憧れと羨望が篭った眼差しを
体一杯に受け止め
燦然と高らかに笑う
赤いおねーさま
「キャハハハハハハハハハハ!あなた、見所あるわよ?」
「ほんとう!?すかーれっとお姉ちゃま!」
「ウソは言わないわよウソは。キャハハハハッ」
はい、今日は神羅ビルの中心でキャハハを叫んでおります。あ、叫んでる…っつか笑ってるのはスカーレットお姉さまだけか。
まさしく新展開ともいえる義父イベントをこなしたワタクシことナナちゃん。パパの職場である神羅ビルへと再び舞い戻って
きました。そして新しき出会い…。そのお方の名前は…
ス カ ー レ ッ ト お 姉 さ ま !
正直ちょっとオバさんはいりかけてるよな、って思っちゃったのは秘密!(言ったら殺され…もといビンタだろうし)でも十分。
「びじんなおねえさん」なんだよねぇ…。
まず、このスカーレットお姉さまとの私の麗しき出会いを語らなければならないでしょう!
Song dedicated to you
FF7:名無しのNANA-濃厚な一日よこんにちは-1-
アゴス大佐改め、パパとの暮らしが始まって早二週間。パパはどうやら上にかけあって、できる限り私との時間が作れるように
してくれているらしい。感謝です。
ぶきっちょなりに、一生懸命朝ごはん(ベーコンエッグ)を作ってくれるパパはそれはもう愛しくて。思わず小さい頃を思い出して、ダイニングの
椅子をキッチンに引きずり、椅子の上に立って隣でお手伝いをしちゃうくらいでしたよ?
「エヘー」って笑いかけると、そりゃもうあのコワモテが「デロロローン」って緩む様はもうね、部下に見せちゃいけないと思う。
そんな穏かな日常が、そう。二週間ほど続いたある日…。
「ナナ、今日私は仕事で遅れそうなんだ。家政婦さんに、今夜の夕飯は作ってもらうようにいってあるから
初めての夜のお留守番だけれども…できるかい?」
黒いケースに金の印字がされた「Eyes Only」ファイルを携えたパパが、しゃがんで私の頭を撫でてくる。
今朝は一緒に玉ネギサラダを作ったので、少しタマネギの青臭いニオイがする手だ。
「ナナ。だいじょうぶだよ。パパがかってくれたチョコボさん(ぬいぐるみ)もあるし。かせーふさんも、ちょっとだけいてくれるって」
そういうと、脇に控えていた家政婦のおばさんが「シーッ」と指を立てた。秘密だったらしい。
『すみません、ご迷惑おかけして』『いえいえ、ナナちゃんはとってもいい子ですし。最近治安も不安ですからねぇ』と大人同士の
謙遜と遠慮の会話がしばし続く。
1
「んん…ゴホン。それなら、大丈夫だろう。パパも出来る限り連絡をいれるようにするが…
いいか?神羅兵が迎えに来たとしても絶対に外に出てはいけないよ」
「うん。パパ」
「迎えがいくとしたら、前に話した ぜろ さん ・・・・ の番号から 神羅の受付のお姉さんから連絡がはいるからな
その連絡をうけて、その受付番号を知ってる兵隊さんなら付いていって大丈夫だからな」
「うん、パパ」
でもパパ、普通の三歳児だったら、今の説明理解できないよ。パパ。
あ、家政婦さんがメモしてくれている。多分私にあとでもっと優しく教えてくれるつもりなのかもしれない。
そうして、私のおるすばんの日の朝が過ぎていった。
高層マンションの上部に位置する、我が家ライゼン家。その家の中の殆どは、私の遊び場だ。
そう。もちろんパパの部屋すらも。
実際、何度かパパが仕事をしてるときにもぐりこんでいたりしたけれど、いい子にすごしていたので(この年になって
重要書類にラクガキなんてできないっつの。怖くて)私はどの部屋で何をして遊んでいても、叱られることは無かったのだ。
そして、何故か読めるこの世界の冊子をパパの部屋で読み漁っていたお昼前。
「あれ?」
リサイクルなんてしらねえぜ!と男らしさ?満点に色鮮やかに神羅のロゴが印刷されている書類二枚を、パパの机の上で
発見した。なにこれ。箔押しなんて…リサイクルしづらい書類だなぁ。上質紙A4でカラー印刷くらいで良くネ?
あと責任者の所に印かサインで…なんて考え込みつつ、その書類にざっと目を通す。
「…これなんて重要書類?」
ちょ、ちょ、ちょっwwwwwwwwwまwwwwwwww
軍事機密とか書かれてるんですけどッ、今後の遠征隊編成とか!まずくね?まずくね?
今日遅くなるのって、多分軍事会議だよね?なんかアイズオンリーとかあったし、超まずいって!
しかし、届けるにしても家政婦さんに「パパの忘れ物」って見せるわけにもいかず、パパの机をガサゴソと
漁りながら(荒らしてないからね!?)書類が入りそうな封筒を探す。やっぱりこれ、折り曲げて小さい封筒に入れちゃ
まずいだろうしね…。
直ぐにA4がちょうどよく入りそうな封筒を見つけ、書類を丁寧に中に入れていく。そして、その書類を持って家政婦さんのところへ。
「おばたん!パパがきょうのかいぎでつかうおてがみわすれてった!」
書類が折れない程度にピラピラと封筒を振り回し、お昼ご飯の支度をしている家政婦さんの横でぴょいこらぴょいこらと撥ねる。
「あ、あらあらあらまぁ、大変!」
慌ててフライパンの火を消し、エプロンで手をはたく家政婦さんに封筒を手渡しながら、
「パパね、これ「みちゃメッ」のおてがみだからたいせつなの。っていってたの。きょうはかいぎなんでしょ?
パパにとどけなきゃ!」
「そうね、ナナちゃん。すぐにパパのお仕事先に連絡を入れるから、待って…うーん、何かあったらダメだから
一緒に行きましょう」
「うん!」
エプロンを脱ぎつつ、テキパキとキッチンの後片づけをする家政婦さんを見つめながら、その後ろにある時計を見る。
「…。(11時30分かぁ)」
正直お腹が空きはじめている。
「あゅーぅ…。(また、ランチセットみたいなやつ食べれるかな~…)」
そして、きゅう~と可愛らしく鳴く私のお腹のために、家政婦さんはフルーツサンドを一枚だけ作ってくれて、
神羅ビルへと向かうタクシーの中でご相伴に預かった。具はモモとマンゴーでした。うまうま。
「はい、お話は伺っております、先程ご連絡下さいましたライゼン大佐のご家族様…」
「はい、はい、…そうです。」
巨大な神羅ビルの中、数度通り過ぎた覚えのあるカウンターで、私たちは引っかかっていた。
「それでは、ご本人確認のために免許証もしくはIDカードなどを見せていただいても宜しいでしょうか」
「あ、ちょっとまって下さいね…はい。これです。それと…」
家政婦さんが、案内カウンターに隠れてしまっていた私を抱き上げ、カウンターのお姉さんに見せる。
「ライゼン大佐の娘さんなんです、一人で留守番させるのも心配なので連れて来たのですが…」
「そうですか…」
カウンターに隠れた端末がピピッと鳴り、お姉さんがモニターに目を移すと、私に向かってにっこりと微笑んだ。
「ただ今大佐と連絡が取れました、直ぐ此方に来られるそうです。それと…娘さんと家政婦さんでしたね
ゲスト入社カードの発行が認められましたので、お渡し致します」
そうして渡されたのが「Guest card - Limitation at half a day For 69」というシールが貼られた透明で
磁気ラインが一筋入ったカード。
私と家政婦さんは、そのカードを首から下げて、パパが降りてくるだろう大きなエレベーターが開くのを待った。
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後書き:やったー!二日で二本も投稿できたよ!犬がお座りおぼえたよ!おりこうさんだ!(バカ)
悠々自適の家政婦さんとの幼女ライフを愉しみ始めたナナちゃんですが、
やっと神羅を代表する濃い方々と仲良くなるタイミングが振ってきた来たようです。
これからも、このハチャメチャ小説をみてやってください~。