<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

チラシの裏SS投稿掲示板


[広告]


No.34197の一覧
[0] 【習作】初音ミクを召喚したから聖杯戦争に参加します(Fate/stay night)[黄桜](2014/07/20 19:26)
[1] 第二話 馬鹿共を利用するお[黄桜](2012/07/24 07:38)
[2] 第三話 バーサーカーぶっ殺すお[黄桜](2014/07/20 22:56)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[34197] 第三話 バーサーカーぶっ殺すお
Name: 黄桜◆485a52b7 ID:5b439066 前を表示する
Date: 2014/07/20 22:56
例によって例の如く、目を覚ましたら場面が飛んでいた。

俺達の眼前を塞ぐ二人組。

一人は白い少女。ロリブルマの愛称で慕われる、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン。

生で見るとえらい美幼女だわ。

けどやっぱりあと五年は必要だと感じてしまう。

まあ、これが三次元の限界だな。

二次元のロリは恐ろしい程の戦闘力(萌え)を秘めているのに、現実世界だと著しく戦闘力が下がる。

たしかに目の前のイリヤは可愛いが、やはりロリではなくガキだと認識してしまう。

もう少し育ってくれないと、相手するのも面倒だわ。

だから会話は衛宮と遠坂に丸投げ。

よく二人は相手出来るよな? ガキなんてうるさいわジッとしてないわで、ただ煩わしいだけじゃん。

……スマン、嘘だ。

俺も会話に参加したい。

現実の子供に興味が無かったとしても、イリヤはお気に入りのロリだった。

俺も超話してみたい。

でも無理。今の俺はそんな事ができる精神状態じゃねえ。

イリヤの隣に居るアレなんだよ……。

人が見ていいモノなの?

一目見ただけで体のガクブルが止まらねえぞ。

駄目だよ。アレは駄目。

アレは存在してるだけで逮捕しなきゃ駄目なモンだ。

早く来てお巡りさん……。いますぐタイーホしてあげて……。

あ……もうだめ、おしっこでちゃう……。


「ひ、ひえええええ!? なな、なんですかあの大っきい人!? こ、恐いーーーー!!」


ハッ!? イカン! 

俺の天使が生まれたての仔鹿みたいに震えてやがる!

ションベンちびりそうになってる場合じゃねえ!

天使の声で呪縛が解けた。

多分ミクたんもビックリして固まってたんだろうね。

そりゃあんなバケモンみたらお股も緩むよ。

あとでちゃんとパンツ履きかえさせてあげるからね、俺が。

ってそうじゃねえ!

好感度を上げるチャンスktk……ミクたんを護らなきゃ!

ビビるんじゃねえよ、くそったれが!!(うっひょーーーー!!)

俺がミクたんを護るんだ!!(ピンチがチャンスに早変わり!!)

ミクたんはやらせねえぜ!!(ナイスバーサーカー!!)


「ミクたん! 早く俺の後ろに隠れるんだお! 大丈夫、キミはオレがマモル(キリッ」

「え……、マ、マスター……」


お、お、お?

あれあれあれ~?

キタねこれ。うん、間違いない。ちょっと顔赤くなってるもん。

ブヒッ。ここで手を緩めるのはただのバカ。


「ほらミクたん、こっちだ!」


俺はミクたんの手をとって駆け出した。

ほらね。恥ずかしがり屋さんなのに、手を握っても嫌がらないよ。

コレものすげー勢いで好感度上がってやがるわ。ふひひ。


「よーし、もう安心だお」

「……え?」


俺はミクたんと一緒に、衛宮達の背中に隠れた。


「盾ならいくらでもあるお。ミクたんは俺の手をしっかり握ってるんだお」

「…………」

「「「「…………」」」」


無言で手を振りほどかれた。WHY?


「やっちゃえバーサーカー!」

「くっ……! シロウ、離れていてください!」


俺が疑問を抱いた瞬間、戦闘が始まった。

バーサーカーを近づけまいと、セイバーたんが単身斬り込む。

描写は割愛。

アニメみりゃわかる通り、人智を超えた戦闘してるだけだ。


「セ、セイバー!!」


うん、衛宮が叫ぶの分かるわ。

セイバーたんかなり押されてるもん。

速過ぎて何が何だか分からないけど、たまに力負けして吹き飛ばされてるし。


「アーチャー! チャンスがあったら狙いなさい!」

「わかっている」


うー恐ぇ……。

万が一セイバーたんがやられちゃったら、俺達全員バッドエンドか?

アニメ基準の世界なら大丈夫だとは思うけど、そんな保証無いんだよな。

というか、俺とミクたんがいる時点で、ゲームのどのルートからも外れてる気がする。

それに、原作通りだと衛宮が大怪我しちゃうんだが……。

ま、まあ、主人公なんだから、死ぬ確率は低いよね?

それに別に友達でもなんでもないわけだし、元々利用する気マンマンだったわけだし?

どうせ不思議な力ですぐ直っちゃうんだから、怪我くらいで皆が助かるなら本望っしょ。

正義の味方なんだからさ……。


「くそっ、このままじゃセイバーが……ッ」

「馬鹿な事考えないでよ、衛宮君。貴方が行った所で死ぬだけなんだから」

「くっ……」


スゲーな。あんなミキサーみたいな所に突っ込もうとするとか、正真正銘の馬鹿にしか出来んぞ。

……………………。

……はあ、やっぱ主人公はカッケーよなあ。

それに比べて、同級生にむかって「はよ怪我して来いよ」とかマジ俺クズすぎw

……………………。

でも俺一般人だもん……。

いや、俺だって戦えるもんなら戦うよ?

厨二乙wwとか言われたって、力があるならやりたい放題するさ。

最低系だろうがなんだろうが、実際に転生するなら最強オリ主になってブイブイ言わしたいに決まってんじゃん。

……………………。

……なんで神様、最後のお願い叶えてくれなかったんだろうね?

本当なら、「ここからは俺が相手だ、バーサーカー」とか言ってたのにな。

あーあ、一般人は辛ぇーぜ。

まあ、ちょっとだけ考えてみるか?

どうせ何も出来ないわけだし?

考えるくらいなら一般人にもできる事だしな。

あ、そういや俺原作知識持ってんじゃん。すっかり忘れてたわw

よーし、唸れ! 俺の脳細胞ぉぉぉぉぉぉ!! 


「ティンときた!!」


嘘だろ!? あっという間に思いついちゃったんだけど!?

え? なにこれ? この危機的状況下で俺の潜在能力がヘブンったの?

ヤベェ、やっぱ俺がコナン君かもしれない。


「コレだ! コレしかないお!」

「ど、どうした野々宮?」


うん、イケル。

そうだよ。原作知識持ってるんだから、俺は最初から答えを知ってるのと同じなんだ。

バーサーカーの倒し方だって、俺は既に知ってるわけだ。

全サーヴァントの特性どころか倒し方すら分かってるんだから、最初から慌てる事はなかったな。

テヘ、失敗失敗。ちょっとパニクっちゃった。

さて、化物退治といきますか。


「衛宮君! 遠坂さん! バカアーチャー! アレを確実に倒せる作戦があるお!」

「ホントか!?」


あのバケモン殺すには、物量による力押しか、一撃で複数回殺せるくらいの圧倒的火力による力押ししかない。

ってーか、どうやっても力押ししかねえのな。

スゲーなヘラクレス。この天才がいなかったら間違いなくお前が最強だったよ。


「貴様、今私をなんと呼んだ? そんなに死にたいのか?」


おっと、浮かれてつい口が滑った。

つーか今はそんな事どうでもいいんだよ。ちょっと黙ってろ。


「期待していいのか不安なんだけど……、ヘラクレスっていったらギリシャの大英雄よ? 化物と言ってもいいわ」


遠坂に言われるまでもない。んな事わかってんだよ。

原作知識持ちの俺からしてみたら、攻略本見ながらプレイしてるのとなんら変わらん。

バーサーカーの厄介な所は、あの削岩機みたいな超暴力じゃねえ。

宝具、『十二の試練(ゴッドハンド)』だ。

他のサーヴァントは残機1でヒーコラしてるってのに、奴だけ残機12。コンティニューおいしいれす、って馬鹿か。

一人だけヌルゲーとか、汚いなさすがバーサーカー汚い。

しかし残念。

俺がコナン君だ!

ここにコナン君がいた事が、アインツベルンの最大の誤算だろうよ。


「作戦はこうだお。まず、いま足止めしてるセイバーたんの役割を、アーチャーが代わりに受け持つ」

「馬鹿言わないで。アーチャーは弓兵なのよ? 剣の英霊がギリギリ持たせてるってのに、出来るわけないでしょ」

「それは聞き捨てならないな、リン。君は己のサーヴァントを過小評価している」


アーチャーが不機嫌そうに顔をしかめた。

そりゃそうだな。セイバーより弱いなんて言われたら英霊として、なにより男としてのプライドがズタズタだ。

ホント、赤い悪魔は女としてミクたんの足元にも及ばないわ。


「出来るの?」

「足止め程度なら問題は無い」


力強く頷いたバカアーチャーに安心したのか、遠坂も納得したようだ。


「キーマンは衛宮君だお」

「お、俺か!?」

「いけるかお?」

「あ、ああ、大丈夫だ! まかせてくれ! でも俺、強化くらいしか使えないぜ?」

「大丈夫だお。この作戦は衛宮君のスタミナに掛かってるお」

「スタミナか……。分かった、体力には自信がある」


おおう、さすが主人公。

やる気になったら凛々しさが違うな。

そりゃいろんな女が惚れちゃうわけだ。

でも気をつけろよ、衛宮クン? うっかりミクたんを惚れさせた瞬間、キミのチンコがさよならバイバイだからネ?


「時間が無いから手短に言うお。まずアーチャーがセイバーたんと交代。バーサーカーの注意を惹きつけてほしい」

「……まあいいだろう。たしかに時間も無い」

「次に、いったん後退したセイバーたんと、衛宮君・遠坂さんが合流。三人はそのままさらに後退してくれお」

「後退って……、私達三人とも遠距離からの攻撃手段なんてほとんど無いわよ?」

「大丈夫だお。作戦が決まれば、セイバーたんがバーサーカーを倒すはずなんだお」

「セイバーが? ホントかしら」

「九割方倒せるお。悪くても撃退は確実」

「どういう計算で九割なのよ?」


カーー。もう面倒くせぇ女だな、この赤い悪魔は。

大体だよ大体。俺の頭脳が、タブン九割クライ勝チマスタってはじき出したの!

まったく、こっちには原作知識があんだよ。

お前の思いつき作戦なんぞより遥かに高度な戦術だっつーの。


「俺の命も掛かってるんだお。信じてほしいお」

「遠坂、時間が無い。俺はセイバーを助けたい」

「うっ……、わ、わかってるわよ。別に信じてないわけじゃ……」


ツンデレ乙。

でももう俺には天使がいるから結構です。

そこのオレンジ頭がお前のヒンヌーをモミポするだろうから、俺の事は諦めてください。

ブヒッ。ヤベエな俺。今、遠坂凛フったったわww

もしかしてSS界始まって以来の快挙じゃね?

これがリア充の余裕というものか……。


「ちょっと、何気持ち悪い顔してんのよ?」


おっといかん。思考が逸れた。


「後退したら俺達は何をすればいいんだ?」


よく聞いてくれた、衛宮士郎。

この局面だけじゃなく、聖杯戦争の勝者になる為には、俺自身が有利になる筋道を作らなければならない。

間違いなくここがその最初の岐路。

俺はここで、原作を、ブレェェェクする!!


「アーチャーが時間を稼いでる間に、衛宮君と遠坂さんとセイバーたんで3Pするんだお!」

「「「……ハ?」」」


セイバールートでは、バーサーカーと二度対峙する事になる。

が、構図がほとんど変わらん。

ただ単に、衛宮がアインツベルン城に攫われるという要素が加わっただけだ。

衛宮・セイバー、遠坂・アーチャーVSイリヤ・バーサーカーという図式自体に変化は無い。

というか逆に、セイバーたんが魔力の使い過ぎで超弱ってた気がする。

なら、セイバールートで行うはずのイベントを前倒ししようぜ?

どっちみちセックルしないと生き残れないんだ。どうせする事になるなら序盤ですればいいじゃない。

さらにブレイドワークスルートでの要素も混ぜちまったら、もう恐いもの無しだろ?

我ながら恐ろしい頭脳だぜ。

つまりこうだ。

バーサーカーを倒すには宝具(火力)の連打が一番手っ取り早い。

”約束された勝利の剣(エクスカリバー)”なら、うまくいけば二撃で殺せる。

”無限の剣製(アンリミテッド・ブレイドワークス)”でもいいが、ここはセイバーの強化も視野に入れよう。

アーチャーが足止めしてる隙に、衛宮とセイバーたんがセックル。

これで繋がっていなかった魔力のパスがちゃんと繋がるはずだ。

セイバーの低下しているステータスが本来の物になれば、衛宮だけじゃなく、きっと俺の利益にも繋がってくる。

しかし、衛宮の貧弱な魔力じゃあセイバーたんはそう何度も宝具を使えない。

そこでさらに、衛宮と遠坂がズッコンバッコン。

魔力だけはバカみたいにある遠坂を外部電源にする事で、セイバーたんが無双状態へと変身するわけだ。

しかも! 衛宮が”無限の剣製”を使う為の下準備がほぼ完了するというオマケ付き!

主人公補正あんだからいきなり使えるようになるか、遠坂とのライン通じてアーチャーの心象風景ぐらいコピるだろ。

まさに一石二鳥、三鳥、倍率ドンだ。

問題は、衛宮が連続でドピュれるだけのスタミナがあるかどうか。

でもまあ、心配はいらないかな。

エロゲ主人公は絶倫だと昔から相場は決まってる。下手すりゃ軽く五、六発ぶち込むかもしれん。

俺の頭脳ヤバイな。

この見事な名軍師っぷりに、きっと孔明だって裸足で逃げだすに違いない。

よくよく考えてみれば、いつの時代だって知略に優れた軍師達が戦場をコントロールしてきたのだ。

やはり知という物こそを、人は最優先に磨くべきだろう。

ここにいる面子に知性を期待するのは酷。

俺はただのしがない一般人にすぎないが、知力には少々自信がある。

魔術師達には悪いが……、ここからの指揮は俺が取る!


「アーチャーはすぐにセイバーたんとスイッチ! 二人は早く服を脱いでセックルの準備だお! よし、作戦開始!」

「バカ」

「死ね」

「消えろ」


……え?


「いったい何考えてんだよ……」

「真面目に聞いた私が馬鹿だったわ」

「少しは自重しろ、この変態が」


はあ……?

え? 何? なんで俺罵倒されたの? 意味わかんない。


「アーチャーはセイバーの援護よ。私もサポートするわ。衛宮君は私の隣。戦闘の邪魔にならないようにしなさい」


しかも赤い悪魔が勝手に指揮を取りだしましたよ? 俺から高速で離れながら。


「ちょ、ちょっと待つお! 俺は真剣にブヒンッ!?」


無言で俺の顔面にガンド撃ってきやがった。

なにコレ?

いったい何が不満なのよ?

だれが聞いたって、俺の作戦の方が遠坂のより優秀なんじゃないの……?

クソがッ! 俺という天才に時代がまるで追いついてこない! まさか俺が速すぎるとでもいうのか……ッ。

悔しくて涙が出てきやがる。

もう駄目だ。このボンクラ共はまるで当てに出来ねえ。

どうする? 下手に衛宮が死んだりしたらマズすぎるぞ。

衛宮の中に”全て遠き 理想郷 ( アヴァロン )”があるからって安心なんぞ出来ねえ。即死したら終わりだ。

あのバカタレは地雷原でバスケのドリブル練習するくらいの馬鹿なんだぞ?

たしかアイツの魔術の練習方法がそんな感じだった。

北斗百裂拳の練習するはずが、何を勘違いしたのか南斗列車砲の練習してたくらいのイカレっぷり。

オ゛メーがやってんの魔術の練習じゃねーがら!! って遠坂に怒られたの知ってんだぞ、クソッタレ。

ちくしょう! 衛宮なんぞの心配して損した!

お前等が死ぬのは勝手だけど、俺まで巻き込むんじゃねえよ!

衛宮がリタイヤした瞬間、俺が持ってる原作知識はゴミと化す。

主人公が死んだ後のシナリオなんて知らんから当然だ。

なにか……、なにかないのか?

この役立たず共に頼らずに状況を打開できるナニカッ!?


「マスター。危ないですから、もっと後ろに下がりましょう?」


あったーーーーーーーーーーー!!


「ミク……たん……」


そうだ。なんで俺は忘れていたんだ。

俺には宇宙最高のサーヴァントがいたじゃないか!


「ほら、もう泣かないでください。こんな時にあんな事言ったら誰だって怒──」

「ミクたん!!」

「ひゃ!? な、なんですか、マスター?」

「ミクたんの能力ってなに!? もしかして歌による対象の一時的なステータス上昇じゃないかお!?」

「そ、そうですけど、よくわかりましたね」

「キタァァァァァァァァァ!!」


キャッホーーイ!

これで勝つる。バーサーカーオワタww

ミクたんの能力。これはなんとなく分かってた。

初音ミクの熱狂的ファンである俺にとって、彼女の全てを推察する事など赤子の手を捻るようなもの。

天使である彼女の歌に、『奇跡』が宿らぬはずがない。

愛の歌姫(ディーバ)たる彼女は、その想いで他者に恩恵を与える存在なのだ。

初音ミクの生歌とか、もう間違いなく五ランクはアップするに決まってる。

十二の試練(ゴッドハンド)?

Bランク以下の攻撃を全て無効化? 

十二回殺されない限り死なない?

たわけが! なんというチンカス能力!

所詮は半神半人だったな。まあ、奇跡を紡ぐ本物の天使と比べるのはちと酷か。

ミクたんが歌い出した瞬間、セイバーとアーチャーの攻撃は全てAランク以上ですからね?

『約束された勝利の剣』なんて使った日にゃおまえ、たとえ命が100個あっても一瞬で消し飛ぶっつーのw

つーかコレ、通常攻撃どころか下手するとシッペやデコピン、にらめっこまでもがAランク攻撃になりうるぞ。

 セイバーたん「あ? テメーなにメンチ切ってんだ? やんのかコラ」メンチガエシ

 バーサーカー「ギャーーーーーーーー!!」シボウ

 セイバーたん「なにその腰ミノ? オシャレのつもりすかw」バカニスル

 バーサーカー「ギャーーーーーーーー!!」シボウ

 セイバーたん「シロウ。ご飯は大盛りにしてください」オカワリ

 バーサーカー「ギャーーーーーーーー!!」シボウ

きっとこんな感じだな。

さすが俺のミクたん、マジでパネェェェェェェェェ!!

あえてもう一度言おう。

バーサーカーオワタwwww

もういいよ。休みたまえ。

君の冒険はここまでだ。

俺とミクたんを敵に回した君が愚かだったのだよ。

怨むなら、天才と天使を同時に相手してしまった己のアホさ加減を怨むんだな。


「よく聞けえ! ヘラクレスよ!」


もうテンションあげあげだわ。

俺の魂が歓喜に震えて止まらんよ。

さあ一緒に狼煙を上げよう、ミクたん。


「おまえはすでに──」


俺達こそが最強なのだと、このクソのような世界に宣言するのだ!


「死んでいる」


劇画顔でバーサーカーを指さすと、戦場の空気が一瞬固まった。


「お、おい遠坂。野々宮の奴大丈夫か?」

「最初から手遅れよ」

「ねー、お兄ちゃーん。あのデブ、お兄ちゃんの友達ー?」

「いや違うぞイリヤー。ただの同級生だー」


バカマスター共が。

このシリアスな場面で何考えてんの?

殺し合いの最中に敵と慣れ合ってんじゃねえよ。

和気藹々で殺し合うぞ~ってか? 

だからお前ら魔術師は頭がイカレてるってんだ! キチガイ共が!

もういい。こいつらタコマスター共には何も期待せん。


「ミクたん、歌うんだお!」

「え? い、いいんですか?」

「もちろんだお! 『初音ミク』の歌をたっぷり聞かせてやれお!」

「ハイ!」


うおっ、なんて嬉しそうな顔だよ。超可愛いんですけど?

まあそうだよな。歌姫なのに召喚されてから全然歌ってないもんな。

ゴメンなミクたん。こんな血生臭い世界に喚び出しちまって。

俺が絶対護るから、許してほしい。

ミクたんの邪魔にならないように精一杯頑張るよ。

俺が決意を再度固めた時、世界がミクたんの祝福に覆われた。


「ぬ!?」

「こ、これは!?」

「なにこれ!?」

「なにか聴こえてくる……」

「メロディ? それもすごい清浄な魔力……」


上から順にアーチャー、セイバー、遠坂、衛宮、イリヤ。

奇跡に触れたアホウ共が驚愕してやがる。

どこからともなく聴こえてくる、深く、美しく、神聖な曲が戦場を支配した。

理性の無いバーサーカーですら動きを止めている。

まあどんなバケモンだろうが、これだけの奇跡を浴びちまったらそりゃ驚くわな。

だが、おれの驚愕は、アホウ共の遥か上だった。


「ッ!! ッ!! ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!」


イントロが流れてきた瞬間、俺の鼻とケツの穴から何か出た。

ああ、安心してくれ。別に汚物的なモノじゃない。

こう……電流的な?

つーかスピリチュアル的な?

というか、出産的な何かだった可能性もたしかにあるわ。

なぜって、これは……。

この曲はさ……。

んーなんて言えばいいのかな……?

これは……。

これはッ!

これはこれはこれはこれはこれはぁぁぁぁぁッ!! 

俺の──


『みくみくにしてあげる♪』


──原点ッッッ!!!!


「科学のげ「ブヒィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」


ミクたんが歌い出した瞬間、俺の魂は爆発した。

大丈夫かコレ? チンコも爆発しちゃったかもわからんね。

俺に出来たのは、獣の様な絶叫を上げる事だけだった。

俺の体内で暴れまくるコレは一体何ですか?

いまなら俺、ブロリーにも勝てるような気がす……桃白白にも勝てるような気がする。

アホみたいに体が軽い。

力とかそういうのだけじゃなくて、もう何もかもから解放されたかのような全能感。

大丈夫? 俺、もしかして死んじゃってね?

ちゃんと息してる?

あ、ちゃんと生きてるわ。わけの分からん超パウァが全身に、タマタマにまで流れてるのがハッキリと分かるもん。

この超パウァ、どうやら知覚力もアップさせちゃってるみたいだ。

何か知らんが戦場の全てが把握できちゃうし。

ミクたんから目が離せないのに衛宮と遠坂の表情、セイバーアーチャーの動き、ロリブルマの立ち位置だって分かる。

まあ、バーサーカーが纏う圧倒的な死の気配すら見通せてしまうのは、完全に無駄機能だと言わざるを得ないが。

なんかもう膨らみ過ぎた風船みたいに、このままじっとしてたらパーンってなっちゃいそう。

だから俺は力を解放した。


「昇龍拳ッッッ!!」

  ∧∧ ∩
 ( ゚∀゚ )/  ショーリューケン!
⊂   ノ
 (つ ノ  
 ( ノ




魂がメルトダウンしちゃった俺は、その場で昇龍拳を繰り出した。

『初音ミク』が与えてくれたミラクルパウァ。

それを全開にした俺は、この戦場でもっとも適切な己の位置を割り出し、跳ぶ。

前世で習得した昇龍拳は、完璧な軌跡を描きながら夜の闇を切り裂いた。

が、なんだこりゃ?

俺は間違いなく昇龍拳を繰り出した。完璧すぎる程に完璧な昇龍拳だったはずだ。

なのに、その昇龍拳は、俺の本来の技量を遥かに超えていた。


「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」


        _ ∩
      ⊂/  ノ )   ウォォォォ!
      /   /ノV  ミ
      し'⌒∪   ミ  
           ミ


俺の身に宿った爆発的な力は、昇龍拳の上昇限界を容易に突破。

荒ぶる力を抑えきれず、俺はエビ反りになりながら天を舞う。


「ケェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!」


r'⌒X⌒X⌒X⌒X⌒X⌒ヽ ⊂゙⌒゙、∩
ヽ__乂__乂__乂__乂__乂 ⊂(。Д。) ケェェェェ!


もはや何が何だか分からない。

上下左右も分からない。

この全身を駆け抜ける不思議パウァが、俺の体をやたらめったらグルグルと回転させる。

おそらく、最も近い感覚は飛翔ではないだろうか。

そう、俺は今、宙を翔けているのだ。

──ここだ!

r'⌒X⌒ヽ ∩゙⌒゙、⊃
ヽ__乂_ノ (。Д。)⊃ ピキーン!


俺のコメカミを、閃きが右から左に突き抜けた。

この瞬間、俺の直感力はアムロ・レイに並んだ事を意味する。

ニュータイプと同等の直感力を手に入れた以上、もはやビーム兵器でもなければこの俺を捉える事など出来はしない。

そんな傲慢を抱きながら、俺は残像を起こす程の抱え込み前転に移行。

全力で巻き上げられるトイレットペーパーの気持ちを理解した俺は、きっとどんなお尻にも優しくできるに違いない。


「墳ッ!!」


   ∧_∧  フンッ!
   (  ・ω・ )   。
  / ヽ!i! ヽl!i /
  と_)⊃_) ⊃ バンッ!
   ・⌒Y´⌒Y⌒ 、


超人の着地。

本来なら間違いなく潰れたトマト確定だが、ミクたんのミクミクパウァに護られてる俺には何の問題も無い。

両手両足を使い、トン単位の衝撃を見事に吸収した。

そして咆哮。


「みっくみっくにしてあげるぅぅぅぅぅぅ!!」


間に合った。

ミクたんの真正面。その距離およそ10メートル。これ以内だと警備員に連行される恐れがあるからな。

ミクたんの歌を邪魔せず、且つライブで最高の一体感を得られる最適の距離にして位置。

ミクたんのパンチラに目を奪われながらも、俺は完璧な振り付けと共に完璧な合いの手を入れる事に成功した。

唯一の難点はバーサーカーに背を向ける形になってしまう事だが……、まあ仕方あるまい。

生ミクたんと一緒に『みくみくにしてあげる♪』を歌い踊る機会。これを逃す奴はミク豚を名乗る資格が無い。

ここでは間違いなく最優先事項だ。

ちなみに全員の立ち位置はこんな感じ。



        ○イリヤ                        ○イリヤ
        ●バーサーカー                     ●バーサーカー
                                    ◎オレ
  セイバー○                       セイバー○   
                          

                   ⇒

                         
   アーチャー●                       アーチャー●   
        ミク○◎オレ                       ミク○    
リン○                        リン○      
 シロウ●                       シロウ●
                                       ※立ち位置イメージ



バーサーカーとの距離は1メートル。

少々バーサーカーに近い気もするが、ミクたんライブの前にはやはり些細な事と言えるだろう。


「実際に飛べるブタっているんだね。頭はおかしいみたいだけど……」

「ちょッ!? 死にたいの!?」

「危ない!! 野々宮!!」


なにやら雑音がするが、訓練されたミク豚である俺の集中を奪う事は誰にも出来ん。例外は『初音ミク』本人だけだ。

いまはただ、十八年ぶりの聖歌に酔いしれるのみ。


「キャーーーーーーーー!! マスターーーーーーーーー!!」


む? 天使の悲鳴。どうしたミクたん!!


「後ろ後ろーーーーーーーーー!!」


ピキーン。

こ、このプレッシャーは!?


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?????」


俺は直感に従い、身を捻りつつ全力でダイブ。

直後、俺は爆心地から吹き飛ばされた。


「プギャッ!?」


地面に叩きつけられた俺は、ようやく正気に戻った。

あ、あぶねぇ……ッ! 危うくひき肉になるところだったんすけど!?


「何を考えているのです!!」


セイバーたんがバーサーカーと打ち合いながら怒鳴ってきた。

どうやら追撃を防いでくれたらしい。

つーか俺が聞きてえよ。

何を考えてたんだよ、俺。テンションって怖い……。


「貴方を護りながらでは持ちません! 早く下がりなさい!」

「お、おう」


本当なら腰が抜けてるとこなんだろうけど、どうやらミクたんの加護は持続型のようだ。

でも、どんどん力が抜けていってるのも感じる。

当然俺は慌てて逃げようとした。

しかし、ここで違和感。


「……?」


俺は振り返り、セイバーとバーサーカーの戦闘を見る。


「ッ!?」


そして気がついた。


「なにしてんだ!! 早くそこから逃げろ!!」

「この馬鹿!! とっとと逃げなさい!!」


衛宮と遠坂がひどく慌てた声で叫ぶ。

いまにも駆けつけようとする正義の味方と、それを押しとどめている赤い悪魔。

あいつら魔術師のくせして妙に善良だよな。


「マママ、マスター!! はやくこっち!! こっちーーー!!」


おほっ。慌てる天使可愛ゆす。

飛び跳ねながらブンブカ手を振ってるよ。

……あーミクたんと結婚してぇ。

俺は、覚悟を決めた。


「ミクたーん! もっかい歌ってくれおー!」

「え? えええ!?」

「なっ!? バ、バカ! いいから戻れ!」

「なに考えてんのよ! この豚は!」

「あ、危ないですよー! マスター!」


悪いな、衛宮。ミクたんもごめんよ。

けど遠坂。おまえのパンツはオークション行きが決定したわ。


「お願いだお! ミクたんが歌ってくれないと俺死んじゃうお!」


そう言って、俺はバーサーカーに向かって走りだす。

逃げた勝算を引き戻す為に。

ここがFate/stay nightの世界だって事は分かってる。

似た世界だとか、もう俺にとって現実だとか、そんな事はどうでもいい。

どっちにした所で、ちゃんとバッドエンドが存在する世界だって事だ。

最悪でも死だけは避けたい。ミクたんが死ぬなんて考えたくないし、衛宮達が死ぬのも見たくない。

もちろん必ず勝者になるつもりだ。その目途も立ったと思った。

でも違った。

悪くても衛宮とは同盟が組めると考えたのは甘いだろうか?

アーチャーが敵になったとしても、ミクたんの歌で強化されたセイバーがいればどうとでもなる。

取らぬ狸のなんとやらだが、上手くいくと思ってた。

でも、その前提が崩れた。

さっき、ミクたんが歌った後も、セイバーはバーサーカーに押されていた。

つまり、ミクたんの歌が届いていない。

かなりマズイ。

原作でも、セイバーは衛宮のお守りだけでギリギリだ。

強化でもされない限り、俺とミクたんまで護る余裕はないだろう。

セイバーの抗魔力のせいなのか、それともミクたんの能力がマスターである俺だけを強化するのかはまだ分からない。

それでも使えない勝算になり下がったのはたしかだ。

だから、新しい勝算を手に入れなければならない。

元々聖杯戦争は殺し合いなわけだし、ミクたんの為なら多少の無茶はする。


「わ、わかりました! でも無茶しちゃだめですよー!」

「ええ!? 認めるのか!?」

「な、なに考えてんのよ、アンタ達二人とも……」


さすが宇宙最高のサーヴァント。マスターへの忠誠は天を突くな。

間を置かず、すぐに聞こえてくるメロディー。

瞬時に漲るミクミクパウァ。

よし、ミクたんが護ってくれてる。

これで恐い物は何もない。


「いくぜ──」


お約束。というんだろうな。

実は、俺には武術の心得がある。

統計をとると、転生者、トリップ者の武術経験率は恐ろしく高い。

この俺もご多聞にもれず、前世ではよく鍛錬に励んだものだ。

あまりにテンプレ過ぎて申し訳ない気持ちでいっぱいだが、こればっかりは仕方が無い。本当の事だからな。

前に戦闘力の無い一般人だと言ったが、それは魔術や英霊に対して無力という意味ね?

まあ、今世ではたまに型を確かめるくらいだから多少鈍ってるだろうが、それでも中々の武術家だと自負している。

でも勘違いしないでくれ。

平和主義の俺は、鍛えた技を使って他者を傷つけた事なんかない。

前世でも今世でも、例えやんちゃボーイ達に囲まれても使わずに逃げていた。

おまえらなんぞ五秒で殺せるぞ! と心の中で思いながらね。

実際あまりに威力が高すぎて、そこらのチンピラには使えねえんだよ。

それでもいつか必要になる日が来ると、前世で厨二病をこじらせた俺は必死で鍛錬したわけだ。

ホント、人生何が幸いするかわからんぜ。

技とは肉体に刻まれる物。故に、行った事のない動作は酷くぎこちない物となる。

才能の差により錬度と習得速度は違ってくるが、それでも万人共通の摂理である。

しかしこの俺は例外だ。

転生などというイカサマのせいで、前世の経験すら己の物としているのだ。

多少サビついているかもしれんが、そこはミクたんの愛で補えるだろう。

力や速さ、はては動体視力や直感にいたるまでが全て爆発的に底上げされている。

ならば少々無茶をしても問題はあるまい。

勿論、英霊という存在を侮っているわけじゃない。

バーサーカーと一対一でガチンコなんか出来るわけないし、するつもりもない。

俺がするのはあくまでセイバーの援護。

そして、『剣』と『弓』を届かせる為の撹乱だ。

俺とミクたんの未来の為、ここでバーサーカーは撃退せねばならない。

それも、万が一にも衛宮と遠坂がリタイヤしてはならないのだ。

故に俺は勇気を振り絞る。

この頭脳が導き出した勝算を信じて、ちっぽけな勇気を振り絞るのだ。

さあいけ、野々宮一平。

このバーサーカー戦はおまえの試金石だ。

吼えろ、勝者になる為に!


「ヤムチャ!! 技を借りるぜェ!!」


ありったけの勇気を出して、俺は吼えた。


「くらえ!! 狼牙風風拳!!」


嵐の如き剣戟を交わす闘争の渦。

その中心へと飛び込む!


「ハイハイハイハイブッゴォォッ!?」


バーサーカーの蹴りをモロに食らった俺はぶっ飛び、街路樹に叩きつけられた。

クソッ、痛ぇ……、ものすごく痛ぇ……。

……え、なに? メッチャ痛いんですけど!?

痛っっったーーーーーーーーーい!! 全身が痛すぎるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!

そらそうだ。

叩きつけられた衝撃で街路樹が軽く砕けてるもん。そら痛いわな。

みくみくパウァに護られてなかったら即死してたね、これ。


「の、野々宮ーーー!!」

「マスターーーーー!!」

「あたりまえでしょ……」


つーか嘘だろ? 両手を使った高速連撃の間に、蹴りが割り込んできやがっただと……!?

クソッたれが! 理性を失っても百戦錬磨の武は体に染みついてるってことか!

さすがヘラクレス……、少し甘く見たぜ。

けどどうするよ?

前世で馬鹿みたいに練習した狼牙風風拳が通用しないとなると、後は排球拳くらいしか思いつかねぇ。

だが、ヤツのあの巨体をバレーボールに見立てる事なんて出来んのか……?

ちくしょう、無理だ! レシーブした瞬間、間違いなく腰やっちまう!

かといって昇龍拳はタメがでか過ぎる。

昇龍拳千本制覇の俺の功夫を持ってしても、それはキメ技と想定して行った鍛錬だ。

小足見てから昇竜余裕でしたww なんて言える程モノにしてるわけじゃねえ。

相手は大英雄ヘラクレス。とてもじゃねえが喰らってなんてくれないだろう。

クソッ! こんな事なら繋ぎ技として練習してればよかった!

俺にウメハラさんくらいの才能があれば……ッ。

無い物ねだりしても始まらない。あと残るのは……未完成のアレしかねえな。


「だ、大丈夫だお! 歌いつづけてくれ、ミクたん!」


俺は痛みを堪え、力を振り絞って立ち上がった。

……だが、俺に出来るのか?

前世で夏休みに二万本練習したのに習得できなかった、あの技を……ッ。

いや、やるしかない!!

あの時とは違う! 今の俺には守るものがある!

ミクたんの加護を受けてるいのに、出来ないわけがない!!

タイミングを間違うな。

バーサーカーがセイバーを攻撃した瞬間を狙え。

いかに英雄とはいえ、攻撃と防御を同時に行う事なんか出来ないッ!

…………いまだッ!


「新・狼牙風風拳!! グッハァッ!!??」


またブッ飛ばされた……。

超絶に痛い……。

なんだよコレ? 駄目じゃねーかよ……。

全然駄目だよ! なんだよ狼牙風風拳って!? まったく使えねーじゃねえか!!

鍛錬に使った俺の中学三年間を返せ!!

だめだコリャ。多分俺が世界で一番の狼牙風風拳の使い手のはずなのに、まったく通用する気がしない。

これ俺のせいっていうよりヤムチャのせいだろ?

ヤムチャじゃ駄目だわ。やっぱアイツ駄目だわ。

俺もう二度と狼牙風風拳使わねぇ。


「オイ、大丈夫か野々宮! しっかりしろ!」

「……アンタ、いったい何がしたいのよ?」


いかにミクミクパウァでも、さすがに二度も喰らったら動けなくなった。

もはやピクリとも出来ない俺に、慌てて正義の味方が駆け寄ってきてくれる。ついでに赤い悪魔も。


「え、衛宮君……遠坂さん……すごく、痛いんだお……」

「ちょ、血だらけだぞ!? 遠坂、直してやれないか!?」

「どれだけ足を引っ張るわけ、この豚は……」

「早く癒してやってくれ! このままじゃ……!」

「わかってるわよ。というか、バーサーカーの攻撃喰らってなんでまだ生きてんの……」


それはミクたんの愛の力です。

つーか、やっぱこいつらにもミクたんパウァが届いてないみたいね。

意識が飛びそうな俺に、遠坂が宝石をかざす。

体中があったかくなってきた。

あれー? 赤い悪魔のくせしてなんかすげー癒される。

回復魔術ってこういうもん?

やっぱ遠坂はホイミ要員として必要だな。

パンツ盗むのは勘弁してやるか。


──マスター! 大丈夫ですか!?──


む? 頭の中でミクたんの声が響く。どういう事?


──無茶しちゃ駄目って言ったじゃないですか!──


うひょー! 遂に俺達の愛が心まで繋げちまったのか!?


──全然違います。歌ってる時は心を込めてますので、私の歌が届く人にはちゃんと想いが伝わるんです──


スッゲェェェェェ! さすが俺の愛天使!


──もうっ……。いいですか? マスターの治癒力も上げてますから、私はこのまま歌い続けます──


なんと! やはりこの癒され感は遠坂の手柄ではなかったのか!?

やっぱりな。おかしいと思ったんだ。

俺を騙した罪は重い。テメエのパンツは三枚ヤフオク行きが確定したぞ、赤い悪魔。


──マスター、エッチなのは駄目です。嫌いになっちゃいますよ?──


ひぃぃぃ!? すんませんすんません! お尻の穴舐めるので許して下さい! 嫌いにならないでぇぇぇぇ!!


──舐めなくていいです! とにかくマスターは休んでて下さい。私がバーサーカーさんに帰ってもらいます──


ちょっ!? ダメダメダメダメ!! ミクたんは危ない事しちゃ駄目ぇぇぇぇ!!


──私だってサーヴァントなんです。マスターは私が護ります──


いいのいいの! 戦闘なんてバカ共に任しとけばいいんだって!

ミクたんは天使なんだから後ろで歌ってくれるだけで十分!

殺し合いなんてミクたんがやる必要無い!


──近づかないから大丈夫ですよ。それに、狙うのはあの大っきな武器です──


は? 武器?


「オイ野々宮! しっかりしろ! 意識をしっかりもて!」

「う──」


うるせえな! 今忙しいから黙ってろボケッ!

空気の読めない衛宮にそう怒鳴ろうとしたら、目の前が急に暗くなりだした。

ヤバイ。血流し過ぎて貧血になってるわ。


──バーサーカーさんも武器が無くなったら帰ってくれますよね? じゃあいきますよぉ──


俺は力を振り絞ってミクたんに目を向ける。

あ、俺あの表情とポーズ知ってるわ。

気絶する直前に、俺の脳裏に浮かんだ映像。

それは、職人が作った『みくみくにしてあげる♪』のMAD、3DPV。

そういやミクたん、数十基のネギミサイル一撃で破壊してたわ……。

もー、この天使はどこまで俺の希望であり続けるの?

可能性が無限大過ぎて生きるのが辛いんですけど?

目が覚めたらさっそく『Nyanyanyanyanyanyanya!』踊ってもらわなくちゃ。

『ワールドイズマイン【PV】』のエロイミクたん見たすぎる。

頼めばアリスバージョンの『裏表ラバーズ』踊ってくれるかな……? さすがに結婚するまでは無理だろうか?

MMD杯のは全部やってもらわなきゃね。

ヤベェ……。俺の人生、残り5、60年なんかじゃ全然足らんぞ。

永遠の命を願わなかった俺は生粋のアホウだったわ。

くそう……フヒヒ。

嬉しすぎるのに、俺は歯噛みしながら意識を失った。

あ、ちなみに目が覚めた時に、衛宮がイリヤの伝言預かってた。

「飛んだところで豚は豚だぜ」だと。

あいつも大概頭がイカレていやがる。

とにかく、あのロリのブルマもオークション行きが決定したわ。





一日で三回も気絶するとか、やっぱ聖杯戦争とんでもねえな。

まあ、俺には宇宙最高の天使が傍にいる。きっとなんとかなるだろ。

明日からのミクたんとの生活が楽しみだ。

このまま二人三脚で聖杯戦争突っ走るぜ。

俺はまだ登り始めたばかりだからな。この果てしないミク坂を──。


ミクマスターNONOMIYA 完





後書き

もう書けない……。
自分みたいな真人間に、こんな変態主人公とかもう書けないよ。(涙)


前を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.025122880935669