『目標光学で補足、領海内に侵入しました』「総員第一種戦闘配置!」『了解、対空迎激戦用意』『第三新東京市戦闘形態に移行します』『現在対空迎撃システム稼働率48%』「非戦闘員及び民間人は?」「既に退避完了との報告が入っております」「それにしても、第四の使徒襲来、思ったより早かったわね」ミサトは、そう言って不敵な笑みを浮かべる。「前は十五年のブランク、今回はたったの三週間ですからね」「こっちの都合はお構いなしか、女性に嫌われるタイプね」「……誰もあなたに好かれようとは思ってないわよ」リツコの毒に、ミサト撃沈。「くそっ、まただ」ビデオカメラを持ったケンスケが画面を覗き込みながらぼやいた。「まぁた文字だけなんか?」トウジも、画面を覗き込む。「報道管制ってやつだよ、僕ら民間人には見せてくれないんだ。こんなビックイベントだっていうのに」山が割れ、そこから大量のミサイルが怪物に打ち込まれる。それが怪物に当たり凄まじい爆発が起こる。しかし怪物は気にしたそぶりもなく、NERVを目指して移動を続ける。「税金の無駄遣いだな」「委員会から再び、エヴァンゲリオンの出動要請がきています」「煩い奴らね、言われなくても出撃させるわよ」『シンジ君、用意はいい?』「……」『聞こえているの!?シンジ君!!』「…あ~、まだちょっとクラクラしてます」二回目の使徒戦、だがベストコンディションには程遠い。……もうあのスイッチは使わないようにしよう。「なあ、ちょっと二人で話があるんだけど…」「なんや?」「ちょっと…」「しゃあないな~、委員長、わしら二人便所や」「もう、ちゃんとすませときなさいよ」「で、なんや?」「死ぬまでに一度だけでも見たいんだよ」「上のドンパチか?」「今度いつまた敵が来るかわかんないし…」「ケンスケ、お前なぁ…」「このときを逃してはあるいは永久に!!なあ頼むよ、ロック外すの手伝ってくれ」「外に出たら死んでまうで!」「ここにいたってわかんないよ、どうせ死ぬなら見てからがいい」「アホ、何の為にネルフがおるんじゃ」「そのネルフの決戦兵器って何だよ?あの転校生の乗ってるロボットだよ、多分。この前もあいつが俺達を守ったんだ、多分。それをあんなふうに殴りかかったりして、トウジにはあいつの戦いを見守る義務があるんじゃないのか?」「…えらい『多分』が多いのぉ」「だって、明確な答えを貰ってないじゃないか」「…まぁ、そういやそうやのぉ」「なぁ、だからさ、頼むよ」「……しゃぁないなぁ~」『シンジ君、今回はパレットガンの弾が間に合わなかったから、接近戦になるわ』「…あぁ、劣化ウランはやめたんですね」『えぇ、流石にちょっと、ね』そう言って赤木さんはバツの悪そうな顔をする。いくら安いからって、放射能を撒き散らすのはマズイと判ってくれたようだ。『それでは、いいですね』『えぇ、発進させてください』…だから、なんで秋葉さんなんだよ、葛城さん。ていうか、冬月さん、秋葉さんの横に立って首を縦に振ってるだけじゃん。『エヴァ初号機、発進!!』「キ○・ヤマ○、初号機出るっ!」グンッ『……流行りだからって、それはダメだ』………志貴さん、そこは流す所です。「はあっ、はあっ、はあっ」「お、おい待てやケンスケ!早すぎるで!」ケンスケは神社に続く長い階段を駆け上り、その高台でカメラを構える。使徒はちょうど彼らの視界に入る場所に現れ、体を縦に起こした。「き、来た!す、すごい、苦労してきた甲斐があったぁ!」「あれが敵かいな、気色悪う…」「おっ、待ってました!!」ひとつのビルが縦に開き、その中から初号機が出てくる。『シンジ君、状況判断は任せるわ、頑張って』「はい」僕が発射口から出ると、縦になったイカがいた。とりあえず距離を取り、肩からナイフを取り出そうとする。シュルンすると、イカの腕っぽい所から光るフニャフニャしたものが出て、周りのビル一面を切り裂く。「くっ!」ザンッ間一髪、それを後ろに飛びのいてかわす。「…対接近戦用か。考えてるじゃないか」僕はそう呟き、肩からナイフを抜き出した。――――ドクン「――――いいだろう、殺しあおうぜ」ヤツの鞭がしなる。ゾクッバックステップで下がり、その鞭をかわす。「…早い、な」かなりのスピードでその鞭は襲ってくる。変幻自在に動き回るソレに、僕は距離を置いて後ろに下がるしかなかった。ザンッ気がつくと、鞭にケーブルが切られた。『アンビリカルケーブル断線』『エヴァ、内臓電源に切り替わりました』『活動限界まであと4分53秒!!』「……チッ」早い所ケリをつけなければいけなくなった。鞭は再び襲ってくる。「そこっ!」僕は飛び上がり、身を翻し、ヤツの頭上を飛び越える際、ナイフを振るった。ザンッ「チッ、浅いっ!」身体を反転、着地する。ヤツの頭には縦に細い切れ込みが入った。ズンッ着地と共に、鞭が襲う。「クッ」後ろに飛びのいてかわす。ピー、ピー「っ! なんだ!」突然、プラグ内に警報が響く。見ると、足元に二人の少年が見えた。「…ジャージとメガネ」『シンジ君のクラスメイト!?』『何故こんなところに…』まずいな、身動きが取れない…。そんな事はおかまいなしに、ヤツは近づいてくる。外部スピーカーに切り替えて、警告。「おいっ! とっととそこから離れろっ! 死にたいのかっ!」僕の警告に、二人はただ身体を震わせるだけだった。「チッ! 絶体絶命かよっ!」僕がそう一人ごちると、琥珀さんから通信が入る。『シンジさん! 今メカ翡翠ちゃんをそちらに送りました! 20秒もたせてください!』「……20秒、か。了解」少し長いが、どうにかするしかないだろう。ビュルンその時、ヤツの鞭が動く。「くそっ!」僕は咄嗟に左手で片方の鞭を押え、右手のナイフで鞭を弾く。「……グッ。なんだこの鞭」『接触面に融解!!』…超振動の鞭、か?なんにしろ左手が熱い、右手で捌く鞭のスピードが速い。「クソッ、やばい!」なんとか凌いでいると、画面に二つの光を見た。『シンジ! 回収できたぞ!』「了解!」その報告を受けて、僕は左手で掴んだ鞭を引っ張り、近づいてきたヤツの身体を蹴り飛ばす。ズゥン音を立て、ヤツは地面に衝突した。その隙に立ち上がり、体勢を整える。ヤツも起き上がり、再びムチを振り回す。僕は、ヤツの身体を凝視する。「………クッ」こめかみの頭痛を堪えながら、ヤツに走る『線』と『点』を見る。………『点』は、赤い球、正面から少し右。ヤツが鞭を伸ばしてきた。ビュルン「おぉぉ!」今度は、引かない。その鞭をかわし、ヤツの懐に斜めに入る。ザンッ「クッ」少し肩をやられたが、問題ない。「――――殺す」ヤツの懐で小さく横に回転。そのまま、逆手に持ったナイフでヤツの球にある『点』に、ナイフを突き立てる。トン「―――その魂、極彩と散るがいい。毒々しい輝きならば、誘蛾の役割は果たせるだろう」その言葉と共に、赤い球は砂となり、消えた。『目標は完全に沈黙しました』「………あっぶなかったぁ~」赤い球だけ消えた使徒の身体を近くにねかせ、一人ごちた。『お疲れ様、ちょっとヤバかったな』「えぇ…、あの二人がいなきゃ、もっと楽でしたね」『NERVにつき次第、たぁ~っぷりとお説教してさしあげますわ』「ははは…、任せますよ、秋葉さん」……死ぬなよ、ジャージ&メガネ。