━━━━━ 長谷川千雨 ━━━━━
「…………ホラ、あんまり不貞腐れるなよ」
「………………別に不貞腐れてなんかいませんよ」
…………神楽坂達の野郎、ネギ先生を愛でるだけ愛でて行っちまいやがった。
神楽坂達は最終日イベント変更の告知と超達の捜索。超が捕まるなんてことはないだろうが、それでも超の行動を狭める事が出来るかもしれないからな。
エヴァンジェリンはニヤニヤと笑いを隠せない状態でどっか行った。少し頭を冷やしてくるらしい。あとついでにイベント鑑賞時の酒も持ってくるらしい。戻ってきたときの不機嫌が嘘のようにご機嫌だった。
そんなこんなであいつらが忙しいのはわかるけど………………どうすんだよ、このネギ先生?
ああ、ちなみに最終日イベントの変更は、委員長に「ネギが「かくれんぼって地味ですよねー」って言ってたわよ」と神楽坂が言うだけでOKだったらしい。チョロイな。
本当はネギ先生が委員長に言うはずだったんだけど、この通りに不貞腐れてばっかなんだよなぁ…………。
ハァ…………こんなネギ先生初めて見たぞ。
「……………………」
「…………何だよ?」
「…………何でもないです」
そんなチラチラ見んなよ。どう反応していいのかわからないじゃないか。
好きだと言われた神楽坂達にあれだけ揉みくちゃにされたら、女性に対してどうしていいかわからなくなるのは仕方がないけどさ。…………女性恐怖症とかなってないよな?
いや、それよりも私は……ネギ先生に対してどういう態度をとったらいいんだ…………?
「な、なあ…………?」
「…………何ですか?」
「ネギ先生って、さっきは“皆”のこと好きって言ってたよな?」
「! ……そ……そうですけど…………」
「……あー……その…………なんだ? “皆”の中に……“私”も入ってんのか?」
「………………えあっ!?」
「変な声出すな! 顔赤くすんな!」
「は、長谷川さんだって赤いじゃないですか!」
「うっさい! …………で、どうなんだ?」
いや、ホント。私どうしたらいいの?
私はもしかして“皆”の中に入ってんのか?
私は別にネギ先生の“魔法使いの従者”じゃない。
…………だ、だから別にキスしたわけじゃねーし、そもそも神楽坂達みたいにネギ先生に告白したわけじゃない。
そういった意味からでは、私は“皆”の中には入ってはない…………はず。
けど、それでも私は他の3-Aの奴らとは違って裏の事情を知ってるし、実際に京都旅行とか侵入者騒ぎのときとかは一緒に行動してきた。
だから私の立ち位置としては“神楽坂達未満、他の3-Aの奴ら以上”ってところだろう。私としても神楽坂達とは仲良くやってきたと思ってるし、と……友達だとも思っている。…………改めて言うとなんか恥ずかしーな。
そういう意味では…………“皆”の中に入っていても…………おかしくはない、と思う。
かなり微妙な位置だ。
…………いや、マジでどうしたらいいの!?
私のことも好きって言われたら、私はマジでどうすればいいんだよ!?
私は女子中だし、今まで告白されたことなんてない。真面目な話、今の私に一番近い男はネギ先生だ。
まあ、ネギ先生は10歳…………なんだけど、それでも年齢詐称してんじゃねーかと思うぐらいに大人びているところもある。そんなネギ先生にもしこ……告白されたとしたら、私はどうすればいいんだ…………?
ちうのホームページのことは皆に知られてるから
「10歳の男の子に告白されそうなんだけどどうしたらいいと思う?」
なんて相談なんてできるわけねーし…………。
「う……うううぅぅ…………」
「ハ、ハッキリ言えよ…………」
だから顔赤くすんな。耳まで真っ赤にすんな。
脈アリって思っちまうじゃねーか!
…………で、でも今のうちにハッキリさせておかねーと…………。
今の学園長室には私とネギ先生以外は誰もいない。
まさか神楽坂達がいる場所でこんなこと聞けねーし、“このまま一緒に行動してたらいつの間にか既成事実作られてました”なんてことになったらジョーダンじゃねーぞ!
「…………その、あれからよく考えてみたんですけど。
皆さんのことが“好き”っていっても、やっぱり一人一人への気持ちは種類…………というか質? まあ、同じ想いじゃないと思うんですよ。
例えば…………“女性”として一番好きなのはエヴァさんで、“人”として一番好きなのはアスナさんで、“お嫁さん”として一番好きなのは木乃香さん…………って感じに。皆さんのことが好きっていうのは変わらないんですけどね。
それに今言ったのも、あくまで今の僕の気持ちを無理矢理言葉で表現しているだけなので、人によっては捉え方が違うのかもしれませんし」
「…………それはそうだろうな。
あいつらは一人一人違うんだから、抱く想いがそれぞれ変わるのも当たり前だ」
「はい。…………で、長谷川さんのことなんですけど、“好きかどうか?”と聞かれればもちろん“好き”だと答えます」
うぐっ!?
………………いや、まあわかってる。そういう意味での答えは予想出来てた。
まだ大丈夫大丈夫。
そりゃ私だってネギ先生のことは、“好きかどうか?”と聞かれればもちろん“好き”だと答えるだろう。
勉強教わったり、『咸卦治癒』してもらったり、一緒にコスプレ写真撮ったり、プレゼント貰ったりとかで何だかんだいって世話になってるしな。
そもそも“嫌い”だったらこんな風に一緒にいねーよ。
…………あれ? もしかしてそれ以前に、私ってネギ先生に世話になりすぎじゃねーか?
「それで…………“好き”の種類なんですけど、大雑把に言うと3種類に分けられます。
アスナさん達みたいな“恋愛”として好きな人と、ネカネ姉さんみたいな“親愛”として好きな人と、他の3-Aの皆さんみたいな“友愛”として好きな人。
長谷川さんは………………それらの“中間”です」
「ちゅ、中間? あー…………やっぱり“神楽坂達未満、他の3-Aの奴ら以上”ってとこなのか?」
まだ“色欲”はないみたいで何よりだ。
それがあったら神楽坂達がマズイことを仕出かしそうな気がするからな。
「…………そんな感じ……でしょうか。まあ、少なくとも“恋愛”についてはそうだと思います。
魔法のことも知ってることからも話しやすいですし、アスナさん達みたく僕を玩具にもしないですので、長谷川さんは一緒にいて安心出来ます。
そこらへんはネカネ姉さんみたいなんですけど、その……もし長谷川さんがタカミチとかと付き合うようになったことを想像したら、それはそれで他の3-Aの皆さんのときと違って……その、嫌なんです…………。
け、けど今の僕には、僕に告白してくれたアスナさん達がいますので………………あ! でも長谷川さんがアスナさん達より大切じゃないってわけじゃないですよ! ただ“好き”というベクトルが違うだけで、その……う……うううぅぅ…………。
…………でもアスナさん達の方を大切にしないと、告白してくれたアスナさん達に対して不義理になるんじゃ…………?」
「オーケイオーケイ、落ち着け」
無理矢理言わせた私が悪かったから。
でもアレか。自分以外の男と仲良くしていたら嫌なのか。
それって……まあ、えーと…………そうアレだ!
神楽坂達のことがなかったら“近所に住んでる憧れのお姉さん”ってポジションっぽいな。自分で言うのもなんだけど。
でも、そういうことなら安心だな。
やっぱり神楽坂達が言っていたように、ネギ先生は告白されたからには誠実にそれに答えるまでは他の女に対しては遠慮するみたいだ。
なら私は今のままでいいや。これ以上何かしようとすると、薮蛇を突っつくことになりかねない。
例えば今の時点でネギ先生から距離を置こうとしても、心が不安定なネギ先生がどう思うかわからないからな。ヘタしたら“私に嫌われた”と思ってしまうかもしれない。
さすがに神楽坂達のことで大変なのに、これ以上ネギ先生の悩み事を増やすのはマズイだろう。
だから今の時点でネギ先生から距離を置いたりするのはマズイよな。うん。
………………今はこれで、いいよな?
「…………長谷川さん、僕っていったいどうしたらいいんでしょう?
正直言って、昨日までの僕を殴り殺したいぐらいに自己嫌悪中なんですけど…………」
「気にしなくていいんじゃねーか。
少なくとも神楽坂達は逆に喜んでるだろ」
「でもアスナさん達の告白について、どこか軽く考えていた気がするんですよ。
何人もの女性に告白されてたのに…………僕って奴は…………」
「…………10歳児がそこまで気を遣うな。
ネギ先生だってこういうことは初めてだったんだろ。それじゃ仕方がないよ」
「確かに戸籍上は10歳ですけど、それでも事情があってそれよりも人生経験を積んでいるんですよ。それなのに自分の気持ちに全然気がつかなかったとか…………。
…………人生経験の9割以上が修行ですけど」
あー、“別荘”とかで過ごしてるもんな。
そりゃ確かにそれなら他の10歳児よりは人生経験積んでいるんだろうけど、人生経験の9割が修行だったら逆に他のことわからなくなるんじゃねーのか?
つか、ネギ先生が魔法関係の常識を勘違いしてたのってそれが原因なんじゃ…………。
「とりあえず学園祭終わってから色々考えればいいだろ。今は超達のことを優先したらどうなんだ?
超達の企みが成功したらネギ先生はオコジョになるかもしれないんだろ?
そんなことになったら神楽坂達の思いに応えるどころの話じゃなくなるんだしさ」
「…………それもそうですね。焦って結論を出してもアスナさん達に失礼ですし、そもそも焦っても結論が出なさそうです。
だったら長谷川さんが言われるように、超さん達の企みをストレス解消がてら潰した方が建設的ですね」
サラッと怖いこと言うな、馬鹿ガキ。
…………ハァ、まったくもう。ネギ先生はしょうがないんだから…………。
━━━━━ 龍宮マナ ━━━━━
“火星ロボ軍団 VS 学園防衛魔法騎士団”…………か。
どうやら完璧にコチラの作戦を読まれているようだな、超?
…………。
……………………。
………………………………おい、超? どうかしたのか?
『…………今、エヴァンジェリンからメール来たのヨ。
「お前のせいで恥をかいた。約定があるから学園祭では手出しせんが、学園祭終わったら覚えていろ。
しかしお前のおかげでネギがようやく“恋愛”について目覚めたから、仕方がないので命だけは助けてやる。ありがたく思え」
て…………。
コレどうしたらいいのヨ? もしかして未来に跳んだのネギ坊主じゃなくてエヴァンジェリンだたのカナ?』
おい、どうするんだそれ?
エヴァンジェリンが未来に行って帰ってきたということは、私達の作戦を全部知られているということじゃないのか?
そんな状況でどうやって勝てと言うんだ…………。
『私に言われてもわからないヨ。…………とりあえず詳しい状況を知りたいネ。
世界樹広場で“火星ロボ軍団 VS 学園防衛魔法騎士団”イベントの案内をしているネギ坊主が偽者だというのは本当なのカナ?』
「ああ、それは間違いない。私の魔眼で確認しなければわからないぐらい上出来の式神だがな。
それと佐々木達が配っていたパンフレットを入手したが、どうやらイベントの途中でお助けキャラクターが現れるらしい。おそらく魔法先生達がこの名目で参加するのだろう。
まあ、ネギ先生がそれに出てもおかしいだろうから、ユニコーンガンダムの方で出てくるのかもしれん。それならアリバイ作りにもなって一石二鳥だからな」
『そうカ。…………それと告白阻止のための転移結界が撤去されているというのは?』
「ソッチも魔眼で確認済みだ。結界はもう無い。
田中さんや鬼神の侵攻で要石が壊された場合、いきなり転移結界が消えてしまうからな。それだとヘタしたら一般人が転移先の森の中で放置されかねない事態となる。それを避けるためだろう。
それにこんな周りにイベント参加者がたくさんいる状況なら、告白禁止地域で告白しようなんてするカップルもいないだろうしな」
もしかしたら、
「先輩! もし僕が撃破数ランキングで一位になったら…………僕と付き合ってください!!!」
とか、いらんフラグを立てるアホはいるかもしれんがな。
いや…………それよりもだ。
「超、私はこの計画を抜けて『駄目ヨ。というか無駄ヨ』…………せめて最後まで言わせろ」
どうせ現実逃避だってわかっているんだから。
『龍宮サンは私と一緒に高畑先生と戦たからネ。もうネギ坊主的には既に敵として認識しているヨ。私達は一蓮托生ネ。
しかもネギ坊主の性格なら、“とりあえず確保してから話を聞けばいいや”とか考えているに違いないヨ』
ネギ先生なら確かにそうだろうな。
…………認めたくない現実を突きつけるなよ。
ネギ先生は基本的にめんどくさがりやさんだからなぁ。
ネギ先生は時間制限が長かったり無かったりするものや、それをやっておけば次も楽になるというのなら、それこそ過剰とも思えるぐらいに前準備をする。
しかし時間制限が短かったり一回限りのことならば、さっさとやってさっさと終わらしてしまう。
このイベントなら後者なんだろう。
“楽をするためには苦労を惜しまない性格”というか何というか…………。
さて、しかし本当にどうするか?
イベントに乗る形で勝負をしても勝ち目は薄い…………というか無い。イベントスルーしても結局捕まる。麻帆良から逃げ出そうとしてもきっと捕まる。だけど降伏は許されない。
…………玉砕しかなくないか、コレ?
『いそのこと、私が過去に戻ってやり直すカ?』
「…………それで勝てるようになるのか?」
『…………無理だヨ。わかてるんだヨ』
というか、“これ以上過去に戻ることはしない”とか言ってただろ。
いや、今のは冗談…………というか現実逃避なんだろうけどな。
理論上は何回でもやり直すことの出来る超だが、“未来の技術を持っており、ある程度未来のことを知っている”というアドバンテージがあるのにも関わらずこれで負けてしまうのなら、それは超鈴音に“思いを通すだけの力がない”ということだ。
まあ、何回かやり直せばいつかは勝てるようになるのだろうが、そんな有様だと結局は魔法がバレた後の世界をコントロールすることなんかも出来そうにないからな。
そんな世界は超のいた未来よりも酷くなるだろう。
それに何回も何十回も何百回も何千回もやり直すことが出来たなら、いつかは“超の望む未来”を導くことが出来るだろう。
だがやり直せばやり直すだけ、“失敗した未来”が増えていくことになる。
失敗したらその時間軸には見切りをつけ、また過去へと戻ってやり直すということは、
“未来を救うために、失敗した未来を量産する”
と同じこと。
これでは本末転倒だ。
超は未来を救うために、この時間軸の世界に来たんだから。
だから超は決めた。
“過去を変えるのはこの時間軸だけ”と。
これが超の人生最大の1回きりの勝負。
…………ネギ先生という、あんな大きな落とし穴が有るとは思っていなかったがな。
何万回とやり直してもネギ先生に勝てなさそうなのが怖い。
むしろネギ先生に勝つのなら、ネギ先生が生まれた直後…………は“千の呪文の男”が近くにいるだろうから駄目か。
なら1、2歳のころに暗殺するしかないのではなかろうか? もしくは誘拐して育て上げて、こちらの戦力にする。
きっとそれぐらいしないと勝てないと思う。
…………というか、それぐらいすれば勝てるよな? 勝てなきゃおかしいよな?
いくらネギ先生でも1、2歳のころからあんなバグキャラだったわけないよな?
…………多分、そうだよな?
『…………こうなたら、交渉に持ち込むしかないネ。交渉といても私達が負けた後での話しダガ。
少なくとも“魔法世界の崩壊”だけはネギ坊主に何とか防いでもらおう』
「…………だな。幸いにもネギ先生は“良き敗者”には寛容だ。むしろそういう人物こそ好んでいると言ってもいい。
私達が真剣に全力でやれるだけやり切った上でネギ先生が事情を知ったら、きっと超に手を貸してくれるさ。他の魔法関係者のことだって、ネギ先生ならきっと抑えてくれるだろう」
『ま、いいヨ。これで大分気が楽になた。ここまで来たらもう腹をくくるヨ。私達が勝つにしろ負けるにしろ、どちらでも私の望みは達せられたも同然ヨ。我が計画を潰える。だが私は絶対生き残る。
ならば私はこの戦いが終われば、私の戦いの場へと戻ろう。きとこの世界は大丈夫ヨ。
だからこの世界のことは、この世界の住人であるハカセや龍宮サンに任せるヨ。…………具体的にはネギ坊主のことをネ』
待て! 逃げる気か、超!?
本気で裏切ってネギ先生に引き渡すぞ! …………というか、逃げ切れると思っているのか?
…………それなら別にいいか。
そう思っているのならここは黙っておくことにしよう。フフフ…………。
『く、暗い笑みが怖いヨ、龍宮サン?』
「何でもない。気にするな。超の言うことはもっともだな。もう後には引けないし、ネギ先生なら私達のことを悪いようにはしないだろうさ。
…………ネギ先生の天然さで被害を被ることは間違いないだろうが、そこは我慢しよう。というか正直言ってネギ先生にもう全部任しちゃいたい」
『気持ちはわかるけど、そんな実も蓋もないこと言ちゃ駄目ヨ、龍宮サン。
それにそんなことしたらネギ坊主は協力してくれなくなるヨ』
「わかっている。言ってみただけ…………本音が漏れただけだ。
ネギ先生は優しいが、甘くはないからな。私達はネギ先生が感心してくれるような“覚悟”を示さない限り、手伝ってくれないだろう」
神楽坂達にだってそうだ。
神楽坂達と団欒しているときや神楽坂達を狙っている敵がいるときのネギ先生は、神楽坂達に対して甘いという激甘というか過保護過ぎるぐらいだ。
しかし修行のときはそうじゃない。むしろスパルタ。出来るギリギリの線を見極めて追い込む。もちろん修行後のアフターケアは欠かさないがな。
むしろそれのせいでネギ先生の期待に応えようと、神楽坂達の決意がますます固まっていく。
くそ、天然の女誑しめ。
…………そういえばエヴァンジェリンのメールで、ネギ先生が“恋愛”について目覚めたとかあったみたいだけど、それはどういうことなんだろうな?
『それでは龍宮サンは当初の予定通り、魔法先生達の排除をお願いするヨ。
といってもまだ昼前だから“強制時間跳躍弾”で撃ても、強制認識魔法発動が終了する前に帰てきてしまうネ。
だから4時30分…………いやギリギリすぎるとアレだから、5時くらいまでは情報収集をお願いするヨ。特に本物のネギ坊主の居場所をネ』
「だな。ネギ先生を野放しにしておくのは流石にマズイ。
ネギ先生に近づかないためにも、せめて居場所は把握しておこう」
ネギ先生とは正面切って戦わない。それだけは絶対だ。だからネギ先生に近づかない。近づいて来たら逃げる。
まあ、機会があれば狙撃はチャレンジするつもりだがな。
“強制時間跳躍弾”。
着弾した瞬間、周囲の空間ごと3時間後へと送り飛ばす、超鈴音曰く“最強の銃弾”。尤も、22年に一度、数時間しか使えない期間限定品だがな。
魔法障壁も、剣での防御も無駄。大きく回避するか、遠距離で打ち落とす他ない。ひとたびこの銃弾を喰らったが最後、あの“闇の福音”ですら脱出不可能…………だそうなんだが。
…………本当にネギ先生にも効くのか、コレ?
とはいえ、私がネギ先生に勝つ見込みがある手段はそれしかない。用意した銃弾以上の威力は出せないのが銃使いの限界でもあるな。
神鳴流剣士や西洋魔法使いなら気合と根性で何とかなる場合もあるが、あいにく鉄砲の弾は気合を篭めても威力は変わらん。
しかし何だな。どうやら私も楓や古菲のことを笑えんようだな。
絶望的なまでの力の差なのに、ここまで来たら逆にワクワクしてくるよ。フフフ…………。
…………どうせ負けてもともとだしなー。
━━━━━ 後書き ━━━━━
覚悟完了! 超達に玉砕の用意あり!
半分以上諦めてますが、それが故に逆にイロイロと吹っ切れました。
ネギは日頃の行いの悪さのせいで超達に信用されてませんが、逆にネギに任せれば悪いようにはしないだろう、ぐらいの信頼はされてます。
…………ただ、それ以上にネギのぶっ飛び具合への警戒が強いですがね。