息を切らせ走り
背後に部下をしたがえ
此方へと手を振る
優しくてすこしおっちょこちょいなパパ
「ああ!…やっぱりこれだ」
「たたたたた、大佐ぁ。勘弁して下さいよ~」
「よ、よかった…」
私から受け取った封筒を覗き込み、ほっとしたようにうんうんと頷くパパ。やっぱり必要な書類だったらしい。
その脇を固めるように、金髪と黒髪の軍服を着たお兄さん達がちょっぴり脱力していた。部下のヒトだろうか?うーむ、パパがお世話かけてます。
私はパパの大きな手でワッシワッシと頭を撫でられ、そのまま抱き上げられた。
「ありがとうナナ。それに君も」
「どういたしましてだよー」
「いえいえ」
『君も』、と声をかけられた家政婦さんもホッと息をついている。重要書類渡せてよかったな~。
「私はいつもどおりお部屋へは入ってはいませんが、ナナちゃんがちょうど旦那様のお部屋で見つけたらしくて…」
多分分かるとおもうけれど、家政婦さんはパパの部屋に入れないし、入らない。重要機密なんて見られたら困るしね。
(まあ、家政婦派遣所も神羅の息がかかってるみたいだし。…この間支給品のお掃除道具みたらぜーんぶ神羅製でやんの)
「ほう、じゃあナナが見つけてくれたのか。えらいぞ」
まだ乗っかっていた掌がさらにぐーりぐーりと頭をかき回す。頭がぐしゃぐしゃになるけれど気持ちがいい。
「パパが、かいぎでおそくなるっていってたから。かいぎでつかうおてがみだとおもったの。ナナちゃんえらいの?」
そんな会話をしてると、パパの後ろで控えている兵隊さんふたりが、もう目じりがデロデロになっている。幼女の魅力にKUGIZUKEですか?
この性犯罪者予備軍☆ …ごめん、ちょっと酷かったね。
「二人ともまだ食事はとっていないのだろう?食堂のほうに話しはつけておいたから、上で食事をとりなさい」
ワーイ パパ ダイスキー。
Song dedicated to you
FF7:名無しのNANA-濃厚な一日よこんにちは -2-
「美味しいわねぇ、ナナちゃん」
「おいしいねぇ」
現実世界からの私の大好物、卵料理。特に半熟をちょっと過ぎた辺りのギリギリでフルッフルのスクランブルエッグなんてたまらない。
あぁ!なんて美味しいの!食堂の人に後で会いにいこう。そしてこの火加減をおしえてもらおう。うん、きっとそうしよう。
私は大好物は残して後で食べる派、なのでちょっとずつ掬い取ってはウマウマとしているのを見て、家政婦さんが笑っている。
「明日はスクランブルエッグのほうがいいのかしら?」なーんて言ってくれましたよ!素敵!最高!愛してる!ポカホンタス!(?)
「ほんと!?ナナちゃんプルプルすくらんぶるえっぐだーいすきなの!おばたんだいすきー!!」
あとでしょくどーのひとに、すくらんぶるえっぐのつくりかたおしえてっていったら。おしえてくれるかなぁ。 うふふ、きっとおしえてくれますよ。
なーんて会話を続ける。バタートーストに塩を軽く振りかけたスクランブルエッグを載せてサックリ頂く。
うーまーいーぞー。
そうそう、私たちは今居るところは神羅ビルの上のほう…、なんか、下のほうにいたためしがないな。
気づいた方もいらっしゃるだろうが、パパを助けたときにつれてこられたあのリフレッシュルーム(待合室?)だ。
さっきまでは此方をうかがっていた神羅社員の方もお弁当を広げてたりしてたけど、休憩時間が終わったのかもう誰もいない。
時計見たら13:10あたりでした。平均的に社員としての休憩なら、このくらいだともう仕事時間だしね~。いなくて当然か。
あ、そうそう。防犯のために、パパと一緒に帰ることになりました。
そして、家政婦のおばさんに手を振って、さようならのご挨拶。時は既に夕方の6時、さすがに家政婦さんも
自分の家庭があるから、と帰っていった。
今日はお疲れ様でした~。あー、外真っ暗。
リフレッシュルーム備え付けのテレビは神羅系列の番組ばかりだし、この時間帯だと簡単なショボいアニメとかニュースばかり。正直退屈。
ああ、そういえばこの時間帯は昔ニューな世紀でチルドレンッ子たちが巨大ロボもどきに乗って、ふらーい・み・とぅ・ざ・むー♪だったなぁ…。
チャンネルを切り替えてみる。うむ。あんな奇抜アニメ(褒め言葉)あるわけないな。
その後も数度ポチポチと切り替えても面白いものない、なのでとりあえずニュースで固定にし、垂れ流されるキャスターの報告を
右から左へと聞き流していった。
「らーらー、ららららーらーらーらーら、かたまりだまっしー」
夜景美しいミッドガル、脳内でははじけんばかりの大絶叫をバックコーラスに摩天楼をカタマリにする某王子の姿が。脳汁溢れちゃうよ?
むしろ脳内魂できちゃうくらい暇なんですがどうすればいいですか、放課後ラブラブデート妄想して暴走中です。
時計を見上げると、まだ7時。ほんと針の進みが遅い、小学校のときの算数の時間並みに遅い。
脳内塊はすでに神羅ビルを飲み込み、ついに海を越えてコスタデルソルを巻き込み始め、阿鼻叫喚。
はぁー、と窓ガラスに息を吹きかけ、キュキューっとバ○ボ○のパパとか書いてみる。そしてゴシゴシ消す。
はー。キュキュー。(サ○エさん)ゴシゴシ。
「もー、やってらんないわ!!」
「主任そう言わずに・・・」
「あンの日和見たち見てると腹立ってくるわね!…紅茶、飲みたいから買ってきて頂戴」
「はっ、はいっ!」
駆け出していくヒョロ長い部下を一瞥し、金糸の髪を豊かに結い上げた真紅の女性は、掌で軋むファイルボードをさらに歪ませた。
猛る女性。スカーレット。つい先ほどまでアゴス大佐たちとは別の会議に出ていたようだ。
酷く憤っているのは、自分の考えた兵器開発予算案でも通らなかったのか…。
とにもかくにも、彼女はその高ぶったままの精神でナナのいるリフレッシュルームまで高らかにヒールを鳴らし、歩む。
やたらカッツンカッツンとカン高い音が近寄ってくる。ピンヒールかなー?
なけなしの小銭で、パックジュースを購入。濃縮還元数パーセントのオレンジジュース、このくらいの果汁のほうが好きです。
それにしてもすごくイライラした感じの足音、アッハッハもしかしてキャハハのスカーレtt
「ったく、ムカつくったら」
わーきんぱつへきがんのおねーさんで 赤ァーいなぁって
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぅ!!?
問1:手元のパックジュースの中に思わず息を大量に吹き込んだ場合どうなるか答えよ。
答え:紙パックが空気圧によって膨張、そして周囲の圧力とパックの圧力によって復元しようとする力。
そして一度に大量の空気が入ったことによる限界突破。
結論的には。
「オブブブッブブゴボッ!?」
*・゜超*:.。..。.絶:*・゜(n‘∀‘)η゜・逆*:.。..。.:流*・゜゜・*
鼻に!鼻に!鼻が!鼻が!フルーティ!フルーティ!超ツーンって来た!来た!
口と鼻からなんていうか盛大に体液+果汁スプラッシュon theナナちゃん。
ウェーゲホゲホ!
「ちょ、ちょっとアナタ大丈夫なの?」
ああ、目の前の白くて美しいマニキュアの指先が、さらに白いハンカチを差し出してくる。
ああ天女!ああ女神!その名は スカーレット様! …落ち着け自分。
そして私たちは向かい合わせに座り、自己紹介を交わした。
「ふぅん、オジョーちゃんがあのアゴス大佐の養女なのね」
「そうだよ。おねえちゃま」
「おねっ…ねえ、もう一回いってくれる?」
「おねえちゃま!」
実はスカーレット、一人っ子。(このSDUの設定上)年下に好かれるのが弱かった。
しかもナナは中身は怪しい成人女性。しかも女性にも萌えれる腐女子属性。しかも刷り込み状態でスカーレットに好意的。
だが、外見は「おねえちゃまだいすきなちっちゃいこ」なのである。
まあ大抵の大人は…ノックアウトだろう。
・
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・
・
「へーき?」
「平気じゃないの。兵器よ」
「ぶき?」
「そうそう、こうドバババーッとかシュンシュンシュンとかボシューッって」
マットに彩られた赤い指先が擬音とともに踊る。暇つぶしにちょうどいいと思ったのか、彼女は私に兵器について講義している。
上の話でも思ったけど、神羅の人たちってこっちの年齢考えないのかな。
「パパのへいたいさんたちがもってる、あのこわくていたいの?」
「そうそう」
「あれ、ひとにあたるとしんじゃったりするんだよね。すかーれっとおねえちゃまはそういうのをつくってるの?」
「…まあね、こう、ドバーっといくのは結構スカっとするわよ?人の生死は別として」
さすがに小さな子供に生死の話題に関するのはマズイと感じ、言葉を濁す。
けれど、自分自身が大威力の兵器製造が趣味で、最高の仕事と信じているからこそ、少女に対しても自分の主張は崩さなかった。
「でも」
目の前のうつむいた少女が顔を上げる、ニッコリ、とまではいかないかすかな微笑が浮かんでいる。
どこか歳相応ではないな、という考えを持ちつつも、スカーレットはその微笑を見つめていた。
「ナナ、すかーれっとおねえちゃまがぶきをつくってくれてるから。パパやパパのへいたいさんがテロリストのこわいひとたちに
ころされたりしないの。しってるよ。
だからありがとうね。おねえちゃま」
それは紛れもない自分の意見。
自分の世界で生きてきたときも、忌まわしい兵器と呼ばれるものが人々を守り、命を刈り取ってきたことは知っている。
テレビ画面越しに伝わる凄惨な事件には、必ずといっていいほど武器が絡みつく。
しかし、その反面。助かった人々の命を絡めとり、救いあげるのもまた武器だった。
一長一短。その言葉が似合う「モノ」だと考えたこともある。
だから、私は静かに彼女に告げた。
くしゃっと頭が白魚のような指につかまれる。
怒鳴られるかな。ちびっこが生意気いうなってたたかれるかな。
けれども、次の感触は強引な抱擁とやわらかい感触だった。
胸に抱かれている。
「ありがと、おじょーちゃん」
「おじょーちゃんじゃないもん。ナナだもん」
「ぷっ。…くくくっ。キャハハハハハハハハ!!!」
「えへっ…あははははは!」
数秒の沈黙ののち、私たちの間に笑いが走った。なんだかとても楽しくてうれしい気持ちになった。
「キャハハハハハハハハハハ!あなた、見所あるわよ?」
「ほんとう!?すかーれっとおねえちゃま!(何の見所なのか突っ込まないでおこう)」
「ウソは言わないわよウソは。キャハハハハッ」
追記:そのうち、私専用の護身銃を作ってくれると約束してもらえました。やったぁ。って子供に持たせる銃ってどんなの。
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後書き:超☆難☆産
こんばんはMですyp。今回は知ってたらニヤッとするネタとか多めに入れてみましたヨと。
まずはスカーレットを落とし(?)ました。現在落とす予定の人は
あと三人ほど…序章で落としきれるか…!!!!
そんなことは関係ないのですが、PSUを物欲に負けて購入してしまいました。
…覗き見モーションがあるなんて、SEGA…侮れない(ゴクリッ