…シンクロテスト、ね。暑くてバテたので、やる気ないっすよ。『…シンちゃん、お疲れ?』「えぇ…、全く、なんで暑い中、サッカーなんかしなきゃいけないんですかね」『うへぇ、このクソ暑い中、サッカーなんてしてたの?』「えぇ、熱血らしいですよ。 全く、これ以上暑くなってどうするんだって…」ん?父さんと、綾波か。おやおや父さん、嬉しそうっすねぇ。綾波は…、無表情。前は父さんに笑顔を見せてたのかな…。今は、見せられないって事?あっ、父さんが帰った…。『…ンジ君! ちょっと聴いてるの!?』「えっ?あぁ、なんですか?葛城さん」『…折角私が高校時代の淡い思い出を…』あっ、綾波こっち向いてる。どうかしたのか?あれ、どっか走っていっちゃった。『シンジ君、首なんか傾げてどうしたのよ?』「えっ?そんな事してました?」『えぇ、エヴァがね』「…あぁ、なるほど」首傾げたエヴァ見てどっか行ったのかな、綾波。……確かに、可愛くはないよな。「葛城さん、カレーできましたけど」「じゃあ、ここに入れてぇ」そう言って、葛城さんはカップ麺を差し出す。…怖いもの知らずとは、この事だな。あ、葛城さんはシエルさんの正体知らなかったんだ。「カ、カ、カレーに対する冒涜ですかぁぁぁぁぁぁ!!!!」ガッチャーーーンッ!!…カレー教のカレー狂、シエルさんが暴れだした。「冒涜ですっ! 不浄ですっ! 即刻殲滅しますっ!」ジャキーーン「シ、シエル先輩っ! 黒鍵なんか持ち出しちゃダメだってば!」「遠野君、離してくださいっ!!」「か、葛城さんっ! は、早く謝って!!」ガチャーン!「鉄甲作用の投擲なんてするじゃないわよでか尻エル!」「ムッハァーーーーー!! カレーに対する冒涜は即時殲滅ですよぉー!」「ぎゃぁぁーー! ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんな…」……当分、カレーはおあずけだな。「そっ、そうだシンジ君。これ、本チャンのセキュリティーカード。 あと、レイとみなさんの分も」「……いいから手伝ってくださいよ」「……ごめんなさい」カレーだらけのリビングを、葛城さん、僕と翡翠さん、メカ翡翠と綾波で掃除をする事になった。犯人であるシエルさんは、御仕置き部屋へ層々たるメンバーで閉じこもったままだ。…たまぁ~に、嫌な音とか、凄い声とか、いろいろ聞こえてくるけど、スルーしておこう。ガチャ「…あぁ、綾波。これから本部?」「……そうよ」リビングを出ると、手ぶらの綾波が玄関へ向かう途中だった。「そう。一緒に行こうか」「………好きにすれば」素っ気無い言い方だけど、綾波は僕が靴を履き終わるのを待ってくれていた。……どこまで下がるんだ、これ。確か、第二実験室とかなんとか言ってたな。…再起動実験、か。「今日これから再起動実験だよね?」「ええ」「今度は、上手く行くさ」「…そう」「綾波は、怖くない? エヴァに乗るの」「…貴方は怖いの?」少し、怪訝そうな顔で僕を見る。「怖いに決まってるさ。 どんな戦いであれ、怖いよ」「あんなに強いのに」「強い、弱いは関係無いよ。 …僕は元々、臆病だからね」「そうは思えないわ」「それは僕の強い所しか見ていないからだよ。 …僕だってヒトだからね、弱い部分もあるさ」「…貴方は、弱いの?」「そうだな…、強い、弱いをどういう基準で表すかによるかな? 元々僕は臆病だから、そう言った面では弱いんじゃないかな。 それに僕、自分で強いなんて自覚はあまりないし。 他の人とは違う力を持っているって事は分かってるけど、それだけだよ」「…人と違う力を持っていても、人なの?」「そうだね…。 そういう面では、僕達は同じだね。 普通の人は持っていない、不思議な力を持っているっていう所がさ」「……私も、同じ?」「そう…。同じだ」「……そう、同じなのね」『レイ、聞こえるか』「はい」『これより零号機の再起動実験を行う。第一次接続開始』『主電源コンタクト』『稼動電圧臨界点を突破』起動実験は、淡々と進む。…最初の一声をかける辺り、父さんもマメだねぇ。実際、心配だから声をかけているのか?…それはないだろうな、わざと大怪我させるような相手だ。結局…、綾波も道具だって事だろう。『ボーダーラインクリア。零号機起動しました。引き続き連動実験に入ります』やっぱり成功したか…。不自然すぎるんだよ、やってる事が。「碇、未確認飛行物体が接近中だ。おそらく第五の使徒だな」冬月さんが受話器を置いて司令に声をかける。…死海文書には、詳しいスケジュールが書いてあるのか?起動実験成功後に丁度来るなんて、不自然すぎるぞ。「テスト中断、総員第一種警戒態勢」「零号機はこのまま使わないのか?」「まだ戦闘には耐えん。初号機を」『このまま出ます』…綾波が、自分から意見を言った。これには、発令所に居た面々も驚いている。「ダメだ、戦闘できる状態ではない。 今は休め、レイ」『…了解しました』…あぁ~、何て言うか、理屈が合ってないっつ~の。本当、いい加減だなアンタ。「初号機、三百八十秒で準備できます」「出撃だ」「はい」「レイ、再起動は成功した。戻れ」『…了解、しました』…そんなに不安そうな目をしないでくれ。「じゃぁ、行きますか」「えぇ、そうね」(………碇、君)『初号機発進準備に入ります』『第一ロックボルトを外せ』「解除確認」『了解、第二拘束具外せ』『了解』『司令、不用意な発進は危険だと思われます』葛城さんが、ゲンドウに意見を出した。『何故だ、葛城一尉』『はい、この第五使徒は今までの使徒とは形状が今までのような手、胴、頭のあるタイプとは違い、そして攻撃方法が全くの不明です。 ここは一度兵装ビル、及びバルーンダミーでの陽動で…』『敵の様子を伺った所で、倒さなければならん。 時間が無いのだ』『しかし司令っ!』『…越権行為だ、葛城君』…冬月さん、表情には出さないけど、結構キてるかも。「葛城さん、出して下さい」『…分かったわ、日向君、目標は?』『目標は芦ノ湖上空を進入』『エヴァ初号機発進準備よし』『…エヴァ初号機、発進!』グンッ…アイツの事だ、何か知っててやったんだろう、な。『目標内部に高エネルギー反応!!』『なんですって!?』『円周部が加速、エネルギー収束していきます!!』『まさか!?』「…荷電粒子加速装置っ! ロックボルトを外せっ!」『マヤッ! 早く外してっ!』『はっ、はいっ!』ガクンッ『シンジ君、避けてっ!』「うおぉぉぉぉっ!!」射出エレベータが地上に出た勢いで、ロックボルトを外された初号機を、そのまま上に飛び上がらせる。ジュゥン刹那、足の下を光の束がビルに穴を開けて通り過ぎた。『遠距離兵器!』「くそっ! 一旦引くっ!」僕はそう言うと自分が飛び上がったエレベータの上に身を屈めて着地した。「早く降ろせっ! すぐに粒子ビームが来る!」『は、はいっ! ガントリーリフト下げます!』ガクンッくそっ! このスピードじゃ頭が下がるまで時間が…。『再び目標内部に高エネルギー反応!! 先ほどと同等です!』『円周部が加速!』「チッ! エレベータ壊すぞっ!」僕はそう言うやいなや、肩からナイフを取り、足元を凝視。そのまま、底板に走る『線』を引いた。ガコンッ底板はキレイに切れ、足の前に穴が開いた。『エネルギー、収束していきます!』「どりゃぁ!」足元にあった底板の切れ端を使徒へ向けて投げ、僕はそのまま開いた穴へ飛び込んだ。ジュゥワ上から何かが融ける音を確認しながら、元エレベータ、現ただの穴を自由落下していた。