第八十四話 好きなだけ、私を犯せ ひかげ荘の相続を確かなものにしたむつきは、昔懐かしい自室へと戻っていた。 部屋を使わなくなって久しいが、まだ沖縄を出て行く当時のままだ。 記憶と異なるのは、本棚からは抜けとなった漫画本ぐらいだろうか。 現在はぽかりやあかり、かがりの遊び部屋と化しているらしいから当然か。 勉強もしろよと、今は眠っているであろう可愛い従妹達へと歯抜けの漫画を指先で叩きつつ苦笑する。 現在時刻は夜の十時半、消灯時間はまだ遠いが、大半の者は疲れもあって眠っている事だろう。 むつきも病み上がりの為、欠伸をかみ殺しながらベッドの上に背中から落ちるように身を預けた。「俺がぶっ倒れちまったせいで、あやかとの約束伸びちまったな」 お話したいが、生徒は全員襖を取っ払った大部屋にいるので難しい。 せめてメールでと文面を考えているところへ、逆にメールが入ってきた。 即座に確認した差出人は美砂であり、文面は嬉しすぎて眠れないと。 むつきの母親との挨拶が凄く上手くいったのか、単に認めて貰えて嬉しかったのか。 明日には麻帆良に帰るわけだが、その日一日は旅行疲れを取る為に休みを貰っている。 短い時間かもしれないが、話せる事があれば話してくれと一言メールで打って返した。 即座にメールは返り、一杯話したいことがあると。 文末におやすみという一言で締められていた為、こちらも短くお休みと打った。 あやかへもぐだぐだすると急かしているみたいなので、簡潔にメールを送っておいた。 もう一度チャンスをくれと、謝罪とお願いがごっちゃになる格好で。「さて、返ってくれば起きてる。返らなきゃ、寝てるわけだが。俺はどう時間を潰すか」 過去、自分が使っていた懐かしい自室にて、開ききった眼で周囲を見渡した。 漫画本が歯抜けの本棚は先程見たが、他に殆ど使われる事はなかった勉強机。 他にハンガーのみとなった衣装棚、薄汚れ表面がつるつるになったバスケットボール。 子供の部屋かと自分でも思ったが、男はそんなものだろう。 何気なくバスケットボールに眼を引かれ、弄ぼうとまずベッドを立ち上がった。 その時だ、ふっとブレーカーでも落ちるように前ぶれなく室内の電気が消えたのは。「あいつら、超か葉加瀬か。絡繰の充電でも」「む、つきぃ!」「どわっ!」 何者かが突然、音も立てずにしかも真正面からぶつかってくれば悲鳴も当然あがる。 そのままベッドの上に押し倒されたのだが、その相手は直ぐに分かった。 美砂達にはまだ足りない、大人の豊満な肉付、というか下着のみの半裸だ。 なのにその肉付きに反して、冷え性の様に低めの体温。 触れたそのどれもは記憶の中と一致する人物なのだが、何故だろう。 暗闇から聞こえる声や雰囲気が決定的に違っていた。「多分、アタナシア?」「なんだその自信なさげな、声は。この私が会いに来てやったんだぞ。もっと喜び勇んで平伏、はしなくていいから。ギュってしろ」「微妙に何時ものアタナシアだけど、やっぱちがう」 そう、決定的に違うのは、その恋人との甘さを求めるような猫撫で声だ。 上から目線のちょっと高飛車で、照れやなアタナシアらしくない。 言われるままに、ギュッとはしたが。「アタナシア、大丈夫。変なもんでも食べた? それとも、冷え性だから沖縄の日差しにやられた? ていうか、毎度唐突過ぎる。せめてメールぐらいして」「それぐらい、あ……愛で察しろ」「そんな無茶な、けど。丁度良かったかな」 改めで腕の中でゴロゴロ猫のようになっているアタナシアを抱き締めた。 言葉無く、足りなかった愛を補填するように。 ぎゅっぎゅとおにぎりでも握るかのように、何度か抱き締め、ちょっと離す。 体を起こして、一緒にアタナシアも起こして目の前に座らせた。 ようやく暗闇に瞳が慣れ始め、わずかな星明りでさえも反射するアタナシアの髪が見える。 むつきはベッドの上で正座になると、そんなアタナシアの両肩を掴んだ。「大事な話がある。ひかげ荘、正式に爺さんから相続することになった」「お前こそ唐突だな、私は別に財産な」「だから一緒に暮らそう、アタナシア」「どッ!」 初心な少女のように、告げられた途端アタナシアの両手が頬に行くのが見えた。 暗闇の中でもはっきりと赤く火照る顔を必死に抑えるかのように。 その両手は震えている、両手のみならず唇も、瞼の奥の瞳も振るえ涙が滲む。「い、いいのか。私はまだ、むつきに秘密が一杯で。多分、一生打ち明けられないかもしれない。いや、するつもりはない」「女の過去は、言わなきゃないも同然。どっかの誰かが言ってた。それに、良いのかって聞くのはこっち。俺浮気性らしく、他にも嫁さん一杯で。アタナシアの為だけには生きられない」「凡夫の癖に、馬鹿な夢をみるものだ。が、そういう馬鹿に私は弱い。途中で諦めようものなら、その尻月にまで蹴り上げるぞ」「望むところだ。アタナシアみたいな、勝気な姐さん女房は大歓迎。尻引っ叩いてくれ」 そうむつきが笑ったのを期に、アタナシアの瞳から大粒の涙が確かに零れ落ちた。 何もかも秘密で、むつきはアタナシアの事を何も知らない。 だからこそここまで真剣に求めてくれるのかもしれないが。 仮に真実を打ち明けても、この男なら受け入れてくれると確かに思えた。 幻想、夢想、アタナシアの思い込みかもしれない。 実際の所は分からないが、大丈夫だと思えた男は恐らくは初めてだ。「むつ」「アタナシア、もう我慢できん!」 感激に任せ抱きつこうとしたら、逆に押し倒された。 あれっと眼を白黒させるアタナシアの前で、むつきが震える手で浴衣の帯を解いている。 一緒に暮らそうと決心した相手、それも年上の爆乳さんが半裸でいるのだ。 むしろここまで真面目に自制した事を褒めて欲しいとさえむつき当人は思っている。 少々乱暴に押し倒した事は悪いと思いつつ、それでも思いの丈を吐き出した。「子供、作ろう。今直ぐ、三人ぐらい!」「三、馬鹿そんな直ぐに。それに私は」「言ったよ、我慢できないて」 タンマと言ったアタナシアの唇を自分の唇で塞ぎ、浴衣の次に邪魔なトランクスをズリ下げた。 折角、ローレグのセクシーな下着で決めてくれたアタナシアには悪いが。 先っぽでソレをずらし、ラビアがちょっと顔を出す割れ目に照準を合わせる。 正直な所、さすがに前戯なしは無理だと思っていたが感じたのはぬめりだった。 くちゅりと、抵抗無く先っぽが五ミリ程埋まっていた。「アタナシア?」「うぅ、仕方ないだろ。私の後見人みたいな爺に、迂闊にもお前を私の彼って言ってしまったから。恥ずかしいけど、凄く会いたくなって。我慢できなかったのだ」 恥ずかしそうに顔を隠しながら、アタナシアはむつきをチラチラ見ながらの弁護だ。 これでいきり立つなと言う方が、無理である。 訪問もそうだが、アタナシアの方がセックスしてと濡らしているこの事実。「アタナシア!」 誰か騒ぎに気付いてきたらどうするという気遣いも彼方に、むつきは一気に腰を押し進めた。 ベッドの下に組み敷いたアタナシアが、上にガツンとぶれる。 感激から瞳に溜めた涙が、全く別種の感情からぽろぽろと零れ始めてもいた。 愛する男に名を呼ばれながら貫かれる悦び。 足りないモノを埋めあう人のように互いを埋めあい、あと少しの快楽。 特殊な生態故に低めの体温を内側から暖めてくれる熱い肉の迸り。「むつき、大好き」 未だかつてこれ程までに素直に、己の感情を言葉にした事があっただろうか。 言葉だけでなく、体の方ももっとと両足がむつきの腰を抱き締めていた。「俺もだ、愛してるよ。今日は何度でも朝まで。アタナシアが孕むまで」「うん……あっ、でもあまり無理は。倒れただろ」「心配かけて、ごめん。けど、大丈」 腰を引き、アタナシアの膣をカリで擦りあげつつ。「夫!」 再度、抉るように膣内を進軍して蹂躙していった。「あぁっ!」 こんなにも硬く熱いのなら、喘がせられるのなら大丈夫と信じさせるように。 迂闊にも、アタナシアはそんなむつきの行為に疑問を挟む事なく快楽の声を上げてしまっていた。 のみならず、もっともっとその肉を食いたいと涎と同じ愛液が止まらない。 男に制服される喜び、けれどやはりアナタシアはアタナシアであった。 如何に感情のブレから、可愛く恥じらいを持つことはあっても。「アタナシア、今日はずっとおっ?」 鳴かせ続けてやると、言いきる前にむつきの視界が暗闇の中で回転した。 僅かな星明りが、ギュンっと円形に伸びて夜空の写真のように見えるぐらいに。 次の瞬間、むついとアタナシアの上下関係が逆転してしまった。 もしくは、最初からむつきの反逆などなかったのかもしれない。 金糸の髪を開けっ放しの窓からそよぐ潮風に揺らがせながら、アタナシアがむつきを見下ろす。「一方的に鳴かされるのは、性に合わん。今から、むつき。貴様が喘ぎ続けろ」「アタナシア、腰ぷるぷるしてるぞ」 普段通りの勝気な台詞も、砕けそうに震える腰を見ればやせ我慢は一目瞭然。 両手もむつきの胸の上に置かれ、必死に支えているのがまるわかりだ。 試しにわずかにでも腰を突き上げれば、アタナシアが必死に喘ぎを我慢するのが分かる。 一突きするたびに、頬がぷく、ぷくっと膨れ喘ぎを飲み込んでいるのが分かった。「ほら、しっかり立ってないと俺を喘がせなんてできないぞ」 嘘つきさんは罰ゲームとばかりに、むつきが激しくアタナシアを突き上げた。「待っ、んぁっ。深い、熱いのが奥でチュッチュ。待って、むつき」 もちろん、待たないとばかりにむつきはしっかりアタナシアの腰を掴んでいた。 突き上げに合わせ腰を引かせ、密着時には腰を回し、竿を抜く段階で腰を浮かさせる。 アタナシアが今再び、素直になれるように全力で。「ふん、このぁ……程度で私が。ほらんっ、もっと暴れろロデオだ」 もちろん、むつきの意図などアタナシアはお見通しなのだが。「アタナシア、肘折れてきてる。前屈みにもなって。そんなに俺とキスしたかった?」「ぐぅ、そうだ。キスしたかったから、仕方なく。勘違いするなよ」 蕩け今にも上の口からも涎を垂らしそうになりながら、それでも強がりは収まらない。 ああ、この二人は姉妹だなっと時々そっけない子猫を思い出す。 それにしても、ちょっとこのツンケンしたセックスに嵌りそうだ。 明らかにセックスの虜なのに、理性ではこの私がと。 気の強い女性を屈服させたような征服感はなんとも言いがたく、今までになかった。 基本、むつきの周りのお嫁さんは大好き大好きの連呼だからだろうか。 そう言う意味でも、アタナシアが嫁になってくれる意義は倦怠期回避の意味でもありがたい。 アタナシアからの熱烈なキスを受けながら、そう思った。「むつき、んぅぁ。私の唾液はどうだ、美味いか?」「アタナシアの味しかしない。俺の中にアタナシアが満ちてくる」「可愛いやっ、え?」 だからこそ、勝ち誇った笑みを少しでも見せた途端、手が勝手に動いていた。 勝気な台詞は構わないが、あくまで蕩けてほしいと、主導権を握っていたかった。「ぁっ、お尻。むつき、指がそこ違う。お尻」「違わないよ。フェラはしてもらった事あるしセックスも。でもお尻はまだだったから」「やめ、違う。この程度、お尻ぐらいでこの私がぁん」 あくまで負けを認めない、それが良いとむつきはアタナシアの下から動き始めた。 挿入はそのままに、ベッドの上でアタナシアを仰向けに。 自然とむくきは正常位で挿入する事になるが、もちろんそれで終わるはずが無い。 右手の指がアタナシアのお尻の中なので、左手だけで順次足首を持って回す。「馬鹿、よじれる。私の中が!」 ついに勝気な言葉も尻すぼみで、アタナシアを後ろから組み伏せる形となった。 挿入の尺度は甘くなったが、その分だけお尻が弄り易くもなる。 今アタナシアがどんな顔をしているのかが見えないのは残念だが。 真っ白で重量感たっぷりのお尻を左手で撫で上げ、飽きる間もなく谷間へと。 今右手がどうなっているのか、暗がりでもはっきりと分かるように谷間を割っていく。「止めろ、見るな。見るなぁ」 暗闇の中でもはっきりと見えるのは、アタナシアの肌がそれだけ白いからか。 むつきの右手の中指をくわえ込んでいる皺のある窄まり。 アタナシアが見るなと言う度に、呼吸をするように喘いでいる。 中指は第二関節まで埋もれているが、第一関節部分をくいっと曲げてみた。「あぅ、ん」 僅かな動きを敏感に察したアタナシアのお尻が浮き上がる。 辛うじて挿入はそのままだが、ベッドから浮いた分、愛液が肌とベッドで橋を作るのが見えた。 入れたい、これだけ敏感なお尻に入れたらアタナシアはどうなるのか。 勝気なまま、それとも屈服してしまうのか。 ずるりとアタナシアの膣から竿を抜き、むつきはアタナシアに背中から覆いかぶさった。 まだ入れない、お尻の割れ目に竿をぐいぐい押し付けつつ耳元に囁いた。「アタナシア、良い?」「駄目、子供作るんだろう。後ろじゃ、できん」 聞く耳持たないとばかりに、そっぽを向かれてしまう。「子供も作る。後ろにも入れたい。アタナシアの全部が欲しい。本当に、駄目?」「ちゃんと、作る分も残せよ。絶対だぞ」 なんて我が侭なと眉根こそひそめられたが、アタナシアも観念したようだ。 ちょっと睨むようにそこだけは譲れんと、約束を求めてきた。 当然、むつきはそれに対して頷いて返す。 すると何かごにょごにょ、口の中で言葉を繰り返したアタナシアがベッドのシーツをつかんでいた手を動かし始める。 後ろ手に自分のお尻をそれぞれ掴み、見え易いように割って見せてくれた。「は、初めてだから。勝手が。どんな顔するか分からんから、見るなよ」「うん、約束する。行くよ、アタナシア」「ぁっ、んぐぅ」 本人はその気になっても、返って力が入ってしまったのだろうか。 窄まりがキュッと縮まり、添えた亀頭を埋めても入ってくるなとばかりに押し返される。 竿は十分に濡れているし、今の状態では愛液を窄まりに塗りたくっても同じだろう。 だから、少し遠回り。 むつきは緊張に体を強張らせるアタナシアを、背中からそっと抱き締めた。 うつ伏せになり圧迫される胸へと手をのばし、揉みしだき乳首を転がしながら囁いた。「普段と同じだから。普段通り、受け入れてくれれば」「べ、別に緊張など」「アタナシア」 振り返ったアタナシアのその震える唇へと、普段通りむつきは口付けた。 普段通り、場所は違うが受け入れて欲しい。 胸への愛撫も普段のまま、乳首をキュッキュと摘むと下半身が弛緩していく。 キスをしながらそれを続け、やがて頃合かと股座の愛液を指で救い上げお尻へと。 最初の頃よりも抵抗は随分と減っており、愛液のお陰でスムーズに挿入できた。 後はすべりを良くする為に、何度も割れ目と割れ目を手に往復させる。「良い?」「うん」 最終確認の後、もう一度だけキスをして再チャレンジである。 再びアタナシアの手はギュッとシーツを掴もうとしていたが、その力は弱い。 お尻への恐怖もキスと愛撫でやわらいだのか、単に弛緩し始めているだけか。 むつきはアタナシアを抱き締めたまま、腰だけを使って狙いを定めた。 アタナシアのお尻の谷間を竿で割り、その奥にある窄まりへとそっと近付ける。 ピッタリと窄まりと亀頭が触れ合った時、アタナシアの体がピクリと震えた。 だが、むつきはそれ以上何も言わなかった。 確認は取った、愛撫もした、後はアタナシアが受け入れてくれるかどうかだけ。 ぐっと腰に力を入れてすぼまりに対し、垂直になるよう進めた。 同時にぐっとすぼまりに力が加わるのが分かったが、最初ほどではなかった。 押し進めるたびに、僅かながらに受け入れられていく。「んぅ、ぁぁっ」 普段とは異なる大人しい、けれど深みのある喘ぎであった。 そんなアタナシアの声に耳を澄ませたいが、むつきも余裕があるわけではない。 思った以上に狭く、今でもむつきの竿を僅かでもひり出そうという抵抗があるのだ。 食い千切られるのが先か、ひり出されるのが先か。 どっちも嫌だねと、むつきはぐいっと力をこめてよりアタナシアの尻穴を攻め込んだ。「ひぐぅ」「アタナシア、ごめん。もう、少し!」 喘ぎが瞬く間に苦しみの声になった事に謝罪しつつ、最後の数センチを一気に攻め上げた。 途端に、むつきは力尽きたようにアタナシアの背中に倒れこんだ。 白いすべやかなアタナシアの背中に僅かな湿り気、汗とその匂いが感じられる。 相当に必死だったのだろう、トクトクと心臓の音色と今も小さいながら続く喘ぎが直接感じられた。 このまま朝までとまどろみたくなるむつきへと、アタナシアが苦しげに振り返った。「ど、どうしよう、むつき」「アタナシア?」 カァと顔を赤くしながら、困り果てたようにアタナシアが呟いた。「苦しかったんだ、本当に苦しかったのに。どうしよう、ある一線を越えたら……気持ち良くなった。むつきの鼓動でさえ、手にとるように。セックス、してくれないか?」 苦しんでいると思った、なのに当人はなんと言ったか。 そのままセックスして欲しいと、お尻が気持ち良いとまで。 まどろんでいる場合ではない、まるで叱咤されたかのようにむつきは腕を使って体を起こした。 本当にまどろんでいる場合では、この次には大事な子作りもあるのだ。 朝まで何度でも、アタナシアが孕むまで。「行くよ、アタナシア」「お尻、お尻が熱いんだ。鎮めてくれ、お前ので鎮めてくれ!」 奥に奥にと、これまでの抵抗が嘘の様にアタナシアのお尻が竿を飲み込んでいく。 また普段とは異なる異物の逆流に、アタナシアの腰がお尻が歓喜に震える。 もっととお尻が浮けば、むつきの挿入に尻肉ごとベッドに押し付けられた。 パンパンと肌がぶつかり合う音が激しく高鳴り、夜の静寂を破壊していく。 それはアタナシアが上げる喘ぎ声も同様であった。「お尻、お尻気持ち良い。むつきのが熱い、もっともっと!」「すっかりお尻の虜だな」「知らなかった、こんな。凄い。お尻壊れる、さよすまん!」 以前、ひかげ荘の露天風呂でむつきと一緒にさよを可愛がったのだが。 こんなに激しくも熱く、今さらさよがお尻が壊れるといった理由が分かった。 体の奥から抉られ、むつきという男に入り込まれる。 ほんの少し、このままお尻が壊れたらという不安も確かにあった。 あったが、津波の如く何度も押し寄せる快楽の並みの前では無力に等しくもある。「おし、おじりぃ」「う、ぐぅ。出すよ、アタナシア。アタナシアのお尻に!」「妊娠、お尻で妊娠するのぉ!」「アタナシア!」 もうこれ以上はと、掴み切れない程に肉々しいアタナシアの尻肉を両手で掴み。 押さえつけるように固定しては、肉体の境界線を越える程に叩きつけた。 少しでも奥に、腸壁から肉の壁を経て、子宮にまで滲むようにと。 ついにむつきの亀頭の先から、アタナシアの腸内へと白くべとつく精液が迸った。 不浄の穴を、むつきの精液が白く浄化していく。「ぁっ、ぁっんくぅ。ぅぁっ!」「まだ、まだぁ!」「くぅぁっ」 俺の浄化力はこんな者じゃないとばかりに、竿を押し付けた状態からまた少し奥へ。 ぐりっと尻穴を拡張しつつ、ねじ込まれアタナシアが悦びの声を上げる。 その悦びの声が途切れたのは、全てを出し切りむつきが倒れこんで来るまでであった。 互いに汗ばんだ体の上に、折り重なるようにし、共にベッドのシーツに向けて荒い息遣いを向け始めた。「ふぅ、はっ。ほ、本当に尻で妊娠するかと思った。ちゃんと、残弾残ってるか?」「俺が普段から、何人相手にしてると思ってるんだ。しかも、滅多に会えないアタナシアが腹の下にいるんだ。たぎる、無理矢理にでも」「おっ、おお。こら、馬鹿。尻穴で大きくなって。そっちじゃない。んぁっ」 行為の後の気だるさにむつきがもがけば、精液に溺れる尻穴がかき回される。 そっちじゃないと、アタナシアがお尻を振ればずるずると滑ってまた奥へ。「そっちじゃ、赤ちゃん欲しいの。むつき、そっちじゃない」 ついにあのアタナシアが今にも鳴きそうなか細い声で訴え、むつきも我に返った。 悲しいわけではなかろうが、それでも泣かしたいわけじゃない。 一緒に燃え上がり同じ快楽を共に味わいたかっただけで。 慌ててお尻から一物を抜き、尻穴から垂れる精液にも目もくれず。 小さく丸くなろうとするアナタシアを仰向けにし、御免と平謝りである。「ごめん、調子に乗りすぎた。俺から赤ちゃんつくろうって言っておいて、本当にごめん」「ぐすっ、私こそ。すまん、というか忘れてくれ。この私が、セックス中に泣いたなど」「絶対に言わない、誰にも。前にもそれで嫌われかけたし。二人だけの秘密」「二人だけの秘密、か」 そうか二人だけかと呟いたアタナシアの機嫌が、何故か回復し始める。 後見人にむつきを彼氏と言って照れたり、二人だけの秘密に憧れたり。 普段高飛車で、女王様気質の割には、普通の恋愛に憧れでもあるのか。 ともあれ、機嫌が回復しつつあるのなら、畳み掛けるのは今だろう。 仰向けにむつきを見上げているアタナシアの唇を、そっと奪った。 二人だけの秘密と照れていたアタナシアの瞳が、むつきだけに注がれた。 最初は直ぐに離れた唇であったが、見つめあうこと数秒、再び触れ合った。 繰り返し何度も、離れては暇を惜しむように押し付け合い、やがて度合いが深くなる。「んぅ、むつき。もっと、今度こそ」「アタナシア、可愛いよ。凄く胸が苦しい」 このもどかしさをどうにかしてとばかりに、むつきのキスが唇を離れていく。 喘ぐアタナシアの首筋を、鎖骨を通り、乙姫家の男児として避けては通れぬ胸へ。 美砂達、少女では決して到達できぬ、いや一人だけその資質を持つ者を知っているが。 普通の少女では辿り着けぬ、アタナシアの巨乳を通り越した爆乳である。 やはり俺は爺さんの孫だと、血の濃さを改めて思い知りつつ顔から飛び込んだ。 むにゅりと形を変えクッションのように乳の肉が受け止めてくれた。 この為に生きている、そう言って過言ではない程に、鼻先で乳首を探し口に含んだ。「痛っ、馬鹿。強く吸い過ぎ、まだでない。お前が妊娠させないと」「出る、こんなに大きいんだ。出る、そうだろ?」「本当に、馬鹿ばっかだ男は。好きなだけ飲め」 呆れ果てながらも抱き締めてくれ、むつきは遠慮なく乳の海に飛び込んだ。 外側からは両手で押し上げるようにし、胸の谷間で溺れて死んでしまいたい。 何時までも、何時までもとお話の終わりの様にしたいが、今日はちょっと事情が違う。 血の涙を流すほどに口惜しいが、二度もアタナシアを悲しませる事はできなかった。 宣言したのだ、一緒に赤ちゃんを作ろうと。 父親が母親の乳に溺れているだけでは、赤ちゃんなどできようはずも無い。 この乳は俺だけのもの、そんな願望を死ぬ気で汗をだらだら流しつつ振り切った。「むつき、どうした。凄い汗だぞ」「俺は今、男として一皮向けた」 一皮ってとアタナシアが、むつきの一物へと視線を降ろしたのは仕方の無い事だろう。「お前はたまに意味がわからんな。おしゃぶりは、もう良いのか?」「ああ、方乳だけ。方乳だけなら、俺の子供に譲る決心がついた」「本、当。に馬鹿だな」 心底呆れられてしまったが、アタナシアの唇の端がひくついていた。 怒りからではない、喜びからだ。 今むつきは言ったのだ、自分とむつきの子供にこの乳の片方を譲ると。 正直全部譲れよと思わなくもないが、一緒に育ててくれる気になったという事だ。 胸の切なさが、股座に伝わり涎が止まらない。 目の前の男の肉棒をくわえ込みたいと、割れ目のみならず、尻穴までもがひくついた。「むつき、我慢は体に毒だ。乳を片方譲る分、こっちにな?」 そう相手を諭すように、実は自分が一番欲しがっている事を悟られぬよう。 アタナシアがむつきの竿に手を添え、自分の大事な部分にあてがった。「好きなだけ、私を犯せ。好きなだけ、高ぶりを吐き出せ。私が許す」「アタナシア、アタナシアッ!」「ぁんぅっ!」 一度目それから、尻穴を犯された時とは比べ物にならない突き上げであった。 肌と肌がぶつかり愛液が飛び散り、その粘液がさらにぶつかり合いの音を高める。 抉られる喜びと抉る喜び。 互いに似て否なる喜びに身もだえしつつも、視線はそらさなかった。 相手の一挙一動、それこそ心情の震えさえ見逃さぬように。 喘ぎながらも決して相手から視線をそらさず、別の生き物のように腰だけが動いていた。「溶ける、アタナシアの中に溶けそうだ。もっと、熱く硬くならねえと」「んぅんぅぁ。くっ、むつき。キス!」「アタナシア!」 視線どころか、触れ合わぬ場所がない程に抱き締めあい唇を触れさせあう。 喘ぎ声も唇から互いに直接聞かせ、欠片も漏らさない。 くぐもった声で僅かな呼吸だけを漏らしつつ、夫婦のようにまぐわい続ける。 そんなおり、一ミリの隙間もない程に求め合いながら、ついに視線がそれた。 見開かれたアタナシアの瞳が、むつきではなく、その古く染みのある天井を貫いていった。「うぐぅ、ぁぁっ。んぅぅ!」「うぁ、タナシア。ぐぁ!」 アレだけつき続けられていたむつきも腰も、途端にピタリと止まり小刻みに震え始めた。 最近、水泳で引き締まり始めた尻も、何かに耐えるようにキュッと力が込められている。 そのままブルブルと震え、その波が去った直後。「まだ、まだ行ける。三回、五回。分からん」「うぁ、待っ。休ませ、女は連続でひぐぅっ!」「小さい波、ちょっと早いけど。アタナシア、イクよ」「馬鹿、イキ死ぬ。赤ちゃん孕む前に、私が」 そんなアタナシアの待ったの声も聞かれず、再びむつきがその中へと射精した。 ただでさえ、子宮内に大量に射精された直後である。 許容量を超えた事を示すように、二人の結合部からも精液があふれ出した。「勿体無い、アタナシア。ちょっと抱えるよ」「ひぃ、溺れる。受精した、孕んだ。もうお腹一杯」「駄目、確実に孕むように」 いっそ祝言前の従姉より先にとばかりに、むつきはアタナシアの両足首を手にとった。 ぐるりとまんぐり返しの格好になるように自らも震える足で立ち上がる。 もちろん、これはアタナシアの羞恥をあおる為ではない。 精液が流れ出さないよう、むつきの一物でしっかりと蓋をする為だ。 これで大丈夫と持ち上げられたお尻にのし上がるよう体重を掛けたのは良いが。 既に許容量一杯なのである。 より深く一物が差されば、アタナシアの膣内と子宮の容量を一物にとられてしまう。 つまり、結局はより溢れてしまうわけなのだが。「駄目だ、アナタシア。溢れちまう。こうなったら、一晩中注ぎ続けるから」「おい、冗談じゃ。ひぐっ、馬鹿言ったそばから。お腹の中が新しい精液に」「父ちゃんスパルタだから、受精できない弱い精子はいらん。弱肉強食、次行くぞアタナシア!」 バグってんじゃないと、暴力的な突っ込みを受けるまでむつきの暴走は続く。 -後書き-ども、えなりんです。普段、プレイ中に孕めたらさけんでますが。たぶん今回が最初のちゃんとした子作りかもしれません。そのおかげでちょっとむつき暴走してますけどwさて旅行もあと残すところ一話。最後にもう一個、フラグ建てて終わります。相手がだれかは次回。水曜更新です。