眼下の光景に、思わずフェイトは口を開けたまま硬直してしまった。
いつものように、ただサンダーレイジを放っただけだというのに――管理局の武装隊が展開したバリアを貫き、金色の雷は大打撃を与えていた。
やはり、これは母さんがくれた――
『バルディッシュ・カスタム』のコアの真下にある、回転式弾倉に視線を向ける。
物は試しと二度の炸裂を行い、その破壊力に、すごい、とフェイトは内心で呟く。
サンダーレイジを撃ち放ったあとだというのに、疲労感は大して残っていない。
いや、僅かな倦怠感がのし掛かってはいるが、それでも魔力が減った時特有の消耗は感じていない。
……これなら。
「バルディッシュ」
「……s――ir」
どこかノイズ混じりの相棒の声に表情を沈ませるも、一瞬で振り切り、フェイトは再び広域魔法の準備に入る。
『ごめんなさいね。時間がなかったの。でも、壊れるようなことはないから安心して』
そう言っていた母の言葉を信じ、術式を構築する。
バルディッシュからの補助がいつもより鈍い。
デバイスコアも明滅を繰り返しているが、それは活発に動いているというよりは、消え入る蝋燭のように感じてしまう。
だが、それも手を抜く理由にはならない。
……母さんは大丈夫だって言った。
そして、これが終わったら家族みんなで幸せになろうって言った。
「……だから」
キリ、と奥歯を噛み締め、カートリッジを二度炸裂。
フェイトはシーリングモードのバルディッシュを振りかぶると、
「サンダー……レイジー!」
以前よりも強大な魔力を伴って、雷撃を撃ち込む。
全ては母のため。アルフのため。兄のため。
だから――だから、ここは絶対に守り通してみせる。
リリカル IN WORLD
『ぐ――、各隊、損害は!?』
『直撃を受けました。アースラへの回収を――』
『――』
『辛うじて広域魔法は――くそ、なんだこの傀儡兵!』
『負傷二名、くそ、あれ殺傷設定か!?』
次々と舞い込んでくる念話に、クロノは顔を歪める。
たった一撃。それだけでこんな醜態を――
頭上を見上げ、再び広域魔法を放とうとする少女を睨み付ける。
記録ではAAAランク相当だったはずなのに――威力だけならば、今のはSランクに相当しているんじゃないか。
このたった三時間の間に何があった。それとも、実力を隠していたのか?
アースラへ解析を頼もうにも、忌々しいほどに強固なジャミング結界のせいでそれも出来ない。
通信はノイズ混じりで、まともな解答を期待できず、結界を破るために脚を止めれば傀儡兵の餌食となる。
フェイトの広域魔法が放たれる度に大量の傀儡兵が巻き添えを喰らって破壊されるが、それを補う速度で城からは機械兵士がわき出てくる。
傀儡兵に、士気の崩壊もクソもない。どれだけ仲間が壊されようと、感情のない機械が怯えることも、竦むこともない。
反吐が出るほど粗末な力押し。馬鹿げた殲滅戦。
だが、それ以上に嫌気が差すのは――
『Stinger Snipe』
S2Uをフェイトへ向け、魔法を構築。
彼女さえ倒せば、局面を一気に書き換えることは可能だ。
AAA+クラスの魔導師であるクロノにとって、傀儡兵など有象無象に過ぎない。
固定砲台さえ落とせば――
「させないよ!」
舌打ち一つ。
フェイトへ向けていたスティンガースナイプをアルフへと向け、発射。
しかしそれが彼女を打ち抜くことはない。盾のように射線に割り込んだ傀儡兵が盾となり、爆炎の影から橙色のチェーンバインドが伸びてくる。
バックステップでそれを回避し、広がった魔力光弾を集束、操作。
それで――
「――くそっ!」
右横に魔力反応。
見れば、他のよりも一回り大きい傀儡兵――砲撃型が、双肩の砲口をこちらへと向けていた。
スティンガーの操作をキャンセルし、飛行魔法を――
「逃がすかい!」
フープバインド、そして地面に縫いつけるかのようなチェーンバインド。
クロノは一瞬でそれらを破壊するが、その隙に傀儡兵のチャージは終了している。
くそ、と歯噛みしつつ、クロノは膝を曲げて上体を下げる。
そして閃光と同時、
『Flash Move』
高速移動。背中を魔力砲撃が焦がすのを自覚しながら、彼は一気に傀儡兵との距離を詰め、S2Uを胴体へと叩き付ける。
そして、
『Break Impulse』
粉砕する。
成る程、と頷き、クロノは武装隊へと念話を飛ばす。
『砲撃型傀儡兵は、砲撃の最中、バリアを展開していない。各員、それを狙え』
『了解!』
微かに見えた勝機。
だが――
再び、雷光が頭上から降り注ぐ。
どうする、と分割した思考の中で考えを巡らせ、クロノは身体を動かす。
打倒しなくても良い。せめて、使い魔かあの少女を足止め出来る者がいれば――
そこまで考え、なのはとユーノの顔が浮かび、クロノは表情を歪める。
彼らに頼ってたまるか。この事件は、時空管理局が決着を付ける。
そのための存在なのだ、自分たちは。
民間協力者の助力など必要ない。
ただ戦い、時空世界の平和を守るために、自分たちは研鑽を重ねてきたのだ。
だから、必要ない。
そう――こんなクソの掃き溜めのような場所で罵り合うのなど、自分たちだけで充分だ。
守るべき対象に助力を乞い、力及ばず、悲しませるなど、一度きりで充分だ――!
『聞け、武装隊各員!』
『……はい』
『まったくもってこの事件は馬鹿げている。
発掘屋の尻ぬぐいから、いつの間にか我々は大規模次元心を引き起こそうとしている犯罪者の確保に任務が変わっているのだからな!
最低で最悪だ。敵と比べれば戦力は僅か。しかもあんな子供が、良いように我々をいたぶっている。
本当に馬鹿げている。何かの悪夢と思いたいが――こんなのはいつものことだ。
そうだろう!?』
『はい』
『よろしい。ならば――粉砕しろ。
そして後悔させてやれ。
自分たちが誰を敵に回したのかを、炸裂する魔力弾で理解させろ!
だが殺すな! 我々は心優しい時空の管理者だ!
温情を見せ付けてやれ。屈服させろ。二度と我々に歯向かわないよう、教育してやる。
時空を引っかき回すのは我々だけの特権だということを、頭の足りない連中に思い知らせてやれ!』
『はい……!』
『進撃せよ! まず手始めに眼前の敵から叩き潰せ!
進撃、進撃、進撃せよ、だ!』
『了解……!』
血走った目で念話を送るクロノに、武装隊が同調する。
近接戦の得意な武装局員が前面に出て、それを射撃に自信のある局員が援護する。
その背後からは砲戦魔導師が一斉に魔砲を放ち――
クロノのスティンガースナイプが、戦場に大輪の花を咲かせる。
爆炎と咆吼の中、バリアジャケットを身につけた者達が、阿鼻叫喚へと身を投げる。
「エイミィさん!」
「駄目。出撃前に約束したよね。なのはちゃんたちは、あそこに行けない。
ううん、行かせない」
「けど!」
モニターとエイミィの間を忙しなく視線を行き来させ、なのははエイミィへと叫びを上げていた。
アースラのモニターに映る様子は、戦場というものを見たことがない彼女からしてみれば、質の悪い冗談にしか見えなかった。
雷光によって蹴散らされ、傀儡兵によって蹂躙される光景。
凄惨さ極まる映像。それに拍車を掛けるように、映し出される武装隊の中には、哄笑を上げながら砲撃を放っている者の姿もあった。
九歳の少女が見るには、あまりにもショッキングだ。
目にするだけで身は竦み、あんな場所に行こうとしていたのかと、行ってもいないのに、後悔してしまいそうになる。
だが――
「……私もユーノくんも、力になりたいんです!」
それが、高町なのはの強さか。
怖かろうとなんだろうと、目の前で大勢の人間が傷付くのを黙ってみていることは出来ない。
なまじ力があるからこそ――彼女は、ホロコーストが始まってから、ずっとエイミィに出撃させて欲しいと訴えていた。
だが、なのはに対する解答は、否の一点張り。
……無論エイミィも、なのはが戦闘に参加するればどれだけクロノたちが楽になるかなど知っている。
だが――それを簡単に許してはいけないのだ。
組織としての面子や体面――それもある。
だがそれ以上に、アースラのスタッフは、民間協力者をみすみす犯罪者に奪われてしまったことを許せないでいた。
怒っていると言っても良い。
これだけの武装を揃え、税金泥棒と陰口を叩かれながらも良かれと思って行動し――この様だ。
まるっきり無能の証明――それは、自分たちへ好意を向けてくれる、少なくない数の、どこかの誰かを裏切っていることになる。
……それを、少しでも挽回しなければならない。
管理局が独力でこの事件を解決する――それには、大きな意義がある。
価値はなくとも、大きな意味が。
だからこそ、なのはとユーノを決して出撃させるわけにはいかない。
分かってくれとは思わない。きっと、こんな意地など管理局の局員にしか分からないだろう。
懇願するなのはの言葉を聞き逃しながら、エイミィはキーボードを叩き、視線をモニターに向ける。
その時、ふと、ユーノの姿が視線の隅に入った。
「……あと十二発」
今の言葉はなんだろうか。
どんな意味を持っている?
問おうかと躊躇し、微かに唇を噛み締めながら、エイミィはユーノへと声をかける。
「どうしたの、ユーノくん」
「……カートリッジを使用する度、微かに炸裂する魔力光はエスティのものです。
もしあれがエスティの持っていたカートリッジを使っているのだとしたら、あと十二発。
現時点で六発。だから、残り十二発、です。
……全て使い果たすよりも早く、自滅すると思いますが。あの子はカートリッジを使い慣れてないはずですし」
「……分かった」
だが、それが分かったところでクロノに正確な情報を伝えることは出来ない。
未だに、アルフの展開したジャミング結界を無力化することは出来ていないのだ。
残りのカートリッジの弾数を教えるだけでも、少しは助けになるだろうに――
「エイミィさん!」
「だから、駄目なんだってばなのはちゃん」
「けど、だからって! 私はクロノくんやフェイトちゃんが戦っているのを黙って見ていることなんて出来ない!
エスティマくんがどうなってるか分からないまま、ここにいるなんて、嫌なの!」
「なのは……」
血を吐くように叫びを上げるなのはに、ユーノは目を見開く。
芯の強い子だとは分かっていた。
だが、あんな光景を見てもまだ進もうと思えるだなんて。
それと同じように、エイミィも眉根を寄せる。
誰かが口を開けば破裂しそうな沈黙が訪れ――
「……分かりました」
そう、小さな言葉をなのはは紡いだ。
「民間協力者として戦うことが駄目なら、私は――」
「これでラストォオオオオオオオ!」
小型の傀儡兵の頭部を鷲掴みしたまま壁へと叩き付け、引き剥がし、最後の一体へと投げ飛ばす。
甲高い音を立てて甲冑同士がぶつかり、しかし、擦過音を上げながらも傀儡兵は倒れない。
だが、それは想定の範囲中。
「Lark!」
『A.C.S、スタンバイ』
Larkの言葉と共に両肩のアクセルフィンが大きく羽ばたき、未だ行動を起こさない二体の傀儡兵へと特攻する。
そして、Larkの穂先が突き刺さると同時、
「ディバイィィィィィン――!」
『バスター』
内側から炸裂した砲撃魔法で、二体まとめて葬り去る。
サンライトイエローに混じって粉塵が舞い上がり、爆発の余波で吹き飛ばされる。
……痛ってぇ。
背中から地面に叩き付けられ、一瞬だけ息が詰まった。
だが、そんなことにかまっていられない。
Larkを支えにして立ち上がり、なんとか息を整える。
たたらを踏むも、歯を食いしばって耐えた。
……存外消耗しているな。
最初の砲撃型を倒したのは良い。問題はそこからだった。
部屋から出てみれば、そこら中の通路には小型の傀儡兵がうろうろとしていやがり、エンカウントする度に戦う羽目となったのである。
人間サイズの通路なら襲われないと思ったのは、流石に甘かったかねぇ。
「……まあ良い。さあ、行こうかLark」
『待ってくださいご主人様。五分で良いので、休養を』
「駄目だ。こうしている内にもプレシアが何かやらかすかもしれないんだから――」
言いつつ一歩踏み出し、
『助けて――』
『助けてください――』
『どうか、私たちを助けてください――』
『そこにいる貴方。どうか――』
「くそ、またか!」
どこかから届いた念話に、思わず舌打ちする。
最初は気のせいだと思っていたが、どうにも違うらしい。
戦闘中に聞こえないのは助かるが、それでも子蠅のようにまとわりつく念話にはいい加減うんざりしてきた。
溜息一つ吐き、手の甲で額を拭う。
ふと視線を落とせば、そこには汗ではなく血が。
うわ、いつの間にか切ってたのか。
可能性があるとすると、さっきの爆発か。至近距離で喰らったから、破片で切ったのかも。
「Lark、バリアジャケットを追加構成。鉢巻き」
『了解』
魔力を消費して出した鉢巻きをキツめに額に巻き、頭を振る。
これで血が目に入るようなことはない……と思いたい。
ああもう、きっと髪の毛黒にしたら今の俺は飛場だなこりゃあ。
取り敢えず、プレシアの部屋だ。
動力部はクロノたちに丸投げして、なんとか鬼婆のところに行かないと。
カートリッジはないが、残りの魔力を全力全開で突っ込めばフェイズシフトの一回ぐらいは行ける。
プレシアを倒すのは無理だが、アルハザードへの回廊を開いた瞬間を狙えば、奪われたジュエルシード全てを奪還出来るだろう。
あの鬼婆がどこへ消えようと、知ったことじゃない。フェイトに妙なことを吹き込まず、ジュエルシードを奪い返せればそれで良い。
そのためには、なるべく戦闘を避けなきゃいけないんだが……。
「……まあ、そこら辺は気合いで」
『お願いですからご主人様、休んでください。
先程のA.C.Sで、魔力以上に肉体が消耗しています。
例えプレシアからジュエルシードを奪還したとしても、帰還できなければ意味はありません』
デバイスらしくない、感情のこもった言葉。
そうだな、と同意する自分がいる一方、だから? と鼻で笑う自分もいる。
確かにLarkの言っていることは正しいだろう。
休養すれば僅かだが魔力も回復するし、疲労だって子供だまし程度には抜けるかもしれない。
ギリギリの極限状態なのだから、その僅かばかりの回復を行うことは重要だろう。
だが――
「駄目だ、Lark。引けない。ここで引いたら、計画がご破算になる可能性だってある。
アルフとフェイトが出張ってクロノやユーノたちの足止めをしている以上、動ける俺が全てをこなさなければならない」
『……無礼を承知で言わせていただきます、ご主人様。
ご主人様がそこまでする義理が、あの娘にあるのですか?』
「……ない、かな」
ああ、そうだ。多分ないだろう。
フェイトを助ける義理など、おそらくは微塵もない。
思い返してみれば初対面のサンダーレイジとか、消費したカートリッジの数だとか――
むしろ、迷惑ばかり被っている気がする。
だが。
だが、だ。
「義理はなくても意地はある。ある意味、願掛けだろうねこれは」
『……願掛けですか?』
「ああ」
まあ、割と馬鹿げているわけだが。
……この事件を上手く収めるだけの力が自分にあるとするならば、きっと俺は、闇の書事件も上手くやれる。
そんな根拠もない馬鹿馬鹿しい代物だが――
しかし、それでも。
俺は自分自身に賭けたい。何も出来ない無力な人間なのだと、思い込みたくはない。
だから俺は、何がなんでもこの事件を終わらせてやる。
そしてフェイトを救い、はやてだって救ってやる。
『……あなたは馬鹿です、ご主人様』
「だろうね。愛想尽かした?」
『いえ。……そんなあなただからこそ、私は必要なのだと』
「悪いな、Lark」
『気にしないでください。私は、ご主人様と共に』
それで会話を終わらせ、足に力を込める。
飛びたいのは山々だが、今は少しでも魔力の消費をセーブしないと――
『……そこを右に』
「――っ、なんだ?」
思わず片手で耳を押さえる。
念話には関係ないのだが、なんとなく。
今までの囁く程度とは違い、まるで殴られるような出力で念話が飛んできた。
くそ、一体なんだってんだよ。声からしてプレシアじゃないし、アルフでもない。
フェイトに似ているが、それ以上に無機質な声だ。
『ご主人様、敵です』
左の通路を見れば、そこには小型の傀儡兵がいた。
再び舌打ち。
右に行くしかないってことかよ。
通路を進んでいると、また念話が飛んできた。
心底不本意だが、念話で指示された方向には敵がいないため、半ば強制されるように俺は通路を進む。
そして駆け足で五分ほど経った頃、行き止まりへと辿り着いた。
念話は止み、その沈黙が先に進むことを示しているようだ。
……そう、そこは正しく行き止まりなのだが――
「……見覚えがあるのは気のせいか? Lark」
『いえ……ここは、六年前に、私とご主人様が出会った場所です』
そう、厳重に封印された隔壁。
しかし、その不気味な感じが、忘れかけていた記憶を掘り起こす。
……ええい、こんな場所にかまっていられるか!
と、踵を返そうとした瞬間、
『待って!』
ガツン、と、体験したことがないほどの指向性で念話が飛んできた。
意識が酩酊しそうなのを必死で堪え、封鎖された扉を睨み付ける。
ったく、なんだってんだよ。
憤懣やるかたない気分となりながら、物理破壊設定で魔力刃を形成。
もったいない、と思いながらも、俺はLarkで扉を叩き割った。
瞬間、流れ込んでくる腐臭。
非常灯の明かりのみに照らされたそこは――
「……まるで地獄。いや、まさしく地獄ってか」
おそらく、フェイトが完成してからこの場所は完全に封鎖されていたのだろう。
ホルマリンなのかなんなのか――液体に浸かっている死体は、辛うじて原型を留めている。
だが、溢れ出したものはそうではない。
白骨化し、それにこびり付いた肉片からは耐え難い悪臭が上がっている。
完全に閉鎖されていたためか、虫が湧いていないのが唯一の救い。
それ以外は、どんな言葉でも形容が出来ないほどの惨状だくそったれ!
漂ってくる臭いに思わず咳き込み、一歩後退る。
こんな場所に呼び出して、一体何をするつもりだってんだ。
「俺をここに呼びだした奴。聞いているか?
いい加減姿を現せ!」
遺棄プールに声が反響し、応えとして城の駆動音のみが返ってくる。
誘導トラップかなんかだったのか、と今度こそここから離れようとし――
『……待ってたよ。ずっと、この時を』
ふと、フェイトに良く似た声が聞こえ、俺は目を見開いた。
遺棄プールの中央。
そこには、金色の宝玉――デバイスコアが浮かび上がっており、
『どうか、私たちを助けてください』
瞬時にそれは形態を変え、人の形を取った。
フェイト――否、アリシア=テスタロッサ。
もういないはずの彼女がそこにいた。