第六話 先生に一杯私を見て欲しい たった数日の事で、人生が良い方へ良い方へと流れ始めていた。 未だぎこちないところは自覚できるものの、随分と授業がしやすくなった。 周りが変わったのではなく、変わったのはむつきの方である。 今までは心のどこかで何か間違えてはないか、上手く伝わっているかと自問自答が多かった。 だが先日、超達に諭された通り、上手く行くかどうかではなく、自分はこうなんだと自分のやり方で伝えてみた。 もちろん間違っていれば、分かりにくいと生徒は答えてくれるので直せば良い。 そうして少しずつ、正しい事を正しく伝えられるように自分を研磨していくだ。「うむ、最近生き生きしとるね乙姫君」「あ、新田先生。少し、生徒に教えられまして。素の自分で思い切りやってみる事にしました」「それで良い。若い時は体当たりの全力で、若さが生徒に追いつけなくなれば経験で。ゴルフと一緒だとは思わんかね?」 珍しい新田のドヤ顔であったが、ゴルフを知らないむつきにはピンとこなかった。 新田も外したと即座に分かったようで、咳払いをしていた。「君の今のやり方は私も賛成だという事だ。少し前まで、君は教師であろう教師であろうと無理をしていたからね。ただ……」「ただ?」「あの言葉使いはいかんよ。どうも口癖みたいで悪意はないが、この野郎はいかん。君のクラスの生徒は比較的明るい子が多いが繊細な子も当然いる」「す、すみません。中々、とれなくて。気をつけてはいるんですが」 誰かを傷つけてからでは遅いと言い、最後に口うるさくて済まんなと言って新田が去っていく。 基本的にその口調は生徒の前だけでのはずだが、何処で耳にしたのか。 案外、その繊細な誰かが相談したのかなと想像する。 少々興奮したり、口元が滑らかだと直ぐに出てしまうこまった口癖だ。 気をつけようと心のメモ帳に赤字でメモし、鞄を手にデスクから立ち上がる。 今日は久々の残業なし、週も半ばを過ぎようとしていた。(今日は美砂とゆっくり電話ぐらいできるか。後二日、そうすれば連休のひかげ荘でエッチ三昧だ。エッチなお願いされたいとか、天使か!) 思わずニヤケそうになる顔を必死で抑え、お先にと仕事が残る方々に頭を下げた。 廊下に出ると放課後真っ只中で、生徒の姿がちらほら見える。「あっ、先生!」 呼びかけに振り返ると、レオタードにジャージの上を羽織っただけの佐々木がいた。 子犬のようにひょこひょこ走ってくると、唐突に片手を上げてくる。 よく分からないがハイタッチのように見えたので手をあげてみると、パチンと叩かれた。 間違ってはいなかったようだが、その意味を謀りかねて尋ねる。「なんか良い事でもあったのか?」「何がです?」 小首を傾げて、なんの事とばかりに問い返してきた。 なんとなくしたかっただけで意味はなさそうだ。「それはともかく、お前その姿なんとかならんのか。女子中だからいいが、せめて下もジャージ履いてこい。この……」 ついさっき新田に注意されたばかりなので言葉を噤んだが。「野郎」「なんか溜めを作られた!?」 佐々木が繊細とも思えず、そのまま言い放った。 びっくりはしたが傷つきはしなかったようで、何か変かなと自分の姿を見始める。 しばしうんうん唸っていたが、ようやく気付いたようだ。 長袖のジャージはやや小さめの佐々木の体を股上数センチまですっぽり包みこんでいる。 中にレオタードを着てはいるが、ジャージの裾から三角形の食い込みのみ見えていた。「もしかして先生。私の姿を見てドキドキしたとか? ついに私も大人の色気が」「するか、常識的視点だ。あと鏡見てこい、現実がしっかり見えるから」「わーん、絶対綺麗になってやるぅ!」 何やら泣き真似をしながら去って行き、途中で何かを思い出したように帰ってくる。「わ、忘れてた。二ノ宮先生に用事があったんだった」「コントか。二ノ宮先生なら中にいたぞ。職員室内で大声で呼んだり、騒ぐなよ」「はーい、先生ばいばい」「ばいばいって、お前。部活頑張れよ」 小学生かと言いたかったが、落ち着きなくすでに佐々木は職員室の中だった。 注意したのに大声で失礼しますと入っていく。 怖いもの知らずとは、ああいうのを言うんだろうなと思ってしまう。 この中学を卒業する頃ぐらいまでには直るかどうか、直してやらにゃと思った。 それから職員用玄関に向かおうとして、ふと思い出したように手持ちの鞄を探る。「あれ、やっぱり。教室か?」 スケジュール張が見つからず、見えもしない教室の方角を見上げた。 生徒に見られてはいけない情報は入っていないが、クラス別の授業の進度など失くすと困る一品である。 今日は残業をしていないし、置き忘れるとしたら教室であった。 少し小走りになって教室に戻ってみると、まだ生徒が残っていた。「きゃはははは」「あれ、先生どうしたの?」 残っていたのは椎名と釘宮で、お喋りをしていたらしい。 椎名が死にそうなぐらいに腹を抱えて笑っているが、釘宮は殆ど素だ。 一体何を話していたのやら、単に椎名の笑いの沸点が低いだけか。「ちょっと忘れもの」 教卓の下を探ると、目的のスケジュール張があったので回収する。 改めて二人をみやり、トリオの最後の一人である美砂がいない事に気付く。「あれ、お前ら部活はどうした? 柿崎もいないみたいだが」「美砂なら用事があるって。私らも、それならってサボり」「慌てて飛び出してったよ」「ふーん、たまにはいいけどサボリすぎんなよ。癖になったら、終わりだ」 気のない返事を返しながらも、その用事とはと思いをめぐらせる。 特にメール等は来てなかったはずだが、むつきには全く関係ない用事か。 後で聞いてみようと決めて、今度こそ帰路に着こうとする。「先生、帰っちゃうの? 折角だから、お喋りしてかない? またお爺さんのお話聞かせてよ」「お前らだけに話すと、他が煩いだろ。それにしても爺さん、大人気だな」「苗字が苗字だし、九十年一人の人を追いかけてるとか、ちょっとロマンチック?」「お爺ちゃんじゃなけりゃ、完全にストーカーだけどねー」 一応一度は別の人と結婚したのだが、その辺は華麗にスルーされている。 勘の良い者は、そうでなければむつきがいるはずがないと気付いているが。「それじゃあ、俺は帰るが。お前らもサボリならサボリではやく帰れよ。もう三十分程で見回りの先生くるぞ。サボりなんて言ったら、行けって怒られるぞ」 はーいと間延びした返事が帰って来たので、あとは自主性に任せ帰路に着いた。 生徒が少ない事を良い事に、美砂にメールをうちながら廊下を歩く。 その時、画面に集中していたので気付くのが遅れた。 突然誰かに腕をがっしり捕まれ、あやうく携帯を落としかける。 本当に唐突でビビッてしまったが、それはどこか思いつめた表情の美砂であった。「びっくりした……柿崎、釘宮と椎名なら。あれ、用事はどうした?」「先生こっち!」 引っ張られるままに足を動かすと、そこは社会科資料室のドアの前であった。「開けて、早く!」「ああ……」 周囲を見渡し警戒するような美砂に急かされ、とりあえず鍵を開けると背中を押された。 説明ぐらいしろと不満も溜まるが、とても口を挟める様子ではなかった。 ぐいぐい押され二人が資料室に入ると、誇りとカーテンに夕日を遮られた薄暗い空間に閉じ込められる。 美砂が鍵を閉めた事で、尚更この空間に閉じ込められた事になった。 その美砂は感極まったように駆け寄り、そのままぶつかるように抱きついてきた。「先生、やっと二人きりになれた。直ぐそこに先生がいるのに、見てるだけなのが切ない」「美砂、寂しいのは俺も一緒だから、あんまり学校で無茶すんな。一応他の社会科の先生もこの部屋の鍵を持ってんだぞ。比較的安全だが、絶対じゃないんだ」 そう言いながらも、むつきも美砂を抱き寄せ髪や首筋に顔を埋めては匂いをかぐ。 説得力のない行動だが、嘘は言っておらず、校内に安全にイチャつける場所などない。 麻帆良市の中でもそれは同様で、絶対といえるのはひかげ荘ぐらいだ。「だって、最近の皆ちょっと私の先生に馴れ馴れしすぎ!」「それが一番の本音か。お前なぁ、自分で切っ掛けつくっといて……」「あれは彼氏が素敵な人って自慢したかっただけで、馴れ馴れしくして欲しかったわけじゃないの!」 そう地団駄を踏んだ美砂があれこれと、むつきと生徒の触れ合いをあげはじめた。 先程もしたまき絵との無意味なハイタッチや、お昼のお誘いなんてものもあった。 ただそれは、爺さんの恋の軌跡を聞きたいと言う目的つきだったが。 むつきにとっては生徒との距離が縮まり、授業もしやすく良い事尽くめだった。 最近はあの神楽坂でさえ、朝に出会えば挨拶をしてくれるのだ。 直ぐにそっぽをむいてしまい、近衛に毎回フォローされてはいたが。 しかし美砂としては、同年代の女の子がまとわりついてと嫉妬せずにはいられなかったようだ。「すまん、仕事が上手くいって良い事ばっかりだと思ってた」「私こそ、先生を困らせてごめん」「嫉妬してくれるのは正直、嬉しいけどな。ただ覚えておいてくれ。お前は俺の可愛い彼女、アイツらはただの生徒」「ん、私にだけ可愛いって修飾子がついててよし。先生、分かってる」 むつきが意図したわけではないが、美砂の自尊心を程良く刺激したらしい。 今度は感情に任せるままではなく、両腕で包み込むように抱きついてきた。 ただそれでも寂しさや切なさ、嫉妬も含め全て解決というわけでもないようだ。 力こそ強く込められてはいないが、しっかりと密着するように抱きつき、むつきの胸板に顔をうづめていた。 すんすんと鼻を鳴らして匂いを嗅いだりと、あらゆる手段でむつきを感じようとしている。「満足したか?」「う、うん……まだちょっと」 一度頷きかけたが、まだまだ足りないと離れる様子はない。 むつきも寂しいと言葉にした通り、もう少し美砂を感じていたかった。 頭を撫でていた手を腰に伸ばしてぐいっと抱き寄せる。 多少股間を密着させたが嫌がる様子もないので、今夜のおかず要にぐりぐり感触を味わいもした。「週末、どうする? ひかげ荘でも、遠出でも。美砂のリクエストになんでも答えてやる」「ひかげ荘……先生に一杯私を見て欲しい」「なら前借り、良いか?」「え?」 返答を待たずに、美砂のスカートの中に手を伸ばした。「美砂とキスがしたい」「いいけど、キスだけでいいの?」「美砂の下の口にキスしたい」 やけに表面積の少ない下着だと思いながら撫で回していた尻のラインをなぞり、秘部へと指先を動かす。 ここ、この口にキスがしたいと、薄い布の奥で閉じられた口を少し開いた。 むつきが何処にキスをしたいのか遅ればせながら察した美砂が、カッと頬を火照らせる。 分厚いカーテンで夕日が遮られたこの部屋の中でも十分それが見て取れた。 羞恥に困惑するこの顔を見れただけでも、お願いした意義はあったかもしれない。「い、いいよ。お休みには全部見せてあげるつもりだったし」「恥ずかしいかもしれんが、その分気持ちよくしてやるからな」 ちょっと待ってろと、保険の為に出入り口の引き戸につっかえ棒を差し込む。 これ数学の道具だろと突っ込みたい、黒板用の巨大な三角定規をだ。 数学教師の誰かが横着をして放り込んだのかもしれない。 そんなどうでも良い疑問は、美砂とのキスの前では小さな事である。 再び美砂の前に戻り、もじもじとスカートの裾を弄ぶ手に視線を合わせるように座り込む。 スカートから伸びる白い足、柔らかそうな太ももをまじまじと眺めはしても触れない。 まだ、自分からはと美砂を見上げて、意地悪そうに言った。「美砂、スカートをたくし上げてくれ。エッチな言葉でお願いしてくれるか?」「知ってたけど、先生の変態。見られるだけでも恥ずかしいんだけど」 抗議ならぬ抗議を嬉しそうに口にしながら、美砂がスカートの裾を弄ぶのをやめた。 震える手でスカートの裾をつまみ直し、ゆっくりと持ち上げていった。 白い太ももがさらに根元まで、普段絶対に日の目を見ないはずの場所をさらしていく。 そんな太ももも眼福だが、そこだけに目を奪われるわけには行かない。 堅く口を結び、夕日以上に顔を赤くしながら羞恥に耐える美砂を見上げる。 性欲と同様にむくむくと悪戯心が膨れ、白い太ももの上につっと指を走らせた。「んっ……悪戯しないの。もう」 キュッと瞳を閉じて体を震わせては、弱々しく言った美砂がたまらない。 ここが学校でなければ、美砂の名前を叫びながら暴走していた事だろう。「すまん、すまん。凄く綺麗な足だったから、ついな」「むう、困ったら直ぐそういう事を言うんだから。嬉しいけど……」 この時、別の意味でニッと美砂が笑った事に、むつきは気付かなかった。 美砂の羞恥顔を堪能し、再び現れる太ももに目を奪われていたからだ。 段々と付け根、股ぐらに近付き厚みを増していく太ももが、逆のカーブを描きだした。 もう下着が見えるまで数センチという事だろう。 今一度美砂を見上げ、囁くように見せてと言うと無言でこくりと頷かれた。 再び上昇を始めたスカートの奥から、ついに美砂の下着がその姿を現す。「え?」 その色は見間違いでも、夕暮れのせいでも間違いなくない。 いや先程、尻を撫で回した時に布地の少なさにもっと違和感を感じるべきであった。 股と腰のT字に覆うタンガ、フリルや編みこみも丹念にされている。 何よりも意外と叫びたくなる真っ赤なそれは、もはや男を興奮させ誘う為だけにあるようなものだ。 誰が予想する、活発で可愛い女子中学生のスカートの奥から、世の女が勝負パンツに選びそうな一品が出てくると。 少々唖然として、美砂を見上げると悪戯成功とばかりに笑顔が張り付いていた。「昨日の夜に通販で買って、さっき寮にとってきた。本当は週末に着ける予定だったんだけど、もしかしたらって……可愛い?」「くっそ、お前の方が何十倍も可愛い。預言者か」 未来が読めたのか、襲うと見透かされたむつきが分かり易いのか。「じゃあ、次の予言。先生はこれから私にすっごくエッチな事をしちゃうの。私が少しぐらい嫌って言っても意地悪な顔で強引に」「そりゃ確定事項だ」 外れちゃったと笑いながら、美砂が改めてスカートを持ち上げなおして言った。「先生、学校にエッチな下着を着けてきた美砂に教育的指導して。男の人にこんなエッチな下着をつけて見せると、どんないやらしい事をされちゃうか実技で教えて?」「ああ、指導してやる。こんないやらしい女の子には、男の怖さをたっぷりと教えてやらなきゃいかんな。覚悟しろ、この野郎」 多少理性を捨て去り、むつきは美砂の秘部に抱きつくように顔を埋めた。 むつきは美砂に聞こえるように深呼吸をして、その匂いを胸の奥、杯の隅々にまで吸い込んだ。 新品というだけあって、まだ下着そのものは下ろしたての味気ない匂いであった。 多少こういう時の為に、何かの花の匂いはしみこませてあるようだが、それでも味気ないものは味気ない。 そこに味をつけたのは美砂自身だ。 釘宮の話では急いで教室を飛び出したので、寮と学校を急いで往復したのだろう。 ほんのり蒸れた汗の匂いと、先日も嗅いだこの微かな匂いは生理現象、言うなればおしっこか。 可愛い彼女のだとおしっこさえも、どうしてこう良い匂いに変化してしまうのだろう。「やんっ、先生犬みたい」 嬉しそうに言った美砂が、言葉とは裏腹に軽くむつきの頭を抑えてきた。 当然、手放されたスカートの裾はむつきの後頭部を覆い、包み込んだ。 生徒のスカートに顔を突っ込んで深呼吸するなど、完全無欠のアウトな行為。 それも生徒が部活動でいそしむ時間帯に、密室でとか残りの理性も吹き飛びそうである。 押し倒して鳴かせたい、何もかも捨て去って中に出して孕ませたい。 そんな欲望を堅固にも押し留めたのは、先日欲望に任せて美砂を抱きしめ怖がらせた事だ。「先生?」 ぴたりとむつきが止まったのを不審に思い、スカートの中へと向けて美砂が尋ねてきた。 その中でむつきは落ち着けと深呼吸をして、美砂の匂いを吸い込み失敗したり。 時間を掛けて落ち着けてから、スカートから頭を引いて美砂を見上げていった。「美砂、もう一度スカートを持ち上げて。脱がすから、美砂の大事なところを見せてくれ」「うん、先生だから見せてあげる」 先程とは違い、それほど時間をかけずに美砂がスカートを持ち上げなおした。 改めてカーテンから漏れる夕暮れの陽の中で、美砂の悪戯の一品と対面する。 そしてその下着が真の意味で勝負下着である事を理解した。 というより、美砂はそれに気づいているのか。 美砂の秘部を包む部分に両側から手を伸ばし、生地を伸ばすように開いた。「先生、破らないで。変えは持ってきたけど、ちょっとお小遣い的に痛かったから」「お前これ、いくらなんでもセックスアピールが過ぎるだろ。自重しろ、中学生」 そう呟きつつ、開く事で現れた美砂の秘部の谷間を直接指でなぞる。「ひゃっ。あれ、なんで……先生まだ脱がして」「勝負下着なんてセックス前提だが。これはまたその一個上だろ」「何が、破れじゃ。何それ、だめ見ちゃだめ!」「くっ、すまん美砂。予言に従い体が勝手に……」 やはりそういう機能に気付いてなかったようで、美砂が手で秘部を隠そうとする。 美砂の秘部は、甘露をぷっくり膨らませる細部まで丸見えであった。 挿入用に空けられた下着の股間部分にある穴から。 それを隠すなんてとんでもないと、伸ばされた手を素早くむつきが掴んだ。 いかにも不本意だという言葉を口にしながら、意地悪そうな笑みを浮かべて。 もはや完全に美砂の予言が的中してしまっている。「エロくていやらしい彼女がいて、嬉しいですよ俺は」「手離して、先生。もう、絶対あのサイト使わない。帰ったら直ぐ解約して、んっぁ」 怒りに任せ少し暴れた美砂を大人しくさせようと、割れ目から膨れる甘露を唇で吸い取った。 一瞬で腰が引けた美砂を追いかけ、まだ花開く様子のない幼いとも言える割れ目を舌でなぞる。 砂糖水よりも甘いと痺れる脳で誤理解しつつ、流れ出てきた新たな甘露を舐め取った。 それこそ一匹の大型犬になったつもりで、舌で舐めては口付けをした。 上の口のファーストキスが貰えなかった分を取り返すように、執拗にだ。「せ、先生……もう、隠さないから。手を、離してお願い」「ほら、恥ずかしいなら顔を隠せ」 美砂は瞳の方はキュッと閉じて、口元の方を両手で押さえ始めた。 どうやら、声がでそうなのをがまんしたかったらしい。 確かに耳を澄ませば校庭で部活動にいそしむ生徒、はたまた廊下か何処かでお喋りしている声が微かに聞こえた。 聞こえるという事は、余り大きな声だと逆に聞こえてしまうという事でもある。 最も姦しく喋る彼女らに聞こえるようにするには、拡声器でも必要そうだが。「ん、ご馳走様でした」 美砂が口元を抑えたのを良い事に、むつきはさらなる段階へと進んだ。 ふやける程に舐めて口付けていた秘部から顔を離して、谷間の両端に親指を添える。 そしてほんの少しの力で動くようになったそこを、クッと開いた。「んんッ!」 甘露など生優しくはない、まさに肉汁が溢れ出てきた。 これがもう少し寒い二、三ヶ月前なら湯気でも出たのではと思うような蒸れた匂いもする。 太ももにまで流れていこうとする肉汁を丹念に舐めとり、改めて美砂の秘部を眺めた。 まだ数回した使った事のないそこは、綺麗な桃色であった。 クリトリスは恥ずかしそうに皮の奥深くであり、小陰唇も花びらのように美しい。 下着のややきつめとも言える赤が、尚更淡い美砂の陰唇の美しさを引き立たせてもいた。 天才、魔女、天使、預言者、他に何があると例える言葉が思いつかなかった。「せ、先生……」 今自分の全てが見られていると、美砂の訴える声も儚いほどに小さい。「凄く、綺麗だよ美砂」 後頭部を覆っていたスカートを払うようにし、美砂を見上げて伝える。 本人は喜んでよいやら、恥ずかしがって良いやら。 軽く混乱して口元を押さえたまま頷いたり、首を振ったりととても忙しい。 そんな美砂へと喜んで良いのだとばかりに、むつきは今一度口付けた。 谷間を作っていた大陰唇ではなく、そのもっと奥、むつきに晒された膣口にである。 溢れる肉汁がむつきの唇を汚したが、むしろ飲み干すとばかりに口を開け舌を伸ばした。「あッ、ぁぁ。うそ、入ッ……」 また引き始めた美砂の腰を手で押さえ、舌をうねらせ膣内へと侵入させた。 伸ばせる限り奥へ、時々は中の肉壁を味わうように伸びたり縮んだり、回ったり縦横無尽に駆け巡る。 もう湧き水のように溢れる肉汁は、むつきの顔を汚し、顎の先から床に滴ってさえいた。「先生、気持ち良ぃ。声が、もうがまん……」 腰を引く事もままならず、むしろ砕けそうになってむつきの頭にしがみ付いてきた。 慌てて片手だけ口元に置くが、コレまでの様に上手く機能してはいなかった。 むつきもまだまだと、直接的な刺激だけでなくこれぐらいならと音を立てる。 今自分が何をされているか、耳でも理解するように肉汁となる愛液を舐め、舌でかき回す水音を。「イク、イッちゃう。先生、助け」 今正に美砂がイこうとした瞬間、「あー、面白かった。くぎみー、面白い」「くぎみー言うな。いや、桜子が笑い上戸なだけだと思う。明日は晴れるかなって呟いただけで何故笑う」「きゃははは、房州さんだ、房州さん」「さっぱりわからん」 親友二人の声が廊下から響き、美砂は再び力を取り戻したように口元を押さえた。「それにしても、美砂慌てて何処行ったんだろ」「んー、なんとなくまだ学校に、ん? 戻ってきた気がする」「って、そこ社会科資料室。先生しか鍵持ってないし、いるわけないじゃん」 何故わかると、むつきまでも椎名の勘の鋭さに舌を巻いた。 実際、美砂の膣の中で巻くどころか回転していたが。 見上げた美砂があまりにも必死に口を押さえているので、悪戯心がわいた。 一度舌を抜いて、代わりに中指を温かいその中へと埋めていく。 その方が奥まで届くし、美砂の羞恥にさらに怯えが混ざった顔が近くで良く見える。 なかなかに下衆い感情が湧き出したが、男として止められない。「美砂、いっそ扉の前の二人に教えちまえば我慢しなくて良くなるぞ。私はここにいるって。先生に大事な所を舐められ、今は指入れられてるって」 囁きに対して、必死に首を振った美砂の目尻には涙さえ浮かんでいた。 くにくにと膣内で指を曲げると、上の口の代わりに止めてと訴えるように締め付けてくる。 多少嫌がっても意地の悪い顔でという予言が頭を過ぎり、その通りだと抗えない。 ぞくぞくと湧き上がる黒い感情を更に刺激され、その涙を唇で吸い取り続ける。「それとも指だけじゃ、足りない? 美砂の大事なところに俺のを深々と挿して登場するか? セックスしてるの、大好きな先生と赤ちゃん作ってるのって。二人はどんな顔するだろうな」 そこが我慢の限界であったようだ。 元々締め付けの強い美砂の膣内が、より引き締まったようにむつきの中指を締め付ける。 美砂本人も咄嗟に抱きつき、声だけはとスーツの上から噛んできた。 ビクビクと体を振るわせ、イキながら二人が去るまでその強烈な波に抗った。「桜子、そんな何もないドアみてないで行こう。美砂には後で聞けば良いし、今日の晩御飯の方がよっぽど大事」「ましゅまろ豆乳鍋!」「却下、そんなわけわかんないもん」 えーっと言う椎名の謎の抗議を最後に、二人のお喋りの声は遠ざかり消えていく。 それでもまだしばらく、むつきにしがみ付いていた。 そして最低でも一分後ぐらいに、力を失いむつきの体の上を滑り落ちていった。 へたりと地面に座り込み、はあはあと荒い息で安堵の息を同時についていた。 むつきの方は、いやいやハプニングでしたと可愛い美砂が見れて大満足だったが。「ん~……」 息が整い次第、そんなむつきを見上げて美砂が睨みつけた。 そして飛び掛るようにむつきに体当たりし、両の拳をぽかぽかぶつけ始める。「先生の馬鹿、馬鹿。すっごい恥ずかしかった。円と桜子がいたのに、もう。見つかったらどうしようって焦るのに、意地悪するし。なんなの、無茶するなって言ったの先生なのに」「痛っ、割とマジで痛い。あんまり大声出すな、まだ他に誰か」「もう知らない。優しく可愛がってくれなきゃ、もうさせてあげない!」 結局それはするのが前提の気もするが、すっかりへそを曲げてしまったようだ。 確かにやりすぎたし、危険な行為だったと背中を向けそっぽを向く美砂を抱きしめる。 頬に頬を当て、囁くようにごめんと呟きご機嫌を伺う。 だが少しばかり根は深いようで、ぷいっとそのままそっぽを向かれてしまった。「知らない」「次は絶対やさしくする。意地悪はなし、甘々、イチャイチャのとろけるようなセックス」「甘々、イチャイチャ。それもとろけるような……コンドームは?」「鞄の中に常備してる」 ほんの少し振り向かせる事に成功したが、まだ少し疑っているようだ。 しばし向けられたジト目に対し、出来るだけさわやかイケメンを目指し微笑む。 イケメンの部分は、美砂に対してのみ有効な部分ではあったが。 少しは効果があったらしく、今再び悩んだ美砂はむつきのとある部分を見た。 スーツのズボンは完全に盛り上がっており、静まるまで絶対外を歩けない。 誰かに見つかれば、即座に通報ものである。「死ぬ程恥ずかしかったけど、一応は良かったし。一度だけ、一度だけ許してあげる」「そっか、悪いな美砂」 まだこっちは向いてくれないが、お許しを頂けたので抱く腕に少し力を入れた。 美砂も少し体を預けれくれ、優しい時間を過ごす。 付き合い始めてまだまだ五日目。 本当は毎日でも、一分と欠かさず共にいたいが、それが叶わぬ身の二人である。 その腕の中でもぞもぞと美砂が動き、少しずつ向きを変えて正面から抱き合う。 そして確かこの辺にと、むつきの鞄に手を伸ばし、コンドームの箱を取り出した。「美砂、あのな」 むつきが言う前に、ちゃんと切ってますと短く切ってかつ磨き上げた爪を見せる。 美砂としては伸ばしてネイルとかに挑戦してみたかったのだが、しょうがない。 こっちの方が大事だもんと、箱から取り出したコンドームを掲げてニンマリ笑う。「場所はそこでいっか、なんとか座れそう」 半分物置と化した椅子を目ざとく見つけてから、むつきの前にしゃがみ込む。 鼻歌交じりにベルトを外して、ズボンとトランクスを脱がす。 飛び出してきた一物に少し硬直してしまったが、恐る恐る手で触れる。 初夜に一度、むつきに促がされてお風呂の中で触ったが、自分の意志では初めてだ。 こんな物が中に入ってたんだと、驚愕と恐怖、好奇心に刺激されながらコンドームを付け始めた。 むつきに教えられたとおり、ややおっかなびっくり。(美砂は楽しそうだけど……なんだろ、俺すごい間抜けな気がする) 生徒である美砂にズボンを下げられ棒立ちと、むつきは遠くを見ていたが。「あはっ、上手にできた。イチャイチャセックスしようね」「どこに向かって喋ってんだ。彼氏はこっちだ、この野郎」 最後に少し思い切ってゴムをつけた一物にキスして準備完了であった。 今度はむつきの方が機嫌を損ねかけたが、美砂相手に大人気ないとなんとか耐える。 また本能に任せて苛めたりすれば元の木阿弥、今は俺が天使、むしろ仏と広い心で許してしまう。 それから美砂が見つけた椅子になんとか腰掛け、両腕を広げる。 こんな汚い部屋に美砂を寝かせられないので必然的に対面座位であった。 この二人、何度かセックスしているものの、未だ正状位でした事は一度もない。 クンニや手マンも、さっきが初めてと、色々順番がチグハグだったりもする。「初めてした時の事を思い出すね。先生、私にセックス教えて?」「ああ、教えてやるよ美砂。お前の知らない事を一杯な」 あの時とは違い、むつきもはぐらかさずに喜んでと答え返す。 それでもガ二股はちょっとと、むつきの一物を飛び越えるようにピョンと美砂が抱きついて来た。 その美砂を受け止め、腰を掴むとそそり立つ一物へと美砂の秘部を誘導する。 穴あきの勝負パンツなので、脱がす必要もずらす必要もなく完全着衣。 しかも美砂は学校の制服と、男の夢を一人占めした気分のむつきであった。「ほら、入れるぞ」「んっ……ぁ、あっ」「丹念に準備しただけあって、何時もよりぬるっと入ってくな。美砂、大丈夫か?」「うん、凄く入れやすい。随分楽だし。あれだけ恥ずかしい思いしたんだから、コレぐらいの恩恵は当然」 途中からむつきは美砂の腰を手放してみたら、美砂だけでちゃんと最後まで入れることができた。 根元までずっぽりと、とても数日前まで処女だったようには思えない。 ただそれでも、やはり最初の挿入は一苦労だったようで入れきった直後にはもたれかかって来ていた。「はぁ~ぁ、ぁ……先生が私の中に、ぴくぴくしてるのが分かる。先生、私の中」「気持ちいいよ、美砂。きゅうきゅう締め付けてくる。ちょっと俺も深呼吸、気を抜くと一人でイキそうだ」「私も……」 それは深呼吸と言うべきか、お互いの体、衣服に鼻を埋めて匂いを吸い込む。 むつきは美砂の女の匂いを、美砂はむつきの男の匂いを。 胸いっぱいに吸い込んでむつきの一物がぴくりと反応すれば、美砂も反応してキュっと膣を締める。 ある意味でwin-winの関係を構築しつつ、徐々に腰を使い始めた。 古臭い椅子の上なのでやけにギシギシ煩いが、二人の耳にそんな無粋な音は遠くもあった。 何故なら吐息が、興奮してふうふうと獣のように喘ぐ互いの息遣いの方が耳に残ったからだ。 異性である自分と肉体的に触れあい息を乱している、ソレは何故か。 受け入れているから、むしろ触れ合う事で好意を増しているから。「美砂、好きだ。今は立場を忘れて、美砂の事だけを考えたい」「私も、先生の事だけ考えたい。今なら言える。円や桜子に見られても、セックスしてるのって。先生が好きだから、赤ちゃん作ってるんだって」 恥ずかしいと叩いてきたのはなんだったのかと問いかけたくもなる美砂の言葉にむつきが反応した。 無論、下半身的な意味で、美砂の膣の中で一回り大きくなった。「言いたい、俺達は付き合ってるんだって。ばらして楽に、大っぴらに付き合いたい。一緒に寝て起きて、朝夕と飯作ってくれ。一緒に学校にくれば良い」「私も、皆に言いたい。私の彼氏だから、馴れ馴れしくするの禁止って。先生のをくわえ込んで良いのは私だけって」 校舎、制服、スーツ、二人を邪魔するものに囲まれ本音が漏れる。 一緒にいたいずっと一緒に、自慢したい独占したいと。 薄いゴムでさえも、邪魔と破り捨てたくなりながら、せめてもと口付ける。 下の口が無理ならと、上の口で舌を挿入しては吸い付き舐めあう。 夕暮れも落ち着き次第に薄暗く静寂が広がり始める中で、人知れず交わりあった。「んぅ……もっと、キス。ぁぅ、先生。好き」「全部、お前の全部俺のもんだ美砂」 お互いに高めあい刻一刻と、最後の時を迎えようと口と腰を動かす。 そんな時であった。「誰かいるの?」 コンコンとドアをノックされ、廊下の側から女性の問いかける声が聞こえたのは。 高ぶった気分が一瞬にして冷え込み、特にむつきの一物が小さく収縮した。 体内の圧迫感を突然失い、喪失感に美砂も少し我を取り戻す。 二人して口をパクパクと言葉も出ず、意志も疎通できずに、だが同じ事を願っていた。 さっきのは嘘、ばれたくないばらしたくない、今のままでも十分幸せですと。 その間にも外にいる誰かは、開いているのかとガタガタドアを揺らし始めた。 いくら鍵が、つっかえ棒があってもドアが外されてしまってはなんの意味もない。「います、乙姫です!」「なんだ乙姫先生ですか。電気もつけずに……というか、今日は先に帰られませんでしたか?」「いやあ、教室に忘れ物を取りに来て。ふと資料室の混雑を思い出しまして。整頓でもと」 外にいたのは見回りの先生、先程佐々木が職員室に会いに来た二ノ宮である。 むつきと同年代で、担任こそないが新体操部を任されたまだ若い教師であった。 視線で美砂に喋るなと厳命し、なんとかこの場を取り繕おうとした。「なんでしたら、少し手伝いましょうか?」 その申し出に、思わずなんでそんな面倒臭い申し出をワザワザと思ってしまう。 社会資料室の評判の悪さは留まるところを知らず、二ノ宮も知っているはず。 まさかと二ノ宮の若干男らしいさっぱりとした笑顔を思い出したのが悪かった。 美砂の中にいながら別の女性を思い、下半身が反応してしまったのだ。 やばいと思った時には、美砂が敏感にソレを察して首を絞めにかかってきた。「馬鹿、やめろ。そんな場合じゃぐぁ」「今、二ノ宮先生で反応した、絶対した。ほら、また大きくなった」「お前が暴れるから刺激されただけ、ちょっと本気でまずい」 器用に小声で痴話喧嘩を繰り広げ、返答が遅れたのもまずかった。「乙姫先生?」 お願いだから名前を呼ばないでと、叫び返したかった。 もはや美砂の中にいる限り、誰に呼ばれても反応する始末だ。 暴れる美砂の両手をとって、なんとか万歳の格好で押さえつけ、ようやく返事を返す。「大丈夫です、ちょっと想像以上で。ちょっとやそっとじゃ、整頓は無理だと見切りをつけようとしたところなのでッ!?」 早口でまくし立てたものの、あろうことかせめてもの抵抗と美砂が腰を使い始めた。 両腕こそ封じられているが、それは逆にむつきの手を封じているも同然。 聞こえたらどうすると不安になるぐらいに腰を上下させ、愛液の泡を生み出す。 美砂同様、大人しくしていれば良いのに下半身の野郎も元気を取り戻してしまった。 ふふんと勝ち誇る美砂を竿一本で支えるように、見事に貫いていた。「あの、今何か……」「大丈夫で、す。ちょっと、暗くて……ぐぅ、足の小指を。はっ、二ノ宮先生はどうぞ。見回りを、続けてください。釘宮と椎名が先程帰りましたが、他にも生徒が」「気をつけてくださいね。怪我をしてはあの子達が心配しますよ。最近、まき絵……あっ、佐々木の方が分かり易いですか。先生の話を良くするんですよ、主にお爺さんの事ですが」「はっ、ははっ……思いの他、受けたみたいですね」 長話すんなこの野郎と、先程の期待とは全く別の罵詈雑言を心のなかでぶちまけた。 相変わらず美砂はこんな状況でさえ、こんな状況だからこそ激しい腰使いで責め立てて来る。 誰がそんな事を教えたと、完全に自分の行いを棚に上げてさえ思った。「先生、私の中でびくびくしてる。イッちゃうの? 二ノ宮先生とドア越しに会話しながら、私の中に射精して妊娠させちゃうんだ。変態鬼畜教師」「天使どころか、悪魔かこの野郎」 甘々、イチャイチャでとろけるようやセックスは何処へ行ってしまったのか。 本当に勘弁してと、今さらながら上と下で男は別々の生物だと思い知らされる。 頭では止めてと思ってはみても、下半身は美砂の中で暴発したがっていた。 刻一刻とその刻限は近付きつつあるにも関わらず、「まき絵で思い出しましたけど」 そういえばと軽い気持ちで、二ノ宮がドア越しの会話を継続させ始めてしまう。 続くのソレと、良い年して少しむつきは泣いた。「あの子、レオタードの上に上着のジャージを羽織っただけで職員室に来たんです。天真爛漫さはあの子の魅力の一つなんですが、さすがに周囲がまだ良く見えてないみたいで」 二ノ宮の言葉に強制的に、佐々木のあの三角地帯を強制的に記憶から引きずり出される。 あの時は本気で色気も素っ気も感じなかったが今は状態が状態だ。 悲しいかな、やはり別の生き物である下半身が反応してしまった。 ますます美砂が激しく腰を使ってむつきを責め立て、ここでようやくむつきも覚悟を決めた。「二ノ宮先生、ちょっと待っててください」「はい?」 一旦会話を中断させ中腰に立ち上がり、美砂を駅弁スタイルで持ち上げる。 初めての体位に怒りに任せて攻め立てていた美砂も、狙い通り虚をつかれたようだ。 美砂の膣の深度最新記録を見事に樹立し、この時ばかりはまずいと口を押さえていた。 出来るだけ音は出さないように注意しながら、それでも腰を目一杯振り上げる。 一度や二度、スパンと良い音が鳴っても無視し責め立てた。「今何か、あのお忙しいようでしたら」 大丈夫もう終わりますからと、快楽に目を回しそうな美砂の顔色で判断する。「美砂、絶対に声は出すな。絶対だ」「んっ、んっ……」 ならイケとばかりに、最後の一突きで暴発させた。 馬鹿な痴話喧嘩ばかりだった二人も、こんな時ばかりは息がばっちりで美砂も果てる。 お尻に手を添えられ支えられながら、ピンッと足を伸ばしてむつきの腕の中で痙攣した。 再び椅子に座りなおしたむつきは、美砂が落ちないようにきつく抱きしめる。 それと同時に、射精感に従ってより深く結合しようと下半身をやや持ち上げ、美砂を抑えこむ。 びゅるびゅると射精するたびに、コンドームの精液駄目部分が膨らみ美砂の膣内で膨らんだ。 美砂もそれが分かるのか、射精をコンドームのふくらみで感じ、続けて何度か果てた。 ドアの向こうの二ノ宮に聞こえないよう、必死に声を押し殺し、喘ぎながらなんとか喋る。「はっ、はは……すみません、二ノ宮先生。くしゃみが出そうで、止まっちゃいました」「ああ、埃っぽいですからね」「ふぅ、僕はそろそろあがります。二ノ宮先生も、見回りの方をお願いします。佐々木には、僕も職員室の前で会って注意しました。明日また、一応注意しときます」「ええ、お願いします。ごめんなさいね、長話しちゃって」 なんとかそう会話を切り上げ、二ノ宮が遠ざかっていく音が響いて遠ざかる。「先生、二ノ宮先生だけじゃなくまき絵のレオター……先生?」 改めて彼女を抱きながら他の女に反応するとはと、問い詰めようとした美砂であったが。 美砂を膝にのせたまま俯くむつきを不審に思って、その顔を覗きこんだ。 そして、言葉を失った。 もはや暗がりといっても差し支えないこの場でも、はっきりとそれが見えた。 むつきの目尻から溢れ、キラリと光る水滴が流れ落ちている。 頬の曲線にそって、流れ落ちていくのは涙以外の何ものでもなかった。「せ、先生?」「怖かった、もう駄目かと思った」 鼻をぐずぐず鳴らしながら、むつきがボロ泣きしていた。「美砂、俺辞めたくない。もっと教師やりたい、生徒に手をだしたけどこの仕事続けたい。やっと仕事が思い通り、面白くなって……」「泣かないで、先生。私がやり過ぎた、ごめんなさい」 キュッと美砂の心臓を握りつぶしたのは、罪悪感と母性愛。 泣かしたのは自分だが、守ってあげないと頭ごと包むように抱きしめ頭を撫でる。「捕まるのが怖かったんじゃない、美砂と別れるのが、教師を辞めなきゃいけないのが怖かったんだ。美砂、ごめん。美砂も怖かったろ?」「大丈夫、私は全然平気。よしよし、泣き止んで先生。泣き止んでくれたら、えっと……おっぱい、おっぱい飲ませてあげる」「うん」 焦ってわけのわからない提案をしてしまったが、むつきが子供のように頷く。 頷くんかいと突っ込みたくもなったが、制服の前をたくし上げた。 下着とセットで買った赤い下着には目もくれず、美砂がずらして現れた乳房にむつきが吸い付いた。 まだしゃくり上げてはいたが、吸い付いただけで何もしない。 性的に乳首を転がす事もなく本当に飲もうとしようとしているようだ。「赤ちゃんプレイ? まあ、可愛いからいっか」 恐らくその意見は、十人中十人がないと言い切り、美砂だけが言い張りそうなものだ。 美砂は当分の間、むつきが泣き止むまで動く事もままならない状態である。 その割りに、むつきの頭を撫でたりと、苦痛どころか幸せそうな表情のままであった。-後書き-行為中はSだけど、Sだから責められると弱いの