第四十四話 私も先生の事は結構好きだから 何処とも知れぬ謎の空間、されど良く見知った二年A組の教室内での事だった。 むつきと相坂は、机と椅子をどけた教室の中央にて正座をしながらお見合いしていた。 生まれて始めてのプロポーズに、相坂は頬を火照らせ俯きっぱなし。 時々むつきを見る為に顔を上げては目が合い、より顔を火照らせ俯いた。 対するむつきは、閃き間違い、もしくはここにこうしている事こそが間違いかと。 自問自答を繰り返しては無為な時間を過ごしていた。 もはや色々と頭が混乱しすぎて、流されそうになる自分をせき止めるので精一杯だ。 コチコチと時計の針の音だけが響く今日室内で、先に耐え切れなくなったのは相坂であった。 一際、小さな肩を小さくキュッと縮め、思い切ったように顔をあげた。「あの、乙姫先生……やっぱり、先生がいて私がいて。三人目は私達の赤ちゃんですか?」「待て相坂。俺は今、凄く混乱している。結論を急ぐな、落ち着けさせてくれ」「でも、私。勢いとはいえ、先生のぷろ、ぷろぽーずを受けてしまって。今さらなかった事になんて不誠実な事は。不束者ですが、よろしくお願いします」「どこかで聞いた台詞を。お願い待って相坂、先生泣きそうだから」 どうしてこうなったと今にも言いそうなむつきの目の前で、相坂は瞳を閉じていた。 顔はやや上向き加減で、何を待っているかは一目瞭然だ。 ただ良く良く見てみれば、赤味がさした頬はまだしも、顔が小刻みに震えている。 セーラー服のスカートを握る手も、皺が残ってしまうのではと思う程に握り締めていた。 はしたないなどと古風な物言いはもとより、授業中の態度から彼女の性格は概ね分かった。 ほぼ初対面の異性を受け入れる程に淫らでも、愛や恋に積極的と言うわけでもない。 古風ゆえに、プロポーズを受け了承してしまったという強迫観念があるのだろう。 むつきがセーラー服の両肩に手を置くと、案の定ビクリときつく目を閉じて震えた。「相坂」 だから名を呼ぶと同時に、落ち着けとばかりにおでこに唇を触れさせた。 誰かとは異なり、前髪に隠れている為、ほとんど前髪にキスしたも同然であったが。 ふえっと驚いた彼女が、ようやくちゃんと正面きってむつきを見てくれた。「やっと見てくれた。相坂、いや。さよ。正直混乱続きで、俺自身お前を好きだとか愛してるとかそんな感情は殆どない。放っておけない、それが一番近い」「わた、私はぷろぽーずなんて。いえ、告白自体も初めて。でも胸がどきどきして、幽霊になってからこんな感情は初めてです。まるで生きてるみたいです」 やや不可解な言葉交じりに精一杯アピールされ、小首を傾げそうになるのを堪えた。 しかしながら、ただ一点わかったのはさよもまた求めてくれていると言うことであった。 プロポーズに関する脅迫観念だけではない、彼女が感じたままの胸の高鳴り。 それに答えてあげたいと、思えたのは本当であった。「さよ、改めて。結婚してください、俺の子供を生んでください。あと、できれば味噌汁つくってください」「お食事を作るのは得意です。あの、赤ちゃんの作り方は先生が、教えてください」 相変わらず二人共混乱の最中であったが、二度目のプロポーズも結果は同じであった。 むしろ、赤ちゃんの作り方をというさよの台詞に、むつきは生唾を飲み込んでいた。 セーラー服の少女からそう言われるなど、どこのAVの世界だか。 いや本当にここはAVの世界なのかと、おのれディケイドとならない事を祈るのみだが。 またしても混乱しつつ、確かに目の前にいるさよへと触れた。「ぁっ」 丸い小顔の顎先に手を沿え、赤く染まった顔でむつきを見上げさせた。「先生の授業は厳しいぞ?」「頑張ります」 両手を握って胸の前に掲げ、頬は赤いままにふんすと鼻息を吹く。 ただ意気込みが良いのはそこまでで、動きが止まってしまう。 むつきがじっと見つめるだけでわたわたと、ぐるぐる瞳が回り始める。 その挙動不審ともいえる仕草が可愛く、何時までも見ていたい感情に駆られたが。 それも可哀想だと、唇を奪う事でむつきはさよの挙動不審な行動を止めた。 古風そうな子だからと最初からは激しくせず、唇を触れさせるだけの優しいキスである。 そのままそっと肩を抱き、逆側の手でさらさらの白い髪を梳く様に撫で付けた。「んっ」 小さいながらも艶やかな喘ぎが漏れたところで、口付けた時と同じくそっと離れさせる。 夢み心地で瞳をゆっくり開いたさよは、両頬に手をあて真っ赤に染まりつつある頬を支えていた。 しかし支えきれるはずもなく、頬の手はずれていき顔全体を覆っていった。「私、接吻で。接吻で気持ち良いって、はしたなくて合わせる顔がありません」「女の子は多少はしたない方が魅力的だ」「は、はい。先生がそう仰られるのなら、どうぞお構いなく」 それは違うくはないかとも思ったが、それこそ構わずセーラー服のスカーフを解いた。 するりと流れるようにほどけて行くそれを、床の上へと流していく。 締め付けから介抱された襟元が空き、少し覗けば胸元がしっかりと見えた。 もちろんブラジャーが付けられており、白い布地にしっかりとガードされている。 ただレースやフリルといった装飾が一切ない、色気もそっけもないしろものだ。 ちょっと気分が萎えそうになったが、気を持ち直してさよを万歳させセーラー服の上着を脱がせた。「ぁっ」 さよが恥ずかしげに胸を隠したので、軽く抱きしめた。 見てませんよとアピールしながら、背中に回した手でブラジャーのホックを外す。 色気もそっけもないなら不要とばかりに、これまた万歳で脱がしてしまった。 ややこぶりな胸をさよは腕で隠して、体を縮めてしまう。「恥ずかしい?」 当然過ぎる事を聞いて、こくりと無言で頷かれた。「さよの体が見たい、見せてくれるか?」 ギュッと瞳を閉じているさよの唇に軽く自分の唇を触れさせてから呟く。 さすがに躊躇はあったが、小さく頷かれた。 ならとむつきはさよの細い腕に手を沿え、ゆっくりと開かせていった。 何処へ見て良いやらさよは天井を見上げるように視線をそらし、されるがまま。 次第に腕ブラをしていた腕が開かれ、小ぶりで桃色の乳首が上を向いたおわん型のそれがさらされる。 異性に初めてさらされた事で、さよの顔は真っ赤に熟れきっていた。「さわるよ」「は、い」 むつきの宣言に今度は辛うじての返事が返って来た。 下から支えるように、綺麗な形を崩さぬように触れ手のひら全体でやわやわと揉む。「先生、恥ずかしいです」「恥ずかしがる事なんてないぞ。何処へ出しても恥ずかしくない綺麗な胸だ」「うぅ、先生の前にしか出しません」 嬉しい事を言ってくれると、ご褒美にぷっくり膨らんだ乳首を食む。 唇で甘噛みしては、舌の先で軽く弾くように弄んだ。 口は一つなので逆側の胸は指先でくりくり回しては胸に押し込んだり弄ぶ。「先生と赤ちゃん作る前に、先生が赤ちゃんみたいです」「さよお母さんのおっぱい飲んで良い?」「母乳出ませんけど、それでもよければ。先生、一杯飲んでください」 恥ずかしいだろうに、わざわざ自分で片方の乳房を両手で絞るようにしてくれた。 色のみならず形でもより強調された乳首を、周りの乳輪ごとしゃぶってすいあげる。 もちろん母乳が出るはずもないが、偉大な精気を吸い上げるがごとく。 丹念に念入りに、口内に吸引した乳首を舌先であくまでしつこくつつき転がした。「ぁっ、駄目。声がんぁ。先生、私のおっぱい壊れちゃいます」「おっぱいは二つあるから、赤ちゃんにはもう片方で母乳あげれば良いから」「そんなの意味が、わかぁっ」 執拗に乳房を吸い上げた結果、さよが少し大きく体を震わせた。 胸にすいつくむつきを抱きしめ、ふるふると余韻に浸りながら天井を見上げる。 数十秒とその状態が続き、大きく吐息を吐くと同時に覆いかぶさってきた。「イッた?」「分かりません、けど。一瞬、頭が真っ白に」 荒い息でむつきの頭上でさよがそう答え、結果を確かめる為に手を伸ばした。「待ってください、先生」 だがその手は、息も整わぬうちのさよの手により止められた。 彼女のスカートまであと数センチのところでだ。 ちょっと強引に事を進める事も出来ないではないが、乱暴はNGである。 このお年頃の女の子は繊細で、これぐらいと男が思っても簡単に傷ついてしまう。 だから一度腕から力を抜いて、引きとめてきたさよを見た。「おっぱいだけでも恥ずかしいのに、これ以上は死んでしまいます。後生ですから、下は触れても見たり、スカートを脱がさないでください」「さよが嫌がる事はしない。少しの間、暴れないで」 床の上にしゃがみ込んでいた彼女の背中と膝の裏に手を差し込み抱え上げた。 突然の事で小さな悲鳴をあげては、首に上を回してくる。 そのまま何時間でも抱き上げていたかったが、さよを近くの机の上に座らせた。 足は机の縁から垂らしたままで、お尻を角に引っ掛けるようにだ。 それから背広の上着を脱ぐと、さよの後ろに広げてあげた。 ゆっくりと肩を押し、背中を支えながら背広の上着の上に寝かさせていく。「先生、お気遣いありがとうございます」「良くなって欲しいからな」 再びの腕ブラをしながらのさよの台詞に照れくさくなってそっぽをむいた。 今一度、さよに触れるだけのキスをしてから手を伸ばす。 足をだらんと下げたスカートの奥、約束なのでたくし上げはせずそれこそ手探りで。 柔らかな太股の上を伝い、その付け根へと。「ぅく、やぁ」 一度軽く果てた成果、肌の上をむつきの手が這うたびにさよが小さく喘ぐ。 だがお腹の上にたどり着く前、それこそ太股の付け根にたどり着く前に気付いた。 触れたとも言うべきか、予想したパンツの肌触りではなかった。 むしろ布地こそ薄手だが、スカートの中に履いたズボンとでも言うべきか。 さよの下着はかぼちゃパンツであったのだ。 こいつはさすがに予想外と、机の上に横たわるさよの正面に立ちなおした。「さよ、ちょっとだけ腰上げて」「はい、どうぞ」 少しばかり受身な行為が多いが、素直である事は良い事だ。 スカートの中に両手を入れなおし、浮かされた腰からかぼちゃパンツを脱がしていく。 するすると、腰と小さなお尻を抜け、太股から膝、脹脛そして足。 普段、彼女らを相手にする時は、目の前で下着の匂いの一つも嗅ぐのだが。 胸を隠すか、顔を隠すかテンパっているさよを見ていると意地悪が可哀想になった。 彼女らとは誰の事か、少しばかり疑問に思いつつ。 三度腕をセーラー服のスカートに差し込んで、かぼちゃパンツに守られていたそこに触れた。 日本人らしく薄めの若草に守られたそこは、しっとりと潤っている。「触、触られ。先生に、大事なところをやぁ。先生、苛めないでください」 くちゅくちゅと水音を立て、膣口やその奥を弄ばれ今度こそさよは選んだ。 既に搾乳された乳房よりも、快楽に喘ぐ姿を見せまいと顔を両手で隠す事に。 これ幸いにと、むつきはさよの秘部を指で拡張しつつ、体をまげてまた乳房を食んだ。 ちゅうちゅうと軽く音を立てて吸っては舌で乳首を転がし、膣では指の第一関節まで到達していた。「先生、お腹がかき回されて。はしたない子って思わないで、気持ち良い。先生、私こんなにはしたない子だって。嫌わないで下さい」「感じるさよが可愛い。もっと感じて、はしたなくたって良い。俺だけにその姿をみせてくれるなら。もっと乱れてくれたって良い」「ぁっ、激しぃ。駄目、先生。ぃゃ、ぁぅぁっ、うぁ、ぁっ」「指が第二関節まで入った。まだ入る、さよが俺の指をくわえ込んでる」「先生、先生、先生ぇっ!」 腰が誰かに蹴飛ばされたかのように、さよが快楽に導かれ果てては跳ねた。 机の上で体をそらしたままふるふると、同じ体勢を維持してそのまま落ちていった。 机の上にくてりと落ちると、荒く息を乱してさよが胸を弾ませている。 その動きに合わせて形の良い乳房がふよんふよんと元気良く震えていた。 スカートの奥から取り出した手は、指先の愛液が手の平に落ちるまでに滴っている。 準備は万端、膣壁の柔らかさもそれなりで、初めての前では十分であった。「さよ、大丈夫か。ちょっと痛いかもしれないが」「足が震えて、動けません。どうか、先生のお好きに。耐えるのは女の仕事ですから」「ちょい前時代的で不安になるが。さよ、最後にもう一度」 呼吸を整える邪魔にならぬよう、ちゅっと瞬間的に触れるだけのキスである。 それから机の端から投げ出された足を開かせ、その間に立ってはさよの腰を掴んだ。 机の上を滑らせるように引き寄せては、ズボンのベルトを外してトランクスも脱ぐ。 今こそ出番かと飛び出してきた一物を、スカートの奥で待ち受ける穴にそっと沿えた。「さよ、お前を愛したい。お前が産んでくれる子も一緒に」「産ませてください、先生の赤ちゃん。あの、毎晩頑張って貰える様にお味噌汁一杯つくりますから」「たらふく食べて、一杯してやるからな。いくぞ」「はい、先生私の中にきてください」 さよの腰を掴んだ手はそのままに、むつきは腰を前に進ませた。 秘部の割れ目、その奥にあるラビアをどけて、小指の先程の狭い膣口へと。 亀頭を触れさせ窄まっているそれを細い部分からねじりこみ、ミシリと震動が伝わった。 まだ拡張されきらない膣壁、それからさよの処女膜による抵抗である。「痛ぃ、けど。先生の赤ちゃんを産む予行演習って思えば耐えられる」 瞳に涙を滲ませ余程痛いだろうに、なんといじらしい言葉なのか。 これは絶対に生んでもらわなければと、竿に意志を込めてさらに貫いていく。 処女膜を広げ裂いていく感触を味わいつつ、ピッと一際大きく鋭い震動が走った。「はぅ、ぁっ」「さよ、もう少し。さよ」 最後にはブチブチとミチミチと処女膜を破り、膣の肉壁を押し広げながら。 むつきの一物がさよのせまい膣の中を蹂躙していった。 スカートに隠され今は見えないが、破瓜による血が流れ落ちている事だろう。 半分程度埋めたところで一旦挿入を停止し、出来るだけ手を伸ばしてさよを撫でた。「頑張ったな、もう直ぐさよもお母さんだ」「はい、元気な赤ちゃんを産みます。だから、先生。一杯、子種を。先生の子種を私の中にください。このお腹で育みますから」 ぽっこり膨らんだお腹を撫でつけ、さよがさらにその奥を望んだ。 奥だけではなくその結果生まれる新たな命さえ。 そんなさよの想いに答えるべく、むつきはミシミシとさらに奥へと向かった。 時々は後退して愛液を馴染ませ、むつきの形を覚えさせるようにしながら。「さよ、さよの中が温かい。ぬるぬるしてて、気持ち良い」「先生、恥ずかしいです。説明はぁぅ、んぁっ」 多少は痛みが和らぎ、喘ぐだけの余裕も出てきたのだろうか。 まさかとばかりにさよは口を両手で押さえているが。 彼女が喘いだ声、体が感じて愛液を増す快楽は、本物の事であった。 血と愛液で濡れた秘部は当初五分五分の量であったが、今や愛液が余裕で勝る。 自らの破瓜の血で汚れたむつきの一物を大量の愛液で洗い流していく。 もちろん流すのみならず、肉壁でしっかりとしゃぶりついては拭ってもいた。「さよ、ずいぶんスムーズになってきたぞ。これなら俺達の赤ちゃんも狭い狭いって泣かないぞ」「すーむず? ぁぅ、赤ちゃんが喜ぶならもっと。んぁはぁぅ、先生もっと」「さよ、好きになりたい。愛したい。お前は、お前の言葉も聞かせてくれ」「当然、んくぅ。大好き、愛してます。こんな恥ずかしい事を先生にぁっ。添い遂げます、一生添い遂げさせてください」 むつきがこれから始まるというのに、さよは既に大好きだと。 それこそ赤ちゃんも産むといっては、一生を添い遂げるとも。 男の征服欲がガンガンと刺激され、強すぎないよう気をつけてはいるが腰の動きが早まってしまう。 まだまだ小さなさよの体を、机の上で突き上げては赤ちゃんの通り道を開通させた。「さよ、そろそろ出る。赤ちゃんの種が出る」「中に私のお腹の中に。はぁん、でもその前に接吻を。熱い接吻を」「さよ、さよ、さよ!」 おねだりをされて、ついにむつきは掴んでいたさよの腰を手放した。 その代わり、上半身の全身で押さえつけるよう覆いかぶさった。 手と手は重ね合わせ、小ぶりな胸をカッターシャツ越しに感じ、唇を合わせる。 ただ合わせるのではなく濃厚な、下の口と同じぐらい涎を垂らし舌で絡み合う。 最初は戸惑っていたさよも、それがむつきの望みならと受け入れていた。「さよ、好きだ。愛してる。赤ちゃんの名前、名前決めないと」「私と先生のんぅっ、はぁ。私とむつきさん、さよとむつき」「さつき、漢字にすると誰かと被るか……誰かって誰だよ。兎に角、平仮名でさつき。さよも平仮名だから丁度良い」「ぁぅ、さつき。お腹の中にいますか、さつき。お父さんとお母さん、今頑張ってるから。はぁぅ、一年後、会いましょう」 ぱんぱんと腰を打ち付けあいながらの、宣言であった。 もはや二人共に完全に赤ちゃんを作るつもりでセックスをしていた。 普段避妊に拘るむつきも、そんな意識はさっぱりである。「イクぞ、さよ。子種が、さつきが来た。来たぞ!」「おいで、さつき。お母さんのお腹に、お父さんの袋から」「さよ、イク。さよ、イグぞぉ!」「ぁっ、お腹にさつきが、さつきが一杯。私も真っ白に、これイクってイキュぅっ!」 既に名前が確定した何万という子種が、苗床たるさよのお腹に吐き出された。 私こそがさつきとばかり、子宮口の狭い入り口を分け入り飛び込んで。 子宮の壁にびたびたとはりついては、泳いでもう一つの自分を探し始める。 精液が魂の元と例えれば、それは体の元である卵子であった。 それを探してさよの子宮の中を何万と言うさつきの元が泳ぎまわっていた。「まだ出る、もっとさつきが。さよ、さよお母さんの中に」「無理、もう無理です。お腹一杯で、さつきが一杯」 びくびくとむつきが腰を痙攣させるたびに、さよも連動するように体を震わせていた。 机からだらんと垂らしていた足も、こむら返しを起こしたようにピンと伸びている。 さよのスカートの中でつながり、何時までも果て続けた。「さよ、もう一回。次のさつきを」「はぁふぅ、先生少しだけこのまま。抱きしめていただいても」「ああ、さよの望みは全部叶えてやる。だから俺の望みも、もっとお前の中で果てたい」「はい、先生。私も先生に私の中で……」 休憩中でありながら、キスだけは止まらず二人は全身で繋がり続けていた。 むつきを文字通り叩き起こしたのは、本日何度目の事になるのか衝撃の一言であった。 大きさこそこれまでの比ではないが痛い事は痛い。 何しろマクダウェルの小さな足で顔面を蹴られたのだからそれも当然だ。 がばっと跳ね起きては、慌てて周囲を見渡した。 何時の間にか寝こけていたのか、ここはひかげ荘の遊戯室であった。 瞬く間に気後れ薄れゆく夢で見た、何処か、もう忘れたがどこかとは違う。 一体あの夢はと思っていると再度の衝撃、蹴り転がされては足で頬をぐりぐりと踏まれた。「貴様という奴は、どこまで節操がないのだ。夢見の世界だったからとはいえ、さよにまで手を出すとは。いっそその白く汚れた液で汚れた一物を切断してやろうか!」 もちろん、そんな趣味などないので退けようとしたのだが。 マクダウェルの指摘によって、ようやく気付いた。 浴衣の中に履いたトランクス、そのさらに中がねちょりと冷たく気持ち悪い。 嫁も恋人もセックスフレンドもいて二十五歳なんだぞと、浴衣をはだけ覗き込んだ。 ツンとする精臭と糸を引く液体が、むしろ弾丸貯蔵中の格納庫が暴発していた。「嘘だろ……」「sai@kaoraとの対戦中に急に部屋をイカ臭くしよって。なんとかギリギリで勝てたから良いようなものを。saiは負けてはいかんのだ。ええい、さよ煩い。悪いのはコイツだ。人間と幽霊が結婚して子供など作れるか。またご祝儀かと思ったぞ!」 もはやマクダウェルが恒例の妖精さんと会話しても気にすらならない。 むしろ、さよというキーワードでほんの少しだけ思い出した。 二年A組のように騒がない、からかわない、一部を除いて勉強をしない。 以前程ではないにしろまだどこかで心にひっかかっていたのか。 夢の世界で理想の生徒をつくりだし、穏やかな授業に心を穏やかに安らいだ。 のみならず、手放してなるものかとその理想の生徒を襲ってしまった。 詳しい内容までは定かではないが、コンドームすらせず中だしまでしたはず。 その結果が、この夢精で気持ち悪く冷たい股間の感触である。 目の前が真っ暗に、頭の重さに耐え切れないように首がくらくらとしてきた。「美砂達が徹夜で勉強に励んでる時に、俺なにやってるんだろ」「ナニだ。さよを犯して子供を作らせ、そのまま夢精だ。自分でも何を言っているかさっぱ、さっぱ」 威勢良くむつきを足蹴にしていたマクダウェルの言葉が、途切れては消えていった。「ぐす、情けなねえ。情けねえよ、死にたい」 ゆっくりと、鼻を鳴らしながらむつきが床へと倒れこんでいく。「俺がしっかりしないといけないのに、A組の担任になりたいのに。あいつらを否定するように理想の生徒を思い浮かべて、さらに犯して意味わかんねえ」 もう好きにしてとばかりに、起き上がろうとすることすらむつきは放棄していた。 トランクスの中の汚れによる不快さも忘れ、泣き崩れる。 さすがに口にこそしないが、もっと罰をと足蹴を許容さえしていた。 足蹴にして見下ろしていたマクダウェルから見たその瞳は、今にも白く濁ってしまいそうでさえあった。 俗に言う、ハイライトがないである。 とっさにやりすぎたと、足蹴にしていた足をそっとどけるほどに。「お、おい乙姫。くっ、煩いさよ耳元で喚くな。私は悪くない。そもそもお前が簡単に体を許すから若造が勝手に傷ついて。お、おいお前まで落ち込むな泣くな。私にどうしろと!?」 しくしくと、二人分なのか一人分なのか泣き崩れる声が響く もはやマクダウェルもおろおろと、怒りさえ継続できずにおたついていた。 もういっそ何もかも忘れてネット碁に戻りたいが、現在は非常に動揺している。 そのせいで敗北を喫してしまえば佐為の意志を継いで神の一手など及ばない。 何故こんな事にと、一番最初にむつきを追い詰めて置きながらそう考えた。 何一つ建設的な行動ができなかったマクダウェルを救ったのは、ネット碁のやり方を教えてくれた長谷川であった。「おーい、マクダウェル。さっき良い忘れたが、間違っても個人情報を……えっ、なにこの状況。マクダウェル、さすがの私も先生を怒らせた事はあっても、泣かせた事はないぞ?」 ただし、完全な救い主とはなりえぬようで、あらぬ疑いさえ向けられた。「ち、違う。私じゃない。ネット碁をしていたら、部屋が急にイカ臭く。寝こけていた若造が勝手に夢精したんだ。嘘じゃない、嘘じゃないぞ!」「うっ、夢精かよ。まあ、普段やりまくってる時にセックス禁止令で溜まってたもんな」「それだ。貴様や雪広あやかがセクシーな格好で迫るから、若造の股間が暴発したんだ!」「くそ、これ幸いにと指摘しやがって。分かったよ、委員長連れてくるから待ってろ。くそ、柿崎達全員気絶するように寝てるんだぞ。私らがするしかないのか」 囲碁同様、なんとかマクダウェルが勝利をもぎ取った。 しかも長谷川はその件でからかい叱られたばかりで、強くは言い出せない。 ちくしょうと髪をかき乱しては、両腕を組んで仰け反るように偉ぶるマクダウェルを置いて雪広を呼びにいった。 これから一風呂浴びてリフレッシュのはずがとんだ飛んだ災難である。 数分と経たず小走りとなった雪広が長谷川に付き添われて現れた。「おい、早くしろ。さっきからこいつ、絶望しかけているぞ」 どうやら必要なのはピンクの人ではなく、指輪の人らしい。「事情は道すがらお聞きしましたが。これ、先程叱られた行為ですわよ。長谷川さん、後でアフターピルを用意しますので二人で飲みましょう」「怖い事を言うなよ。大河内の時だって、言えば一線は守ってくれたんだ。一応まだ理性は残ってるだろ。あと、授乳役は委員長な。胸大きいから、別に悔しくねえぞ」「仕方ありませんわね。先生、襲わないでくださいね」 そう蹲るむつきに言いつけ、二人共に同じく衣服を脱ぎ始めた。 長谷川は黒いセーラー服のようなコスプレ、雪広は胸の谷間が露な白い西洋ドレス。 黒いセーラー服の下から可愛らしいレモンイエローの中学生らしい下着が現れる。 一方の雪広はむつきにさえセクシーと言わしめたあの白いガーターベルトであった。 雪広はそこからさらに、レースのブラジャーを外していたが。「くっ、たわわに実りよって」 下着姿となった二人を前に、マクダウェルが拳を握ったりしつつ。「先生、さあお吸いになって。今回だけですわよ。きゃっ」 泣き崩れるむつきの前に雪広がしゃがむと、早速押し倒された。 普段よりも幾分乱暴に小さな子が大好きなお姉ちゃんに抱きつくかのように。 危うく床で頭を打ちかけたが、なんとか大事には至らず。 ちゅうちゅうと乳房を吸われて大きな子供ですことと、頭を撫で付けた。「んぅ、はぁ……ちょっと感じてしまいますわ。長谷川さんも、先生のお背中から」「もう、これ。わざとなんじゃないか。セックスフレンドとして、どんどん深みに嵌っていくよ。先生、でかぱいに飽きたら、程ほどの私のもあるからな」「でかぱいとは失礼ですわよ、長谷川さん」 そのような事を言うと渡しませんわよとむつきを頭ごと雪広が抱きしめる。 良くやると、半ば呆れつつも長谷川もブラジャーを脱いでむつきの背中から抱きついた。 雪広と二人でむつきをサンドイッチする形であった。 長谷川は首筋や背中にキスをしては胸を押し付け、背中から心音を聞いてやったり。 深層心理の中で転げ落ちていくむつきを必死に拾い上げようと体を差し出した。「ごめんな、ごめんな雪広。長谷川、他の皆も。俺、お前らの事好きだから、それは嘘じゃないから。好きだ、神でも仏でも、何に誓っても良い。好きなんだ」「うっ、答えに窮しますが。私もその、先生の事は……おな、同じ。その……」 ただ行為はまだしも、雪広は突然の告白染みた言葉にうろたえるのが精一杯。「直前で逃げんなよ。はいはい、私も先生の事は結構好きだから。おわ、急に振り返るな。次は私の搾乳タイムかよ。んっ、さりげに乳首転がして遊ぶなよ、たく」 しかし、長谷川はそこまで意味深な好きではないと理解しての事か。 きちんと言葉にした瞬間、振り返ったむつきに乳房を吸われていた。 だが決して不快そうではない、先程はあれだけ押し倒された時に暴れたというのに。 仕方がないなと照れ笑いさえする長谷川であった。「もはや言葉もない」 そんな二人を見てやれやれとでも言いたげに肩をすくめたのはマクダウェルだ。「ぶっちぎりで先頭を突っ走るナギとは全然違う。それでも女が周りに集まるのは一応人望があるからか。イカ臭いのぐらい我慢するか。さよ、次はお前の番だぞ」 そう彼女だけに見える妖精さんに声をかけたわけだが。 当人は、むつきと同じく泣き崩れていたはずが、すっかり立ち直っていた。 それどころか、赤らめた顔を両手で覆いながら、ひゃーっと悲鳴を上げながら搾乳プレイに興味津々だった。 当然、そんな状態の妖精さんにマクダウェルの言葉が届くはずもなく。「楽しいからいい。私には神の一手を極める使命が……楽しいもん」 マクダウェルは自分のIDで次なるsaiを名乗る不届き者の成敗に向かった。 共に道を歩むはずだった友達を取られた気がして、ちょっとすねながら。 -後書き-ども、えなりんです。さよ回なのか、千雨回なのか微妙なところですが。この落ちが読めた方がいたら、脱帽ものです。そりゃ、夢ん中でセックスすりゃ夢精ぐらいします。直前で、刺激的なものを一杯見てましたし。仕方ないね。かつて、二次創作内で夢精する主人公がいただろうか。繋がったまま寝てて目覚めると同時に中に射精とかは抜きで。まあ、こんな主人公ですがもう少しだけ続きます。それでは次回は土曜日です。