前回のあらすじ……雨上がりの日に散歩に出かけた主人公は、エルフと出会った。
正しいエルフとの対話の仕方。
まず、突然雨上がりに出会ったエルフが泣き喚き出した場合に注意することを言っておこう。
下手に慰めたら損をする。来れにつきる。
俺はそう考えながら、目の前の暴食害虫をぐったりした視線で見る。
《バクバクモグモグムシャムシャ》
突然雨の中出会ったエルフ、名前はプニョと言うらしいんだが、(なぜか頭にジブリという単語が浮かんだ。)突然泣き喚きだしたこいつを落ち着かせるのが大変だった。
何せ俺の顔に煩く喚きながら殴りかかってくるんだよ。この害虫。
まあ、使徒の体には手のひらサイズのエルフの拳など、綿棒でつつかれるよりも弱く感じる。使徒じゃ無くても殆どの奴はそう感じるだろうけど。
そんなわけで俺のイケメンフェイスからこいつを引き剥がし、なお暴れるこいつを家に連れ帰ってきたんだが……
「本っ当にごめんなさい!!私酷いことを……」
暴食エルフが俺の家の机の上で、俺の大好物の《豆とジャガイモのちくわ擬》を食いまくってる様子を俺が椅子に座りながら見る横で、床に頭をこすりつけて誤るジルたん。
「良いって良いって、お互い不幸な勘違いだったんだから。」
全身で謝罪の念を表すジルを別に怒ってないと諭す俺。
そんな俺のフェイスは青あざだらけになっている。鏡があればやばいくらい膨らんでいる俺の顔が見れるだろうに。
「でも……その顔……。」
なお謝ってくるジル、何故か全く悪くないはずの俺が悪く見える構図だ。しかし、美人さんに土下座されてるって、なかなかそそるような……いやいや!!そうじゃなくて!!
「だから、全然大丈夫だって、悪いのはこのエルフなんだから。」
そう!!すべてこいつが悪い!!俺はマイペースに飯を食い散らかす害虫エルフを睨みつける。
すると流石に食べるのをやめて、潤んだ瞳を向けてきた。少しは反省しているのか?
「お兄さん、そんな怒らないでよ。なんか嫌なことでもあったの?しわが増えるよ?」
撤回。こいつは全く反省していない。寧ろ調子に乗ってる。
「ジル。確かバーボが前に置いていった酒がまだ残ってたよね?」
前にバーボがこの村で作った酒の試作品を置いていったが、これまでの経験から酒は不味いと判断して飲んでいない。
「え?……あのお酒は残っているけど……何に使うの?あなた禁酒してるんでしょ?」
ジルが申し訳なさを全面に押し出しながらおずおずと答える。
暴食害虫も訝しげにこちらを見る。
「いやね、エルフを半年ほど酒に漬けると物凄く美味しい漬け物に「まってまってまってまって!!ごめんなさい!調子こいてました!!許して!!」……最初からそう言えば良いんだよ。」
害虫くんが机の上で土下座している。どちらの立場が上かわかったのだろう。良いことだ。
「でもなぁ~、エルフの酒漬け物は健康に良いって言うしなぁ~。」
原作でも主人公の最初のお供パックが盗賊に捕まっているときに酒につけられていたと言っていたし、エルフの鱗粉には強い治癒効果があるから健康に良いとは強ち嘘じゃないと思う。
「そんな!ひどい!エルフ保護団体に訴えてやる!!エルフをいじめるなー!エルフ万歳!!」
俺の目を見た害虫くんが本気と見たのか、恐怖の悲鳴を上げる。
何だよエルフ保護団体って……心なしか害虫くんの体系が栗っぽくなってる気がする。
これが噂のエルフ栗モード(ギャグモード)か?
「ひどいだって!このボケ!その言葉は俺の顔を見てから言え!!」
このエルフのせいで顔が殴打された痛みで疼いて仕方ない。
「そんな!お兄さんをそんな青あざだらけにしたのは私じゃなくてそこのお姉さんだよ!!」
必死の表情を浮かべる害虫。流石に酒付けは嫌なようだ。
「すみません……本当にすみません。」
だぁぁあ!!またジルたんがネガティブモードに入ったよ!!せっかく少し立ち直ってたのに!!
「元はと言えばお前がこの家にくるとき『犯されるー!純潔をうばわれるー!』とか訳の分からないことを喚くからだろうが!!」
俺は怒りを込めた表情で害虫を睨む。
なぜ俺の顔が見るも無残に腫れているか?
俺は最初こいつを見つけたとき、少しばかり家につれてかえって治癒効果のある鱗粉を貰おうと考えた。
エルフと出会うことは滅多にない。これは大チャンス。そう考えて交渉を行おうとしたが、このボケは話を聞くどころか大騒ぎをして、俺の顔をボカスカ殴るだけ。最初は優しく止めるように話しかけていたが、いっこうに止めないこいつに痺れを切らし、腕にひっつかんで無理矢理持ち帰ったんだ。
家に帰ってこいつを机の上に放り出すと、何を思ったのか、いったいどこからこんな大声を出せるのか気になる程の音量で叫んだ。
『助けてー!犯されるー!純潔をうばわれるー!』
俺は焦ったね。村の中で社会的に死んでしまうよ。そもそも俺にそんな趣味はない。
急いでとめようとしたら、勢い良く家の玄関が開けられた。驚いた俺が振り向くと……
両手を堅く握りしめた般若顔のジルたんが居た。
そこからはもうわかるだろう?
『まって!これは誤ブエ!』
弁解する俺の顔に炸裂する、強い思いの宿った拳。
『今の声……子供の声だったわよね……あなた、あたしという者がありながら……。』
あの時のジルたんは恐ろしかった。此処だけの話少しちびった。
『まっで!まじてごがいぶごおぉお!』
再度下される無情な鉄槌。
『このロリコン馬鹿ぁぁぁぁ!!』
振り下ろされる拳の嵐。その全てが俺の顔面ヒット。
『ぎゃあぁぐ!ぶぎ!ぼぉぉ!』
結局その暴力は全ての現況であるエルフが真っ青な顔で静止するまで続いた。
相手がジルたんだからロクに抵抗もできず、意識を失った俺を血の涙を流しながら殴りつけるジルはさぞ恐ろしかっただろう。
全ての話を聞いたジルは俺に申し訳ないくらい謝り、現況エルフはロクに反省も表さず、等の俺は顔面が石ころみたいになっている。
目の前で喚くエルフと誤り続けるジルたんの狭間にたたされ、俺は思う。
今日は厄日だ……エルフの丸焼きっておいしいかな?
実はこのエルフ騒動はまだ始まりにすぎないのだが、今の俺にはそれをしる術はない。
【作者からの一言】
まず一言。長い間の更新停止すいませんでした!(ローリング土下座)
学校がはじまり、相次ぐテスト、レポートの嵐でかるく鬱になっていました……大スランプ。
この話を読んでくれたみなさん、本当に申し訳ない。
これから少しずつ更新するつもりなので宜しくお願いします。
エルフと主人公の出会いの続き、主人公のエルフに対する印象は最低です。