新暦75年5月22日。
ミッドチルダ・聖王医療院。
腹部の傷の経過は順調で、どうにか歩けるようになった。
体が鈍っているが、早く治したければ無理をするなと釘を刺されているため、魔法を使って多少の痛みを誤魔化して体を動かすわけにもいかない。
暇な事を入院二日目にアーガスさんに告げたら、戦技教導官による模擬戦が詰まった動画集を送ってくれた為、それを見るのが最近の日課になりつつある。
何度も見直しているが、視点を変える度に新たな発見があって面白い。
全体を見ているだけでは分からないが、戦っている一方に視線を集中すると、実は色々とやっている事がわかった。
魔法を事前に準備していたり、わざわざサーチャーを飛ばして、相手の奇襲を潰したりと、人それぞれ、実に多彩な事を行っている。
やはり基礎的な事が出来ている人間たちの対応力は凄まじいものがある。奇抜なアイディアも裏打ちされた基礎があるから成り立っている。
大規模な砲撃も基礎的な射撃魔法が洗練されているから効果を発揮する。近接系の魔法も基本的な動きがしっかりしていて、相手の動きに惑わされずに近づけるからこそ効果を発揮する。
こうして熟練者の動きを見るとよくわかる。オレは圧倒的に基礎的な部分が足りてない。やはり地道な鍛錬が一番効果的か。
そう判断して、今度からはどれだけ地味でももっと真剣にやろうと決意したと同時に通信が来た。
『高町の嬢ちゃんからだ』
「はいはい。こちらカイト」
通信を繋げると空間モニターになのはの顔が映る。
制服を着ているから勤務中だろうが、背景になぜか森がある。
『ごめんね。ちょっといいかな?』
「どうした? 外か?」
『うん。任務後だよ。それでね。聞きたい事があるの』
なのはがオレに聞きたい事とはなんだろうか。またろくでもない事を聞いてくるんだろうか。
オレが身構えたのを見て、なのはが少し目を細めて言う。
『先に言っておくけど真面目な話だからね? ふざけないでね?』
「了解、真面目に聞く」
『全く、すぐにふざけようとするんだから……。それでね。今日の任務中に新人の子がミスショットをしちゃったの』
「ミスショット? そんな事が起きる状態に陥ったのか?」
聞くと、なのは表情を僅かに曇らせて首をゆっくり振る。
それもそうか。あれだけ戦力が揃っている機動六課が新人にそこまで頼るわけがない。
『実力的に問題ない程度の敵を任せたんだけど、ちょっと焦っちゃったみたいで』
「なるほど。それで何を聞きたいんだ?」
『うん。そう言う時ってどう言う風に声を掛けたらいいかなって』
そう言えば、なのはは長期での訓練は初めてだし、教導した相手と現場に出るのも初めてか。
一週間、二週間の教導は集中的なもので、その過程で教導中の人間が任務に出る事は滅多にない。地上の陸士部隊、つまり陸士110部隊の場合は特殊なローテーションを取っていたが、なのはの話を聞く限り、地上の陸士部隊を担当したのは数回しかないらしい。
そうなると教導受けて、任務に向かい失敗からのまた教導と言う流れに直面するのは初めてか。
そうは言っても聞く相手を間違ってる。
「そんな事を聞かれても……。オレは常にミスして怒られてる側だし」
陸士110部隊は新人をすぐに任務に向かわせる事はない。ほぼ一年ほど訓練付けにして、分隊レベルの連携は叩き込んでから現場デビューとなる。
分隊内に欠員が居たオレでも半年は現場には出なかった。訓練中は連携ミスや模擬戦で勝手をする度に怒られた。現場でも結果を出しても怒られる事は度々あった。その殆どを聞いてもあまり改めなかったが。あの時は誰かを助けられればそれでよかった。人から感謝されることに酔っていた。
視線は常に前で、後ろで先輩たちがどれほど動き回っていたかを気にすらしなかった。それも現場デビューから一年ほどで、ようやく任務のレベルが低いときは目立たなくなった。相手が強いと、オレがと思ってしまって駄目だったが。
そんなオレにフォローの仕方を聞くなんて究極の人選ミスと言ってもいい。
『でも、アーガス隊長から教導を受けた後はそんな事はなくなったんでしょ?』
「あの後にあったら最悪だ。周りの印象を変えたり、失った信用を取り戻すのは大変でね。ようやく最近、どうにか認めてもらえるようになった所だよ」
『後輩が入ってきたんだよね? 後輩がミスした時は?』
「メンタルケアはオレの仕事じゃなくて分隊長の仕事だし、役割はオレが叱って、分隊長がフォローするのが常だし」
オレに聞いても答えなんて出るわけないのに聞いてくるのは他に聞く人が居ないからか。頼みのアーガスさんはかなり遠い世界の部隊に教導をしに行っていて、当分帰ってこない。通信もいくつも中継を使わなければいけない為、手続きの関係上、すぐには出来ない。
だからと言って六課の誰かに聞こうにも、はやてもフェイトは今までの管理局でのキャリアでは、基本的に親しい数人と行動するのが主で、その数人が優秀だから、経験的にはなのはと変わらないだろう。
聞けそうなのはヴォルケンリッターの面々だが、シャマルさんからは優しすぎる答えが返ってきそうだし、他の三人からは厳しすぎる答えが返ってくる気がする。古代ベルカの騎士だし、厳しい戦場を何度も超えた面々の答えは新人にはキツイだろう。
ダメだ。相談出来る人間が居ないな。
「これも経験だし、自分が思ったようにやればいいんじゃないか? 講習とかでそう言うのはあるだろう?」
『あるけど、ダメだよ。そんないい加減にはできないよ。大事な教え子がこの部隊で初めてミスしたんだよ? 間違ったフォローを入れたら、可能性を消しちゃうかもしれないんだよ?』
「そうは言っても、ミスした直後のフォローが一番大事だし、近場にそう言う相談が出来る人も居ないだろ? とりあえず叱るのは他の人に任せて、なのははミスを引きずらないようにしたら?」
『その場でヴィータちゃんが叱ったらしいから、私はやっぱりフォローだよね。実は私とは別行動で現場に私は居なかったんだよね……』
落ち込むなのはにどう声を掛けていいかわからない。少なくともその場に居なかったのは配置の関係上だろうし、それはなのはが決める事じゃない。後ろに居る人間、はやてや司令部が考える事だ。それで一々落ち込んでいたらキリがない。
『大事な時期だから、できるだけ一緒に任務に当たってあげたかったんだけど、結局、こうなっちゃった』
「もうミスをしちゃったんだから仕方ないだろ? それは後で聞くから、今はどう言う言葉を掛けるかだろ? 参考までに聞けよ? オレが一番ミスして辛かったのは、味方も自分を責める敵に見えたことだ」
『私もみんなも味方なんだって、言ってあげればいいかな?』
「それの判断はなのはがしろ。オレはミスした子を知らないし、その子が抱えるモノも知らない。オレはそうだったけど、その子がなのはの言葉を受けて、どう感じるかは、その子次第だ」
なのはの言葉に顔を顰め、首を振って言うと、なのはがそうだよね。と呟く。
罪悪感が胸に広がるが、ここでオレにあてはめても仕方ない。ミスした子とオレは違う。オレがオレの意見をなのはに押し付けてしまう訳にはいかない。
そこまで考えて、なのはが時間だからと通信を切る。
「しまったなぁ……。言わなきゃよかったか?」
『聞いてきたのは高町の嬢ちゃんだし、高町の嬢ちゃんは他人のせいにはしない』
「まるでオレのせいで何か起こるみたいな言い方だな?」
『起こらなかった事あるか? あの三人に関わって、何かが』
言われて色々思い出す。確かに色々と何かが起こってる。
起こってはいるが、今回は直接、オレに関係あることじゃない。無難に解決する可能性だってある。
「大丈夫だろう。一つのミスで潰れるような人材は六課にはいない……筈だ」
『自分の責任になるのが嫌なんだろう? そう思うなら最初からきっぱり断れよ』
「責任が嫌だとは言ってないだろう!」
『いくつも予防線を張っておいてよく言うぜ。放っておけないけど、だからと言って責任を取るほど気持ちは向いてないってのが心境だろう? そろそろ気づけよ。いつも失敗するときは気持ちが中途半端な時だぜ?』
何だか行動するたびに説教されてる気がする。
オレはどうかなのはが上手くいきますようにと祈りながら、溜息を吐いた。
◆◆◆
新暦75年5月28日。
ミッドチルダ・機動六課本部隊舎・カフェテリア。
あれから六日が経って、昨日の夜、ようやく退院できた。経過的にはかなり良く、すぐに訓練に入っても問題ないそうだ。
入院中に小まめになのはが新人の話をしてきた。
ミスをした子も随分とやる気満々らしい。そんでもって、今日は前から決まってた模擬戦の日らしく、時間があるなら見に来てほしいと言われた為、早朝からこうして六課まで出てきた。
「それで? どんな感じなの?」
隣に居るはやてに聞く。
はやては仕事があったらしく、ザフィーラと一緒に早めに出勤していた為、こうしてオレと観戦している。仕事は思ったより早く終わったらしい。相変わらず、仕事が早い事だ。
「せやなぁ。気合は入っとるんちゃう?」
「はやての部隊だろ?」
「私は少ししか訓練を見とられへんし、基本的になのはちゃんの報告を聞くだけなんよ」
「まぁ部隊長はそんなもんか。やることは沢山あるしな」
「せやせや」
はやてはそう言いながらカップに入ったコーヒーを飲む。
やっぱりウチの部隊長がおかしいんだよな。いや、ローファス補佐官が優秀すぎるのか。
「しかし、気がかりもある」
ザフィーラがオレの足元でそう呟く。低い声と寡黙なザフィーラが自分から切り出した事なだけに言葉が重い。
「ミスをした子の事だろ?」
「そうだ。随分とやる気を出しているらしい。だが、ミスをした人間は総じて、すぐに結果を求める」
的確な意見だ。オレもそうだった。
結果を求め、その為に目に見える形のはっきりした力が欲しくて、がむしゃらに練習したり、色々と新しい事を試したりした。
「まさにその通り。そんでもって、落ち着くのに時間が掛かる」
「経験者は語るって所やね?」
「茶化すなよ。まぁ経験者だから見に来たんだけど」
「アドバイスの為に?」
はやてに聞かれて首を横に振る。
それはかなり考えた。ミスをした子にもなのはにも、オレでも何か言える事があるんじゃないかと。
けれど、入院中のベッドで出た答えは、なのはに任せると言うものだった。
なのはの教導官としての資質や実力に申し分がないことはオレはよく知ってる。だから、下手に関わっては場を混乱させてしまうだけだと判断した。
責任を取りたくないからだろと言われればそこまでだが、責任が取れないと分かりきっているのに関わる訳には行かない。オレはオレの言葉のせいで、なのはの教え子がオレと似たようになっても責任は取れない。
「ここに見に来たのはどんな子なのか気になったからさ」
「どんな子? ティアナがか?」
「そう。その子。なのはが随分気に入ってたようだから」
初めて長期で担当する教え子だ。気持ちが入ってもおかしくない。
おかしくはないが、間違いなくなのはは気に入ったんだろう。話を聞いていればわかる。
「はじまったようだぞ」
ザフィーラに指摘されて、オレとはやては展開されている空間モニターを見る。
サーチャーを通して送られてくる映像を見つつ、オレはザフィーラの意見を念話で聞く。
『ちょっと気になる事があるんだけど、様子がおかしくないか?』
『ああ。少しな』
ザフィーラの同意を得られた為、自信を持って、隣の椅子に座っているはやてに聞く。
「いつもこんな模擬戦な訳ないよね?」
「ちゃう。報告で見る模擬戦はもっと、訓練的な模擬戦や。これじゃまるで」
「実戦だよね? 確実になのはを倒しに行ってる」
「と言うよりは対なのはちゃん用に動いとるように見えるで」
青い髪の女の子が無理矢理なのはに突っ込んでいく。
危ない機動だ。新しい事を試す、挑戦するのは訓練だからこそ出来ることだから、悪い事じゃない。だけど、危険な事をするのはまた違う。オレの機動や行動はあれの比じゃなかったから何も言えないけど。
なのはに何か注意されてるみたいだが、何か反省してる感じじゃない。
模擬戦が続行される。
「ミスしたのはあの射撃型の子だよね?」
「そうや。弾を制御出来ひんかったって聞いとるよ」
前に見た時は中距離からの精密弾に目を見張るモノがあった。得意な事で失敗したんだ。自信を失っても仕方ないが、次の日からすぐにやる気を出したらしい。多分、ミスを振り切って、新しい目的、目標を見つけたんだろう。ただ、その目的、目標がどんな所に向いているかが問題だ。
オレは分隊の先輩たちを倒すことを密かに目標にして、随分と無茶をして、その時ばかりは分隊長に尋常じゃない怒られ方をしたが。
ティアナと言う子は指揮も出来、幻術も使えるらしく、頭の良い子だと思ってたから、オレと同じような事は考えないと思っていたが。
なのはが青い髪の子に気を取られてる間にティアナは移動してた。
「砲撃? 自分の得意な距離から離れたのか?」
「ちゃう! 幻術や!」
はやての言葉にオレは咄嗟に中距離のポジションに目を向ける。ここで中距離からの精密誘導射撃が来れば、なのはも対処するのに苦労するだろう。その間に青い髪の子が攻撃すれば。
「近接戦か……」
「あっ……」
ザフィーラの呟きとはやての声が重なる。
青い髪の子が作った足場を通って、ティアナは魔力刃をなのはに向けた。
同時に青い髪の子もなのはに攻撃する。
爆発が起きて、煙のせいでなのはと新人二人の様子がわからなくなる。
「なのはちゃん……」
「オレはそっちの心配より、新人二人の方が心配だけど」
『この静寂はデジャヴだな』
ここぞとばかりにヴァリアントがそう言ってくる。年齢換算すればオレの二倍以上になるヴァリアントからすれば、この手の事は大した事じゃないんだろう。
よくある新人の暴走。それで片付けてしまうのだろうが、オレはそうは行かない。
「なのは、素手で受け止めたのか?」
「ダガーを受け止めた手からは出血しているな」
「シャマルに連絡せなあかんな」
「最大で三人分の治療って伝えといて。あの子は……止まらない」
魔力刃を消したティアナがなのはから距離をとり。
デバイスを向けた。はやてが息を飲む。模擬戦中とはいえ、既に終わっているというかなのはが終わらせようとしている状況だ。これでティアナが魔法を放ってしまえば厳罰は免れないだろう。
モニターの向こうの人間たちははやてが見ている事を知らない。そして見てしまえば、はやては部隊長として処罰を下さなくちゃいけなくなる。
ティアナが魔法を放つ前になのはが魔法をティアナに放つ。衝撃弾だったのか、なのはの魔法を食らったのにティアナは立っている。
「もう一発だな」
ザフィーラの言葉の通り、なのはは今度は先程の魔法の別バージョンをティアナに放つ。
青い髪の子にもバインドが掛けられており、撃墜されたティアナは動かない。
「なのはちゃんとティアナの治療が必要やね……」
「治療だけじゃなくて、メンタルケアもね。青い髪の子はなのはを睨んでたし、落とされたティアナもすぐに納得はできないだろうし」
「これは部隊長として出るべきやろうか?」
「オレは部隊長じゃないから聞かないでよ。ただ、オレは何もしない」
足元に居るザフィーラが何も言わずにどこかへ歩いていく。
「ザフィーラ? どこ行くん?」
「シグナムの所へ。カイトがもしもしゃしゃり出るような事があれば、止めようかと思っていたのですが、必要無かったようです」
「だからオレの足元に居たのか……。心配してくれてありがとう。けど、オレは高町なのは教導官の力を認めてるし、信じてるから、余計な事はしないよ」
ザフィーラに顔を向けながらそう言うと、ザフィーラは微かに頷いて、カフェテリアを去る。
「私はちょい対応は保留やな。なのはちゃんに少し任せてみるわ」
「お好きに。この部隊ははやての部隊だ。はやてが自分で判断すればいいさ」
「なんや? ちょっと投げやりちゃう?」
「オレもあんな風に無茶な突撃を繰り返してたんだと思ったら、なんだか一気に体から力が抜けた。ちょっと気持ちも悪くなってきた……」
「訂正しとくけど、あれより酷かったで? いつ死ぬんやろうかと思ったんもん」
言われて、オレは顔をしかめる。
砲撃で叩きのめされる訳だ。部隊に帰ったらもう一度、部隊長たちに謝ろう。いや、その前に。
「たくさん心配掛けました。本当にごめんなさい……」
「いいえ。私はその事について、そこまでカイト君に言える立場やないし、気にせんでええよ」
そう言われても気持ちは晴れない。こうして張本人ではなくなると、周りの辛さがわかる。部隊長もはやてのように困惑した表情を浮かべてたのだろうか。分隊長や先輩たちもなのはのように悩みながらオレの事を考えてくれてたのだろうか。
今の六課は戦力が充実してても、人手が足りない状況だ。だからティアナへの扱いは非常に神経を使う事になるだろう。それはオレが入隊した時の陸士110部隊の状況に似てる。いや、陸士110部隊はもっと深刻だったか。
陸士110部隊は地上じゃ優秀な部隊だったが、人手が足りなくて、結局、オレを上手く矯正する前に現場に投入するしかなかった。そして、精神的に不安定だったオレへの扱いは色々と苦労していたようだ。地上に居る貴重な魔導師を失う訳には行かず、そしてオレに潰れられる訳にも行かず、先輩たちは毎日尻拭いに奔走し、部隊長やローファス補佐官は扱いに頭を悩ませたらしい。
らしいとしか言えない。聞いた話で、その時は全く気付かなかった。あの時は自分の事しか、いや、自分の事も満足に見れていない状況だった。
病院で入院してる母に心配を掛ける訳にも行かず、誰にも相談出来ず、見えない壁に当たる日々だった。
「しまった……」
「なんや?」
「あのティアナって子に相談できる相手は居た? 友達とかじゃなくて。オレは母親に相談するわけに行かないから、凄く辛かった。それをなのはに伝えるべきだった……」
『もう遅いがな。ここからは高町の嬢ちゃんの役割だ。高町の嬢ちゃんもひと段落するまで相棒には何も聞かないさ』
ヴァリアントにそう言われてオレは溜息を吐く。
言わなくて良い事を言って、言わなくちゃいけない事を言わない。一体、オレは何をやってるんだろうか。
思考がどんどんネガティブに、ブルーになっていく。
まぁオレより余程、なのはの方が気持ち的にブルーだろうけど。
オレはそう考えて、悪い方向への考えを断ち切る。ここでブルーになっててもしょうがない。
「一度、部隊に戻るよ。ここに居ても邪魔だろうし」
「そうやね。何かあったら連絡する」
「うん。そうして」
頷いて、オレは席から立ち上がった。