※注意※
・某ニコニコする動画の『トータル・イクリプスの自衛隊がチート過ぎる件』に影響されて書きました。
・なので、先に『トータル・イクリプスの自衛隊がチート過ぎる件』を見てくるとより楽しめる(かも)しれません。
・重複する部分もありますがそこはスルーで。
・短いです。
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「先生、俺がその因果導体というやつだってことは分かりました。それってつまり、俺を基点として双方に因果がやり取りされるって言うことですよね」
それで先生は次元転送装置を開発したはずだ。
『ええ、そうよ。それがどうかしたの? 転送する前に変な事を言って』
「いえ、なんでもありません」
『そう、それならいいわ。じゃあ転送を始めるから、そこの台に横になって』
もし俺の予測が間違っていないのならば、この世界を救えるはずだ。
目が覚めると、そこは見慣れた俺の部屋。純夏がいて冥夜も居て、みんながいる日常。あの世界の惨状を一刻も早くこの世界の先生に知らせなければ。逸る気持ちを抑え、物理準備室へと足を運ぶ。
そこにはいつもと同じ香月先生の姿があった。俺は因果導体としての俺のことを話し、数式の準備を頼む。そして、俺が考えたある計画についても話した。
これがもし実現可能ならば、世界は変わるはずだ。そして因果がやりとりされる以上、こちらの世界にも影響が及ぶ。ならばあの組織も動くのではないかと考えたのだ。
『なるほどね。いいわ、伝手を辿って何とかしてみるわ。それにしてもあんた、よくこんなことを思いつくわね』
「伊達にこの世界で生きてませんよ」
3時間ほどの滞在を終え、俺は再びあの光に包まれ、BETAの居る現実へと帰還した。
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一週間後―――――
数式を受け取りにいく刻限の時となった。あちらの先生がうまくやってくれたのなら、こちらの世界も救われるだろう。光となって消え行く自分を見て儚い希望を抱く。
目が覚めると、そこは果たして自分の部屋だった。尤も、こちらの世界の自分と純夏や冥夜、それに先生も一緒であると付け加えなければならないが。
「お久しぶりですね、先生」
『久しぶりね、もう一人の白銀』
この世界の俺は目の前に自分が現れたことに驚愕を隠せないのか、目を白黒させている。それはそうだろう。
『で、御剣。私の言っていたことは信じてもらえたかしら?』
『ああ。香月教諭の言葉を信じ切れなかったこと、許すがよい』
『た、武ちゃんが二人ーー!!』
冥夜はいつもの冥夜で、純夏はやっぱりいつもの純夏だった。
『御剣冥夜の名において、最大限に後押しさせていただく』
そして俺は数式と、既に根回しは終わっていたであろう彼の組織と共に、先生がこの数日で作り上げていた、次元転送装置を使い俺の現実へと帰還した。
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「先生、ただいま戻りました。これが件の数式です」
そういって、数式を差し出すと先生は受け取るや否や、それに目を走らせる。
『そうだったの、そういうことだったの。これで00ユニットは完成するわ』
興奮を隠しきれない様子の先生に、俺はもう一つの隠し玉を披露する。
「先生、俺の世界から援軍を呼んできました」
『は? あんた何を言っているの』
「そろそろ横浜基地の周辺に、彼らが到着するはずです」
俺の言葉と共に、基地副司令である彼女へと通信が入る。それは俺の言葉を裏付けるかのように、アンノウン出現の報だった。
「先生、それが俺の世界から呼んできた援軍、『Gフォース』そして『自衛隊』です」
いきなり出現した巨大な兵器郡に横浜基地はあわや戦闘かという雰囲気に包まれたが、副司令のオルタネイティヴ計画の成果という言葉によって鎮静化した。
翌日、新世代OSのトライアルテスト中に研究用に捕獲されていたBETAが逃げ出すという事件があったものの、Gフォースと自衛隊の活躍により、ほぼ損害が0で終わるという結果となった。
それを受け、甲21号作戦にGフォースの戦力を投入することが決定された。
『ねえ、あんたの居た世界って滅茶苦茶だったのね』
確かに、光線級のレーザーを真正面から受け止めてもほぼ損傷が無い装甲やら、レーザーを1万倍にして反射するファイヤーミラーや重光線級のレーザーをまとめて受けてもかすり傷すら受けない超装甲など
こちらの世界ではありえないのだろう。ゴジラとの戦いでは120万度に達する熱線に耐える必要があるのだから、その程度のレーザーなど『少し眩しいな』ぐらいの感覚でないと役に立たないのだ。
さらにメカゴジラはゴジラと正面切って戦うことを想定して建造された機体だ。戦車級が齧った程度で損傷していてはお話しにならない。結果として、この世界のBETAでは傷付けることさえ難しい機体となっていた。
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佐渡島まで20キロ、先陣を切るのはスーパーX2。その後にスーパーX3、スーパーXと続く。轟天号は地上のBETAが片付いたところでハイヴへと吶喊する手筈となっている。地球の丸みによる防御が無くなり、
重レーザー級の一斉射撃が襲い掛かるが、それはファイヤーミラーによって反射・増幅されBETAを焼き尽くした。
『佐渡島地表のBETA、その6割の消滅を確認』
その報告に、指揮を執る発令所が静まり返る。ありえないというのがその内にあるのだろう。だが現実は待ってくれない。レーザー第二射も反射しBETAは地表からその姿を消す。
其処を好機と、轟天号が垂直にハイヴを粉砕して地下へと到達する。勿論のこと戦車級や要撃級が排除にかかるが、そもそもそんなもので粉砕できるほどやわらかい装甲ではない。
あっという間に反応炉へと到達すると絶対零度冷凍砲によって反応炉は塵と化した。
『反応炉の破壊を確認』
その報告に基地内が沸き立つ。この戦闘での戦死者は0。ありえない戦果に自分の頬を殴っている者も居るほどである。だが忘れてはならないのはハイヴ内のBETAがこの基地を目指して進軍してくるということである。
それに対し、国連軍・帝国軍はGフォース及び自衛隊と連携しこれの撃退に成功。続く桜花作戦では、全対G兵器が導入された。ここでもスーパーX2によって光線属種が無意味と化し、轟天号によってオリジナルハイヴがガリガリと削られ、
メカゴジラのメガ・バスターによって突如として出現した超大型の新種のBETAが一瞬で蒸発する。もはやどちらが侵略者なのか分からない状況の中、あ号標的と呼ばれるオリジナルハイヴの反応炉を轟天号搭載のプロトンミサイルを使い一瞬で破壊、
ここにオリジナルハイヴの攻略は成功した。その後も各地のハイヴを同様の方法で破壊し続け、地球上のハイヴ全ての攻略が完了した。
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地球を救ったことで、俺の因果導体としての役目は終わったのだろう。あのパラポジトロニウム光に包まれる。どうやらGフォースと自衛隊の面々も俺の因果導体としての縛りが無くなった為か次々に光となって消えていく。
『あんたのおかげで地球は救われたわ。でもね、ひとつ聞いておきたいの。あんなので戦わないといけない敵が居るの?』
「ああ、そのことですか。あの兵器群はある生命体との戦いのために開発されたんです。その名は、ゴジラ。日本はそれにしょっちゅう襲われてましたから、BETAぐらいなんてこと無いんですよ」
消え行く俺の視界には、衝撃の発言に固まった先生の姿が残っていた。そして目が覚め、元の世界に帰還した俺がテレビで目にしたのは、件の怪獣王の姿だった。
「まあ、これに比べればBETAなんて可愛いものだよな」
そこには、BETAを瞬く間に撃滅したGフォースと自衛隊がたった一匹の怪獣にいいようにやられている様子が映し出されていた。
おわり