第百二十八話 次に起きたら、俺の秘密の場所だ 図書館島のとある探検コースに足を踏み入れた瞬間、宮崎はきらきらと瞳を輝かせていた。「わあ、懐かしい。このコースは体験入部した時に、夕映とパル、木乃香さんの四人で組まされ初めて探検したんです。図書館探検部員は、必ず一度は探検させられるんです。でも、皆直ぐに物足りなくなって四月以降はガラガラになっちゃうんです」 珍しく宮崎にしてはハイテンションで、そう説明してくれた。 当時の懐かしい思い出が、その場所に来て蘇ったからだろうか。 本棚の上にある道や底の見えない谷は同じだが、落下防止用のネットが谷には張られている。 また罠の類も、あまり慣れていないむつきの目でもわかりやすいぐらいだ。 例を挙げれば本棚の上の通路に、唐突に赤い丸が塗られているぐらいに分かりやすい。 それはもう不自然なほどである。「あっ、先生も気づきました? あの赤い丸、穂先が吸盤の矢が飛んでくるんですけど」「あんなに目立ったら、誰も引っかからないだろ」「えへ、それがパルが見事に引っかかって。ボタン、押さずにはいられないって言って」「一年生の頃じゃ、今よりも向こう見ずだったんだろうな」 楽しげに当時のことを説明する宮崎は、色々と気合が入っていた。 髪は短いポニーテールにし、唇には薄くリップが塗られている。 元から素材は良かったが、それを損ねることなく引き出したのは夕映の入れ知恵か。 薄い青のワンピースには白のフリルと、おめかしに頑張ったのだろう。 その手の中には明らかに手作りだと予想できるお弁当が入ったバスケットがあった。 むつきとデートする為に、学年トップテンに入るぐらい頑張ったのだ。 ご褒美はちゃんとあげないとなと、むつきは宮崎の手をそっと握った。「え?」「デートなんだから、手ぐらい握るだろ。ほら、行こうか」「はい……」 振り切れたテンションが萎むかとも思ったが、顔を真っ赤に俯く宮崎は手を握り返してくれた。 そんな風に歩き出した二人を、隠れて尾行する影が二つあった。 誰だと考えるまでもなく、夕映と早乙女である。 面白がった早乙女が宮崎に連絡用無線を渡したが、のどかにはいらないと断られた。 なので実力行使、こうして隠れて尾行とあいなったわけであった。「ぐっふっふ、私に隠れてこんな面白そうなイベントを楽しもうだなんて、ゆ゛る゛さ゛ん゛!」「はあ……のどかが断った以上、こんな尾行は迷惑以外の何物でもないですよ」「シャラップ、ゆえ吉。あの恥ずかしがり屋ののどかなら、途中で絶対に助言を欲しがるはず」「甘く見すぎです。今後の展開次第では、のどかの方がパルより先に乙女を卒業しかねないというのに」「まあ、これが上手くいけばのどかは彼氏持ちだけど。乙女卒業とか、まっさか。ゆえ吉が私よりも先に乙女を卒業するぐらい。ない、ない!」 それは流石にないと笑う早乙女こそを、夕映は逆に内心ふっと冷笑していた。 一般的な感性であれば、教師であるむつきが生徒である宮崎に手を出さないと考えても仕方ないが。 なにしろ既に自分の方が先に乙女を卒業し、生涯の伴侶を得ている。 毎週の休み、特に禁欲明けの昨日などは、本当に妊娠するかと思うぐらい何度も子宮に精を注がれた。 むつきの前で全裸になり、はしたなくも股を開き、秘部を自分で開いておねだりだってさせられたのだ。(何も知らないというのは、いっそ哀れです) 彼女の同人誌作成の手伝いで、何度男性器の書き方がおかしいと説明しかけたことか。 主人公が体位を変えた場面でさっきよりも深いとヒロインが叫んだ場面で、普通にさっきの体位の方が深く入るのですがと内心突っ込むことだってあった。「ほら、見失わないうちに追うよ!」「仕方がないですね」 先を歩く二人に見つからない程度、距離を空けてから早乙女が走り出す。 全くとため息をつきながら、夕映は目の前の早乙女の背中をドンッと押した。「え? はうっ!」 驚く間もなく彼女が踏んだのは、むつきたちが笑っていた罠の赤丸印だ。 シュッと風を斬る音がして、見事に吸盤付きの矢にヘッドショットされる早乙女。 見た目ほどには重くないとでも言いたかったのか、その身体は矢の勢いに飲まれ谷底へと落ちていく。 もちろん、その先には落下防止用のネットがあり、綺麗に受け止められたが。 そのネットの上で彼女は何度かバウンドしてから、ガバッと起き上がり上を見上げた。「て、何をするゆえ吉。普通にびびったわ。初心者コースだからって装備持ってないんだから。ちょっとチビりかけたじゃない!」「パル、これに懲りて尾行を止めませんか?」「ぬがあ、まさか身内に裏切られるとは。意地でも尾行して、のどかのファーストキスを先生に奪わせてやる。可能なら、処女も可!」 のどかを思って早乙女を邪魔したつもりが、返ってそのお邪魔虫に火がついてしまったらしい。 そこで夕映が持ち出したのは、高枝切りばさみだ。 その木の枝でさえ斬り裂くはさみの刃が向く先は、落下防止用ネットの四隅だ。「残念ですよ、パル。貴方は特に良い友人でもなかったので、自業自得なのです」「ちょまっ、なにしてんの夕映。私、マジで装備持ってないから流石に」「ああ、私が背負っているのは貴方の装備なので。慈悲です、受け取りなさい」 「ぐえ。お、おのれ、謀ったなゆえ吉って、ギャグ飛ばしてる場合じゃない!」 乱暴に投げつけられた装備に押しつぶされながら、慌てて早乙女が何かを言い募る。「本当に待っててば、夕映。先生とのどかの甘いToLoveるを演出する為に、罠の位置をこっそり変えたりしたんだってば!」「え? あっ」「ぎゃあ、落ちる。オッノーレー!」 だが時すでに遅く、落下防止用ネットの四隅を支えていた最後の砦が切られた後であった。 見事それまでに装備一式を背負った早乙女であったが、間に合わずに谷底へと落ちていく。 最後までギャグ要員らしく、ギャグをとばしながら。 まあ既に暗闇に飲み込まれた早乙女は良いとして、慌てて夕映は立ち上がった。 そのまま二人の下へと駆けつけようとして、ぴたりと立ち止まる。「装備がない上、初心者コースと侮る私が一人で追うのは危険です。助けは超さんが適任ですか。二人がデートをしていたことは、対外的にまずいですし」 そう考えて追跡を諦めた夕映は、下手にその場を動かずにまず電話することに決めた。 夕映が案じていたむつきと宮崎であるが、早乙女の目論見通りにはいってはいなかった。 なによりもまず、宮崎が罠の位置や数がおかしい事に気づいていたのが大きい。 初心者コースの地図は、罠を設置した者が書いて無料配布されている。 大抵の図書館探検部員は、最初にここに挑戦した時に罠の位置を全て覚えるぐらいやり込む。 それぐらい熟達しなければ、次のステージに挑戦しても全く無駄だからだ。「先生、私の踏んだ通りに移動してください。えい、えいっと。はい!」 むつきの先を歩いていた宮崎が、なんの変哲もない通路を跳び跳びで歩く。 そもそも本棚でできた通路をなんの変哲もないと言ってよいかは分からないが。 彼女が跳ぶ度にワンピースの裾がふわふわと舞い上がり、危ういところまで素足があらわとなる。 宮崎もそれに気づいて気を付けてはいるが、可愛さを優先したのが仇となった。「きゃっ!」 一際大きく跳んだその時、舞い上がり過ぎたスカートを両手で慌てて押さえつける。 ぐらりと大きくバランスを崩し、小さくはない悲鳴が上がった。「よっよ、それでほいっと。キャッチ」「あっ、ありがとうございます」 背中から倒れそうだった宮崎を、急いで後を追ったむつきが受け止め支えた。「すみません、先生。スカートのせいで、せめて普段の探検装備なら。私、あまり運動神経は」「まあ、女の子は多少どんくさい方が可愛いかな? 肉体労働は男に任せろ」「きゃぁっ!」 ふらふらとみているこっちがハラハラすると、むつきは宮崎をそのまま抱き上げた。 上半身の力で横抱きにし、それまで彼女が踏んでいた個所に新たに足を付ける。 一度力を入れ直して宮崎を抱きなおし、お姫様抱っこの完成であった。 奇しくも、早乙女が全く期待しない方向で、罠の設置が上手くいったとも言えた。 抱き上げられた宮崎は、突然舞い降りた幸運にポニーテールを止めて顔を隠したいぐらいに真っ赤であった。「先生……」「宮崎、次はどこ踏めば良いんだ?」「あの、あっちを。先生の腕の中、温かいです」「宮崎は柔らかくて、良い匂いがするな」 こっそり呟いたつもりが、むつきには丸聞こえで返された言葉にまた赤くなる。 そのまま脳汁ごと脳みそが沸騰しそうになるぐらいに。(たぶん、罠はパルのせいだけど。ありがとう。先生にお姫様抱っこまで、嬉し過ぎてまた泣いちゃうよ。あっ、でも……) 罠の無い位置をむつきに伝えながら、どこかまだ冷静な部分が自分に告げていた。(来週には、那波さんとも。先生、きっと那波さんともデートして、私は先生の特別なんかじゃない) 好きな人の腕に抱かれ、大好きな図書館島でデートして幸せ一杯なのは間違いない。 しかしその幸せ一杯な心の中に、寒々しい風が時折吹きすさぶ。 これは勉強を頑張った生徒への教師としてのご褒美に過ぎないのだ。 宮崎にとっての先生と言えばむつきだが、むつきにとっての生徒は何人もいる。 デートすると告げられた時は舞い上がって余裕はなかったが、むつきは那波にもデートを約束した。 約束のトップテン入りをしたのは自分だけなのにと思わないでもない。 それに那波の件は偶々宮崎の前で約束しただけで、むつきに憧れるクラスメイトはまだまだいる。 自分が知らないだけで、他にもご褒美だとデートの約束をしているのだろうか。 自分は特別ではない。 だがそんな事よりも、もっと確かな感情があった。「先生、もう少し先に休憩所があるんです。そこでお弁当を食べましょう。一生懸命、作ったんです。先生の為に」「そっか、じゃあ着いたらありがたく頂こうか。実はちょっと腕が疲れて来てたり、なんてな」「す、すみません。重くて」「冗談を真に受けるな、宮崎。軽すぎるぐらいだ、このまま寮まで連れて行ってやろうか?」 それこそむつきの冗談だとは分かっている。 お願いしますと言えば、冗談に決まっているだろと言われるのが落ちだ。 むつきが教師で、宮崎自身が彼の生徒だから。(先生、私はどんな形でも良いから。先生の特別になりたいんです) ライバルである那波に嫉妬したり妬むよりも、他のクラスメイトを疑うよりも、宮崎には確固たる想いがあった。 男嫌いの自分がここまで好きになれる男がこの先出来るなんて考えられない。 かつて異性というモノは自分を傷つけるだけの存在で、むつきのように優しく何度も優しく教え導いてくれる人はいなかった。 だから他の子がどうこうではなく、何よりもまずむつきの特別になりたかった。 決して表にできない関係でも、親友である夕映に祝福されない関係でも構わない。「おーい、宮崎。あの建物がそうか?」「はい、あの茶店のようなものがそうです」 両腕は宮崎を抱くのに忙しく、むつきが代わりに顎でしゃくって尋ねた。 宮崎の言う通り、図書館島ではなく京都にでもありそうな小さな茶店である。 建物の前には休憩用の長椅子があり、自動販売機がいくつか設置されていた。 他にはのぼりのような旗で休憩所とも書いてあり、また別ののぼりには迷ったらここから動くなともあった。 宮崎の最後の指示で罠にかかることなくそこまでたどり着き、むつきは彼女を降ろした。「初心者コースが忙しい四月は、持ち回りで図書館探検部員が売店に立つんです。迷子が出たら、即座にここから人が派遣されます。だから、ここだけは室内の休憩所があるんです」「場所が場所なだけに、そういう管理もされてるんだな」 宮崎がそう説明しながら、店頭の長椅子には座らず奥の建物へと向かう。 すりガラスで中が見えない引き戸を開けると、六畳一間ぐらいの畳部屋があった。「先生、中でご飯にしましょう」「言われてみれば、表はまずいか」 四月以外はガラガラとはいえ、中途半端な時期に図書館探検部に入ろうとする者がいないでもない。 外の方が景色というか、図書館島の不思議な光景は見ごたえがあるのだが。 それもやむなしと宮崎に続いて、休憩所に上がらせて貰おうとした時のことである。 むつきの尻ポケットに入れておいた携帯電話がピピピと着信音を鳴らし始めた。 先に準備していてと宮崎に手を振り、休憩所には入らず外でむつきは電話を取った。「夕映か、もしもし?」「先生、今どの辺りでしょうか? のどかは無事ですか?」「無事ってどういうことだ? これから休憩所で、飯の予定だけど」「尾行しようとしたパルを撃退したは良いですが、初心者コースの罠を勝手に弄ったみたいです。これ絶対あとで先輩方に無茶苦茶怒られるです」 何をしているんだと、夕映のため息の後にむつきもため息をつきたい気分であった。 宮崎も途中で何かおかしいと言っていたが、原因はとても身近なところにあったのだ。 呆れ果てて言葉もないと携帯電話から夕映ではなく、小鈴の声が聞こえて来た。「親愛的、その休憩所からは動かないことをお勧めするネ。もっとも、親愛的の性格上、動けなくなりそうだけどネ」「どういうことだ?」「先を言っては詰まらないヨ。これから三時間後に、お迎えに行くネ。初心者コースも関係者以外立ち入り禁止の看板を下げておくネ。だから、部外者の立ち入りは気にせずにどうぞヨ」「さっぱりわからん。とにかく、動くなってのはわかった。適当に時間潰してるから、三時間後だな」 要点だけはわかったので、そのまま電話は切った。 なにより今は宮崎とのデート中であり、彼女も他の女の子と長電話されて気分は良くないだろう。 必要な連絡事項ではあったが、それはそれという奴である。 むつきは改めてすりガラスの引き戸を開けて、休憩所の中へと上がり込んだ。 何故か宮崎は出入り口の脇に正座しており、バスケットからお弁当を出すこともしていない。「あー……綾瀬から電話で、罠がおかしいのは早乙女の仕業だってさ。超に助けを求めて、三時間後ぐらいに迎えに来るから、ここから動くなって」「三時間、そうですか」 なんか変な緊張感があると、宮崎の前に回り込んで座ったむつきは電話の内容を伝えた。 すると三時間と何度か呟いた宮崎が立ち上がり、引き戸にガチャりと鍵をかける。 飯を食うのにわざわざ鍵をするのかと不思議に思ったむつきの前で、宮崎が振り返った。 その顔は道中の楽しげなものとは一線を画し、緊張にまみれるように強張ってさえいた。 ワンピースのスカートを両手でギュッと掴み、必死になった様子で額に汗を浮かばせてさえいる。 なにかに怯えながらも、懸命に一歩を進む様に彼女らしからぬ強い口調で言った。「好きです」「え?」 前振りもなくストレートに、宮崎の気持ちを伝えられた。 唐突過ぎる告白についていけず目が点となったむつきを見て、宮崎はより強くスカートを握りしめる。 気のせいでなければ、その宮崎のワンピースのスカートがするすると持ち上げられていく。 膝上だった裾が宮崎の細い太ももの上を滑り、その付け根まで。 乙女の花園を包むピンクに黒のフリルと随分と背伸びしたパンツがあらわになるまでだ。 強すぎる羞恥で真っ赤な顔からぽろぽろと涙を流しながら、宮崎は続けた。「私、こんなことでしか。那波さんや他の子みたいにスタイルも良くないし、可愛くもなくて。どんなに考えても、こんなことでしか先生の気を引けなくて」「宮崎……」「先生、来週には那波さんとデートするから。今じゃなきゃ、こうしなきゃきっと見ても貰えない」 宮崎が来週にはと呟いたことで、むつきは明らかにしまったという顔をしていた。 ご褒美だからと軽い気持ちで那波にもチャンスを与えたが、宮崎の前でするべきではなかった。 おかげで楽しいデート中にでさえ恥ずかしがり屋の宮崎にこんなことをさせるぐらいに追いつめてしまったではないか。 むつきの前で勝負下着らしきパンツを見せるその足は、ふるふると羞恥か恐怖に震えていた。「すまん、俺が悪かった。そんな事はしなくて良いから。ご褒美を上げるつもりで、こんな思いつめさせるなんて。那波とまでデートするのは不公平だったよな?」「違うんです、謝って欲しいわけじゃないです。那波さんから先生を取り上げたいわけでも!」 スカートをまくる宮崎の手を降ろさせようとしたが、彼女らしからぬ力に抵抗されてしまう。 謝罪の言葉も拒否され、むしろ彼女がこぼす涙が増えたぐらいだ。「どんな形でも良いから、先生の隣にいたいんです。先生が他の女の子を見てても良い。ただ時々でも、私に振り返って……宮崎って、笑いかけて欲しくてだから」「本当にすまん、俺はやり方を間違えた。これで、良いんだよな」 宮崎を諌めるでなく、めくれ上がったスカートもその奥のパンツも何もかも、ひっくるめて抱きしめる。 拒絶するように引きはがすでなく、懐に深く受け入れた。 震える彼女の髪を梳くように撫でつけ、ぽろぽろとこぼれる涙を唇で吸い上げる。 テンパって自分に魅力がないなんて勘違いしている悪い子を叱る様に、それはもう強く抱きしめた。「先生、私……」「もう、なにも言うな」 抱きしめられた宮崎が何を呟こうとしたか、分からない程にむつきはにぶくない。 ずっと前から彼女の気持ちには気づいていたのだ。 気づいていながら、中途半端な対応をして傷つけ追いつめてしまった。 既に求められたら応える心構えはしていたというのに。 だから最後の一線として、今度はむつきからそれを踏み越える。 抱きしめていた宮崎を間近で見下ろし、ささやく様にしてその耳に呟いた。「宮崎、のどか……脱がすよ」 むつきの言葉にのどかは頬を染め視線をそらしはしたものの、こくんと小さく頷き返してくれた。 少し引っ張れば破れてしまいそうなぐらいに薄いワンピースを脱がしていく。 スカートの部分を軽くたぐり、のどかに万歳をさせてするりとだ。 再び泣きそうなぐらいに赤面したのどかを、逆にむつきは懐から引き離した。 六畳一間の狭い畳の部屋でのどかは半裸でぺたんと女の子座りをしている。 線の細い体を覆うのはピンクの下地に黒のフリルのパンツとブラジャーのみ。 むつきに見つめられるたびに両腕がそれを隠そうとするが、唇を噛んで与えられる羞恥に耐えていた。「可愛いよ、のどか。俺の為に、着てきてくれたんだな」「はい……」 もう一度嬉しいよとささやきながら、むつきは震えているのどかを抱きしめた。 のどかへと触れることを遮っていた衣服はもうほとんどない。 むつきの手が素肌に、背中や腰回りに触れる度にのどかの小さな体がぴくんと反応する。 まるで怯えた小動物が触れられたような反応が可愛らしくてたまらない。 抱きしめながらそっと畳の上に押し倒し、うなじの辺りを味わう様に舐め上げる。 穢れを知らぬ少女の甘い肌の味わい、生来の男嫌いからかより純度が高いように思えた。「ぁぅ」「のどか」 今直ぐにでもこの小動物のように可愛らしい少女をむさぼりたい。 降り積もった新雪をいの一番に穢し、真っ白だったそれを自分だけのものにするような。 この可愛らしさはそのままに女に、自分のだけの女にしたいという欲が溢れだす。 むつきの特別になることを望む彼女は拒まない、喜ぶだろう。(でも、それは卑怯だよな) のどかの全てを奪った後で、実はと明かすのは卑怯だとむつきは思った。 彼女であればそれでもと喜ぶかもしれないし、逆に先に聞かなかった私が悪かったと胸に仕舞うかもしれない。 どちらにせよむつきの傍を選ぶとは思うが、それではだめだ。 彼女の一生を預かるのなら、何一つしこりなく笑顔で隣にいて欲しい。 一昨日の夜から今日の昼にかけて禁欲を解禁しておいてよかった。 仮に順番が逆であれば、そう考える前にのどかは破瓜の痛みに耐えながらむつきに穢されていたことだろう。 キュッと瞳を閉じて、震えながら女にされるのを待っているのどかの髪をむつきは優しく撫でた。「のどか、眼を開けて俺を見てくれ」「んっ?」 怖々と薄目を開けたのどかが、どこかほっとしたようにむつきを見上げて来た。 早乙女のせいで意外と耳年増な彼女は、男の象徴を誇らしげに見せつけられると思っていたことなどむつきは知らないままでいた方が良いだろう。「俺には大きな秘密がある。他人にバレたら、俺の人生がそこで終わるぐらいに大きな秘密が」「先生の秘密?」「ああ、先にそれを教えたい。なにも知らないのどかを抱くのは卑怯な気がするから」 分かってくれるなとのどかの瞳を見つめながら、そっと体を離れさせる。「だめ!」 だがむつきの言葉に反するようにのどかがしがみつくように抱き付いて来た。「のどか、どうした? なんで?」「我儘を言ってごめんなさい。だけど、怖いんです。先生が困って、その場しのぎの嘘で二度と私を傍に置いてくれないんじゃないかって」「俺は嘘をついたりなんかしない。俺の秘密を全部話して、それでも受け入れてくれるのならのどかの全部を貰う。初めても、その後の人生も全部だ」「勇気がなくて、先生を信じ切れなくて、ごめんなさい。嫌わないで。先生を受け入れる自信はあっても、選んでもらえる自信がないんです。だから、今ここで。先生が後戻りできないことを私にしてください」 のどかの細い腕からは信じられないぐらいに強く抱き付かれていた。 その震えは既に羞恥からではなく、自分への自信のなさの現れでもあった。 彼女は例えむつきの言う秘密が、自分のような貧層な体でしか興奮できない人でも受け入れられた。 いやむしろそれは望むところ、早乙女が描くような同人誌並みの変態でも構わない。 怖いのは臆病でいつも親友の影に隠れ、びくびくしている自分がむつきに受け入れられないことだ。 いやそれもまた臆病さの現れか、先に手を出されなければ怖くて離れられなかった。「先生、私を見てください。小さいけど、少しはあるんです」 むつきの首に片腕は絡ませたまま、逆の手を背中に回してパチリとブラのホックを外す。 興奮し過ぎてわけがわからなくなりながらも、一思いに脱いだ。 これまた早乙女の同人誌の知識から男を誘う術を絞り出し、ほらと片手で持ち上げながら見せつける。 手の平の上でふるふるところがし、伸ばした人差し指で乳首を転がす姿さえ見せた。「お願いします、手を出してください。エッチなことをしてください。先生は絶対に私を受け入れてくれるって勇気をください。お願い、します」 ぽろぽろと泣きながらお願いされては、もう断ることすらできなかった。 言葉も不要、ただただむつきにはのどかに対して行動でしか返せない。「のどか」 彼女の指でこねられていた乳首にそっと唇を寄せる。 桜の花びらの上に落ちた雨露をすするように優しくちゅっとすすり上げた。 可愛らしい桜色に染まった雨露を唇に含んだまま舌先でもころころと転がし可愛がった。 何度もキスを繰り返しては、舌先で転がす様に嘗め回し時にちゅうっと強く吸い上げる。 反対側の胸もプリンを手で掴むぐらいのつもりで優しく触れ、舌触りの代わりに手でその柔らかさを味わう。「のどかのおっぱい美味しいよ」「はぁぅ、せ、先生ぇ……」 むつきが感じる甘さ以上に甘い声をのどかがあげる。 アレだけ強く抱きしめていた力は弱まり、体を丸くむつきの顔を包み込む様にしていた。 その代り、もっと吸ってとばかりにむつきに小さく可愛らしい胸を押し付けて来てもいた。 普段の消極的な彼女が嘘の様に、もっと戻れなくなって欲しいとばかりに。 ならばのどかが納得するまでするしかないと、むつきはもう躊躇わなかった。 彼女の胸の甘さを堪能し、浅い谷間に挟まれ谷底にまで舌を這わせては新雪を穢す。「のどかは、勉強はできるけど悪い子だな。教師をこんな風に誘うなんて」「ごめんなさい、ごめんなさい。悪い子です、私」 意地悪く浅い谷底から見上げて言うと、のどかは嬉しいのか恥ずかしいのかまた泣いていた。 本当に悪い子だ、その涙を流す顔がより一層むつきの情欲を刺激する。 好きな子の気を引きたくて虐めたい、のどかはアキラに似てとても苛めたくなるタイプだった。「ああ、悪い子だ。勝手にブラジャーを脱いで、俺は脱がすのを凄く楽しみにしてたのに」 むつきの言葉であっと小さく声をあげ、早乙女の同人誌で似たような場面でもあったのだろうか。 脱いだブラジャーを慌てて着ようと手に取るなんて、本当に可愛い子である。「あーあ、一度脱いじゃったら新鮮味がないから意味がないな……」「あぅ、ごめんなさい。嫌いにならないでください。何でもしますから」 似ていると思ったがやはりアキラとは違う。 アキラにはエッチなことをして肉体的に虐めたいが、のどかは精神的に追い詰めて苛めたくなる。 女の子がそんな簡単に男になんでもしますなんて、言って良いわけがない。 相手が図に乗るだけ、そして当然のようにむつきも図に乗った。 のどかをもっと虐めたい、追いつめてもっと涙を流させたい。 もちろん、最終的には良い子良い子と撫でて幸せ一杯にしてあげるつもりである。 むつきだってハッピーエンドが大好きなのだから。「本当に悪いって思ってるなら、ブラジャーの匂い嗅がせて」「え?」「嫌なんだ、じゃあいいかな」「待ってください、先生。ど、どうぞ。私のブラジャーの匂いを嗅いでください」 むつきがすっと離れようとすると、慌ててのどかが手に持っていたブラジャーを差し出してきた。 もちろん気の利く彼女は、可愛らしいデザインの表ではなく、裏地が見えるようにである。 小さなカップのそれに鼻を押し付け、むつきはのどかが見えるように聞こえるように深呼吸した。 恥ずかしくて爆発しそうなぐらいに真っ赤なのどかの目の前でだ。 脳髄が痺れる甘い女の子の匂い、普段は目にすることすらないその裏地に籠ったのどかの匂いを吸い込む。 それこそ一物がはち切れそうなぐらいに興奮したが、あえて不満そうに呟いた。「ちょっと汗臭いかな。ここまで来るまでに軽く運動したもんな」「いやぁ、やだよぉ。ゆえゆえ、先生が私の汗の匂いを……ふぇ、ぁ」「呼んでも誰も来てくれないぞ」 そろそろ虐めるのも頃合いか、夕映の名を呼んだのどかがヒックと喉を鳴らした。 羞恥も限界突破して、嬉し泣きでも、羞恥泣きでもない本泣きが入り始める。 元来、男から意地悪をされて男嫌いになったのどかだ、その辺りの見極めは必須だった。 だから泣きそうになった彼女の瞳を真っ直ぐ見下ろし、一気にネタばらしだ。「嘘、全部嘘。凄く良い匂い、甘くて女の子らしくて。興奮した。のどかが可愛すぎて、耐えられなかった。それぐらい良い匂い、可愛い。大好きだ!」「ぁっ」「俺の傍にずっといろ。いや、もうのどかは俺だけのもんだ。嫌って言っても、彼女にするからな!」 半ば天然でやっているが、それでのどかの心には刻まれる。 乙姫むつきという存在が、信じてたのにとひび割れた心に温かい風となって。 傷ついた女の子の心にするりと入り込む、以前誰かに言われたむつきの詐欺師のような技だ。 もっとも今回は自作自演のようなところはあるのだが。 そうとは知らずにのどかは安堵する、なんの意味もなく意地悪されたのではないと。 そもそも今ののどかは、男の子が女の子に意地悪をする理由を理屈を知っていた。 かと言ってそれを許容できるかは別問題だが、相手がむつきであればそれこそ別問題。「先生は、私が……私のことが大好きだから」「ごめん、苛めたくなっちゃうんだ。嫌わないでくれ、この感情はどうしようもないんだ」「ああ、先生。苛めてください、先生だけ。先生にだけは一生苛められてても良いです。苛められたい。先生、もっと私の汗臭いブラジャーを、私の体の匂いを嗅いでください」 のどかが自分からブラジャーをむつきに押し付ける。 アレだけ恥ずかしく消え去りたいと思った行為を、自分から望んでだ。 だがむつきもそれだけじゃ足りないと、その腕を取ってかわし、のどかの体に抱き付いた。 直接のどかの体に縋り付き、彼女の腕を上に持ち上げあらわとなった脇を舐め上げ匂いを嗅ぐ。「のどか、ちょっとしょっぱい。凄くのどかの汗の匂いがする」「はうぅ、恥ずかしい消えちゃいたい。でも、先生なら、先生だけなら」「もっとのどかの味を知りたい、もっとのどかの恥ずかしい味を」「先生、私の一番恥ずかしい……味、一番恥ずかしい。こ、ここです」 脇を舐め上げ味わわれながら、のどかがむつきの右手を両手で掴んだ。 むつきに味わって貰えるならと、その手を自分のもっとも恥ずかしい場所に案内していく。 今現在すすられている脇でも、既に唾液まみれの胸でも、キュッとすぼまったおへそでもない。 さらに下、ピンクと黒のフリルで覆われた一番恥ずかしい場所。 そこへ自らむつきの手を案内して、そっと触れさせた。「ここって何処? どうして恥ずかしいの?」「い、言えません」 いつの間にか濡れていたそこを、パンツごしにむつきが指先で割れ目に沿ってなぞる。 キュッと体を小さく震わせたのどかだが、続けられた問いかけにはキュッと口をつぐんだ。「のどかはどうしてここが一番恥ずかしいって思ったんだ? ここから、何が出るんだ?」 執拗に尿道が近い場所をつんつん刺激され、むつきが意地の悪い声で尋ねる。 また虐められてしまう、けれど今までの苛めとは違うと矛盾した幸福感にのどかは困惑していた。 好きな人に虐められる事がこんなに嬉しいこととは知らなかった。 もっと虐めて欲しい、恥ずかしいことを強要されたい。 何故ならそれだけ見て貰えるからだ、この瞬間だけは魅力のない自分でもむつきの視線を独り占めできるからだ。「おしっこです。女の子がおしっこをする場所だから」「んー、惜しい。場所じゃなくて、穴。女の子がおしっこをする穴って言ってごらん」「穴です。女の子がおしっこをする穴です。うぅ、見ないで先生ぇ」「ほら、顔は隠さないの」 卑猥というには甘い言葉だが、恥ずかしがり屋ののどかではそれでも死ぬほどに恥ずかしい。 アレだけむつきに見つめられたかったのに、両手で顔を隠してその視線から隠れてしまう程に。 だがむつきの手によってそのガードはいともたやすく外されてしまう。 それだけにとどまらず、すっと何かをすくったむつきの指がのどかの目の前に置かれた。「じゃあ、これはおしっこなのか?」 てらてらと舐めた唾液で濡れたような指、粘り気のある液体に濡れた指だった。 本当に恥ずかしさで死んじゃうと目をそらしても、その手は追って来る。「のどかは勉強が出来る子だ。保険体育で習ったよな?」「……です」「ん?」「愛液です。先生のおちんちんをいれる為に、私のおまんこから出た愛液です」 本当にこの子は優等生であった。 知識の出所はさておき、上目づかいでむつきが一番言って欲しい形で言ってくれた。 もう少し羞恥攻撃で楽しみたかった手前、ちょっと拍子抜けした部分もあったが。 小鈴が手外してくれたので間違いはないだろうが、それでもここはひかげ荘ではない。 いつだれが来るともわからない為、そろそろ潮時だろう。「脱がすよ、のどか。一番恥ずかしい場所を味わわせて貰う。その代り、良くしてあげるから」「ど、どうぞ。よろしくお願いします」「ご丁寧にどうも」 くっと腰を持ち上げ、のどかがパンツを脱がせやすい恰好となってくれた。 内気な彼女とその行動や知識がアンバランスで少し可笑しかった。 間違いなく早乙女のせいだろうが、それものどかの魅力の一つか。 彼女の精一杯の勝負パンツに指をかけ、脱がし降ろしていく。 丸まりながらそれを脱がしていくと愛液で濡れて張り付いていた個所がつっと糸を引いた。 のどかが言う通り、むつきを受け入れる準備は万端とばかりに。 太ももを通り過ぎた頃には両足を掲げてあげて、片方ずつパンツを脱がしていった。 脱がして丸まったそれは宮崎の顔の横にそっと置き、持ち上げた足も丁寧に下す。 ついに全裸にされたのどかは、自然と手で自分の卑猥な部分を隠そうとしていた。 下腹部はもちろん、今さらだが小振りな胸でさえだ。「大丈夫、綺麗だから。凄く、綺麗だ」「先生……見せたら、もっと苛めてくれますか?」「ああ、もっとだ。これから一生、のどかを虐めて良いのは俺だけだ。他の奴が虐めようとしたら、追い返して守ってやる。俺だけが虐めて良いんだ」「はい、先生だけ。私を苛めて良いのは先生だけです。だから、見てください」 のどかの問いかけを正面から答えると、それは望んだ回答だったようだ。 男の前で全てをさらす、普段は衣に奥深く隠された乙女の全てを。 恥ずかしさにギュッと瞳を閉じながらも、のどかは最後の砦だった腕を体の上から退ける。 仰向けになったせいでふるんとやや重力に引かれて弾む胸も。 薄い茂みが愛液でしなり肌に張り付いた恥丘から、今もとろとろ愛液が溢れる割れ目もだ。 誰にも見せたことのない自分の全てを、のどかは今むつきの眼前に全てあらわにした。「のどか」「んぅ」 むつきはまずのどかのおへそに触れ、そこから指を滑らせていく。 書道家が真っ白な半紙に筆を滑らせるように、お腹を子宮の上を通って薄い茂みの中へ突入する。 愛液で肌に張り付いたそれは障害にはならず、むつきの指は丸みに従いスピードを増していった。 愛液の滑りも入り、川に隠れた陰核をも通り過ぎ、ぴったりと閉じた割れ目の中へうずもれる。「はぅ、ぁっ」 厚めの大陰唇をかき分け、まだ誰も触れたことのない膣穴の入り口に辿り着く。 べったりと愛液にまみれた指は、そのまま彼女の中へ入り込む。 未通の明石である処女膜をなぞりながら、さらに奥へ。「あっ、あはぅ。んぅぁ!」 指の腹で膣壁を擦ればのどかの腰が浮き上がり、勢いで二つの丘がぷるんと震える。 むつきの腕が人形師の手の様に、膣という糸を使ってのどかを巧みに操った。 咄嗟に閉じられた両膝の間に身体を差し込み、覆いかぶさる。 布団の上ではなく、畳の上だったのでのどかが掴まる場所がなかったからだ。 すぐさま縋るモノを見つけたようにのどかが抱き付き、背中のシャツを力一杯握って来た。「ぁっ、うぁ。先、あぁ!」「最後まではまだしないが、しっかり刻んでやる。俺が戻れない証を、のどかが安心できるように」「だめ、激しっ。壊れ、こんな苛められ方、知らなっ。はぁっ!」「当たり前だ、この苛め方をして良いのは俺だけなんだから」 むつきの手に操られ、のどかが淫らに踊る。 誰も知らない彼女の嬌声で、男に股を開き、腰をくねらせ合いの手ではなく愛撫で踊っていた。 一番激しいステップは愛液を弦楽器の様に弾かれた時か。 挿入された指からそのままむつきの手の一部の様に、良い様にのどかは踊らされる。 既に閉じようとしていた足はむつきの腰を挟んで捕まえ、自ら望んで踊る様に。「さあ、優秀なのどかはわかるな? こういう時、どう答えれば良いか」「き、気持ち良いですぅ。はぁぅ、おまんこ。おまんこ気持ち良いですぅ!」「良い子だ、もっと気持ち良くしてあげるからな」 優等生が絶対に口にしない言葉を口にして喘ぐのどかの耳に、むつきは囁いた。 むつきの指はのどかの未通の穴を何度も抉り、愛液を畳の上に散らしながらさらに加速する。 本物ではない疑似的な挿入ではあっても、未通の乙女ののどかにとってはおよそ初体験。 仮にオナニーの経験だけはあっても、こんなごつごつとした太い指を根元までなんて初めてだ。「こ、壊れる。苛め、壊されちゃいます。先生、先生!」「これから一生だ、もっと凄く虐めてやるからな。俺ののどか、俺だけののどか!」「ぁっ、だめ。キュンキュンしちゃ、はぅぅ。欲しがっちゃ駄目なのにぃ!」 普段の大人しく引っ込み思案なのどかは、ここにはもういない。 目の前の男に一生をささげたいと懸命に腰を振ろうとする健気な女がいるだけだ。 挿入されたのが指であろうと、自分を見て欲しいと淫らに踊る雌がいるだけ。「可愛いぞ、のどか。俺を受け入れてくれたら、もっと凄いことをしてやるからな」「無理、これ以上なんて。だめ、来ちゃだめ。来ないで、先生の前で。イク、イッちゃいます」「構うな、そのまま。見ててやるから、後で恥ずかしくて死にたくなるぐらい盛大にだ」「イク、イク……腰が、浮いちゃって。もっと、おまんこずぼずぼ。ひぅっ、イ、イクぅっ!」 むつきの首に腕をからませながら、腰を浮かせ体を弓なりに。 まるで電気でも流し込まれたかのように激しくのどかが暴れ、歓喜に体を震わせた。 ビクビクとその震えは膣内のむつきの指を通って伝わるぐらいであった。 キュンキュと指に吸い付き、これが一物であれば中出しされる精液を絞るがごとく。 珠の汗を飛び散らせ、六畳一間の休憩所に雌の匂いを充満させながらのどかはイッた。「はぁ、はっ……ふぁ」「可愛かったよ、のどか」「ふぇんはぁ……」 呂律が回らないぐらいに意識が飛んだのどかをそっと畳の上に寝かせる。 全身が桜色になるぐらいに火照り、その姿は未通ながら少女ではなく既に女の色香さえ感じ取れた。 襲い掛かりたい、今直ぐに全てを貰い受けたいがもう少しの我慢だ。 せめてとのどかの愛液でふやけそうな指から、彼女の味を舐りながら必死に我慢する。「のどか、少し寝てて良いぞ」 脱がしたパンツやブラジャーを手に寄りつつ、むつきはそう彼女に伝えた。 室内の備品にあったティッシュで彼女の後始末をしつつ、パンツを履かせながら言った。「次に起きたら、俺の秘密の場所だ。皆を紹介する、全てを話す」「はひ……先生、大好きです」「ああ、俺も大好きだ。皆と同じぐらい」 ファーストキスで幸せに溺れたのどかは、むつきの皆という言葉にまで気が回らなかった。 ただただ肉体的快楽の後の倦怠感と、身なりを整えさせてくれるむつきの手の暖かさに包まれながら。 彼女の意識は幸せのまどろみの中に沈み込んでいく。 次に目覚めた時、むつきの言う秘密の中にどんな秘密があろうと傍にいたいと思いながら。 どんな秘密だろうとこの幸せの為なら、全然平気だと勇気よ自信を胸に秘めて。 -後書き-ども、えなりんです。……かなり、強引な気がします。のどかの思い切りは、もうワンクッションあっても良かったかな?でもぐだぐだしてると、話が進まない。先にひかげ荘に入ってる明石や佐々木、長瀬のこともあるし。あと、正妻さんもそろそろ何か書いてあげないと。そんなこんなです。最近、出番終わった子は番外編でえろえろ書いてれば良い気もしてます。次は来週の土曜です。