「……レイ、一人暮らしなのよね。 それで…、今まで人間らしい生活をしてこなかったから、一般常識とか、全く知らないのよ。 ……それで、できればそういった所の勉強も含めて、預かって貰えないかと思って」「……赤木さんは、お仕事が忙しいから、そういった所に手は回らない。 他の方もそれは同じ、という訳で、私達にお鉢が回ってきた訳ですか」「えぇ…。 それに、貴女達だったら、ちょっと人と違うくらい、別にどうって事ないでしょう?」「…そうですね、全く人と違う人が一人、人と人と違うモノの境目が一人、人っぽいけど、なんだかんだで人じゃない人が一人、人だけど人じゃない人に化け物って言われるような人が二人いますからね~」「……琥珀さん、キツすぎ」「………あながち、間違ってない所が悔しいわね」真の支配者には勝てませんか、秋葉さん。確かに間違ってないんだけれどさ…。「そういう訳で、お願いできるかしら? 当然、生活費や維持費は全てNERV持ちよ」「まぁ、金銭の話はどうでもいいんですけれど…、遠野君、どうですか?」「………シンジ、お前はどう思う?」………志貴さんに、真剣な顔で問い掛けられた。とりあえず、確認する事があるけど…。「ねぇ…、綾波」「…………何?」綾波は返事をすると、飲んでいた紅茶を置いて、僕に向く。「綾波は、それでいいの? ……僕と一緒に居ると、多分『碇司令』に怒られる事になるよ。 …………最悪、嫌われる事になる」「…………それ、は…」「…それが嫌だったら、僕達の側に居ちゃダメだ」「……………何故?」「…なにが?」「…………何故、そういう事を言うの?」………真剣に、見つめ返してくる。「だってさ…、綾波は、『碇司令』の命令に従うのは役割なんだろ? ……僕達と一緒に居るってのは、多分『碇司令』は望まないよ」「………………私、は」綾波は一瞬俯いた後、顔を上げた。「……私は、私の『魂』の望みがある。 ……それは、碇君が教えてくれた事だから。 私は、…人形じゃないもの」「………だから、ここに来たの?」コクン一つ、小さく頷く。「…今のままだと人形のまま。 だから…、生活から、考えかたから、変えなさい。 そうすれば、魂の望みが聴けるから。 …そう、赤木博士が教えてくれたわ。 私は、人形じゃないから。 だから、私はここに居るの…」「…………そういう事で、お願いね」綾波の言葉に、赤木さんは念を押すように言った。「………まぁ、そういう事なら、いいんじゃないのかな?」「じゃぁ、決まりだな。 ……いいよな、秋葉」「えぇ、私も別によろしいですわ」「…そういう事で、よろしくね、綾波」「………えぇ、よろしく」……なんとなく、そんな感じで綾波の同居が決定した。「…………どうかしました?」「……まぁ、感慨に耽っていたって所です」「…………何を?」「そうですね…、人形だと言われて、否定する人と、自分を人形だと思い込んでいた人。 ………どっちが人形なんだろうな~、と思いまして」「………どっちかはわかりませんけど、結局考えかた一つじゃないですか? 大事なのは今、人形かどうか、だと思いますよ、僕は」「……私って、後ろ向きなんですかね?」「そうですか? かなり前向きだと思いますけど」「ふふっ、そう言われるとそんな気がします」「そういう事です」「はい。 …気を使わせてしまってすいませんでした」「……そんなつもりないんで、気にしないでください」「ふふふっ…、わかりました、そうしときますね、シンジさん」