初号機の姿をしたバルーンダミーが使徒の前に用意される。ダミーの初号機が使徒に近づくと、使徒が光り、ダミーが蒸発した。『敵、加粒子砲命中。ダミー蒸発』「次!」声と共に、機械制御の移動砲台が発砲。だが、使徒のフィールドに阻まれ、逆に狙い撃ちされた。『12式自走臼砲消滅』「…なるほどね」「これまで採取したデータによりますと、目標は使徒を中心とする円周、一定距離内の外敵を自動排除するものと推測されます」「エリア侵入と同時に加粒子砲で狙い打ち。 エヴァによる近接戦闘は危険すぎます」「敵のフィールドはどう?」「健在です。 相転移空間を肉眼で確認できるほど強力なものが展開されています」「誘導火砲、爆撃などの生半可な攻撃では泣きをみるだけですね、これは」「攻守ともにほぼパーペキ。まさに難攻不落の空中要塞ね。 で、問題のシールドは?」「現在目標は我々の直上、第三新東京市0エリアに侵入。 直径17.5Mの巨大シールドがジオフロント内ネルフ本部に向かい穿孔中です」「敵はここネルフ本部に直接攻撃を仕掛けるつもりですね」「しゃらくさいわね。 で、到達予想時刻は?」「明朝午前0時6分54秒、その時刻には22層全ての装甲防御を貫通して、ネルフ本部へ到達するものと思われます」(あと十時間足らずか…)『敵シールド第一装甲板に接触!』「で、こちらの初号機の状況は?」「いけます。先程の戦闘では、見事に無傷で帰還していますから」「了解。零号機は使えるの?」「再起動自体に問題はありませんが、フィードバックにまだ誤差が残っています」「実戦はまだ無理か…、初号機専属パイロットの状態は?」「そうですね……」「ん? どしたの? 日向君」「いえ…、あえて言うなら『絶対近づきたくない』ですかね…」『敵シールド到達まであと9時間55分』「状況は芳しくないわね…」「白旗でも揚げますか?」「そりゃ名案。でも、ちょっちやってみたい事があるのよ。 後悔するのはあの世じゃ遅いからね」「目標のレンジ外、超長距離からの直接射撃か…」「そうです、目標のATフィールドを中和せず、高エネルギー収束帯による一点突破しか方法はありません」「MAGIはどういっている」「スーパーコンピュータMAGIによる解答は、賛成2、条件付賛成が1でした」「勝算は8.7%か…」「もっとも高い数値です」「反対する理由はない、やりたまえ葛城一尉」「はい!」「しかしまた無茶な作戦を立てたものね、葛城作戦部長さん」「無茶とは失礼ね、残り9時間以内に実現可能、おまけにもっとも確実なものよ」「うちのポジトロンライフルじゃそんな大出力耐えられないわよ、どうするの?」「決まってるでしょ、借りるのよ」「借りるって…、まさか…」「選択肢は二つ、その内一つはNERV内部の協力者が必要よ」「…超ロングレンジからの一斉射撃ですか」「そういう事で、シンジ君の銃と、みなさんの力、貸して欲しいのよ」「……嫌だ、と言ったら?」「その時は、日本中を停電に追い込んで戦自研から徴収してあるポジトロンライフルで勝率8.7%の賭けに乗るしかないわね」「…秋葉さん、どうですかね?」「…仕方ありませんわ。 あの髯には、私達が助力する事は…」「もちろん、言ってないわよ」「では…、どのような作戦でいきますか?」リツコさんの執務室にみんな集まり、作戦会議が開かれた。「やぁ、綾波」「…なに?」「作戦だよ、零号機で出撃だ」「…スケジュールは?」「え~っと…」葛城さんから預かったメモをポケットから取り出し、綾波に手渡す。「…碇、綾波の両パイロットは本日17:30ケイジに集合。 18:00初号機及び零号機起動。 18:05発進。 同30二子山仮設基地に到着。 以降は別命あるまで待機。 明朝日付変更と同時に作戦行動開始」「そういう事。 作戦名は源平合戦の那須与一にあやかって『屋島作戦』だってさ」「…そう」「あ、ご飯一緒に食べない? 琥珀さんが準備して待ってる」「…いくわ」僕達は、とりあえず腹ごしらえをしに、食堂へ向かった。「腹が減っては戦は出来ぬ、ってね~」学校の屋上に数人の生徒が集まっていた。「えらい遅いなぁ~、もう避難せなあかん時間やで」「パパのデータをちょろまかして見たんだ。この時間に間違いないよ」「せやけど、出てけぇへんな~」鳥が一斉に飛び立つ。屋上にいた生徒達は一斉にそちらを向いた。そこは山が割れ、紫とオレンジのエヴァが出てくるところだった。「きたきたきたぁ~~~!!」「おぉ~い、がんばれよぉ~!!」「いてこましたれぇ~!」初号機は人影に気付き、学校の屋上へ振り向く。「うぉっ、こっち向いたっ!?」『…ったく、早く避難しろよな、ケンスケ、トウジ』外部ウピーカーから、初号機のシンジの声が聴こえてきた。「わかっとるわ~! せやかて、センセが勝たんとなぁ~!!」『へぇへぇ、ま、負けないさ』初号機はそう言って、親指と立て、屋上へ向ける。屋上の面々が揃って親指を向けて返したのを確認してから、初号機は山へ向かって歩き出した。「…すげぇ、パイロットと友達だったのか、お前達」「2-Aの人間はみんな仲いいけど、俺達はいつも一緒に飯食う仲さっ!」…先の御仕置きの事など忘れ、ケンスケは自慢気にそう言った。