第八話 もっと甘くて、切なくて綺麗な 少々逆上せ気味で露天風呂から上がった二人は、ゆっくりと体を冷ましながら廊下を歩いていた。 身につけているのは、旅館時代に使われていた浴衣である。 体が必要以上に火照っているので、早くも着崩しているが問題はない。 どうせ管理人室について十分と経たずに、お互い生まれたままの姿となるからだ。 だが今はまだ、温泉旅行に来たカップルのように、手を恋人繋ぎして歩いていた。 それだけではまだ足りないと、美砂は体を摺り寄せごろごろとむつきの肩に頬ずりも。 逆上せている事もあったが、おかげで少し美砂の足がおぼつかない。「大丈夫か、美砂?」「うん、ちょっと何か飲んだ方が良いかも」 全力でむつきを奮い立たせようとした時とは違い、笑顔の中に僅かな儚さが見える。 むつきでさえくらっときたぐらいなのだから、少女である美砂には相当の疲労だったのだろう。「初夜、か」 ふと、これから管理人室で行なう行為を思い出し、呟いた。 決断は一瞬、恋人繋ぎの手を放して立ち止まり、半歩美砂を先に歩かせ腰を屈ませる。 えっと美砂が振り向くより早く、重心を低くして手を膝裏に滑り込ませた。 後は腕に力を込めて支え、重心を上に元に戻していく。「きゃっ」 悲鳴をあげた美砂が、直ぐにむつきの首に腕を回してきた。 以前にも何度かした事があるが、お姫様抱っこという奴である。「ふぅ、びっくりした。先生、やる前に声を掛けて」「ちょっとしたサプライズも、初夜っぽいだろ?」「うん、お布団までお嫁さんを連れてって。私の素敵な旦那様」 美砂の望み通り、管理人室までの廊下を抱き上げたままイチャイチャと進んでいく。 管理人室の入り口である襖を足で開ける事になったのは、少し格好悪かったが。 予め美砂が枕を二つ並べて綺麗に敷いた布団へと、そっと降ろしてやる。 多少名残惜しそうに腕は伸ばされたが、慌てたベッドインは初夜に相応しくない。 そう思った美砂は腕を放し、近くに置いてあった旅行バッグに手を伸ばしてペットボトルを取り出した。 まずは大事な本番前に休憩と、キャップを切って、お茶を飲み干し始める。「ちょっとぬるまってるけど、美味しい。先生も、少し飲む? 汗一杯かいたし、またかくし。凄く一杯」「恥ずかしいなら、言わなきゃいいだろ。ちょっと飲んどく。ちょうだい」 自分で言って照れた美砂から三分の一程減ったそれを受け取り、さらに三分の一を飲み干していく。 残りは行為の後で喉が乾いた時用にでもと、むつきはコタツテーブルに置いた。 それから布団の上で女の子座りをしていた美砂の正面に正座で座り込んだ。 一時の沈黙は、時計の針の音では埋まりきりはしなかった。 お互いにそわそわとし始め、意を決したようにむつきが美砂の肩に手を置いた。 その手がまだ何も言わぬうちから、じりじりと浴衣の襟を両肩の外側へとずらし始める。「美砂の全部、見せてくれ。明かりは消さない。胸も大事なところも全部見たい」「うん、先生の手で脱がして」 美砂の言葉が終わるや否や、その両肩に置かれていたむつきの腕がそっと開かれた。 浴衣の襟元に親指を滑り込ませ、引っ掛けながら。 ただそれはただの切っ掛けでしかなかった。 ほんの少しずらすだけで、あとは水が下に流れるがごとく浴衣が肌の上を滑っていく。 美砂の肌のキメ細やかさを証明するように、絹のような衣擦れ音と共に。 浴衣の下から現れたのは、火照ったままの桜色の肌である。 上半身に残されたのは、純白にピンクのリボンが刺繍の様に縁を彩るブラだけ。 少し上目遣いに見上げ、むつきに頷かれた美砂が背中に手を回してホックを外した。 小さくプチりと外れる音がし、脱ぐと同時に美砂は腕で隠すように胸を持ち上げる。 その間にむつきの手は、半分脱がされた美砂の浴衣の帯を手にしていた。 元々きつくは結ばれてはおらず、端を握って引っ張ればするりとほどけていった。 そこで美砂の浴衣は着衣としての意味を失い、布団のシーツと一体化するように落ちた。「ゆっくり、寝かせるぞ」「うん」 そんな美砂を支えながら、シーツの上に広がった浴衣の上に寝かせていく。 美砂を覆う着衣はもはや、ブラと同じ白いパンツのみであった。 火照った体を更に火照らせて、美砂が無言でわずかに腰を浮かせる。 言葉などもはや不要とばかりに瞳で意志の疎通をはかり、むつきが手を伸ばした。 力を込めれば簡単に引きちぎれそうな下着をつまみ、脱がせていく。 丸みのあるお尻を脱がす為に引っ張り、山を一つ超える間に丸まったそれをさらに降ろしていった。 太ももから膝へ、美砂の両足を片手で持ち上げつつ、脱がしきる。 まだ温かいそれを手の中に感じつつ、むつきは改めて美砂を見下ろした。「綺麗だ」 他に言葉が、むしろ余計な修飾子こそ無粋だとさえ思えた。 真っ白な布団に広がる浴衣、その上に胸を腕で隠し、大事な部分を体を捻り太ももで隠すようにしている。 クラスの中でも大人びた方とはいえ、まだ十四の中学生。 大人と子供の中間、妖艶な幼さ、美の矛盾の集大成とも言える存在がここにあった。 だがその美は、完成というにはまだ早かった。「美砂、隠さず全部見せてくれ。美砂の全てを」「せ、先生。恥ずかしぃ」 か細い消え去りそうな声で訴えたが、ゆっくりと胸を支えていた腕が退けられる。 体を捻り隠していた秘部をさらけ出すように、少しずつ体が伸ばされていく。 その間ずっと美砂はきつく瞳を閉じており、体全体が羞恥に震えていた。 一度、露天風呂で自ら全てをさらけ出したが、明かりこそあれ半分は暗闇だった。 だが今は天上では釣られた蛍光灯が煌々と灯っており、視界を防ぐ影一つない。 見られている、大好きな人に今全てを見られていると美砂は震えてさえいた。 サイズ的には十分巨乳の類に入る胸は、無様に重力に押し潰されてなどいない。 若く瑞々しい張りのある肌が、球体のまま今にも弾みそうな弾力で持ち上げられていた。 綺麗にくびれた腰は、若さのみならずチアリーディングのおかげか。 今再び膨れるのは大きなお尻、その中心にはうす目の陰毛がお宝の目印のように生えている。 女性の宝とも言える秘部、今はまだ割れ目にしか映らぬそこからはとろとろと岩清水が期待を込めて流れ落ちていた。「私はもう、見せたよ。先生も」「ああ、分かった」 時間を掛けて脱いでいった美砂とは対照的に、むつきは無造作に手早く浴衣を脱いでいった。 それは、はやく美砂と一つになりたいという欲求でもあったのだろう。 帯を紐解き、羽織っていた上着程度のように浴衣を脱ぎさる。 特別鍛えていたわけではないが、それなりに厚い胸板があった。 他にも美砂とは比べものにならない程の毛深い陰毛の中から一本の竿がそそり立つ。 その余りの見事さに、美砂の方が恥ずかしそうに顔を両手で覆っていた。「美砂、恥ずかしがらず俺も見てくれ」「う、うん……」 心の奥底まで見れない変わりに、体の全てを見せ合う。 そうすればいずれお互いの心の底まで見ることができると錯覚したように。「先生、そろそろ来て」 飽きる事なく互いの体を見つめあったが、羞恥に耐え切れなかったように美砂が呟いた。「美砂、好きだ」「私も、先生の事が大好き」 小さなその体を覆うように、むつきが美砂に覆いかぶさった。 好意を伝え合い、唇を触れ合わせては離れ、また触れ合わせる。 小鳥が餌をついばむように何度も唇を触れ合わせ、段々とむつきが美砂の体を降りていく。 唇から顎筋、首、鎖骨と唇で小さく跡をつけながら美砂の体を降っていた。「んっ、先生ちょっと痛い」 美砂の訴えに珍しくむつきが返答を返してくれない。 まだまだ初心な美砂は小首をかしげそうになりながら、時間を掛けて気付いた。 そして気付いた瞬間、カーッと頭の中まで火照る様に熱くなった。 鎖骨に終わらず肩や胸の上に至るまで、少々の痛みを伴なうキスを繰り返すむつき。 自分の体に印、跡を付けられているのだと、美砂は気付いたのだ。 美砂が誰のモノであるかの証、むつきの唇で行なう押印、マーキング。 それも跡が確実につくように、各部位でも肉の柔らかな場所が重点的に狙われていた。「先生、もっと。私が先生のものって証、ちょうだい」「ああ、誰が見ても分かるぐらい。美砂に俺の印を刻んでおくからな」 乳房の下や、腋の下にまで行なわれたが、まだマーキングは続く。 お腹からへそ周りと続き、いよいよかと美砂の体が少しだけ強張っていた。 一番大事なところにマーキングされる、むつきのものだと証をつけられる。 そんな期待の大きさが、秘部の割れ目から流れ落ちる愛液の流れが増す事ではっきりと分かった。 へその下にキスマークを付けられ、むつきの顔に柔らかな陰毛が触れた。 いよいよだと期待と不安が入れ混じる中、ついっと唇はあらぬ方向へと動いていく。「え?」 右足の太もも、膝、ふくらはぎ、足の甲にさえ。 むつきが美砂の足を持ち上げてさえ、念入りにキスマークをつけていく。 足を広げられ割れ目が少し開いてますます愛液の流れは強まるが、むしろむつきは遠くなるばかり。 次は左足、今度は逆に足の甲からさかのぼってふくらはぎと戻ってくる。 そういう順番なのだとむつきの拘りを感じ、美砂はじっと羞恥に耐えながらその時を待った。 左足の上を這い上がるようにむつきの唇が登っていき、足の付け根にまで上ってきた。 いよいよだと二度目の期待は、またしても裏切られる事になった。「美砂、うつ伏せに。そう、いくぞ」 布団の上をころりと転がされ、お尻にキスマークを付けられた。 右と左、お尻の割れ目を境に平等な数になるようにいくつもだ。 角度によればお尻の穴さえ見られたかもしれないのに、それどころではない。 何故どうしてそんな疑問ばかりが頭に浮かぶ。 そこじゃない、そこにして欲しいわけじゃないとお尻を振って抗議する。 さらに言外にここなのと訴えたのは、秘部の割れ目から流れ落ちる愛液であった。 うつ伏せになった事で真新しいシーツに秘部が接触して、どこまでも染みを広げていく。「先生ぇ」 ついに溜まらずむつきを涙交じりの声で呼んでは、しかるべき場所にキスマークをせがむ。 それが伝わっているのかいないのか。 あろうことか、むつきの唇はお尻から腰、背中へと逆に離れていく。 もはや愛液のみならず、零れ落ちそうな涙で美砂はシーツを濡らそうとしていた。 だからこそ、再び首筋にまで登ってきたむつきを決して逃がしはしなかった。 たった一度、首の後ろにマーキングされると、上半身だけを捻りその首に抱きついた。「先生、切ないの。私の大事なところが、まだ。そっちにも、そこに一番欲しい」「美砂、ちゃんとお願いしてくれ」 もう見慣れた感のある、エッチをする時の意地悪なむつきの顔であった。 わざと、わざと大事な部分にキスをせず、こうして美砂が耐え切れなくなるのを待っていたのだ。 そして美砂が後で思い返した時に、死にたくなる程恥ずかしい事をさせるつもりである。 弄ばれているようで悔しいが、とても逆らえやしない。 美砂は震える腕で体を起こし、そばの枕を腰の後ろに置いてもたれかかった。 むつきの目の前でやや仰向けになるように座り、M字に足を広げてあれ程までに嫌がっていた蟹股となる。「せ、先生……」 こんな事をさせられ、自分は普通の女の子に戻れるのか不安さえ抱く。 抱くのだが、愛液溢れるその場所に証を貰わなければ正気にさえ戻れない。 それさえ貰えるのなら、キスマークで大事な部分に淫乱と刻まれても良い気がした。「私のここに、証拠をちょうだい。先生のものだって、証を」 ぴったりと閉じた秘所の割れ目、そこを自らの手を添えて左右に開かせる。 よりあふれ出す愛液の向こうから、以前むつきが花と評した場所が現れた。 卑猥な割れ目を自らの意思で開き、好きな人とはいえ男を淫らに誘う。 少女から女へ、清い体でさえ武器の一つの女にさせられていくと言いようのない興奮に包まれる。「良い子だ、美砂」 自分で女に変えさせておきながら、悪魔のように子供扱いで頭を撫でる。 まるで美砂の心のバランスを弄ぶようにだ。 そしてむつきは、ついにそこへとキスマークを落とした。 美砂が開いた大きな花びら、秘部の割れ目の片側へ、次はもう片側へ。「あっ、ぁぁ……」 一つ落とされるたびに、喜びに身を降るわせ天井を仰いで美砂が喘いだ。 小さな花びらのある内部はさすがに危険なので、むつきも自重したらしい。 キスマークでうっ血させる事はせず、代わりにと何度もキスして愛液をすすり上げた。 美砂はもはや、後ろ手に両手をついて、腰を浮かせている。 より強い刺激を求めるように、秘部を恥ずかしげもなくむつきの顔に押し付けた。「先生、もっと。もっとキスして」 もはやそれはキスなどではなく、ただの愛撫であった。 犬が皿の上の水を飲むように、むつきが蜜壷から溢れる愛液を伸ばした舌でさらう。 ピチャピチャといささか下品な音さえ鳴っていたが、美砂に嫌がる様子はない。 むしろより強く、より深くと浮かした腰を彷徨わせていた。 そしてついに、そんな美砂の要求に応えるように、膣の中を抉るように舌が侵入していった。 狭い穴を舌が回転しながら押し広げるように、美砂の中へと入っていく。「はぁ、はぁ……先生、気持ちぃぃ。私の中、どんなぁっ。感じ?」 今度は答えないのではなく、答えられない。 声を出す為に必要な舌は美砂の中で、答える代わりに舌を動かした。 魚が大海を泳ぐように自由自在に、そこが楽園ですとばかりに泳ぎ回る。「ぅぁ、ぁっ。んぅ、くっイク」 緩急をつけて泳ぐたびに美砂の喘ぎも代わり、途切れ途切れに息が漏れる。 そして一際強く、むつきが舌を伸ばしかつ、膣口に吸い付いた時、美砂の限界が訪れた。 むつきの頭を抱え、縋るものを見つけたように腰を押し付け飛び跳ねる。「ひぅ、イッイッちゃぅ!」 体を弓なりに痙攣でも起こしたようにビクビクと体を震わせる。 何の前触れもなく虚脱状態となり、布団の上へと背中から落ちていった。 ぜえぜえと喘ぎ、後ろ手に支えていた手を額に乗せて焦点の合わない瞳で天上を見上げた。 天井に見つけた年代ものの染み見つけ、何気なく数えては自分を取り戻していく。 そんな美砂を真上から見下ろすように、むつきが覗き込んだ。「美砂、おい。大丈夫か、ちょっと強すぎた?」「ううん、素敵だった。先生、顔べとべと。えっと……い、嫌だったら言って?」 手探りで何か拭けるものをと探し、美砂が手にしたのが自分の下着だった。 浴衣は背中の下で動くのは億劫だし、一応聞いてからそれでむつきの顔を拭いた。 だがむつきは嫌がるどころか、鼻の近くを拭かれるたびに忙しげに鼻を動かしている。「匂い嗅がないで、もう」「美砂の良い匂いがする」「お風呂出て、少ししか履いてない。そんな体臭強くないから」 これでお終いとむつきの顔に塗りたくられた愛液を拭き終わる。 すると極自然に見つめあい、再びのキスを行なった。「先生、私もその……先生のに。してあげた方が嬉しい?」「俺的には少し微妙」 美砂が言っているのは、むつきの一物を咥えてあげようかという事だ。 口淫、またはフェラチオと呼ばれる行為である。 自分ばかり汚いところを舐めさせてという気持ちなのだろうが、もちろん違った。 むつきは美砂の大事な秘部であるなら、よろこんでキスをすれば舌も使う。 ただそれが逆となると、やはり気が進まないらしい。「いくら美砂が相手でも、フェラした後にキスしたくないから。今はまだいい。そのうちな」「一応拭いたけど、自分の愛液塗れになった先生とキスさせられたんですけど」 勘違いされがちだが、良い気分がしないのはお互い様。 そう言いたかったが、言及は避けた。 今は詰まらない言いあいよりも、むつきと文字通り深く愛し合いたい。 それも何一つ邪魔される事なく、直接触れ合っていたかった。 だから禁忌とも、むつきが決して承諾しないであろう頼みを願い出た。「先生、私の一生で一度のお願い」「ん、なんだ今さら。美砂のお願いなら大抵の」 恋人の願いならばなんなりとと優しい眼差しのむつきも、次の言葉には態度を変えた。「今日だけ、ゴムはなしでしたい」「駄目だ」 普通の男なら、むしろお願いする立場の願いをむつきは即断で退けていた。 何しろ二人の間柄が既に普通ではないのだ。 お互いの為にもそれだけは受け入れられないと、強い意志のある言葉で拒絶する。「念入りに計算してきたの。一週間前も今もまだ安全日だから」「あくまで、比較的なんだぞ」「中で出してまでは言わない。出すのは外で良いから、先生」 つい先程までの幸せそうな顔から一転、今にも泣きそうな声で懇願される。 むくむくと湧き上がるのは、美砂を泣かせた罪悪感。 それと同時に生でできると期待にふくらみギチギチに勃起する一物であった。 深くついた溜息は美砂の我が侭に対してか、それとも節操のない自分に対してか。 今にも涙が零れ落ちてきそうな程に瞳を潤ませた美砂の頬にふれる。「今日だけだぞ。本当に、今回だけ」「うん、先生大好き」 とても良い顔、小憎らしい程の笑みを向けられ、思わず釣られて笑みを浮かべる。 ああ、やっぱり惚れてるんだと、危険な我が侭さえ聞いてやって良かったとおもってしまう。 枕と自分の位置を直し、布団にぽふりと倒れこんだ美砂のあの期待の眼差し。 惚れた俺の負けかと、伸ばされた腕に誘われるように美砂に覆いかぶさっていく。「先生、どうぞ私を召し上がれ」「折角の美砂の我が侭、好意だ。心行くまで堪能させて貰うよ」 自分から倒れこんだ美砂を、改めてむつきが押し倒した。 一度キスをしてからその首筋に顔を埋め、舌で舐め上げながら片手で一物を握った。 手探りならぬ、亀頭探りで入り口を探し、割れ目を探し当てる。 挿入の直前に美砂の意志を瞳で問いかけ、こくりと頷き返された。 その瞬間、ほとんど間髪いれずにむつきはずぶりと美砂を突き貫いていく。 処女膜のない初夜のは、躊躇いのない深い深い挿入であった。 美砂の肉壷の奥へ奥へと侵入しては、狭い膣内で居場所を失った愛液が流れ出す。 そんなむつきの侵入、蹂躙が止まったのはコツンと最奥で硬いものにぶつかった時だ。 珍しく強引なまさに犯すという言葉に相応しい挿入で子宮を小突かれ、美砂が声を張り上げた。「あっ、んんぅぁっ!」 膣内で蠢くひだが、一斉にむつきの竿から精液を搾り出そうと握り締めてくる。 美砂の急な大きい喘ぎからも分かる通り、むつきを受け入れただけでイッたのだ。 体中にキスマークを付けられ、散々愛撫された事もあるがそれは主原因ではない。 遠くを見るように天井を見上げていた美砂が、ぽつりと美砂が呟いた。「凄い、コンドームがないだけで。こんなにも先生を感じてる」 一番最初、一度だけ生でした時は、初めての飲酒で美砂もかなり酔っていた。 それも初体験のおまけつきで、何がなんだか分からなかったのが本音だろう。 対面座位で上下に揺さぶられたのだからなおさら。 だが今は風呂上りでもあり、全身をめぐる血液の音が聞こえそうな程に意識がはっきりとしている。 むしろ過敏ともいえる状態ですらあった。 体位も正常位と仰向けで寝るだけで、美砂は挿入される一物だけを感じていればよい。 だからこそ、むつきの一物を受け入れる、それだけの事で果てる事になったのだ。 意識が少し遠い状態でも、むつきの一物が刻む鼓動でさえ敏感に感じられた。 それはむつきも同様で、射精を耐えられたのはひとえに経験の違いに他ならない。 美砂と同じぐらい初心で経験不足であれば、きっと入れた瞬間に射精していた事だろう。 現在の美砂の膣内は、それ程までに活発化の様相をみせていた。「美砂、動いても大丈夫か?」「大丈夫だけど。どうしよう、コンドームつけない事に病みつきになったら」 一生に一度は誰しも何度も呟く台詞なのだが、美砂は早くも次を欲していた。 今後も生でと期待を込めた瞳で、むつきを見上げてしまっている。 だが今回だけとそんな美砂の頭を撫でて宥めつつ、むつきは微笑みかけた。「満足させてやるから、心配するな。コンドームがあっても満足できるよう、可愛がってやる。だから、安心して貴重な今を楽しめ」「うんぁ、ぁぅ」 返事も終わらぬうちに、むつきが腰を引いて、再度の挿入を行なった。 互いの下腹部がぶつかり肌と肌で拍手のようにパンと鳴り響く。 再びの激しい快楽に、美砂はとっさにむつきの背中に腕を回していた。 結合部からの衝撃、揺さぶりに対し、押し流されまいとするようでもあった。 ただそれでも抗い切れはせず、なんとか快楽を逃そうと両足を目一杯伸ばしている。「美砂、気持ち良いか。俺は最高だ、美砂の中が温かい。凄く締め付けてくる。必死に我慢しないと今にも出そうだ」「わかんない、凄すぎてわかんない。これがセックス、本当の。赤ちゃんをつくるための。今私、先生と赤ちゃん作ってる!」「ああ、今俺達は赤ん坊をつくろうとしてる。コンドームなんて無粋なものもない、本当のセックスだ」 二度、三度と膣内を竿で蹂躙され、美砂が喘ぎ、むつきの背中に爪を立てる。 痛烈な痛みを背中で感じながらも、むつきはやめなかった。 むしろ美砂をさらに快楽の渦に招き入れるように、技巧を凝らす。 ただ猿の様に腰を振るだけでなく、美砂の膣を味わいながら様々な方法で責め立てた。 腰を回し、深く挿入した状態で膣を竿でかき回す。 はたまた、挿入の角度を変えては亀頭やカリ首で膣の肉壁をこそげていく。 これまでに様々な手段で得た知識から、美砂を感じさせようと実践していた。「んっ、んっぁ。気持ち良い、今までで一番。ぅぁ、せんっせぇ」「どうしくっ、どうした美砂」「これ、これでぁん。中に出されたら、どうなっちゃうんだろ」 小さな小さな好奇心がうずき、美砂の足が動こうとした。 必死に腰を打ちつけるむつきを、抱きかかえるように逃げ出せないように捕獲しようと。 腕で背中を抱くように、足でむつきの腰を抱こうとする。 そうなれば、むつきはもはや美砂の中で出すまで抜け出せない。 美砂に請われるままにその奥、さらに子宮の中へと精液を吐き出すのみだ。 間一髪、本当に間一髪それを察したむつきが、閉じ行く美砂の両足の足首を掴み取る。 なんという怖ろしい事をする子なのか、愛し合う場で僅かにも苛立ちを感じてしまった。「この悪戯娘、こうしてやる」 初夜であろうと、甘くするのもココまでだと掴んだ足を上に持ち上げた。 そのまま操縦桿のように前へと押し倒すと、むつき自身も前のめりになっていく。 美砂を蟹股のまま丸めさせ、顔がキスできそうな程に近付いていった。「やだ、こんな格好。許して、先生。ちょっとした好奇心だっただけで!」「駄目だ、我が侭娘にはお仕置きだ。それに悪い事ばかりじゃない」 正常位から代わってまんぐり返しと、まだまだ初心な美砂には辛い体位を取った。 案の定と言うか、こんな格好はと美砂がいやいやと顔を振る。 泣きそうな声で腰ではなく体全体を揺すって抵抗するが、それも直ぐに止んでしまう。 悪い事ばかりじゃない、そんなむつきの言葉を信じたわけではない。 その目で見て、理解してしまったのだ。 自分の頭上、視線の先で繰り返される光景、秘所に深々と挿入され続けるむつきの一物。 美砂は初めて挿入の瞬間、そのものを見た。 今までは対面座位や立ちバック、騎乗位と美砂の視界の外である事が多かった。 だが今この時、美砂は快楽でも言葉でもなく、視覚で強制的に教えられた。 自分の股座に激しく打ちつけられるむつきの腰。 その度にテカテカと愛液で滑り光る黒い肉棒が、美砂の秘所へとめり込んでいく。 深く根元まで入っていく事が確認でき、溢れる愛液は空気と混ぜられ泡立てさえいる。 何度も何度も、繰り返し挿入される度にその光景が見えた。 酷い時には跳ねた愛液が顔に飛んで、顔の上を愛液が滴り流れていく。「あっ、ぁぁ……」 好意や快楽といった形のない感情ではなく、言葉と言う形のない音とも違う。 強制的に二人の結合部を見せ付けられた現実。 百聞は一見にしかずとは良く言ったもので、改めて教えられたこれがセックスだと。 大人が愛し合い、赤子を作る過程で快楽を得る生々しい行為である。 我知らず、その現実を否定するように美砂は首を横に振っていた。「美砂、見えるか。俺とお前が繋がってるのが」「嘘、嘘。こんなの、違う。私と先生は、私達は恋人同士でもっと甘くて、切なくて綺麗な」「目をそらすな、これもセックスの形だ。綺麗な感情も言葉も捨て去れば、残ってるのはこんな現実ぐらいだ。それでも、俺は美砂が好きだ」 もはやむつき自身、自分で何を言っているのか。 グロテスクな光景を見せつけながら、最終的に行き着いたのがそれであった。 重大な前振りを全て捨て去り、自分で否定した言葉を持って来たような。 多少良いように言い換えれば、最後まで捨て切れなかった感情と言葉だろうか。 醜くもある現実を前に、縋れるものをみつけて美砂も必死に飛びついた。「先生、好き。大好き。先生がこれもセックスって言うなら、私受け入れる。かけて、私を現実で先生の精液で汚して!」 コレまでよりも更に膣が締まり、むつきの射精感を促がしてきた。 美砂を押し潰すように挿入を繰り返すのも限界であった。「美砂、出すぞ。美砂の火照った体を白く染めてやるから、覚悟しろこの野郎」「いいよ、先生だから。何されても、私を先生で染めて!」「いく、いくぞ。美砂、いくぞ!」 再三の宣言の後、むつきは美砂の中から一物を取り出した。 鞘から刀の刃が解き放たれるように、膣の中から抜き出し、精液が弾けとんだ。 温かい膣から冷たい外気に触れて収縮する間もなく、膨張しきって吐き出した。 勢いよく飛び出しては直ぐに勢いを失い、ぼたぼたと美砂の体の上に零れ落ちていく。 精の雨を全身で受け止めながら、美砂も二度目となる絶頂を迎える。 もっとと欲しがるように全身を布団の上で伸ばし、落ちてくる精液を全て受け止めた。「熱い、先生の精液。汚れちゃった、先生に汚されちゃった」「つ、疲れた。主に腰が、美砂ぁ」「先生、重いよ。けど、嫌じゃない。先生、こんなにも重かったんだ。一人で支えられるわけがない。私が、支えなきゃ」 覆いかぶさるようにもたれかかってきたむつきを、美砂が抱きとめた。 一度はどの重さに眉根をひそめもしたが。 改めてその重さに気付き、そうだったんだと納得して、今一度しっかりと抱きしめる。「ごめん、先生。もう、我が侭は言わないから。一生の思い出になる初夜だった」「ホールドされそうになった時は、本当に焦ったぞ。美砂の足を咄嗟につかめたのは、我ながら神業だった。とはいえ、悪かったな。恥ずかしい格好させて」「ううん、悪いのは私だから。でもその代わり、今はちょっとだけ甘えさせて」「ん、こうした方が甘え易いだろ?」 むつきも美砂を抱きしめ返し、ごろりと布団の上で転がった。 上下を入れ替わり、胸板の上で美砂を受け止めなおし、髪を梳くように撫で付ける。 美砂もむつきの胸の上で顔をぐりぐりして匂いをかいだり、猫のように甘えた。 少々ハプニングもあったものの、美砂の初夜のやり直しは、以降穏やかに甘く過ぎ去っていった。-後書き-ども、お久しぶりでございます。復活、arcadia復活!このフレーズ、前作か前々作の時も同じ状態で使った覚えがw今回のような事態の為に、ちょっと宣伝。作者はブログ「CrossRood」を運営しております。同時更新していますので、arcadia不調時はそちらへどうぞ。落ちてた間も、そちらでは平常更新してました。さて、八話になってもメインヒロインの柿崎ぃ!信じられるか、これってハーレムのお話なんだぜ。十三話ぐらいまでずっと美砂のターンです。ちなみに、arcadiaが停止中に六十三話まで手元で進みました。夏休みの八月に突入しています。約四ヶ月のお話を六十話かけて書いています。ネギが来る頃には百話行ってそうです。他に色々書いたんですが、投稿失敗で喪失。私の記憶からも喪失w残念無念、また次回。水曜日更新予定です。