第百話 全員まとめて掛かって来い! 夏休み最後の思い出として執り行われた花火大会の開催地は、寮からほど近い公園である。 まだ薄らと明るい午後七時から行われたが、三十分もすれば花火が彩れる黒いキャンパスとなっていた。 さすがに八月も終わりともなれば、日が短くなり始めたと体感できる。 その公園の中で総勢三十一名が手に花火を持っては火を点け、火花の彩と共に公園が薄い煙に覆われていた。 当然、それだけの規模とも慣れば必要な花火の量もそれなりに必要となってくる。 しかしペンキの禿げた古びれたベンチの上には、貯蔵は十分とばかりに手持ち花火が積み上げられていた。 その隣で、仕事を失くした若者のように脱力したまま星空を見上げるむつきを添えて。「メシア、気分が優れないなら一っ走りジュースでも買ってくるっすよ」「メシア?」「良いから、お前はとち狂ったこと言ってないでココネちゃんの面倒見てろ」 今にも片膝ついて跪きそうな勢いでそうむつきに尋ねたのは春日である。 教会でシャークティに文字通り缶詰にされていたところを救い出され、むつきをそう呼び始めた。 もちろん、彼女の軽いジョークなのだろうが、今は皮肉以外には聞こえない。「忍法、花火旋風。熱ッ、これ熱ッ!」「お姉ちゃん、火花飛んでる。飛んでるから! あと、それやってること沖縄のつくもさんと同じ!」「えっ、じゃあ止めとこう」 両手に花火を持ってくるくる回っていた鳴滝姉が、妹に指摘され咄嗟に我に返っていた。 皆が思い思い、山と積まれた花火を取りに来てはファイヤーしているわけだが。 この花火は鳴滝姉妹の陰謀により、予定の金額を大きく超えたむつきの援助により買われたものだ。 春日を迎えに行く途中で、聖ウルスラの女の子の大事な部分を見てしまったアレ。 皆に黙っていて欲しければと、マッチポンプという言葉が即座に浮かんだものである。 なにしろ彼女のスカートをめくったのは、そもそも鳴滝姉ではなかったか。「高いもんじゃねえけど、量が量だよな」 さりげに晒された可愛い従弟はさておき、積まれた花火の一本を手に取りぷらぷらさせる。「夏祭りに、旅行。そして花火大会。うん、満足いく夏休みだった。高畑先生とは、一回しか遊べなかったけど……これはアレね。ぎゃくせつてきに、一回は遊べた!」「せや、一回遊べたんやから。次も絶対ある。先生なら、そんなチャンス作ってくれるえ。なあ、せっちゃん?」「はい、先生は。約束は守ってくれますから」「チラ、チラ?」 さりげなくという言葉がむなしくなる程にアピールされ、わかったわかったと手を振った。 今までずっとぐったりしていたので、皆はそっとしておいてくれたわけだが。 折角の思い出作りに御呼ばれしたので、このまま最後までこうしているわけにもいかない。 心機一転、佇まいを正してさて、何処のグループからと視線を巡らせる。 この時、チャンスかとピキンと瞳を光らせたものがチラホラ。 佐々木がアキラの腕を引いたり、早速動こうとした桜子の頭を後ろから美砂がわし掴んだり。 他にも興味ない振りしてじりじり距離を詰めるあやか、はたまた暗闇の中で肉食獣の獣のように隙を疑う古。 うわあっと嫌そうに、その一瞬走った緊張感に対し顔をしかめた釘宮が一種清涼剤にも感じる。「先生!」 幾人もの嫁が我こそはと互いを牽制する中で、それに気づかず動いたある意味で勇者がいた。「あれ……ああ、宮崎か。一瞬分かんなかったぞ」 公園内の外灯と周囲の闇夜を彩る花火ぐらいしか、明かりがなかったこともある。 しかし、それでもむつきが宮崎を当人だと識別できなかったのには理由があった。 髪型が普段と全く異なっていたのだ。 彼女は恥ずかしがりやの性格通り、長い前髪で目元をすっぽり覆うような髪型である。 だが今現在むつきの目の前にいる彼女は、多すぎる前髪を梳いては分けて、さらに後頭部で小さなポニテを作っていた。 結果、長い前髪に隠れた目元は明らかとなり、普段の彼女とは印象ががらりと変わっている。 以前に夕映に聞いた覚えがあったが、大きな瞳は恋に輝きキラキラと可愛らしく見えた。「これ、花火どうぞ」 周囲の花火に負けないぐらい顔を赤くした宮崎が差し出したのは一本の花火である。 良く分からないが一応受け取ると、宮崎はそのままぴゅーっと逃げていく。 暖かく見守っていた夕映や、生暖かく見守っていた早乙女の下へと。「や、やったよ。ゆえゆえ、先生に花火手渡しちゃった」「何処を見れば、やったと言えるのか。のどか、先は遠いですよ」「ぐぅ、花火の煙でせっかくのラブ臭が……おっ、つーんと来た」 どうやら夕映としては隣り合って花火をさせるつもりだったらしいが、彼女にはハードルが高かったらしい。 どうしたものかと、貰った花火をくるくる回していると、ベンチの隣に座る影が。「はい、先生。火をどうぞ」「お、おう。やって良いのか?」 お皿型の蝋燭立てを手にやって来た那波が、すすっと素早く座って来た。 意外な伏兵の登場に美砂たちのみならず、むつきもちょっと戸惑った。 折角宮崎がくれた花火を当人がいないのにやってよいか悩んだのもあるが、那波だからだ。 沖縄での例の落とし穴事件以降、まともに会話することもなかったのだが。 妙に距離感が近いというか、隣に座った彼女のロングスカートに隠れた太ももが触れ合って暖かい。 サマーセーターに押し込まれた巨乳は健在で、ちょっと身をよじれば肘があたりそうである。「おーい、宮崎。花火サンキューな」 一応断りをいれておいたが、当人ではなく夕映からどうぞと手を差し出された。 そして那波が持ってきてくれた蝋燭に花火を添えて火をつける。 すぐに黄色か緑に近い炎が細い棒の先から吹き出し、むつきとその隣の那波を照らし出す。 綺麗は綺麗なのだが、那波がそっと寄り添ってくるので視線がどうしてもそちらに行ってしまう。「あー、なにか相談ごとか?」「私が隣にいては迷惑ですか?」「全然、ただ……時々胸に目がいくのは勘弁してくれ。もはや、俺にはどうしようもない」 半分冗談、半分本気で言ったのだがくすりと笑われた。「では、お詫びに今度私が通っている孤児院に来ていただけますか? 少々、男手が必要で」「お前、なんだかこの前からちょっとずるくなったな」「先生にだけです。なんなら、ちょっと肘が当たるぐらい事故ですよ?」 もはや完全に花火から視線が外れてしまい、事故なら仕方がないと本気で考えてしまった。 ちらっと横目で見た那波のおっぱいは、サマーセーターが引きちぎれそうな程に丸く大きい。 アタナシアとどっちが大きいだろうか。 最終的にやっぱり事故ならと左の肘をちょっと動かしたが、見事に空ぶりである。 あれっと横を見ると既にそこに那波の姿はなく、一瞬前に立ち上がったようであった。 ベンチから一歩進んだところで軽く振り返っては、悪戯っぽく小さく舌を出していた。「悪魔かぁ!」「悪魔との契約は守らないと怖いですよ、先生」 なんだか痴漢の冤罪を吹っ掛けられたような気分である。 あっちいけっと半分涙目で、いつの間にか火が消えていた花火を近くのバケツに放り込む。 当然、悪魔との契約は周りから見られていたわけで、ひそひそと語り合う声が多数聞こえた。「ちづ姉もちづ姉だけど、先生……」「けだもの、生徒の胸触ろうとするとか」「おっぱい星人」「仕方ないって、メシアも男だから。今日の私は全面的にメシアの味方」 村上や釘宮からはちょっとばかりの軽蔑のまなざしと、ザジはよくわからない。 覚えた日本語をただ言ってみたかっただけなのか。 ただ自分の胸に手を当てむにむにしないでほしい、余計に那波の胸が惜しくなる。 あと春日はフォローしているつもりなのだろうが、もうそっとしておいてほしい。「ていうか、春日。お前、明日の始業式の後で居残りって分かってるか? 誰がただであの状況から救い出す奴がいる」「メシアが実はユダだった件について。ちくしょぅ!」 今にも裏切ったなと叫びそうな春日は、肩車したココネに頭をぽんと慰めるように叩かれていた。 ならばせめてもと、この瞬間に閃光のようにとばかりに花火を両手持ちである。 小さな仕返しはその辺にしてだ、相手が違う気もするが。 立ち上がっては煙充満する周囲を見渡して、目的のパイナップル頭を探し出す。「朝倉、カメラパス。お前、撮ってばっかで自分の写真ないだろ」「おっ、先生代わりに撮ってくれるの? 使い方……知ってるよね」 若干笑いながら和美がそう言ったのには、以前沖縄の秘密の洞窟内でイチャつきながらむつきが撮った経緯があるからだ。 むつきも前のと同じだよなと受け取ったカメラを確認し、まずはと和美をフレームにいれる。 しかし、ちょっとタンマと言わんばかりに軽く蹴られた。 スカートのポケットから手鏡を取り出した和美が、ちょいちょいと前髪を直し始める。 女の子は色々と大変だと思っていると、周囲の明るさが若干減ったような気がした。 なんぞと周囲を見渡せば先ほど、和美が浮かべたような苦笑いをせずにはいられなかった。 むつきがカメラで写真を撮ると知るや否や、殆どの子が手鏡で身だしなみを整え始めたのだ。「先生、はいチーズ」「お前が言うんかい」 良いけどと、準備が完了した和美がピースサインと共にポーズを取ったので一枚カメラに収める。 カメラの腕前なんてむつきにはないも同然だが、被写体が文句なしの美少女なのだ。 その出来栄えを確認するように、和美がむつきの両肩に手を置き、背伸びしながら背中越しにカメラの液晶を覗き込む。「今すぐ暗がりに連れ込んで悪戯したいぐらい、可愛い」「恋人の相手に忙しいのも分かるけど。セックスフレンドも構ってくれないと、元彼に走っちゃうよ」 どうやらわざわざ背中から覗き込んだのは、その豊かな胸を押し付けて誘惑、もしくは拗ねてるぞと伝えているらしい。 そりゃ悪かったと、暑苦しいと邪険にした振りをしながら、肘でおっぱいを突きながら引きはがす。「先生こっちも。美人チア部三人衆も可愛く撮ってよ」「えー、美人は良いけど。私も?」「クギミーがいないと、思い出になんないって」「クギミー言うな。はあ、しゃあない。いえー!」 美砂が花火そっちのけで次は私と声をあげ、乗り気でなかった釘宮の背を桜子が押す。 結局、二人がその気ならばとやけくそ気味に花火を指先でくるくる回しながら釘宮もポーズを取る。 チア部らしく腰が振られはためいたスカートがきわどい部分までめくれ上がっていたが。 きわどいだけのギリギリの部分で、これまた三人の美少女を写真に収めた。 今度は三人なのでむつきは中腰の格好で、撮った写真を美砂たちに見せてあげる。 釘宮はそうでないが、美砂や桜子はべたべたとむつきとスキンシップしつつはしゃぐ。「あっ、さりげに桜子センターとりよって」「にゃはは、可愛い順。可愛い順」「となると、私が二番で美砂が三番かって。にゃにおー!」「私が一番可愛いに決まってるでしょうが!」 流石に分かっている美砂と桜子は、この場で誰が一番かとむつきに食ってかかりはしない。 ただ胸を張って可愛い順とのたまった桜子を美砂と釘宮で追いかけ始める。「先生、次こっちやこっち。右にせっちゃん、左に明日菜のハーレムやえ」「超ご機嫌だな、近衛。顔が今にもとろけそうだぞ」 刹那は元より、神楽坂とも手を繋ぎ完全に花火とは無縁の状態だが木乃香はご満悦である。 代わりというべきか、両手が塞がる木乃香の代わりに、刹那と神楽坂が花火を持っていた。 だが刹那のまなざしは木乃香のもので、若干あきれ顔の神楽坂も花火なんてみていない。 この場では主役のはずなのになと思いつつ、見て貰えない花火も一緒に写真に収めておく。「神楽坂、酒呑のとこでのバイトはどうだ。肉体労働だけど、辛くないか?」「全然、むしろ天職かも。渋いおじ様は多いし、皆優しくしてくれるし。超楽しい!」「そいつはなにより」 今度は相変わらずとむつきのみならず、木乃香や刹那から呆れられる神楽坂である。「先生、次は私と夏美ちゃんとで」「いえいえ、ここはやはりのどかとのツーショットを」「おい、むつき。さっさと撮りに来い!」「私達も、先生。アキラを忘れちゃ駄目だよ!」 那波から夕映、エヴァに佐々木と超モテ期である。 リクエストにお応えして、声がかかる傍から写真に撮りまくっていった。 那波と村上は、二人だけだと寂しいということで自分撮りの要領で何故かむつきも加わったり。 顔を真っ赤にして逃げる宮崎を夕映と早乙女が両側からガッチリガードし、むつきを加えたフォーショット。 エヴァはむつきが抱っこし、絡繰とさよが加わり、両手が塞がっていたので亜子に撮って貰った。 当然、流れとしてカメラを絡繰に渡して、アキラと亜子、佐々木とちょっと余所余所しい明石の五人。 ここまで来たら、本当に花火云々よりもいかに多くの思い出をカメラに残すかであった。 小鈴や古、葉加瀬に四葉と超包子組で一枚、長瀬と龍宮の謎のライバル組。 春日は折角なのでココネちゃんも一緒に、きっちり撮ってあげた。 あとじーっと閃光花火の火の玉を見ていたザジも撮ってのだが、一瞬何か黒くて背の高い白い仮面をした何かが見えた気がしたがたぶん気のせいだ。 カメラマンむつきの八面六臂の活躍で、仲良しグループから異色のグループまで。 最後は地面に設置し炎を噴き出す花火を四方に置き、きっかり整列しての集合写真で締めである。 綺麗に皆が整列し、何故かむつきは真ん中。 ベンチに置かれたカメラのボタンを押したのは、絡繰のロケットパンチであった。 最後の一枚の中で、一番のどや顔笑顔を決めたのが誰なのかは語るまでもないだろう。 二時間近く煙まるけになって、彼女たちの最後の思い出作りも無事終わったわけだが。 寮へと帰っていく二-Aの面々と別れ、むつきはエヴァとさよを伴い、三人でひかげ荘に帰って来た。 絡繰がいないのは、二学期が始まる前の最終チェックをしたいと小鈴と葉加瀬が言い出したからだ。 三人とも煙の臭いが衣服や髪に染みついており、お風呂に入ろうとしたのは自然の流れであった。 いつも通り、準備が全くいらないむつきが一番にお風呂場に向かい、二人は後から。 特に言葉にすることもなく阿吽の呼吸のように、玄関を潜って示し合わせることもなくそのままである。 むつきはそのまま脱衣所に向かい煙臭いシャツやズボンを洗濯籠に放り込み、あとはタオル一枚。 扉を開けて火薬のそれとは違う煙に包まれ、洗い場で体を一通り洗ってから湯船に浸かった。 そこまではおよそ予定通りだったのだが、ちょっと予定と違うことが起きた。 むつきに続き、からりと外と脱衣所を隔てる引き戸を開けて入って来たさよのことである。 小さく白い珠のお肌を恥ずかしそうにタオルで隠した彼女の後ろ、小さなエヴァが走り込んでくると思いきや。「は?」 人影は三つあった。「いやん、先生目がもうエッチ。煙臭いとか思われたくないから、後で。可愛がってね」 体をくねらせ、きわどい部分だけ器用にタオルで隠してはチラチラ見せているのは美砂だ。「椎名さんには、私の石鹸等をお貸ししますね」「ありがと、さよちゃん。私はまだ、お肌磨いてもちょっと無理だけど。美砂には負けないよ!」「さよのは、私が厳選した一流のものだけだからな。感謝して使えよ」「なにそれ、聞いてない。アタナシアさん、私も試しに使ってみたい!」 さよは当たり前として、腰と胸にタオルを巻いた桜子とその両肩に手を置いているアタナシア。 三人増えたのは良いが、ちみっ子は一体どこへ行ってしまったのか。 まだアタナシアは良いとして、美砂と桜子はそもそも寮にいなくてはならないはずだ。 突然のことでうまく言葉が口から出ず、けたけたと笑いながら美砂が言った。「先生、安心して。クギミーが上手くやってくれる手はずだから。ここに来るのも、桜子に道選んで貰ったから絶対見つかってないって」「私は、この二人に話があるからと。エヴァ経由で呼び出されたのだ。もちろん、この後は分かっているな?」 さよと桜子が仲良く洗い場に向かったので、代わりに美砂とアタナシアが簡単に説明してくれた。 とはいえ、言葉足らずで何故アタナシアを美砂が呼び出した等は分からない。 ただここで追い返して、返って他の誰かにみつかりかねない危険をおかすわけにもいかないだろう。 星空の向こうでクギミー言うなと吠える釘宮に、すまん頼むと敬礼だけはしておいた。 それだけでなく、後でちゃんとすまんとメールを入れておくとしよう。 きゃっきゃと女の子たちが体を洗う間、何の話だろうとぼんやり考えつつむつきは待ち始める。 ほげっと夜空を見上げながら明日からの仕事も少しは頭の隅で考えている間に、彼女たちはやってきた。 何処をみるとなしに空を見上げていた視界の隅に、白く細い綺麗な足が見えた。 つられて横を見ると、胸や下腹部をタオルで隠した桜子の足であった。 男の本能として足元からジロジロと、主に濡れて透けたタオルの向こうを想像したわけだ。 ひざ元から太ももへむっちり感とは程遠い健康的なしなやかさ。 大事な部分はタオルで隠れているが、きめ細かくないタオルではすべてを隠しきれていない。 肌色とは違うわずかなヘアが垣間見えた気がしたが、ただの影かは永遠の謎である。 そして下半身のみならず、この細い腰もまたと視線を上げていくと桜子と目があった。「先生、じっと見られると……」 まだそこまで深い関係となっていない桜子は、欲望の視線に耐えかねたらしい。 羞恥もあるが、僅かな怯えをひた隠すように体をよじりその視線から逃れようとしていた。「あっ、すまん」「おっと足が滑った」「にゃわっ!」 そんな桜子の背中を軽く蹴って湯船に落としたのは、考えるまでもなく美砂であった。 こちらはタオルで隠しているものの足を上げているので、ばっちり割れ目まで見えてしまっている。 だがむつきの視線に気づいても、いや気づかない振りで見せつけては小さく妖艶に笑う余裕もあった。「なにすんのさ、美砂。んもー!」 湯船の中からお湯を滴らせながら立ち上がった桜子が、顔を拭いながら両手を上げて威嚇する。「桜子、下。下、タオル落ちてる。桜子のさくらんぼ、見えちゃってる」「わーっ!」 桜子が身に纏っていたのは温泉のお湯と湯煙だけ。 美砂に勝るとも劣らない年齢の割に大きな胸は、桜色の突起を空に向けツンとたっていた。 大事な一瞬をと手早く視線を巡らせ、濡れてひとまとまりとなったヘアまでじっくりと。 見る前に美砂の指摘で気づいた桜子が、水しぶきを振りまきながらお湯に沈み込んだ。「大事なところ全部見られちゃった。先生、責任とって結婚して!」「くわっ、さすが桜子。転んでもただでは起きない。先生の正妻は私のものだ!」 敢えて見せないように密着してきたようにも見えたが。 桜子が袂に飛び込んできたのでしっかり受け止め、湯船の中で暴れるなと美砂の手も引いた。 状況が状況だけに仕方ないので桜子を正面に座らせ、美砂は定位置とも言える右側。「全く騒がしい奴らめ。こう、しっとりと大人の魅力で男を引きつけられんのか」「それ、絶対にちがう」 そっと湯船に入って来たのは良いが、アタナシアがいるのはむつきが持たれる岩の上だ。 彼女の素足だけがむつきの肩越しに湯船に浸かり、器用に指先で乳首周りをさわさわされる。 性的かどうかでいえば大人の魅力だが、額縁通りの大人の魅力では絶対ないはず。「あなたさま」「さよ、大正解」 気づかれることなく湯煙に隠れ湯船に入り、そっと近づき左肩に首を持たれ駆けて来たさよの肩を抱く。「アタナシア、夏場でも冷えるだろうから湯船に入れ。そろそろ、話を聞こうか」「やれやれ、律儀だな。全員に一発やってからでも構わないだろうに」 背中と岩場の間にスペースをつくり、アタナシアの居場所を背中に作らせた。 桜子は正面むいて抱き合い、美砂は右側、さよが左でアタナシアが背中。 同時に愛するのは四人が限界かなと頭の隅でおもいつつ、今はと真面目に考える。「それで、アタナシアまで呼んでなんの話だ?」「私の独断じゃないよ。ちゃんと長谷川とか超りんとかとも、話つけておいたから。あのさ、ひかげ荘のことクラスの大部分にバレちゃったし。状況も色々と変わってきたでしょ?」 美砂の言葉は、単純に人数が増えたと言っているわけではないだろう。 釘宮は少し危うかったが、基本的に佐々木たちもひかげ荘を知らない人に教えるつもりはない。 当然、むつきとのただれた関係を必死に正そうと、チクることもしないはずだ。 だが変わって来たのはひかげ荘についてだけではなかった。 ひかげ荘を知った桜子や古、知らないであろう宮崎。 この三人に共通するのは、むつきへの好意を日常的に外で明らかに向けていることだ。「私やくーちゃんが、明日から急に先生と余所余所しくするのも変だし……」「私の見たところ、あの宮崎のどかという小娘はもちろん。那波千鶴もどこか怪しいな。お前に好意を向ける雌の匂いがする」「雌って……ん? 那波が、何故に?」「あなたさま、気づいていらっしゃらないんですか? 花火大会での那波さんのお言葉。明らかな、デートのお誘いでしたけれども」 アタナシアのみならず、奥ゆかしいさよにまで指摘され改めて思い出す。 急に隣に座って来た那波が胸を触らせようとして、罰だからと孤児院の手伝いをと言い出した。 当初、あの巨乳に触れられなかった後悔で分からなかったが、確かにあれは遠回しなデートの誘いだ。 行先は孤児院かもしれないが、その後は那波に用事がなければむつきの性格上寮まで送る。「宮崎はまだしも、那波は……相談受けて、それで。落とし穴の底で裸で抱き合ったな。あれか、なんだっけ。あいつ孤独恐怖症でなんとか効果か?」「先生には思い当たることがあるみたいだし、そうなんじゃない?」 正妻を主張するなら、もう少しだけ独占欲出しても良いのよと軽く言った美砂に目を向ける。 ただ現状、誰かが独占欲を出したら酷いことになるので、小首を傾げた美砂は正解なのだろう。「分かった。表だって俺に好意を向ける子まで出て来たのはちゃんと理解した。良く考えたら、やばいじゃん。全然関係ないところから疑われたりしたら……」「その為に、アタナシアさんにまで集まって貰ったの!」 頭を抱えたむつきに話はこれからだと美砂が腕を引っ張り意識を向けさせた。「まずさ、大前提として本屋ちゃんや那波さんに先生に近づくなとか好意を向けるななんて言えないよね?」「そりゃな。それじゃあ、藪蛇だ。桜子もさっき言ったけど、明日から急に桜子と古が余所余所しいのも変だ。急にどうしたってなる」「だから、配役を決めておきたかったの」「配役?」 まだ美砂が言わんとすることが見えず、オウム返しで問うたのだが正面に抱いた桜子が小さく手をあげた。「私が、先生に表だって好意を振りまいて軽くあしらわれる役。もちろん、表だけ」「ふむ、言わんとしていることが読めた。ならば、私は表向きなむつきの恋人役だな?」「うわっ、アタナシアさん凄い。なんでもう分かっちゃうの?!」 説明の途中というか初めですべて覚ったように、アタナシアが自分の役割を口にしたが当たりらしい。 説明役の美砂がそういうのだからそうなのだろうが、まだむつきやさよは小首をかしげている。「一体、どういうことでしょうか?」「つまりだ。むつきには、大人のちゃんとした相手がいることを周囲に知らしめる。この私だ。別にお前たちを下に見るつもりはないことを言っておく。常識的に考えて、私と付き合う男が女子中学生にうつつをぬかすか? まだ未熟な少女の魅力に、目がくらむか?」「あっ、なるほど」 さすがにここまで説明されれば、むつきとさよにも美砂たちの考えが見えて来た。 実際、むつきの目が女子中学生にくらんでしまっているのは置いておいて。「どうせアタナシアとの関係は知られてるし、いっそ表向きに彼女になって貰えば良い目くらましになる。職員室のデスクに写真立てでも置けば、完璧だ」「それなら、先生が宮崎さんや那波さんに冷たくあたって傷つけることもないですね」「だけど、その予防線として私が冷たいのは嫌だけどあしらわれる役目だよ。古ちゃんは、ちょっと本気で傷ついたり、演技できそうにないし。チア部は笑顔が基本、大丈夫!」「アキラも結構、演技でも冷たくされると本気で凹みそうだしね」 古とアキラについては、確かに演技でもむつきに冷たくされれば本気で凹みそうである。 その点と言って良いのか、桜子ならば笑顔で切り抜けてくれそうだ。 なんといっても、彼女には最強の武器でもある豪運があるわけだし、切り抜けられないことがない。「で、最後にさよちゃん」「私ですか?」 全員が自分の役割を理解したと思ったら、美砂が一人役割の無かったさよの名を呼んだ。 さよ本人も自分に役割が回ってくるともおもわず、きょとんとしている。「さよちゃんには一番羨ましい役割があるんだから。くぅ、今からでも代わって欲しい!」「話の流れから、そうなるだろうな」「さよちゃんにはさ、平時の先生のお嫁さんをして欲しいの。ほら、私らは寮生で四六時中ひかげ荘にいられないし。毎日、先生のお弁当とご飯を作ったり、先生が寂しくないよういっそ管理人室で過ごして欲しい」「お弁当とご飯はまだしも、管理人室は。あそこは柿崎さんの、正妻さんのお部屋で」 さよが慌てたのは、そこらしい。 普段はそうではないが、桜子が来てから正妻は私だと主張していたのは美砂だ。 皆が各々部屋を貰う中で、美砂だけは頑としてむつきのいる管理人室から出なかった。 夏休みの間は、他の子との性活がない場合は二人で一緒の布団で寝ていた。 その部屋を二学期が始まってから、さよに代わりに住めと言っている。 彼女の性格上、遠慮以外の選択はなかなか出てこないだろう。「ぶっちゃけ、俺もお願いしたいかも。エヴァと絡繰はいるだろうけど。一人の布団は寂しいな」「あなた様が……けれど、本当に私で」「それは、毎日お弁当だったりご飯だったり。私からすれば、ちょっと面倒を押し付けるご褒美的なものかな。もちろん、結婚したらちゃんと先生の為に頑張るけど」「ですけれど」 美砂にとっては若干面倒でも、さよにとってはむつきの為にご飯を作るのはご褒美だ。 だから美砂が許可をだしてもなかなか折れようとする気配はなかった。「全く、良いか。良く聞け、さよ。お前が作る弁当は、表向きには私が作ったことになるのだ。きちんと手間をかけて、見た目も味も良い完璧なものを作れ。日本食ばかりでは怪しいから、時々で良いから洋風も作るのだ」「うわぁ、さよちゃん。超大変そう。ご褒美の一つでもないと、私もちょっと」「というわけだ、さよ頼む。むしろ俺より、アタナシアが満足するレベルの弁当だ。凄く大変だろうけど、頑張ってくれ」「はい、わかりました。皆さんが満足するお弁当を全身全霊をかけてつくります……なので、平時は少しだけあなた様に贔屓させていただきます」 アタナシアが発破をかけたり、桜子がおどけたりしてようやくさよが頷いてくれた。 全身全霊の後は小さく蚊の鳴きそうな声で呟き、むつきの左腕に抱き付き小さな胸を押し付けている。 この子はかわいいなと皆でほっこりしたものだ。 改めて話を整理すると、アタナシアには表向きには正式な彼女となってもらう。 桜子には、むつきはアタナシア一筋と知らしめるために熱を上げるも報われない役目を。 常時、麻帆良にいられないアタナシアの代わりに、さよには色々と影で骨を折って貰うと。 おおよそそこまですれば、むつきへの変態鬼畜教師という疑いは向かないことだろう。 その実質のところがどうであれ。「ん、てか。本当の正妻さんである美砂はなにするんだ?」「円と一緒に、脈ないんだから諦めなって桜子を茶化す役目。あとは、先生に凄い美人の彼女がいるって噂広めたり。まあ、普段通り?」「私にも素敵な彼氏がいるんだって、その後で砂糖を振りまくんですね。分かります」「本当のことだから、良いじゃない。私の彼氏、恰好良くて素敵だもん!」 彼氏相手に惚気てどうするのか、くらえおっぱい攻撃とばかりに右腕におしつけてくる。 ある意味いつものことなので、はいはいとあしらったわけだが。「でも、そろそろ私も一番最初に好きになったからって正妻の座に胡坐かいてられないのよね」 茶化してふざけているかと思いきや、突然真顔になって美砂がそう呟いた。 反応の落差にむつきのみならず、桜子やさよも驚き、冷静に面白そうに笑っていたのはアタナシアぐらいだ。 美砂はむつきの腕を手放し、お湯の中で一歩後ろに下がってからふいに立ち上がった。 タオルで体を隠すこともなく、胸はおろか、下腹部のお湯に濡れた若草さえ隠さずにいた。 星空を見上げるように上を見上げては大きく息を吸い込み、大きく伸びあがった両手のうち降りて来た左手を腰に当てる。 右手はそのまま桜子、さよ、アタナシアの誰でもない全員を指さすように突き付けた。「今までは控えめなアキラとか、表だって結婚しづらい委員長とかに救われてきたけど。私の格好良い彼氏は、とても魅力的で美女、美少女が虎視眈眈と狙ってる。だから、全員まとめて掛かって来い!」 この場には三人しかいないが、その指先がさす相手はもっと大勢いることだろう。 ひかげ荘を知る者だけでもなく、知らない宮崎や那波、クラスメイト以外にもいるかもしれない。「私は絶対正妻の座を譲らない。先生と正式に結婚するのは私、柿崎美砂。その為に、今以上に魅力的な女の子に。明るくて可愛くて綺麗でエッチな、女の子になる。奪えるもんなら、奪ってみなさい!」 先日、千雨の作ったウエディングドレスを着た時以上のどや顔であった。 それだけ自信が、今だけでなくこれからも努力していくつもりだからこそだろう。 そんな美砂の宣誓に触発されるように、にやりと笑ったアタナシアが面白そうに立ち上がる。 挑戦的な視線を向ける美砂に正面から立ち向かい、その距離は十数センチもない。 二人の胸がぶつかりあい、挟まれたいと思うぐらいに互いの重量で潰れあう。「葛葉刀子が脱落して、こちとら少し相手に飢えていたところだ。これまで小娘だと侮っていたことを詫びよう。この私を前にしても、同じ台詞が吐けるか?」 言えるのかと、美砂より数段上の乳圧でむにょんと伸し掛かり押していく。「歳は関係ない。大事なのは愛、愛される為の飽くなき努力。正直、今まで正妻の座に胡坐かいてて怠ってたけど。まだ間に合う。私が正妻だ!」「良い気迫だ。面白いぞ、柿崎美砂。そういう覇気のある相手と、むつきを取り合いたかった。で、この場にいない者は仕方がないとして。二人はどうする? さよ、流石にこの場で手を引く程、私は優しくないぞ?」「私だって負けないよ。って、おっぱい届かない。美砂、どうやってんの? アタナシアさん、背高過ぎ!」 その場の勢いもあろうが、恥ずかしがってはいられないと桜子が参戦である。 二人のおっぱい相撲に横からカチコミをかけるが、どうやら背が足りずに届かなかったらしい。 しかし、美砂と桜子の身長差は一センチしかないはず。 ならば何故と桜子が美砂の足元をみると、お湯で見えづらいが必死に背伸びをしていた。 表面上は平然としているが、早くも白鳥のように見えないところで努力を始めているらしかった。「あれ、桜子はやくも脱落? 相手になんなーい」「くぅ、いつの間にか背だけでなくおっぱいまで私より大きく。おっぱい相撲に私も入れろぉ!」「はっはっは、貧弱、貧弱ぅ! こちとら貧乳相手ならば二人がかりでもかまわんぞ?」 アタナシアの外国産に対し、なにをと美砂と桜子が張り合うわけだが三人の視線というか注意は別のところにもあった。 まだ一人、むつきの左腕にしがみつきながら、隠れるようにしているさよである。「さよは、アレに加わらないのか?」「私は、あなた様のお役にたてられれば、今のままでも十分に幸せですから」 元々重病で学校に満足に通えなかったさよであれば、そう考えるのも仕方のないことだろう。 二学期から復学でき、同じ病弱仲間だったエヴァ以外にも友達が、さらには彼氏まで。 およそこれまでの人生の絶頂期にも感じられるかもしれない。 だからこそそれ以上を求める気持ちが薄れるというのも分からなくもなかった。 しかしまだ中学二年生、人生の半分はおろか四分の一さえ終わってはいないのだ。 もう十分、今が絶頂期でこれから下り坂以外にありえないと思うには若すぎる。「なあ、さよ。幸せだなって満足した人が、幸せなまま毎日を過ごしたらどうなると思う?」「それは、幸せなまま人生を終えられるのではないでしょうか?」「俺だってまだ人生の四分の一ぐらいだし、想像でしかないけど。その人はそのうち、毎日がたいくつだって思い始めると思う」 むつきの言葉に、さよのみならず美砂や桜子も少しばかり小首をかしげていた。 なるほどとその言葉の意味を察したのはやはり大人であるアタナシアであった。「人間は慣れる生き物だから。同じ幸せを日々感じていると、それに慣れる。幸せが当たり前になって、気づけなくなる。さよ、今が幸せであることに満足しちゃだめだ、慣れちゃうぞ?」「私が手を差し伸べなくても、結局は一緒か。甘ちゃんめ。さよ、むつきの言う通り幸せでい続けることには不断の努力が必要だ。むしろちょっとキツイぐらいの。料理におけるスパイスのようなものだ」「お汁粉を甘くするのに、塩を入れるようなものですか?」「料理は偉大だな……」 懇切丁寧に説明したつもりが、さよが最も分かりやすい形で理解したらしい。 ちょっとアタナシアは悔しそうだったが、それ以上は何も言わずさよを見つめていた。 同じ土俵で男の一番、正妻の座を取り合うライバルを見る眼差しで。 そこに相手を蹴落としたり敵視するどろどろしたものはなく、まるでスポーツのライバルを見るようなそれだ。「私とあなた様の関係にもお塩が必要なんですね? 甘く、もっと甘いこれからを生きる為に」「俺もさよと一緒にとろとろで、甘々なこれからを一杯過ごしたいな」 確認するようにさよがむつきに問いかけ、意を決したように立ち上がった。 四人のなかで一番背が低く、おっぱい相撲なんて夢のまた夢。 かと思いきや、その辺にあった桶を湯船に沈ませ台座とすることで加わった。 若干ふらふらしているが、貧乳を甘く見るなとばかりにマシュマロ地獄に飛び込んだ。「僭越ながら、一足先にあなた様と一つ屋根の下で共に暮らす事実婚をさせて頂きます。ですが、柿崎さんの言う通り、それに胡坐をかかず女性を磨き続けます」「ぬがっ、抜かった。良く考えたら、さよちゃん現時点で一番有利な立ち位置に。しかし、主役は最後負けそうになってからひっくり返す。桜子、チア部できっちりシェイプアップするよ!」「私ら、最近さぼりがちだったしねぇ。エッチな体は私の運でも手に入らないし。二学期は張り切って踊っちゃおう。独り身で寂しいくぎみーも誘って」「ぬははは、正妻の座を勝ち取る前に。貴様たちのラスボスとして立ちふさがってやろうではないか。何処からでもかかってくるが良い。我が腕の中で安らかに眠るが良い」 高らかに笑ったアタナシアが三人纏めて巨乳の海に沈め、ぬわーっと悲鳴があがる。 仲良きことはを見せられているむつきは、一人穏やかに湯船に浸かっていたわけだが。 お嫁さんたちの仲の良さを見てほっこりしていたわけではない。 彼女たちが不断の努力を近い自分を高めようとする中で、むつきこそ胡坐をかいてはいられないのだ。 見捨てられないよう、正妻を勝ち取った子に相応しい男になれるよう二倍、三倍の努力が必要である。「幸せに慣れず、不断の努力を……二学期も大変なことになりそうだ」 新たな決意と楽しくも忙しい明日からを思いしみじみと呟きつつ。「そろそろおっぱい相撲に俺も混ぜてくれ!」 もう我慢できませんと、一先ずは今目の前にある幸せに飛び込んでいった。-後書き-ども、えなりんです。ちょいと分け合って、日曜の朝更新になってしまいました。理由はさておき。記念すべき百話のお話ですが、題名を見てむつきのセリフだと思った人。結構いると思いますが、美砂のセリフでした。今までは正妻が美砂であることは大前提だったわけですが、あえてそれを崩してもなお、正妻にい続けようとする美砂マジ男前。あと、アタナシアの写真をデスクに置いたら、瀬流彦へのパワハラになりそうwでは、次回から第三部の二学期編になります。まだ三話ほどストックありますが、切れたらまた更新日等考えます。一応次回は来週の土曜日です。