第百五話 地雷女扱いしてへん? 今まさに出て行こうとしていた社会科資料室へと、手を引かれ素早く連れ込まれた。 古とイチャついた直後で股間が暴れん棒状態で抵抗なんてできやしない。 彼女から全力で逃げるには胸張って走らなければいけないわけで、既に股間が張っているのだ。 そんな事をすれば、むつきの社会的信用は失墜も失墜。 もっともそれがなくとも、少しばかり避けていた相手にみつかったことで思考が麻痺していたのもある。 普段とは真逆に閉じ込められるように鍵をかけられ、振り返った彼女の笑顔を見て顔が引きつった。 そんなむつきの顔を見た千草は、着物の袖の代わりのようにスーツの腕で口元を隠し呟く。「そんなこの世の終わりみたいな顔されたら、傷つきますえ」「あの……俺、次の授業が」「あら、おかしい。五限目はうちも、乙姫はんも授業はあらしまへんえ」 一先ず手っ取り早い逃げ文句を呟いてみたが、あっさり退路は防がれてしまう。「んー……」 むつきが避けていたことは、彼女の強引な手段からも覚っていたことだろう。 しかし今むつきを目の前にして、千草は唇に指を当てながら少し考え込み始める。「もしかして、乙姫はん。うちのこと、一夜の恋に燃え上がって追っかけてきた地雷女扱いしてへん?」「えっ、いや。あはは」 中途半端な愛想笑いは、千草の言葉を肯定しているとしか自分でも思えなかった。 そもそもの出会いが一夜限りの旅の恥を前提とした逢瀬のはずだ。 それが数日後に関西から関東へ、さらには同じ職場に飛び込んで来ればそう思っても仕方がない。 改めて自分の行動を思い返した千草は、不満げな表情を少し和らげ始める。 自分でも、そんな相手がいたら速攻武力的な意味で撃退するかもと思ったからだ。「うち、別に乙姫はんに責任とってって追ってきたわけやあらへんえ」「そうなんですか?」「刀子じゃあるまい。もちろん、乙姫はんのことは大好きやけど。結婚できるなんて思ってまへんえ」 あっけらかんと胸の内を明かす千草を前に、むつきも少し自分を省みて軽く頭を下げた。 旅の恥という大前提があったとはいえ、今のままではヤリ逃げになってしまう。 だから、つい先ほどまで古、お嫁さんとイチャついていたパイプ椅子を近くに引き寄せる。 腰を落ち着けてという言葉通り、まず自分が座り、千草に手を伸ばした。「もし嫌でなければ、お話をしませんか?」「それでこそ、乙姫はん。腹が据われば、男らしい」 京都の時とは違い、千草は女性教諭らしく白シャツにスリットの入ったタイトスカート姿である。 おみ足もうれしいことにタイツに包まれムチっとした感じがエロイ。 長い髪は和美のように後頭部で綺麗にまとめられ、大きなメガネが教師らしい。 特にメガネはエロビデオ的な意味でも特に。 ちょっと思考がエロイ方に流れたのは、股間が元気なだけあってと思ったところで気づいた。「あら、嬉しい」「わっ、これは違う。ちょっとした手違いで!」 差し出された手よりそちらの方がと言いたげに、千草が嬉しそうな声を上げた。 咄嗟に隠しはしたが、現在のむつきの状態を完全に把握されてしまったようだ。 途端にエロイ目つきで赤い唇を舌なめずりしたまま、千草がむつきの手に誘われ背を向けた。 そのままむつきの膝上に大きなお尻を座らせ、突起物にこすりつけるように腰を振る。「ちょっと、言ってることとやってることが違うじゃ。でもちょっと嬉しい自分が悲しい!」「愛してるお人がやる気なのに、黙ってみてるやなんて。乙姫はん」「駄目だってわかってるのに、俺って奴は……」 首だけでも振り返った千草が、悩ましげな吐息をうなじに吹き付けてきただけであえなく陥落である。 このいけない女教師がと、千草のお腹に腕をまわし、抱き寄せては熟れた女の匂いを嗅いでしまう。「もっと、ええことしてもええんどすえ?」「ぐっ、ががが。したい、したいけど……」 両腕を組んで豊かな胸を押し上げるようなセクシーアピール、むしろセックスアピールだろうか。 久々の逢瀬からか、またはむつきが獣欲を発しているからか、千草から雌の匂いがする。 女教師という硬そうなイメージの殻を、その身に纏うスーツを破り押し倒せと。 本当の獣のように後ろから貫いてと、そのフェロモンで誘っているようにしか思えない。 まだ何も話し合ってないのにという理性的な考えがもろくも崩れ、塵に消えそうな時であった。 お昼休みの終了を告げる、お昼の授業が始まる鐘が響き渡り、はっと現実に連れ戻された。「千草、さん……」「千草でええどすえ」「どうして千草はこっちに? 近衛の家での巫女かなにかの仕事は、止めちゃったの?」 唐突に真面目モードに、ひしひしと感じていた獣良くが薄れ正直千草は舌打ちしたくなった。 しかし、むつきの真面目な視線にさらされ、これはこれでと機嫌を持ち直した。「詳しいことは言えまへんけれど、色々あるんどすえ。表向きは、麻帆良学園の教師。裏向きには、お嬢様。木乃香様のご様子を実家に伝えるのが私のお仕事どすえ」「聞いちゃならんことを聞いたような。もしかして、教師になれたの学園長の私的な職権乱用?」「そうとも言えるし、そうとも言えへんえ。お好きなようにとったらええどすえ」 裏的な意味のぎりぎりを口にした千草は、正直どうでも良いと若干投げやりであった。 関西呪術協会の親東派として送り込まれ、木乃香の様子を伝える役目を負ったのは事実だ。 しかし千草はその仕事はそれなりにするが、きちんと自分の目的があってこちらに来た。「地雷女やないって言ったけど、乙姫はんが忘れられへんかったのは本当どすえ」 そう言った千草は、膝の上で少しお尻を滑らせ横向きになってむつきの首に腕を回し抱き付いた。「上の申し出は渡りに船やったし、小太郎にもうちびっと広い世界みしたりたかったしな」「小太郎君か、千草が預かってる子だっけ?」「あの子も親おらへんし、放り出すには危ない子どすえ。手間のかかるけど、可愛い弟分どすえ」「千草も、お姉ちゃんなんだな」 そりゃ惹かれるわけだと、アタナシアや刀子に続くむつきの大好きなお姉ちゃん属性である。 しかも縁も所縁もなかったであろう他人の子を預かるなんて千草も筋金入りだ。 彼女から逃げ回っていた自分を少し恥じて、ごめんねの意味を込めて見上げてくる彼女の唇を素早く奪う。 ちょっと驚いた様子であったが、何処か安心したようにむつきの胸に千草が体重を預けて来た。「あの子がおるから、うちは正直結婚は諦めとるんですえ。だから、乙姫はんにも結婚してなんて言わへんえ。けど……偶になら、時々で良いから好きな人に甘えたいんどす」「千草……」「結婚はできん。けど、好きなお人との子は欲しい。認知もいらん、迷惑もかけません。だから、乙姫はん。むつきはんの、赤ちゃん欲しいどすえ」 本当に俺は馬鹿だったと、千草から逃げ回っていた過去の自分を殴り倒したくなってきた。 胸にかかる彼女の重さは、彼女の見た目以上にずっしりと感じられる。 もちろんそれは本来の重さという意味ではなく、彼女が結婚も認知もいらないといった発言からだ。 普通の、特に初婚である男なら、千草だけならまだしも小太郎のような瘻つきは勘弁だろう。 千草と小太郎が血のつながりがないのならなおさら、余程彼女を愛していなければ無理だ。 でもと、むつきはもたれかかってくる千草を受け止め抱きしめ、力強く支えた。 全然、これっぽっちも重たくないと、言葉より先に態度で示すかのように。「千草、俺の嫁になれ」「えっ」 だから今は彼女の寂しげな瞳を目の前にはっきりとそういうことができた。 驚き目を開きあっけにとられる彼女の唇を再び奪い取り笑いかける。「俺さ、アタナシアだけじゃないんだ。実は……両手で数えきれないぐらい、嫁にしたい子がいるんだ。むこうも嫁になりたいって。千草一人ぐらい増えたって全然重荷じゃない」「そ、そうなんどすえ?」「そうそう、小太郎君もたくさんの嫁に懐いてるし。さすがに今すぐあの家に、連れて来られると。彼の性教育的にはたいへんよろしくない状況なんだけど……」「たくさん、小太郎も懐いて。まさか」 特に小太郎が既になついているという点で、千草はむつきが何を言っているか理解したようだ。「木乃香、お嬢様も?」「木乃香も刹那も、エッチはまだだけど。キスもエロイことも一杯教えちゃいました」「この犯罪者……でも、お嬢様はその方が幸せかもしれまへんえ。古臭い縛りにええように操り人形にされるよりは。本当に、うちをお嫁にしてくれるんどすえ?」「男に二言はない。俺の嫁になれ、千草。今すぐは無理だけど、小太郎君の面倒も見る。千草が産んでくれる子も。その、両親は残念だったけど。一杯、家族ができるぞ」 感極まったようにむつきの胸の中に顔を伏せるようにして、千草が抱き付いて来た。 受け止めたその肩は小刻みに震えており、もしかしたら泣いているのかもしれない。 諦めていた嫁になれるからか、それとも両親の件を出し家族がと言ったからか。「ほんまやったら、中学生にって張り手かます場面どすえ。なのに、なのに……嬉しい方が先行して、泣き笑いになってしもたやん。むつきはんは、意地悪どすえ。本当に、意地悪」「ごめんな、避けてて。こんなことなら、もっとはやく話せば良かった」 しばらく千草の気が済むまで、胸の内で彼女の気持ちを受け止めるつもりであったのだが。 彼女のお尻がくいっと持ち上がり、千草がより深くむつきの胸に飛び込む形となった。 涙がぴたりと止まった彼女がむつきを見上げ、そして自分のお尻の下へと視線を投じる。 もちろん直接的に見えはしないのだが、彼女の尻が確かにそれを感じ取ったことだろう。 どうやら一度は去ったはずの獣が、犯罪者心理の様に現場に戻って来たらしい。 どうしてもう少し長持ちしなかったのか、恥ずかしいとばかりにむつきは乙女のように両手で顔を隠していた。「ごめんなさい、限界だったんです。千草の全てがエロイから」「そんな、むつきはんにエッチな目で見られてうちは嬉しいんよ。むしろ、もっとエロイ目で見て」 慰めるように顔を隠すむつきの手に触れ、逆側の手で千草はシャツの胸元のボタンを一つ外した。 悪しき者、男を誘惑するいけないものの封印が溶けるように胸がゆさっと揺れる。 さらにもう一つ、プチリとボタンが外され見えたのは黒いブラジャーのレースであった。 この時、既に顔を隠していた手は、むしろ邪魔だと顔から外されてしまっていた。 むしろ血走った眼で鼻息荒く、千草のシャツの隙間から胸の谷間を穴が開く程に凝視している。「さっきの言葉を証明しとくれやす。うちに赤ちゃん産ませて、証明しとくれやす」「千草、分かった。証明してやるよ。一人じゃない、二人でも三人でも。小太郎君もまとめて」「ああ、嬉しい。むつきはん、もっとぉ!」 一つ一つ外されていくボタンなんて待てないと、シャツの隙間にむつきが手を滑り込ませた。 まだ黒のブラジャーはそのままだが、脱がせる間も惜しんで豊かな胸を鷲掴む。 感触の殆どは乳房を守るブラジャーの硬い感触だが、防ぎきれない指先は柔らかかった。 やや乱暴気味に激しく揉みしだきながら、千草のルージュが引かれた唇へと吸い付き貪る。「やぁん、激しっ。んふぁ、ブラが邪魔、もっと直接触れてぇ」 愛撫されながらも千草はシャツのボタンを全部外し、後ろ手にブラジャーのホックまで外していた。 そのままでは衣服が絡むため、むつきが腰を支え連携して手早く千草が上着全てを脱いでいった。 ぱさりと羽毛のように床にシャツとブラジャーが落ち、千草の上半身は生まれたままの姿だ。 今すぐに子を産んでも十分に育った乳房の重量感は、アキラたち巨乳組に匹敵する。 いやただ大きいだけでなく、年齢が上なだけあって乳房にさえ落ち着きのような貫禄があった。 ただのむつきの勘違いかもしれないが、これが俺の子を育てる乳房かと安心感さえ感じられた。「むつきはん、おちんちん苦しいやろ。先に、一回出しますえ?」「ああ、頼むよ千草」 普段ならここで心行くまでその乳房を味わうのだが、さすがにそろそろ限界であった。 お尻の下の感触で千草もそれを察したのか、上目づかいで尋ねられてしまう。 恥ずかしい限りだが、パンツの中だけは勘弁して欲しかったので素直に頷いておいた。 すると少々名残惜しげだが、千草がむつきの膝から降りて床の上に膝立ちとなった。 彼女も少し興奮し始めたのか、震える手が伸ばされた先は当然のことながらむつきのベルトだ。 狭い社会科資料室のなかにカチャカチャと金具の音が響き、外されていく。 ジッパーを下げられてからむつきが腰を軽く浮かすと、指を引っ掛けパンツごとズボンを下ろされた。「あ、あっ……むつきはんの濃い匂い。これだけで赤ちゃんできそうどすえ」 深く深呼吸した千草が言う通り、まだ残暑激しい九月で相当蒸れていた。 冬場なら確実に湯気が見えるぐらいであろうそれへと、千草が赤い唇から舌を伸ばしていった。 そそり立つむつきの一物の亀頭に舌先を振れされチロッと小さく舐める。 大きなアイスに子供が恐る恐る舌を伸ばすように、しかし味わいを知るや否やしゃぶりつく。「んほぅ、んぅっ。んぅ!」 決して融けないアイスをしゃぶるように、口先だけでなく首全体を使って飲み込んでいく。 蒸れた一物が外気で冷やされるや否や、熱い千草の口内に飲み込まれ気を抜けばイキそうであった。 言い訳をさせて貰えるなら、古とのイチャラブから随分とお預けされたのである。 じゅるじゅると卑猥な水音を口でたてるいやらしい千草を撫でながら注文を行う。「千草、胸も使って」「もちろんどすえ。むつきはんは出したい時に、出したい場所に」 両手で胸を圧迫させながら、千草が注文通り胸の谷間に唾液で濡れた一物を静めていく。 吸い付き絞り上げてくる膣とは違い、胸の谷間の感触はただひたすらにすべやかでスムーズだ。 当初の唾液だけでは潤滑油が足りないと、千草が追加で自分の谷間に唾液を垂らしていった。 滑りが良くなってくると千草の胸の谷間から卑猥な水音が漏れ聞こえ始める。 勢い余って谷間から亀頭がこんにちわもし始め、返答するように千草が舌であいさつしてくれた。「むつきはん、気持ち良えどす? うちの胸、満足してくれるん?」「気持ち良いよ、千草。もっと強くても」 至れり尽くせり、だけどもう一歩。 現在の千草は上半身は丸裸だが、下半身は女教師としてのタイトスカートにタイツ姿である。 エロと日常の境を表現したようなアンバランスな姿もまた良いが何かが足りない。「あっ、ちょっと邪魔どす」 首を下に向けた拍子にずり落ちた眼鏡を千草がとろうとした手を、むつきはとっさに止めた。 じっと見つめたのは、千草がかけているちょっと大きめの丸眼鏡である。 元来前を向いてつける眼鏡が下をむいてしかも上下運動をすれば脱げそうになるのは当たり前だ。 千草の綺麗な顔を損ねかねないちょっと無骨気味な大きな丸眼鏡。 かけたいと思った、率直に。「千草、出すよ」「えっ、ひゃぅ!」 愛撫が止まった状態ではあったが、欲求に耐え切れずむつきは思うが儘に吐き出した。 千草の胸の谷間から覗いた亀頭がぶるっと震え、白い精液を宙に放つ。 千草はパイずりに加えてフェラチオ中でる。 ごく当たり前に解き放たれた獣の欲望は、千草の顔にこれでもかと降り注ぐ。 びたびたと着弾してはおそらく生臭い匂いと主にどろりと綺麗な顔の上を滴り落ちていく。 千草の白い今日美人の肌をさらに白く染めるのも良いが、彼女は眼鏡をかけていた。 レンズにもしっかりと、特に狙いを定めた為に重点的に精液が飛びかかった。 思わず彼女がのけぞり、尻もちをついてしまうほどに。「凄い量……もう、むつきはん勘弁しておくれやす。眼鏡はまだしも、髪にも」「ご、ごめん」 それ以前にここは二人の職場である女子中校舎の中であるのだが。 とっさに謝ったむつきでさえ、今はそのことは彼方に忘れ去ってしまっていた。 顔射され尻もちをついて倒れた千草は、背中から倒れないように手を後ろにつっかえている。 反面彼女のスリット入りのタイトスカートから伸びるタイツを履いた足は、M字に開かれていた。 椅子に座るむつきからは見えづらいが、タイツに包まれたブラジャーに合わせた黒いパンツがチラリと見えた気がする。 まったくの気のせいだったのかもしれないが、気が付けばむつきはパイプ椅子から立ち上がっていた。「むつき、はん?」 足元で丸まっていたズボンを足で投げ出し、ネクタイを外しシャツを乱暴に脱ぎ捨てる。 千草以上に、何一つ身に着けない状態で、千草の前に立った。 彼女が少し顔を火照らせ視線を逸らしたのは、一度出したぐらいでは萎えぬむつきの一物故だろう。 むしろ彼女の唾液で黒光りし、亀頭の先から残り汁を滴らせ引くついていた。 まだ犯し足りないとばかりに、欲望の掃き出し先を求めるように。 そんな肉体のみならず、むつきもまた心の内から犯し足りない、犯したいと思っていた。 尻もちをつく千草の前にゆっくりと片膝をつき、言い含めるように命令するように言った。「千草、自分で足を広げろ」「ぅ、はい……」 一瞬何を言われたのかと呆けた千草だが、直ぐに言われた通りにし始めた。 顔や髪に付着した精液を拭うことも忘れたように、自らの太ももに手を添える。 しかしいくらスリットがあるとはいえ、タイトスカートでは限界があり軽くスカートはまくり上げていった。 さすがに恥ずかしいのかゆっくり開かれていく足を、もどかしいとばかりにむつきが広げた。 いささかこれまでとは違い意味での乱暴なふるまいに、閉じかけた足はがっちり阻まれてしまう。 無理やり両膝を開かれタイツに覆われたパンツの割れ目を、むつきがそっと指先でなぞる。 しっとりとした湿り気を感じたが、まだ挿入には早いようにも感じた。「むつきはん?」「邪魔だな、破るぞ」 許可を得ぬままむつきは、千草のタイツに爪を立てて生地を引っ張りぷつぷつと裂いていく。 裂かれていくたびに期待か、また別の何かで千草の割れ目を覆うパンツに染みが広がっていった。 その最後の防波堤をも指先に引っ掛けずらすと、むつきの時の様に蒸れた匂いが広がる。 甘さは控えめだが甘酸っぱい雌の発情した匂いを胸一杯に吸い込んだ。 まるで処女のように千草が顔を赤くし瞳を閉じて顔を背けていた為、なおさら大げさに。 そして今度は事前通告なしに、むつきは憤りっぱなしの一物で一気に千草を貫いた。 足りない潤滑油を勢いで補うように、熱く舐り倒してくる千草の膣を一番奥まで駆け抜けていった。「んぐぅぁっ!」 咄嗟に千草が口元を手でふさがなければ、悲鳴が外まで漏れていたことだろう。 むつきにしては酷く思いやりを欠いた、嫁にすると宣言した相手に対する行為ではなかった。「むつきはん、ちびっといたぁん!」「千草、凄く熱い!」「そない突いたら、うち。んぁっ!」 明らかな痛みを訴える声を聞いてもむつきは止まらず、むしろ激しく突き上げた。 さらけ出された胸を揺さぶるように、中から千草を突き上げ体ごと揺さぶり続ける。 歯を食いしばり耐えるように千草はむつきにしがみつき、腰に足を絡めていた。 中に出して欲しいというよりは、少しでもその激しい腰づかいを制限する為だろう。 初夜が過ぎ去るのを懸命に耐えるかのように、千草はむつきの獣欲を必死に受け止めていた。 だが拒絶せずに受け入れた千草の気持ちを、今のむつきが理解したかは怪しいものだった。「千草、もう直ぐ中で出してやるからな」「待ってむつきはん、まだ痛くて」「ふっ、出る!」 千草の訴えがまるで聞こえていないかのように、一方的に高ぶりに達したむつきが果てた。 身体こそ重ねているがまるで心がばらばらのまま。「ふぁ、熱のが。赤ちゃんの種が、うちの子宮に。熱ぅい!」「千草、千草ぁ!」「んぅぁ……ぁっ、んふ。はぁ、終わった」 むつきがきつく千草を抱きしめたまま、その一番奥深いところを貫いたまま腰を震わせ終える。 その直後、終わったと呟いた千草の言葉の裏にわずかながらにもやっとという単語が含まれていた。 子宮の奥に熱い子種が幾つも植えられ、体は火照ってはいるのだが何故だろう。 気分はそれほど高揚はせず、望んだものが得られた幸福感は半分も満たされていない。 あの日の夜はもっと、こんなのもじゃなかったとむつきの腰を足で挟み込みながら寝返りを打った。 完全に脱力していたむつきは隙だらけて抵抗の暇なく、ころりと転がされてしまう。「うわっ」「こら、だめどすえ」 むつきを仰向けに転がしかつ、騎乗位の体位に持っていた千草はその額を軽く小突いた。 姉が悪戯っ子な弟へ注意し諭すように、今やっている行為はそれの範疇でこそないが。 叩かれた額に触れてきょとんとしているむつきの瞳は、普段のちょっとぼけっとしたむつきだった。「むつきはんとの赤ちゃんは欲しいどすけど、ただ産まれればええわけやあらしまへん。うちとむつきはん、愛し合って愛し合って。とことん愛し合って」「くぅっ」 こんな感じにと、むつきの顔の両側に手をつきながら千草がむつきの上で腰を揺さぶった。 二回連続の射精の後もまだまだむつきの一物は元気である。 それに濡れ足りなかった千草の膣内も、先程むつきが放った精液が潤滑油代わりになっていた。 肌をぶつけ合うたびにあふれたものが少々飛び散るが小さなことだ。 充足感はまだ半分未満、子を宿すには一ミリも足りないと千草は諭すように腰を振り続ける。「なあ、むつきはん。こう、ほらお手がお留守どすえ」「うん」 千草が姉属性を前面に押し出したせいか、頷きの言葉は子供っぽかった。 実際、大好きな姉に嫌われたくないように、留守と言われた両手でぶるぶる震える胸に手を添えた。「優しく、そう。上手、気持ちええどすえ。やればできますえ?」「ごめんね、千草。なんか急に頭が真っ白に、千草を押し倒して犯すことばっか考えてて」「うちの方がお姉さんどすから、許してあげますえ。今回だけは、だから。頑張っておくれやす」「千草……」 千草を受け入れるなら、何時までも弟気分ではと直ぐにむつきは気分を入れ替えた。 胸に触れていた両手を彼女のお尻に触れさせ軽く力を込める。 それからゆっくりと上半身を起こして胡坐をかき、その上で千草の全ての体重を受け止めた。 騎乗位から対面座位に、イニシアチブはフィフティフィフティのままであったが。 千草は投げ出した足と腰、むつきの肩に置いた両手を起点に飛び跳ねる。 またむつきは千草の尻に添えた手で支え、彼女を持ち上げては下すというフォローに専念した。 目の前でぶるぶる震える彼女の胸については、今更語るまでもないだろう。「千草、愛してるよ。大事にする、お腹の子も小太郎君も」「うん、うちが恋したむつきはんや。乱暴なのもたまにはええけど、アレはちょいプレイからはみ出しとりますえ。溜まっとりますん?」「そんなはずはないんだけど」 毎日さよに、時々アタナシアも混じってきちんと発散させて貰っていた。 女として脂の乗ったアタナシアと女に至る途中の少女であるさよの二人同時にである。 これで発散できなければ、お手上げな位のごちそうを腹いっぱい、むしろすきっ腹になるまで。 そこまで考えむつきは、首を振って今はと二人を頭の中から追い出した。 今目の前に、抱いている新たなお嫁さんは天ヶ崎千草という名の女性であると。「千草」「あんっ、それ。お胸をもっとぺろぺろしておくれやす。おめこの中も、硬いのがぁ!」 ぶるぶると震える乳房を唇で受け止め、ぽっちを特に強く吸い寄せ吸い上げる。 もちろん舌先による丹念でねちっこい愛撫も忘れず、我が子よりも一足早くそれを味わった。 また同時に、その我が子をはらんで貰う為に、種をまく千草の子宮口をこりこり亀頭で擦りつけた。 敏感な場所を擦られびくりと千草の腰が逃げても、お尻をがっちりつかんで逃がしはしない。 同じ乱暴でも先程までとは意味がまた違う、千草をより高みに連れて行く為の好意であった。「これ、これが欲しかったん。この意地悪加減、ふぁ。はぁん!」「千草、次来そう。次は一緒にイケそう?」「もうちびっと、ちびっとだけ。ぁっ、んふ。んぅ!」 良い処に亀頭がこすれたのか、千草が身をよじり吸い上げていた乳房がむつきの口元を離れていく。 だがむつきがそれを寂しがるより先に、千草がむつきの首に腕を回し抱き付いて来た。 真っ直ぐ姿勢を制御するのもままならず、もたれ掛かって来たといった方が正しいか。「イク、むつきはん。次、深くこつんされたら。うち、欲しい。むつきはんの熱いの。赤ちゃん!」「出すぞ、千草の奥に。しっかり孕め!」「来て、何時でも。待ってるから、うち」 のちに感動を覚えるぐらい、それは同時であった。 むつきが千草の中に欲望を放つ瞬間と、彼女が激しく突き上げられることで果てるのとが。 どちらが先でも後でもなく、奇跡と言って良いほどのタイミングである。 おかげでむつきが千草の唇を塞ぐのが一秒でも遅れれば色々とアウトであったことだろう。 二人が快楽に身をよじりあげかけた嬌声は互いの唇を通り、体に響き染みわたるの終わっていった。「んぅ、んはぁっ!」「ぐぅぁ」 言葉にもならないうめき声の様なものを互いにあげあい、長い長い最高潮を味わい続ける。 五分近く、余韻を味わうように唇を合わせ抱き合っていただろうか。 多少酸欠になったこともあって名残惜しげに唇をはなし、二人はこれまた同時に大きく息をついた。 今まともに言葉を口にできるなら、空気がおいしいとでも言ったのだろうか。 ぜえぜえと呼吸を荒くしたまま、やがて二人は見つめ合っては照れ臭そうに笑った。「むつきはん、うちが肉ベッドになったる。そのままで」「千草ぁ」 背中から床に倒れ込んだ千草の上に、一物を抜かないままむつきが覆いかぶさった。 ぐちゃぐちゃとあふれ出る白い体液が二人の間から洩れたが多少は問題あるまい。 しっかり栓はされたままで、しかもその栓が自動的に次の白くべとつく何かを供給するからだ。「ごくろうさん、むつきはん。お腹一杯どすえ、できたかな?」「できたかじゃなくて、つくった。二人の愛の結晶」 肌と肌の隙間に潜り込ませた手のひらで、むつきの一物を感じられる腹を千草が撫でた。 この変かなとわずかなふくらみを感じ、軽く押すことでむつきの表情の変化からやっぱりと笑う。 そんなことをする奴はと、むつきも軽く腰を振って再び子宮口を虐めて追加の射精であった。 ピロートークでは若干ないが、お互い完全に満たされたようにイチャツキまくる。 お互いの胸をつつきあったり、子供の名前どうしようかと気が早いにも程があるように相談したり。 しっかり心と体を重ねたわけだが、ほんの少しだけむつきは気になっていた。(最近、ちょっと自制できなくなる時があるな) 千草には申し訳ないが思い出したのは、小鈴との初夜や古とのファーストキスのやり直しだ。 前者は小鈴のリクエストであったこともあるが、廊下でやらせろと迫って犯した。 古に至っては、思い出のファーストキスがいつの間にかディープで情熱的すぎるモノに。 そういえば、教室で皆を見渡した時なんかは、神楽坂が裸に見えたことだってあったか。「また、なんか他ごと考えとる。今は、うちの時間どすえ」「うん、ごめんごめん。なら、また襲っちゃうぞ。完璧に孕むまで」「ええよ、思う存分。むつきはんの子種、うちのお腹に蒔いておくれやす」 この野郎とピロートークを忘れ、むつきは千草に襲い掛かった。 やはり、ちょっと自制という言葉はむつきから縁遠いものになっているのかもしれない。-後書き-ども、えなりんです。今回一番やりたかったのは、千草のメガネへの射精。ロマンやん?トリップ変わってるかもしれません。次回は来週の土曜日です。