━━━━━ ちびネギ ━━━━━
“ちび”っていっても式神なだけで、本体の僕と同じ10歳の姿してますけどねー。
とりあえず本体は自己嫌悪の真っ最中なので、僕が代わりに……原作の朝倉さんの代わりに最終日イベントの司会をします。
せっかく武道会にはネギ・スプリングフィールドは出ていないことになってますので、このイベントで驚異的な身体能力を発揮しちゃって目立つのは避けておきたいです。
原作みたいに学園祭後もマスコミに追い掛け回されたくないですから。
それに魔法バレとか考えたらアレですし、さすがにCGですって苦しい言い訳はしたくないですからね。
そんなわけでイベントは司会するだけで直接参加する気はありませんが、もしかしたら龍宮さんとか田中さん達が襲ってくるかもしれません。
けどいくら僕が式神とはいえ、本体の全魔力量の半分ぐらいは持っていますから大丈夫です。
例えるなら本体がセルだとすると、僕はセルジュニアぐらいの戦闘力ですね。
そもそも龍宮さんなら僕が式神と気づけるでしょうから、ワザワザ喧嘩売ってきたりはしないでしょう。
ですから流れ弾を気をつけていればいいだけです。
『さあ! 大変なことになってしまいました!
開始の鐘を待たず、敵・火星ロボ軍団が奇襲をかけてきたのです! 麻帆良湖湖岸では既に戦端が開かれている模様!
魔法使いの皆さん! 準備はいいですか!?』
「「あ、ネギ先生だーーー!」」
「ネギ君、司会なんだ…………」
「その魔法使いの格好似合ってるよー」
「ああいうコスプレしてると、イギリス人だから本物の魔法使いみたいやね~」
ああ、ありがとうございます。
鳴滝さん達、大河内さん、明石さん、和泉さんも頑張ってくださいね。怪我はしないように気をつけてくださいよ。
現在5時20分。
やはり原作通りに超さんは計画を早めてきたみたいですね。タカミチが壊したせいで数が減ってますが、それでも2000体以上の田中さんやBUCHIANAが麻帆良湖湖岸が侵攻してきました。
脱げビームのせいで阿鼻叫喚になってます。男にとっては桃色空間みたいですがね。
僕はこの桃色空間見ても…………やはり何も感じませんねぇ。
まあ、この僕は式神ですので、そもそも食欲とか睡眠欲すらありませんから仕方がないですけどね。
本体はどう思うんだろうなぁ?
ん? …………おお、ついに世界樹広場にも田中さんが向かってきました。
武道会のときのようなジオングみたいな田中さんはいないみたいですね。あれは武道会用の特別仕様だったみたいです。
アレがもし出てきた場合は最優先で潰すように本体がアスナさん達に言ってましたので、少数配備されていたとしても大丈夫だと思いますが。
………………というか、タカミチがすげぇ。
1人で麻帆良湖湖岸のど真ん中陣取って、そこから一体も通してないです。さすがに広い湖岸全てをカバーできるわけじゃないので、その脇からドンドン侵入されてますけどね。
張り切ってるなぁ。
やっぱり原作で超さんに負けたのって、全力を出せなかったせいなんですかね?
さすがに麻帆良の街中で『千条閃鏃無音拳』とか『七条大槍無音拳』をぶっ放すわけにはいきませんからねぇ。
「「「「「『敵を撃て』っ!!!」」」」」
お、下で迎撃が始まった。
明石さん達頑張っているなぁ。
頑張れー。僕はここで司会しながら応援していますから。
賞金は奮発するから期待しててくださいよー。
さて、本体はどう動くんだろう?
本体がどう動くか決める前に喚ばれたので、どう動くかはわからないんですよねー。
…………あ、それに“学園結界”も落とされた。
さすがに“学園結界”は本体でも本業ではないので、茶々丸さんに落とされることがわかっててても対応出来ないんですよ。
でも逆に言えば、これで僕も“学園結界”に影響されずに自由に動けるってことなんですがね…………。
それでは僕が今いるここを含めた6つの魔力溜まり。
世界樹前広場、女子普通科付属礼拝堂、麻帆良大学工学部キャンパス中央公園、フィアテル・アム・ゼー広場、龍宮神社、麻帆良国際大学附属高等学校の6ヶ所に配置されている式神全てと同調開始。
…………同調確認。
続いて魔力溜まりの魔力を用いて術式展開。
…………術式展開確認。
本体が事前登録した魔力波長パターン、つまり麻帆良魔法関係者以外の念話妨害結界。及び対無線、携帯電話などの電波障害結界。そして対龍宮さん用の魔力ジャミング結界の発動開始。
…………結界発動確認。
超さん側の連絡手段を遮断終了。龍宮さんの魔眼封じ込め終了。
なお結界は魔力溜りが占拠されても維持できるように結界自身に魔力貯蔵開始………………貯蔵完了。これで何もなければ、放っておいても5時間は結界を維持出来ます。
さぁ、狩りの時間です。
降りるのは場所代の損だと思わせ、相手が有利だと思わせ、引くのは掛け金の損だと思わせて、横合いから殴りつけるのではなくて、自ら落とし穴に落ちてしまうように逃げられないようにジックリと。
……………………本体はマジでどうすんですかねぇ?
僕はここでゆっくりと観戦させて頂きますけど。
━━━━━ 龍宮マナ ━━━━━
ネギ先生を発見した…………というか発見してしまった。
もちろん戦略的には発見出来た方がよかったのだが、個人的には発見出来ない方がよかったと思ってしまうのは仕方がないと思うんだ。
現在の状況としては、“学園結界”が落ちて鬼神の復活までは上手くいったが、お助けキャラクターである魔法関係者の出撃で田中さん達が押し返され始めた。
だから私がお助けキャラクターを狙撃して相手の戦力削ごうと思ったのだが、よりにもよってそんなときにネギ先生が杖に乗って上空をフワフワと浮いているのを発見してしまった。
もちろん式神ではない本物で、ちなみにユニコーンガンダムでもない状態だ。認識阻害などを使用して、一般人には認識されないようにはしているみたいだがな。
さて、どうするか?
当初の目的通り魔法関係者の狙撃を優先するか? それともネギ先生の排除を優先するか?
…………これは後者だな。
一件無防備に飛んでいるネギ先生だが、もしかしたら私を探すために空を飛んでいる可能性がある…………というか、あれだけ無防備に飛んでいるということは実際そうなのだろう。
おそらく魔法関係者が田中さん達を迎撃して、ネギ先生が私達を捜索するという分担のはずだ。キョロキョロと辺りを見渡しているしな。
私達の中の主要人物は超、葉加瀬、絡繰、そして私の4人。
この4人さえ拘束出来れば、いくら田中さん達が暴れようとも最後には学園側の勝ちとなる。
そのために魔法関係者が田中さん達の足止め及び排除を担当して、担任でもあるネギ先生が私達4人の排除を担当しているのだろうな。
しかしここで魔法先生を狙撃したら、その狙撃によってネギ先生に私の位置がバレるかもしれない。
その結果で私を拘束出来たのなら、数人の魔法関係者の損害など微々たるものだ。
だが逆に言えば、ここでネギ先生を排除出来れば私達の勝利が現実的なものとなる。
ネギ先生さえ排除出来たら、怖いものはもうあまりない。
それに麻帆良全体に妨害結界でも張られたのか、念話符でも携帯電話でも超達と連絡がとれなくなってしまった。
こうなると私個人で最善を判断しながら行動するのを強いられてしまう。
まぁ、どちらにしろネギ先生とは戦わざるを得ない。
それこそネギ先生を野放しにしていたら、コチラの戦力をドンドン削っていくだろう。一般生徒がイベントに参加したために、戦力比でいくとコッチが不利なんだ。
結局、今戦うか後で戦うかの違いだ。
それならば、もし排除出来たのなら後々有利に進められる今のうちに仕掛ける。
…………ネギ先生まで約1km。高度500mの上空を時速4km程の微速で前進している。
結界のせいで魔眼でもノイズが入るようになってしまったので、ネギ先生が魔法障壁が張っているかどうかはわからない。
だがコッチはまだ気づかれてはいない…………と思う。
仕掛けるなら今だ…………というか他にない。
さすがに魔法障壁は張られているのだろうが、この“強制時間跳躍弾”なら魔法障壁ごと未来に飛ばすことが出来る………………ハズ。
ネギ先生さえ未来に…………強制認識魔法が発動された後までに跳ばせれば私達の勝ちだ。
跳ばせられなかったら超のせいだ。うん。
私の銃はボルトアクション。
この一撃を外したら次弾装填までに僅かな隙が出来てしまう。ネギ先生ならその隙をついて、1kmの距離をものともせずに私を無力化出来るだろう。
私も接近戦が出来ないことはないとはいえ、それでもネギ先生に勝てると思うほど調子には乗っていない。
だから、この一撃で仕留める。
上空を飛んでいるネギ先生に狙いをつける。
…………。
……………………。
………………………………いくぞ。
タァンッ! と銃声が響くと同時に、ネギ先生とスコープ越しに目が合う。コレに気づくとはさすがネギ先生。
とはいえ弾は音速より速く飛んでいるから銃声で気づいたわけではなく、私の僅かな殺気に気づいて反応したのだろう。
だが、どちらにしろ今からの回避は間に合わない。
どうやら魔法障壁はちゃんと張っていたらしく、ネギ先生の足元で“強制時間跳躍弾”が着弾した。
それと同時に“強制時間跳躍弾”がネギ先生の周囲の空間を包み込もうとして………………包み込もうとして…………霧散した?
バカなっ!?
今のは…………今の空間の包み込もうとした広がり方は…………?
そしてスコープの中のネギ先生の口が動く。
“見ーつけた”
と。
…………見つけられちゃったよ、おい。
しかもネギ先生が携帯電話を手にとってどこかにかけたと思ったら、私の懐の携帯電話が鳴りだした。
結界のせいで電波が届かなかったはずなんだが…………コレ、明らかにネギ先生だよな?
…………出たくないなぁ。
でも出ないわけにもいかないよな。出なかったら問答無用で瞬殺されてしまう。
「……………………も、もしもし?」
『もしもし、ネギです。お元気そうで何よりです、龍宮さん。
今のが“強制時間跳躍弾”ですか?』
「…………そうだよ。今のには驚いたよ。何をしたんだ、ネギ先生?」
『企業秘密…………と言いたいところですが、龍宮さんなら予想がついているんじゃないですか?』
「まあね。…………確認のために聞いておくが、ネギ先生はどのくらいの大きさの障壁を張っていたんだい?」
『直径3kmです。ただし、僕を中心としてではないですがね』
…………やはりそうか。
ネギ先生の足元の障壁に“強制時間跳躍弾”が着弾したとき、魔法障壁ごと飲み込むために広がった空間が、どんなに広がっても魔法障壁を包み込めないまま上空へと広がっていき、終いには霧散してしまった。
おそらくネギ先生は魔法障壁を自分を中心としてではなく、自分を球底に位置するように魔法障壁を展開したんだ。
直径3kmもの巨大な障壁を。
その結果、魔法障壁ごと飲み込むはずの“強制時間跳躍弾”が大きすぎる障壁のせいで霧散してしまった。
上空500mを飛んでいたのもそのためか。
『ただの強制転移魔法なら弾丸に魔力を込めても転送距離はせいぜい3km。だけど“強制時間跳躍弾”なら3時間先に飛ばすことの出来る。
…………しかしいくら弾丸に魔力を込めても、さすがに約14立方kmの空間は包み込むことは出来なかったようですね。空間ごと包み込むなら質量は関係ないと思っていましたが、やはり体積は関係ありましたか。
これで“強制時間跳躍弾”は怖くないのがわかりました』
…………そんなこと想定しているわけないだろう。
この弾丸に込められた魔力量では、おそらく今暴れている鬼神サイズの大きさでも無理なハズだ。
それなのに直径3kmの球状の空間なんか転移させることなど出来るはずがない。
マズイ。これで私に打つ手はなくなった。
『………………ま、龍宮さんはいいか。このままだとどうやらワンサイドゲームになってしまいそうだしね…………。
対処方法がわかった以上、魔法関係者ならその弾は怖くはありません。しかしそれでも一般生徒相手なら充分に効果的でしょう。せいぜいイベントを盛り上げるために頑張ってください。
となると、次は茶々丸さんだなー』
ぐあっ! 何その上から目線!?
私は当て馬か!?
でも確かに戦況はコチラ側が押されている。
田中さん達も“強制時間跳躍弾”で攻撃を仕掛けているが、ただ弾をバラ撒くだけでは一般生徒には効果があってもお助けキャラクターに当てることは出来ず、逆にドンドン破壊されていっている。
それを突破口として一般生徒が盛り返して駆逐されてしまう。
要するにネギ先生は私に一般生徒を狙撃させて、このワンサイドゲームのバランスを調整させようというのか。
完璧に遊ばれているぞ。
「…………気のせいかもしれないが、随分と機嫌が悪くないかい、ネギ先生?」
『“気のせい”? …………今回の件で、いったい何処に僕の機嫌が良くなる要素があるんですか?』
ごもっとも。
悪かった。調子に乗って悪かったから、そんなに怒らないでくれ。
電話が切られ、ネギ先生がフッと消える。転移魔法か。
おそらく茶々丸を探しにいったのだろう。
…………とりあえず私は一般生徒への狙撃に入るか。
あんな“強制時間跳躍弾”の対処方法があった以上、魔法関係者への狙撃は無意味だろう。
だったら一般生徒…………目立っている明石や武道会参加者辺りを排除するぐらいしか出来ない。
………………ネギ先生の思惑通りというのが癪だがな。
いや、待てよ。それなら高畑先生を狙ったほうがいいか。
湖から出てきた鬼神6体を相手して、今だ鬼神を湖から出していない高畑先生を排除。もしくは意識を逸らすことが出来れば、鬼神が内陸への侵攻することが出来るだろう。
それに高畑先生は魔法が使えない。
高畑先生では直径3kmの障壁なんか張れないだろうから、“強制時間跳躍弾”への対処は居合い拳で打ち落とすぐらいしか出来ないだろう。
それなら高畑先生相手には私でも勝機があ……………………あ、あれ? 直径3kmの障壁?
高畑先生に限らず、普通の魔法使いじゃそんな巨大な障壁を張れるわけが…………。
「いやー、まいりました。学園長にさっきの対処方法教えたら、「そんなん出来るワケないじゃろぉっ!!!」って怒られちゃいましたよ」
ネ、ネギ先生っ!?
後ろ!? いつの間に!?
「遅いです。『魔法の射手 戒めの風矢』」
しまったっ!?
私の腹に当てられたネギ先生の手から、『戒めの風矢』が解放されて私の身体を拘束する。
『戒めの風矢』を喰らった以上、生半可なことでは抜けられん。
というか、いつの間にか私もネギ先生に毒され過ぎてたよっ!
直径3kmの障壁なんて簡単に張れるもんじゃない。何より地上では建物が邪魔してそんな広範囲の障壁なんか展開出来るわけがない!
だから魔法関係者への狙撃も充分に効果があったはずなんだ。
ネギ先生の近くにいたせいで、私も魔法関係の常識が狂ってきてたのか………………なんか本気で泣けてきそうだ。
「そんなわけでして、龍宮さんはここで脱落してもらいます」
「…………ワンサイドゲームへの梃入れはいいのかな?」
「ある程度になったら魔法関係者には手を抜いてもらいますよ。
アスナさん達も予備戦力として待機してもらってますので、何かあっても大丈夫でしょうしね」
…………余裕だな、ネギ先生。もう勝ったつもりか?
私にだって“覚悟”はあるんだ。ネギ先生にとっては障害にもならない、一山いくらの存在かもしれないが、それでも“覚悟”はしていたんだ。
あまり私を甘く見るのはやめてもらおうか。
掌の中には“強制時間跳躍弾”。別に銃で撃たなければ発動出来ないわけじゃない。
さきほどは巨大な障壁で“強制時間跳躍弾”を防いだようだが、この近距離ではどうすることも出来まい。
私一人の犠牲でネギ先生を相打ちに持ち込めるなら、充分すぎるほどの戦果だ。
さようなら、超達。どうか死なないd「ツプっとな」ってキャアアアアッッッ!?!?
「“キャア”? 龍宮さんにしてはやけに可愛い悲鳴ですね?」
「そそそそそそんなことより! いったい何をするんだっ!?」
「? 何って、ヘソに指突っ込んだだけですけど…………」
“だけですけど”じゃない! いったい何のつもりだっ!?
…………ちょ、やめてくれ! 指動かさないで! というか何でよりにもよってヘソなんだ!?
「いや、龍宮さん今自爆しようとしたでしょう。案の定、掌から“強制時間跳躍弾”が零れ落ちましたし。
それに目の前に無防備にあって丁度良い位置でしたからね。ヘソは人体の正中線に位置する急所ですからビックリしたでしょう?
といっても『咸卦治癒』発動してますから、痛くはないと思いますけど?」
痛くはない! 確かに痛くはないけど何この新感覚!?
お腹の中を弄られるような感覚!
…………あ! やめて! お願いだからやめてくれ!
指をクニクニと動かさないで!
「…………気持ち良いんですか?」
「そ、そんなことはないぞっ!」
「あー…………龍宮さんはちゃんと健康に気を遣ってます?
ヘソは内臓器官を支配する自律神経が集まっていますから、そこまで効き目があるようでしたら内臓が弱っているんじゃないですかね?」
そういう問題じゃない!
これはまったくもって別の問題だよ!
マズイ。『咸卦治癒』のせいか身体が熱くなってきてる。
ちょっ! やめっ! 何か変になる! 変になっちゃう!
『咸卦治癒』を体験するのは初めてだが、これはマズすぎる! 刹那達が顔を赤くして体験談を話す理由がわかってしまう!
というか『戒めの風矢』のせいで動けないから逃げられない!
身体を拘束されて10歳の男の子にヘソを弄られるなんて、いったいどんなシチュエーションなんだ!?
…………あ。くてっとなる。くてってなっちゃう。
やめてやめてやめてやめて。お願いだから。
「…………フム、せっかくだからマッサージでもしましょうか?
龍宮さんに『咸卦治癒』するのは初めてですよね。どうせ刹那さんが龍宮さんを引き取りにくるまで数分かかりますし」
え!? いらない! そんなのいらないから普通に拘束してくれ!
…………というか刹那がここに来るのか!? こ、こんな姿を見られたら…………。
ちょ、あ……………………アッーーーーー!!
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「…………あ、あのネギ先生?」
「あ、刹那さん。どうしたんですか? せっかく後方100mぐらいまで近づいてきたのに、そこで10分ぐらい立ち止まっていたなんて…………。
何かあったんですか?」
「い、いえ。…………ちょっと近づけない雰囲気だったので……というか気づいていたんですね。
気づいててやってたんですね?」
「は?」
…………み、見てたのか、刹那。だったら助けてくれよ…………。
もう汗でびっしょりだ。顔が真っ赤になっているのもわかる。
15分にも満たない時間だったはずなのに、それこそ倍以上の時間に感じられた。
うううぅぅ…………ネギ先生にその気がないのはわかってはいるが、それでもこんな状態で見られてしまうと気恥ずかしいのには変わりない。
…………それよりか刹那。
何でそんな冷たい目で見るんだ…………?
「それでは刹那さん。龍宮さんの拘束をお願いします。僕は茶々丸さんの確保に向かいますので。
………………居場所は龍宮さんの頭の中から読ませて頂きましたから」
げっ!?
そういえば「気持ち良いですか?」とか「ここが良いんですか?」みたいな質問の中に紛れて、そんな質問が混じっていたような気が…………。
私の口からは答えていないはずだが、いつの間にか読心術でその質問の答えを読んでいたのか…………。
「ああ、なるほど。それが目的で龍宮をこうしたのですか。
でも“いどの絵日記”を使えば良かったのでは? ネギ先生のアー「いや、それはまだ秘密にしておいてください」…………そういうことですか。相変わらず慎重ですね」
…………何があったんだよ?
いや、それより最初から最後までネギ先生に弄ばれた。
もうお嫁にいけない………………元からいく気はなんてなかったが…………。
だが、このままでは終わらん! もう恥も外聞もないが、それでもこのまま終わるなんて悔しすぎる!
せめてネギ先生に…………刹那にでもいいから一泡吹かせたい! 八つ当たりでもいいから!
何か…………何かないか!?
「フフフ…………、私の負けだよ」
「結構余裕だな、龍宮。
まあいい。とりあえず皆のところに連れて行くから、ちょっと“話し合い”でもしようか」
嫉妬か、刹那?
というか目が洒落にならんのだが。
「いや、何。ここまで全力でやって敗れたのなら言うことがないだけさ。
それとネギ先生。さっき私にしていたことなのだが、気持ち良かったから後で刹那にも同じことをしてあげればいいぞ」
「な、なぁっ!? 何を言うんだ龍宮っ!?」
「ああ、やっぱり気持ち良かったんですね」
「ああ、気持ち良かったから、是非とも刹那を含めた全員にしてあげるといい。
きっと皆喜ぶぞ」
私だけがこんな目に遭うなんて認められるか!
どうせなら刹那達も同じ目に遭えばいいんだ!
刹那よ! 私と同じく悶絶して…………って、何余裕そうな顔をしているんだ?
いつものお前だったら、ネギ先生のことでからかえばすぐ顔を赤くしていただろうに…………。
「…………触りたいんですか?」
「? え、何をですか? 僕はただ…………」
「いや、その…………オヘソの辺りをマッサージするということは、私達のお腹を触りたいんですか?
今までネギ先生に腕とか肩とか足をマッサージしてもらったことはありましたけど、ついにネギ先生もソッチ側方面に興味が…………」
「? ……………………! へあっ!?!?
そ、そういう意味じゃありません! ただ龍宮さんが気持ち良かったっていったから、刹那さん達も喜んでくれるかと思って…………。
別に刹那さん達の肌を見たいとか触りたいとか、そういう意味で言ったんじゃないですよ!」
「あ、そういえば武道会終了後…………古のお腹を直接撫でたそうですね?」
「…………。
……………………。
………………………………ぐあっ!? よ……よく考えれば僕は何てことを…………」
「ネ、ネギ先生がそこまで言われるのでしたら、私達だって肌を晒すのは吝かではありませんが…………。
(フフフ、このちゃんの言った通りですね。ネギ先生は自分のすることの重大性に気づけないから、それを指摘することが弱点になると…………)」
バカなっ! 刹那がネギ先生に勝つだと!?
いったい何があったんだ!?
「え……えと…………それでは龍宮さんのことお願いしますっ!」
「ハイハイ。いってらっしゃい、ネギ先生。
…………ウフフ、ネギ先生は可愛いなぁ…………」
顔を真っ赤にして逃げ出すネギ先生なんて初めて見るぞ。
それに刹那がなんというか…………“女”の顔をしている。
「せ、刹那? いったい何があったんだ?」
「秘密だ…………と言いたいが、皆のところにいったら話してやる。
というかエヴァンジェリンさん辺りが嬉々として話すだろうから、それを黙って聞いていればいいさ」
「そ、そうなのか…………」
「お前にも聞きたいことはあるが後にしよう。イロイロとお前も大変だったみたいだしな。
でも、ヘソに指を突っ込まれてたのは見てたが、アレはそんな格好でネギ先生に挑むお前が悪いぞ。ネギ先生はそういうことが全然わからないんだから、やっちゃいけないこともわからないというのはお前も知っていただろう」
「…………身に染みてわかったよ」
「だいたいその格好は何なんだ?
動きやすいようにそうなったのかもしれないが、前から見るとまるでパンツ丸出しじゃないか。それで恥ずかしくないのか?」
パ、パンツじゃないから恥ずかしくないぞ!
それに楓だって似たような格好だろう!
というかコラ! そんな乱暴に俵のように背負うな!
コッチは『戒めの風矢』で身動きが取れないんだぞ!
………………ああ、それにしても負けたな。
やっぱり素直に計画から抜けておけばよかったなぁ。
━━━━━ 後書き ━━━━━
ストパンは見てないんですよね。
ですからネタとして使う気はなかったのですが、“魔法少女プリティ☆ベル”の4巻の特集を見てしまって衝動的に…………。
あと楓やたつみーのああいう太ももが見えるズボンみたいのはエロイと思います。
というか楓ってあの下、もしかして褌?
あ、それと“強制時間跳躍弾”の対処方法はオリジナルですのであしからず。
というか、科学の力を使っているとはいえ、結局は魔力も使っているので『完全魔法無効化能力』で無効化出来るんじゃないでしょうかね?