第八十八話 先生の太くて硬い。こんなの初めてぇ さすがに個人の部屋にテレビはないのでポータブルのDVD再生機での鑑賞である。 遊戯室のテレビの十分の一以下の画面サイズだが、映画の鑑賞中はお互い完全にずっと無言であった。 俺たち恋人同士だよなと頭の片隅でちょっと疑問に思ってしまうぐらいに。 言葉通り、千雨は集中する時はとことん集中するらしい。 用意しておいた麦茶も、映画が始まれば一切口をつけず、食い入るように映画を見ていた。 古い映画ではあるが、その点についてはお気に召したようだ。 むつきも久々に見ることになった名作を前に、それなりにくぎ付けではあったのだが。 やはり可愛い嫁が自分の胡坐の上にいると、とことん集中とはいかなかった。 なにしろ千雨はタンクトップにホットパンツ、あまりにもラフな格好であったからだ。 集中していた為か、千雨が静かに呼吸するたびにタンクトップの裾から見える丸い横乳も小さく揺れる。 涼しく気温調節されているひかげ荘とはいえ、まだ陽の陰りも見えない夏の日差しはさんさんとしている。 真剣なまなざしを送る千雨から香しい汗の芳香を感じとって集中しろという方がまず無理であった。「ん~……まあまあ、面白かったな。妙なファンタジー要素もないし、正統派。もう、こんな作品は出なさそうだよな。猫も杓子もCG、CGの世界だし」「まあな、最近の流行はファンタジー要素があるもんが多いな」 映画がエンドロールに差し掛かったところで、ようやく千雨も体の力を抜いたようだ。 背伸びのついでに伸ばされた腕をかわしつつ、ずり落ちるぞと後ろから抱きしめる。 そのむつきの手をそっとにぎりながら、千雨が頭上を見上げるようにしてきた。「先生、悪いなさっきはぶち切れちまって」「悪かったのは俺だからな。映画見ようって誘っといて、他ごとしてたんだから。皆も気にしてないだろうけど、一応は後でお前からそう言っとけ。なにも言わないよりは良い」「あいよ。でも、もう少し。独り占めさせてくれ」「お前にしては、やけに甘えるな。何時のも憎まれ口はどうした?」 セックス後の美砂とは言わないまでも、むつきを見上げたまま伸びをした時の手で顔をぺたぺた触ってくる。「いや、その……」 なにか言いづらそうに、千雨が視線をそらしていく。 そして何を思ったのか居住まいを正すように、むつきの胡坐の上にきちんと坐りなおした。 むつきからは後頭部しかみえないが、ややうつむき加減で照れているようにも見える。「先生のことだから、気づいてねえかもしれねえけど。私と先生って、二人きりになったことないだろ?」「あれ、そうか? ん、そう言えば……初夜も、亜子と一緒に。初家デートじゃねえか」「皆と一緒の時はほら、ノリでなんとかなるけどさ。二人きりだとちょっと、どうして良いかわかんなくて」「どうしてって……例えば、えい」 美砂と二人きりの時のように、唐突に千雨の胸を一指し指でつついた。 タンクトップの脇から覗く、白く柔らかい横乳がとても良い弾力であった。 ずっとこの男を誘惑する丸い球体が気になってしかたなかったのだ。 さらにこの流れで、千雨がやんっと可愛い悲鳴をあげてイチャイチャするつもりである。 しかし、予想に反してというべきか、体をビクリと震わせた千雨が硬直し、腕で胸を隠してしまう。 その表情を覗き込むまでもなく、大照れで反応にこまった初心な感じであった。「ば、ばか……急に、そんな」 決してむつきと視線を合わせぬよう、胸を抱いたまま体を丸めていく。 千雨の反応に別の意味で胸がキュッと締め付けられ、誘惑されてしまった。「予想外過ぎる可愛い反応。千雨、ちゅーしようぜ、ちゅー」「や、やめろよ。こんな明るいうちから、やだ。先生ぇ、だめ」 わざとらし過ぎるぐらいに唇を突き出すと、千雨が力が全く入っていない手で押し返してくる。 強引に押し倒せばそのままセックスまでいけそうだが、それでは面白くない。 普段は口が悪いくせに、意外と初心な面もある千雨をもう少し堪能したい。 むしろ、いやだ、だめと力弱く呟く千雨を少しずつほどき、いやいや言わせながらしたくなった。 両手も千雨のお腹を抱き留めるだけでなく、指先でおへそ周りをさすったり悪戯するなら今、とばかりに。 ついにはむつきの膝の上から逃げようとした千雨をしっかり抱き留め、さする。 ホットパンツから伸びる白く悩ましい足を、元々インドア派なので腰回りにぷっくりついた肉を。 愛撫ではなく、セクハラといった方が正しい手つきで千雨を追い立てた。「千雨から部屋に誘ったんだ。期待、通りの結果だろ?」「ちが、そんなつもりじゃ。手つきがいやらしい、本当にだめ」 が、はやり千雨は千雨であったらしい。 もしくはむつきのセクハラが過ぎた結果か、ブチっといった。「やめ、ろって言ってんだろ!」 それはもう、見事な肘鉄がむつきの鼻っ面にヒットした。 思わず肘鉄した千雨がやべっと顔色をかえるぐらい、非の打ち所のない一撃である。 逆に千雨がびっくりするぐらいむつきが吹き飛び、畳の上に頭をぶつけてしまった。「ぐほっ、んが。ボキって、変な音。千雨、俺鼻血出てねえ?!」「わ、わりい先生。大丈夫、鼻血は出てない。鼻回り赤くて、涙ぽろぽろ出てるけど」 猛烈な痛みに苦しんでいるむつきには悪いが、千雨は内心ため息をつきたくてしょうがなかった。 当たり前だが、千雨だってごく普通の女子中学生だ。 普段、むつきと憎まれ口をたたき合ってはいるが、美砂達のように甘いひと時を過ごしたいと思う。 恐らく先ほど胸を触られた時だって、美砂ならば笑みの中に期待を込め、仕返しとか言いつつむつきの頬にキスの一つでもしそうだ。 しかし千雨の場合は、どうしてもむつきを前にするとしおらしくいられない。「でもまあ人生、諦めが肝心かもなぁ……」 ネットの上でしか自己主張できなかった自分が、イケメンではないとはいえ彼氏ができたのだ。 例えそれが自分の副担任かつ、クラスメイトに手あたり次第手を出す変態鬼畜教師でも。 あまり望み過ぎても罰があたるよなと、ちょっと自己完結である。「千雨?」「なんでもない。ほら、動くなよ」 ちょっとだけ自己完結をして、むつきの顔を手に取り、ティッシュで涙や脂汗を拭いてやる。 しばらくして痛みも引き始めたらしいが、むつきはじっと千雨を見つめていた。 稀にしかみることのできない、結構貴重な千雨が、皆が好きなむつきの力強い瞳だ。「はい、綺麗になった。よっ、立派な女たらしの顔だ。純性和風天然お嬢様と、その護衛の女武道が待ってんぞ。挿しても良いけど、刺されんなよ」 一足先に立ち上がり、さあ行って来いとごまかしたが、もちろん通用するはずがない。 遅れて立ち上がったむつきを送り出す前に、逆に引き留めるように腕を掴まれてしまった。「なんだよ、先生。近衛たちの前に、一発ちうちゃんで抜きたいのか?」「千雨」「ん?」 この夏場、そんなにも見つめられたら火が付くと思えるほどにむつきから見つめられる。 根負けというわけではないが、じりじりと視線が泳ぎ出したのは千雨であった。 恋人らしく甘くイチャイチャしたい、けれどそれは諦めたのだ。 けれど諦めきれない、そんな気持ちを瞳が代弁するようにむつきの視線から逃れようとしてしまう。「いずれ夫婦になるんだから、遠慮すんなよ。俺は遠慮なんかしてないぞ。千雨とイチャイチャしたいし、エッチもしたい。子供だっていずれは産んで欲しい。それから」「ああ、くそっ!」 あけすけに欲望を、決して嫌ではない欲望をぶつけられ馬鹿らしくなった。 なんで自分だけ勝手に諦め、やりたいことを我慢せねばならないのか。 そんな苛立ちを込めた小さな握りこぶしは、ぺちんとむつきの大きな手のひらに受け止められた。「そうだよ、私だって先生にもっとエッチなことされたいし。子供だって……でもその前に、イチャイチャしたい。普通の恋人みたいに二人きりで、ほっぺたえいってされて、やだもうとか他人から爆発しろって言われるようなことしたいんだ。文句あるか!」「ねえよ、むしろ望むところだ」 間髪入れず、突然叫んだ千雨を前に驚きもせずの返答であった。「うわっ……一瞬、先生がイケメンに見えた。死にてえ。死ねよ」「なんで対象が変わってんだよ。それより、ほれ。さっきの続き、座れよ千雨」 ちくしょうと小さく呟きながら、腕を引かれるままに千雨はむつきの胡坐の上に逆戻りである。 そのままちょこんと座ったのは良いが、千雨は落ち着けない。 そわそわと、ちょっとむつきへと振り返っては視線が合うより先に前を向いてしまう。 顔を赤くし俯き加減で足をばたばたさせたかと思えば、蚊の鳴くような声で呟いた。「何かしろよ」 それがイチャイチャするための切っ掛けのためというのは明らかなのだが。「ん~? なにが?」「うわっ、超むかつく」 あれだけ誘っておいて、知らん振りかと再び殴りたくなったが我慢。「しょっと」 このまま待っていても意地悪キングは手を出してくれなさそうなので自分から動く。 まずはむつきの胡坐の上で九十度、向きを変えて横向きに座る。 ちょっと収まりが悪かったが、むつきが黙って背中を支えてくれた。 本当に意地悪するのか、優しくするのかどちらかにしてほしい。 欲しいんだぞと、むつきの頬を両手でつまみあげようとしたが、そうじゃないと手を宙にさまよわせる。 それでは何時もの憎まれ口夫婦だ。(マジでイチャイチャするのって難しい。あいつら、普段どうやってんだよ) むつきが期待に胸膨らませ待っているのを良い事に、少しだけ想像してみる。 例えば親友の美砂は、かなり想像しやすい。 二人きりの時、唐突にちゅーしてと言いだすのだろう。 いざむつきがしようとするときっと自分から先手をとるようにキスをする。 そのくせ、先生からじゃなかったからもう一度と言うのが簡単に想像できた。 それからむつきがする前に自分から何度もキスをして、もう一度と何度も強請る。 馬鹿じゃないかと思う、同じことの繰り返しでそこになんの生産性も見受けられないのだが。(羨ましい、なんでそこまで素直に行動できんだよ!) 自分の想像の中の美砂へと叫ぶが、千雨の叫びを無視してむつきに繰り返しキスして甘えていた。(後で一発、殴ろう) かなり理不尽な決意を胸に秘め、もう破れかぶれだとすべての思考を放棄する。「ぁっ、痛っ」 首をちょっとだけ伸ばし、着崩れたむつきの浴衣の襟元に見えていた鎖骨にかみついた。(よりによって、何してんの?! 先生、普通に痛がってんじゃねえか!) 意味不明な行動が余計な焦りを呼んで、もはや何が何だか。 痛いなら治療、唾つければ良いじゃんと電波が舞い降り、鎖骨をぺろりと舐める。 目の前、直ぐそこにあるむつきは、くすぐったそうに笑っていた。 頭の中が沸騰しちゃうとテンパりながら、千雨はちょっとしょっぱいむつきの鎖骨を舐め続ける。 ちょっと骨太な薄い皮と肉もまとめて猫がミルクを舐めるようにチロチロ舐め上げた。(止めて、誰か止め。先生しかいねえよ!) そのむつきは、千雨のテンパり様を楽しそうににやにや見ているだけだ。 もうこれは突き進むしかないと、千雨は中腰になってむつきの胸を押す。 完全に予想外だったのか、非力な千雨でも驚くほど簡単に押し倒すことができた。 できてしまったというべきか。 あろうことか、むつきは文句を言ったり止めるどころか、にやにやと続きを促してきたのだ。(あかん!) 脳内で関西弁を披露した千雨は、どうにでもなれの精神で再びむつきの鎖骨に舌を落とし始めた。 両手は使わず、押し倒したむつきの浴衣を鼻先でかき分ける。 窓から注ぐ夏の日差しにより浮かぶ汗、そこに交じる男の匂いが嫌でも分かった。 愛する男の芳香を胸いっぱいに吸い込み、お礼とばかりに鎖骨からその熱い胸板へと標的を変えた。 能動的にむつきが動いてくれない不満を爆発させるように、むつきの体をむさぼった。 普段は自分が舌で愛撫されるであろう胸を、代わりに唾液で濡らし愛撫する。「んっ」 小さな乳首を千雨が口に含んだからだろうか、むつきが小さく声をあげた。 男でも艶のある声を出すんだと、乳首周りを重点的に舌で攻め上げる。 若干口は疲れてきたが、まだまだ先は長い。 馬乗りになってからずっと、俺の出番はまだかとむつきの一物が千雨のホットパンツに包まれた股座を押し上げてきていた。 もうちょっと待ってろとばかりに、まだ体に引っかかっている浴衣をはだけながら右手を肌に沿って下へと伸ばして撫で上げる。「ぁっ」 膨らみ始めていた一物は次第に硬さを増し、より一層の熱を帯び始める。 むつきの胸からあばら骨へと舌を這わせつつ、期待に胸を膨らませながら一物への愛撫も続ける。(もう、これどういう状況だよ) むつきがかたくなにというべきか、なにも言ってくれずにいる。 だから男を押し倒して衣服をはだけさせたりと、男女の立場が逆転した行為を止められない。 にちゃにちゃと右手で愛撫する一物が水音をたて始めていた。 例え互いに無言であろうと、もはや止まるなど無理だろうか。 もう行くところまで行ってしまえと思ったところで、千雨はあることに気づいた。 胸から肋骨を通り過ぎてたどり着いたむつきの腹筋である。 胸板や肋骨とはまた違う硬さ。 普通の女の子にはなかなか縁遠い筋肉の硬さ、肉がはっきりと浮き沈みし、肌の張りも良い。 つるつると舌が滑り、少し力を入れるとグッと押し返してくる力強さが何とも言えなかった。(やば、はまるかも。私、腹筋フェチかもしれねえ) 一度気づいてしまえば、大事な一物への愛撫がおろそかになるぐらい一生懸命になってしまう。 舌で舐めるに留まらず、キスして跡を残したり、頬ずりしてみたり。 へそはちょっと苦かったので後悔したが。(先生、意外とセクシーだな。なにこれ、割れかけてる。なにこの硬さ、弾力。あっと) あまりにも愛撫を放置したせいか、俺を忘れるなとばかりにむつきの一物がぴくぴく震えていた。 名残惜しいが、非常に名残惜しいがしばしの別れである。 そしてお詫びとばかりに、千雨はむつきの膝下、脛の辺りに跨った。 しなだれ落ちる髪を邪魔そうに耳の後ろに引っ掛け、改めて両手でむつきの一物を掴む。 荒々しく膣を抉る普段のいきりたち様にはまだ遠い。 だがそれももう直ぐだとばかりに千雨は赤い舌を伸ばすように口を開き、先走り汁があふれる亀頭を咥えこんだ。「あんぅ」 イチャイチャもそうだが、何気に初フェラであったが嫌悪感は殆どなかった。 あれだけの快楽で可愛がってくれるむつきの分身であるからだろうか。 唇、頬肉をすぼませ口内すべてで包み込む様に喉の奥へと飲み込んでいく。 ジワリと口内で湧き出す唾液と先走り汁がまざり、味なんて感じる暇もない。 ただはっきりと分かったのは、むつきの一物が膨らみ千雨の口の中で何時もの硬さを取り戻したことだ。「んっ、んふぅ。ぁぅ、んぅんぅ」 口内で暴れる一物を舌で愛撫していると、解るもんだなと思った。 何処をどうされると嬉しいのか、気持ち良いのか。 一物の震えやわずかに量が変わる先走り汁の量など。 世間一般的には少女のカテゴリーのはずが、上の口も下の口も立派な女であった。 それもちょっと悪い方向の女を演出するように、むつきの玉袋を手のひらで転がし遊ぶ。「ぐっ」「んふっ」 明らかに射精を我慢した声に、一物を咥えこみながら笑い声が漏れた。 ほらほら我慢するなと転がすだけにとどまらず、お手玉するようにちょっと激しくも。 ガリガリと畳をむつきが指先で引っ掻いた瞬間、これまで以上に一物が膨らんだ。 それでも我慢するようにむつきの腰が浮き上がった為、千雨は拳銃のトリガーを退く様にギュッと握りしめた。 暴発した拳銃が恐ろしいまでの数の弾丸を千雨の口内に吐き出し始める。 すぼめていた口を押し広げるように生臭い臭気と共に溢れ出したが、まだもっとと吸い上げた。「ぁっ、くぁ!」 一滴残らず吐き出させるように竿を手で扱き、やがて打ち終わると同時にむつきの腰が畳の上に落ちる。 口の中いっぱいに精液を蓄えた千雨は、ぜいぜいと喘ぐむつきを見下ろした。 手を伸ばして小さく膨らんだ乳首を指で弾き、むつきの意識を向けさせ飲み下す。 下の口で飲み下すべきそれを上の口で。(まっず、咳でそう……けど、ムードねえし。我慢、我慢) ムードを壊すのはまだ早いと、僅かに硬さが消えながらもまだまだ硬いむつきのそれを握りしめる。 同時に逆の手で、用途不要となったホットパンツを脱ぎ始めた。 精飲のせいか妙に腰がしびれて脱ぎづらいが、むつきの上で体をくねらせる。 普段ならむつきが悪戯の一つでもしそうだが、なぜかされなかった。 それでも嫌がるはずがないと、脱いだホットパンツを楽しげにむつきの顔の上に落とした。 これで千雨はタンクトップ一枚のみ、なかなかにエロイ恰好である。 その証拠に、完全に硬さを取り戻したむつきの一物がはやくはやくと千雨を押し上げ催促してきていた。 はやくその中に入りたいと。(このやりチン) むつきの腹筋に左手を置いて体を支え、腰の上に跨った。 さすがに手を使わず入れられるほど熟達も、穴も広がりやすくないので右手でむつきを支える。 後はそろそろ慣れ始めたものだ、いれるだけ。 何度も受け入れたむつきの一物を。 すぼまっている膣穴が亀頭で押し広げられ、千雨の穴が拡張されていく。 にゅるんと亀頭が入ってしまえば後は、少しずつ奥へと受け入れていくだけである。 自分の中が抉られていく感触、物理的に愛する男を受け入れる感覚。「ぁっ、うぁ。んっ……あはっ」 全神経が自分を抉るむつきの一物に注がれ、あれだけ名残惜しかった腹筋に触れる手も今は感触が殆どない。 一番奥まで受け入れ、なおかつ子宮口を小突かれた時など特にだ。 軽くイキかけたのを歯を食いしばって耐える。 波を耐えきった後で吐いた息がちょっと自分でも精液臭かったが、不快な感情は一切今はいらない。 セックス、それによって得られる何物にも代えがたい快感と、少しの愛。 他には何もいらないと、右手もまた腹筋に置いて体全体を支え腰を少しだけ浮かす。 一物が抉る深度が浅くなるにつれ少しだけ寂しさが胸に広がる。 だがそれも腰を浮かす力を抜いて、むしろお尻をむつきの腰にたたきつけるまでであった。「あんっ」 落下に従い再び奥を抉られ、子宮口と亀頭による濃密で熱烈なキッスである。 勢いよく口づけあうだけでなくディープキスをするように腰を回す。 もっと奥までと更なるつながり、それと快感を求めるようにむつきの上でダンスを踊った。 それは青春白書のような学園祭ダンスではなく、女が男を求めるみだらなダンスだが。「はぁ、ぁっ。硬っ……んぅぁ、ぁぅ」 拍手喝采の代わりに、にちゃにちゃと愛液が絡まりあう音を耳にしながらダンスを続ける。 フィナーレにはまだはやいとこの時の永遠を願いながら、また逆に促すように。 自分の意志とは裏腹に膣内が収縮し、一物とは別の物を受け入れようとしていた。「まだ、まだ駄目だ。んくっ、もう少し。少ししたら出して良いから」 そう口にしながらも、きっと今射精されたら確実にイッてしまうとは思った。 しかし、もっと先があるとも思えた。 最高の瞬間に出されたら、子宮の中を白く染められたら、それこそ受精するぐらい。 考えただけで頭が真っ白になり、自然と顔が天井を見上げていた。 それは喘ぎ声を上げ続ける口から涎が流れ落ちそうになったからか。「ひぅ、イッ……せい」 今自分がどんなアレな表情をしているか、想像すらできない状況であった。 それでも確実にその時は迫り、腰の加速が止まらない。 畳の上に互いの汗や愛液が飛び散っても気にならず、一心不乱に腰を擦り付け合う中でそれは来た。「出し、出して。ビュッて、先生。私のらかにィ!」 一際大きくお尻をむつきの腰に落とし、股座から頭の天辺まで電流が駆け抜ける。 体全体がしびれを感じ、きっともう腰は動けない。 反対に頭の中は精子が欲しい、それ一色だ。 そんな気持ちに応えるように、これまで沈黙を保っていたむつきがたった一度だけ能動的に動いた。 千雨を下から突き上げる、ただそれだけ。 腰の痺れから亀頭と子宮口をわずかにすり合わせるしかできなかった千雨を、渾身の力で突き上げた。 子宮の中に少し亀頭がねじ込まれるぐらい強く突き上げ、無理やりその中へと射精する。「ぁっ、ああカッ。来た、先生の精子。私の中に、赤ちゃん来たぁ!」 先ほどまで真っ白だった頭の中を、まだ生ぬるいと子宮内以上に白く染め上げる。 チカチカと点滅する視界内では、お腹の中の子宮に向かう無数の精子が見えた気がした。 無上の快楽の中で、愛する男との間に新しい命を育む幸せが下半身から広がっていく。 耐えられるはずがない、自分を支えていた腕は肘からあっさり折れ曲がり倒れ込む。「んっ、はぁぅ。ぁっ、まだ出てる。赤ちゃん、できちゃう」 むつきの胸の上に倒れ込みつつ、やや虚ろな言葉づかいで幸せそうに千雨が呟いた。 けれど受精する幸せだけではあと一歩が足りない。 何故だか分からないが、そんな意味不明なことを思ってしまったがその理由も直ぐに知れた。「よく頑張ったな、千雨」「ぁっ」 むつきが汗で湿り気を帯びた髪をそっとその大きくて無骨な手で梳いてくれたのだ。 同時に頭も撫でてくれ、千雨は胸板に頬を寄せながら瞳を閉じてごく自然に甘えられた。 自分でも驚くぐらい自然にだ、憎まれ口が飛び出す隙もない。「先生、もっと撫でて。ちゅーしたい」「ほら、こっちむいて」 濃厚なそれではなく、唇を触れ合わせるだけであったが充分な破壊力であった。 とろける、子宮一杯に精液を受け止め、恋人のキスと肉体的にも精神的にも満たされ。 イチャイチャできないという考えなど、吹き飛んでいく。 いや、今なら少しだけ素直にできそうだ。「先生、一回だけ。一回だけで良いから、ちーちゃんって呼びながら撫でて」「ちーちゃん、凄く良かった」「そうか、へへっ。ちーちゃんだって、歳考えろよ。むーちゃん」「おう、ちーちゃん」 ちょっと普段の憎まれ口が飛び出したが、きっとイチャイチャできているはずだ。「二回も呼べなんて言ってない。罰として、もう一回呼べ」「ごめんね、ちーちゃん」 これ、これだよっとちーちゃん呼ばわりされてむつきの胸にぐりぐり額を押し付ける。「満足したか?」「した、すっごくした。けど、先生まだ私の中で硬いまま。もう一回するか?」「いや、もう少しこのまま繋がってたい」 射精こそ収まったが、むつきの一物は硬いままだ。 挑発的に千雨は再度踊ろうとしたが、さすがに体全体が倦怠感に包まれ無理であった。 せめてとむつきの胸に頬ずりし、あとちょっとだけ手を伸ばしてかたくなに腹筋にこだわり触れる。「しかし、まさか千雨にレイプして貰える日が来るとはな」「あ?」 唐突にこの男はなにを言い出すのだと、幸せが三割吹き飛んだ様子で千雨がむつきを見上げた。「いや、突然押し倒されてさ有無を言わさず服脱がされて、しゃぶられたと思ったらいれられて。逆レイプだろ。大変結構なお点前だったけどさ」「あれはいろいろテンパってて。途中で私もチラッとそう思ったけど。てか、先生だって止めろって言わなかっただろ!」「怖くて言えなかったわー。なにがなんだかわからないままレイプされたわー」「くっそ、返せ。私の達成感とかいろいろ返せ!」 本当にこの男はああ言えばこう言う、教師として最悪の人間だ。 握ったこぶしで結構強く胸を叩いたのだが、悲しいかな女性である以上に千雨はインドア派であった。 むつきのたくましい胸板の前に自分の手の方が痛くなってしまう。 もう知らんとばかりに、拗ねて猫のようにむつきの上で丸まった。「悪い。てか、繋がったまま拗ねんな。せめて抜いてくれ、身動きが……千雨?」「へへ……」 気怠さに包まれたまま挿入した状態は気持ち良いが、むつきにはこの後にもまだ用事がある。 チラチラと時計を気にしながら千雨のご機嫌をとろうと、その顔を覗き込んだのだが。「うわぁ……」 拗ねたはずの千雨は、むつきの腹筋に頬ずりしたり手でなぶったりして悦に入っている。 行為の後で胸にすり寄ってくるのはまだしも、それはちょっと引いた。 男だって女の胸や尻、足など部分的なフェチはあるのだが、実際される方になると凄く微妙だ。 きっと自分が彼女らの胸や細い腰など、体の一部に異常な興味を示した時はこんな微妙な気持ちにさせているのだろうか。「千雨、マジやめて。なんかさ、愛し合った後なんだからもう少しこう……」「やだ、先生とイチャイチャするのは諦めた。だから先生の腹筋とイチャイチャしてるから、気にすんな。先生は、チンコ乾かないうちに、近衛たちの方に行っていいぞ。ただし、腹筋置いてけ」「九州の武士みたいに、その首置いてけみたいなこと言うな! 千雨、ちゃん。ちーちゃん、なっ。イチャイチャの仕方教えるから。嬉し恥ずかし楽しいぞ? ちゅっちゅしようぜ?」「先生の太くて硬い。こんなの初めてぇ」「腹が太いって微妙、硬いけどね。あと最後のセリフ、お前の中で萎え始めてる息子に言ってあげてくんない?!」 多少の自業自得がありながら、むつきと千雨の初めての家デートは痛み分けとなった。 二人が普通の甘い恋人同士のやりとりを覚えるには、もう少し時間がかかりそうである。 -後書き-ども、えなりんです。ちょっとだけ新しい試みとして女性視点。基本的にむつきがリードする側でしたが、千雨がちょい奮闘。途中色々と暴走してますけど。あと題名は狙いました。腹筋って太いって表現するんでしょうかね。もうストックが残りわずか。次回は土曜日更新にしときます。