第百三十八話 頑張ってこの子を育てます「ごめん、ちづ姉……電話が遠くて良く聞こえなかったみたい。なんだって?」 聞こえていて、あえて効き直してきている。 携帯電話の向こう側から帰って来た村上の声色に、千鶴は背中に嫌な汗が噴き出るのを感じた。 院長先生の前でむつきとイチャイチャし、孤児院を辞したのは既に三十分以上前のことだ。 今、千鶴はとある場所から、心配かけた妹分へと電話を掛けている。 無事を伝え一時は安堵した妹分の声が、話を続けるうちに次第に低く固いものになっていったのであった。「だからね。今、乙姫先生の家にいるの」「うん、ひかげ荘ってところだね。それで」「夏美ちゃん、声が怖いわよ」「それで?」 下手に和ませようと甘えた声を出してみたが、見事に逆効果であった。「えっと、帰るのが少し遅くなります。お夕飯前には帰るつもりだけれど」「ちづ姉、私そろそろ怒って良い? 心配し過ぎてパニック起こした私に言う台詞がそれ?」「心配かけたのは謝るわ。ごめんなさい、夏美ちゃん。でもやっと想いを遂げられて、このまま先生とお別れしたくないの。少しだけ、ほんの少しだけだから」「昨日のピクニックから帰る途中なら、素直に応援したけど……ちづ姉、先生に変って。文句はそっちに言うから」「せ、先生は今、別の電話中で出られないわ」 言い訳がましく聞こえたのか、村上から沈黙が返りお願い信じてと千鶴は訴えた。 本当にむつきは別の電話の対応中なのである。 このままでは妹分からの信頼がガラガラと崩れてしまう。 千鶴は祈る様な面持ちで携帯電話をむつきの方へと向けた。「ええ、無事に保護しました。色々と実家と進路の兼ね合いで悩んでいたみたいで」「那波君の実家……ああ、そうか。その様な素振りも見せず、ため込んでしまったのか」「表面上は少し落ち着きましたが、もう少し僕の方でも話を聞いてみます」「そうだな、こちらの事は任せておきたまえ。君はしっかりと那波君の話を聞いてあげなさい」「はい、ありがとうございます。那波を寮に送り届けたら、また連絡します」 上司とも言える新田にそう報告し、むつきは携帯電話を切った。 今回の千鶴の失踪に当たり、むつきから報告を上げた相手が新田だったのである。 無闇に情報を拡散して混乱を引き起こすわけにもいかず、かと言って全く報告しないわけにもいかない。 新田から何処まで情報が上がったかはむつきは知らない。 ただ孤児院にて千鶴が見つからなかったら、手すきの教師を全員かき集める予定ではあった。 携帯電話を切ってから、むつきは学校の方角へと向いてぺこりと頭を下げた。「あの先生、夏美ちゃんが」「説得失敗か。貸してみろ。おーい、村上」「聞こえてた。嘘つき……はあ、微妙な間で毒気もぬけちゃった」 聞こえていたとは、むつきと新田とのやり取りの事であろう。 色々と気が抜けたような疲れたような声が携帯電話の向こうから届いて来ていた。「ちづ姉を見つけてくれたのは先生だし、私が慌てて孤児院の事を思い出せなかったし。ここは私が折れとくね。ちづ姉には学食で特製のパフェ奢ってくれることで手を打つって伝えておいて」「お前、なんかこの数日でちょっと大人になったな」「とってつけた様に、誰のせいだと思ってるの」 盛大なため息の後にごゆっくりと呟いた村上が向こうから携帯電話を切った。 ブチリとやや乱暴気味に切られたが、その気持ちは分からなくもない。 寮の部屋にいるはずの那波が、帰ってみればもぬけの殻。 半泣きでむつきに連絡を取り、無事見つかったのは良いがその千鶴は男の部屋になだれ込んでいた。 しかも流れ的に二人が何の目的でかは、まだまだ乙女を失う予定のない村上にだってわかる。 妙な事を考えていなければと思った相手が、全然別の意味で妙な事を考えていたともなれば怒りたくもなるだろう。「千鶴、村上が学食のパフェで手を打つってさ」「ああ、私の可愛い夏美ちゃんが汚れてしまったわ」「まあ、汚したのは俺とお前だけどな」「ですね」 二人がいるのはひかげ荘の管理人室であった。 ちゃぶ台の前でむつきが胡坐をかき、その斜め後ろで千鶴が女の子座りをしている。 電話を終えた後の微妙な間の後で、さてと呟いたむつきがおもむろに両手を叩く。 その音にビクリと千鶴が肩を震わせた。「ん、悪い驚かせたか?」 むつきの言葉に無言のまま首を激しく横に振ったのには理由がる。 千鶴は視界の片隅に見えるとあるモノを意識してチラチラ見ていたからだ。 それは管理人室の片隅にて畳み込まれていたお布団であった。 三つに折り曲げられたその裾からは、皺になっているシーツがはみ出している。 普段なら一晩で汚れるので取り換えるが、昨晩は夫婦の営みがなかったのでそのままなのだろう。 頬を染め視線を彷徨わせる千鶴だが、隠したつもりの事実はあっさりとバレていた。「慌てんなって。時間はまだたっぷりあるんだから」「だから何も見てません。見てないんです」 あまりにも千鶴が必死に否定するので、悪戯心がむくむくと大きくなった。 視線を逸らしている千鶴を半眼で見つめながら、おもむろにむつきは呟いた。「セッ」「ンッ?!」「なかが痒いな」 むつきへと振り向き直した千鶴が、ぽりぽりと背中を掻く様を見て明らかにホッとした様子だった。「あー、セック」「ヒャゥッ」「なワインが飲んでみたいな」 とりあえず、セッから始まる単語を呟き、継続してみる。 以前アタナシアがワインの口当たりについてうん蓄垂れていた時に、聞いた言葉だが意味は忘れた。 今はただただ千鶴がセックスを意識して戸惑う可愛らしい姿が堪能できれば良いのだ。 しかし流石に二回目ともなれば、からかっていたことがバレてしまった様だ。 あたふたしていた千鶴がからかわれていた事に気づき、ニッコリと危険色の様な影を顔に浮かべた。「先生、乙女の純情を弄んで楽しいですか?」「正直に言って楽しい。男の子って歳でもないが、どういう生き物か良く知ってるだろ?」「それは……その、はい。そんなに楽しいのなら。もう少し、もう少しだけなら、どうぞ」「どうぞってお前、可愛い!」 怒っている振りをしてそっぽを向きながらの一言に、むつきは我慢できなかった。 畳の上で尻を回転させて千鶴の方へと向き直り、飛びつく様に抱きしめた。 本当にこの子は外見に内面が追いついていない、可愛い女の子なのだと。「きゃっ」 突然むつきが振り向いた事に驚いた事と、その勢いに気圧されて千鶴が後ろに倒れ込んだ。 もちろん、抱きしめたむつきの腕にガードされていて頭を打ったりすることもなかった。 最後にそっと畳の上に寝かせられ、壁どんならぬ床どんの形でむつきに見おろされる。「千鶴、からかうだけじゃ足りない。俺のモノにしたい」「は、はひ」 またしても大事なところで千鶴が噛んだが、むつきの方が勢いでそれを無視した。「一杯エッチなことするぞ。これよりもっと恥ずかしいことをだ」 こういうことだぞと言い聞かせるように、むつきは人差し指で千鶴の胸を突いた。 秋も深まり制服のシャツの上からベストを着ても、着痩せのきの字もない胸をだ。 今にもボタンがはち切れそうなのにむつきの指で調和を乱され、シャツの生地が悲鳴を上げる。 ただ小さくも声をあげたのは生地のみではなかった。「んぅ」 真っ直ぐに見下ろしてくるむつきの視線から逃れる様に、少し視線を逸らした千鶴である。 自身の艶っぽい声に自分で驚いたのか、唇を噛み締めるようにしていた。 その目が少し動いてチラリとむつきを見て、再びサッとそらされる。 むつきの熱い視線に熱せられたかの様に、千鶴の顔が少しずつ赤くなっていく。 数十秒か、数分か。 根気良く待つむつきの前で、何か言おうと開いた口はそのまま閉じられ一度だけ千鶴が頷いた。「千鶴、キスするぞ」 もはや声を発する余裕すらないらしく、千鶴は小さく頷くにとどめていた。 緊張から体が強張ったのか、あるいは手を握りしめようとでもしたのか。 千鶴がガリガリと畳の上に爪を立てる音が聞こえてきたが、むつきはその程度では止めるつもりもない。「千鶴」 その名を呼び、火照り薄ら汗さえ浮かべる千鶴の頬に手を触れ、退路を断つように唇を塞いだ。 キスをしながら強く瞳を閉じている千鶴を見つめたむつきは、そのままそっと小さく距離を開けた。(何時もなら、そのままディープにするんだけど……) 今の千鶴にそこまですると、窒息するまで息を止めかねない。 終わったとでも聞きたそうにチラリと片目を開けた千鶴に微笑みかけ、チュッと頬にキスをする。 ファーストキスの後に、お休みのキスの様なものをされキョトンとしていた。 もっと過激なキスになるとでも想像していたのか、肩の力が少し抜けたのをむつきは見逃さなかった。「こっちのほっぺも、おでこも」 頬から頬へ、前髪をあげさせおでこにも。 耳たぶやうなじにまで、慣れさせるように優しいが微エロなキスを繰り返す。「先生、待っ……きゃぅ、耳に音の残響が。顔中に先生の感触が」「一杯エッチなことするって言ったろ。はい、駄目。捕まえた」「んぅー」 キスの嵐に耐え切れず千鶴が意味不明な訴えを起こしたが、もちろん聞く耳を持たない。 先んじて暴れ出しそうだった両手を恋人繋ぎで封じ、万歳をさせるように畳の上に押さえつける。 それから安心して、今一度千鶴の唇を奪い直し、キスを降らし始めた。 頬やおでこはもちろん、首筋や耳元ですら序の口。 まぶたの上や喉の上など、普段なかなかキスしない場所にさえ率先してキスを施していった。 最初は抵抗するように暴れた千鶴であったがキスが十回を超えた辺りから大人しくなっていた。「天井、染み数え」「それも駄目」「先生どいてください。天井が、見えひゃ」「天井なんかより、俺を見てろ」 誰が吹き込んだのか古臭い台詞を呟き天井を見上げた千鶴の視線を遮った。 ついに本当に抵抗を諦めた様に力が抜けた千鶴の唇を何度目だろうか、塞いだ。「ん、先生……ッ?!」 改めて千鶴の唇を割って舌を彼女の中へと侵入させる。 一瞬体が強張り直そうとしたが、散々抵抗の無意味さを教えたおかげか以外に大人しかった。(しかし、なんだろ) 千鶴の熟れた唇や、艶めかしい舌や唾液を味わいながらむつきは思った。 お互いに納得済みでこうしているはずなのに、妙に無理やり手籠めにしている感じがある。 行為の最中に上の空なのは失礼な話だが、奥に引っ込んだ千鶴の舌をからめとりながら気づいた。 こうして押さえつける形でしている事よりも、千鶴が制服姿なせいだろう。 むつきはあれだけ生徒を手籠めにしながら、意外と制服でプレイすることが少なかった。 基本的には土日が多く、平日に学校でセックスに至る事は本当に稀なのだ。(俺も変な所で慣れてたのか。千鶴と、生徒としてるって実感が凄いあるのかも) 疑問が氷解したのでこれで思い残すことなく千鶴を味わえる。 その唇を、口内、歯を舌や唾液と隅々にまでだ。 むつきが満足して唇を話した時には、千鶴は脱力してくてりと横たわっている。 そんな千鶴を改めてむつきは見下ろした。「せ、先生……」 千鶴は心が体の成長に追いつこうとしているように、男に媚びた声と瞳を向けて来ていた。 静かにあれる呼吸はその大きな胸を重そうに上下させている。 暴れた時についにボタンが耐え切れなかったのか一つ千切れ飛んで無くなっていた。 その隙間から薄紅色に黒のレースがついたブラジャーが垣間見えている。 またシャツの裾が一部飛び出しているスカートはめくれ、太ももがぎりぎりの部分まで露出していた。(あかん、凄くエロい。明日、学校で会ったら思い出す。廊下ですれ違っただけでも、授業中でさえ) ここ最近、千鶴が年相応の恋愛下手な所ばかり見ていたから忘れていたが。 この子は元々は、クラスでも随一の巨乳であり、年齢に見合わぬ色香を持つ子であった。 むつきのせいで最近それが封印され、そして今またむつきのせいで開放されていた。(落ち着け、俺が慌ててどうする。今まで一体何人の……いやいや、思い出すな。少なくとも今は) 思わず千鶴を前にこれまでの女性遍歴を思い出しかけ、軽く被りを振った。 そして深呼吸して自分を落ち着けさせ、ボタンが弾けとんだシャツの中に両手の指を滑り込ませた。 一つ一つボタンを外す暇さえ惜しいと、軽く力を入れてブチブチと強引にボタンを外していく。 現れたのは狭苦しいシャツから解放された千鶴の胸であった。 薄紅色と黒というコントラストで可愛さとエロさを重ね合わせたブラジャーに保護されている。 しかしむつきの目からは、二つの胸が苦しい助けてともがいているようにも見えた。 解放せねば、そんな使命感に駆られて千鶴の体を少し持ち上げて背中に手を伸ばす。「先生、もう少し」「大丈夫分かってる。ほら、な?」「はい」 綺麗にブラジャーのホックを外して、手探りしていたむつきを案じた千鶴に笑いかけた。 それで安心したというのも変だが、千鶴は全てをむつきに預ける事に決めたようだ。 ホックを外され緩んだブラジャーに手を掛けても、羞恥に頬を染めても強張る様な事はなかった。 そんな千鶴を前にしてむつきはブラジャーを上にずらしていく。 すると僅かな引っ掛かりを感じて、その手が止まる。「ぁっ……」 千鶴のぷっくりと膨れた乳首が、最後の抵抗とでも言う様にブラジャーの生地に引っかかっていた。 気付いた千鶴は恥ずかしいどころではない。 覚悟を何度決めても体が抵抗したか、はたまた単純に自分の性的興奮を見せつけられたような。「本当、お前は可愛いな」「やっ、だめ」 愛い奴めと、勃起した乳首を指先で撫でる様に弄ぶ。「先生に、触ら……ち、乳く、クリクリしないでください」「しょうがないな」 触れられるだけでも恥ずかしいのにと言いたげな弱々しい千鶴の言葉を受け入れる。 ただし素直に受け入れるかどうかは別だ。 そんなに脱がせられたくないのならと、ブラジャーの上から構わず自己主張する乳首に吸い付いた。 乳首に吸い付くだけのつもりが、そのまま勢い余って千鶴の胸の中に突っ伏してしまった。 あまりの巨乳に距離感を誤ったか、千鶴の柔らかさと体臭に包み込まれる。 別に良いかと、そのままミルクを吸う様にはむはむと甘噛みを続けた。「痛っ、くは……ぁっ、吸われて。お乳、先生に吸われて」「普通は大きくする為に揉むんだけど、少し萎むぐらいまで俺がミルク飲んでやるからな」「出ません。お乳張ってますけど、まだ出ないんです」「心配するな。直ぐにでるようにしてやるからな」 嫌々と被りを振る千鶴に、暗に妊娠をほのめかす。 もちろん、むつきとて今直ぐにというわけではなく数年先のことだが、効果はてきめんだった。「先生、どうぞ」 乳首に引っかかっていたブラジャーの布地を指先で引っ張り、勃起した乳首までさらす。 改めてむつきの目の前に現れたのは、自重で楕円に潰れた白い二つの乳房。 薄紅色に色濃く染まった丸い乳輪とその中央にて自己主張する湿り気を帯びた乳首。 千鶴の浅く速い呼吸に合せるように、ふるふると震えていた。 千鶴の顔見知りや、すれ違い様にその巨乳を見た何人の男たちがこれをみたいと思ったことか。 むつきだけに見る事はおろか触れる事さえ許された慈母の象徴である。「いただきます」「め、召し上んっ」 意外な台詞は単純に切羽詰って口走ってしまっただけだろう。 乳首を口に含まれキュッと吸い付かれて、中途半端に言葉が途切れてしまっていた。 しかし聞いた、ちゃんと聞いたからとむつきは遠慮なく千鶴の今はまだ出ないお乳を吸った。 甘噛みや舌で転がしたりせず純粋に、赤子がお乳を飲む様に一心不乱にだ。「先生……」 そこに不純さを感じず、いつの間にか自由になっていた両腕を千鶴がむつきの後頭部に回した。 短く刈られた頭髪をくすぐったいと感じながら頭を撫でる。「美味しいですか?」「ん」「左だけじゃなくて、右のお乳もありますよ」「ん」 促されるようにむつきは左の乳房を名残惜し気に口から離し、右の乳房へと口先を向けた。 まだ濡れていない乳首を舌先で蒸らす様に舐め、硬くしこったそれを唇で挟み込んだ。 お乳お乳と赤子が強請る様にである。「ごめんなさい、まだ出ないんです。出る様になるまで、出る様に……」 むつきと同じぐらい夢中になって呟いた自分の言葉で千鶴はほんの少しだけ我に返った。 今まさにそうなる為の行為をしているはずだが、さらにその先の実感とでもいうのか。 妊娠という事実が目の前に現れ、そして自分でしても良いかもと思ってしまったのだ。 いずれ生まれてくる子供の為ではなく、それが出る様になったらこうしてむつきに飲んでもらいたいと。(私、なんていやらしい。赤ちゃんの為じゃなく、先生の為に妊娠したいって、お乳が出る様になりたいって。いやらしい、いやらしい、いやらしい!) 以前は、周囲から性的な視線にさらされ、むしろそういった考えは嫌っていたはずだ。 何もかも愛という崇高な前提があり、快楽を前提とした営みなんてもってのほかと。(でも、今は……) 好きな人に体を差し出すことで、如何に自分が浅はかだったのか、子供だったのか思い知らされた気分だった。 今のむつきは千鶴だけに心が向いている。 友人や親友に手を出した世間的にはろくでなしの部類に入る人なのに、夢中になってくれるのが嬉しい。 もっと自分へと振り向いて欲しい、男から見ていやらしい体に生まれた事を今は感謝できるぐらいに。「先生、もっと。好きにしてください、何をされても。先生になら」「良いのか、本当に凄いことするぞ。後で俺の顔をみれなくなっても知らないぞ」「構いません。に、にん……」 言え、言ってしまえと千鶴はそれを踏み越えた。「妊娠しても構いません。先生、お乳が出る様にしてください。出るようになったら、赤ちゃんより先に味見してください。私のお乳を、飲んでください」 女の子にそこまで言われて耐えきれる男などいない。 ただでさえ千鶴の歳不相応な色香にまいりかけていたむつきの事である。 初めてだからなどという遠慮が薄れていく。 手始めに半端に脱がされていた制服のベストとシャツを引きちぎる様にボタンを外した。 そのうちの一個がまた千切れ飛んだが、それぐらいに興奮していたとも言える。「千鶴、優しくするつもりだったけど」「良いんです。先生がそうしたいのなら、多少乱暴でも……」「そんな簡単に言うなよ。男は狼なんだぞ」「狼さん、私は好きです。乙姫むつきという名前の狼さんだけですけれど」 本当にその言葉を期にむつきも振り切れた。「千鶴ぅ!」「きゃっ、ぁぅ!」 咄嗟に彼女を抱き上げ、部屋の隅にて畳まれていた布団にまで連れて行く。 広げる事はせずその場に座らせ、背中を布団に預けさせたのが最後の優しさだった。 千鶴の胸の谷間に顔を埋めて自ら窒息死しそうになりながら、谷底にキスマークをつける。 痛みを訴える様に千鶴の体が震えたが、もう止れないぐらいに興奮してしまっていた。「先生、大丈夫ですから」 さらに千鶴から抱え込む様に抱きしめられ、免罪符まで与えられてしまう始末である。 ブレーキは元から踏む気がなく、例え踏んでも千鶴がブレーキオイルを抜いた二段構えだ。「千鶴」「先生」 千鶴の谷間から顔を引っこ抜き、畳まれた布団に押し倒す様に伸し掛かる。 そして隈なく千鶴を味わおうと唇を塞ぎ、左手で胸を揉み、空いた右手がその体を滑り落ちていく。 乳房から唾液に塗れた乳首へ、お山を下りては肉付きの良いくびれを渡ってスカートへ辿り着く。 互いに舌を絡ませ舐り合いながら視線が通い合った。 瞳で合図を送られ、むつきはむっちりとした太ももを撫でながらスカートの奥へと手を伸ばした。「んっ」 手探りする指先で千鶴の肌とはまた別種の滑らかさを持つパンツの布地に行き当たる。 指の動きが布越しに分かるのだろう、千鶴の瞳が涙を浮かべる様に潤んで揺れていた。 肌と一体化したような滑らかさに交じる雑音の様なそれは、陰毛だろう。 指の腹を往復させ、その存在を確かめ、また確かめていることを千鶴に知らせる。「先生、もっと奥です」「知ってる」「いじわる」 じょりじょりと陰毛同士を絡ませるように指で味わっていると、恥ずかし過ぎたのだろう。 千鶴がむつきの手を取り、ここですと自ら案内した。 先程まで陰毛の感触を味わっていた指先に伝わった感触は二つ。 滑らかな肌と布地の間に突如として現れた谷間と周囲に広がる湿り気である。「何も、何も言わないでください」 むつきの腕を案内して直ぐに、千鶴はその両手で顔を覆ってしまった。 千鶴がそう願うのならば、むつきは何も言うつもりはない。 無粋に言葉を重ねて言う必要すらなかった。 パンツの上に湿り気を広げる様に谷間に沿って二、三度指を這わせてから指を鍵爪状にする。 肌にぴったりと寄り添うその生地との間に滑り込ませ、ブラジャーをたくし上げた時の様に寄せた。「ぁっ、ぁぁっ……ふぁっ」 スカートの奥で外気に晒された谷間の中に、むつきの指先が埋もれていく。 指ぐらいならば余裕で飲みこまれるぐらいには濡れていたのだ。 唇の様に分厚い大陰唇が舐る様に、その奥の膣口がさらに奥へとむつきの指を誘おうとする。 しかしむつきは膣口には第一関節分だけ含ませ、馴染ませるように挿入を繰り返した。 未通の千鶴の穴をほぐす意味もあったが、主目的はまた別にあった。 千鶴のお願い通りにむつきが口を閉ざし、静まり返った管理人室内にその音が響き渡る。 にちゃにちゃ、粘り気のある水音が千鶴の下半身、スカートの奥から絶えず鳴っていた。「音を、先生……音を、ぁっ。そんな知らない、こんなの」「知らないって、オナニーで指ぐらい」「したことないんです。いやらし事を避けてたから、したことないんです!」「えっ、あっ」「ひゃぅっ!」 千鶴の告白にまさかと驚き、思わず第二関節までずっぷりいってしまった。「ぁっ……ぁぅ、いっ」 だがそれだけで千鶴は軽く果ててしまったらしい。 言葉にならないうわ言を洩らし、恐らくは初めての快感に頬を染めて酔い痴れている。 元々潤っていた膣の奥からも新たな愛液がとろりと染みだし、むつきの手までもを濡らしてきていた。「先生ぇ……」「千鶴」 愛液塗れではない左手で半ば放心中の千鶴を撫で、右手でスーツのズボンのベルトを外し始める。 パンツごとズボンを降ろし、力が殆ど入っていない彼女の両足を抱え込んだ。 背中は布団に抱き留められ、お尻も浮いているので畳で擦れたりはしないだろう。 早くしろと急かす一物の先で寄れたパンツをずらし直し、割れ目にそっと添えた。「入れるぞ」「はい」 流石に怖かったのか、千鶴がむつきの腕を掴んで来ていた。 背中まで腕を伸ばす余裕がなかったのだろうが、むつきはそのまま全体重を掛ける様に伸し掛かった。 布団に包まれ伸し掛かられた千鶴の中に、むつきの一物が強引にかき分けるように入り込んだ。 ブチリと引きちぎれる感触のあとも乙女の割にはスムーズであった。 それだけ千鶴の体は十分に孕める程に成長していたのだろう。 どうぞどうぞと向こうから歓迎するように、むつきの一物を奥まで飲みこみ切ってしまう。「い、痛い」「大丈夫か?」「少し、ほんの少し痛かっただけですから。でも、もう少しだけこのままで」 二人の視界では確認する事もままならないが、破瓜の証が布団に落ちているのだろう。 彼女が感じる痛みが、体の震えを通してむつきにも十分に伝わって来ていた。 それが少しでも和らぐように、千鶴が痛みに瞳を閉じたり震える度にキスで慰める。 さながらその様子は傷を舐めて治す動物のごとくだ。 やっていることは原始からの行いである交尾なのだから、間違ってはいないのだが。「んっ、先生……もう、動かれても大丈夫です。慣れてきました」「そうか? もう少し、大丈夫だぞ。まだ俺を追い出そうって締め付けてる」「先生こそ。私の中で凄くビクビクして……ふふ、体の繋がりで心が繋がる事もあるんですね」「好きな人となら、いやらしいことも悪くないだろ?」「好きな人とだから、癖になってしまいそうで。責任、とってくださいね」 もちろんと呟き、千鶴の膣の圧力に押されるようにむつきはゆっくりと腰を引いた。 痛みと快感の二重の刺激にうねる膣の動きを味わい、一物のカリ首で引っかきながら。「だめ、抜かないで」「違うよ、こうする。ため」「あん」 むつきが腰を引くたびに押し寄せる喪失感に千鶴が泣きそうな声で訴えたが、否定すると同時に突いた。 少しだけ深く膣を抉り、肌と肌がぶつかり愛液が飛散する。 先程は破瓜の痛みで味わい切れなかった挿入による快楽が襲い掛かった。 オナニーすら未経験の千鶴にとっては太過ぎる挿入物だ。 内臓全てが押し上げられるような苦しさと言葉では言い表せ切れぬ甘美な快感に艶っぽく歌ってしまう。「続けるぞ」「は、はい」 大丈夫かと顔を覗き込まれ、頷きながらも千鶴はしっかりとむつきに抱き付く。 腕だけでは離れてしまいそうで背中にまで手を伸ばし爪を立て、足はむつきの腰に回されていた。 二度と離れたくないという意思表示の様に、限りなく密着しながら突かれ艶声をあげる。「ぁっ、んぅ……先生、気持ち。良いです。ひゃぅ、おちんちん。こんないやらしい使い方をするモノがあの子たちにもついてるなんて」「こうら、千鶴は俺のおちんちんの事だけ考えてれば良いんだ。強制的にそうしてやろうか? ほら、今千鶴がいやらしく咥え込んでるのは誰のおちんちんだ」「やぅ、激しっ。ごめんなさい、先生だけ。先生のおちんちんだけです。千鶴はいやらしい下のお口で先生のおちんちんを咥え込んで。あぅ、ああッ!」 流石に嫉妬した振りで、千鶴を攻め立てる為の口実に過ぎない。 しかし初心な千鶴にそれがわかるわけもなく、おちんちんと繰り返し叫ぶのがより劣情を誘う。「はぁッ、大きく。まだ大きくなるんですか?!」「なるにはなるが、出そうなんだ。射精するぞ、千鶴の一番奥に。赤ちゃんの部屋に」「はい、出してください。ふぁっ、好きなだけ。お乳が出る様に、妊娠させてください」「出すぞ、妊娠させるぞ。千鶴を立派な人妻に、俺の妻に!」「出して、先生のお嫁さんに!」「千鶴ゥ!」 お互いこれ以上ないぐらいに抱きしめあい、腰を密着させ合う。 膣の一番深い場所にまで挿入されたむつきの一物が、子宮の入り口からありったけを吐き出した。 濃厚な雄汁を塊ごとにドクンドクンと体を震わせながら流し込む。 流し込まれる側の千鶴も呼吸を合わせる様に子宮の中でそれを受け止めたっぷりと蓄える。 雄に支配される本能的な幸福感に満たされながら、次世代を孕む為にしっかりとむつきを掴み咥え込んで放さない。「分かるか、千鶴」「はい、私の中に先生の……精、子だ……えっと」「呼び方は何でも良い。これでもう直ぐ千鶴もお母さんだ」「私と先生の、んぅ」 最後の一絞りまで吐き出され、二人の体の震えは一度はおさまった。 行為の後の気だるさと互いの精臭に包まれ、キスや頬ずりで原始に返る。「んっ、先生、私……頑張ってこの子を育てます。学業との両立は大変ですけれど。この子に胸を張れるように、頑張って」「ちょ、ちょと待て。ん?」 まだむつきが入り込んでいるお腹を撫でながらの千鶴の台詞にむつきの目が点となった。「いやいや、俺の子供を産んで欲しいのは本心だけど。最低でも高校を卒業してからだぞ?」「え、でも妊娠しろって言いましたよね?」「千鶴、冷静になれ。流石に今直ぐは駄目だろ。俺が国家権力に正しく捕まっちまう。せめて堂々と出来るまでは我慢してくれ。絶対に責任はとるから!」「あれ、え……」 当たり前の事を当たり前に説明しているつもりが、何やら千鶴の様子がおかしい。 妊娠しろって言ったじゃないかとヒステリックにならない辺り、まだ冷静ではあるのだろうが。 お腹を軽く揺らしてたぽんと中に注がれたモノを感じて、さっと血の気を引かせる。 思い切り中出しされている、むつきの精子、子種、男汁を。 ギギギと油の切れたブリキ人形の様に首を動かし、半笑いで千鶴は告白した。「あの、先生……私、超さんから頂いた避妊薬を飲んでないんですけど」「え?」「先生とはもう駄目になったと自暴自棄になっていたので」 一瞬何を言われたのか理解しきれず、何故か意志に半身てまだ玉袋に残っていた搾りかすが注がれた。「わー、ちょっと洒落にならん。てっきり飲んでるもんとばかり。抜く、今抜くから」「抜かないで、まだ。もう少しだけ。どうせもう手遅れですし」「そうだけど、その通りだけど。処置は早くしないと」「いやです、先生との初めての。私の我がままを聞いてください」「こら、しがみ付くんじゃありません。腰から足を外し、暴れるな中がうねって。うっ……毎日毎日どんだけ生成してんだ、俺の下半身は!」 千鶴が暴れしがみ付き、うねうねとうねった膣に誘惑されまた出てしまった。 頭で考えている事と下半身の行動がちぐはぐで、むつきは少し泣きたくなって来た。 一先ずむつきは大声でいるであろう茶々丸の妹を呼びつけ、小鈴を呼んで貰う事にした。 彼女が授業を抜け出し現れるまでに、何回搾り取られたかはむつきではなく千鶴の名誉の為に伏せておく。-後書き-ども、えなりんです。千鶴回もようやくの幕引きです。ちょっと、千鶴が舞い上がり過ぎですけれどね。たぶん落ち着いてから、妊娠発現を思い出してベッドでゴロゴロすることになります。あと千鶴よりも夏美の方が黒くなりそう。若干やさぐれているので小太郎の出番ですね。では次回は未定です。ストック切れたので本当に。