第六十話 それこそ世界だって親愛的にあげるネ 一先ず、桜咲と近衛のひかげ荘への入寮は数日の間、先送りにして貰った。 桜咲も近衛への説明等、色々とあるので了承してくれた。 むつきはもはや教師と名乗る資格もあるかどうか、されど公的には麻帆良女子中の教師である。 それも水泳部の顧問として、八月三日の夕方までは水泳部に専念する必要があったのだ。 そのおかげ、というわけでもないが水泳部は三日間の戦いに無事打ち勝ち全国出場を果たした。 個人の部ではアキラが埼玉代表として、リレー部門でも選抜メンバーが優勝。 特にアキラは両方で全国と言う事もあって注目の的であった。 麻帆良スポーツ新聞等にもインタビューされ、顧問として呼ばれたむつきは無知をさらしただけだ。 これで強化合宿は決定かと、頭の中では合宿計画を練っていたので仕方がない部分も。 そうして特に顧問として不慣れなむつきにとって、忙しない三日間がようやく過ぎ去っていった。 現在はひかげ荘の食堂にて、少しむつきも金銭を出してのご馳走であった。 椅子は片付け立食パーティ状態で、アキラを囲んでこの三日間の大会を肴にお喋りである。 ちなみに、ここにいないクラスメイト達とは昼間のうちにおめでとう会を実施済みだ。「アキラ、ダブル優勝おめでとう。今まで一杯、頑張ったもんな」「うん、けど。泳いでいる時よりも、その後のインタビューとかの方が疲れたかな」「確かに凄かったな。私らも友人代表とか、まあそこは早乙女に熱くBL語って貰って難を逃れたが。大河内、そういう楽な生き方も覚えろよ」 乾杯の音頭をむつきがとると、まだ目がしぱしぱすると大量に浴びたフラッシュにアキラが苦笑いしていた。 その被害はどうやら二年A組の応援団にも及んでいたようだ。 ただそこは長谷川が機転を利かせて早乙女バリアーを張って撃退したらしい。 しかしながら、インタビューされたかったと残念がる者がいた事が容易に想像できた。「長谷川さんはふてぶてしくなりすぎです。それではお嫁の貰い手がありませんわよ」「なに言ってんだよ、委員長。私らには最終兵器、先生があるだろ。直ぐ泣くのが珠に傷だが、悪くないんじゃねえの。なあ、先生?」 裁定者や断罪者の件は何処へ行ってしまったのか。 長谷川がジュースを持ち上げながら、気楽にそう問いかけてきた。 半分は冗談だと分かっているので、美砂達も苦笑いするだけであった。 普段はむつきも眼鏡属性がと笑いながら断る所なのだが。「あっ、ああ。止めとけ、ろくな事がないぞ」「先生、どうかしたの。ちょっと元気ない?」 思い切り自嘲的な笑みが零れてしまい、美砂に心配されてしまった。 美砂のみならず、折角の祝いの場だというのに皆が何事かと見つめてくる。 だからグッと奥歯を噛み締め、無理に笑ってでも答えた。「お前より先に、桜咲と近衛が予定に入ってる。お前はその後だよ」「今度は和風お嬢様とボディガードか。先生、生徒を狙い過ぎでしょ。ちうちゃん、残念でした。お呼びでないってさ」「はいはい、先生は眼鏡属性ないもんな。葉加瀬、お前ずっとコンタクトでいた方が貰って貰える確率高いぞ。それに面倒だろ、一々変えるの」 狙い通り、朝倉がからかい長谷川は肩を竦め、話の矛先を葉加瀬へと向けてくれた。「ですが、機械を弄る時は保護の意味もあるのでずっとコンタクトも出来ないんです。あっ、いえ。先生に貰って欲しくないわけでも。なかったり、その……」「激しい動悸の変化に心拍数の上昇を検知、これらの数値から推測するに」「無粋な事は止めろ、茶々丸。好いた惚れたは他人が口を挟む事ではない」 げしっと絡繰の足を蹴ってマクダウェルが止め、ワイングラスを煽っている。 雪広がそのワイングラスに指を突っ込み一舐めし、なによりもまずそれを取り上げた。「なにをこっそり飲んでますの。アタナシアさんのように素敵なレディになれませんわよ」「あんな姉ちゃんいたら、背伸びしたくもなるけど。酒飲んでんじゃねえよ」「痛っ、止めんか。私を誰だと」 酒を飲むな、酒をと雪広や長谷川から頭をぼこすか殴られていた。 随分とひかげ荘にも馴染んだようで、食事時には対局を中止してくる事もあった。 わいわいと楽しむ皆の輪から外れ、女性ではないが壁の花のように壁際で背を付ける。 誰よりも食べて誰よりも笑い喋る美砂、短い言葉に沢山の意味を込めて微笑むアキラ。 冷めた瞳の中にも熱い感情を込めて言葉を交わす夕映。 そんな時はと何時もの怪しい発明を危機として葉加瀬と共に見せる小鈴。 特に最後、小鈴を見つめ思わず溜息が出そうなところで目の前に何かが差し出された。「甘い桃まんです。疲れた時や、頭を働かせる時には最適です」「四葉か、悪いな。お前も厨房は良いから、混ざって来い」「はい、そうさせていただきます。それと、迷った時は初心に帰るのが一番ですよ?」「もう我慢できんから言うわ。お前、良い女だな」 その賛辞は通じたようでにっこり笑い、四葉が皆の輪に混ざり始めた。 自分で作った食事を食べて、皆の意見を聞いて頷いたり調味料で再度整えたり。 俺の初心は何処だろうと、四葉に言われた言葉を思い浮かべているとチャイムが鳴った。 玄関先からであり、俺が出るからと手をあげ雪広を制止してむかう。 向かった先に待っていたのは、入寮の先送りをお願いしていた二人である。「あっ、先生こんばんは。ここ先生のお家なん? お泊りにきたえ。なんや賑やかな声が聞こえるなあ。皆の靴っぽいのも、なんで明日菜達には秘密なん?」「先生、数日の間だけかもしれませんがお世話になります」「それは良いが、見るからに近衛に説明してないだろお前。もう良い、あがれ。夕飯がまだなら、食堂そっちに行けば皆いるから」 なんだか疲れたと、むつきはビール缶と桃まん片手に案内を放棄して管理人室に向かった。 そのまま疲れと酔いでうとうとしていたむつきを起こしたのは美砂であった。 しゃがみ込んだ美砂に肩を揺さぶられ、起き上がった時に体がバリバリと鳴る。 布団も敷かず畳みの上で横たわっていたので汗で張り付いたのだ。 腕や頬にもしっかり跡が残っており、痛そうと頬をつんつんと突かれる。 その手を取って手当てとばかりに頬に当て、寝ぼけ眼でどうかしたと語りかけた。「先生、やっぱり変だって。桜咲さんや木乃香が来て、ひかげ荘ですらおおっぴらにエッチできなくて機嫌悪い?」「そこは直ぐに桜咲が説明するだろうから、別に。今何時、あの二人はどうした?」 体を起こし、跡のついた腕をほぐしながら問いかけると、隣を指差された。「一応遊戯室にお布団敷いたけど、偶々アキラの部屋を覗いた木乃香が気に入っちゃって。拝み倒されてアキラも断りきれなかったみたい。女の子だし、あのヌイグルミ部屋に憧れるのは解るけどね」 つまりは、桜咲がきちんと説明するまでは、管理人室での行為も禁止という事だ。 確かにそれは多少ストレスが溜まるが、やっぱり原因はそこではない。 胸にわだかまりがたまり、どうしたいのか中々答えにたどり着けなかった。 その時、心に浮かんだのは四葉が言った初心に返るという言葉である。 初心とは何だ、今胸に抱えているわだかまりの初心とは何処だ。 目の前、ぼけっと畳の上に座るむつきの前でしゃがみ、にこにこ飽きもせずみている美砂に他ならない。「美砂、今から風呂は入らないか。二人きりで、俺とお前だけで」「二人だけ、先生と私だけ。えっ、それってむつき君人形なしに?」「なんで恋人と風呂入るのに命令権の行使だよ。風呂、入ろうぜ」「うんうん、直ぐ。直ぐに準備するから」 素早く立ち上がった美砂は、スパンと押入れを開けて化粧品箱を取り出した。 まだまだ中学生なのでほんのりとしたものだが、化粧を落として拭っていく。 女の子は大変だとちょっと笑みが戻り、むつきも準備を始める。 といっても新しい浴衣ぐらいで髭剃り用の洗顔もバスタオルも全て脱衣所だ。 箪笥から一枚浴衣を取り出すのに一分とかからない。 それから十分も待たされたがそれぐらいと、美砂と腕を組んで露天風呂へと向かった。 何時の間にか時刻も夜の十時と食堂は静かで、騒がしいのは二階の遊戯室だ。 後で一応、夜更かしし過ぎるなと注意使用と決意し、脱衣所の暖簾を愛印に変えた。 ニコニコ笑顔満載の美砂を隣に従え浴衣を脱ぎ、お先にと体を洗いに。 偶にはと烏の行水で頭を洗い軽く流して湯船の中へ。「考えても見れば、二人きりで風呂ってのも何時振りだ?」「んー、もう覚えてない。だって、付き合って一ヶ月でもうアキラとか、皆いたし」「我ながら、どうしてこうなったか」 体を洗い中の美砂に問いかけつつ、お湯を救って顔を洗った。 真夏の暑い夜に熱いお湯と、汗をだらだら流しながら沈み込む。 空の月は細く綺麗でアタナシアを思いだしたが、今日だけは直ぐに追い出した。 初心に返る、その為にも頭の中を今だけでも美砂一人に絞り込んだ。 そうしていると、真っ白で細い足が視界の端でお湯に入り込んできた。「先生、肩良い?」「そりゃこっちの台詞だ」 隣でお湯に沈んだ美砂がむつきの肩にこてんと首を傾けてきた。 その代わりむつきも美砂の肩を抱いて抱き寄せる。 幸せそうに微笑む美砂の深い紫の髪をくるくる指先で弄び、耳元で囁く。「美砂、好きだぞ」「私も大好き。先生どうしたの、なんか付き合い始めた当時みたい。私もちょっとこの感じ忘れてた。何時もより、胸がキュンキュンする」 たまりませんとばかりに、むつきの胸に張り付くように抱きついてきた。 たゆんと弾む胸をむつきの胸に押し付け、ゴロゴロと頬を擦り付けては喉を鳴らして甘えてくる。 行為の後は良くするが、何もしないうちというのは稀だ。 むつきも密着が足りないと、美砂を正面に来るようお湯の中を泳がせた。 まだするつもりはないが、対面座位の格好でお互いにギュッと抱き締めあった。「癒される、好き過ぎて一生こうしていたい。美砂が可愛い過ぎてどうにかなりそう」「先生、もう本当に今日はどうしたの。悶え死ぬ、キュン死する!」 ちゅっちゅとこれも当時を思い出し小鳥のようなキスを繰り返してみた。 もはや新しいプレイかと、美砂の機嫌も上限知らずに上がっていく。 最近は本当にセックスにも慣れ、伝えあう事が薄れ快楽優先だった気もしてきた。 ただ全部が全部ではないのも確かで、そうでなければ初夜を終えたばかりの夕映に申し訳ない。 だから今だけは欧米人にでも鳴ったかのように、キスの虜になった。「ふぅ、やっぱ俺。凄い美砂の事が好きだ。俺だけの美砂、絶対離さないから。美砂が中学を卒業したら付き合って、高校を卒業したら結婚する。してくれ」「いいよ。中学を卒業したら正式に付き合って、高校を卒業したら結婚。んー、子供はどうする? 流石に直ぐに生んでちゃんと育てられる自信はないかな」「生みたくなったら、ピルを飲むのを止めれば良い。美砂、もう一回キス」「先生が好きなだけ、私は先生のものなんだから。求められてるって、そう思うだけでイキそう。キスだけで、ぁっ。んぅっ!」 少し長めのキスを行なうと、むつきの腕の中で本当に美砂が体を震わせた。 もちろんセックスの時のそれよりは小さいが、体を震わせぽうっと紅潮し蕩けた顔となる。 お互い人の事は言えないが、好き者だなっと抱き締めあった。「先生、そろそろ話して。ラブラブな二人の間に秘密はなし。お妾さんまでいる先生が、今さら隠すような事もないと思うけど。桜咲さんと木乃香のこと?」「いんや、違う。美砂、一つだけ確認させて。俺ってやっぱり付き合い始めた当初から変わった?」「全然、変わってない。こうしてちゃんと愛してくれるし、生徒の為にって帆走して。今はアタナシアさんとか葛葉先生も含めてるから、ちょっとその辺の幅は広がったかな? でも、基本的なところ。泣き虫だけど強くて格好良いところは、全然変わってない」「若干、色眼鏡ありそうだけど。美砂がそう言うなら、俺はその言葉を信じる。美砂もアキラも夕映、小鈴も全員幸せにする。惚れた子は全員」 美砂が変わっていないと言うのなら、妻妾同衾ぐらいやってのける。 この頼りない腕に抱いた子はせめてもと。 多少和泉や葉加瀬、他にひかげ荘メンバーも良い男が見つかるまでは面倒を見よう。 そこは少し欲張りになったかもしれないが、きっと悪い事ではない。 大なり小なり、きっとむつきがあの子達に惚れる要素はあるのだから。 そう、むつきが惚れてその子を幸せにしたい、それがきっと原点、初心であった。「美砂、俺ちょっとイラ付いてた。折角のアキラの晴れ舞台の日だったけど、隠しきれないぐらいに」「えっと、やっぱり桜咲さんか木乃香ぐらいしか心当たりないけど」「だから二人は違うって。俺は小鈴にいらついてた」 それまたどうしてと、小鈴のむつきへの傾倒ぶりを知るだけに驚きであった。「俺は美砂みたいに惚れた相手には尽くしたいし、幸せにしてあげたいよ。けどさ、小鈴ってなんか俺に一杯女の子抱かせようとするだろ?」「ああ、なんかクラスメイト全員だっけ。天才の考える事は良くわかんないね。でも、男の人なら可愛い女の子ならどんどん抱きたいんじゃないの?」「そう言う奴もいるし、俺も全部は否定できん。けど、なんか違うだろそれ。俺は単に可愛いから抱きたいんじゃない。美砂達にそれぞれ良い所があって、こんな俺に惚れてくれもして。だから抱きたい、幸せにしてあげたいの」「ん、やっと解った。競馬の種馬じゃないんだから、内面もわからないうちに次々に可愛い女の子用意されても嫌だよね。私だって、イケメンどうぞって差し出されても蹴り飛ばすし。先生だから抱かれたい、尽くして奉仕もしたい」 二人して納得し、やっぱり麻帆良最強の馬鹿だねと笑った。 小鈴にも目的があってだけどむつきが好きでなど、分かりきっている。 ただ良かれと思ってとった行動の全てを、むつきが受け入れるとも限らない。 むつきだって大好きな小鈴だからと、全てを受け入れる必要は無かった。 すっきりさっぱり、特にむつきは喉もとに刺さっていた小骨が取れたとばかりに。 美砂をこれまで以上にキュッと抱き締め、匂いをかぎつつ囁いた。「美砂、今凄く美砂を愛したい。ちょっと、いやかなりエッチな方法だけど、良い?」「いいよ、だけど。私からもリクエスト、お互いに奉仕し合いたい。シックスナイン、やってみたい。んー、そこの東屋のベンチで」「流石俺の美砂。昇天する程、良くしてやるから。抱えるぞ」 対面座位中で横抱きは難しく、股座に立ち上がり中の一物をさしこんだ。 第三の腕として利用し、駅弁スタイルでお湯の中から美砂を持ち上げた。 そのままえっちら、おっちら。 もちろんそんな掛け声はせず、お湯から上がって涼しい空気の中を歩いていく。 涼みどころの東屋まで美砂を抱えて、ベンチの上に寝かせてあげた。「どうしよう、凄くドキドキしてる。フェラともまた違う、お口でセックスされちゃうんだ。ずぼずぼされて、最後にびゅって」「最初からそんな激しくはしない。奉仕し合うんだろ。美砂、跨ぐぞ」 胸を押さえ体を縮める美砂を、むつきはベンチごとまたいだ。 お互い上下逆向きに、むつきは美砂の下腹部を、美砂はむつきの下腹部を。 美砂はシックスナインと言ったが日本語の四十八手では椋鳥とも言う。 早速むつきは、美砂の濡れた若草を食んではひっぱり軽い挨拶から。 美砂もこの先の行為に胸を高鳴らせながら、むつきの一物にキスをした。 何時も気持ちよくしてくれてありがとうとお礼を言い合う様に互いの性器を口付ける。「美砂、もう濡れてるぞ。いやらしい所も好きだぞ」「先生がいやらしい目で見て、おちんちん硬くするから。超りんお馬鹿だけど、これだけは感謝しないと。ちゅっ、ここは大きく変わっちゃったかな?」 割れ目から次々に染み出す愛液をむつきが舐め取り、さらには吸出しもした。 負けてられないと美砂も、特に竿の裏筋にキスを繰り返す。 まだ最初だからと互いに大人しい愛撫で、気分を高めあう。 だが子供のお遊戯ではないのだから、気分を高めるだけで終われるわけもない。 まず最初に攻勢に出たのはむつきであった。 ぺろぺろと舐めていた割れ目を、沿えた両手でそっと文字通り花開かせた。 ピンク色の綺麗な花園にそっとキスしたのも一度だけ、今日の目的は膣ではない。 おへそを下った割れ目の始まり部分、そこの奥に恥ずかしそうに隠れた淫核だ。 全く顔も見えないそれを、淫核包皮の上から指先でとんとんと刺激した。「んっ、先生なに。今のピリッて、前になんか」「直接じゃないけど、クリトリス刺激したんだ。ほら、前にアキラに皮向かれてイッたろ? お前がしゃぶってるおちんちんの女の子版だな」「そっか、先生もしゃぶられるとこんな感じなのかな。んっ、先生腰もっと降ろして喉の奥まで飲んであげる。んごぅ、ふぅぁ」「美砂の口の中、温泉より熱い。美砂、皮剥くけど噛まないでくれよ」 ベンチで頭を打たないよう気をつけて軽く腰を振りつつ、むつきは皮剥きに挑戦だ。 むしろこれは、美砂の挑戦か。 これまで何度かセックスしてきたが、勃起状態で顔を出した事はない。 先程も言ったが好奇心に負けたアキラが思わず剥いてしまったその一度だけ。 愛液だけじゃ足りないと唾液も垂らして濡らし、そっと慎重に剥いていく。「んぅ、んんっ。先、んぐぅ」「美砂、喋ると舌噛むぞ。ほら、先端見えてきた。ちょっと臭うか。恥垢、綺麗にしような」 何か言葉を発しようにもむつきの一物で口を塞がれ、美砂は何一つ伝えられない。 出来た事と言えば羞恥に導かれるまま、むつきを抱き締めるだけだ。 それもむつきの太い太股を抱き寄せより一物を喉の奥までくわえ込む結果になるだけ。 その間にもむつきは徐々に顔を出すクリトリスを垢ごと綺麗に舐め取っていた。 舌が痺れる程の味と臭いだが、愛おしい少女のそれならさほど気にはならなかった。 むしろ自分が一物をしゃぶられる度に、同じような舌使いで美砂のクリトリスを舐め上げた。「美砂、腰浮いてる。感じてくれてるんだな、俺の愛撫で。俺も気持ち良いぞ、もっと。美砂に奉仕させてくれ。ほら、もう直ぐ全部外に出るぞ」「んぐぅ、うっ。うぁっ」 相変わらず返事はくぐもった声だが、感じてくれているのは一目瞭然。 もっとと強い刺激を求めるように美砂の腰が浮き、下腹部をむつきの顔に押し付けてくる。 ならば遠慮は何一つする必要はなしと、むつきは美砂の全てを外にさらけ出す。 そして美砂の最も敏感でデリケートなそこに、ちゅっとキスをしてあげた。「んぅ、がはっ。イッ、だめ。私だけ。イ、イクぅっ!」「そのまま、美砂。イッてくれ」 フェラも限界だと口を離した美砂のクリトリスを、指先で軽く弾いた。 次の瞬間、むつきが転げ落ちそうな程に美砂が暴れ腰を浮かせ弓なりとなった。 殆ど悲鳴に近い嬌声を挙げ、さらには尿道からびゅっと透明な液体が飛んだ。 最初に三十センチ程それが飛び、二回目三回目は飛距離がぐっと落ちている。 女性の射精とも呼ばれる潮吹きに違いない。「美砂、少し強すぎたか?」「はぁはぁ……先生、ちょっと待っ。ふぁ、痺れて下半身の感覚が。ちゃんと私の足とか大事な部分とかついてる?」「ついてる、ほらこれが太股で。こっちがおまんこ、これクリトリス」「ぅっ、触ら。ないで。ふうふうもしちゃ駄目。気持ち良過ぎて怖いの」 悪戯駄目と今せめて動く首で、竿を甘噛みされてしまった。 美砂は精一杯の抗議だろうが、される側としては結構怖い抗議だ。 仕方ないので美砂を寝かせたベンチに座って頭を撫でてやった。 本当は膝枕でもと思ったが勃起中にそれは、もはや嫌がらせの域である。「私、クリ弄られるのあまり好きじゃないかも。感じ過ぎちゃって、もっと長くイチャイチャしてたい。けど今日はご奉仕のし合いだから、今度は私の番」 あーんと美砂が上を見上げるように口を開いて、誘ってきた。 どうかこのお口を犯してくださいと、次は私の番だからと。 イチャイチャセックスが好きなのに、どうしてそこまで健気になれるのか。 もうこの気持ちが抑え切れないと、むつきは腰を動かして狙いを定めた。 普段は膣口に添える亀頭を、美砂の可憐でぷるぷるな唇へと。 子宮口に鈴口を添えるようにピッタリあて、ぐっと押し入り割って入っていった。 何より先に出迎えたのは美砂の口内の熱気である。 入った傍から溶かすようなそれに出迎えられ、次にねっとりと植物の蔓のように絡む舌だ。 何時の間にここまで上手くなったのか、竿に舌が蒔きつくようである。 口は窄められ頬肉が膣壁の代わりとなって、むつきの一物の射精を促がしてきた。「あ、くぅ。気持ち良い、美砂の口まんこが。吸い付き具合はまんこ以上だ」 普段からさり気に呼吸で鍛えられている分、本当に吸い込まれそうだ。 むつきの苦しそうにも聞こえる喘ぎに、美砂は嬉しいとばかりに腰に抱きついてきた。 そのまま首まで使い、動きの鈍くなったむつきの腰の代役を行なう。 エッチな女の子が彼氏の上で腰を振るように、むつきの舌で首を前後に振る。 本来の使い道とは異なる、口まんこで思い切りよがり楽しんで欲しいとばかりに。「んぅ、んっんんぁっ」「やばい、今度は俺だけ。美砂、俺も」 ベンチの上に肘をつき、なんとか美砂に奉仕しようとするが動けない。 股間からせり上がる快楽に腰が痺れ、ベンチを跨ぐ足にも限界が訪れた。 支えられず腰が落ち、思わず美砂の頭を押し潰しゴチンとベンチに落とし当ててしまう。 いつもなら即座に大丈夫かと言えたが、今は無理だ。 何しろまだ美砂は痛みを押してむつきの一物をしゃぶり舐め取り、奉仕を止めていない。 本当にどこまで、どこまでその身を捧げてくれるのか男冥利に尽きる。 尽きるからこそもう本当に何も遠慮はしないと、むつきは更に腰を振り上げ下ろした。 この口まんこで犯し妊娠させてやるとばかりにであった。「ああ、美砂。気持ち良いよ。美砂、ほらどんどん硬く大きく。玉触ってみろ、ぱんぱんだ。その中の精液をお腹一杯出してやるからな」「んんぅ。んごぉ、んふぅっ」「美砂、出る。美砂の口に射精する、我慢。もう、美砂、美砂ぁ!」 美砂が震える手で玉袋を絞ってくれたのが最後であった。 もう無理だと美砂の喉の奥まで突きいれ、口内ではなく喉内に直接射精した。 子宮口に見立て喉の窄まりに鈴口を当て、お望み通りびゅっびゅっと射精し続ける。 美砂の口からは喘ぎともとれない苦痛の悲鳴が上がっていたが、止められない。 もう少し、もう少しだけと股間を押し付け何度も射精した。 その度に一緒にイクように美砂の足がピンと伸びて張り詰め、その足を摩った。 まだ、まだ出ると止まらぬ射精感に腰がぬけそうだが、そうはいかない。 少しでもソレが引いたら、無理にでも腰を動かしずるっと美砂の口から引き抜いた。「ごほっ、ぇぅ。えほっ、し。死ぬかと、飲んだんじゃなくて。直接胃にださぅ」「美砂、背中摩ってやるから抱えるぞ。ほら、頑張ったな。凄く良かったし、嬉しかった」「うん、ぁっ。多分今の私、凄く口が精液臭い。うがいするから、キスんぅ」「愛が勝ればこれぐらいできる」 確かに美砂の言う通り精液塗れの口にキスするのは抵抗あるが、できないわけではない。 むしろうがいなどさせると、この高揚感が薄まりそうでさえあった。 だから美砂の言葉の途中で犯したばかりの口に唇を触れさせた。「俺も、美砂に奉仕してあげたい。何して欲しい、クリがだめならGスポットか。なんでも言ってくれ。兎に角、美砂に何かしてあげたい」「もう、先生。分かってるでしょ、私はイチャイチャセックスが好きなの。もっと強く抱き締めて、キスして。あとちょっと背中撫でて」「うん、うん。全部してやる、可愛いな俺の美砂は。じゃあ、続きは布団の中だな。明日は久しぶりに何もないし。一晩中、イチャイチャするぞ」「でも、独り占めし過ぎるのも良くないし。アキラ達も呼んであげよう。皆で一緒にイチャイチャ。そうだ、長谷川達も皆、皆呼んでさ」 ちょっとそれはどうだろうとも思ったが、本番さえしなければそれもありか。 むつきは美砂を抱きかかえ脱衣所に行こうとしたが、ストップされた。 やはり口が気になるようで、先に皆を呼んで待っててとむしろ追い出される。 もしかしたら、強引に精飲させられた精液を吐いていやしないか心配になったが。 何度か大丈夫かと聞いて、はやく行けと尻を蹴り飛ばされた。 そこまで言われたら仕方がないので、脱衣所で体を拭いてかるく浴衣を羽織って帯で縛った。 足取り軽く賑やかに楽しむ声が聞こえてくる遊戯室へと向かう。 襖の前で一度深呼吸をして、初心である美砂とのイチャイチャセックスを思い出した。「よし、行くぞ。お前ら」 ちょっと声を大きくして突入したのがよかったのか。 相変わらずの八分割マリオカート中ではあったが、皆が一斉に振り返った。 ただ、何人かが私がとスタートボタンを押した為、画面が静止と動作を繰り返した。 止めろ押すなとちょっと騒がしくもなったがそれも数分で終わる。 改めて見渡すと、近衛や桜咲も巨大スクリーンとは対極の位置の、部屋の後ろにいた。 二人で同じソファーに座り、ジュースを片手に皆のゲームを見ていたようだ。 ただし、ジュースを持たない方はしっかりと恋人繋ぎでラブラブもしていたが。「先生、機嫌が直ったように思われますが。柿崎さんは?」「今は俺に喉の奥に射精されて口濯いでる」 この時、ぱしゃりと水が床に落ちた音は、近衛が取りこぼしたコップからジュースが零れた音であった。「ちょっと、木乃香。これ委員長が皆の為にって、持ち込んでくれた高い絨毯やて!」「拭くもの、委員長。一番部屋近いだろ、タオルとか。和泉でも良い!」「分かりましたわ、何かしら。いえ、この場合は食堂が確実かと」「落ち着け、風呂上りの俺の肩にあるのは何だ。ほれ、桜咲。お嬢様の粗相はお前がなんとかしろ。お前がちゃんと説明しなかった不始末だろ」 和泉や長谷川、他の面々もそうだが絨毯に染みる前にと大わらわだ。 雪広でさえ大慌てで自分の部屋に向かおうとした所を、腕を掴んで引き止める。 むしろ少し抱き寄せる感じで雪広を抱きとめ、肩に掛けていたバスタオルを投げた。 むつきの体を拭いたそれが近衛に覆いかぶさりそうで、叩き落すように桜咲が掴んだ。 キッと睨まれたが今の俺はみなぎる愛で無敵とばかりに受け流した。「先生、何やら悩まれていたようですが、ふっきれた感じがするです。柿崎さんとお風呂に入ってなにかあったですか?」「ナニをしていたわけだが。とりあえず、アキラと夕映はこっち来い。今から管理人室で一晩中イチャイチャし明かすぞ。もう止めてってぐらい可愛がる」 夕映の問いかけには直接答えず、別の答えを与えたのだがそれはもう反応される。 コントローラーを放り出し、雪広が正面にいたので横や後ろから抱き付かれた。「あの、恋人の語らいに私のような軽度のセックスフレンドは。和泉さんはまだしも」「俺、実は雪広の事が結構好きなんだ。何か切欠一つで恋人にしたいって思うぐらい。だから、切欠探しにお前を巻き込む。和泉に葉加瀬、長谷川もか。少しでもそういう気があるなら、来い。どうなるか、俺にも分からんが。イチャイチャお互いを知る為にも喋ろうぜ」 蜘蛛に捕食される寸前の蝶のように、雪広は頬を紅潮させ固まっていた。 他に和泉は今さらだが、少しでも好意が見える者全員へとむつきは呼びかける。 セックスをするつもりはなく、本当にイチャイチャして遊ぶ為だ。「先生、それ乗った。うちもイチャイチャしたい。長谷川さんも葉加瀬も行こうや」「えっ、私はまだそんな。好意とか、可愛いとか美味しそうとか言われると嬉しいですが」「そこで引くな、飛び込めよ。仕方ないから、私も参加してやるよ。朝倉は?」「一応まだ彼氏がいる私は駄目っしょ。けど興味はあるから、観戦席で写真撮ってる」 早速と和泉が葉加瀬の手を引き、長谷川も戸惑う彼女の背を押しながら朝倉に話を振った。 そこで一人足りないと気を利かせるように四葉が小鈴の背を押してきた。 当人である小鈴は自分だけ呼ばれなかった不可思議さに、少し戸惑っている。 さらにその明晰な頭脳により解を導き出しているのか、顔色も悪くなり出していた。「なあ、小鈴。お前が俺を好きだってのは、今さら疑わない。けどな。俺は惚れた女は自分で口説きたい。偶に刀子さん見たいに据え膳みたいな事にもなるけど。それでも抱くかどうかは自分で決めたい」「私、余計な事をしたカ? 親愛的に嫌われたカ?」「うん、ちょっと嫌いかけたかも。だから、もう俺の為か自分の為かはわからんが。無理に誰かを連れてくるな。今回はもう良い。だけど次、そうした場合。俺はお前と、別れようと思う」 あの麻帆良最強の頭脳、かつ馬鹿が、むつきの一言で膝を折った。 雪広が用意したという絨毯の上に崩れ落ちるように、四葉に支えられながらだ。 思わずむつきも、腕の中の雪広にちょっとごめんと断り、駆け寄ってしまう程に。「親愛的、捨て……捨てないで。なんでもするヨ。お金だって、女の子だって。それこそ世界だって親愛的にあげるネ」「だから、そういうのがいらない。いや、ちょっとお金は欲しいけど。五年後の為にも。だけど、俺は小鈴の力や能力の結果手に入るもんが欲しいんじゃないの。小鈴って女の子が欲しいの。解ったか、この麻帆良最強の馬鹿」 普段の理解力はどうしたと、割と強めのヘッドバッドであった。 くらっとしたところを、横抱きに抱えもう強制連行の刑である。「最近大人しかったけど、久々に見たな。突き抜けた先生。おい、委員長。顔赤いぞ、眼がキラキラ乙女になってる。まさか、惚れたか?」「いえ、私が一番欲しいお言葉でしたので。少し超さんが羨ましく」「漏れとる、本音が漏れとるて」 長谷川に突っ込まれ否定したつもりが、やっぱり惚れたかこのっと和泉に突かれる結果に。「近衛、ひかげ荘っていう竜宮城はこういう場所だ。まだ良く解らんなら、とりあえず来い。お前も朝倉と同じ観戦席だ。説明は桜咲に受けろ」 一頻り思いの丈を吐き出し、俺間違ってないよなと念の為に長谷川を見た。「そこで確認すんなよ。間違ってない。超の目的とか、そう言うのはもう面倒だから捨てておいて。けど、好きだから何しても良いわけじゃない。先生も私らも、人形じゃないんだから。嫌な事は嫌って言って良い。それもこの竜宮城での権利の一つだ」 長谷川のお墨付きを聞いて、まずアキラが手を挙げて言った。「私はもっと、もっと先生にエッチな事をされたい。もちろん、イチャイチャも」「以下同文、では味気ないです。まだちょっと股が痛いので、心地良く受け入れる為にも日々マッサージを。いえ、イチャイチャと言うのであればそれはそれで」「親愛的、すまなかったネ。もう、私だけの我は通さない。私と親愛的、二人の我を通す時だけ、存分にこの力を振るうネ」「分かってくれれば良い。既に多くを望んでる気はするけど、俺はこうしてお前等と愛し合ったり、時々喧嘩したり、また笑ったり。そういう普通の生活を望んでる」 さあイチャイチャタイムだと、小鈴を抱えたまま皆を引き連れてむつきは返って行った。 殆どの皆がそれについて行き、残されたのは桜咲とまだ固まっている近衛だ。 あとは零れたジュースの掃除中の絡繰、後片付け中の半お母さんの四葉。 それから、少しは逞しくなったかとニヤつきファンタグレープをワイングラスで煽るマクダウェルであった。「ねえ、せっちゃん。全然わからんかったけど、先生は皆と付き合っとるん?」「いえ、私もここまでとは。複数の女性と付き合っているぐらいしか。皆はただ遊びに来ているだけだかと……」「柿崎さんが正妻で、続いて大河内さんに夕映さん、超の順です。他はセックスフレンドですが、一部和泉さんが突出していますね」「まさか、お嬢様こち」 四葉の言葉にそこまでと、近衛の手を引き逃げようとした桜咲の前にマクダウェルが立ちふさがった。 一度竜宮城に踏み込み、自分の意志で逃げられると思うなとばかりに。「超鈴音の不手際もあるが。他人の家に土足で踏み込み、そのまま逃げられるとでも? よりによって、近衛木乃香を連れ込むとはな。さすがの爺も動き出すだろう」「まだ付近に魔法先生の反応はありません」「ま、ほう?」「お嬢様なんでもありません。私がこのような場所に」 必死に近衛の耳を塞ぐ桜咲だが、それでは何かあると言っているようなものだ。「くくくっ、竜宮城に別の国の姫を迎え入れどう摩擦が起きるか。追い詰められたのは竜宮城の主か、それとも別の国の姫か。楽しませてくれる」「魔法先生間の通信を傍受。マスターの在住場所であるとも知られています。突入は恐らく月が沈む早朝になるかと。迎撃システムのメンテを開始します」「私も偶には働くか。秘密兵器とやらがあると聞いているしな。むつき君人形もある事だし、報酬には困らん。案外この姿で抱かれるのもそれは一興か。俺にはアタナシアがと困り悩むむつきの顔が思い浮かぶ」 今現在、困り悩む桜咲と近衛を置いて、二人までも何処かへ去っていった。 今度こそ今ならと近衛を連れ出そうとした桜咲だが、またしても引きとめられた。 その連れ出そうとした近衛自身に。「せっちゃん、うちな。ちょっと嬉しいんよ。何を考えて連れて来てくれたか、ちょっと解るから。だから、逃げても同じや。まともやない手段取って、まともな人探そうやなんてどだい無理な話や」「このちゃん、でも」「うちかて、まだ子供やし。特に恋愛なんて解らんことだらけや。でもな、皆凄い幸せそうに笑っとった。先生にはそれだけのなにかがある。確かめるだけのなにかが」「お望みなら、玄関でも管理人室にでもご案内しますよ。マクダウェルさんの雰囲気を察するに、お二人がここにいる事はひかげ荘にとって良くありません。個人的にはお帰り願いたいですが。本当の自分でいたいという願望を叶えるのが、この竜宮城ですから」 四葉にも決断を迫られ、近衛に手を取り頷かれ、桜咲が折れるように首を落とした。 -後書き-ども、えなりんです。これ以上、嫁さん増やさない(笑)まあ、主人公の決意なんてそんなもんです、エロ小説的に。なんだかんだで、セックスフレンドが嫁に昇格するやも。あと、超は企み過ぎてピンチに。主人公の言葉で膝が折れましたが、たぶん内心は主人公も泣きかけ。次回は、ひかげ荘への魔法先生たちの襲撃回。更新は土曜日です。