「お前は自分勝手な最低な奴だ」
「アンタってホント自分本位よね、最低」
「どうして君はそう自分しか見ていないんだ」
そうれがどうした?自分が一番大事なんだから別に可笑しい事じゃねぇだろう?
「もっと他人を思いやったらどうだ?」
「人の気持ちも考えてよ!!」
「理解しようとはしないのかい?」
自分より大切な他人が現れたらそうしてやるよ。
あいにくそんな奴今まで一人しかいなかったがな。
それに理解はしてるぜ、理解だけならな。行動にはしないけどさ。
「それが貴方のいい所でもあるんでしょうね。
でも、あなたを心配する私の気持ちはどうなるの?」
知らないね。
俺は俺が決めたルールは曲げない。
俺が守るって決めた事は、例えどんな奴に反対されてもやりとげる。
「不良」
「酒飲み」
「オタク」
何とでも言えばいい。
俺は俺だ。
喧嘩したいからする。
酒が飲みたいから飲む。
アニメやゲームが好きだから見るしする。
何が悪い?
一応、最低限の世界のルールは守ってるぜ?
「きっと、貴方は生まれてくる世界を間違えたのね」
そうかもな。
でも―
「でも、そのお陰で私幸せよ」
そうだろう?
「だから、おやすみ」
ああ…
「次に貴方が生まれる世界が、貴方が自由に飛べる世界でありますように―」
そう願うよ…それから、おやすみ―多分、愛してた。
そうして俺はこの世界から消えた。
目指せ!全力ご都合主義!!
「――――すか?」
ん?なんだ?声が聞こえる…
「ぁ―――で―か?」
やけに可愛らしい声じゃねぇか…
子供…しかも女だな。
肩を揺らされる感触がある。
揺すってるのは声のガキか?
っ、瞼が重てぇ…
でも動かせない程でもない。
両手…問題なし。
両足…問題なし。
…とりあえず起きるか。
ベッドで寝てた筈なのに、さっきから背中が何でか痛ぇんだよ…
まずは目を開く。
そして固まった。
「ぁ…」
小さな声がするが今の俺の耳には入ってこなかった。
なぜなら…空が見えたからだ。
「なんで…空が見えんだ?」
こんな俺でも素直に綺麗と言えるような、
澄み切った青空が俺の目の前に広がっていた。
驚いたまま勢いよく体を起こす。
「きゃっ」
また聞こえた小さい声を無視し、そこでまた俺は固まった。
「どこだぁ…此処?」
そこは本や漫画に出てくるようなとても綺麗な庭園だった。
少し向こうにゃ、昔のヨーロッパあたりの貴族とかが住んでそうなでかい建物まで見える。
俺の近くには小さな小川まである。
ていうか俺の寝ていた場所は芝生の上だったのか…
どうりでベッドと違って、背中が痛かった訳だ。
「ぁ、あの…だいじょうぶですか?」
「あん?」
そこでようやく俺はさっきから聞こえていた声のほうへと視線をやる。
するとそこには4,5歳くらいのちんまい女のガキがいた。
薄いブラウンの髪を短くツインテールにしている。
うん、この女幼女として完璧じゃねぇか。
っと、オタク魂出してる所じゃねぇ。
「ぁ、あの…」
手を伸ばしてきたガキの手を逆に掴み、
威圧するように言葉を紡ぐ。
「おい、此処はどこだ?俺は何で此処にいる?」
「ひぅっ!?」
まさかこんなガキが俺を攫える筈ないだろうし、
第一俺って死んだ筈じゃ…?
う~わからん。とりあえず現状確認だけでもしねぇと。
「正直に答えた方が身のためだぞガキ?
痛いのは嫌だろう?」
「ひっ……ぁ、ぁあの、こ、こここはアリエスの離宮で…
そ、そのあなたがたおれてて…それでしんぱいになって……」
「アリエスの離宮?」
「は、はぃ!」
ちょっと待て、確かどこかで聞いたことがあるぞ?
この幼女もどっかで見たことあるんだよな…どこだったっけ?
割と最近見て聞いた名前だったような…
「テメェは俺が何で此処にいるのかは分からないんだな?」
幼女は首が取れるぐらい激しく頷く。
ふん、どっちが上か理解させるにゃ、始めが肝心だからな。
それより…
「つまり、テメェは俺は助けようとしてくれたのか?」
「ぃ、いえ。ただどうしてたおれているかって…しんぱいで……」
シュンと幼女が俯く。やべぇ、助けてくれようとした奴をビビらせてどうすよ。
恩をあだで返すのは俺のルールに違反することだ。
「あー…その悪かった。」
「ぇ?」
「俺もちょっと混乱してた。起きたらいきなり知らねぇ場所だったからよ…
その、悪かったな。助けてくれようとしたのに…」
掴んでいた手を離し頭を下げる。
あれ、ていうか俺の手ってこんな小さかったけか?
「いえっ、きにしないでください」
幼女は照れたのか顔を赤らめる。
…くそぉ、可愛いじゃねぇか。
っと、言っておくが俺にそっちの趣味はないからな!
本当だぞ…?
ていうか、本当に此処は何処だ?
幼女の目は青い…だから外国?でも英語じゃないし…
とりあえず…
「でだ、テメェ…良かったら名前教えてくれないか?」
「あ、はい。ナナリーです!わたしのなまえはナナリー・ヴィ―」
「ナナリー!!」
目の前の幼女…ナナリーが名前を言い終わる直前。
少し先から叫び声が聞こえた。
見ると一人の小僧がこっちに向かって走ってきている。
「あっお兄さま!!」
ナナリーが花が咲いたような笑顔で近づいてくる小僧に手を振る。
お兄さま…ああ、兄貴のことか。
「ナナリー無事か!?」
「ぇ?は、はい」
「よかった…」
小僧はナナリーの無事を確認し終わると、
キッと俺を睨みつけてきた。
黒い髪にアメジストの瞳、服装はどこぞのお坊ちゃんを思わせる。
でも、へ~まだ7,8歳ぐらいだろうに…ちゃんと兄貴してるんだな。
「お前、何者だ!ブリタニア人じゃないな…
どうやってこの離宮に侵入してきた!…もしかしてテロリストか!?」
「ち、ちがうのお兄さま!このひとは…!」
「ナナリーは黙ってて」
小僧は庇うように俺の前に立つ…
勇ましいねぇ…だが
「足、震えてるぞ小僧?」
「っ!?」
俺がいやらしく笑い指摘してやると、真っ赤になってされに俺を睨んできた。
「う、うるさい!それに小僧って…お前も僕とあまり変わらないじゃないか!」
「はぁ?何言って俺は毛も生えてる立派な…」
そこまで言って、さっきからずっとある違和感の正体に気がつく。
そう手が小さく感じただけじゃなく声も幼く感じていたのだ。
俺は慌てて近くの小川えと駆け寄り水に映る俺を見た。
そして三度固まった。
「お、おい!逃げるつもりか!?」
「………」
「聞いてるのか!?おい!」
「………」
「あの…だいじょうぶですか?」
「コラッ、ナナリーは向こうにいろって…!」
「……な」
「「…な?」」
「なんじゃこりゃーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「きゃっ」
「ほぅわっ!?」
俺の叫び声に驚いたのか二人が尻餅をつく。
だが今の俺にそんなのに構ってる余裕なんてなかった。
なんでだ!?どうしてだ!?どうして俺は若かりし頃の俺に戻ってるんだぁぁ!?
死んだと思って目が覚めたら知らない所で、オマケに体まで縮んで…
なんのイジメですかコレは?
「だ、大丈夫かナナリー?」
「は、はいお兄さま…」
二人の会話が耳に入る…そして俺はとんでもない可能性に気がついた。
アリエスの離宮、ブリタニア、ナナリー、その兄、黒髪、アメジスト…
あれ?もしかしてこれって…
「な、なぁ…二人の名前教えてくれねぇか?」
「名前?お前僕たちの事知ってて此処に来たんじゃないのか?」
「い、いいから教えてくれ…」
それから少したってから、俺の様子に少し疑わしい目(兄限定)をしながらも二人は答えてくれた。
「ルルーシュ。ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだ」
「いもうとのナナリー・ヴィ・ブリタニアです」
「……………そんなことがありえるのか?」
二人の名前は予想していた通りだった。
じゃ、じゃぁここは…コードギアスの世界だっていうのか!?
こ、これって俗にいうトリップって奴だよな?そうだよね!?
いくら俺でも流石にトリップなんて体験は経験したことなんてねぇからな…
でも、まさか…ホントに…でも…
「ところでお前の名前は何なんだ?」
「は?」
「僕たちはキチンと答えたんだ。お前も答えるのが礼儀だろ?」
この時、どうしてそう言ったのか分からない。
ただ混乱していたかかもしれない。
それでも俺はこの時なんでか―
「ウルムナフ・ボルテ・日向だ」
好きなゲームの主人公の名前を言ってしまっていた。
「ウルと呼んでくれ」
何はともあれこうして俺はこの世界で二度目の人生を歩むことになった。
偽りの過去を作り。
偽りの名前を語り。
偽りの家族となり。
俺はこの世界で生きていくことになるのだった。
続く?
あとがき
どうも初めまして、ナナヤと言います。
もしかしたら知っている人がいるかもしれませんが…
現実来訪系です。
コードギアスはアニメとピクチャードラマとかしか見てないので、
もしかしたら本編と矛盾が出てくるかもしれません。
そういう時は教えてくれると嬉しいです。
後、今回主人公の名前に某ゲームの主人公の名前を使いましたが。
別にその事に余り意味はないです。ただ使いたかっただけなので…
不評なようであれば変えようかなと思っていたりします。
ちなみにコレは主人公がひたむきにナナリー、ルルーシュ二人にとって
ご都合主義的に終わりを迎えられるように頑張る物語です。
長くなりましたが、ここまで読んでくれてありがとうございます。
頑張っていきたいと思っているので、続きが出たら
また見てくれると嬉しいです。
では。