第百九話 ありがてえけど、すまん気持ちが半端ねえ 三人の美少女がアップテンポの音楽に合わせて踊り、時に足を大きく振る上げる。 その度にチア衣装の青く短いスカートが大げさにひるがえり、赤裸々に中身が見えた。 色合い的にどうよと思われる黒いレースの透けたパンツを履いているのは美砂であった。 一番高く、むしろ見てとばかりに足を高々と上げたのも彼女である。 磨き上げた肉体へのエロイ自信とむつきへの愛がひしひしと感じられるはつらつさが同居していた。 一方の名はパンツを表すがごとく、薄いピンクのパンツをチラリと見せてくれたのは桜子だ。 恥ずかしげに一瞬だけ足を上げ、見えたと思った頃にはポンポンを持つ手がスカートを抑えている。 羞恥心を我慢できなかったのか、その気持ちの矛先をむつきに向けてペロッと舌を出す。 もちろん、桜子の無邪気な可愛さが増しただけで、彼氏としては嬉しい限りであった。 そして最後の一人、釘宮はというと足を上げるどころか持っていたポンポンを畳の上に叩きつけた。 腕の振りとは裏腹に重さがないポンポンは、ふぁさりと落ちただけだが。「って、なんで私まで。あと、いくらなんでも管理人室で三人踊るのキツイ!」 そりゃそうだと思いつつ、むつきは釘宮が踊るのを止めたのを見て傍のラジカセのボタンを押した。 停止ボタンを押されたラジカセは、音楽を流すのを止めて黙秘権の行使である。 十数畳程度の広さの場所で、少女とはいえ三人も踊れば特に横幅がきつきつであった。「良いじゃん、円。先生は病気なんだし、興奮させてあげなきゃ。ほら、先生いやらしい目つきでずっと私達を見てるよ。いやん、先生もっといやらしい美砂を見て」「病気のことは聞いたけど、可愛そうだと思うけど。私は美砂や桜子と違って、先生の恋人じゃないから。これ以上はお金とるよ!」「え、いくら? 釘宮が目の前でパンツ見せながら踊ってくれるなら、金ぐらい幾らでも払うけど」「アウトーッ!」 突っ込みに忙しいと、叩きつけたはずのポンポンをむつきの顔面にシュートである。 やっぱり空気抵抗が大きく軽いぽんぽんは、低い放物線を描いてむつきの顔にゴールした。 ただ、そのために払った代償は少し大きかったようだ。 シュートのはずみで高々と上げられた足、つまり釘宮もまたパンツを見せる結果となった。 当人は、直ぐに足をおろし怒り心頭だったので気づいてはいないようだが。「先生、私も。恥ずかしいけど、見せてあげる!」「おっと」 どうかバレませんようにと、むつきが視線をそらしていると胡坐の上に桜子がお尻から落ちて来た。 慌てて受け止めると、なんともうれしい申し出である。 それを断るなんてとんでもないと、上気した素肌を求め上着の裾から手を滑り込ませていった。 昨日の大寒波が嘘のようにまた残暑が厳しさを取り戻し、その上数分間踊りっぱなしであったのだ。 桜子の肌はしっとりと汗でぬれており、素肌も熱いぐらいに火照っている。 しかし何故だろう、女の子の汗というものはさらさらでしかも香しいのだろうか。 肌と同じぐらいしっとりとした桜子の髪にも鼻を埋め、肺が彼女の匂いで満たされるまで呼吸する。「きゃはは、やだ先生犬みたい。残念、私は猫派なのだ」「先生、私たちの汗とか体臭大好きだから。ほら、先生。私も汗でむんむんしてるよ。私の匂いも嗅いで。恥ずかしいけど、先生ならなんでも許しちゃう」「美砂、美砂の匂い。桜子も、たまんねえ」 桜子に負けじと美砂も、むつきの隣にしなだれかかりウェアの中で弾む胸を顔に押し付けてくる。 自身はそのままむつきの顔を掻き抱き、ノーブラの胸でむつきを包み込んだ。 体臭を嗅がれた美砂も桜子も羞恥心こそあれ、嬉しそうに身をよじっていた。 むしろ逆にむつきこそ良い匂いだとばかりに、くんくん匂いを嗅いでは悦に入っている。「うわぁ……」 彼女たちの大親友の釘宮が、どん引きしても仕方のないことだろう。「ねえ、桜子。先生そろそろ立ってきた? 普段ならとっくに、押し倒されてるところだけど」「先生、触っても良い?」「良いけど……」 まだ直接見る勇気はないけどと、むつきの腕の中にいた桜子がもぞもぞと腕を伸ばした。 完全手探り、むつきが着ている浴衣のすそをたぐり、その手がだんだんと股間に落ちていく。 おへそあたりや太もも辺りと多少寄り道をしつつ、これかなっと桜子が大胆にそれを握り込んだ。「むにむにしてる。良く考えたら、私先生が硬くしてるところ知らないから、わかんないや」「もう、桜子ってば。ほら、手探りなんてまどろっこしいことしてないで。こうばっと」「ぎゃーっ、なんか真っ黒な蛇口が。周りもぼうぼうに生えててキモイ!」「お前、正真中の俺になんてこと言うんだ」 美砂がむつきの浴衣の裾をだいたんにまくったため、運悪く釘宮は直視してしまったらしい。 女子中学生としては当然の反応、変質者に無理やり見せられた時の様に真っ赤になって背を向けた。 ついでとばかりに、しっかり見てしまったむつきの一物をぼろくそに言っていたが。 愛い奴めと勝者の笑みの美砂は、一物のうな垂れ具合に敗者のごとく肩を落とした。「あれだけエロ可愛く踊ったのに……」「すまん」 三人のチアリーディングは可愛かったし、パンチラにはおおっと目を奪われた。 もちろんその後の体臭攻撃にもリビドーを感じはしたが、こう理性が振り切れる閾値を超えない。「こんなに大きいのに、まだ小さいんだ。ぁっ、先生。お胸の先っぽはちょっと恥ずかしいかな」「おう、こりゃ失礼」 美砂がうな垂れている間も、チア衣装のから滑り込ませた手で桜子の胸を軽く揉み続けていた。 触るか触らないかわからないぐらいの触れ方で、時々指先で乳首を虐めてもいたのだ。 しかし、やはりむつきの勃起不全が癒えるまでには至らなかった。 桜子もこれ以上は限界らしかったので、胸を揉むのを止めて優しく抱きしめてあげた。「って、落ち込んでる場合じゃない。次、順番回ってくるまでに次の誘惑方法考えるわよ。ほら、桜子も先生に甘えてばかりいないで」「結構自信あったんだけど、次はなんの衣装にする? くぎみーはなにが着たい? 千雨ちゃん、可愛い衣装一杯持ってるっぽいよ」「くぎみー……じゃなくて、私も続けるわけ?!」「あったりまえでしょ。戦力は多い方が良いんだから。次は円もちゃんと先生を誘惑してよ」 うな垂れるのがはやければ復活も早い、こうしちゃいられないと美砂が桜子と釘宮を引っ張り始める。「なんで私が」「五月ちゃんのご飯、一番ばくばく食べて他の円じゃん」「ばくばくなんて食べてません。ぱくぱくでーす!」「先生、また後でね。今度こそ、私たちの魅力でいちころにしてあげるから」 軽い口喧嘩をしながら管理人室を後にする美砂と釘宮を追い、桜子が手を振りながら出て行った。 ぎゃーぎゃー騒ぎながら歩く足音は、やがて階段を上り始める。 その行き先は改めて考えるまでもなく、三階にある千雨の衣裳部屋であろう。 今この場にいないメンバーの殆ども、今はその衣裳部屋で衣装合わせをしているはずだ。 それはもちろん、むつきの勃起不全治療の為に、皆が全力でむつきを誘惑しようとしてくれているからだ。「ありがてえけど、すまん気持ちが半端ねえ」 週末の金曜日、むつきは学校の授業が終わると同時に、全員に集合のメールを送った。 勃起不全になった翌日の大寒波を何とか乗り越えた翌日のことである。 それまではごく一部の者しか知らされていなかったが、何時までも黙ってはいられない。 特に休日ともなれば大部分のメンバーがひかげ荘に泊まりにきて、むつきにセックスを迫る。 これまではむつきだって迫っていたわけで、休みの大半はセックスに費やすのが常だったのだ。 だから、中途半端になるよりはとむつきは呼び出した全員に勃起不全を患ったことを話した。 先程釘宮がいたことから、恋人やセックスフレンドではない佐々木や明石、長瀬や龍宮も同様である。 その結果が、先ほどの美砂たちであった。 立たぬなら立たせてやろう、私たちの魅力でというわけだ。「先生お待たせ、第二陣の誘惑隊のテーマはこんな感じ。ナースホワイト」 美砂たちが次の衣装を考えにいった数分後、管理人室の襖をそっと開けて顔を覗かせたのは亜子であった。 その姿は白いナース衣装に包まれているが、何故かスカートはプリーツスカートだ。 色っぽさよりも可愛らしさを上げてきたようである。 スカートから伸びる足がストッキングではなく、ハイニーソからもきっと間違いない。 今にも注射しちゃうぞと言いそうな亜子が、管理人室の襖を最大限に開ききった。「馬鹿ピンクあらため、ナースピンク参上。ねえ、先生。可愛い、可愛い?」「えっとナースブルー、かな?」 佐々木のナース衣装は髪の色に合わせたような淡いピンクで、妙にフリフリが多い。 ナース衣装というよりも、ナース衣装がコンセプトの魔法少女衣装と言った方が近いか。 本人の天真爛漫馬鹿っぽさが程よくマッチしており、可愛いことは可愛い。 バ可愛い、という奴なのかもしれない。 今日の趣旨が分かっているのかは不明な程に明るい佐々木とは対照的に、明石が本当にブルーだ。 普段の元気さはどこへやら、着込んだ水色のナース衣装と同じように気分が沈んでいるように見えた。 若干サイズが小さいのか、胸や太ももがピチッと強調されたエロイ恰好なのになんだか勿体ない。「どうした、明石。今の俺は悟りの境地にあるから、悩みなら聞くぞ?」「んにゃ、なんでもないにゃ。先生が私に劣情をもよおして襲ってこないか警戒してただけにゃ」「さすがに、恋人じゃない子を襲ったりはしないって」「あっ、ああ。うん、そうだよね」 今なぜか残念がらなかったかと思ったが、それより少し気になることが。 運動部の仲良し四人組の最後の一人がまだ表れていない、そうアキラである。 てっきりアキラはこの三人と一緒に誘惑に来ると思ったのだが違ったのか。 軽く首を伸ばして廊下を覗いたのに気付いたのか、そんな慌てんとと亜子が両手を前に出してきた。 どうどうと、いきり立つ馬を抑えるジェスチャーである。 今のむつきの下半身は馬どころか、尻尾を掴まれた子ネズミの様にブラブラするしか能はないが。「先生も期待しとるし、お待ちかね。ナースパープルのアキラ登場!」「あ、亜子。お願い、スカート。スカートを」「アキラ早く、裕奈も手伝って」「はいはいっと」 何故か登場を拒むアキラを、亜子や佐々木、明石の三人がかりで廊下から引っ張り出してくる。 しかし、パープルと亜子が言った割には、見えて来たアキラのナース服は白だ。 他の三人はそれぞれ可愛さや魔法少女、セクシーと一味あるのに対し、アキラは正統派のナース服。 正統派は正統派で良いところがあるが、パープルなのに白とはどういうことか。 やがて抵抗しきれなかったアキラが管理人室に引っ張り出された時にそれは分かった。 アキラの衣装は確かに白かった、しかしながら同時に確かにパープルでもあったのだ。「先生、お願い見ないでぇ」「いや、見る!」 思わずガタッと傍にあったちゃぶ台に手をつき、身を乗り出さずにはいられなかった。 しきりにアキラはナース服の上着の裾を下に下にと引っ張っている。 右腕を亜子たちに引っ張られているので逆利きの左手でぎこちなくだ。 正統派の白いナース服を着ながらも、アキラはスカートをはいていなかった。 きっとだが、亜子に履かせて貰えなかったのだ。 つまり自明の理という奴で、パープルとはアキラが身に着けている下着の色のことである。 白とパープルの色合いもさることなあら、必死に隠そうとする気弱気なアキラがまた良い。「おお、悟りが煩悩に追いやられる感覚」「やった、なんだかわからないけどアキラ凄い」「まき絵、もしかして……ぁっ!」 無邪気に喜ぶ佐々木を前に、アキラがなにかを言おうとしたがそれはむつきに遮られた。 必死に下着を隠そうとしていた手を取られ、引っ張られたのだ。 本当にあっという間、腰を抱かれたまま尻を鷲掴みにされ、強引に抱き寄せられる。 まだ一本ある腕で後頭部を固定され、強引に唇が奪われるその瞬間。「あーっ!!」 いきなり大声を出した明石のせいで、あと少しで破裂しそうだったリビドーが霧散する。「明石ぃ、お前……」「宿題するための、ノートを学校の机の中に忘れてたとか、なんとか」「なんだそりゃ」 そんな大声出してまで思い出すことかよと、腕の中のアキラへと振り返り直す。 ものすごく襲われるのを待っている。 きゅっと瞳を閉じながらも、時々チラチラッと目を開けては待っていた。 しかし、改めてというのもこう恋人でもセックスフレンドでもない佐々木や明石の前ではしづらい。 仕方がないのでお姫様の期待には、額に軽くキスをするだけで許してもらうしかない。「今はこれで勘弁してくれ」「ううん、先生十分だよ」 逆にアキラからも頬にキスを貰い、軽くギュッと抱きしめあう。「もう、裕奈ってばあかんやんアキラの邪魔したら。先生、うちからも。皆で一緒に頑張ろうな」「おう、愛してるぞ。アキラも、亜子も」「え?」 亜子から唇に直接キスを貰い、応えると何故か佐々木が疑問の声を上げていた。「あれ、なんで亜子が? 先生と、先生はアキラと……あれ?」「やっぱり、まき絵全然理解してなかったんだね。祝福してくれるのは嬉しいんだけど、はしゃいでばかりいないでもう少しお話をちゃんと聞いてほしいな」「アキラは先生の恋人で、私も先生の恋人やんね。先生は、女の子の好きを断らないよ。勇気を出して、好きって言えば返してくれる。ね、裕奈?」 どうやら佐々木は、むつきとアキラが相思相愛な部分だけ都合よく聞いていたようだ。 今回のむつきの勃起不全に関してもどこまで理解していることやら。 いやきっとしていないのであろう。 そもそも、彼女が子供の作り方についてきちんと理解しているのか。 保健体育という一教育、授業だと考えると、望みは大変薄いように思えた。 そして亜子に念を押されるように、名前を呼ばれた明石はというとまだちょっと煮え切らない態度だ。「う、うん。なんのことかにゃあ?」「もう、ちょっと待っとって」 あくまでしらを切る態度の明石を前に、亜子が何か思いついたように管理人室を出て行った。 時間にして数分と経たず返って来た亜子は、その手にちょっと懐かしいものを持っていた。 効力の割にあまり誰も使わない、むつきくん人形である。 急いだせいでやや息切れしながらも、亜子はそれを押し付ける様に裕奈に渡した。「裕奈、これ先生がなんでも一つ言うことを聞いてくれる人形。今ここで、先生に対して使うならあげる。今ここで、使わないなら返してや」「今すぐ?」「今すぐ。あ、ほんならあと十秒。十、九……」「あ、亜子待って。なんでいきなり、わわ八、七えっと」 亜子の意図が分からずも今だけだと限定されたため、慌てて明石が用途を考える。 事前情報が少ないのもあるがむつきがなにか一つ言うことを聞いてくれるとして何を頼む。 新しい服やゲーム、あと暑いのでアイスが食べたい等ぐるぐると頭の中を駆け巡る。「五、四」「さーん、にー」「一」 アキラが続けたのでまき絵が加わり、ラストをむつき自身が呟いた。 その最後の一秒をむつきが呟いたことで明石の頭の中でとある光景がフラッシュバックする。「先生、またおんぶして!」 だからその光景を思い出すままに、明石はむつきくん人形を差し出しながらそう叫んでいた。「……えっ、あ。今のなし、ノーカン。にゃんかの間違い!」「ぶー、既に先生へのお願いは受理されたやんね。ね、先生」「まあ、明石がそうお願いするなら。構わんけど、アキラも亜子も可愛がりたいから」 さっと明石の手の中の人形を亜子が取り上げ、聞いてあげてとお願いされてしまった。 元は亜子の人形で、亜子が明石のお願いを聞いてあげてというなら叶えてあげるしかない。 ただしと注文を付けて、むつきはその辺にあった座布団の上に胡坐で座り込んだ。 もちろん、腕に抱いたままのアキラも一緒にである。 アキラを胡坐の上に座らせ、隣にいた亜子の腰も抱いてしっかり抱き寄せもした。 それから自分の言いだした願いを前に顔を真っ赤に火照らせ混乱中の明石にいった。「ほれ、背中開いてるぞ。ちゃんとしたおんぶじゃないけど、来いよ」「うん……」 恐る恐ると言った感じで、近づいて来た明石がそっとむつきの首に腕を回した。 残念ながら膝立ちの格好だが、亜子が気を利かせて別の座布団を明石の膝に滑り込ませる。 明石はゆっくりとむつきの背にもたれかかり、ナース服で盛り上がる胸が二人の間で潰れていった。 それから最後の仕上げとばかりに、むつきの首に巻いた腕を追うように明石が顔を埋めた。 アキラや亜子にももたれられ、ゆらゆら揺れるむつきの背に抱き付きながら明石は瞳を閉じる。「私、なに慌ててたんだろ。先生の大きな背中……」 これが欲しかっただけなのにとの呟きは、まだ明石の唇からこぼれることはなかった。 けれど元気印を失くした明石が、酷くほっとした様子で安らかに微笑んでいれば分からぬはずがない。「なんか、三人だけでずるい。私も仲間に入れて!」「まき絵はまず、状況を正しく理解しないと」「まあまあ、アキラ。なあ、まき絵。私らの仲間になるのにセックスフレンドってお試しがあってな?」「こらこら」 むつきを中心に仲良し四人組のうち三人が集まり、佐々木が機嫌を損ねたように言った。 当然、アキラはまず現状をと言ったわけだが、段階を飛ばそうとした亜子はむつきが注意しておいた。 それで佐々木が諦めるかは不明だが、一先ずは明石がちょっと落ち着いたことで良しとしよう。 ただこうして甘えてくれるならと、アキラの豊満な胸を揉みしだき、亜子を抱き寄せ唇を奪う。「アキラのおっぱいは大きいな。亜子も、んー」「先生、触り方がエッチ。そこは全然変わってないのに……」「んー、ふにふにのまんまや」 むつきとキスをしながら手を伸ばした亜子が、浴衣のすそから手を差し込み直接触れてくる。 硬さを確かめるように指で押すようにし、軽く扱いてもみるが結果は変わらない。 一度リビドーの爆発を明石に邪魔されたこともあるが、やっぱりまだ反応してくれなかった。「失敗、かな。そろそろ交代しないと。ほら、裕奈。先生は皆の先生だから、独り占めはあかんて」「私もまだ人形持ってるから、裕奈」「うにゃあ、放れたくないにゃあ」「裕奈猫みたい」 亜子が時計を気にして裕奈を引っ張り、むつきの背中から剥がせそうになくアキラも手を貸した。 猫がご主人様から離れるのを嫌がるように、裕奈はぴったり背中に張り付いたままだ。 実際、佐々木に猫と言われても否定するどころか、ごろにゃんと頬ずりするしまつ。 これまで我慢していた反動か、気のすむまで相手をしてやりたいが明石一人を特別扱いできない。 アキラや亜子だって、本当はもっと、それ以前にむつきとセックスしたいはずである。 だからむつきは後ろ手に手を伸ばし、猫と化した明石のお尻を一撫でした。「にゃ?!」「あっ、離れた」「今だ、捕まえないと」「こら、大人しくしとき!」 胸もそうだが、身長の割に明石は弾力のある良い尻であった。 ばたばたとアキラと亜子が協力して明石を捕まえては、廊下へと連れ出していく。「先生、よくわかんないけど。元気出して、元気が一番。裕奈のセリフだけど」「おう、お前は一先ずちゃんとひかげ荘について理解しろよ。じゃないと、純真無垢なまま食っちまうぞ」 襖を閉めてくれた佐々木が、親友の言葉を借りて元気づけてくれた。 ただ、むつきが性的な意味で食っちまうぞと言っても、小首を傾げられる始末である。 本当に良くも悪くも純真無垢、天真爛漫。 じゃあねと小学生の様な言葉と共に最後に手を振られ、仕方がないので振り返した。 ととんと、妖精が跳ねるような足音と共に、アキラたちを追っていった。 その足音が途切れると同時に、むつきは畳の上に大の字に倒れ込んだ。 大きく息を吐いて、発散どころかなかなか湧いてこないリビドーに対して軽く舌を打つ。「セックスはしたいんだよな。皆と、釘宮や明石、佐々木も可愛いし」 嫁はもちろんのこと、セックスフレンド未満の彼女たちとさえ可能ならセックスしたいと思う。 もちろん、一方的に襲うでなくできれば好意を抱いて貰ったうえ、つまりは合意の上でだ。 明石はかなり脈ありっぽいが、佐々木と釘宮は望薄だろうか。 そんな不埒な考えを割と真剣に抱けるほどセックスを望んでいるのに、やっぱり反応はない。 なんというか、このまま一気に老けてさらに歳の差が広がってしまいそうで寂しさがこみ上げる。「先生、今良いですか?」 セックスしたいと、畳の上で駄々っ子のようにじたばたしていると夕映が襖の向こうから声をかけて来た。 どうやら第三陣の登場のようで、夕映は確定だが他に誰がいるのか。 図書館探検部という部活仲間を考えると木乃香が濃厚、さらに彼女がいれば刹那といったところか。 チア部の美砂たちや運動部のアキラたち以外は、ペアこそあれ明確なグループはないので予想し辛い。 先程まで胸にあった寂しさは飲み込んで、座布団の上に胡坐で座り直して背筋をただした。「おう、何時でも良いぞ。しっかり、この目に焼き付けてやっか、ら?」 言葉の最後が裏返ったのは、予想可能な夕映の衣装ではあったが回避不可能だったからだ。 以前から彼女自身にプレイ用に着てあげましょうかとは、聞かれていたのだが。 いざこうして着て貰うと、なんという犯罪臭であろうか。 夕映が着ていたのは、おそらく彼女が小等部の頃に来ていた制服であった。 襟元がセーラーになっているワンピース、そして背中にはランドセルの完全装備である。 夕映の身長は百三十八センチと小学五年生と同じ身長、コスプレの違和感などなくそのものにしか見えない。「なんだよ、やっぱり小学生コスプレが一番反応良いじゃねえか。だから、統一しようぜって言ったのに」「闇雲に誘惑しようとしても、難しいですわ。まずは傾向と対策を」「言いたいことは分かるけど、委員長はちょっと真面目に考え過ぎだって。セックスアピールは楽しまないと、先生も楽しめないっしょ」 可愛らしさに加え元の犯罪臭をさらに上げて来た夕映に見とれていると、後続が入って来た。 そのモデル体型をバニー衣装に包んだあやかに、いっそ見慣れた感のあるメイド服の千雨。 それから何故そんなものがという、バドガール姿の和美である。 千雨と和美が多少愚痴っていることから、手あたり次第に着てみたらしい。 その上で一番反応の良かった衣装で二回目以降にかけるという、あやかの作戦のようだ。 待ちきれず歩み寄って夕映を抱きしめ、小さな胸やお尻にべたべた触りながら彼女たちを迎え入れる。「おお、おぅ」「先生、興奮し過ぎです。ちょっと、引いて。ちょっと嬉しいですけど」「確かに愛がなきゃ、引く光景だってこれ。中学生教師、小学生に手を出す」 パシャリと和美に写真を撮られても、怯むような精神状態ではなかった。 人は悪と言われようがやりたい欲求が枯れるわけでもなく、タブーこそ甘美という傾向もある。 その点、女子中の教師であるむつきが、生徒どころかその下の小学生に手を出すのはタブー中のタブー。 もちろんそんなこと実際にはしないが、疑似的にでも体験できるのは非常に貴重だ。 結局その相手が中学生で自分の生徒の時点で、タブーでしかないのだがそれはそれである。「でもこれは夕映さんだからでして、私たちが小等部の制服を着ても……」「わかってねえな、委員長。ああいうのは、サイズが合ってなくて恥ずかしげに裾をキュッと手で引いてるところなんかがまたそそるんじゃねえか」「あ、千雨。それさっきアキラがやってた。ナース服のスカート履かせて貰えず、上着をキュッと」「なんだよ、折角良いアイディア出たのに……」 さすがにこの人数では多少アイディアが被るかと、ちょっと千雨が唇を尖らせた。 相変わらず故にべたべたしながらも、案ずるでないとそんな千雨の腰に手を伸ばし抱き寄せる。「安心しろ、千雨。今結構俺は興奮してる。ああ、セックスしたい。今の夕映を後ろからガンガンついてランドセル揺らしたい。強引にメイド千雨を押し倒したい。バニーあやかとイチャイチャして、えいって胸元めくりたい。バドガール和美にわかめ酒でお酒飲みたい!」 美砂たちや、アキラたちの頑張りも加算し、失くしたはずの何かがよみがえりそうだ。「い、今です委員長さん」「ごった煮が意外に良い感じに。朝倉も、今だフェラしろ!」「ちょまっ、私まだして貰うばっかりでそういうことは」「分かりましたわ、さあ朝倉さんも。案ずるより産むがやすしですわ」 悪戯して貰うばかりで不慣れな和美の手をあやかが引いて、二人がむつきのひざ元に座り込んだ。 急げ急げとばかりに浴衣のすそをまくり、釘宮曰く汚い蛇口にあやかが顔を近づけ舌を伸ばした。 しんなりした竿を舌でからめとり、麺類の様に綺麗な唇でちゅるっと吸い込んでいく。 長い髪がちょっと邪魔だったのか、手で耳の後ろに引っ掛けるのはもはや様式美である。 そのままバニー姿のあやかが、首こそ動かさないが口の中で唾液に絡め吸い上げてくれた。「あっ、あやか。気持ち良い」「んちゅぁ、先生。あやかの愛でどうかお元気にんぅ」 一旦あやかが喋る為に口を放され、もっとその中にとむつきが腰を前に咥えさせる。「朝倉はやく、お前もしろって」「フェラしろっても、委員長がしちゃってて」「その下があるですよ。先生のお袋を手で転がしても、甘噛みでも良いです」 一心不乱なあやかとは裏腹に、和美は完全に腰が引けてしまっている。 千雨や夕映の催促を受けて恐る恐る、あやかがフェラ中のむつきの一物にぶら下がる袋を指で突いた。「和美、もっと近づけ。ほら、あやかが淫らな顔でしゃぶってるだろ」「う、うん。何時も凛とした委員長が、たぶんこれ女の顔? になってる」 直接しゃぶられなくても、和美の初心な反応、しかも目の前には卑猥な光景。 純真無垢な少女にわいせつ画像を見せるような下劣な感覚。 夕映は言うまでもなく、千雨もメイド服などという奉仕が前提の衣装である。 抱いた腰から手を滑り降ろさせ、すべやかな生地のスカートをさすりながらまくり上げた。 残念ながら下着の詳細は見えないが、幾度となく孕ませようとしたその尻を遠慮なく揉み上げる。「普段強引に押し倒されるからわかんねえけど、意外に手の動きでもわかるもんだな。どれだけ先生が興奮してるか。私もだけど」「ちんこ気持ち良い、千雨の尻やわらけえ。夕映はちっちゃくて、あれ……なんかパンツが紐じゃ。夕映、なに履いてるの?」 千雨の尻を堪能しながら、夕映も同様にワンピースをまくり上げながらお尻に手を伸ばす。 しかし手のひらに伝わったのは予想外の感触であった。 普段夕映は個人的事情から外観とは程遠い薄い紐パンという大人物のパンツを履いている。 どこで夕映サイズのそんなものを買ってくるのは不明だが、とにかく薄手で布地の面積も少ない。 だがいま彼女が履いているパンツは、手触りから面積とあらゆることがちがった。 若干もこもこしており、夕映のお尻をすっぽり覆いつくしてしまっている。「千雨さんがコスプレするなら心までと。久しぶりに、犬さんのバックプリントを。んー!」「可愛い、可愛いよ夕映。なんか来た、千雨も和美も」 押し倒したいセックスしたいと燃え上がる気持ちを抑えきれず、むつきは強引に夕映の唇を奪った。 それだけでは飽き足らず反対側の腕に抱き寄せた千雨にキスして、その胸元の胸に顔を埋める。 一般的サイズよりもやや大きめの胸の谷間で深く深呼吸し、吸い込んだ息で股間が膨らみそうだ。 そう、今までで最大の波が来そうであった。 あやかにおしゃぶり中の、今はまだ小さいままの一物に大きな波が。 乗るしかないこのビッグウェーブにと、むつきは朝倉の頭を撫でながら股間に押し付けた。「やだ、先生待って。まだ心の準備が」「なに言ってんだ、しゃぶれ。あやかみたいに、あやか。あやか!」「ひゃぁ、委員長?!」 むつきがあやかの名前を叫ぶと何故か、和美の方が悲鳴を上げていた。 目元がとろんととろけ始めていたあやかは、ちゅぽんとむつきの竿を口から出して手で扱き始める。「先生、嫌だと言いながら朝倉さん。しっとり濡れていますわ」「委員長、本当に待って。お願い」「駄目ですわほら。こんなに濡れて、先生朝倉さんの愛液ですわ」 どうやらあやかが隣にいた朝倉のバドガール衣装のミニスカの中に手を伸ばしたようだ。 そしてくちゅくちゅと濡れ始めていた秘所に悪戯し、しっかり濡れた指先を見せてくれた。 当然それで終わらずどうぞと、フェラを再開しながら手を上げてくれる。 かなりきつい体勢だろうに、和美の愛液をどうぞと。「ん、和美の甘い愛液。和美俺も舐めたんだから……ぁっ、来た」「お?!」 お前もしゃぶれと言葉は続けられず、むつきがぞくりと背筋を震わせた。 抱かれた夕映と千雨はその震えを直接肌で感じて、これはと目を輝かせる。「あやかもっと強く、痛いぐらい強く!」「んっ」 あやかの頭を両手で押さえこみ、イラマチオの要領でガンガン腰を振る。 しかし未だ勃起していないふにゃちんの為、喉を突かれることもなくあやかは唇に力を入れた。 唇で舌で頬肉であらゆるものをつかって、むつきの一物へ愛撫する。 もっと硬く、その背筋に上るであろう欲望を口の中に解き放ってくれとばかりに。 一心不乱にあやかの口を犯そうとするむつきを見て、夕映たちにも力が入った。「委員長のこと大好きだろ、先生。そのまま、犯しきれ。やっちまえよ!」「頑張るです、先生。見守っているですよ!」「先生頑張って、治ったらこのまま和美さんの処女あげるから!」「う、うおおっ!」 特に最後の和美の処女あげる宣言が功を奏し、一層むつきが大声を張り上げる。 が、次の瞬間パンっと何かが爆ぜた。「え?」 ぼたぼたと、むつきの体液が滴った。 白、ではなく真っ赤な体液、むつきの血液が大量に彼の鼻の奥から溢れていた。 どうやら本来股間に集まるべき血液が、頭に集まり過ぎたらしい。 勢いよく破裂するように飛び出した鼻血で汚れた手を呆然と見ながらぐらりと倒れだす。「ちょっ、重い。重いです、助け」「ひ弱な私に、ぎゃあ。マジで、起きろ先生。もしくは、委員長!」 慌てて夕映と千雨がささえようとするも、小柄とひ弱のコンビではむつきの体重を支えきれない。 そこで当然のように千雨があやかに助けを求めたわけだが。 破裂した鼻血を振り掛けられたあやかは、呆然自失の様相であった。 亜子ほど血液恐怖症でなくとも、性行為中に血を振り掛けられれば当然か。 そういうプレイでもあるまいに。「しっかりして、委員長。鼻血だしただけだから、先生エロイから!」「おい、朝倉。委員長はもうだめだ、こっち。こっち助けろ!」「重い、もうダメです!」 結局和美の助けも全く間に合わず、一先ず第一回むつき誘惑大会は審判が倒れたことで中止を余儀なくされた。 -後書き-ども、えなりんです。物凄く、馬鹿っぽいお話です。やってる本人たちは大まじめですけどね。流石に人数が多いので全員出せませんでしたが。葉加瀬とか四葉とか。最近影薄い子もいるし、その辺も書きたいですねえ。特に四葉は体系的にも少々マニアックなことができそう。では次回は来週の土曜日です。