初対面となる上下ジャージ君が、僕の机に近づいてきて、バンッと机を叩く。「転校生、ちょっと顔貸してくれや」「ヤ」……速攻拒否った。という訳で、休み時間。教室で僕VSジャージメンの戦いが始まろうとしている。「すまんなぁ転校生。わしはお前を殴らないかん。殴っとかな気がすまへんのや」「悪いね、この間の騒ぎであいつの妹さん怪我しちゃってさ、まっ、そういうことだから殴られてやってくれよ」……まぁ、それは殴りたくなる気持ちも判らないではないんだが。「…妹さんの怪我って、どういうの?」とりあえず、これから殴られようとするんだから、これぐらい聴いてもいいよね?「そういや俺も聞いてないな。トウジ、妹さん、重症なのか?」ジャージメンの後ろにいたメガネメンが、ジャージメンに問い掛ける。「あぁ…。重症も重症や。 あの混乱でな、シェルターにわしらは避難したんや。 …………そん時にのう」そう言ってジャージメンは拳を握る。ジャージメンの言葉に、教室で僕達の様子を見ている教室中の視線が集まる。…そして、言葉が紡がれる。「『あらあらどうしましょう』なんて言いながら歩いてた近所のオバンにわしがぶつかってもうて、そのわしのケツに妹がぶつかって、妹がコケて、その時中指をつき指したんじゃ!」『…はぁ?』なんて、教室全体で声があがる。だが、ジャージメン、ヒートアップ。「そのお陰でつき指が治った今日まで掃除、洗濯からメシの支度までわしがやらされたんじゃ! …みんな、みんなお前がわるいんじゃぁ!!」「………バカでしょ、君」つい、言ってしまった。ジャージメン、驚愕。教室の生徒はみな、僕の言葉に首を縦に振った。「な、なんやとぉ! なんでわしがバカなんじゃ!」「…だって、バカじゃん」「バカだな」「バカだと思うよ」「絶対バカ」教室中の総意。『ジャージ=バカ』決定。「…あのさ、妹さんがつき指したのって、君のお尻がぶつかったのが悪いんだろ」「…そうや」「じゃぁ君が悪い」「なんでやっ!? あん時お前がよう足元みとればなぁ」「…足元見てればそのお尻は妹さんにぶつからなかったのかい?」「…………ぐぅ」ジャージメン、沈黙。「…バカだバカだとは思ってたけど」「ほんと、だからジャージって…」「ジャージニズムってやつか?…」教室からそんなヒソヒソ声が聴こえてくる。彼の後ろに控えていたメガネメンですら、彼を白い目で見ていた。「…悪いな、転校生。あいつ、見た通りバカだからさ」「まぁいいよ。バカなのはわかったから」「そうか。俺は相田ケンスケ、よろしくな」「僕は碇シンジ、よろしく」メガネ=ケンスケと、ほのぼのトークの後握手を交わした。そんながっちり『僕と握手!』をしていると、NERV支給の携帯が鳴った。『ニゲロニゲロ ドアヲアケ』ピッ「……非常召集、か」着メロを途中で止め、携帯の液晶に浮かぶ文字を読む。教室では、なぜか僕から距離を取ってみんなに見られている。「………碇君、非常招集」綾波が、僕に近づいてそう声をかけてきた。「うん、わかって…」ガララッ「シンジさ~ん、連絡きましたか~?」僕が綾波に返事をする前に、琥珀さんが教室に入って…。「……まじかる☆アンバー?」「違います!『ホウキ少女まじかる☆アンバー』ですっ!」黒装束を身につけたまじかる☆アンバーが教室に入って来た。…きっちりとホウキを手に。「ささっ、いきましょうか、シンジさん」周りの痛いほどの視線を気にする風でもなく、まじかる☆アンバーは僕に近づいてくる。「…え、えぇ。いきましょうか、こは「まじかる☆アンバーです」…アンバーさん」「えぇ、ではでは…」琥珀さんはそう言うと、何故か僕の鞄をまさぐりはじめる。ゴソゴソ「ちょ、こは「アンバーです」…アンバーさんっ!」「あ、ありましたぁ~♪」僕の鞄をまさぐって取り出したのは、『かもぉ~ん、ひっすぃ~ちゃ~ん!スイッチ』だった。「ではでは、ぽちっとな♪」そう言って、『ぽちっ』とボタンを押す。…………何も、起こらない。「…な、なんですか? アンバーさん」「まぁまぁ、いいからいいから♪」アンバーさんはなんだか楽しそうだ。アンバーさんの様子を見ていた綾波も、自分の鞄をゴソゴソとまさぐってから、スイッチを取り出す。「………押すの?」スイッチを持って、僕に問い掛ける。……僕に聞かないでよ。「あは~、大丈夫ですよ~。もう来ますから~」そう言って、アンバーさんは『ほら♪』と窓の外を指差す。「…? 何もないですけ…」………ゴゴッいや、何か近づいてくる。……ゴゴゴゴッどんどんどんどん近づいてくる。…ゴゴゴゴゴゴッ「……あ、アレは…っ!?」ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!「はい~、メカひっすぃ~ちゃんですよぉ~」バシュゥ~「…NERVヲ、オツレシマス」空駆けるメカ翡翠ちゃんが二体、窓から教室に侵入してきた。「…ジェ、ジェットスク○ンダー」「はい~、標準パーツですから~」アンバーさんがそう言うと、メカ翡翠ちゃんの一体が、僕を小脇に抱える。「どわぁ! ま、まさか…」「さぁさ、いっちゃってくださ~い」アンバーさんはもう一体のメカ翡翠に綾波と共に小脇に抱えられていた。「「…NERVヲ、オツレシマス」」「いや…、ちょ、まっ…」ゴゴゴゴゴゴゴゴッ人の話も聞かず、ジェットス○ランダーの火力を上げるメカ翡翠。「ご~です」アンバーさんの掛け声と共に、ドンッと音を出して、メカ翡翠は飛び立った。「ぎょえぇぇぇぇぇぇっ!?!?!?」「………そう、これが、怖いという事なのね」「あはははは~っ♪」……僕達が去った教室には、飛び立つ衝撃で粉々に粉砕された窓ガラスだけが残った。