━━━━━ 大河内アキラ ━━━━━
「ええーーーっ!?」
「お父さんが浮気ーーーッ!?」
待ちに待った夏休み。
期末テストも無事に学年一位で終わることが出来た。
これもきっとネギ君のおかげだね。
私が去年の期末テストで神楽坂さんや夕映ちゃんに負けてから勉強に力を入れるようになったように、クラスの他の子達も真面目に勉強し始めたから全員の成績が上がっているみたい。
…………まあ、超さんは今回の期末テストで初めてオール満点を逃がしちゃったけど、やっぱり学園祭のことが響いているのかな?
それでも私達なんかよりはよっぽど点数いいんだけどね。
「アレ? でもゆーなのお父さんて…………」
「うん、確か独身…………」
「とにかく浮気ッ! いろんな意味で浮気なの、浮気ーーーっ!!!」
…………そのせっかくの夏休みなんだけど、いきなりゆーなに呼び出されたと思ったら何故かゆーなのお父さんのことを尾行することになっちゃった。
ゆーなは相変わらずお父さんのことが大好きなんだね。
でもちょっと度が過ぎていると思うんだけどなぁ。
「しっ! …………来たッ」
あ、ホントだ。
オープンカフェでコーヒーを飲んでいたゆーなのお父さんのテーブルに、20代半ばぐらいの金髪の女の人が座った。
綺麗な人。
大人の女性って感じがする人みたい。
「キャーーーッ! ホントに来たーーー!?」
「スッゴイ綺麗な人だね~」
「ぬぬぬぬ~~~ッ! この…………女狐がッ!!!」
女狐っ!?
というより顔が怖いよ、ゆーな。
「ええやんか。お父さん、せっかくあんな綺麗な人と付き合ってるんなら応援したらな」
「うんうん、カッコイイ女の人じゃん。いいと思うよ~」
「えっ!? だだだだって……………………!」
「うーん、でもちょっと若すぎない? どう見ても20代半ばぐらいでしょ?
私達と10歳ぐらいしか離れていないんじゃないかな」
「!? よく言った、アキラっ!!!
それにイキナリポッと出てきたあんな金髪に獲られるなんてくやしいじゃん~~~ッ!」
い、いや…………ただ思ったことを言っただけで、別に反対しているわけじゃ…………。
まあ、10歳ぐらいしか離れていないお母さんが新しく出来るとなると、私でも遠慮したいところがあるけどさ。
でもゆーなのそのお父さん好きは何とかした方が良いと思うよ。
…………って、アレ?
「アレ、ネギ君じゃない?」
「「「え?」」」
話をしているゆーなのお父さん達のところへネギ君が合流した。
白いワイシャツに白に限りなく近いクリーム色のジャケット、そして灰色のスラックスに黒の革靴姿。さすがにネクタイまではしていないみたいだけど、ネギ君て休日でもキッチリした格好してるよね。
今日は暑くて長袖はどうかと思うけど、強い日差しを避けるためにあの白い服を着てるのかな?
まあ、長谷川が言うには「ネギ先生はただのめんどくさがり屋」ってことらしくて、服装を考えるのが面倒だからああいう格好をしているらみたいだけど、似合ってるからそれでいいと思うな。
そしてそんなネギ君が、ゆーなのお父さん達と同じテーブルに座ろうとした………………と思ったら、金髪の女の人がネギ君を自分の膝の上に座らせちゃった!?
えっ!? 何それ!?
「ちょっ!? ゆーな何なんアレ!?」
「わ、私に言われてもわかんないよっ!」
「あーっ! ズルイ~~~ッ! 私もネギ君抱っこしたい~~~ッ!」
そ、そんなに騒ぐと見つかっちゃうよ!
でもあの女の人は本当にネギ君と親しそう。
女の人は膝の上のネギ君を抱き締めたり頬擦りしたりして、ネギ君はそれを当たり前のように受け入れてるし、ゆーなのお父さんはそれを見て微笑んでいる。
まるで傍から見てたら親子の団欒にしか見えな………………って、まさか?
「…………もしかして、あの人ってネギ君のお母さん?」
「えっ!? ホント、アキラ!?」
「あー…………でも年齢的にあってそうやない?
ちょっとネギ君とはタイプが違うけど、ネギ君はお父さん似らしいって高畑先生と話してるの聞いたことあるし」
「な、夏休みだからネギ君に会いに来たのかな?
だったら挨拶しなきゃ…………って、ゆーなのお父さんの相手がネギ君のお母さんっ!?」
ど、どうなんだろう?
でも確かにネギ君のお父さんは行方不明って話は聞いたことあるけど、お母さんの話は聞いたことないよね?
「ネ、ネギ君が私の弟に…………?
お父さんを獲られるのは嫌だけど、ネギ君が弟になるのなら…………でもあのツリ目が怪しいし…………」
「ゆーな、それズルイっ! 私の弟と交換してよ!」
「あ、ええな~。ネギ君に“亜子お姉ちゃん”とか言われてみたいな~」
…………それいいかも。
ネギ君みたいな弟なら確かに欲しいなぁ。
私達が騒いでいる間にも、ネギ君達の話は盛り上がっているみたい。
凄い楽しそう…………だけど、本当にすごく微妙そうな顔でそれを見てるね、ゆーなは。
「…………あ、バレてもうた」
「え?」
バレたって…………私達のこと?
…………あれだけ騒げばしょうがないとは思うけど…………。
「うん。これ絶対バレてる
ネギ君が手招きしてるし、今ウェイターさんが飲み物を7つ持ってきた」
飲み物7つって…………ゆーなのお父さん、女の人、ネギ君、それに加えて私、ゆーな、亜子、まき絵の7人分?
相変わらずネギ君は鋭いね。
ほら、ゆーな。
とりあえず話を聞いてみればいいんじゃない?
確かに見た感じは仲の良い親子みたいに見えるけど、ネギ君の性格なら再婚とかの大事のことはちゃんと予め根回ししてから話し進めてくれると思うよ。
ネギ君が今までそんなこと言ってなかったのなら違うんじゃないかな?
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「よろしくね、お嬢さん達。ドネット・マクギネスよ」
ゆーなが明らかにホッとしている。
どうやらドネットさんはゆーなのお父さんとそういう関係じゃないみたい。
というより年齢がもう40近いってことの方が私は驚いた。どう見ても20代にしか見えないのに、ゆーなのお母さんとお友達だなんて…………。
外国人だから、私達には年齢の見分けがつかないだけなのかな?
「フフフ、ありがとう。私もまだまだ捨てたものじゃないわね。
それでどうかしら? この子はちゃんと先生としてやっていけているのかしら?」
ネギ君の頭を撫でながらのドネットさんの質問。
やっぱり仲良さそうだけど、ドネットさんはネギ君のお母さんじゃなかった。
何でもマクギネスさんはネギ君の通っていた学校の職員で、校長もしているネギ君のお爺ちゃんの秘書の人だった関係でネギ君と知り合いだったみたい。
「この子、こう言ったらなんだけど天才…………というか天然というか、かなり変わっているでしょう。
飛び級とかしてこの幼さで独り立ちしたのはいいけど、ちゃんとやっていけるか皆心配していたのよ。
この子の従姉からも、今回の出張のついででいいからそれとなく様子を見てくるように頼まれたしね」
「大丈夫ですよー」
「ネギ君のおかげでウチらは皆成績上がって、期末テストで学年一位になれたんですよ」
「はい。他の先生より教え方が上手です」
「でもそのせいで高畑先生が担任クb「ゆーなストップ! あくまで高畑先生が別件で忙しくなったから、ネギ君が代わりに担任になっただけだよっ!!!」…………え? そうなの、ネギ君?」
「…………ノーコメントです」
「(…………高畑さん。これは彼に謝るべきなのかしら)」
あ……あはは…………。
きっと大人の世界には色々あるんだよ。
「ま、まあ…………10歳で教師をするなんて不安だったけど、生徒のあなた達がそう言ってくれるなら安心だわ。
ネギ君のことは小さい頃から知っているから私にとっても息子みたいなものだし、何を仕出かすかわからないヤンチャな子だったから尚更ね」
「えー、ネギ君の小さい時ってどんなんだったんですか?
それにヤンチャって…………?」
「多分、今とそんなに変わらないわよ。私のネギ君への感想は“何考えているかわからない猫みたいな子”だったわ。
野山をアチコチ駆け巡って2、3日戻ってこないとかはザラにあったけど、定期連絡とかはシッカリしてたから注意しづらかったしね。
危ないこともするんだけど、ちゃんと安全を確保してから行なうというか…………」
「アハハ、ネギ君らしいや」
「そのお土産に花とか肉とか鉱石とか色んな物を持って帰ってくるし…………。
そういえば蜂の巣…………コムハニーを採ってきて、おやつにムシャムシャと食べていたこともあったわ。しかも学校の中でね。かなりシュールな光景だったわよ。
アフタヌーンティーのお茶請けに出してくれたこともあったけど美味しかったわ」
「みつばちたちが働くのはね、ぼくにみつを食べさせるためさ!」
ネギ君、ワイルドすぎ。それにいったいどこのくまのプー太郎なのさ?
らしいといえば、確かにネギ君らしいんだけど。
でもよく考えてみればネギ君って本当に変わってるよね。
10歳で教師をするのもそうだけど、頭が良いのに運動とかも凄く出来る完璧超人。
でも嫌な感じはしない。
頭でっかちというわけじゃないし、私達にも上手に勉強を教えてくれる。
ネギ君ぐらいの歳なら女の子に興味が出てきても良さそうなのに、私達を全然そういう目で見てくることはない紳士でもあるし。
「…………そうね。昔からこの子はそうだったわ。
年上の後輩にもちゃんと勉強を教えたりして面倒見も良かったわね………………その分、プライベートではかなり好き勝手してたけど。
だからネギ君を麻帆良に行かせたのよ。こういっては何だけど、ウェールズでのネギ君の生活はあまり一般的とはいえなかったから“普通”の生活も過ごしてみて欲しかったのよ。
あのままウェールズに置いておくと、平日は研究三昧で休日は野山三昧、みたいな生活をずっと1人で過ごしそうだったわ。ネギ君にはもっと人との関わりを持って欲しかった。もちろんそれだけじゃなくて、複雑な大人の事情もあるけどね。
でもさすがに年齢相応に小学校に入れるのはネギ君のためにも…………何より同い年の子供達のためにもならないと思ったわ。ネギ君は良い意味でも悪い意味でも他の子とは違いすぎるもの。
それだったらいっそのこと教師をやらせてみるか、ということになったの。ネギ君なら頭もいいし、女性の扱いにも慣れてるから安心だったわ。少なくとも能力的には心配していなかったわね。
それに…………あなた達には麻帆良の学園長も手を焼いていたらしいしね…………」
「…………え? ウチらのこと、イギリスでも知られてたんですか?」
「ウチの校長と麻帆良の学園長は知り合いなのよ。その線でね。
麻帆良の学園長が言うには、あなた達は上から押さえつけて矯正するよりも、自ら変わっていこうとする気持ちを呼び起こすやり方があっている、ということだったわね。
事実、子供のネギ君に勉強を教わることになったら皆頑張り始めたでしょ?
麻帆良とメルディアナの思惑が一致したのよ。さすがにこんな反則手を常用するわけにはいかないけどね」
「さ、さすがに10歳の外国人の子供に国語まで教わるのはみっともないというか…………」
「だねぇ…………」
大人の人はいろいろ考えているんだなぁ。
でも、そのおかげでネギ君がウチのクラスの担任になってくれて皆の成績も上がったし、ネギ君自身も麻帆良の生活を楽しめてるならそれでいいよね。
「そういえばネギ君。いつウェールズに帰省するのか決まったのしら?
春休みは仕方がなかったけど、夏休みぐらいはネカネさんやアーニャちゃんに顔を見せた方がいいわよ」
「はい。今のところ8/12…………Glorious Twelfthに戻る予定です」
「…………ほどほどにしておきなさいよ。
それと例の話は校長に通しておいたわよ。許可は問題なく出ると思うわ」
グロリアス・トウェルフス? 素晴らしい12日?
どういう意味だろ? それに例の話って?
「ネギ君、イギリスに帰省するの?」
「はい。手紙はよく送っていますけど、やはり一度は顔を見せないといけないですからね。
それにちょっと向こうの学校にも用事があるので1週間ほど…………」
「あー、それはそうやな。もうネギ君が麻帆良に来てからもう半年経っているんやから、お姉さんも心配してるやろうね」
「そういえば木乃香ちゃんも京都の実家に帰省するって言ってたなぁ。
くーちゃんや楓さんも帰省するそうだし、超りんにいたっては心を休めるために旅行をするって言ってたもんね。
…………ネギく~ん、私もイギリス連れてってぇ~~~ん」
「こら、ゆーな」
「まあ冗談はともかく、いんちょ辺りはマズくない?
本気でネギ君についていきそうだけど…………」
「アハハ、いくら雪広さんとはいえ、さすがに僕の帰省についてくるなんてことは………………ない、のかな?」
…………ゴメン。ちょっと不安になってきた。
いくら何でもそれはやめたほうがいいよね。
それとなく委員長に聞いてみた方がいいかもしれない。
━━━━━ ドネット・マクギネス ━━━━━
「それでは近衛学園長。
こちらがメルディアナ魔法学校長からの親書です」
「うむ、確かに頂戴した。
…………すまなかったの、マクギネス殿。どうしても外せない表側の用事があったので、会うのが遅くなってしまった」
「いえ、構いません。
おかげで久しぶりにネギ君の顔を見ることも出来ましたし、元より明石教授とも話す予定がありましたので…………」
久しぶりに『咸卦治癒』の恩恵に与ることも出来たしね。
ああ、本当に久しぶりだったわ。
ウェールズにいた頃もそんなに頻繁にしてくれていたわけじゃないけど、ネギ君が麻帆良に行ってからは無理だったもの。……………………去年ぐらいまでは20代前半に見られていたっていうのに。
フフフ、まあユーナ達に20代半ばに見てもらえるなんて、私もまだまだ捨てたものじゃないわね。
『咸卦治癒』のおかげで、ユーコが生きてた頃よりも若返っていると思えるし。
それにしてもユーナはユーコにソックリね。あわてんぼうな所まで。
私と明石教授が再婚するなんて考えるなんて…………
でもユーナはユーコに似た美人に育つわね。友人にも恵まれているようだし。
久しぶりに日本に来たのだから、この後にでもユーコの墓参りに行かなきゃ。
「…………フム、メルディアナもネギ君に協力してくださるということか」
「もちろんです。ネギ君が関わっているとなると他人事ではありませんし、何よりここまでの大事です。
ただ麻帆良と同じく混乱を避けるために、まだ詳しい事情は校長と私しか知りません。
出来るだけ便宜を図りはしますが、“周りにバレないように”という前提が付きます。本格的な協力は今回のネギ君の調査次第となりますね」
「わかっておる。こんなことを公にすることには出来んからの。
麻帆良としても同じじゃ。知っておるのはワシとタカミチ君と明石教授。それにネギ君関係者だけじゃからの。明石教授にはマクギネス殿を通じてメルディアナとの連絡係を務めてもらおうと思っておる。
…………ああ、それとまだ本人達には教えていないが、今度麻帆良の魔法生徒を魔法世界に短期交換留学生の形で送ることになっておっての。
しかしこんなことが判明したので引率の魔法先生をつけることになったのじゃ。その引率となるガンドルフィーニ先生には後日に詳しい事情を話すことになるじゃろう」
「高畑さんや明石教授なら大丈夫でしょうし、ネギ君が選んだ子供なら大丈夫でしょう。あの子は昔から他人を見る目が鋭いですからね。
ガンドルフィーニ先生のことは存じませんが、確かに生徒を魔法世界に送るとなると、事情を知っている魔法先生が同行なされた方が良いでしょうね」
「まさか中止にするわけにはいかんからのぉ。
そんなことしたらある程度事情を知っている関係者に、魔法世界に何かがあると教えるようなものじゃ」
学園長にも立場がおありでしょうしね。
「イギリス現地時間の8/14に魔法世界の扉が開くのじゃったな。
麻帆良生徒のメガロ滞在予定は8/9~14で、使用する扉もメルディアナではないから入れ違いになると思うが、もし万が一何かあったらよろしく頼みますわい」
「わかりました。お任せください。
ネギ君達は8/13にウェールズに帰省して、従姉や校長と会って一日ゆっくりする予定です。そして8/14に魔法世界に移動ですね」
「ウム。ネギ君もたまにはゆっくりするのがよいじゃろう。彼には世話になっておるからの。
いやはや、それにしてもネギ君は凄いですな。あのような立派な子供を育てられるとは、メルディアナの教育方針を見習いたいものですぞい。
いったいネギ君にどのような教育を施したのですかな?」
「フフフ、恥ずかしながら、ネギ君に関しては本人の努力と才能が大きいでしょう。
私達がしたのは基礎を教えるのと、ネギ君が自由に学べる環境を作り上げただけです。それをあそこまで磨き上げたのはネギ君自身です。
私達は特に何もしてません。褒められるべきはネギ君ですわ」
「……………………やっぱりそうなのかね」
ア、アラ? 近衛学園長が何故か一気に疲れた顔に…………?
もしかしてネギ君たら、麻帆良でもご迷惑かけているのかしら。
あの子、天然だものねぇ…………。
まあ、関西呪術協会の内紛を治めるのに貢献したりなど、年齢不相応の活躍をしているらしいものね。
近衛学園長達が驚くのは無理もないかしら。
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「…………という感じだったわ。
ネギ君も元気だったし心配することはないわよ、ネカネさん。アーニャちゃん」
「……………………」
「まあ…………ありがとうございます。マクギネスさん。
わざわざネギの様子を見て来て頂いてもらって…………」
「構わないわ。私も心配だったし、役得もあったしね」
…………『咸卦治癒』が“闇の福音”の使っていたという『闇の魔法』と『咸卦法』を組み合わせたものだっていうのは今回初めて知ったけどね。
確かにネギ君が新たに開発したオリジナル魔法とは聞いていたけど、そんな代物だと思っていなかったわ。近衛学園長から言われて本当に驚いたわよ。
きっとこのことはネカネさんも校長も知らないのでしょうねぇ。
それにしてもアーニャちゃんどうしたのかしら?
せっかく出張が終わってメルディアナに戻ってきたから、ネギ君の近況を教えたのに不機嫌になるなんて?
てっきりネギ君の近況を聞けば喜ぶと思ったんだけど…………?
「ネギがご迷惑お掛けしていないか心配でしたけど、一般の生徒の皆さんがそう言ってくれたならとりあえず安心出来ます。
ネギがお世話になっているコノカさんから何度か電話で様子を伺ったことありますけど、10歳の子供が先生だなんていまだに信じられなくて…………」
「大丈夫よ。ネギ君はうまくやっているようだったわ。
生徒の皆さんからも好かれているみたいだったし」
「…………ッ!?」
「それはなによりです。
コチラでもネギは後輩の人に勉強を教えてたりしてましたけど、それが役に立ったようですね」
ええ、まさか成績万年最下位のクラスを学年トップにするまでとは思っていなかったけど。
…………そういえば高畑さんは出張中だったから結局会えなかったけど、校長からネギ君がお世話になっていることについてお礼を言ってもらった方がいいかもしれないわね。ウン。
「それにしても魔法の国に行くなんて…………。
いったい何をしに行くのかしら?」
「…………麻帆良の学園長のお使いよ。私もメガロまでは一緒に行くから心配することないわ。
ネギ君達の強さも心配しなくてもいいぐらいのものみたいだしね」
「えっ!? …………ネギ達の強さって…………どれくらい?」
「そうねぇ。麻帆良の学園長が言うには、ネギ君の従者になった子達だけでも、全員でかかれば高畑さんに勝てるぐらい。
ネギ君に至っては“闇の福音”に勝てるぐらい…………という感じらしいわ。
…………学園長はやけに言葉を濁してた…………というか言いたいけど言えない顔をしていたのが気になったのだけどね」
「ネ、ネギの従者の人達…………“闇の福音”……………………くっ!」
「まあ、ネギったら凄いのね。
私が見たことあるのは治癒魔法と転移魔法ぐらいだったけど…………」
「あの子はメルディアナでは授業は真面目に受けてたけど、それ以上に山篭りで好き勝手してたときに色々と自己流で修行していたらしいからね。そもそも力をひけらかすような子じゃないし、やっぱり相変わらず名声とかには興味ないみたいよ。
従者の子達に魔法も教えているみたいだし、もうすっかり“先生”ね。その従者の子達とも会ったけど、皆良い子だったわよ。ネギ君とも互いに分かり合えていたみたいだs「つまりイチャイチャしてるってことネ!!!」キャアッ!?」
い、いきなりどうしたの、アーニャちゃ…………って、アラ?
もしかして嫉妬かしら?
━━━━━ 後書き ━━━━━
ドネット達はネギの実力は知りません。
そしてガンドルフィーニの魔法世界行きが確定しました。学園長の八つ当たり乙。
でも生徒だけで送るっていうのはもともと変ですよね。