魔法バレのための大会のはずが、何故かオーバーテクノロジーのロボット大会になっちゃうぞー。
これで明日明後日の話題はロボットで持ち切りになるでしょうねー。
「や、やあ…………何しているんだい、君達は?
というか小太郎君の顔が青くなっているから、口を塞いでいる手を放してあげたほうが良いと思うけど…………」
『アレ? タカミチがどうしてここに?』
「学園長に言われて、僕も超君を調べるためにこの大会に出ることになったんだけどね。先ほどの超君の挨拶を聞いた限りではそれで正解だったようだよ。
…………君はもしかしてその格好で出るのかい?」
『ええ、そのつもりです。だから僕のことはネギって呼ばないでくださいね』
へー、やっぱりタカミチも出るのか。
あ、いつの間にかアルさんも会場に出現していたよ。
ここら辺は原作通りですね。
さて、それでは予選が始まりますので移動しましょうか。
アスナさん達は見ててくださいね。
ホラ、行くよ小太郎君。
いつまでも寝てちゃ駄目だよ。
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「ロ、ロボット!?」「コスプレコンテストで見たぞ、アレ!?」「ロボット研究会か?」「ロケットパンチか? ロケットパンチ撃てんのか?」「ロケットパンチ見てみてぇ!」「ドリルは!? ドリルはないのか?!」「あの姿ではドリルはなさそうだな」
…………ノリいいですね。さすがは麻帆良の住人達です。
つーか本気でロボットと思われて受け入れられるのは、逆に麻帆良のことが不安になってきます。
それと予選ですがやはり全員散らばってますね。別に予選で潰しあったりはしないで済むようです。
僕はアルさんと同じ組ですけど……………………ここでアルさん潰したら今後の展開的にどうなるんだろ?
…………やっべ、ちょっとやってみたい。
アルさんも僕を見つめてるだけで、戦いに参加しないで高みの見物気取ってるのがちょっとむかつく…………あ、何かアルさんが他の参加者を凄い勢いでブチのめし始めた。
いかん。殺気が少し漏れたか…………。
そして何故か僕に襲いかかってくる人がいないという不思議現象が起きてます。
戦いながらもチラチラと横目で見てくる人がいなかったら、まるでシカトされているようで寂しいです。このロボットの外見のせいなのか、今の僕にはそんなに手を出しにくいんでしょうか?
『おおーっと、強い!! 麻帆中、中武研部長古菲選手!!
さすが前年度“ウルティマホラ”優勝者!! 体重差2倍以上の男達が宙を舞うーーーーーッ!!』
あ、朝倉さんだ。はじめまして…………ではないか、一応は3-Aクラスで毎日会っていたんですから。
でもこの人が登場するのはメタ的な意味では初めてですね。
朝倉さんはただの司会兼進行役かな?
この世界では朝倉さんにに魔法がバレているわけでもないはずです。それに今日までの僕への対応に何も変化がなかったことから、超さんから魔法バレのことを教えられている様子もないですからね。
フム、このまま勝ち上がっていくと、
D組は原作通りに菲さんと龍宮さん。
E組も原作通りに楓さんと小太郎君。
F組はタカミチと僕の知らない人。要するにタカミチに狙われるのが最後になっただけという幸運な人。
そしてB組は僕とアルさんになりますね。
他の組は皆知らない人が予選を通過です。アスナさん達が参加していない分、原作とは顔触れが違いますね。
大豪院ポチさんっていう個性的な名前の人は覚えてましたけど、中村達也さんとか鈴木一郎さんとか山下慶一さんとか佐藤太郎さんって原作キャラでしたっけ?
現実にもいそうな普通の名前だからわかりません。
…………げ、ということは田中さんと戦うのは、グッドマンさんの代わりに本戦に出場する原作では名前も出ずに予選落ちだった男の人ということになりますね。
うわぁ、男が脱げビーム食らうなんて誰得だよ?
あ、そんなこと考えている間に、いつの間にかB組の残りが僕とアルさん。それと原作では本戦の解説役として頑張っていたリーゼント学ランの豪徳寺薫さんを残すのみになってました。
アルさん無双でいつの間にかほとんどの人が場外に吹っ飛ばされたようです。
あの、僕何もしてないんですけど? ここまで無視されると悲しいものがあるんですけど?
…………せめて豪徳寺さんぐらいは僕が倒すとしましょう。
『さあ! B組も残り3人! …………2人と1体? とりあえず3人でいいや!!!
本戦に出場するのはこの3人の内の誰なのか!?』
はい。とりあえず“人”で数えてくださって結構ですよ、朝倉さん。“2人と1体”なんて言いにくいでしょうしね。
アルさんはもうすっかりと観戦モード。1人で10人以上を場外にふっ飛ばしてたらもう充分なんでしょう。
そして豪徳寺さんは僕にロックオンしたようです。絶対に勝てないであろうアルさんよりも、ジッと立っているだけで何もしなかった僕の方を狙うのは当然ですね。
豪徳寺さん! 無視しないでくれてありがとう!
これで僕を無視してアルさんに吶喊されてたら僕泣いてしまいますよ!
「え、えーっと…………この豪徳寺薫! 本気で行くぜ! 覚悟しな!!!
………………言葉通じてるよね?」
そりゃもちろん。
通じてますよー、と目をギュオンと光らせて返事します。
「反応した!? やっぱり置き物じゃなくて出場者でよかったんだな!
なら受けてみろ! 喧嘩殺法未羅苦流究極闘技『超必殺・漢魂』!!!」
え!? 置き物と思われてたんですか!?
…………あー、そっか。会場に上がってから動かずに周りを見てただけだったからか。
モビルスーツ状態のときは動いたりしない限り本当にロボットですからね。そりゃ置き物と思われても仕方がないか。最近モビルスーツ使ってなかったから忘れてた。
まあ、それはそれとして。前腕部に装備されているビームサーベル……腕部についたままですからビームトンファーを展開して、飛んでくる『漢魂』を切り払います。
威力は『魔法の射手』ぐらいですね。
小太郎君が表現したように“ストレートパンチ1発分位の威力”ですけど、原作のネギは無防備で側頭部にモロ直撃してよく無事だったなぁ。
あ、ビームトンファーは幻術を使ってただの金属の棒のように見せてますから、これで反則を取られることはないですよ。
さあ! 無視しないでいてくれたお礼に、豪徳寺さんには必殺技を披露してあげましょう!
両腕にビームトンファーを展開してから力を抜いてブランと腕を下ろし、右足を後ろに、左足を前に出しながら腰を下ろして構えます。
中の人がバレないように風魔法の応用で声を変え、必殺技名を叫びながら豪徳寺さんに吶喊!
行くぞ、豪徳寺さん! 必殺!!!
「『Tonfa Kick』!!!」
「がぼぉっ!?」
一瞬で間合いを詰め、豪徳寺さんの腹に右足で蹴りをドゴォォォ! って感じでブチ込む!!!
トンファーを使って体のバランスをとり、より強力なキックとより早い体勢のたてなおしを実現した技デスヨ。
『全然トンファーじゃないっ!?
それより中の人って女性!? っていうか新幹線アナウンスのあの人っ!?』
中に人などいませんっ!!!
━━━━━ 近衛木乃香 ━━━━━
「ネギ君、楽しそうやねー」
「フフフ、何だかんだいってもネギ先生は子どもっぽいところありますよね」
フェイスマスクに隠れてて顔は見えへんけど、絶対にクスクスと笑ってるのがわかるわぁ。
ネギ君はああいう悪戯っ子ぽいところがあるんやよねぇ。
何というか…………ネギ君は好奇心旺盛な猫みたいなんやよ。ネギ君自身は自分のことを犬に近いと思ってるみたいやけど、ウチはむしろ猫に近いと思うなぁ。
こういうことには興味ない振りしてるけど始まったら始まったで率先して楽しんでるし、本人は顔に出してないつもりでも興味深々なのは丸分かりなんやもん。
そういうところも可愛いんやけどね。
…………引き攣った笑顔で予選会の閉会を宣言している超りんも可哀想に。ネギ君自身は悪気ないんやけどね。
ネギ君の見立てではあのおっきな田中さんて人が超りんの作ったロボットらしいから、ロボットとしての話題を掻っ攫ってしもうたネギ君をやるせない目で見とるんやろか?
それにしてもネギ君が言った通り、超りんってば本当に何か企んでいるかなぁ?
せっちゃんに明日の本戦のときに会場の裏を一緒に探って欲しいって頼んでたし、どうやらネギ君は超りんのこと本当に怪しんでるようやね。
といっても、悪意を持って何か企んでいるかもしれないのが半分、素で何かとんでもないことを企んでいるかもしれないのが半分ってネギ君は言うてたけど、超りんの性格とロボット研究会の過去の所業から警戒しておくのは仕方がないかぁ。
まあ、せっかくの麻帆良祭なのに爆発事故なんか起こされたらかなわんから、ウチらも気をつけて見ておくことにしよか。
「すげぇっ! 空飛んでるぞ、あのロボット!」「ちうたんのサインをくれ!」「さすが麻帆良驚異のメカニズム!」「ロケットパンチ見せてくれ!」「ビームは!? 目からビームとかは出せないのか!?」「麻帆良の科学は世界一ィーーー!!!」
ズドド、と空を飛んでいくネギ君。
あの格好でウチらと合流したらあとで大変なことになりそうやしな。ネギ君とは中夜祭で合流や。
…………千雨ちゃんのファンの人って結構いるんやね。
「それでは私達も行きましょうか。………………アスナさん?」
「ん? ああ、ゴメン。昔の知り合いがいたから気になってね。後で話すわ」
ん? 昔の知り合い? 誰のことやろ?
ま、後で話してくれるんならええか。
さーて、それじゃあ中夜祭に行こうか。
ウチらだけでネギ君を独占しているのも悪いから、クラスの皆にも分けてあげなきゃいかんなぁ。
━━━━━ 後書き ━━━━━
…………ちょっと遊びすぎましたかね?
でも、ユニコーンガンダムの腕についているビームサーベルがビームトンファーということを知ってから、ずっとこのネタを使いたかったのです。
でも形状からいって、ユニコーンガンダムのアレはそもそもトンファーじゃない…………。
それと超対策に①~⑤はしませんからね。
ちゃんと別ネタを用意してありますヨ。