突然、頭上から発する声の主に、僕は語りかけられた。『…久し振りだな、シンジ』「……えーっと、初めまして。碇シンジです」遠野家での躾通り、僕はしずしずと初対面のそのオッサンに頭を下げる。「な、何を言ってるのっ!? あの人がシンジ君のお父さんでしょ!?」「……あ、そうだったんですか? すいません葛城さん」突然振って沸いた新事実に、僕は葛城さんに頭を下げた。「…アレがシンジの父親なの?」アルクェイドさんの一言にみんな顔を見合わせる。そして一言。「「「「「「似てなさすぎ」」」」」」僕もそう思います。そんな会話も何処吹く風、凶悪そうな僕の父上は言葉を発した。『ふっ…、出撃』その一言に、葛城さんは大きく狼狽する。「出撃!?零号機は凍結中でしょ?…まさか初号機を使うつもりなの!?」「他に方法はないわ」「ちょっと、レイはまだ動かせないでしょ!?パイロットがいないわよ!?」「さっき届いたわ」「…マジなの?」「碇シンジ君、あなたの言った通り、あなたがパイロットよ」「……は?」「綾波レイでさえエヴァとシンクロするのに七ヶ月もかかったんでしょ?今来たばかりのこの子にはとても無理よ!!」『座っていればいい、それ以上は望まん』「しかし!!」「現在は使徒撃退が最優先事項です、その為には誰であれエヴァとわずかにもシンクロ可能と思われる人間を乗せるしか方法はないの。解っているはずよ葛城一尉」「…そうね…」なんか、あれよあれよという間に話が進んでいるようだ。「あ~、ちょっといいですカ~?」なんとなくシニカルさを強調しつつ、僕は目前の討論に割って入る。「…父さん、なぜ僕を呼んだの?」『お前の考えている通りだ』「…これに乗って僕にあの怪獣と戦えって?」『そうだ』「何故、僕なの?」『他の人間には無理だからだ』「…乗り方なんて知らないよ」『説明を受けろ』「…父さんは、僕に死ねって言うの?」『お前がやらなければ人類全てが死ぬ事になる』「…人類の為なら僕は死んでもいいの?」『乗るなら早くしろ、でなければ帰れ』「…無理だよっ!? そんな事僕にできる訳ないよっ!?」僕が叫ぶと、凄い振動が僕らを襲った。『…奴め、ここに気付いたか!』その振動は断続的に襲ってくる。横にある水が、大きく波打っていた。「シンジ君、時間がないの」「乗りなさい、シンジ君。何のために此処に来たの?」僕は無言で答える。「だめよ、逃げちゃ。お父さんから、何よりも自分から」「……」「あなた以外には乗れないの、世界中全ての人とあなたは違うわ」「………」『もういい。…冬月、レイを起こせ』僕の無言に業を煮やしたのか、ゲンドウが受話器を取りどこかに居る人物と会話をする。『…かまわん、死んでいる訳ではない』相手の声は聴こえないが、ゲンドウの声ははっきりと聴こえてくる。『…レイ』『予備が使えなくなった、もう一度だ』ゲンドウはそう言うと、受話器を置いた。