「今日でもう三日か…」「俺達がこってりと叱られてから?」「ちゃうわ、阿呆…」ジャージの少年はそう言って、窓越しに雨の降っている外を見つめる。「…わしらがここに閉じ込められてからや」「……ここ、どこなんだろうな」「………知らんわ、阿呆」「……………」「……………」「ゴメンナサイ、モウシマセン、ダシテクダサイ」「スイマセン、スイマセン、スイマセン…」ニゲロニゲロ~♪ ドアヲアケロ~♪このBGMを背に、彼らは三日間、反省を促されていた。EVANGELION~BlueBlue GlassMoon『シンジ様、お加減はいかがですかな?』「トモユキさん、僕は別に病気だった訳じゃないですよ」『まぁ、お伺いの挨拶、というものですよ』「そういうの、苦手なんですよね僕。 まぁ多分分かっててやられてるんでしょうけど」『はははっ、察しがいいですなぁ相変わらず』「おじいちゃんは、お元気ですか?」『えぇ、ユイ様が帰ってから、見る見る若返りまして、こちらが逆に胆を冷やされるくらいですよ』「そうですか、良かったです」『それで、ユイ様とリョウゾウ様からのご希望により、後半月ほど、そちらに行かれるのが遅れるのですが…』「あぁ~、わざわざすいません。 …親子水入らず、仲良くゆっくりして下さいと伝えてください」『…ほんに、良い男子に育ちましたなぁ、シンジ様は』「いえ、おじいちゃんにはお世話になってますし、あ、もちろんトモユキさんにもですね。 …それに、娘を持った男親っていうのは大変だと聞きますからねぇ」『ははははっ、確かにそうですなぁ』「ですから、おじいちゃんには今の内に娘孝行しておくよう言っておいて下さい。 それと、母さんには僕の事は気にせず、今まで出来なかった親孝行をしてくれって」『承りました。 …それで、本当によろしいのですかな?』「へ? 何がですか?」『…碇財団という大きな力を自分の好きなように出きるチャンスを、ユイ様にお譲りするという事、ですよ』「元々、僕は母さんがいなかったからその位置に立っていたんですよ? それが元に戻っただけです。…それに、僕の性に合わないですよ、そういうの」『…違います、な』「違う?」『えぇ…、違いますよ。 シンジ様に、碇財団はただの鎖にしかならない、と私は今回の事で感じまして』「……買いかぶりすぎですよ。 僕だって力は欲しい。物欲なんてものは一杯あるんですから」『ふむ…、シンジ様の物欲と、我々の物欲という物には、大きな差があるようですなぁ』「僕にはその差が分かりませんけれどねぇ。 とりあえず、そういう事で、お願いしますね」『えぇ、承知しました。 遠野様方に、くれぐれもよろしくお伝えくださいと、リョウゾウ様からの言伝です』「はい、承りました。 それでは、また半月後に」『えぇ、くれぐれも、お体を大事、心健やかに』「はい、それではまた」ピッ僕は携帯を切り、充電器に差し込む。「リョウゾウ様、どのような調子なの?」「えぇ、若返ったって言ってました。 遠野の方々に、くれぐれもよろしくと」「そう…。近いうちにまたご挨拶に行かなくてはね」「えぇ、その時はこちらで一席設ける事に致しましょう」僕の言葉に、秋葉さんと琥珀さんが紅茶を飲みながらにこやかに返事を返す。僕はそれを聞きながら、リビングのソファーに座って雑誌を読む。雑誌と言っても、月刊で出ているクラシックのスコアだ。一冊150円程度で、2~3曲の楽譜が載っている。バタバタバタッそれを眺めていると、エレベータのほうから、少し乱暴な足音が聞こえてきた。ガチャ「全く、あんの力バカは…」なにやらぶつぶつ言いながら、シエルさんがリビングへ入ってきた。「…まぁた負けたんですか、シエルさん」「うっ…、そ、そうですよ!」シエルさんは、またゲームでアルクさんに負けたらしい。最近出た、新作格闘ゲーム「Melty Bread」にハマッてるらしい。世界各国のパン職人が世界一を決める為、最高のパンを作る食材探しをして、その為、各国のパン職人と熱いバトルになるというのがメインストーリーだ。ちなみにシエルさんはフランスパンを武器に戦うキャラがマイキャラだ。アルクさんは確かサンドイッチ使い。その四角いサンドイッチでバシバシ力押しをするのが基本的な使用法だった。一方のシエルさんはフランスパンを飛び道具にして遠距離から攻撃するなかなかテクニカルなキャラ。いつもアルクさんのゴリ押しに負けていた気がする。そして、今回も負けたんだろう。「全く、なんでカレーパン使いは相撲取りな日本人なんですかね…」……カレーパンは日本生まれなのは分かるが、相撲取りがカレーパン使って攻撃するのは頂けないよな………。「今は誰が楽しんでいるんですか?」「えっと、今は遠野君が翡翠さんと戦っているんじゃないですかね?」琥珀さんの問いかけに、シエルさんが答える。志貴さんは、食パンを使うキャラだったな。様々なジャムで多彩な攻撃を展開するトリッキーなキャラだった。超必殺技は一瞬で全身の急所にバターナイフでバターを塗りたくる「17塗り込み」、考えただけでも恐ろしい必殺技だ」翡翠さんは、フレンチトーストを全自動で焼くロボットだったよな。超必殺技は、その身体に内臓しているマイクロウェーブで敵を前後不覚にする「洗脳ウェーブ」。……まぁ、どっかで聞いた事が一杯あるけど、気にしない。「全く、あのあーぱーは力押ししか知らないんですから…」未だにグチを吐いているシエルさんに付き合って笑顔で聞いている琥珀さん。そして、その様子を冷めた目で見つめる秋葉さん。………なんだか。「……平和だねぇ」僕のセリフじゃないよね、これって。