おはようございます。ネギです。
朝起きたらエヴァさんがニコニコと微笑みながら自分を見ていました。
寝顔を見られていたようです。勘弁してください。
それでエヴァさん作の朝食を頂いた後、身の回りのものを買いに行くこととなりました。
あ、茶々丸さんは紅茶を淹れてくれたんですけど美味しかったですよ。
「こんなに少なくていいのか? やはり私がお金を出すから、もうちょっと揃えたほうがいいのではないか?
遠慮することはない。学園の警備員として15年間働いてきたから蓄えはある」
「いえいえいえいえいえ! 大丈夫です!
そこまではご迷惑かけられませんです」
…………ああ、もうこの人は。
過保護ぶりはネカネ姉さん以上です。キャラ崩壊しすぎでしょう。
ちなみに今エヴァさんは幻術を使って大人の姿になっています。
平日の昼間なので子どもの姿で買い物をしていたら補導されてしまうから、と言われましたが、母親気分を味わいたいだけでしょうね。
自分と手を繋いでニコニコとご機嫌ですから。
「ふむ、そうか。
まあ、今日全て揃えなくてもいいからな。欲しいものや必要になったものがあったらいつでも言うがいい。今度また買いに来よう、一緒にな。
それでは茶々丸、お前は家に買ったものを置いて来い。
私達は少し休憩したら麻帆良を散策するとしよう。ぼーやの見たがっていた図書館島や世界樹でも見に行こうか」
「了解しました。マスター」
「わかりました。
すいません。お願いしますね、茶々丸さん」
…………ふう、ネカネ姉さんやアーニャで慣れてるとはいえ、着せ替え人形にされるのは疲れます。
アルちゃんが使い魔になってからは、生贄が増えたので少しは楽になりましたが。
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「…………もしかしてエヴァンジェリンか?
何をやっているんだ、学校サボって?」
おや? いつのまにか学校が終わる時間となっていたようです。
オープンカフェで休憩していたら制服姿の背の高い、褐色の肌とストレートロングの黒髪と三白眼が特徴的な女子に話しかけられました。
この人は……龍宮マナさん、ですね。
おお、2-A生徒と会うことが出来ました。
「アルカナか。何、このぼーやの買い物だよ。
説明されただろう。このぼーやがネギ・スプリングフィールドだ。」
…………アルカナ? 龍宮じゃなくて?
いや、本名は“マナ・アルカナ”だったはずだからいいのか。
とはいえ原作と違いがありますね。
「今のエヴァさんのことがわかるということは関係者の方ですか?」
今のエヴァさんは幻術使って大人になっていますからね。
ということは原作通りに龍宮さん、じゃなかった。アルカナさんは魔法関係者ということです。
「ああ、マナ・アルカナという。エヴァンジェリンとはクラスメイトで、警備員としても働いているから同僚でもある。
君がネギ・スプリングフィールドか。話は聞いている。3学期からよろしく頼む」
「はい、3学期から2-Aの担任補佐として赴任するネギ・スプリングフィールドです。
こちらこそよろしくお願いします」
「アルカナは中学生ながら傭兵紛いのことをしていてな。普通の魔法先生よりも頼りになる。覚えておくといい。
といっても、なにか頼むとなると依頼料が発生するから気をつけておけ」
「はは、酷い言い方だな。ま、初回は安くしておこう。
何かあったら気軽に依頼をくれればいい」
「はい、そのときはお願いしますね」
ふむ、エヴァさんがここまで言うなら原作通りアルカナさんは頼りになるということですね。
是非とも仲良くなりたいところです。
…………エヴァさん本気でナギのこと諦めてくれないかなぁ。マジで惚れそうなんですけど、どうしましょう?
それともやはり新しい恋に生きるしかありませんかね?
アルカナさんみたいなクールビューティーは好みの女性ですし、頑張ってみましょうか。
「コウキと待ち合わせしていてな。同席しても構わないだろうか?」
はい、新しい恋は5秒で終わりを告げました。コンチクショウ。
…………恋人さん生きてたんですか、そうですか。
「そういえばおめでとう、エヴァンジェリン。“登校地獄”が解呪できるんだって?
3年になったら修学旅行があるけど、それには行けるのかい?」
「ああ、ぼーやから血を分けてもらえることになってな。
修学旅行か。まあ、半年近くあるなら多分大丈夫だろう」
修学旅行でエヴァさんが参戦してくれる確率がアップしました。
死亡確率がこれでグンッと減りましたね。久しぶりの嬉しい知らせです。
「それはよかった。私からも礼を言うよ、ネギ君」
「いえいえ、僕の駄目親父が仕出かしたことへの償いですよ。
御礼を言われることではありません」
何だかアルカナさんが原作よりも優しいというか柔らかいというか、少し感じが違うように思います。
恋人さんが生きてるからでしょうかね? 何か幸せそうです。
…………ネカネ姉さんみたいな極端なキャラ崩壊は嫌ですが、こういう風にキャラが幸せそうになっているのなら嬉しくなりますね。
あ、そういえば住居が決まったことネカネ姉さんたちに知らせないとなぁ。
一応“闇の福音”の家だし、一緒に住むアーニャへはネカネ姉さんから伝えてもらうことにしましょうか。
ネカネ姉さんならおそらくエヴァさんの事情は知っているでしょうから。
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その後、アルカナさんと別れ、図書館島や世界樹を見に行き、麻帆良をブラブラと散策しました。
当然一日では回りきれず、回れていないところはまたエヴァさんと出かけることとなりました。
…………どうせ、大人姿のエヴァさんと一緒に行くことになるんだろうなぁ。
まあ、子ども姿のときに2-A生徒と会うとどうなるかわかりませんから、丁度良いといえば丁度良いんですが。
そして現在日本時間18:30。イギリスとの時差は9時間ですから、ネカネ姉さんに電話しても時間的に大丈夫でしょう。
NGOとして世界中飛び回っているネカネ姉さんは携帯電話を持っているのでそれに掛けてみます。
prrrrr……、prrrrr……、prrrrr……、prrrrr……。
なかなか出ませんね。非常勤教師もやっているから今授業中でしょうか?
…………お、繋がった。
「やあ、どうしたんだい? ネギ君?」
「……。
…………。
………………ネカネ姉さんの携帯に掛けたんですけど、なんでタカミチがでるんですか?」
昨日エヴァさんとの話し合いが終わった後、出張に出たはずのタカミチが何故?
しかも、何か電話の後ろの方がうるさいし。ガヤガヤと騒いでる音がします。
「いや、ネカネさんなら今寝ていてね。
ディスプレイ表示でネギ君からの電話とわかったけど、起きそうにないから代わりに僕がでたんだよ」
「寝ているってなんですか!?
何でネカネ姉さんが寝ているところにタカミチがいるんですか!?」
ちょ!? 何があった!?
「え? いやいやいやいやいや! 変な意味じゃないよ!
昨日大きな仕事が終わってね。それでNGOの皆で宴会を始めたらしいんだ。
遅れた僕は仕事が終わった後にこちらに着いたんだよ。
だから、せめて後始末ぐらいはしようと思って、酔っている皆の世話をしているんだよ」
…………焦った。
タカミチを“兄さん”と呼ばなきゃいけなくなるかもしれないと本気で焦った。
ヘタしたら明日菜さんがヤンデレとなってネカネ姉さんとガチンコバトルになるかもしれないし、自分に悪感情を持たれるかもしれませんから助かった。
「エヴァさんの家にお世話になることをネカネ姉さんに知らせようと思ったのですけど…………。
それとアーニャにそのことをネカネ姉さんから伝えてもらおうかと思いまして」
「ああ、そういうことか。
それじゃあ僕の方からも伝えておくけど、明日ぐらいにもう一度電話するといいよ。そのときならネカネさんも復活しているだろう。
それとネカネさんはエヴァのことを知っている。大騒ぎになることはないから安心していいよ」
やっぱり知っていましたか。
NGOとしてタカミチと一緒に働いているネカネ姉さんなら知っていると思ってましたが。
それならアーニャのフォローは任せることが出来そうですね。
「それにしてもウェールズはもう朝の9時でしょう。まだ宴会をしているんですか?」
「ああ、ここはウェールズではなくてトルコのイスタンブールだよ。現地時間では昼の11時になるかな。
仕事が終わったのが夜で、その後始末が一段落着いたのが深夜でね。
宴会が始まったのは今日の夜明け前からなんだ」
「そんなに朝早くから宴会って……。もう皆さんいい年した大人でしょうに」
「ハハハ……耳が痛いね。
けど、今回だけは勘弁してくれないか。事後処理がまだ残っているけど、何年にもわたった仕事がようやく片付いてね。皆ハイテンションなんだよ。
その事後処理というのも油断出来るわけじゃないけどね」
電話の後ろの方から聞こえてくる声もなんだか弾んでますしね。
…………なんだか吐いてる音も聞こえますけど。
「オエエエェェェーーー!!!」「おーい、こいつ吐いたぞ!」「タカミチ! バケツ持ってきて!」「相変わらず酒に弱いなぁ、ハハハハハ!」「いやぁ、私この仕事が終わったら恋人にプロポーズしようと思っていましてね」「おお! おめでとう」「アーウェルンクスの首、獲ったどーーー!!!」「酒なくなったぞ!?」「タカミチ! 酒買ってきて!」「これで終わりましたね」「ああ、早く子どもたちに逢いたいよ」「子どもが生まれたんでしたっけ?」「うん、男の子と女の子の双子だよ」「イスタンブール魔法協会の人来てるんだけどどうするー?」「タカミチ! 説明してきて!」
……。
…………。
………………今、変なの聞こえませんでした?
「ああ、もう大変だ。
それじゃあ、ネカネさんが起きたら伝えておくよ。エヴァと仲良くね」
「ちょ! ちょっとタカミチ!!! 待ってくだ「ブチッ!」さい…………」
……。
…………。
………………えーと?
死亡フラグを叩き潰した人がいて何よりです。うん。