第十六話 普段は良いけど、今はだめ 無事、水恐怖症を克服したアキラは、麻帆良女子中の選抜選手として大会に出場した。 結果はここ、ひかげ荘の管理人室が、折り紙の鎖や花で飾られている事からも明らかである。 失礼にも神棚の前に、でかでかと大会の優勝と大会記録おめでとうと看板が掲げられていた。 本日は土曜日で大会があった当日。 クラス全体でのお祝いは明日の昼間で、一部の特別な情報を共有する面々が集っていた。 クラスのまとめ役、委員長の雪広に、精一杯応援した親友の和泉。 色々な意味でのジャッジメント長谷川、あと本人は絶対否定するが夜の衣装係。 このひかげ荘の持ち主の嫁候補美砂と、今回新たに候補に加わったアキラだ。「それではこの雪広あやかが乾杯の音頭を」「アキラ、優勝おめでとう。大会新記録、それから念願の初夜を祝ってカンパーイ!」 そわそわと雪広が立ち上がったそばから、美砂が容赦せんとばかりに音頭をとった。「ああ、柿崎さん。最近皆さん、私の頭をパンパン叩いたり、扱いが軽いですわ。訴えて、勝ちますわよ!」「もう、委員長。空気読もうよ、アキラ困ってるやん」「ハッ……これは失礼を。ささ、大河内さん。どうぞ」 上座に座るアキラが、雪広に勧められ照れ照れとジュースを両手で持ちながら言った。「ありがとう、皆。皆が応援してくれて凄く頑張れた。後……先生、まだ食堂の方で準備中なんだけど」「おーい、先生遅いぞ。大河内が、待ちきれないってさ、先生の肉を」「お前はオヤジか。心配せんでも、アキラには上の口にも下の口にもたくさん肉を食わせてやるよ」 下ネタに下ネタで返しながら、たっぷりのお肉と小山の野菜をむつきが両手に大皿で持ってきた。 メニューは大勢で囲むのに楽しい焼肉である。 ホットプレートは既に熱々で、油もばっちり湯気がたっていた。 腹を空かせた小鳥たちが、ピーチクパーチク小うるさいのも仕方ない事だろう。「先生、私も先生のお肉一杯食べたーい」「そうだな、今焼いてやるから待ってろ」 美砂が隣に座ったむつきの肩に頭を乗せて甘えるように言ったが、あっさり流される。 もちろん食べたいのはむつきの肉、そこに棒がつく意味でだ。 元々今日はアキラの初夜と決められていたので、特に食い下がりはしなかったが。 というか、そう言い出したのは美砂からであった。 破瓜の痛みでフォームを崩すとまずいから、大会当日のご褒美にしようと。 その時は、アキラがむつきを独り占めしても何も言わないとさえ。「先生……」「ん、肉が焼けて皆に回ったらな」 四角いコタツテーブルに六人は、かなり狭い。 上座の一辺をアキラが一人で使い、アキラから見て左側にむつきと美砂。 逆の右側に和泉と雪広で正面が長谷川だ。 むつきは一応正妻の隣だが、手を伸ばせば妾であるアキラにも簡単に手が届く。 恥ずかしそうな、それでいて切ない響きはコタツの下で伸ばされたアキラの手が意味していた。 和泉側に座れば左手が使えたのにとテーブル順を悔やみながら、むつきがホットプレート上を肉と野菜で埋めていった。「これでよし。めんどくさくなったから狙った肉は自分で焼けよ。てか、俺の両手は忙しいんだぞ。んじゃ、俺もビールと。おいでアキラ」「うん、先生。先生のおかげで、私凄く頑張れたんだ」 ぷしゅりとビール缶を開けて左手に持ちながら、右手を待ち遠しそうにしていたアキラの手を握った。 指と指をすれ違わせるように、重なり合わせた。 左手側は美砂が腕を組み、右手でこっそりアキラの手をとる形だ。 大っぴらにイチャつく正妻と、忍んで手を握る妾の図がある意味正しく出来上がった。「しかし、改めてみるとこれ学園七不思議に入れるんじゃねえか?」「お前、最近容赦ねえな長谷川。てか、つい何時ものノリで喋ってるが……お前ら、全然動じなくなったな。雪広、それに和泉も」 あくまで優雅に肉を焼いていた雪広と、慎重に焦げ目を見ていた和泉が同時に顔を上げた。 この奇妙な連帯感は、何時の間にか生まれたものだ。「まあ、流石にもう慣れましたわ。元々、社交界では酔った殿方が下衆な事に卑猥な言葉でからかってくる事もありますし。平時にそれをされると流石に動揺しますが」「私も、どこか汚れちゃったんよ。男の子を普通に見れへんくて、憧れてた先輩もなんやなあって。何かする度に格好つけてチラチラってこっち見て。前はそれがキラキラしてたんやけど」「言外に、主に生徒に手を出しまくる下種野郎(先生)が原因と言われている件について」「俺一人のせいにするんじゃねえ。今日はお前が始めたんだろうが」 実際のところ、今ここでむつきがセックスと叫んでも誰も反応しないだろう。 美砂は別の意味で反応してじゃああっちの部屋でといいかねないが。 しらっとして、何言ってんのコイツと冷たい視線を浴びるのが関の山だ。 新人時代の洗礼を乗り越えたOLじゃあるまいし、女子中学生としてそれはどうだろう。「先生、お肉焼けた。はい、あーん」「ん、サンキュ。アキラ、あーん」「ぱくっ!」 繋いだ手を放してまで、アキラが箸で熱々のそれを食べさせてくれようとしたのだが。 美砂が横から首を突っ込んでトンビが油揚げをさらうように食べてしまう。「美砂、お前この野郎。肉を焼いてくれないどころか、お前アキラが……ん、どした?」 ちょいちょいと服の袖を引かれふりかえると、食われたはずの肉が箸の上にまだあった。 一体どういうマジックか、食べた振り、いや違う。 美味しいともぐもぐしている美砂は、本当に肉を食べていた。「なんとなく、こうなるんじゃないかって。もう一枚、焼いておいた」「天使か。あーん」 一度奪われ嘆いた直後の、この一枚のなんと美味しい事か。 可愛い可愛い、もう一つおまけに可愛いアキラが焼いた肉ならなおさら。 ただむつきは知らなかった。 美味い美味いと涙まで滲ませ食べる中で、その後ろでアキラと美砂が合図しあっている事に。 良い大人が女子中学生に手玉に取られ、遊ばれている図である。 今日はアキラにとって特別な夜となる為、色々と美砂が気をまわしているとも言えた。「確かに、これを見て男に憧れ抱けってもな。お前らも、結婚できなけりゃ先生に貰ってもらったらどうだ?」「えっと……私にも選ぶ権利があるって言うん? ちょっと年上過ぎるっていうか。あはは」「私の理想は高いのであしからず」 和泉は多少返答に困っていたが、雪広などばっさりだ。 普段のように高らかに少年愛を叫ばないのは少々違和感がする。 アキラのお祝いの場なので自重しているのだろうか。「けけ、ざまぁ。振られてやんの。プギャー!」「長谷川、お前テンション振り切れ過ぎ。飲んでねえよな? 世界一可愛い彼女がいるから、他の女の子にどう思われようと一向に構わん!」「先生、私も」「そうだな、でも。世界二位も可哀想だし……世界一可愛いお妾さんってのも」「だったら、柿崎が世界一可愛いお嫁さんで、私がその。彼女って事で」「それ、採用。美砂が世界一可愛い嫁さんで、アキラが世界一可愛い彼女な。俺、明日事故で死ぬんじゃなかろうか」 再び、今度はアキラがむつきに見えないように美砂に親指を立てていた。 知らぬはいつも男ばかり、年齢差がある恋人達にもそれは適用されるようだ。 むつきがデレデレと雪広と和泉の男への憧れを壊し、時々長谷川が辛辣な毒を吐く。 アキラは甲斐甲斐しくむつきの世話をし、美砂は軽く甘える程度。 なごやかに下ネタも混ぜつつ、お祝いのパーティは夜の十時近くまで続いた。 脱衣所の入り口に男マークを付けた暖簾を掲げて、むつきは一風呂浴びた。 焼肉の匂いをぷんぷんさせたままアキラの初夜を行うなど許されない。 服も脱ぎ易い浴衣に変えて、簡単に帯を結んで終わりだ。 アキラは既に、自分に割り当てられた管理人室横の部屋で待っている。 美砂は相変わらず管理人室に常駐しているので、その隣に。 本当この現代で、リアルお妾さんかと思わざるを得ない。 こんな俺にと卑下もしたくなるが、それをすると怒られるので言葉を飲み込む。「お前ら、もう寝たか?」 途中、管理人室の襖を静かに開けて、中には入らず伺い見る。 匂いが再び付着するのを避ける為であった。 雪広と和泉は仲良く並んで寝ており、長谷川はダウンするように大の字で。 美砂は良く見えないが、先生と呼ぶ寝言が聞こえたのでたぶん寝ている。 何分、アキラの部屋は隣なので、気を使うのだ。「良く寝てる。これなら少々アキラが喘いでも大丈夫だろ」 一安心とばかりに、襖を閉めていそいそと隣の部屋に向かう。 正妻の目を盗んで会いにいくようでいささか格好悪い。 だが多少の格好悪さなど、これから訪れるアキラの初夜の前にはゴミみたいなものだ。 すぐそこ、五メートルも離れていない隣の部屋の襖を叩く。「アキラ、良いか?」「うん、いいよ先生」 許可を貰って襖を開けると、部屋の中は暗かった。 廊下の方がよっぽど明るく、部屋を照らすのは蛍光灯の赤玉のみ。 それでもアキラの姿ははっきりと、むつきの瞳で捉える事が出来た。 敷かれた布団の横に、三つ指をついて待っていてくれたのだ。 のみならず、その姿、格好が暗闇を吹き飛ばすほどに浮きあがって見えた。 だぶつく程に大きな袖を持つ白衣に、正座の膝にぴっちり収められた紅の袴。 髪型こそ普段のポニーテールだが、黒髪ロングの巫女さん、あと巨乳がそこにいた。「先生、不束者ですが末永くよろしくお願いします」「あ、はい。よろしくお願いします」 慌てて正座して礼を返したむつきだが、顔を上げてから視線が外せない。 というか、ニヤけそうになる顔を必死に真面目にするので手一杯だ。 犯人が誰かなんて考えるまでもない。「これ、長谷川が用意してくれたんだ。先生が絶対喜ぶからって。女の子に可愛い格好をさせて喜ぶ変態だからって」「うん、最後の報告はいらなかったね。てか、それ当たり前のことじゃねえの?」 格好こそコスプレだが、彼女に可愛い格好をさせたいなど普通の事だ。 なんでも変態とつければ良いものでもない。 内心良くやったと褒めていると、何故か脳内でさえプギャーと笑われた。 人の頭の中でさえ、大人しくできず、辛辣な奴であった。「まあ、あの阿呆の事は一先ず捨て置いて」「捨てるんだ」 クスリと笑ったアキラに、正座の格好のまますすっと近付いていく。 中腰となって頭一つ分、アキラより高くなると、包み込むように抱きしめた。 宝物を腕の中に抱くように、大切に、優しくだ。 アキラも静かにむつきの背に腕を伸ばし、抱き返してくる。 二人暗闇の中で、そのまま時計の音だけをBGMに抱きしめあった。「アキラ、髪が良い匂いする。特別なシャンプーでも使ってる?」「ううん、普通の市販品」「なら、これがアキラの匂いか。覚えとこう、何処にいても分かるように」「恥ずかしいよ、先生」 くんくんと髪の匂いをかぐと、例えようのない陶酔的な甘い匂いに包まれる。 匂い自体が麻薬のようで、かげばかぐ程にくらくらしてきた。 これは忘れようにも忘れない。 例え、アキラがその場から移動した十分後でも、かぎ分けられる自信があった。 言ったら引かれそうなので、絶対に口にはしないが。「先生も匂いがする」「え、風呂にはちゃんと入ったぞ」「違う、焼肉じゃなくて。先生の匂い。胸がキューっとする匂い」 本当に胸がキュッとしたように、両手を祈るように胸元へと持っていく。 もう今ここで押し倒してガンガン突きたい衝動に駆られるが、ひたすら我慢だ。 折角のアキラの初夜を、理性を放り出した獣のまま襲って終わりでは可哀想である。 アキラが幸せになれるように、大切な思い出になるように。 大切な思いを抱いたように祈っているアキラの、後ろに回りこみ再び抱きしめた。「声、我慢しなくて良いからな。アイツら、全員寝こけてたから」「起こしたら可哀想だよ。我慢する」「本当に、こんな事をされても?」 後ろから抱きしめたまま、白衣の襟の中へと片手を滑り込ませていった。 さすがに正式なものではないので、中に襦袢を着ている事はない。 ただノーブラとは予想外で、胸に指先が触れてすぐに止まってしまう。「んっ」 清楚な巫女さんがノーブラとは、ギャップがあり過ぎて困る。 びっくりして固まったとは知られたくないので、慌てて続けた。 少々大げさに、白衣を着崩させるようにアキラの胸をまさぐった。 ゴム鞠を潰すように、ただ力は優しく胸を揉みしだき手のひらの上で乳首を転がす。 衣擦れの音は意外と大きく、隣の部屋まで聞こえるかと思うほどである。「先生、そんなに音を立てないで。亜子達に聞こえちゃう」 「仮に起きてたとしても、聞かないふりしてくれる。皆、今日が大事なアキラの初夜だって知ってるんだから。誰も邪魔なんてしない、させない」「でも、ぁっ」「我慢しなくて良いから。ほら、声を上げて」 まさぐっていた胸の乳首をつまみ、キュッと少し力をいれて絞った。「んんぁ、あんっ!」 布団の方へとやや体勢を崩して手をつき、体を小さく丸めながらアキラが声を上げた。 切なげに、好きな男に体をまさぐられるという初めての行為に。 二週間前に一度むつきが色々致したが、あれはノーカンだ。 殆ど意識もなく獣状態で、連続で七回もしたなんて今考えてもありえない。 しかも五回目辺りでアキラは気絶し、それでもまだ続けるなど鬼畜の所業だ。 自分でやらかした事だが。 過去より今、今なんだよと大きく息をついているアキラをもう一度抱きしめた。 今度は白衣の上からあの大きな乳房を、零れ落ちそうだと思いながら弄ぶ。 揉んで胸同士を押し合いへし合いこね回し、白衣の上から乳首をつまんで引っ張った。「先生、お願い。許して、声ぁん。我慢できぅっ」「アキラが可愛すぎるからだめ」 必死の懇願もガキの理屈で退け、耐え切れなくなったアキラと共に布団に倒れこんだ。 一瞬だけ自分で倒れこんだむつきがおろしたてのシーツに先に受け止められた。 その直ぐ後にアキラが仰向けに、むつきの胸に受け止められる。 ポニーテールが鼻にかかってくすぐったいが、モグラのように鼻でかきわけ、うなじにそっとキスした。 当然の事ながら、胸を弄ぶ事は続行中で白衣もすでに半分程脱げてしまっている。 ただアキラはキュッと口を噤んでしまったので、なんとか開けさせなければならない。「どうして口を閉じてるんだ?」「んんっ、んーっ!」「アキラが声を聞かせてくれないなら、俺が叫ぼうかな。最高だ、アキラの体最高だ。気持ち良い。このまま中にって」「それ、だ。んんっ!」 振り返ろうとしたアキラの唇を塞ぎ、力を込めてその双球を強く握った。 突然のキスと強烈な刺激に、小さくピクッピクッとアキラの体が震えていた。 その小さな震えが収まったあともキスを続け、しばしの後に離れさせる。「可愛かったぞ、アキラ」「ふぁ、先生意地悪だ。前も凄かったけど、今も凄く意地悪」 虚脱してふうふうと息を吐くアキラの体を支え、布団の上に寝かせていく。 真っ白なシーツの上に、白衣を紅袴のアキラを。「勿体無いけど、全部脱がすぞ。確かに興奮したけど、今日はアキラが主役だ。他の要素はいらない。アキラだけ、それだけを感じたい」「うん、いいよ先生。先生が私の全部を脱がせて」 任せとけと、紅袴の帯を緩め、まずそちらから脱がせ始める。 全てがそうか分からないが、白衣は袴の裾辺りまである事もあるのだ。 なんと無駄な豆知識化と自分で突っ込みつつ、アキラが浮かせたお尻から紅袴を脱がす。 白衣により円筒状の裾に覆われた両足を持ち上げ、紅袴を脱がしきった。 それを無造作に布団の横に置いて、アキラの両足もそっと布団の上に戻した。 まだ白衣が残っているが、恥ずかしいのかアキラはそっぽを向いている。 それでも脱がすのを邪魔しないように、手をぴったり体につけているのがいじらしい。 白衣の帯、といっても紐のようなものだがそれを解いて最後だ。「アキラ、良いか?」「うん」 一度は恥ずかしそうに身をよじったものの、答えは決まりきっていた。 白衣の襟元に片手を差し込んで軽く開き、今度は両手で完全に開ききった。 ぴくりとアキラの両手が動き、隠そうとするも震えながら我慢している。 背に比例するように大きな胸が、本当に零れ落ちた。 ぷるんと落ちては、反動で元に戻ろうとふるふる震えている。 思わず手が伸びかけたが、今はと視線を落としていく。 胸とは逆に美砂よりも細く見える腰があり、お尻は少々小さめ。 それは良いが、このパンツはなんだろうか。 俺だけでもここは死守するとばかりに、アキラのお尻を覆うクマさんパンツだ。「ギャ、ギャップが……あの、長谷」「もういい、何も言うな。萌え殺す気か。やばい、ツボに入った」 もうクマさんしか見えないと、むつきは不覚にも顔を手で覆い動けなくなった。「もう、やっぱり笑われた。折角の初夜なのに」「泣くな、アキラ。笑ってたわけじゃない、可愛すぎてどうにかなりそうだったんだ。ほら、これが証拠」 くすんと泣き出したアキラの肩の上に手を置き、涙を唇ですいとり下で舐める。 そしてもう片方の手でアキラの手をとり、伸ばし触れさせた。 ガチガチに勃起し、ビクビクと今にも爆発しそうに痙攣する一物にだ。 触れたときに驚きビクっと震えた手で、にぎにぎと確かめるように握られた。「先生、凄く硬くなってる。私で、興奮」「凄くしてる。もう少しで理性が消し飛んで、また獣になりそうだった」「恥ずかしいはずなのに、嬉しい。裸を見られて欲情されたのに、私喜んでる」 そのまま来てとばかりに、アキラの手が伸びて抱きしめられた。 最低限足に力を入れたりして全体重を掛けたりはしなかったが。 もう一度今度は唇にキスを落とし、露となった胸をふわふわと支えて揉み上げる。 そのままむつきの独壇場かと思いきや、アキラも負けてはいなかった。 一度握らされた一物を手放さず、両手を伸ばして手に筒を作るようにして竿をしごく。 手つきはたどたどしいが、一生懸命なのが良く伝わって燃えてくる。 この子を気持ちよく、最高のセックスを教えてあげたいと。「アキラ、そのまま続けて。こっちも」「ぁぅ」 アキラの手を膣に例えるように腰を振りながら、アキラの耳たぶを噛んだ。 べろべろとそのまま耳の穴まで舌をさし込み、奥まで舐め上げた。「手、止まってる」「ご、ごめんなさい。ひゃっ」 アキラの手が再び動いたのを下半身で感じると同時に、逆側の耳たぶを甘く噛んだ。 今度は舌を使わず、キスを繰り返しその音を聞かせる。 何度も何度も執拗に、時々アクセントにふっと息を吹き込むと面白いように反応してくれた。 ただ延々とソレだけでは、アキラも慣れてしまう事だろう。 アキラが愛撫の一つ一つになれないうちに、次々とあの手この手を繰り広げた。 キスをしながら唇をこじ開け、前歯にチュッとキスをしてみたり。 吸血鬼のように首筋に吸い付いては、激しいキスでキスマークをつけてから耳元で囁く。「これで、アキラは俺のもの」「私、先生のものになっちゃった」「他の男がアキラを見ても、このキスマークであの男の女かって。もう絶対に放してやらないからな」「うん、絶対に放さないでね」 絶対にと呟き約束して、頃合かと最後のキスをして一度放れる。 待ってと手を伸ばされたが、大丈夫だからと手を繋ぎ、頷く。 ゆっくりと手を放し、むつきはアキラの股の間に座り込んだ。 あいもかわらずアキラの聖域をクマさんが守っている。 しかしながら、聖域の奥から染み出す愛液に目をやられて、泣いていた。「泣くなこの野郎。次からは俺がアキラを守ってやるから」 安らかに眠れとばかりに、クマぱんに手を伸ばし脱がせ始めた。 さすがにこの時ばかりは、アキラも手を横にそっぽを向くだけにすまなかったようだ。 両手を顔に持っていき、どんな顔をしているか見られないように抑えている。 大丈夫と一度太ももをさすってやり、浮かされたお尻からクマぱんをねじらせながら脱がす。 最初に片足を曲げさせ脱がし、次の足ではなんとなく足首にかけたままで。「綺麗だ、アキラ。綺麗な縦筋からあふれ出してる。力を抜いて」 下腹部の陰毛は美砂より幾分濃く、髪と同じ真っ黒な色であった。 さらに下をながめ、ぴったりと閉じた谷間から流れ落ちる流水を発見する。 これなら潤いは十分だがと谷間の脇に手をそえ、親指を引っ掛け開いた。 アキラの下半身が強張るが、柔らかな肉の谷間の底からむわっと匂いが広がった。 髪を嗅いだ時よりも、もっと濃いアキラの匂い、発情した雌の匂いだ。 谷間の底では膣口がぱくぱくと口を開けて、蹂躙者をまっている。 待っているがまだ直ぐにはと、むつきは手のひらを上に向けた右手の中指を伸ばして触れさせた。 そのままゆっくり、愛液の流れに逆らって奥へと進ませる。「あっ、ぁぁ……何、か。入って」「力を抜いて、駄目か」 どうしても体は強張るようで、指が浅いまま挿入を繰り返す。 そしてアキラに覆いかぶさるようにし、豊満な胸の上にある突起を口に含んだ。 意識する場所を分散させるように、左手は太ももをさすり指を這わせる。 一番意識させたくない膣はゆっくりと、数秒を掛けて一センチ進ませる気持ちで。 反対に胸は激しく音を立てて乳首を吸っては、大口で胸を食べるようにかぶりついた。 左手も忙しく左の太ももから脹脛に、膝を負けさせ股を開かせる。 中指は変わらず強く締めつけられていたが、第二間接を超えて第三間接に到達しようとしていた。「アキラ、何処まで入ったか分かるか?」「はっ、はぁぅ。凄く深いところに」 そう、ちゃんと深いところまで受け入れられるんだと、逆に意識させた。 それが功をそうしたのか、ふわりと少しだけ締め付けが緩んだ。 若干中指をくの字に曲げて、少しだけ広く拡張された膣の中を行き来させる。「先生、はぅ。ぅぁ、ぁっ!」 むつきのリズムに合わせアキラも喘ぎ、両手は既に顔にはなかった。 快感に浮き始めた腰を支えるように、布団の上でシーツを握り締めていた。「気持ち、良い。先生、もっとぉ」「素直だな、アキラ。エッチに素直な女の子は好きだな。だから、大好きだぞ」 キュキュっと大好きというキーワードに反応して膣が何度か収縮する。 単純な快楽も悪くはないがやはり言葉も大事なファクターらしい。 ずいぶんとスムーズになった指の挿入を行ないながら、身を乗り出し耳元に口を寄せる。「愛してるよ、アキラ。俺の子供を生んでくれるか?」「ぁあっ!」 腰だけでなくお腹から反るように浮き上がったアキラがイッた。 ビクビクとそのまましばらく震え、やがて力尽きるように布団の上に落ちてきた。 体には大量の汗が滲み、荒く息をついてはぽーっと天井を見上げている。 体の痙攣にあわせて膣の中も何度か締まっては、精をむつきの指からでさえ搾り取ろうとした。 実際あり得る事ではないが、それでもだ。 その指を抜くと、コルク栓を抜いたワインの瓶のように置くから愛液が染み出してくる。 指を二本に増やし、処女膜に気をつけて膣を開いてみると随分と柔らかくなっていた。 これなら大丈夫と、両腕をアキラの膝の下に回して小さなお尻ごと持ち上げる。「アキラ、分かるか。ここ、今から入れるぞ」 まだ遠い世界にいるアキラの目の前で手を振り、意識を呼び戻す。 もちろん手だけでは無理であり、亀頭を膣口に添えての事だ。 はやく帰ってこないと入れちゃうぞと、先っぽだけぬぷぬぷと入れてみたり刺激する。「ぁ……先生、私」「お帰り、アキラ。それから、新しい自分にこんにちはだ。もう一度聞くが、分かるかコレ」「うん、前にもそうやって先生に悪戯された。先生、私の初めて貰ってくれますか?」「貰わないでか。ありがたく頂戴するよ」 脱力して重いアキラの足を持ち直し、前屈みになって狙いを付ける。 既にロックオン済みなので、あとは進むだけ。 未通の穴、膣をむつきの一物で掘り進んでいくだけだ。 頑張れ、小さくアキラにエールを送ってから、むつきは腰を押し進めた。 腰から生える一物も押し出され、アキラの膣を広げては何かに引っかかる。「いくぞ」 むつきの合図にアキラも頷き、上半身を曲げてむつきに抱きついてきた。 二人して同じ動物のように体を丸め、むつきの腰だけは前へ。 アキラの処女膜を広げ破り、破瓜の血を垂らさせながらもっと奥へと進んだ。 ミシミシと、一物を通して無理やり進んでいく音が聞こえそうだった。「くぅ、ぁ……痛ッ、ぅぁ」 息苦しく痛みに耐える声にもう少しだからと伝え、最後まで侵入しきった。 それを教えてくれたのは、肌と肌の接触。 もちろん抱き合っているので全身そうだが、秘所の谷間と一物周りの肌がと言う意味だ。 小さな拍手がゴールを知らせるように、肌とのぶつかりでパンと鳴った。「アキラ、大丈夫か?」「今日で良かった。慌てて捧げてたら、絶対にこれフォームが崩れてた」「ん、俺の世界一可愛い嫁さんに感謝だなァッ、痛った。アキラ、何を」「今先生の目の前にいるのは世界一可愛い彼女だけ。普段は良いけど、今はだめ」 突然肩に噛みつかれ、痛みに潤んだ瞳で訴えられた。 境界線がやや難しいが、確かに行為の最中に他の女の子はタブーだ。 ごめんと抱きなおし、お詫びの印と唇に口付けた。「そろそろ、良いか? あまり我慢してると、このまま出そうだ」「ちょっとは痛みが和らいできた。ちょっとぐらい激しくてもいいよ」「俺は何時だって優しいよ。特に布団の中では」「嘘つき、意地悪ばっかりするくせにんっ。ほら」 嘘つきじゃありませんと抗議するつもりで、腰を一度引いてから突き立てた。 まだ子宮は降りてきてないらしく、肌と肌、その奥の骨盤同士がぶつかり止る。 それからぐりぐりと腰を時計回りに回転させ、もう一度引いた。 来ると体を強張らせたアキラの鼻の頭に、チュッと唇を落とす。 えっとアキラがこちらを見上げた瞬間を見計らい、意地悪にも一物を突き立てた。「ふぅん、ぁ……やっぱり、意地わぅ」 違います愛ゆえにですと、腰で喋るように何度も何度も突き立てる。 その度にアキラが天井を見上げては喘ぎ、切なげに吐息を吐いた。 その吐息の暇も与えぬ程に、むつきの突き上げは激しさを増していった。「くそ、アキラの中。凄く締め付けて。痛いぐらいだ。なんだこの締め付け。いくらなんでも精を欲しがり過ぎだ。もう少し待てないのか」「そんな事はない、普通。普通なのぉ」「違う、アキラがエッチだから。俺の子供を孕もうと必死なんだろ。そんなに、俺の種が欲しい?」「違う、違うの。いやらしくない、私先生が好きなだけ。先生の子供が欲しいだけ」 一部は否定されたが、一番肝心な部分を肯定されてしまった。 しかも初夜という事もあって、今は生で挿入している。 せすじにゾクゾクと黒い快感が上り詰めてきた。 アキラが望んでいる、自分の子供を。 そのまま出しても問題ない、むしろ喜んでくれるはずさと悪魔のささやきだ。 妊娠して親に勘当されてもここに住めば良い、皆で育てるのもきっと楽しいと。「アキラ、アキラ俺」「先生、いいよ。中に、安全な日だから」「孕ませたい、アキラを。このまま出して、俺の子供を」 黒い快感が急げ急げと、射精の快感を連れてくる。 むつきに一物を抜く暇を与えてなるものかとばかりに。 そんな事できるかと思えば、それだけで精神がガリガリと削れていく。「出すぞ、アキラの中に。孕め、孕んで……うぁっ!」「いいよ、そのまま。先生、先生ぇっ!」 白く粘つく液体が、飛んだ。 勢いよくむつきの一物の先端、亀頭の鈴口から大量に吐き出されて飛んでいった。 ぼたぼたとアキラの白い肌を、別種の白で染め上げていく。 自分の体にかかるのを全て把握しているかのように、浴びるたびにビクビク震える。 例えそれが小さな一滴であろうと、ちゃんと感じ取ってくれた。「あっ、ぶね……あやうく、誘惑に負けるところだった。アキラの体、気持ち良過ぎ」 息を整えると、そのままアキラの隣にぽてんと倒れこむ。 よく頑張ったねと、抱え込むように抱きつき、ピロートークの始まりだ。「そう、かな。先生が気持ち良くなってくれるなら、いっかな? けど、そんなに締まってる?」「水泳のせいか。でも締まり過ぎんのも考え物だ。コンドームが脱げたり……ワンサイズ落とそうかな。ピルなんて飲ませたくないし」「あの……一つ、良い考えが」「ん、何かあるのか?」 あのねと、愛液と精液で濡れまくった一物を握られた。 在庫一斉放出した袋もにぎにぎとして、再生産を急がせる。「一杯、エッチして。私が先生の形を憶えれば、たぶん大丈夫」「もう、本当にこの子は。良い考え過ぎる。アキラ、そのまま続けて。俺も」 横向きに向かい合って寝たまま、お互いの性器に手を伸ばした。 アキラは濡れに濡れた一物を手をぐちゃぐちゃにしながらさすり。 むつきは、破瓜の血が残るそこに今度は指を二本に増やして入れてみた。 一度は一物を受け入れたのだから、指が一本増えようと大差はない。「先生、ちょっと硬くなってきた」「アキラも、かなりほぐれてきた。じゃあ、次いいか?」「うん、何度でも。あの日と同じぐらい、一杯して先生」「俺も男だ、七回でも八回でも。アキラが望んだ数だけ頑張ってみる」 でもその前にと、布団の上から箱ティッシュと浴衣のポケットのコンドームに手を伸ばした。 流石に今からはお風呂にいけないので、可能な限りティッシュで拭く。 それから以前にも美砂に教えたように、こうやって実際に見せて教えながら着けてみせる。 準備完了と横寝のままずりずりと近付き、再びの挿入であった。 アキラの言った通り少しは形を憶えてくれたようで、スムーズなものだ。 コンドームのおかげで、刺激はちょっと減ったが十分である。 キスマークどころではなく、大事な部分の形を変えようとむつきは頑張った。 頑張ったのだが、やはり三回目を超え、四回目には時間がかかり過ぎた。 コンドームの中でさえ射精が上手くできないまま萎むだけ。 無駄に自分を傷つけ、落ち込ませるだけであった。 反面、アキラはというと何度でも愛されとても満足の行く初夜であったそうだ。 -後書き-ども、えなりんです。今回、あまり印象に残る台詞がなく。アキラのこの一言を選択。一先ず、このお話を最後に次の章へ。二年次春の中間テストです。ああ……後で思い出したのですが。ゴールデンウィークネタがない。あと、美砂とアキラは五月生まれだったはず。差し込む余裕がなかったんです。気付くのが凄く遅かったんです。そのうち誰かの誕生日ネタぐらい挟みたいですねえ。明日菜は割りとテンプレなので、それ以外で。それでは次回は土曜日です。