アモンと愛香に医療班とビーストウォーリアの物資の搬入状況を確認した後、二人と別れたあと優はブリッジに向かっていた。
優は、ブリッジに戻ると艦長席に座るとメインシステムである自立AIのフレイアを起動させる。
「フレイヤ、各システム起動」
「了解、システムを起動します」
優の呼びかけに自律AIのフレイヤが答え、その命令どおりに各システムを起動させていく。
「各システムの起動確認…システムチェック…全システムオールグリーン」如月香織が、優に報告する。
「愛香さん、乗組員の配置状況はどうですか?」優が、愛香に通信を繋げるとホログラフスクリーンが開き、そこに愛香の姿が映しだされる。
「大体、振り分けを終えたけど…ある意味、無理矢理よ」
「無理矢理?」
「ええ…例えば、主砲には、戦車の砲撃手や野戦砲の砲手を充てたりとかね」
「あはははっ・・・それは、凄いな~」
「笑い事じゃないわよ!!…砲手に充てた人員だって、ビーストウォーリアが、陸戦や敵艦への白兵戦なればそちらに行かなきゃならないんだから」
「その辺は、フレイヤ(AIの名前)におんぶに抱っこで行くしかないわね」優が、ため息をつきつつ答える。
「そうね…あと、機関部員と技術班になりそうな人は居なかったわ」
「機関部員ニツイテハ、暫くの間は、ドロイドたちにヤラセレバイイデショウ」アナライザーが、フレイヤの操縦席で各システムや計器、操縦桿を確認しながら言う
「うん、其れしか無いみたい…アナライザー以外のドロイド達は、エンジンブロックに移動して下さい」
優に声をかけられたドロイド達は、次々とブリッジから出ていき機関部へと向かって行った。
「フレイヤ、発進シーケンス開始、アナライザー、マニュアルで発進するわよ。フレイヤそのフローを宜しく」
「了解しました」
「姫チャン、マカセテクダサイ」
優の指示にフレイヤとアナライザーがそれぞれ答える。
「アナライザー、私一応、艦長なんだから…姫ちゃんは止めて」優は、艦長席に突っ伏しながら言う。
「ソレハ、難シイデスネ…モウ、癖みたいなモノデスカラ」
「アナライザー…あんたロボットでしょうが…」とジト目でアナライザーを睨みつけるが、
「ソレハ、私ガ、高性能ダカラデス」とどこ吹く風のごとく言う。
「はぁ」優は、ため息をつくと「香織さん、全艦に通達!! 本艦は、これより発進シーケンスに入ります。総員直ちに配置につくように」
「了解」
「全艦に通達、本艦は、これより発進シーケンスに入る。総員配置に付け、もう一度繰り返す、本艦は、これより発進シーケンスに入る。総員配置に付け!!」防衛軍でオペレーターの経験が、在るだけあり中々に様になっている。
「ドック内、注水開始!!」
「ドック内、注水開始します」AIフレイヤ答えると同時にドック内に海水が流れ込んでいく。
「注水率、30%…40%…50%…上部注水管閉鎖便オープン…注水率、70%」
ドック上方の注水弁が開きそこからも海水が、ドック内に注ぎ込まれる。ドックの水位は、ますます勢いを増して上昇していった。
「本艦、完全に水没しました。船体に異常なし」香織が、艦の状況を報告する。
「注水率100%」
「ロック解除!!」フレイヤの注水カウントが100%になったのを聞くと優は、船体の固定アームを解除する。
ガコン、ガコン、ガコン
大きな音をたて次々と固定アームが解除さていく。
「補助エンジン始動…微速前進」
「補助エンジン点火…微速前進」優の指示を受けてアナライザーが、操作パネルを操作し操縦桿をゆっくりと動かしていく。
その動きに合わせ、艦内に重低音のエンジンが響きその力を振るわせるように船体を振動させる。固定アームから開放されたフレイヤの船体が、ゆっくりと動き始める。
「メインゲートオープン」
優の指示と同時にドックのメインゲートが開いて行く。
「第5船速!!」
「波動エンジン出力上昇、微速から第5船速へ」
優の指示を復唱しながらアナライザーが、フレイヤの速度を上げていく。
メインゲートから出るとフレイヤは、深度600メートルの海中にでる。
「第4船速、浮上開始」
「第5船速カラ第4船速へ…艦首30度上ゲ・・・」アナライザーが、フレイヤの速度さらに上げる。
「深度、400・・・200・・・」
「メインエンジン点火、第3船速へ」
「メインエンジン点火、フライホイール接続、第4船速から第3ン船速へ」アナライザーがコントロールパネルを操作するとフレイヤのメインエンジン始動し、海中から飛び出し、その船体を空に押し上げていく。
「第1船速・このまま大気圏を突破します」
海中か爆音を響かせながら飛び上がったフレイヤは、そのまま加速を続け高度をどんどん上げていく。
「第3船速カラ第1船速へ」
「第1船速から一杯へ」
「第1船速から一杯へ」優の指揮に復唱し操縦するアナライザー
「大気圏の突破を確認、地球の引力圏より離脱しました」フレイヤの声が全艦に響き渡った。
優は、メインスクリーン映る地球を見ながら、ここまでは、何度も訓練できた事があるけど…ここから先は初めての世界なんだ。
不意に何とも言えない恐怖と不安が、優を襲った。
宇宙は、神秘とロマンの世界であり、人類に残された最後のフロンティアと言っていいだろう。しかし、同時に死の世界でもある。宇宙船の装甲の一歩外に行けば、真空と放射線の生身の人間が生きることを許さない世界なのだ。
昨夜まで旅行のつもりでいた14歳の少女が、不安になるのも仕方ないことだろう。
しかし、優には、その不安を恐怖を振り払う事が出来ていた。持ち前の好奇心や行動力もその一つなのだろうが、それ以上に自分の道を自分で決める事を許しその背中お押してくれた、古代たちヤマトのクルーが、14歳の少女の船に乗り込んでくれた愛香たちの心が、しっかりと優を支えているのだった。