杏子はトリコの勧めもあり、彼の家に居候させてもらいながら、美食屋の見習いとして、彼に色々な事を教えてもらうことになった。
初めに心構えと言う点でこの業界での常識を叩きこまれ、初めに教えられたのは今や美食屋にとってなくてはならない存在の『グルメ細胞』について。
「コイツを発見したのは、かつて『美食の神』と謳われた伝説の美食屋アカシア……」
礼節に関してはあまり得意でないトリコでも、アカシアの話をする時だけは常に感謝の気持ちを忘れないと言う心構えが話を聞いている杏子からも伝わってくる。
目の前の杏子も話を聞く準備が出来たのを見ると、トリコは改めてアカシアが残してくれた偉業に関して話し出す。
この世のありとあらゆる食材を見つけた彼が最後に目指した場所は深海。
そこで彼は天国を見ることになった。
それは澄み切った眩しい光景では無く、『味』であった。
一匹の巨大な魚をさばいて刺身にして食べた瞬間、アカシアは絶句した。その魚のあまりの美味しさに。
形容できない程の旨さ。信じられないほどの幸福感が全身を包んだ。
それは産声にも似た感動であった。それから彼の研究の日々は始まった。
長い長い研究の結果、アカシアはついにその根源を発見する。
それは一匹のクラゲだった。少しずつ形を変え、進化しながら何度も再生するクラゲ。
深海の楽園の魚たちはこのクラゲを食べていて、そしてそのクラゲを食べた魚はその魚特有の旨味が増していたのだ。
「アカシアはそいつを『グルメクラゲ』と名付け、そしてそのクラゲから採取した細胞が『グルメ細胞』だ」
そこからトリコはもっとも重要なキーワードである『グルメ細胞』に付いての説明に入る。
優れた再生機能と生命力を備えるグルメ細胞は、他の細胞組織と上手く結合すれば、その組織の長所を驚異的に伸ばすことができる。
「美味いリンゴはより美味く! 美味しい牛肉はより美味しく!」
話している途中で熱がこもりすぎたのか、トリコは途中で『ホワイトアップル』と『白毛シンデレラ牛』のステーキを一口で食べだし、エネルギーの補給をする。
基礎代謝と言うのは分かるが、真面目な話をしている最中にも食い意地だけは変わらないトリコに杏子は呆れた顔を浮かべるが、じっくりと咀嚼してから飲み込むと話を再開する。
「そいつを人体に結合したら、どうなると思う?」
ここでトリコは今まで以上に真剣な顔で話し出す。これは杏子がショックを受けないように心構えをしっかり持ってもらいたいと言う無言のアプローチ。
「結合に成功した人間は圧倒的な生命力を手に入れて超人と化す。更にその実力は美味い食材を食べれば食べるほどレベルアップするんだ。だがうまく適合できなかった場合、最悪の場合グルメ細胞の力に負けて、死ぬ……」
ここでトリコは一旦話を止め、杏子の様子を見る。
一般的には明らかになっていない美食屋の真実を知って、酷いショックを受けてPTSDになってしまう人は決して少なくはない。
優先的に美味しい食材を食べれるグルメ時代に取っては夢のような仕事ではあるが、美食屋と言う仕事には闇の部分も強い、その闇に杏子が耐えきれるかどうか不安だったが、トリコの不安とは裏腹に杏子は相変わらずの平然とした顔で話の続きを待っていた。
「だからか、お前の化け物じみた強さも理解出来たような気がするよ」
「『化け物じみた』だけ余計だ。でも不気味なぐらいに落ちついているなお前……」
杏子の軽口に対して軽く皮肉を言うトリコだったが、14歳の年端もいかない少女が美食屋の闇の部分を見せられても、眉一つ動かさずに平然としていられることがトリコに取っては驚きだった。
「別に驚くことでもないさ、アタシも似たような経験はある……」
自分の闇の部分を語ると杏子もお腹が空いたのか、目の前に無造作に置いてあるホワイトアップルを食べる。
物を食べると言う点で気持ちと言うのはやはり重要な物。
嫌なことを思い出した杏子の舌に広がるのはジャリジャリとしたリンゴの嫌な部分が全面的に出た食感。
だがそれでも通常のリンゴより糖度の高いホワイトアップルは自然と杏子の頬を緩ませ、美味しさに負けた杏子は魔法少女としての経験を異世界から来たと言うこと以外は上手に隠して、自分の経験を語り出す。
「だがアンタらの方が何倍もマシだ。事前に全ての情報を教えてもらえるし、生きている躍動を感じられるってのは最高だ。それに比べ、アタシがしてきた経験は体が生きているフリをしているようなもんだからな……」
ホワイトアップルを丸々一個食べ終えると杏子はそれ以上語ろうとしなかった。
その神妙な表情を見て、トリコはこれ以上杏子から何かを聞きだすことは出来ないと判断し追求することをやめるが、正直な話聞かされても何が何だか分からないと言う思いが強かったからだ。
黙り込んだトリコだったが、グルメ細胞の話を聞いてから一つの疑問が生まれ、杏子はその事を聞き出そうとする。
「アカシアってのがアンタらにとって神にも等しい存在だってのは分かったよ。でもさ……そのグルメ細胞が見つかる前まではどうやって猛獣たちと戦ってたんだ?」
話を聞く限り古代から猛獣は居て、それらと戦っていたのだろうが、自分の世界で言うならキュゥべえとの契約も無しで魔女と戦うような物だ。
もっともな杏子の質問に対して、トリコが懐から取り出したのは針を打ちだすタイプの麻酔銃を見せる。
「それは人類の英知『ノッキング』での対応さ」
聞きなれない単語に杏子は困惑の表情を浮かべるが、ここでトリコは針を自分の腕に打ちつけると筋肉に針を刺した状態で説明を始める。
生物の小脳にある運動を司る神経組織に一時的に刺激を与えて麻痺状態にすることをノッキングと言われる。
これにより非力な人類でも凶暴極まりない猛獣たちと渡り歩いてきた。人類の素晴らしい技術。
トリコも何度もお世話になっている技術だけに感慨深いと言った表情を浮かべる。
「オレたち美食屋の間では、このノッキングを完全に極めたマスター、通称『ノッキングマスター次郎』って伝説の美食屋も居てだな。一度お目にかかりたいもんだな……」
「誰もお前の願望は聞いてないよ」
多少冷めた感じで言う杏子は言う。
そして戦うべきすべがあると知ると杏子はゆっくりと立ち上がって、二個目のホワイトアップルを手に取って食べる。
冷静になって考えてみれば、戦うすべが一種類だけじゃないのは当たり前のことである。
魔女と戦うすべとして魔法もそうだが、近代兵器である銃火器を使っている魔法少女だっているんだ。
何にせよ戦うすべに選択肢があるのは幸運なことだ。
自分が戦った魔女は倒す以外に救うと言う選択肢は無かったのだから。
「美食屋の仕事を教えてもらうってのはヒヨッコのアタシに取ってはありがたい限りだ。それで美食屋になるためにはグルメ細胞を移植しないといけないのか?」
ここで杏子はもっとも重要なキーワードをトリコから聞き出そうとする。
自分たちが居た世界ではキュゥべえとの契約によって、多くの大切な物を失った杏子だけにこの辺りは詳しく知っておきたいところであり、一語一句聞き逃さないように真剣な顔を浮かべていた。
対してトリコは普通の顔を浮かべながらも、ホワイトアップルを食べつつ自然な感じで答える。
「それがデフォルトになりつつはあるけど、別にやらなきゃダメだってことはねぇぞ」
「エラいちゃらんぽらんだな……」
細かいことを気にすることのない大味なのはトリコだけではなく、世界全体がちゃらんぽらんになっているのを改めて杏子は再認識させられてしまう。
だが美食屋として看板を上げるだけなら、誰にでも出来ることだからグルメ細胞の移植がなくても、ノッキングに関する知識が無くても可能。
しかしそんな美食屋は金だけを受け取って、逃げ出す犯罪者がほとんどのため、依頼者の信用を得るためにも、どちらか自分の武器と呼べる物を持たなければ厳しいことをトリコは杏子に告げた。
「まぁ最初は猛獣に慣れるのが第一関門だな。シュミレーションはバッチリでも現物を見た途端、腰がすくみ上がって猛獣の餌になってしまった美食屋ってのは少なくないからな」
いきなりグルメ細胞を移植されるとばかり思っていただけに杏子は呆けた顔を浮かべていた。
だがトリコの言うことはもっともである。
魔女との戦いで異形との戦いは慣れていたはずの自分でさえ、初めてゲロルドを見た瞬間は腰がすくみ上がり、戦って食するなんてことは思いつかなかった。
それにグルメ細胞を移植されてもトリコのように一切の狩りを素手だけで行う美食屋はほとんどいない。
大体の美食屋は罠を張って、猛獣の虚を突くトラップ戦術がほとんど。
それでも全てが規格外の猛獣を相手にするには、自身を超人に変えるグルメ細胞に頼らざらるを得ない。
「まぁグルメ細胞の移植云々に関しては今後の課題だな。まずは話した通りの第一関門をクリアすることからだ」
まずは猛獣に慣れろとだけ言うとトリコはこの日の食事を狩るため、麻袋を持って狩りに出かけていこうとする。
「保存とかしないのか?」
杏子は呆れたように言う。
トリコが住んでいるスイーツハウスには冷蔵庫が無い。
エアコンやテレビなどは全てが最新式なのに関わらず、生きる上で必要な冷蔵庫が無いのはおかしな話。
それでなくてもトリコのように異常に基礎代謝が高く、僅かばかりの絶食でも命にかかわるレベルになってしまう彼がおやつ程度の食糧しか用意しなく、もしもの時のために非常食を用意しないのはおかしな話であり、それを杏子は突っ込んだ。
「狩るのは今日食べる分だけだ。明日の分は明日狩る」
「それが美食屋のルールなのか?」
「オレのルールだ!」
威風堂々と語りながらトリコはジンのボトルをジュースのようにラッパ飲みしながら、家を出ていき狩りへと出かけていく。
それは命に関して本当に真摯に向き合っていることなのだろうと杏子は感じ、初めてトリコと言う人間の深い部分に触れたような気がした。
「お前の相手は明日までには用意しておくからな――!」
数メートル先からでも届いたトリコの大声はまるで耳元で叫ばれたように響き、杏子は耳を押さえながら鼓膜に残る大声に苦しめられる。
決して見下すべき相手ではないのは分かるが、全てが規格外なのは何とかしてもらいたいと思いつつ、杏子はすっかり気に入ったホワイトアップルを食べながらトリコの帰りを待つ。
自分もいつか自分だけの力でこんなに美味しい物を捕まえてやると心の中で誓った。
それがさやかへ本当に分け与えるべき幸福感だと信じていたから。
***
トリコが杏子の修行のために用意したのは薄暗い洞窟だった。
2メートルを超すトリコに取ってそこは洞窟と言うよりは横穴に近い物であり、奥行きもそこまで深くはないので、何度も「狭いな……」と愚痴を言いながらも杏子のために用意したノッキングガンを手渡すと、彼女の頭のサイズにあったライト付きのヘルメットを被らせて奥の方を指さす。
「今回お前が相手するのは捕獲レベル1以下の『おしり虫』だ」
早速杏子はしかめっ面を浮かべてしまう。
ふざけた名前の相手に戦闘意欲を一瞬無くしてしまいそうになるが、ライトが洞窟の奥から現れる異形を照らし出す。
つぶらな瞳こそ持っているが、胴体の部分は名前の通りおしりに近い形であり、側面からは無数の虫の足が生えている姿は人によっては嫌悪感を抱くデザインの異形であった。
だが大きさは60センチ程度であり、捕獲レベルが最弱の1以下なのも納得が出来る。
魔法少女としての力も失った非力な少女でも十分に相手ができる猛獣だ。
「因みにノッキングする場所だが、額の中心部分に一発食らわせれば大人しくなるから……どうしたアンコ?」
自分の話も聞かず次々と現れるおしり虫に憎しみの表情を向ける杏子にただならぬ物を感じるトリコ。
いつもだったら怒る『アンコ』と言う呼び方にも対応せず、杏子はノッキングガンを持つ手に力を込めると目の前のおしり虫に自分が憎むキュゥべえの姿を重ね合わせた。
顔がそっくりなことから魔法少女として生きていた頃のことを思い出し、ふつふつと怒りの感情が蘇ってくる。
その怒りを感じ取ったおしり虫たちは逃げようと杏子に背を向ける。
「逃げてんじゃねーぞ!」
普通ならば例え力は無くてもこれだけの量の猛獣が現れれば腰が引ける物。
その辺りを考慮してトリコも初めは見せるだけで慣れさそうと思っていたのだが、予想以上に好戦的な杏子はトリコに教えてもらった通り、おしり虫の体を捕まえると顔を自分の方に向けさせてノッキングガンで額を打ち抜く。
初めてとは思えないほど見事なノッキングが成功し、おしり虫は眠るように横へと倒れ込む。
その後も手際よくノッキングを繰り返す杏子を見て、ここは彼女一人でも大丈夫だろうと思い、自分はお手製の釣竿と20メートル級の大きさの猛獣でも入れることが出来る特製のクーラーボックスを持って、釣りへと向かおうとしていた。
「終わったら洞窟の前で待っていてくれ」
そう言うとトリコはこの日の食糧を求めて、釣りへと出かけた。
トリコが居なくなってからも杏子は経験値を積むため、そしてキュゥべえへの憎しみをぶつけるようにおしり虫へノッキングを繰り返していた。
***
30分ほど経つと100匹近く居たおしり虫全てのノッキングは完了し、杏子の足元には眠るように横たわっているおしり虫がいるだけだった。
奥の方に行けば、まだおしり虫は居るのだろうが、憎しみだけで静かに暮らしているだけのおしり虫に危害を加えるのは良心が痛む。
ある程度暴れるだけ暴れて、心に落ち着きを取り戻した杏子はトリコに言われた通り、洞窟の外に出てトリコの迎えを待つ。
薄暗い洞窟の中に居たのか太陽の光がまぶしくて杏子は目を細めていたが、やることも無いのでノッキングガンを手でもてあそびながら寝転んで、これからのことを考えようとしていた。
当分はトリコが言うように猛獣へ慣れるのが先決、そこから自分の長所、持ち味、武器が何なのかをじっくり検討した上で戦い方と言うのを考えていけばいい。
何にせよじっくりと考えられる時間があると言うのは素晴らしいことだ。
魔法と言う物に夢や希望を先入観から抱いてしまい、取り返しのつかないことになってしまった昔とは決定的に違うところだ。
全てを失い0からの状態だからこそ、見える物や分かる物だってある。
この辺りは危険な猛獣も居ないと言うトリコの言葉もあり、杏子は疲れた体を休めようと目を閉じそのまま眠りに付こうとした。
「アンコ――!」
眠ろうとした途端に歓喜のおたけびが響き渡る、
何事かと思い杏子が体を起こすと、目の前には瞳孔が開いた状態のトリコがこちらに向かって走ってきて、釣竿を勢いよく振ると釣り針に杏子のパーカーが引っかかり、そのまま担ぎ上げる状態でトリコは走り出す。
「何の真似だ!? 一人で歩けるから下ろせ!」
「残念ながら特急と化したオレは止まらないぜ! 美味い飯がオレを呼んでんだよ!」
そう言ってよだれをすすりながら、トリコは自分の家へと急いでいた。
言葉の通り特急並みのスピードで駆け巡るトリコの脚力に、杏子の脳内で再生されたのはジェットコースターに乗った自分。
付き合いはまだ短いが、こうなった状態のトリコが人の話に耳を貸すとは思えない。
杏子は半ば諦めた状態で釣竿にしがみついて家への到着を待った。
***
トリコの家であるスイーツハウスの前で家主の到着を待つのは一組の男女。
女はショートヘアーの黒髪で右目の下にトリコと同じ三本傷を持った少女。
男の方は膝まで届く超ロングヘアーをなびかせながら、クーラーボックスに入った食材を撫で上げていて、中の食材に心底陶酔している様子が見えた。
「来たよ、お兄ちゃん」
少女の方が指さした先を青年も同じように見つめる。
砂ぼこりを立てながら向かってくる相変わらずのトリコを見ると、青年は露骨に嫌悪感を露わにした表情を浮かべるが、少女はトリコが近付いて来るとパッと花が咲いたような笑みを浮かべ、抱きつこうと彼の元に駆け寄る。
「トリコ~ウチ来たし~え?」
少女は釣竿にしがみついている杏子を見ると、露骨に不快そうな表情を浮かべ、釣竿から杏子を強引に地面へと下ろすと、ジト目で杏子のことを睨みつける。
「アンタ、トリコのなんなのさ?」
その口調から明らかに敵意を持っている物だと言うことを杏子は感じ取る。
未だに目が回っている状態ではあったが、売られた喧嘩は買う主義。
火が点いたのか、睨みつける少女と同じように自分も睨み返し、二人はヤンキーの喧嘩のようにメンチの切り合いになっていた。
「そっちこそ何だ? 初対面の人間に対して明らからに喧嘩売るような真似をして? 常識ってのが無いのか?」
もっともな正論を言われると、後ろでその様子を見ていた青年は意地の悪い笑顔を浮かべながら笑い飛ばし、妹に自己紹介をするように促す。
「その少女の言う通りだぜリン。ちゃんと自己紹介をするんだな」
「分かったし……」
兄に促され妹は渋々ながらも杏子に対して自己紹介を始める。
「ウチはリン。仕事はIGO内のコロシアムで……」
「ヘアロック!」
リンが仕事の紹介をしようとした瞬間に兄は指をリンに突き出すと、突然リンは金縛りにあったように動かなくなる。
苦しそうに痙攣しながらかろうじて動く首を兄の方に向けると、恨みのこもった視線を兄へ送る。
「その事は一応はトップシークレットなんだぞ! 当たり前のようにペラペラと話す奴が居るか!」
正論を言われるとリンは何も言い返すことができずに目に涙を浮かべたまま黙りこくってしまう。
だがここで杏子は聞きなれない単語に再び戸惑いの色を見せてしまう。
『IGO』と言うのも聞いたことが無いが、『コロシアム』がどう言う物なのかと一番の興味を持った。
思い浮かべるのは血なまぐさい激闘の数々。
人間同士死ぬまで戦い合わせるのかとも思ったが、全てはこれから知っていくだろうと判断して、杏子はこれ以上考えることをやめた。
だが次に疑問に思ったのが先程青年がリンに施したヘアロック。
技の名前とリンの症状からノッキングをリンに施したと言うのは分かったが、ノッキングガンも持っていないのにどうやってそれを施したのか理解できず、杏子は考え込んでしまう。
「ウヒョー! 美味そうだ!」
そんな杏子に構わず、トリコは青年が用意したクーラーボックスの中に入っている酒を見ると、目をハート型に輝かせながらよだれを垂らして今にも飲みたいと言う衝動に駆られていた。
「相変わらず品性の欠片も無いな、お前は……それこそオレがフルコースのドリンクに選んだ『カリスドラゴンの鱗酒』だぞ、もう少し丁重に扱え!」
青年はようやく納得が出来る食材が見つかったことをトリコに自慢しようと、彼の家を訪れたのだが、ろくに話も聞かずに鱗酒をジッと眺めていた。
カリスドラゴンの鱗は宝石のように光輝いていて、一つ一つが別々の色で輝き、その姿はまるでイルミネーションを連想させる物だった。
酒の方は澄み切った透明色であり、水と言っても差し支えないほど澄み切った物だった。
普通ならばその美しさに心を奪われるのだが、味にしか興味の無いトリコは指でコルクを引き抜こうとしたが、青年が露骨に不快な表情を見せると誤魔化すように笑ってクーラーボックスの中に戻す。
「と言う訳で今日はオレのフルコースのドリンクが決まったお祝いに、お前の家でパーティーをやろうと思ってな。だがさすがはトリコだ、連絡も無しに来たのによく分かったな」
「オレの嗅覚を舐めんなサニー! 美味いもんがあれば例え地の果てでも飛んでいくぜ!」
自慢の鼻を鳴らしながら豪快に笑い飛ばすトリコに青年も同じように笑う。
だが目の前でそれらの光景に呆気に取られている杏子の姿を見ると、思い出したように彼女のことに付いてトリコに聞く。
「まぁそれはいいんだが、あの少女は誰だトリコ? 食事会の前にハッキリさせておきたい」
「しばらく俺のところで預かるところになったアンコだ。今は俺の家に居候しながらも美食屋の勉強中の見習いだ」
自分の呼び方がすっかりアンコで定着したことにため息を一つ杏子はこぼす。
新しい名前がよりにもよって自分がもっとも嫌う呼び方になってしまったことを嘆いていた杏子だが、青年は杏子の元に近付くと品定めするようにじっくりと眺めて、頬に両手を添えるとその顔をジッと見つめる。
「な……何だよ?」
「ふむ。荒削りな部分も多いが、まぁ美しいと言えないこともない」
それだけ言うと青年は杏子から離れていく。
だが自分の言いたいことだけ言って、勝手に品定めをされたことが杏子は気に入らなく、軽く威圧するような感じで青年に話しかける。
「待てよ。名前ぐらい名乗ったらどうなんだ」
杏子に言われると青年はまだ初対面の少女に対して自己紹介をするのがまだだったことを思い出す。
青年は振り返ると右手を突き出して、自分の一番の決め顔を浮かべると、自分に陶酔した状態のまま自己紹介を始める。
「ならば挨拶をしよう、美食屋見習いアンコよ。オレの名はサニー! この世界で最高峰の美を求める孤高の美食屋だ!」
自分の中で最高のアピールが出来たことにサニーは満足したのか、恍惚の表情を浮かべながら固まっていた。
またしてもキャラの強い相手が出てしまったことに、杏子は何も言わずに呆れた顔を浮かべていて、トリコは気にすることなく、再び食欲に火が点いたのか、もう一度カリスドラゴンの鱗酒をクーラーボックスから取り出すと、目を輝かせながら見つめて早く飲みたいのか、自分のクーラーボックスから今日捕った獲物を取り出す。
「とにかく早く飲もうぜ! つまみだったら用意してあるからな!」
そう言ってトリコが取り出したのは10メートル近くはある黄色いイカ。
ノッキングが解けてきたのか、うねうねと足を動かすその姿にサニーは後ずさりして不愉快そうな表情を見せる。
「キモ! 何だその美しさマイナス100な食材は?」
「『カレーイカ』を知らないのかよ? 捕獲レベルは3と低いわりには、美味いんだよな……」
その名の通りシーフードカレーの香ばしい匂いが漂ってくるイカに食欲は刺激され、トリコはもう我慢が出来なくなったのか、家の中に入ると早速カレーイカの調理を始めようとしていた。
「まったく……カレーが酒のつまみになるとでも思ってんのか? つまみとはこのようにビューティーな物を言うんだ」
そう言いながらサニーがクーラーボックスから取り出したのは新雪のように光り輝く真っ白なチーズ。
「『スノーチーズ』極寒の地の洞窟でのみ仕上げられる最高のチーズだ。IGOの研究で人工的に作ることもできたが、やはり天然物には及ばないからな……」
自分が用意したつまみに陶酔しながら、サニーは一口チーズをかじる。
その瞬間口の中には吹雪が吹いたように一気に冷たさが襲うが、すぐにチーズ本来の甘みが広がっていき、サニーは目を閉じながらその美味しさに陶酔し、グルメ細胞が活性化したのか体に僅かばかりの発光を浮かべながら一言つぶやく。
「う~ん……デリシャス……」
両手を胸の上でクロスさせて恍惚の表情を浮かべるサニー。
その姿に腹立たしい物を感じた杏子は額に血管を浮かべると、未だに悦に浸っているサニーに目がけて飛び蹴りを放つ。
「きしょいんだよ!」
ここでノッキングが解けたのか、リンも同じように頷いて日ごろの鬱憤を自分の代わりに杏子に発散させてもらおうとする。
だが飛び蹴りが当たる直前に杏子は自分の身に起こった状態が信じられずに驚愕の表情を浮かべる。
自分の体が宙に浮いたまま止まっているからだ。
まるで幾多もの目に見えない糸で縛りつけられているような感覚に陥り、杏子の脳内で広がったイメージは蜘蛛の巣にかかった獲物であった。
「そんな蹴りじゃオレには届かないぜ。とにかく食事会と行こうぜ見習い」
それだけ言うとサニーはカラクリの説明もせずに家へと入っていく。
これ以上の追求は食事会が終わらなければ不可能だと判断した杏子はリンと一緒にスイーツハウスへと入っていくが、その間もリンは杏子に対して敵意を明らかに見せていた。
「勘違いしているようだから言っておくが、アタシはトリコに関して恩義は感じているが、それ以上の物は感じていないぞ。誤解されたまんまじゃたまったもんじゃないからな」
リンは驚愕の表情を浮かべた。
自分がトリコに対して恋愛感情を持っていることが杏子が理解していたのも驚き、なぜ話してもいないのにそんなことが分かったのかをリンは杏子に聞く。
「あのな……そんなもん、お前の態度見ればバレバレだ! まぁ好意をストレートに伝えているところは評価してやるから、あんまつまらんことで噛みつくな。対応がめんどくさい……」
リンはパッと花が咲いたように笑い、先程まで敵意しか無かった杏子だが、自分とトリコのことを応援してくれている杏子の存在が嬉しく、リンは彼女に対して笑いかける。
歩きながら杏子が思うのは今も自分の体の中に電磁波として存在しているさやかのこと。
(アイツにもこれぐらいストレートに気持ちを伝える勇気があれば、あんなことにはならなかったのか?)
思うのは例え受け入れてもらえなかったとしても、少なくとも決着だけは付けることが出来たであろうと言う悲しき恋の結末。
だからこそ杏子にはリンがまぶしすぎる物があった。
そんなことを考えながら家のドアを開けるとサニーの怒鳴り声が響き渡った。
「何てことしやがるんだトリコ! オレのスノーチーズをキモいカレーイカにまぶすなんて……」
「カレーと言えばチーズのトッピングは定番だろ。それにまだあるからいいじゃねーかよ」
杏子とリンは美味しそうな匂いを発しているフライパンの上を見る。
新雪のように美しいチーズが切り分けられたカレーイカ全般に振りかけられ、チーズの香りがカレーにアクセントを加え、より一層食欲をそそった。
それと同時に炊飯器が米を炊き上がったことを伝えるアラーム音が響く。
ご飯が炊きあがったのを見るとトリコはリンに茶碗を出して入れるように指示を出す。
名前を呼ばれたことが嬉しくリンは瞬く間に茶碗に山盛りのご飯を積むと、全員分のご飯をテーブルの上に置く。
全員が各々の席に座ったのを見るとトリコはメインディッシュのカレーイカのスノーチーズ乗せをテーブルの真ん中に置き、サニーは自分が用意した最高級のワイングラスにカリスドラゴンの鱗酒を注いでいく。
「そう言えばアンコ。年齢を聞いていなかったがいくつだ? 未成年なら一杯までで止めておいた方がいいぞ」
サニーは念のため、杏子に年齢を尋ねると杏子は小さく「14だ」と答える。
思っていた以上に子供だったことに驚いたサニーだが、その威風堂々とした態度は実年齢以上の経験を積んだと見て、サニーはそれ以上聞くことはせず「そうか……」とだけ言うと食事会を始めようとする。
「この世の全ての食材に感謝を込めて……」
トリコが言ったのを皮切りに全員が同時に「いただきます」と言うと食事会が始まる。
初めにトリコは輪切りにしたカレーイカのスノーチーズ乗せを一つ丸々口の中に頬張る。
一個が大型トラックのタイヤ並みの大きさであるにも関わらず、一口で口の中へと消えていき、ゆっくりと咀嚼しながらじっくりと味を堪能する。
思っていた通りトリコの口内で広がったのは味の調和だった。
カレーの辛みを和らげるのはチーズの濃厚さ。
チーズがカレーを引き立て、カレーがチーズを引き立てる味の調和はトリコの口内に至福の一時を与えた。
飲みこむのがもったいないと思いつつもカレーイカを胃に流し込むと、早速二個目に手を伸ばそうとする。
その様子を見てサニーは持論を語り出す。
「ふむ食べ方は相変わらずきしょいが、味の調和と言うの理解しているのだけは褒めておこう」
たしなむようにナイフとフォークでカレーイカを切りながら、一口を最小限の大きさにして食べて飲みこむと、サニーはガラス製のワイングラスを見ながら、その中で宝石のように輝き続ける鱗酒を一口飲むと口の中のカレーの味が全てリセットされ、酒のほのかな甘みと苦みだけを堪能していた。
「そう、美食屋たる物、食材のみを求めるのはナンセンス。より美味しく食べるためにはサポーターが必要だ」
話が始まるとリンはまたいつもの語りが始まったのかと心底うんざりした顔を浮かべていて、杏子の方は初めて聞く話に何が何だか分かっていないと言う感じの顔を浮かべていた。
初めて聞く杏子のためにも、サニーは分かりやすく持論を語っていく。
原価何十円としないパスタ料理も、盛り付ける皿によって値段は数千円へと跳ね上がる。
その辺の素人が描いたパッとしない絵でも、額縁によって一気に様になる。
「つまりは合作だ。美しさとは調和であり、その巡り合いこそが芸術なんだ……」
それを理解していないのはナンセンスだとサニーは語って終わる。
いつもだったらここでネチネチと相手を責めたてるのだが、フルコースのドリンクが決まったことで機嫌がいいのだろう、そこからは普通に食事を楽しんでいるサニーを見てリンはホッとした顔を浮かべた。
だが対称的に杏子は耳が痛い話を聞かされて、苦痛そうな表情を浮かべた。
調和と言う点に関して、自分は何も出来ていなかったからだ。
ただ自分の考えだけを押し付け、結果として自分以外誰も認めないと言う傲慢な生き方をしてきた。
言うならば最高級の料理にしょう油をドバドバとぶちまけるような行為。
魔法少女だった頃はそんなことしかしていなかったと思い、結果として大切な物を全て失ってしまった。
心に出来てしまったモヤモヤを洗い流すように、杏子はカリスドラゴンの鱗酒を胃に流し込む。
鱗酒の旨味は飲酒の経験が浅い杏子でも理解ができた。
脳内に広がるのは清流のイメージ。
例え口の中がゴミダメのように汚い状態でも、全てを洗い流しリセットさせてくれるような感覚は飲む者の心を穏やかにさせる物だった。
限界まで喉が渇ききり、砂漠の中でオアシスを見つけたような感覚は一生物のフルコースに入れるのに納得の食材だと理解し、何も言わずにサニーの前にグラスを差し出し、おかわりを要求する。
「無理しない方がいいぞ。口当たりは水のような物だが、実際のアルコール度数はヘネシーと同じ40度はあるからな」
サニーの忠告も聞かず、杏子は小さく「おかわり……」とだけ言う。
何にせよ求められたのなら用意しなくてはいけない、サニーは何も言わずにグラスへ鱗酒を注ぐと再び杏子の前に差し出す。
「酔いつぶれる心配はしなくていいぞサニー、アンコは俺と対等に飲みあえるからな」
トリコは途中で購入したバーボンを飲みつつも豪快に笑い飛ばす。
一つの実験をやりたいと思っていたからだ。口の中でバーボンの苦みだけが残っている状態でも、鱗酒を一杯飲めばすぐに何も食べていない状態のようにリセットされる感覚が面白く、トリコも同じようにおかわりを要求する。
「ほう、ザルのお前と飲みあえるとはな。中々にあっぱれなお嬢様だ」
「ちょっと待つし!」
二人に対して軽く嫌味を言うサニーを気にすることなく、トリコはちゃんぽんで実験を繰り返していたが、そこに明らかに憎しみの目線を杏子に向けるリンに気付くと男二人はリンの方に視線を向ける。
「ウチだってトリコと酒盛りできるし!」
「無茶を言うなリン。お前はまだ17だろ、お酒もたばこも18になってからだ!」
サニーは手を突き出しながら暴走する妹を止めようとするが、リンはトリコが買ってきた酒の入ったビニール袋をまさぐる。
だが杏子はリンの無鉄砲な行動よりもこの世界での新常識にまた驚かされていた。
(18からでいいんだ……)
また一つカルチャーショックを受けている杏子とは対称的に、リンは腰に手をやってウオッカを流し込むように一気に胃袋へと流し込む。
全てを飲みきって胃袋の中が酒で満たされると、リンは白目を向いてその場で突っ伏す。
口からは魂のような物が出ていて、明らかに正常な状態では無かった。
忠告も聞かずに勝手な行動を取ったリンに対して、サニーはトリコと杏子に頭を下げ一言謝罪をする。
「愚妹が迷惑をかけたスマン……」
「いいよ、いいよ。それより介抱しなくていいのか?」
トリコが指さした先に居たのは呪文のように何かをつぶやくリンの姿。
「タイヨウサンサンネッケツパワー……タイヨウサンサンネッケツパワー……」
「てか、これはマジでヤバいだろ!」
急性アルコール中毒で帰らぬ人となった情報を杏子は思いだし、異常な事態に早く収拾を求めるよう二人に促す。
サニーはいつものことだからと慌てる様子もなく、懐から三つのプラカードを取り出すと杏子に握らせた。
プラカードの先端にはそれぞれ、ジャンケンのグー、チョキ、パーの絵が描かれていて、これからジャンケンをやるのかと思い、杏子は困惑するがトリコはリンを覚醒させるため大声で叫ぶ。
「ピカピカぴかりんじゃんけん……」
突然ジャンケンの用意をさせられると、杏子は反射的にチョキが描かれたプラカードを突き出し、大してリンはグーを突き出してジャンケンは見事リンの勝利で終わった。
「イエーイ! ぴかりんじゃんけんでウチに勝てた人は今日一日スーパーラッキー! 負けた貴方はおブス~!」
じゃんけんで覚醒したリンを見てホッとする一方で、あまりのはしゃぎぶりに怒りの感情が沸き立つ杏子。
額に血管を浮かび上がらせながら勢いよく立ちあがると、リンを睨みながらドアを指さす。
「表出ろ! コラ!」
完全に決着を付けてやると二人は外へ出て、何度もぴかりんじゃんけんを繰り返していた。
「いいね~子供は元気が一番だ」
「ちょっとベクトルが間違ってる気もするがな。まぁオレたちは食事を続けよう……」
リンと杏子の分を残しておいて、二人は食事会を続けた。
BGMにぴかりんじゃんけんの叫び声を聞きながら。
「これも調和っていうのかなサニー?」
「全然違う!」
***
夜も更けて草木も眠る丑三つ時、ぴかりんじゃんけんを気が済むまでやったリンと杏子はトリコのベッドで並んで寝ていた。
トリコは暖炉の中で火の調子を整えながら、たしなむようにカリスドラゴンの鱗酒を飲むサニーに尋ねる。
「なぁサニー……アンコだけどいい美食屋になれるかな?」
乗りかかった船と言うのもあるが、トリコの中で杏子はかつての自分と重ね合わせる物があった。
誰かに拾われるまでは一人ぼっちで、捨てられた子犬、迷子の子猫、そんな印象をトリコは杏子に抱いていた。
だからこそ、仮に自分が居なくなってからも立派な美食屋として、このグルメ時代を生き抜いて欲しいと言うのがトリコの願い、らしくもなく真剣な質問をされるとサニーは思ったことを答える。
「まだ何とも言えんよ。だが見込みはある……」
初見にも関わらず綺麗におしり虫のノッキングが成功したのをトリコから聞いて、サニーは直感的に杏子の才能の片鱗を感じ取っていた。
二言、三言しか会話をしていないが、食に対して真摯な姿勢を取り、猛獣にも怯まない勝負度胸を持った杏子。
これから先強力なライバルが出来るであろうと願いながら、二人は酒盛りを続けていた。
酒の肴にするのは子供の頃の思い出話と、これからの杏子への教育。
次はIGOの開発局でも見せてやろうかとトリコは語ると、サニーはタンクトップ姿の豪快なVIPを思い出す。
「せいぜい酔いつぶれないように気を付けるんだな」
それだけ言うとサニーはカリスドラゴンの鱗酒を楽しみ、後は夜の静寂と窓から見える星空を楽しんでいた。
調和と言う点に置いては今一つ理解できないトリコではあるが、一つだけ納得のできる調和があった。
誰かと一緒に食べる飯は最高に美味いと言う調和を。
本日の食材
おしり虫 捕獲レベル1以下
胴体の部分がお尻の形に似ているため、この名前が付いた昆虫獣類。
ミノムシの一種で食用とするグルメ家は珍しいが、一部お尻フェチマニアに人気があるらしい。
カレーイカ 捕獲レベル3
その名の通り食べればカレー味のするイカ、出汁を取れば濃厚なカレールーが取れるので、カレー専門店からも重宝されるイカ。
カレーの匂いを体全体から発しているので、その匂いに釣られて獲物がよってくるので、自身の餌には困ったことが無い。
スノーチーズ 捕獲レベル5
極寒の地の洞窟でのみ発生する特殊な白カビによって作られるチーズ。
チーズの臭みやしつこさを全く感じさせず、チーズの旨味だけを閉じ込めたチーズなので、チーズ嫌いの子供でも食べられる。
カリスドラゴン 捕獲レベル35
鱗の一つ一つが宝石のように輝く、この世で最も美しいドラゴンと言われている一体。
肉は食用に向かないが、鱗を漬け込んだ『カリスドラゴンの鱗酒』は、日本酒の甘みとほのかな苦みを持っていながら、口当たりは水のように飲みやすく、多くの酒豪が虜になっていて、サニーもその中の一人であり人生のフルコースに選んだほど。
今回はサニーとリンの登場になりました。
後は小ネタも入れちゃいましたね。リンの中の人はプリキュアやってますし、今回のプリキュアはマジで日曜ジャンケン戦争が熱いんで。
それと今回初めて自分で0から作り上げたオリジナル食材を入れましたが、恐ろしく難しかったです。
あれをやれるって人たちは本当に凄いですね。
次回はIGO開発局の話になります。
次も頑張りますのでよろしくお願いします。