━━━━━ 近衛近右衛門 ━━━━━
………………コノエモンですが、ネギ君の機嫌が最悪です。
「……………………」
「エヴァちゃんなら大丈夫よ。ちびネギもついているんでしょ」
「そうですよ、ネギ先生。
エヴァンジェリンさんならきっと大丈夫ですよ」
結局、動ける魔法先生を動員しての夜を徹した捜索でも、超君を見つけることは出来んかった。
夜も明けたので情報を整理しようと思い、一度魔法関係者を学園長室に集合させて超君対策会議を開いたんじゃが、学園長室に来たネギ君からエヴァが行方不明になったと聞かされたときは驚いたわい。
どうやらエヴァが別荘の外に出てから、連絡がつかなくなったらしい。ネギ君が超君からもらったタイムマシンを持っていたということなので、おそらくこれも超君が関係しているのじゃろうな。
超君がタイムマシンを持っていることは確定しておる。
ネギ君の助言通りに、超君を逃がしてしまった場所に監視カメラを仕掛けておいたのじゃが、昨日の19時ごろに超君が再びその場所に現れた。そのときの超君の発言からしてタイムマシンを持っていることが本当だとわかったのじゃ。
さすがにあの言葉が我々を騙す流言ということはあるまい。監視カメラには気づいていなかったからの。
「ネギ君、ミルクティー作ってきたんやけど飲む?」
「…………あ、ありがとうございます」
「私も欲しいアル」
「そういえば朝食をとっていなかったですね」
木乃香達が居てくれて助かった…………。
ネギ君は英国紳士じゃから、木乃香達の相手するときだけはこの剣呑な空気が和らぐ。
…………まいったのぉ。絶対怒っておるぞ。
この部屋に来た直後はそんなに機嫌が悪いようには見えんかったのに、時間が経つにつれてドンドンとネギ君の機嫌が悪くなっていった。
せっかくネギ君が超君の捜索の手伝いを申し出てくれたのに、それを断ったのはワシらじゃ。
何でもかんでもネギ君に頼りきりというのは良くないし、学園祭を楽しんで欲しかったからの。それについては間違いとは思っておらん。
しかしネギ君の力を借りてさっさと超君を捕まえておれば、エヴァが行方不明になるのを避けれたのも間違いじゃないじゃろう。
これはワシのミスじゃ。
そもそもネギ君の言う通りに、超君が逃げた場所に監視カメラを仕掛けるだけではなくて、魔法先生を張り込ませておけば…………。
まあ、ワシらがやるということにはネギ君も了承してくれていたのだし、第一エヴァにタイムマシンを渡したのはネギ君じゃからの。
それでネギ君は自分を責めてしまっておるのじゃろうな。不機嫌でもワシに何も言わないでいてくれるのはそのせいじゃろう。
…………悪いことしてしまったのぉ。責められるより、我慢しているネギ君を見ているほうが辛いわい。
いや、エヴァのことじゃから無事だとは思うが…………。
「ネ、ネギ先生。それならクッキーはいかがですか?
そこの棚にありました。……………………よろしいですわよね、学園長?」
「お、お饅頭もありましたよっ、ネギ先生!」
「…………いや、ミルクティーに饅頭はあわないんじゃないのか?」
「饅頭なら緑茶でござるかな」
「あ、じゃあ私が淹れてきます」
もちろんじゃよ。グッドマン君、佐倉君! 何でも好きなものを食べておくれ!
いやー、君らも居てくれて助かったわい。
今、学園長室にいるのはワシとネギ君、それにネギ君の従者の皆と長谷川君、それにグッドマン君と佐倉君。
長谷川君はネギ君の従者ではないが、それでも魔法のことは知っている上にネギ君やエヴァ達とも仲が良いのでここに来てもらった。グッドマン君と佐倉君は………………まあ、ワシ1人じゃ何かあったら手が足りないから、その手伝いじゃな。
だって、魔法先生達が皆この部屋から逃げ出したんじゃもん。
最初はガンドルフィーニ君とか瀬流彦君とかたくさんいたんじゃけど、ネギ君の機嫌が悪くなっていくにつれて“超君の捜索”やら“エヴァの捜索”にかこつけて、皆してここから逃げ出しおった。
グッドマン君達は魔法生徒なので昨日の捜索も早めに切り上げて休んでもらったが、その後の経過が知りたくなって朝早くに学園長室に来たのが運の尽きじゃったの。とりあえずここから逃がさんぞい。
ちなみにグッドマン君達の担当であるガンドルフィーニ君は、どうやら携帯電話の電源を落としたようじゃった………………オノレ。そこまでこの部屋と関わりたくないのか。
ガンドルフィーニ君はちょっくら魔法世界にでも出張したいみたいじゃな。
小学校に上がったばかりの娘さんがおるようじゃが、仕事なら仕方がないよね?
タカミチ君? ああ、元より彼は超君捜索をしてくれておったよ。
何だかやけに張り切っておったが………………ま、別にいいか。
「ん? …………あ、エヴァさんだ。
エヴァさん、聞こえますか?」
フォ? いきなりネギ君が白いカードを額に当てながら話し始めた。
…………“仮契約カード”じゃないよね? それにおそらくエヴァの魔力を察知したのじゃろうが、エヴァがいたんじゃろうか?
「…………ええ、はい。では学園長室に召喚しますね。
『召喚 ネギの従者 エヴァンジェリン・A・K・マグダウェル』
え? やっぱり“仮契約カード”?
でも何で白紙なんじゃ? いや、そもそもいつの間にネギ君とエヴァは『仮契約』しておったのか?
そんなことを考えているうちに床に魔法陣が描かれ、激怒した顔のエヴァが召喚された。
…………やっぱり怒っておるよね。
ネギ君にも一応気をつけておくように注意されたのに、まんまと超君の罠に嵌ってしまったんじゃからなぁ…………。
「ネギっ!!! このタイムマシンを作った奴は何処だぁ「エヴァさん! 無事で良かったです」って、おおおっ!?
…………ネ、ネギ。心配してくれたのは嬉しいが、あまり人前では抱きつくな…………」
おやおや、エヴァが無事で良かったわい。そして怒りを鎮めてくれてよかったわい。
しかしエヴァよ。口では抱きつくなとか言っておるが、そういうセリフはネギ君をしっかりと抱き締めているその腕を外してから言っておくれ。
いや、今はそんなことに突っ込んでいる場合じゃないの。
「あー、ちょっとええかの?
エヴァ、いったい何があったのじゃ?」
「…………いきなり未来に跳ばされたんだよ。跳ばされた先は学園祭終了一週間後だ。
超鈴音はネギを警戒していたらしいからな。この“航時機”には細工がしてあって、学園祭最終日になると自動的に一週間先の未来に跳ばされてしまうトラップが仕掛けられていたみたいだ。
しかも魔力の消費は無しでだ。どうやら“航時機”を使うのに、魔法使い5人分の魔力が必要というのは嘘みたいだな」
「え? 学園祭終了一週間後に跳ばされたってエヴァちゃん。その“航時機”って学園祭の期間でしか使えないんやなかったの?
どうやって戻ってこれたんや?」
「ああ、本来“航時機”は世界樹の魔力が充ちる学園祭の期間にしか使えないが、世界樹大発光の年なら学園祭終了一週間後でもわずかに発光が残っているらしいな。
だから世界樹最深部に残っていた魔力を使って戻ってきたというわけだ。それでもさすがに目標の時間とは少しズレが生じてしまったようで、キッカリと元の時間には戻れなかったようだ。
…………あ、ネギ。そんなわけで魔力が足りなくて帰れないなんてことがないように、式神符は全部使ってしまったぞ」
「それは全然構いませんよ。エヴァさんが無事で何よりです」
ネギ君の機嫌も直ったようじゃな。明らかに部屋の空気が違っている。
あの様子じゃと多分、本人は自分の機嫌が悪くなっているとは気づいておらんかったようじゃが、明らかに部屋の空気が軽くなっているわい。
「…………とりあえず順を追って簡単に話すぞ。
私が別荘から出たとき、目の前にはネギともう1人の私がいた。そして何があったのかを簡単に説明された後、世界樹最深部に移動してちびネギに“航時機”を使ってもらって今の時間に帰ってきたというわけだ。
未来にいた時間は、実質1時間にも満たないな」
「フゥム…………未来はどうなっていたのじゃな?」
「聞いとらん…………というか、言われなかった。詳しく言うと未来がどうなるかわからないらしいからな。
とりあえず“超鈴音を除いておおむねハッピーエンド?”……になったらしいが…………」
その“?”はなんじゃ? その“?”は?
そもそも超君を除いてって、こういうときのハッピーエンドじゃったら敵も味方も皆助かるとかそういう感じじゃないのかの?
…………ああ、どうせネギ君じゃな。
それにネギ君がこっちについているという時点でこっちの勝ちは確定なんじゃから、“勝利出来た”こと自体は言っても構わんかったのじゃろうなぁ。
「…………それと、未来のネギからこの手紙を預かった」
エヴァがそう言って懐から取り出したのは、“正”の文字がビッシリと書き込まれた便箋。
おそらくその中に未来のネギ君からの手紙が入っているのじゃろうが…………その“正”の文字はいったいなんじゃね?
エヴァから便箋を受け取ったネギ君が開き、手紙を取り出して再生ボタンをポチッと押す。
別に封はされておらんかったようじゃな。
『この手紙を誰が見ているかわからないし、何時見ているのかもわからないけど、とりあえず最低でも過去の僕は見ているという前提で話を進めさせてもらうよ。
元気だろうね、過去の僕?』
手紙の立体映像に浮かんだのはネギ君。やはりここにいるネギ君とは見分けがつかんの。
一週間ぐらいの違いなら仕方がないが。
『さて、最初に言っておくけど“未来の僕から見た過去”、“過去の僕から見た未来”について、全て話すつもりはない。
僕ならわかるとは思うけど、他にも見ている人がいるかもしれないので一応言っておく。理由としてはもちろん“タイムパラドックス”が怖いからだよ。実際にどうなるか試すわけにもいかないからね。
まあ、超さんがいったい学園祭最終日に何をしようとしているのか、どうやってこの僕がそれに対応したのかを、大雑把に言うぐらいは問題はないと思うので言うよ。
ちなみに超さんが何故こんなことを仕出かそうとしたという動機についてもわかっているけど、これについては不特定多数に見られる可能性があるこの手紙では言わない。
まぁ、超さんの動機の源泉は龍宮さんの言葉を借りるなら、“今現在もこの世界のどこかで起こっているありふれた悲劇と変わりはない”…………かな。あとは君が超さん本人から聞いてくれ。
メモの準備はいいかな? それでは説明を始めよう―――』
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…………。
……………………。
………………………………なるほどのぉ。
彼女の目標は“全世界に対する強制認識魔法”か…………そこはネギ君の予想通りじゃな。
戦力は超君の他に葉加瀬君、茶々丸君、それに龍宮君もか。龍宮君は特に厄介じゃの。そして“強制時間跳躍弾”とな? 厄介な代物じゃの。
それに2500体…………タカミチ君がもう500体ほど壊したらしいから2000体の超君製のロボット。それに学園地下に石化封印されている無名の鬼神か。まさか鬼神を科学の力で制御するとはのぉ。巨大魔方陣生成のための魔力増幅装置として使おうというのか。
確かにこの計画じゃったら、“全世界に対する強制認識魔法”も出来るじゃろうな。
それに対してワシらは本国のクラウナダ異界国境魔法騎士団の第17倉庫に大量に死蔵されているという、対非生命型魔力駆動体特殊魔装具を最終日イベントの名目で生徒に使わせてロボットに対抗する。
魔法関係者はヒーローユニットとしてそれを助け、超君達の捕縛を目指す…………か。
となると、雪広の娘に助力を頼まねばならんが、それはネギ君からお願いしてもらうかのぉ。
『…………以上が、超さんが計画していた内容だ。
とはいっても、もしかしたら実際は時間移動ではなくて、平行世界を移動しているのかもしれないので、僕と君の世界では違うことを計画しているかもしれない。だから相手の手の内や対応方法がわかったからといって、油断しないことを薦めるよ。
もしかしたら僕と同じことが出来るかどうかわからなくて不安になっているかもしれないけど、きっと大丈夫。君が僕だったのなら簡単なはずだ。気休めかもしれないけどね。
むしろ終わった後に「手加減しろ」とか言われるかもしれないけど、それは別に気にしないでいいよ………………どうせ罰則は何もなかったし』
手加減してあげてよ!
それに罰則はなかったということは、未来のネギ君も“手加減しろ”って言われたってことじゃろうに…………。
『この手紙は別に返さなくてもいい。超さんの計画がこの手紙通りで、それに対する対応策も同じにしたのなら、学園祭終了一週間後に跳んでくるエヴァさんに渡せばいいよ。新たに手紙を作るのはめんどくさいでしょ。
あ、渡す前に便箋に“正”の字に一画足しておいて、何回この手紙が繰り返すのかを試してみて。特に意味はないけどさ』
え? 便箋に書かれた“正”の字は500字どころじゃないぞ。
この手紙は何千回過去と未来をループしているんじゃ?
『便箋に書くところがなくなったら、新しい便箋を用意してね。今のそれが何回ループしてるか知らないけど。
さて、まだ伝えなきゃいけないことはあるけど、超さん関連はひとまずこれで終了だ。ここで他の人と相談したいなら、一時停止を押してくれ』
…………よくよく見たら、再生ボタンに手の垢が付いているのが見える。
この手紙は何万回過去と未来をループしているんじゃ?
まぁええわい。それよりも超君の対策についての打ち合わせをしよう。
確かにタイムトラベルについてはワシらは何もわかっておらんから、手紙のネギ君の言った通りにもしかしたら過去と未来が違っている可能性や平行世界の可能性もあるが、これは決して無視出来ない情報じゃ。
━━━━━ 綾瀬夕映 ━━━━━
「ネギ先生。確かにクラウナダ異界国境魔法騎士団の第17倉庫に対非生命型魔力駆動体特殊魔装具が死蔵されているのが確認出来ました。
ただ、私の“世界図絵”はまほネットを通じた情報でしかありませんので、もしコッソリと横流しが行なわれて無くなっていたりとか、死蔵による劣化などのことはわかりません」
横流しされていてもデータ上では存在していることになっていたら、“世界図絵”ではわかりません。
まあ、ここまで未来のネギ先生が言っていたのと同じなら、そういう事態はないのでしょうがね。
「…………でも、超さん捕まえて本当にいいのかしら?
昨日も話し合ったときに出たけど、未来でマズイことが起こるんでしょ?」
それは…………確かにそうですね。未来のネギ先生は超さん達を捕まえたようですけど、それが実際に正しいことなのかはわかりません。
かといって、“未来の私達がそうしたから、今の私達もそうする”なんて思考停止して物事を進めていくのはいけないことだと思います。
超さんを止めるというのなら、まず私達が納得する理由を持ってして超さんの相対しないといけないです。
超さんのやろうとしていることは、テロなんてものではなく強いて言うなれば“革命”です。それも今までに類を見ない、世界中の人々の意識を根底から覆す“世界革命”とまで言えるかもしれません。
この革命によって“現に今、世界各地で苦しんでいる人々を、この“魔法”という新たな力によって助けられるかもしれない”こと、“未来人である超さんはこの革命の帰結として、不幸な未来を回避しようとしている”こと。
こういうメリットがあるのかもしれないのは確かなのですから…………。
「だから、ネギ先生は…………そのことについてどう思いますか?」
「え? 別にそんなの気にしなくていいんじゃないですか?」
…………。
……………………。
………………………………いや、そんなアッサリと。
ちょっと待ってください。お願いだから待ってください。
ネギ先生独特で特有な考えを言われる前に、せめて心の準備をさせてください。
いや、わかりますよ。わかってるんですよ。
地球、あるいは人類の滅亡という究極的事態ということでしたら、私達も全力で協力せねばならぬことは明白です。
しかし“今現在もこの世界のどこかで起こっているありふれた悲劇”という理由では歴史の改変を認めることは出来ないと思うです………………けど、そんなアッサリと。
超さんだってこの計画は真剣に考えて実行したのですから、もう少し超さんの気持ちを考えてあげてもいいじゃないですか! 超さんが可哀想ですよ!
「いや、そんな難しいことじゃないと思いますけど。
さっき未来の僕が言っていましたけど、超さんが魔法を世界にバラしたら、それに相応するだけの混乱が世界を覆うこととなります」
「た、確かにそうですが、それでもそのデメリットと魔法がバレた故のメリットは天秤にかけられるものではないと思います」
「ええ、そうです。どっちがより多くの人々を救うことが出来るか、もしくは多くの人々の人生を狂わすのかは、今の段階では僕にはわかりません。
そして今後十数年の混乱に伴って、それでも起こり得る政治的軍事的に致命的な不測の事態については、超さんが監視して調整するつもりだったと言っていました。そのための技術と財力は用意していたとも…………。
けど逆に考えてみましょう。そこまでの力を持っているとするなら、僕にも勝てて当然ですよね?」
………………………………え?
「簡単な話ですよ。夕映さん、僕に勝つのと世界をコントロールするのだったら、どっちが難しいと思います? それは当然世界をコントロールする方でしょう。
僕に勝てないようでしたら世界をコントロールすることなんて出来ないでしょうし、世界をコントロールをしようというのなら最低でも僕に勝てる力がないと駄目じゃないですか。
もしこの計画で僕に敗れるようでしたら、どちらにしろ世界をコントロールなんか出来ません。いずれ世界は超さんの手に負えなくなって結局混乱します。そんな世界は魔法をバラすことによるデメリットの方が大きいでしょう。
だから未来の悲劇のこともありますので、超さんが勝ったら僕らが超さんに協力して、超さんが負けたら僕らに協力させればいいじゃないか、ぐらいのノリでいいと思いますよ」
…………そういう考えもある……のでしょうか?
でも確かにこの計画を遂行出来ない程度の人では、世界の全てをコントロールすることなんて夢のまた夢です。そういう意味ではネギ先生の言っていることは間違いではないですね。
それに未来に起こりうる悲劇も、超さんに協力してもらって対処すればいいだけですし…………。
それ以前に言ってはいけないかもしれませんが、ネギ先生に勝つのと世界をコントロールするのでは、本当に世界をコントロールする方が難しいのでしょうか?
…………いや、考えては駄目です、私。深く考えたらパンドラの箱を開けてしまう気がするのです。
「超さんだって「思いを通すは、いつも力ある者のみ」言っていましたので、存分に超さんの力を見せてもらいましょうか。
もちろんその力を確かめるためにも、全力で超さんを迎え撃ちますけどね」
超さんバッドエンド確定です。ご愁傷様でした。
でも、コレも超さん自身が望んだ結果なのでしょうから、私達のことを恨んだりしないでくださいね。
むしろ終わった後には恨む気力すら無くなってそうですけど。
「わーい、何だかワクワクしてきたなぁ。
どうやって超さん達を迎え撃と「ネ、ネギ先生! 手紙にはまだ続きがあるようでしたが!」…………ああ、そういえばそうですね」
どうしましょう? 超さんに麻帆良から逃亡するように言った方がいいのでしょうか?
お互いのため…………というより超さんのためにこそ、その方がいいような気がしてきました。
『…………さて、超さん関連はさっきで終了だったんだけど、個人的に僕へ言いたいことがある。
別にこれを聞くのは学園祭後でもいいけど…………個人的には早めに聞いて欲しい。後に回すとそれだけ後悔するから。
といっても、何かしら麻帆良に悪いことが起こるというわけじゃないから安心していい…………と思う』
「? 何を言っているんだ、未来の僕は?」
ネギ先生にしてはやけにもったいぶった言い方をするですね。
いったい何があるのでしょうか?
『えーっと、聞く準備は出来たかな?
それでは質問するけど、“エヴァさんが行方不明になった後、どうして不機嫌になったのか?”…………ということは自分で疑問に思わなかったかな?』
「…………え? もしかしてさっきの僕って不機嫌でした?」
それはもう物凄く。
エヴァさんが心配だったからでしょうが、学園長のただでさえ少ない髪の毛が更にストレスで減りそうな感じでした。
私達にはいつもどおり優しかったので大丈夫でしたけど、他の魔法先生方が学園長室から逃げたことからもそれがよくわかります。
…………というか、自分で気づかれてなかったのですか?
━━━━━ 後書き ━━━━━
オカエリナサλ。
戻ってくる時間が12000年もズレずにすんだようです。
…………無事に戻ってこれてよかったですねぇ。
まったく。せっかくネギが指摘していたのに、あんな罠に引っかかるなんてエヴァは何を考えていたんでしょうか?
ちなみにネギが不機嫌だったのは素です。
ようやくネギがあることに気づくようです。
それとネギは学園長達には“白紙仮契約カード”などについては話してません。
自分自身と『仮契約』したときの詳細を話したら、また血を吐いて入院するかもしれませんからね。それぐらいのことはネギだって慮れます。
……………………まあ、慮るだけなので、実際に行動に移すかどうかまではその時次第ですがね。