ある男のガンダム戦記 外伝03<外伝第三話 動乱と紛争により化石となった戦闘(前編) >時に、宇宙世紀0080年代末期。後の世に様々な名前で呼ばれる一つの動乱が幕を閉じる。ガンダムという地球連邦軍の象徴的な兵器奪取、強奪から始まった一連の反政府軍事活動は結果論としてだが、この人類史上最大級の版図を誇る連邦国家、即ち『地球連邦』において一人の有色人種の家族に対して権力を与える。国民の絶対多数が容認し、本人が泰然として受け取ったと見られる権力はやがて当初の想定以上に肥大化する傾向を見せだす。僅か1年足らずで、である。これはカイ・シデンら一部の有識者らからは危険視される様になり、さらには人類の業でもある大小様々色取り取りの人種差別を持つ人々からは絶対的な敵視と敵意となっていった。ある元地球連邦軍の制服組ナンバーワン、かつて一年戦争を後方から総括し一度たりとも兵士を飢えさせなかった軍政上トップエリート。辣腕軍官僚であり後世のタシロ・ヴァゴ大将も絶賛する事になる、統合幕僚本部本部長であった軍人は賞賛を込めて閣議で言った、『最も独裁者に近い国民的な救国の英雄だ。実績人望とも豊か、人脈に至っては問題なく、彼の性格、人物像、その歴史的人種的背景が彼の無言の支持者となり彼を推し続けるであろう。ウィリアム・ケンブリッジは優秀で有能な信望があるし、まず間違いなく地球連邦でも随一の穏健な地球・宇宙のデタント推進派。だが、それ故に彼の地球圏全域に持っている影響力とその危険性を我々は絶対に忘れてはならん。かの牙は我ら地球連邦の喉笛を一撃で引きちぎるやもしれぬ。既にジオンや非加盟国時代の仮想敵国よりも余程危険だ』と。勇退する首相は、新たなる首相に警戒するかのように伝えた、『民主主義とは絶対多数の凡人による議を尽くした上での統治。その人民による人民の為の人民の政治を覆すであろう劇薬。人気はある。だが、その人気と権力を使う過程でティターンズが追い詰められるとしよう。仮に世界と自らの仲間、家族を天秤にかければ彼は確実に後者を選ぶ。だからこそ決して処方箋を間違うな』と。新たなる英雄の信望者にして狂信者は120年代に自らの血族の前でこう述べている。そして、この言葉を臆面なく言い続けた為、地球連邦首相の就任当初5割強だった人気は一時期8割へ、急落し2割、最終的には4割に落ちつく。『誰よりも無心に戦い、誰よりも家族を愛し、誰よりも友を敬し、誰よりも信義を重んじる現代の全ての部下を持つ人間が模倣とすべき貴族の中の貴族。全市民は、全国民は彼のごとく生きる事を願う。全人類の未来の為に』渦中の人物を、「ウィリアム・ケンブリッジ」という。宇宙世紀0088の首相選挙にて第二代ティターンズ長官となった男。それはそんな彼の、日常業務の一幕。宇宙世紀0090、地球連邦標準時(グリニッジ標準時)の午後3時。アフタヌーンティーに誘われたケンブリッジ家。名目は。実態は違うだろう。(なんか・・・・した・・・・かな?心当たりがありすぎて・・・・・どれだろう・・・・・神様・・・・・どれですか?)この間、バチカン市国でローマ法王教皇猊下に直々に悩み相談を聞いてもらいアドバイスをもらった。妻の嫉妬深いところとか、先輩のパワハラとか、地球連邦憲章の定める人権・社会権無視の労働基準基本条約違反とか、奴隷のような強制労働とか、息子の重婚二股とか、娘の個人的な交際相手の相手の父親が自分の親友でしかも旧敵国の国家元首(現役)だったとか、そういう心労を色々と。(確かに、そうでしょう・・・・神様は全てをご存知でしょう・・・・全知全能だから。でも申し訳ありません!!!私が知りたいのは休暇を取って1ヶ月くらい人里離れた小さな田舎町で家族揃って昼寝する方法です!!!もう拳銃どころか重機関銃で武装した警護の特殊部隊に囲まれた屋敷で腹黒政治家連合軍と飯を食べるのは嫌だ!!!)まあ、叶わない人の夢とかいて、『儚い』という。両親の言である。泣けてくるよ、まったく。マナ、ジンは今学友らと共に隣の貴賓室におり、ここ、体育館なみにデカく旧式なら戦艦が買えるのではないか、という家にはいない。(そうだろう、そうでしょう・・・・・何故・・・・・こうなった)周囲の面々は傍目から見ても、素人から見ても一発でわかる高級仕立て服。ドレス。大小様々な天然石の宝玉、宝石細工の群れ。妻はヴィクトリア王朝風の青を軸線とした白基調のドレス。彼ら彼女らの正装を見ると銀婚式に学生時代からの個人的な貯蓄を半分崩して買った高級車一台分より高いプラチナの指輪も見劣りしていた。(もっとも、リムの美しさはそんなに変わらんから良いけどね)物語の主人公たるウィリアム・ケンブリッジはイギリス王室御用達の仕立て服。地球連邦政府が直々に予算を組んで発注した。絶対に内務省、国務省、ティターンズのケンブリッジ・ファミリーの独断専行だ。周囲には地球連邦王室、皇室らの王太子、皇太子、皇女、公女、王侯貴族が勢揃いだった。しかも、である。本来は敵対国家でもあろうサイド3に国家基盤を置くジオン公国からもあのギレン・ザビ第二代ジオン公国公王と弟にして大公ガルマ・ザビとその妻であるイセリナも参列。舞台は地球連邦王室・皇室評議会で序列第二位である、とある島国の王家、その歴史ある離宮。バラの紋章をあしらったキリスト教徒プロテスタントが築き上げた歴史ある建物にて。『ウィリアム・ケンブリッジ殿、前に』穏やかな顔で目の前のこの連合王国の現女王陛下はティターンズ第二代目の長官を呼ぶ。この部屋には地球とジオンという人類が未だに存続させている伝統、つまり、王族・貴族・華族らが万難を排して参加・参列した。しかもである、この中で世界の著名人物録に載っている各州構成国家の有名政治家一族、地球各地の有名巨大企業、財閥一族はいない方を探すほうが大変だった。当然の如く、地球連邦政府そのものも関与している。各州代表どころか、地球連邦構成国家の面子をかけた宇宙世紀の宮廷外交の大舞台になっているのは常識以前の話。彼らが集った名目上は最大の焦点にして、最大の儀式が始まる。本当は単なる非公式会談を重ねまくった利権争いがメインであるが。無論、伝統と格式が高くなるほど、言い換えれば俗世から離れていて『君臨すれども統治せず』を地で行ける人々の方がウィリアム・ケンブリッジを祝う傾向が強い。逆に肉食獣の牙と嗅覚を研ぎ澄ます新興貴族や企業の代表らは虚々実々の駆け引きを繰り広げる。既に2週間近くも飽きもせずに、だ。そして妻のリムいわく、今夜が過ぎれば自分たちも分刻みの宮廷政治(今は宇宙世紀でここは民主国家の地球連邦であるハズなのに、だ!!)に参列するだろうと言う。(泣ける・・・・神様・・・・助けて・・・・神様・・・・お願い・・・・助けて下さい)『皆様方もご存知でしょう。過日の事です。我々伝統ある人々とともに未来へと歩む、親愛にして慈しむべき各国国民の厳正な信託を受けた地球連邦政府。そして同盟国ジオン。両国政府は先の水天の涙紛争の解決に尽力し、不幸な行き違いで発生した一年戦争とそれ以前、そしてあの大戦の戦時中から戦後復興期にかけて全人類の融和に貢献した御仁。ウィリアム・ケンブリッジ殿。我々は彼の地球に対する真摯な姿勢と身を削る献身に対して最大級の敬意を評し、貴殿に対して爵位を授与する事を決定しました』胃が痛い。早く終わって欲しい。『地球連邦政府のゴールドマン首相らの提案により地球連邦議会は満場一致でティターンズ長官であるウィリアム・ケンブリッジ氏の功績を称え、貴殿に名誉貴族の称号を授与する、以上です』あ、目の前がクラクラしてきた。足がしびれる。喉がカラカラに乾いている。咳したい。目が痒いんですが、かいていいですか?『では、これを受け取って下さい・・・・・ありがとうございます、ウィリアム・ケンブリッジ。0089の12月25日の議案可決を元に、本日、0090、4月1日を持って貴殿を名誉男爵とする。我が地球連邦王室・皇室評議会、最高評議会現議長はたった今、正統なる真の貴族精神を持った勇気ある者を受勲、爵位号を授与した事を宣言します』一礼する現最高評議会議長であり女王陛下。それに応える。『ウィリアム・ケンブリッジ男爵、おめどう』拍手喝采。心から賛辞をおくる者。嫉妬の視線をおくる者。冷静に彼を監査する者。冷ややかに侮蔑する者。意味あり気に、笑う者。。期待する者。賞賛する者。感動する者。無関心な者。儀礼的な者。当然と受け止める者。泰然と受け止める者。そして絶対多数の好奇の視線。多くの期待を背負わされた可哀想な勘違いされている男は恭しく地球連邦中央政府儀典省の『名誉男爵号』の杖を女王陛下から受け取った男は成り上がりと言われた窓際族。そして。地球連邦最大級の権力者になった生きた英雄。『そして、私たち地球の人々からは以上です。しかし、地球連邦の盟友であり、好敵手であり、ケンブリッジ男爵の唯一無二の親友であるギレン・ザビ公王よりお言葉と贈り物があります』(え? ええ!?この式典はまだ続くの? すみません、全然ジャミトフ先輩からそんな話、微塵も聞いてませんが?そういうサプライズはこの年ではキツいです!特にギレン公王唯一無二の親友とか何それ!?)そんな心の叫びを無視する。目の前が一瞬暗くなり、軽い立ち眩みする。いや、その瞬間に視界の端には先代ティターンズ長官の噛み殺した笑みが見えた。鏡に映る妻も必死に笑いを堪えている。しかも、貴賓席にいる息子と娘もそうだろう。恐らくは北米の両親たちも!!視線が目の前にきた男、ジオン公国第二代目の公王服の正装をした男と交差した。思わず、(ギレン!! 謀ったな!! ギレン!!!)と、訴えた。叫びたい、叫べない、畜生め。それに目礼するギレン・ザビ。彼は心の中で言った。(ふふ、ウィリアム、私の声が伝わっているか? 伝わっていれば君の周囲の環境を呪うが良い)見た限りではよく伝わっている。ギレンは内心で敬礼したいくらいだった。ポーカーフェイスは最後まで崩さないが。狼狽しているのが彼の瞳の中だけであるというのは流石は我が親友にして好敵手。それでこそ我れの盟友にふさわしい。だが。(呪う、だと!?)(ああ、そうだ)この間、コンマ1秒ほどのアイコンタクトによる会話。何も凄い才能の無駄使い。(君の無欲さを呪うが良い・・・・君は良い男だが、その警戒心のなさがいけないのだよ。ハハハハ)さて、と。儀礼は新たなる局面を迎える。「私、ギレンは今日という栄えある日を諸卿らと迎えられた事を光栄に思う。目の前の人物は我が身を盾にして祖国を守り、乙女である我が姪を守り、自身の家族を守護した者であることは周知の事実であろう。その代償がテロの標的とはあまりにも、である」よって!!「我がジオン公国は国父ダイクンの名を持つ最大級の名誉である、ダイクン平和勲章を彼に授与しよう。地球とジオンの宥和、そして先の大戦終結に尽力を尽くし、今もなお世界平和の為に戦うウィリアム・ケンブリッジと永久の友情を結び続ける事をここに宣言する。彼はこれから英気を養い、更なる戦場に立つ。私は賢明なる諸君らの代弁者として彼にこの言葉を捧げる。諸君、敢えて言おう」そして彼は高々と右手を掲げた。「ウィリアム、勝利の栄光を君に!!!」サクラが一斉に叫ぶ。『『『『『『勝利の栄光を君に!!』』』』』』もちろん伝統ある貴族や王族らは苦笑いするだけだったが。まあ、この政治ショーを酒の肴にしている多くのバーなどでは一斉に唱和されていたらしい。ギレンは少しだけ言葉にクッションを置く。そして続ける。今回は彼らしくなく手短な、そして静かな口調だった。「しかし、彼を狙う愚かな反逆者が存在する事を我々を忘れてはならない。我々の敵は狂信的で、傲慢で、卑劣で、無能な新秩序の反逆者達なのだ。私、ギレン・ザビはこの場を借りて地球圏全土に住む全ての人々に心から感謝し、かつ、詫びねばならない。諸君らの生活を脅かす危険な存在を戦後の新秩序に野放しにしてしまった事を。ジオンの臣民諸君、地球連邦の市民諸君。胸を張って彼を讃えよ。我らの友情を褒め称えよ。諸君らにとって恥じるべき事は何もない。恥じるべきは国家の命令を無視し、自らの信念という名前でテロ行為を正当化し行う反逆者である、と。我々の敵は狂信的、傲慢で、卑劣で、無能な新秩序の反逆者達なのだ。我が同胞、我が友、そして我が英雄よ。胸を張って我らと共に歩もう。そして最後に、尊厳を持って共に難題に解決するべく邁進すると誓った地球連邦並び地球連邦市民らに感謝と敬意を評する。ジオン公国第二代公王、ギレン・ザビ」そして彼は弟ガルマが用意していた箱をあけ、そこにある新設されたジオン公国最初の全人類対象の、そして最大級の名誉勲章をカメラの群れに掲げた。「ウィリアム、私からの最大限の友情の証だ。私を友人と思うなら受け取ってくれ。なーに、君が気にする事は無い。私と君は親友だからな」なんというタイミング。しかも釣られて多くの人から笑いが出る。リップサービスもここまで来ると清々しい、な、と。ただ弟のガルマは一瞬だけ兄のギレンの顔が歪んだのが分かった。(あ、本気だ)と。伊達に血が繋がっている訳ではない。これは演技2割、本気8割だなと思った。事実は違う。後に娘のマリーダは知った。演技1割で本気度数9割である。あの勲章を作り、その最初の一人にする為にギレンが珍しく、それこそ軽蔑し軽視している議会の傀儡議長や弱小政党らに必死に根回しを行い、ジオン公国議会でも全会一致をさせていた事を。そして、この場の全ての参加者や地球圏の人々にその裏事情を知られない様に裏工作をしていた。側近中の側近にして妻であるセシリアらジオン親衛隊を私的に動かす。尚且つ、議会では反アースノイド勢力から提案させる形でジオン公国全体の権威を付与させて友人に「お返し」をしていたという事を。言うまでもなくこの事実が公表されるのは彼ら全員の死から四半世紀後である。そう言う意味で、ギレンの非常に高い政治家としての能力がある意味で非常に浪費されていた。誰に似たのやら。『謹んでお受けします』ティターンズ二代目長官は笑みを浮かべながら内心ではこう思った。(いや、まあ、友達だけど・・・・だったら俺の休暇をジャミトフ先輩と組んで潰すなんて事しないでよ)彼のティターンズ時代の初めての有給はこうして公務にて幕を閉じる。ただ、それは「公務としての休暇」が終わっただけであり、本来の仕事は山積みで、そして増える一方であった。で、控え室で着替えた後、バッキングダム宮殿の迎賓館の一室で義理の娘らと家族らが出迎える。「かっこよかったわよ、お母さん」そこはお父さんじゃないのか、マナ。「かっこよかったですよ、母さん」ジン、お前もか。「さて、そう言えばこんな物を頂いたな」丁寧な手つきと白い薄手の手袋でカバンを開ける。ジオンの勲章と地球連邦の男爵号を証明する杖。特注品であり、これ一本で500万テラ、高級自動車1台の価値があり。そして名誉貴族は地球連邦の『王室・皇室評議会』にオブザーバーとして参列する資格を持ち、本人死後には直系血族1名に家名と貴族位を継承できる。まあ、かなりの相続税と面倒な手続きが必要である。因みに今日最も感涙に咽せっているロナ君がその制度を利用していた。「まあ、大切な友達にもらったものだ。それに・・・・・」「それにウィリアムの人生の一つの区切りでありそれが評価された証」妻がすっと勲章を見る。自分の胸につけている地球連邦軍の略式勲章と比較した。「まあいいんじゃないかしら?深刻に考えず・・・・・そうね、年金の質に出せる物が増えた程度に思っておけばいいでしょ?」その言葉に笑う自分。そうだな、勲章も貴族の爵位も関係ない。妻のリムが、息子のジンが、娘のマナが、両親たちが笑っている。この平和な地球の衣食住に困らない一室で、それなりの格好をして。それでいいか。「さて、何が食べたい?」「あ、父さん、久しぶりに日本の寿司がいい!」「お兄ちゃんの意見に賛成!!」「寿司、ですか? 私はコロニー育ちだったので食べた事がなく・・・・楽しみです」「ユウキはそうだよね。一応・・・・血の繋がっているだけの無情なジオンの実家でもあまり出たことないし」「へー、メイ姉さんとユウキ姉さんに奢る甲斐性もないのか、家のバカ兄貴は・・・・・ちょっと恥を覚えてよね、全くもう。いい、兄さん。女が欲しいものはハイハイと言って喜んで貢ぐ・・・・違った、プレゼントするのが男でしょう?グレミーみたいに、さ」「ふふ、そうねー。マナの発言は絶対の真理かしら?ハワイで母さんの為に給料数ヶ月分を一日で散財した父さんを見習いなさい、ジン。女はね、千の言葉よりも一の行動を信じるのよ?私だってハワイまで告白しに来た当時のウィリアムお兄ちゃんが身銭を削って夢の世界に案内してくれなかったらひっぱたいて終わりだったんだから」「あ、そう言えば私あのブランドバックとブレゲスタイルの懐中時計が欲しいな・・・・いざという時に富裕層と換金できるのが良いですね」「私は車かなぁ。今度の極東州の新型コンパクトカー可愛いんだけど?やっぱりモビルスーツ開発部門責任者の一角としては操縦者の感覚を知ったほうが良いかなぁと思います、私の彼氏様!」「・・・・・・五月蝿いよ、馬鹿妹。母さんも二人共悪乗りしないでよ」「我が息子よ、悟が良い・・・・・我が家の実権は名誉ある男爵ではなく、魔王と恐れられる人物でもない。女帝陛下の恩顧のもとにあるのだ、とな」「父さん、難しく言わないで・・・・・つまり要約して言うと?」「・・・・・・・・・・・・諦めろ、そういう事だ」翌週。0090春ジオン本国に帰国したギレンをサスロ・ザビ総帥が呼び止める。彼らは生まれ育った家で家族会議という形である懸念を話し合う。議題は地球圏に残った戦乱の火種。「南洋宗?」参加するのはサスロ、ギレン、ドズル、マ・クベ、そして警察出身の内務官僚にしてジオニック社の御曹司家系の後継であるレオポルド。秘書はセシリア・アイリーン・ザビにレオポルドの妻であるエリース。ただ女性陣二人は黙って記録を取るだけ。聞かれたこと以外は話さない。これはジオン親衛隊で尚且つザビ家警護部門ら出身者の暗黙の了解。ギレンの疑問に答えるのはレオポルド。彼はベージュのダブルボタンスーツに青のシャツ。黒いまだら模様のネクタイ。似た様な格好であるが、スーツはシングルで紺色のサスロ。寝巻き姿のギレンに、上級大将の階級を創設したジオン軍の軍服姿のドズルと襟詰め毛沢東シャツスタイルのマ・クベ。「はい、北部インド連合に存在していた仏教徒の中でも新興宗派です」「それが我がジオンと何の関係が?」地球の一新興勢力が宇宙で何ができるのか、という言葉であろう。政治面でもギレンと付き合いの長いマ・クベとサスロは即座に理解する。結論を早く言うように。そう促すギレン。頷くレオポルド。「彼らはサイコミュを手に入れております」その言葉の意味する事。それは。「なるほど・・・・シャア・アズナブルを匿っていた、という事か」そう。技術大国ジオン公国はモビルスーツ・モビルアーマー開発の基礎分野と惑星間航行技術は地球連邦構成州・地球連邦加盟国の各技術レベルで群を抜いている。圧倒的と言いかえても良い。特に基礎技術と蓄積されたノウハウ・これは現時点で絶対的な優位性をジオン経済圏に高度経済成長という形と技術大国ジオンという名実を伴った恩恵となる。未だにハイザックという共同開発がなければジオンの技術的優位は揺るがなかっただろうと国民が信じている位だ。というか、軍部過激派やザク・ゲルググ神話を信望する将兵らは依然として連邦軍相手なら3倍相手でも戦えると豪語するバカが結構な割合でいた。極東州にいるギニアス・サハリン技術少将がジオン国籍の為か彼の与り知らぬところでそれを後押ししている。見たくない現実、つまり、地球連邦構成国家でも最先端技術・経済大国の日本列島で地球連邦政府と地球連邦軍の管轄下で多くの人型機動兵器モビルスーツを共同開発しているという事実は捻じ曲げているのであろう。頭の中で、都合よく勝手に。まあそれは良い。(焦る必要はない。戦前の様に煽りすぎた結果だったが我らがコントロール出来ない馬鹿は水天の涙で自滅。今では連中、軍事基地以上に生活拠点、インフラ基盤となっているであろう叛徒どものアクシズ要塞さえ発見してしまえば何とでもなる。更に連中が宇宙で略奪行為をする都度、我がジオンはそれを材料に連邦と合意の上で軍備の近代化を進められている。その上で我がジオンの民たちが見たい現実しか見たくないというのならそれを見せていれば良い。パンとサーカスを提供できる限り、そして今日と同じ明日を保証し高価なおもちゃを並べておけば民は反発せん。これは歴史が証明してきた。今後も変わらんだろう)ギレンは瞬時に判断する。ただ、レオポルドには話を続ける様に促す。「キュベレイ、その機体を彼らが手に入れていたという事を北部インド連合に潜入している工作員から報告があります。精度は非常に高いものであり、更に付け加えるならばキュベレイの整備をする為の基本マニュアルと専用HLVもアクシズは送っていた模様です」「うん? 待て、レオポルド。何故それがわかった?」話を遮るドズル。彼は地球に降りていて、この中では直に、体であの星の広大さを知っている。故に、自分たちジオン公国はコロニー国家にして新興国家であり、先の大戦での土壇場の敵前逃亡に子飼い部隊の反乱、止めにその後の粛清劇と大規模な配置転換・転属命令の乱発で著しく衰退しているのが我がジオンの諜報機関の現状。はっきり言って宇宙とサイド3の本国、月面の裏側都市郡ならともかく、地球ではアテにならん。そう言い切った。「はい、ドズル閣下の仰る通りです。ジオンの情報収集力ではこの点は確認する事で精一杯であり、察知するきっかけは別の方面からです。これは、我がジオンではなく地球連邦のある議員が漏らしたのです」用意されているクッキーを一口食べて紅茶をストレートで飲んだギレンは徐ろに口を開く。他の物もアメを舐めたり、水を飲んだりとしていた。「なるほどな・・・・・地球連邦にも我が国もいる売国奴、か?」ギレンの言葉に弟が頷いた。「やれやれ・・・・こうして歴史は繰り返す、か、ギレン兄」「というより、嫉妬でしょう」付け足すのはこの地球戦線を経験している特筆すべき内務官僚。実戦経験を持った男。「ほう、興味深いな、レオポルド」「で、その嫉妬は主に誰へのだ?」「だいだい予想がつくぞ、兄貴達」意地が悪いと思ったがレオポルドも妻のエリースもポーカーフェイスを保つ。勿論、内心を悟られるようなヘマはしてない。してないはずだ。ただ、目の前の御仁はあの『ギレン・ザビ』である。超大国にして史上最大級の軍事・経済大国『地球連邦』に対して一歩も引かず結果的にサイド3に最良の結果を与えたジオン公国独立達成の英雄、最高峰の政治家である。(これは虎の尾を踏んだだろうか・・・・分からない。まあ、分からない事と過去の事は後で良いか)直ぐに判断し頭を切り替える。取捨選択は戦場で生き残る必要不可欠の技術であり、それは政治という世界でも同じ。「無論、ウィリアム・ケンブリッジという今を輝く英雄殿へ対する白人至上主義者や彼に追い抜かれて蹴落とされるのを恐れている人々です先の爵位授与とギレン陛下の受勲は各地で賞賛と反発の化学反応を引き起こしております。そうであるが故に、です」右手で一旦言葉を遮らせたギレンは嘆息した。「やれやれ、出来ぬからといって出来る人物の足を引っ張るか。見るに耐えんし、聞くに耐えんな。一層のことジオンに呼んではどうかな?」「?」怪訝な周囲に対して彼は冷酷に言葉を紡ぎ出す。そう、あの「独裁者ギレン・ザビ」そのものとして。「退場を命ずるのだ、この世から、な」ギレンの嘲笑が響いた。咳払いして何とか物騒な話を区切る。「ち、俗人どもが・・・・余計な事をするな。まあ良い、で、話を戻してくれ」と、サスロも出来る男なのでかなり辛辣ではあるが。それでも会話の流れが本題に戻れた事は良い事だ。が、要らぬ事を付け加えるのもレオポルドの悪い癖。妻は純潔を散らす直前、彼にその生真面目過ぎる冗談を言う癖を止めるように迫ったが効果は今のところ薄い。「ギレン陛下、サスロ閣下、我らジオンも人のことは言えません。地球連邦やその構成国家の内政失敗や腐敗、内部抗争を笑うのは墓穴を掘る事になりましょう。違いますか?」何故?「件の原因、水天の涙紛争を誘発したのも我がジオンの国内派閥争いが最大の原因であり、遠因でありますから」ギレンとレオポルドの会話をそれぞれの妻は無表情ではある。が、レオポルドの幼馴染エリースは生きた心地がしないままであり、彼女を無視してまたもやギレンとレオポルドの会話が続く。咳払いをしてサスロが口を挟む。「ふむ、ならば情報は正しいと見るべきか。となると、例のサイコ・P・リュースシステムも周辺の人間関係を含めて調査と警備、警戒を厳重にした方が良いな」あの義手義足を媒介にモビルスーツを動かすシステム。最初からパプア級、パゾグ級改装実験母艦を利用している為、宇宙空間作業とこれらの実験や研究は良好。数年以内には量産化と実用化の目処がたつとフラナガン機関からは報告されている。「メイ・カーウィンとギニアス・サハリンが抜けた穴を良くも埋めた。そう言う意味ではフラナガン機関の後継者になれるであろうか、あのカーラ助教授は」「ジオン軍としては彼女を技術大佐か親衛隊の特務大佐あたりで拘束しておきたい。カーウィン家の政略結婚が裏目に出たのは兄貴達も知っての通りだろうし」「そうだな」義手と義足を経由した一般人、いいや、身体障害者を対象にしたリハビリと新技術の確率と需要供給の喚起は今後必須になる。戦傷者は数千万人にのぼるというのが地球連邦内務省、厚生労働衛生省とジオン公国総帥府直属の外局、ジオン公国・国民人事統括局の統計で出ている。そしてそれを、その義手・義足代替技術の神経伝達電子回路をジオン特有のサイコミュ技術で独占すればその利益は計り知れない。かつて、北米州のパーソナル・コンピューターやスマート・フォン、それ以前・以後の極東州の携帯音楽再生機器、低燃費高性能地上車、水陸両用の衝撃防御力が強固な機械式ではない腕時計などが良い例だ。その技術は極東州と北米州を現在の地球連邦指導国家の最上層部に底上げしていた原動力の一部。つまり。ギレンらが考えるサイコミュ関連技術を独占状態でジオン国内の民間転用。それが当初の目論見通りに成功すれば、それはジオン公国の技術陣が地球連邦、いいや全人類領域での宇宙開発で数歩、ヘタをしたら一周分は敵対勢力、敵対技術陣営からリードできる証左と躍進力になろうと判断。が、そうであるからこそ戦後の凋落から復権を望む統一ヨーロッパ州や、水天の涙で決起しなかった旧レビル派閥(するタイミングを逃した、とも言える)、地球連邦軍内部の現非主流派に反ティターンズとして左遷された人々(というよりも、ジャミトフ・ハイマン監督・マィッツァー・ロナ実行で行われた粛清リストの対象者)、潜伏しているエゥーゴ、カラバ、アクシズ、ジオン反乱軍に別のコロニーサイド、月面都市群らには絶対渡せない。ああ、そうだな、諸君、私は以下の事も付け加えよう。現主流派の極東州と北米州(というか、口さがない者は太陽の旗を振った星団連合の集いとも揶揄する、要するに日米同盟再び、だ)には外交取引カードとして非常に有効で、彼ら現在の地球連邦政府にもジオンが主導権を握り続ける為に出来うる限り第三勢力に知られたくない技術の根幹、それがサイコミュ。「国内警備は国軍と警察に任せよう。で、我らを集めたのは何故だ? その点を聞いてないな、レオポルド」ギレンの指摘に反応したレオポルドはカバンから恭しく何かを取り出した。差し出されたのは一通の手紙。差出人も宛先も不明で、切手も消印もない。蛇足だが、地球連邦の郵便制度らは20世紀後半の西側先進国を基準にし、更に宇宙開発ではより正確な情報を残す必要性から重要文章ほど紙媒体で取引される。これは現金紙幣硬貨の方が電子マネーよりも扱いが上で、更にこれより貴金属のバーター取引が最重視される。宇宙世紀以前から戦乱の元凶にもなり、その戦乱の母体となり、今なお戦乱を育む矛盾である。因みにだが、この現金取引市場を活性化させその流れを加速させたのは皮肉にも非加盟国時代の各国への地球連邦の締付経済制裁とそれを掻い潜ったジオン、当時のムンゾ自治共和国独立派閥、つまり現在頭を抱えている当事者の一人、ザビ家とその実行者に支持者である。地球連邦にとっても言わば自業自得、キングダム政権以前から30年近く続けていた政策のツケをゴールドマン政権が今ようやく支払っている状態であろう。逆に言えばテロリスト認定されている組織や横流しがしたい富裕層らにとっては現物取引は魅力的であり、それを求められ、成功する可能性が年々、いや日進月歩で高くなっている。需要があれば供給があり、供給があれば競争があり、競争があれば手段と技術もその人的才覚の集中運用により練磨されるのだ。ゲームで言うならばレベルアップしているのが現実だった。ジオンや連邦には苛立たしいことに、である。それが資本主義である。「ティターンズ長官はロンド・ベルの一部を査察に送るつもりでした。ところが、です」地球連邦軍南インド駐留軍と同じ規模と任務を持つ、対北部インド連合戦力である地球連邦軍アラビア州駐留軍。この駐留軍の一部、インド・パキスタン国境に展開している部隊が現地で摩擦を、正確に言えば武力衝突を引き起こしてしまう。これに便乗してジオン反乱軍とアクシズ軍も何らかの軍事活動を起こしている。数隻のユーコン型潜水艦がインド洋に展開しており、しかも識別では独立戦争時代の地球攻撃軍海中艦隊の敵味方識別情報を発しているのを偵察衛星の熱源写真で視認。これは地球連邦海軍と地球連邦外務省の『好意』により先日ジオン軍総司令部に伝えられる。無言であったが。その報告はサスロとギレンの眉を顰めるには十分だ。「厄介な事だ・・・・・またジオンの連中が自分たちから強奪した武力を戦後に行使している、そうアースノイドに捉えらる」「サスロ兄、それだけではない。ジオンの連中は自国軍の統制もできない阿呆の集団、信用できんと連邦から批判される格好の宣伝材料だ。トドメに必死に距離を保ってるサイコミュ技術が連邦に奪取される。しかも正当な手続きで、だ」「ドズル、サスロ。加えて連邦軍以外にも技術が流出する可能性を考慮せよ。技術の統制できない拡散、それは絶対に避けぬばならん。共通認識として我がジオンにとり現在の地球連邦政府は十分良い交渉相手になる。特にマーセナス前政権とそれを受け継いだゴールドマン現政権は現実路線であって、戦犯であるレビルと組んでいた統一ヨーロッパ州を出し抜いた過去があるからな。故に我らとは利害関係が一致して組みしやすい。敵の敵は味方である、という訳だ。が、カラバ、エゥーゴ派、旧ダイクン・キシリア連合のアクシズに反乱軍どもには通用せん。奴らは大都市への無差別攻撃も核攻撃も兵器強奪もなんとも思わん。仮にズム・シティに艦砲で砲撃されてみろ、我がジオンの政治的な立ち位置はどうなると思う?」溜息が出そうだ。それを押し殺してレオポルドは続ける。「はい、陛下。であるからこそ、私は極秘裡に陛下らに提案をお持ちしてきました」封筒には古風なロウソクの刻印と名前があった。彼らザビ家はそれをよく知っている。実の父親がこの創設者の一人なのだ。レオポルドの祖父も協力者にして創設者であった。その事を祖父から聞いた本人は無論誰にも言ってないが。(懐かしい名前だ、まさかこれをこの時期になって見ようとは・・・・くくく、これもあの男の影響だろうか?)尤も、ドズル・ザビは直情過ぎたので知らされていなかった。キシリア・ザビはそれを知って利用しようとして、ある人物に逆に排除しなければならんと決心されて殺される。ガルマ・ザビは幼い上に地球への幽閉・追放刑なので当然知らず。が、セシリアはギレンから極秘裡に打ち明けられている。これがザビ家宮廷の宮廷政治だ。これの象徴。『レギンレイヴ』という刻印があった。「故に私はティターンズとジオン共同の作戦をジオン内務省ならび親衛隊は提案します。ガトー大佐指揮下にあるザンジバル改一隻を地球に派遣し、地球連邦のヒイラギ・アメリア・カンパニーが開発していたORXシリーズの新型ガンダム、その受け取りを名目に」「・・・・ソロモンの悪夢。確かにサイコミュは重要だ。それは理解しているが・・・・結局のところだ、戦いは数だよ、兄貴。そう考えれば我がジオンの戦場の英雄でありジオン親衛隊司令官でもあるアナベル・ガトーを動かすほどか?」ドズルの問いに今度はマ・クベが返答する。「ドズル上級大将、ご心配なく。彼は囮です。本命は別に送ります。無論、我が軍が地球連邦の絶対国防圏で動くのは色々制約がありますが・・・・いくらでも媚薬を嗅がせれば動くものはいます。ティターンズにもロンド・ベルにも地球連邦軍にも、です」「よかろう・・・・テミス社に出向している者達を集める。サスロ、マ・クベ、この件はそれで良いな?」ギレンの命令に、マ・クベは一礼した。それを受けたのかどうかは定かではないが、更に数日後、地球。地球連邦ではある部隊が召集される事になった。「ロンド・ベル」であり、その一員である部隊だ。地球連邦軍本部・北米州西海岸・キャルフォルニア基地。第12番宇宙船ドッグ。入港中のペガサス級強襲揚陸艦を人々は畏敬の念を込めて不沈艦、伝説の軍艦と呼ぶ。「サウス・バニング中佐、コウ・ウラキ大尉ならびタクナ・新堂・アンダースン少尉着任しました」二人の20代の若者が敬礼する。答礼する玄人の叩き上げ佐官。「久しいなウラキ。そしてそっちの新人はじめまして、だな。エコールの士官学校次席卒業ですぐにここに配属とは大したもんだ。期待しているぞ、アンダースン少尉」「ハ!! 不死身の第四小隊隊長にそう言われて光栄であります!全身全霊を尽くします!!」「バニング隊長もお元気そうでなによりです、こいつの面倒は俺がみますから大丈夫ですよ」「はは、ウラキ、貴様も言うようになったな?そのあたりは逆に心配だが・・・・」積もる話を続ける3人。彼らを軸にある作戦が立案されようとしていた。一方で。同じ基地に一機のモビルスーツが納入される。機体名を「百式」。カミーユ・ビダンら技術開発チームがジオン系譜のモビルスーツを圧倒する事を合言葉にすすめる「Z計画」の要となっている機体。その2号機。今回はサブ・フライト・システム利用の空中機動や重力下での実弾テスト、実戦投入を目的としていた。パイロットはある意味でアムロ・レイ中佐を凌ぐ男。確かに彼の撃墜スコアはモビルスーツだけを通算して37機。ビグロというモビルアーマーも撃墜した経験が有り一年戦争中盤からのベテラン指揮官でもあった。ただし、だ、以下の評価も付き纏う。というか、こちらのほうが有名。『一年戦争という戦時中に乗機のガンダム1号機(俗に言うプロトタイプガンダム)をソロモン攻略戦という地球連邦宇宙軍・旧レビル派閥にとって唯一の勝ち戦であろう事かザクⅡ改と一体一で戦い撃破された無能』故郷の酒場で酔っ払いの退役兵らに言わせてもらえば、ムーア同胞団の為に名誉の戦死をしておくべきであったのに、生きて捕虜になって捕虜交換で戻った卑劣漢、厄介者、疫病神、だろうか。まあ、実際はソーラ・レイの掃射における軍事史上でも特筆すべきであろう大混乱とビット兵器が乱舞した上でエネルギー切れ、推進剤不足というハンデを背負っていたのだが。勿論、彼のスポンサーである当時のムーア同胞団第1義勇艦隊は一名の女性艦長を除いて黙秘、事実を捻じ曲げた上で真実は黙殺。彼個人に全ての責任を負わせ、自分達ムーア同胞団は地球連邦軍としてレビル将軍亡き後も侵略者ジオン軍の死守する最大にして最後の防衛線ア・バオア・クー要塞に対して先陣を切ったと主張している。実際は弾除けだったとは言え、事実そうである。因みにサイド4はエゥーゴ支持者の母体でありこのパイロットの一族からも資金援助をしていた者がいたと誤認逮捕された。ただ、一度出来た偏見はそう簡単には埋まらない。よってティターンズや地球連邦軍主流派、現ジオン政権、各地のコロニー自治政府の誰もが故意にムーア同胞団の犠牲を無視している。(け、胸糞悪い。今回もそうだった。俺の経歴を知った連中のあの目が気に入らない。ただ、それだけでどうにかなるとは思ってはないけどよ)「イオ・フレミング少尉、か?」やはり目の前の艦長も非好意的な視線。ア・バオア・クーの前半のSフィール。そこでドロス級の砲撃で乗艦のマゼラン級戦艦と運命を共にしたという腐れ縁だったクローディアとは違うタイプの女性エリート佐官。(ふん、確かこっちはケンブリッジ・ファミリーの出世頭の一人。あのウィリアム・ケンブリッジというエセ貴族様の愛人という噂もある女、か。要領よく出世コースにのった尻軽女が・・・・気に入らねぇ)暴論暴言に偏見と屈折した感情もここまでくれば凄い。フレミングとはサイド4「ムーア」の有力財閥の名前である。いや、あった。現在はブッホ・コンツェルンに乗っ取られ経営陣はロナ一族の傘下。彼の姉も先の水天の涙で何とか首の皮一枚で繋がっているだけでロナ家の事実上の当主にしてケンブリッジの懐刀に良い様に利用されている。実際、水天の涙紛争での責任追及をケンブリッジらが回避しただけでなく一気に勢力を躍進したのはサイド2、サイド4、サイド6、月面都市群の経済界を侵食したから。その尖兵にして嫌われ役を押し付けられたのがイオ少尉の姉達だった。病床の母親でさえロナの一族は格好の宣伝として各種宇宙開発企業の株主総会での影響力確保に利用していた。まして彼自身がガンダムを格下呼ばわりしていたザク(しかもパイロットのバーナード・ワイズマン上等兵はほぼ新兵であった事が戦後の調査で判明)と一体一で戦い、これに撃破されており、万年少尉が確定しいるという。よって、彼自身の持つ影響力など考えるべきではない。そんな価値がない事はイオ自身が各地で転戦する事で骨身に沁みている。「は、そうであります、マオ・リャン艦長」水天の涙紛争終了後、歴戦の武勲艦であるペガサス級第七番艦のアルビオン5代目艦長に就任したのはマオ・リャン大佐。彼女は5年前後の艦長経験を経過・経験させた上でエイパー・シナプスらの主流派のいる宇宙艦隊総司令部勤務が内定してる。あくまで現場を経験させること、それが理由。自分とは大違いのトップエリート。遠い将来だが宇宙艦隊司令長官も統合幕僚本部本部長も軍事参事官就任も確実視される女。思わず睨んでいた。それは死んだクローディアらが未だに危険分子の敗北主義者だと言われ続けている反動。「少尉・・・・なんだ、その目は?何が言いたい?実に反抗的な目だ・・・・気に入らん。まあ良いだろう、全ての人間に気に入られる人間などおらんからな。イオ少尉、私は君をガンダムを喪失した無能だと言って差別しない。君は知らんだろうが、私の知人も武運拙く失敗した事がある。だから一年戦争でのガンダム喪失は問題にせん。戦場は実力だけでは生き残れない。それは理解している。そして、その上で君の第13次地球軌道会戦でのハイザックの戦闘ボックスも拝見している」彼女はそう言って灰色のカラーリングをした百式2号機を艦長室のサブスクリーンに出す。直立不動から休めの姿勢で言葉を待つイオ。「我が艦の艦載戦力は以下のとおりだ。左舷デッキにネモ1個小隊3機、そして君の百式と百式についていく為に製作されたネモの改良型であるネロが2機。右舷デッキ同じくネモ1個小隊3機に、ガンダム試作1号機とガンダム試作3号機、そして指揮官用のネロ。合計で何機だ?」「は、12機一個中隊であります。艦長」「よろしい。君は百式のパイロットとその指揮下にある第三小隊の小隊長をしてもらう・・・・分かったか?」「サー・イエッサー!!」敬礼するイオ。そしてマオは興味なさげに続けて言う。「ああ、それと明後日月曜日の15時30分に艦載機部隊隊長のバニング中佐の下に出頭しろ。そこで君を一階級昇進させる、よろしく」退室した彼と代わり、彼女は軍の内部広報を見る。電子版であるから既にロンド・ベルや現地駐留軍、各地の連邦軍方面軍司令部などは知っている機密でも何でもない報告。『発・地球連邦軍アラビア州軍パキスタン方面軍司令部・司令部直属第4大隊宛・地球連邦軍統合幕僚本部・作戦部直轄部隊我レ、北部インド連合ニテ地球連邦軍ジムタイプ、ジオン公国ザクシリーズ混成モビルスーツ部隊並ビ陸上戦艦2隻ト交戦。敵ハ最低デモ一個師団規模。勇戦ムナシク我レ敗退セリ。至急、増援部隊ノ到着ヲ要請スル。以上』トントンと艦長用の机を叩き、コーヒーを飲む。艦内電話が鳴るのを待つ。恐らく来る。或いは艦隊専用の部隊機密メールが。「鳴ったか」マオが受け取ったメールの主。その名前を地球連邦軍・軍事参事官兼ロンド・ベル艦隊司令官であるエイパー・シナプス中将という。『大佐、明日の午後7時に私の執務室に来てくれ。バニング中佐と一緒にな。要件はそこで言う。以上』北極圏で打ち上げられる数機のHLV。それはシベリア開発中のルオ商会所属。タウ・リンはシベリアに眠る資源をとある人物経由と組織を使い、自らの属する組織強化を行っていた。来るべき日に備えて。それが如何なる日なのかは本人と側近以外は誰も知らないであろうが。「これがバウ、か」納品された機体は地球連邦の軍拡に対抗する事と軍内部の反ティターンズ勢力が蠢動している結果完成したZガンダムと後世に呼ばれる機体の対抗馬。「ビームライフルに通常のゲルググ・・・・・ジオン正式耐ビームコーティング済みシールドとビームサーベル。小型ミサイル・・・・可変機構付きのプロトタイプに赤い彗星仕様の赤いバウ、そして9機ジオンカラーリング」部下の一人が言う。これだけを使って何をするのか、と。一隻のムサカ級重巡洋艦(一番艦・ムサカ)に搭載された11機の機体。「ちょっとした・・・・揺さぶりだ・・・・・俺からのプレゼントだよ」プレゼント、ですか?誰宛です?「決まってるさ」「?」「赤い彗星と救国の英雄殿へ、だ」さてと。タウ・リンは振り向いた。振り向いた先には通信室から彼の個人的な部屋へと繋がっている。この暗礁宙域にある『茨の園』という秘密コロニーの一室。その部屋にいる一人の少佐に。彼は地球本土から連れてきた。俺に日本列島からついてきた。生徒の為に。馬鹿な奴。まあ、だから殺したくはないとも思える。ただし、だ。生き残れるかどうかこいつは自身の運と実力、そして縁次第。そこまでは面倒は見ない。自分だって誰にも頼らずにここまできた。例え最初の結果が、いいや、選択が無くても。今の自分を構成するその何割かは選ばれた最悪の中でも少なくともよりマシな悪い方を選んできた結果だと自負している。だからだ、俺は俺の為に生きる。俺自身の為に人を殺し、欺き、騙し、裏切る。例え誰が俺を批判しようとも一切合切関係ない。何故だと聖職者は問うだろう。何故だと被害者が糾弾するだろう。何故だと?何故?決まっている。そうだ、最初からではなくとも、決まっている。俺は嫌われているかどうかしらん、世界に弄ばれていると言われても否定はできんだろう。だが、俺自身が定めた道だ。だから俺は俺の道を行く。(はん、悪鬼羅刹、修羅外道、愚劣愚行の極みであろうとも関係あるものか!!!我思う、故に我在り。ならば、俺はこう言わせてもらう。我進む、故に、我在り、だ。あのアドルフ・ヒトラーやヨシフ・スターリンの殺戮、粛清以上の犠牲者を積み上げたとしても。くくく・・・・・そうだ、そう。・・・・・・・・・・・・・・・俺は絶対に他人からの免罪など求めん。仮に世界の全てが俺の愚行を許すとしても俺は俺を許さんし、俺は誰にも謝罪はせん・・・・それが名前も知らぬ俺の最後の矜持だからな)だが、俺は傲岸不遜に別のことを言う。もう後戻りできないこいつの為にも、だ。少なくともそれなりの舞台は用意してやるのが誠意だろう。独善だろうと・・・・構わん。「ヤハギ、あんたにこの機体達とムサカを貸してやる。ついでにあの赤い彗星仕様の機体も色を塗り替えてエリシアとかいう女にでも使わせろ。他の生徒は約束通りフォルマーの奴に預けておいた。今頃は後方拠点のアクシズ要塞でシャア・アズナブルらの庇護下だろう。安心しな」無言で敬礼し、通話を着るヤハギ。その後ろで裸のエリシアという女が抱きついていた気がしたが・・・・ふん、教え子と教師の背徳的な関係など俺の知った事じゃない。そう言えばあの仮面の男を慕ってレコアとかナナイとかいう女がアクシズの総帥エリアに出入りしているという噂があるのだが・・・・まあこれもとりあえずは置いておいて良い。さて、いよいよだ。「先ずは前菜と洒落込むか、なぁ、オヤジ殿?」さて、と。タウ・リンは一機の無人シャトルを南洋宗の支配下にある地区に降下させた。ビスト財団の合法的な方法を使った為、連邦宇宙管制局はこれを許可した。『経済活動の自由と公共の福祉を名目に、地球連邦憲章に堂々と反して信教の自由を犯し我らを弾圧する地球連邦軍に対して総反撃、こちらも越境攻撃をかけるべし』その意見を僧正は受け入れた。インド・パキスタン国境を40機前後のジム、ジム陸戦型、ザクⅡJ型、グフA型の混成兵団、少数のジムⅡらが進撃。先の威力偵察で大打撃を受けてしまい後方にジム・クゥエル(赤と白の連邦軍カラー)中心の部隊は後送、再編中。ヤハギの乗ったムサカの軌道上のレーザー通信から敵軍、つまり地球連邦軍の大まかな部隊配置を推測した反地球連邦軍閥『カラバ』の一部である南洋宗派閥はアクシズ先遣部隊と合流していたカラバ主流派=タウ・リンのヌーベル・エゥーゴと合同して攻勢に転じた。『同胞宗派を救い、母なる教えを広める』『これは聖戦である』僧正らの側近が教団幹部会でその様な趣旨の激を飛ばしていた頃。地球の反対側ではロナ、シロッコ、フェアントを集めたリム・ケンブリッジが完全防音防諜の休憩室で世間話のように言った。『それでは諸君、件の計画通りに反地球連邦勢力は根絶やしにするわよ。全ては地球連邦の未来の為に』まるで今日の昼に何を食べる?学生がその様な気分で聴くようなノリだった。まあ、突っ込むバカはいないが。怒らせると実はケンブリッジ家で一番怖いのはあの高速道路テロで良く知られている。『ほう?』『ははぁ』『ハイ』シロッコ、フェアント、ロナの順で頷く。そして。『付け加えるというか、本音を言ってください、男爵夫人殿?』シロッコの挑発に女はその長い黒髪をポニーテールにしながら言った。『正確には娘と息子、孫に両親、そして旦那の未来の為よ。というか99.999%はこっち。大丈夫、政府閣僚からのゴーサインも出た。旦那にも消極的ながら黙認させた。ベッドの上で跨った上でイエスと言わせたから』なんとういか、苦笑いしかできない。それって半分以上談合ではないか?まあ、今に始まったことではない。ましてこの女性の祖先は日本人。良くも悪くも村社会の根回し主義者だ。本人は違うと言っているが。『地球連邦中央議会議長にして憂国国民会派のグリーン・ワイアット退役大将ら支持もある。対立陣営であるゴップ退役大将らの国民主権連合、野党の自由議会連盟や地球・宇宙統一学会も潜在的な協力者や味方勢力です。よって、政界に不確定要素は無い』続いて女が言う。『一番の難敵だった夫は私の体に溺れてベッドの上で篭絡したし、軍は「Z」計画の実戦テストを行いたいと言ってきている。それに先に私たちティターンズや地球連邦政府のメンツを潰した手前名誉回復に躍起だ』ふふと笑みを浮かべて顎を上げる。専用の高級椅子に白いスーツと黒い髪をそのまま背もたれに体重を載せる。『なんとういうか、こうして見ていると夫人の方が遥かに悪役に見えますな』『木星帰りの胡散臭い男よりはマシだろう? いや、これは失礼しました。決して夫人とケンブリッジ閣下を貶したつもりはありません・・・・・・申し訳ありませんでした』『そこまで謝るなら言わなければ良いのに、ロナ君はまだ子供ね』『よかったな、自称貴族殿。我らの主達が寛大で。まあ、自称貴族の前半部分、胡散臭い木星帰りのエセエリートというのは否定できませんかな』『ならば貴様は火星帰りの裏切り者だろうに・・・・良く言う』『は、木星の様な文明圏で恩恵を受けた自称ニュータイプが僻んでいるのか? お笑い種かと見て良いだろう』『ふふ、あのコスモ貴族主義とかいう妄想主義の病人よりは何億倍もマシです』『実力はあっても人格は最低のお二人が罵り合う、摘みにチーズが欲しかったですなぁ』『五月蝿いやつらだ・・・・・もういい、口で言ってもわからん馬鹿には軍隊式の礼儀が必要のようだ、貴様ら表にでろ』『これだから地球連邦軍のエリート軍人は嫌いだ。すぐに暴力沙汰にしてしまうあの一年戦争に至る過程を全く理解してない』『貴様とて当事国であったジオン公国の中佐でトドメに敵前逃亡しただろうに・・・・身が手な性格だな。能力と違って』『まったくもって能力以外は最低な連中どもめ、度し難いな。これでは真の貴族であるウィリアム・ケンブリッジ閣下の名誉を汚すだけだ』『貴様もその一人だろう? 私のように守る者がいないから好き放題で来ただけだ』『同感だな、コスモ貴族とか言う成り上がりを鼻にかけるだけの有能な働き者が。無能なら即座に後ろから撃って戦死扱いで厄介払いできたのだが』『何!? 貴様らもう一度言ってみろ・・・・・それは暗に俺が閣下の傍にいる資格がないと行っているのだな!?』『耳は悪いらしい、誰もそこまでは言ってないが・・・・もっとも能力面から見てこの場の誰もが有能のはず。ああ、そうか、能力では有数に有能でも頭が鶏の馬鹿では、な。つまり人間の言語を使っても十分には理解できぬようだ、そこの木星帰り同様』『躾の悪い忠犬面する馬鹿な犬には教育も必要だったな。私も忘れていたよ、なまじ主人に対してはお利口なだけに。主人以外には尻尾を振る愛想どころか所構わず噛み付く哀れな狂犬病の雑種だ、まるで。それと技官殿・・・・・貴様、今それとなく私も馬鹿にしたな?』そういって立ち上がる三人。だが。刹那。机が思いっきり叩かれた。しかも、恩賜の短刀とも地球連邦海軍から言われる軍用の短刀。旧日本海軍や英国海軍からの伝統を引き継いだ制度。個人の要望で各地球連邦軍の専門将校養成学校、共通地球連邦軍士官学校か地球連邦軍防衛大学校卒業トップ20にのみ与えられる特殊鋼鉄で一人一本のみ地球中から選抜された刀剣刀鍛冶師らが年単位で作る特殊な短刀。それは自動小銃の銃弾を弾き、ジオンの儀礼用レーザーガンの熱射光線の直撃にも耐えるという化物。それを軽々と扱い、柄で机を叩いだのだ。あの女性が。置いてあった500mペットボトル全てがその反動で床に落ちる。幸いにも中身は溢れなかった。『・・・・・黙りなさい』怒気と殺気。格が違う。戦争経験もあり、政治経験もあり、テロと銃撃戦をして独りで趨勢を決めた実力者。まして人生経験と女としての貫禄は若造三人を合計しても遥かに及ばないのは明白。伝説の艦長のひと睨みに全員が席を座る。『落ち着いたようね・・・・まあ、それだけ覇気があるのは頼もしいわ。ウィリアムは良い部下を、ジュドー君は良い上司を持っている。今日はそれで収めましょう。今日は、だけど。で、長い歴史を持つこの地球連邦は今この陣営にシロッコ准将、アルギス技官、ロナ首席補佐官が参列し参加している事を誇るべきことね。尤も、私と私の夫を裏切ったら容赦しないけど、理解したかしら自称有能な方々?』鞘を少しだけ開けて、日本刀方式で鍛錬された愛刀の波紋を見せた。それは鋭い。そして美しい。一瞬で見惚れるというのもあながち嘘ではないだろう。女はニヤリと笑う。背筋に氷を入れられたような冷たさが三人の精神を急激に落ち着かせる。声無き声が三人から漏れて、それが静まると冷やした小さめのワイングラスをリム・ケンブリッジが綺麗な手で優雅に取り出す。オーストラリア産の白スパークリングワインを男三人に注ぐリム。『私はともかくウィリアムは貴方たちを信用し信頼している。だから夫を頼むわ、三人とも。別に無償の愛を捧げるだの、行為を行えだの言わない貴方たちの野望や希望、野心や夢の為に私を、私たちを利用しなさい。私も私の目的の為に貴方たちをこき使うから。ではグラスをもって』掲げる。そして唱和する。『『『『乾杯』』』』ある歴史家はこの一連の戦闘が「叛逆者の宴」の開幕となったと言う。『サイコミュ』それは一つの呪縛。続く後書きならびお礼。サンダーボルトの影響を受けて、ちらりと不定期再開をしましたヘイケバンザイです。今回は上中下の3編になる予定です。という訳で以前から書きたかった名家ケンブリッジの誕生秘話(秘話というほどでもないですが)に、水天の涙以後のジオン残党軍の動きと本編ではチョイ役であった真紅の稲妻らや0083、ムーンクライシスの主人公を軸に歴史にうもれた一般人の命懸けの人々を描こうと思います。なお、これはできれば月一連載したいですが・・・・ちょっと景気が不穏なので守れるかどうかわかりません。なので、途中経過や結末とかは想像でよろしく、みたいな終わり方をさせて続けるつもりです。それではまた読んで頂ければ幸いです、ありがとうございます。良い週末を、私は今から出張です(゚(゚´Д`゚)゚) 2015年6月27日 ヘイケバンザイ