※ 人類は衰退しました要素が強めです。
※ 比例してむろみさん要素は薄めです。
※ 犬は多分、どっかに発生しています。
その日、サシャとコニーは朝早くから森に来ていた。
背中には自作の弓矢、腰には獲物をおびき寄せるための僅かな穀物類を入れてある。
何故二人が森に行くのかと言えばそれは昨今、森の中で加工済みのチキンが歩いているという噂を聞きつけからだ。
「おい、やっぱりマジで行くのかよ」
面倒くさそうにしながらもサシャの後を歩くのは、サシャと並んでおバカコンビと名高いコニー・スプリンガー。
「もちろんです。狩猟民族として、羽も頭も無いのに歩くチキンを見てみたいじゃないですか。知的好奇心を刺激されるじゃありませんか。そして何より味を確かめてみたいじゃありませんか!!」
たりり、と涎を垂らしながら吠えるサシャの横で、コニーは心底呆れた顔をした。
「それ、単にお前が鶏肉食いたいだけじゃねぇの? 言っとくけど歩くチキンなんて噂だからな。本当に居るとは限らねぇぞ」
「でもでも、火の無い所になんとやらとも言うじゃありませんか?」
手入れのあまり施されていない森の獣道を、二人は狩猟民族らしく慣れた足取りで歩いて行く。
「なぁ、今思い出したから言うけどさ、この前行方不明になってた教官が帰って来たって聞いた?」
「はい、もちろん知ってますよ。鳥に攫われて壁外に飛んで行ってしまったとか上空から見た大地が丸かったとか言って、上から休養命令が下されたと聞きました」
「それってマジなのかな? 教官が本当に壁外に出たと思うか?」
「さぁ? でも教官、最近疲れてるようでしたから休養は丁度いいんじゃないですか? 私たちの兵団選び期間だってもうしばらくありますし、次期訓練兵団の結成もしばらくは様子見なんでしょう?」
「らしいな。……ってかサシャ。お前結局どこの兵団に行くんだ?」
コニーに聞かれ、サシャは難しい顔をした。
「どうしましょうかねぇ。壁外が陸地の頃は憲兵団にしようかと思ってたんですが、今は調査兵団の方が人魚さんと親しくなれて美味しい物が沢山食べられそうなんで迷ってます。コニーは決めましたか?」
「俺も同じく迷ってるよ。安全性だって外も中もあんま変わらなくなったしなー。……そういえばライナーとベルトルトも兵団選びで迷ってるらしいぜ。あいつら真っ先に憲兵団に行くと思ってたんだけど解んねぇもんだな」
「やっぱり美味しい物が絡むと迷いますよねぇ」
「ああ。まぁ、お前と一緒だとは限らねぇけどな」
そんなことを話しながら歩くこと数時間。邪魔な草を薙ぎ払いつつ、神経を研ぎ澄ませて獲物の足音を聞き洩らさぬよう慎重に道を選んで歩いて行く。
途中途中で赤や緑をした妙なキノコの群生や16×16ピクセルサイズの変な生き物が駆け抜けていくのが見えたが、それらはお目当てのプロセスチキンとは程遠い。
偶に獲物かと思えば野兎だったり、イタチだったりでハズレばかりで詰まらない。そうこうしているうちに、随分と森の奥深くまで入り込んでしまった。
「……なぁ、本当にチキンなんて居るのかな? やっぱりガセじゃねぇの?」
「いえ、諦めたらそこでお仕舞いなのですよコニー」
そろそろ帰ろうぜ。と言い出したコニーに対し、まだ諦めきれないサシャはあたりの草むらを掻き分けている。もう探す気力がなくなったコニーが暇だなーとぼやきながら足をぶらつかせていると、どこからか何とも言えない謎の音が背後から聞こえてきた。
二人がそろって振り返ると、そこには頭を切られ羽を毟られ、あとは香辛料で味付けをしてこんがり焼くだけのチキンの姿。
「チキン!?」
「チキン!! マジでチキンですよこれ!! 本当に居たんだ!?」
目を見開いた二人が大声を出すと、チキンは鳥肌をぷるぷる震わせて何とも言えない声を上げると、慌てて草むらの中に逃げ込んでしまう。
「逃がすな!! 追うぞ!!」
「はい!! 絶対に奴をコンガリ焼いて食べましょう!!」
サシャが涎を垂らしながら、矢をつがえて獲物を追いかける。その姿は、さながら獲物を屠る狩人(イェーガー)。限界まで弦を引き絞り、一気に解き放つも意外と素早いチキンはするりと身を躱して転げるように背の高い草の中に隠れてしまう。
「くそっここに立体起動があれば!!」
「まだ近くに居ます。二手に分かれて追い詰めますよ」
「おう!」
チキンをおびき寄せるための穀物を手に、サシャとコニーは二手に別かれてチキン捜索を開始した。
☆ ☆ ☆
「……中々見当たりませんね」
コニーと二手に別かれて数分。すぐに見つかると思っていたプロセスチキンは一向に見当たらない。
普通ならば首無し鳥が歩いているなど気持ち悪いと思うのだが、サシャとしてはそんな事はどうでもよかった。滅多に食べられないチキン。美味そうなチキン。塩を振ったチキン。こんがり焼きあげたキツネ色のジューシーチキン。今はただひたすらに、チキンが食いたい。
「チキーン。出てきてください。美味しく美味しく食べてあげますから~」
あふれ出る涎を袖でぬぐいながら囮のエサをぱらぱらと蒔く。瞳孔が開き切ったサシャの目は草の中に向けられていた。全身からあふれ出る気迫は、絶対にチキンを見逃してたまるかという強い意志。
「チキーンチキンチキンチキン……痛ッ!」
しかし、何が起きてもチキンを見逃してたまるかという集中が仇になった。草の中ばかり見て歩いていたサシャは、目の前にそびえたつ巨木に気が付かずにしたたか頭をぶつけてしまう。
「……なんですかこれ?」
慌てて見上げると、それは何やら見た事の無い不思議な木だ。幅広のシダのような木の葉にゴツゴツとした幹。しかし何よりサシャの目を引いたのは、その甘く香しい匂いのする細長い黄色い実だ。連なるようになったその実を見ていると、何だか見ているだけで涎があふれ出してくる。
チキンの事も気になるが、まずは目の前にある食べ物だ。とりあえず一本もいで食べようとサシャが手を伸ばしたとき、木の前に一本の立札が立ててあるのに気が付いた。
『たいむばなな(あーかいぶせんよう)』
「もむもむ……たいむばなな? むぐむぐ……何でしょうかね? うきゃあ!!」
ねっとりと甘い口当たりの香しきバナナを頬張っていたサシャは立札を読むと、その場ですてんと転んでしまった。
☆ ☆ ☆
そこは未来か過去か、はたまたどこかの異世界か、それとも全く別の平行世界か。
だけど、そこはどこかにあった『優しい空間』。
サシャが目を覚ますと、そこは森の中に広がる会場だった。大きな竈を中心に取り揃えられた沢山のテーブルと、テーブルの周りに集まっているのは沢山の見知らぬ女性たち。
彼女たちは一体どこから来たのだろう。サシャの目の前には百人近くの女性が数々の食材を手に取り楽しげにおしゃべりをしながら料理をしているのだった。
「ここは……?」
その時、不意にサシャの鼻をくすぐったのは甘くも神秘的なバニラの香り。
「あら、貴方どこからいらして?」
何が何だか解らずに、ただ呆然としているサシャに気が付いた、上品そうな一人の女性が声をかけた。
「あの、私ウォールローゼの森でチキンを探してたらここに来たのですけれど……一体ここはどこですか?」
周囲を見回しながらサシャが尋ねると、女性は小首を傾げて「おやまぁ」と驚いたように口に手を当てた。
「あらあら。それなら貴方は間違ってここに来てしまったのですね」
そうして、何を知っているのか上品そうなその女性は穏やかに微笑んだ。
「あの……間違って来てしまったというのはどういうことで?」
「そうですわね。つまり、偶然にも紛れ込んでしまった……ただのお客様ということでしょう」
サシャの疑問に答えたのは、上品そうな女性とはまた違うった妙齢の女性。
「そうそう、あの子たちが悪い子を連れてくるはずありませんものね。それならお客様ですわ」
「私たち以外のお客様が立て続けに来るなんて久しぶりですわね」
「あの、お客様って……? というか、ここは本当にどこなんですか?」
段々不安になって来たサシャに、そっと湯気の立ち上るティーカップが差し出された。見れば、そこには上品そうな女性や妙齢な女生とどこか似た雰囲気の初老の女性が穏やかに笑っている。
「まぁ、ここの事は考えても頭で解るものではありません。なので、お菓子が出来るまでとりあえずお茶でも飲んで待って行って下さいな」
バニラのように甘やかな声と共にさぁさと白いレースのクロスの敷かれたテーブルに通されて、サシャは砂糖とミルクがたっぷり入った甘いお茶を飲みながら周囲を見回した。
なんだか不思議な場所だった。違和感だらけの居心地なのに、いつまでもいつまでも浸っていたい。まるで柔らかいベッドで見ている夢ような、そんな場所。
その場にいた女性たちは皆お菓子を作っているらしく、泡だて器でクリームを混ぜる音やナッツ類を砕く音、湯銭するためのお湯を沸かす音の他、甘いバニラやシナモンの香りが辺りを包みこんでいる。
「うーん。良い匂い……」
甘い香辛料の香りの他に、前方中央に据え置かれた竈からは、焼き菓子の焼ける甘い香りがふんわりと漂ってきた。
普段のサシャならばすぐに飛びつくところだが、その日の彼女は珍しく黙って待っていた。ボヤボヤしていたら逃げてしまう獲物や、誰かに食べられてしまう食糧とは全然違う。ここで作られるお菓子は、必ずサシャにも差し出される物だというのが何故だか解るのだ。
「あぁ、美味しそう……」
チキンのことはどこへやら。ひたすら甘い匂いに惑わされ待ちわびるサシャだが、ふとあることに気が付いた。
お菓子を作る百人近くの女性たち。
何故だか、サシャには彼女たちの全員が同じ一人の人間に見えたのだ。
「不思議ですねぇ。まさか全員親戚なんでしょうかねぇ……」
涎をたりたりと垂れ流しながら暢気に周囲を見回すと、女性たちの陰に交じって見知った少女が目に入る。
テーブルで女性たちと仲睦まじくお菓子を作っていたのは、小柄な体躯に優しそうな青い瞳と金の髪。そんな彼女はサシャと同じ訓練兵団104期生の……。
「女神!?」
☆ ☆ ☆
「ぜんたーい、とまれ!」
手のひらに乗せられるくらいのお人形みたいな小さな生き物、別名、妖精さん。
五人ほどの隊列を作った妖精さんがテーブルを歩き、クリスタの席の前で止まった。
「おかしできました?」「いいにおいがするです」「おなかすきすぎ?」「こころうるおうかおりですー」「ぷりーずぷりーず」
「はい。順番に渡しますね」
初めて作ったホワイトマカロンを一つずつ妖精さんに手渡したクリスタは、最後に「はい」とサシャに差し出した。
「ありがとうございます女神~」
恭しく受けとったサシャは、すぐにマカロンを頬張ると、ホロホロとお口の中で崩れる楽園のような甘みに幸せそうな顔をする。
「それにしても、クリスタはどうしてこんなところでお菓子作りを?」
テーブルに乗った他のお菓子をもむもむと頬張りながら聞けば、クリスタはミルクの入った紅茶を一口飲んで答えた。
「うん。私にもよく解らないんだけど、この子たちにもっと沢山お菓子を作ってほしいってお願いされちゃって……でも、私クッキーくらいしか作れないから」
クリスタが手を向けた先には、マカロンを食べ終えた妖精さんたちが転がる姿。
「そう。それで、クリスタさんは妖精さん達にここへ連れてこられちゃったってワケですよね」
「ふーん。でもお菓子が食べたいならクリスタに頼まずここに来れば良いんじゃないですか?」
何気なくサシャが言った言葉に、妖精さん達が一斉に反応した。
「ここ、あーかいぶですので?」「すでにほうわしてますし」「ここだけとてもじゃたりませぬー」「もとじんいんをふやさねば」「べつじげんではにんずうにげんかいがありまくり?」
サシャには妖精さんたちが何を言いたいのかさっぱり解らなかったが、目の前の女性には解ったのか楽しげにくすくす笑っていた。
「でもね、ここに来たおかげで知らないお菓子の作り方を沢山教わったんだよ。皆様、本当にありがとうございます」
クリスタが深々と頭を下げると、女性は照れたようにわたわたと目の前で手を振った。
「いえいえこれが役目ですから、気になさらないでくださいね」
「だって私たちアーカイブですものね。人様に伝えてなんぼなんですよ」
「そうだわ。今のうちにメモにレシピを書いておきましょう」
「あ、助かります!」
口々に言い合って笑う女性たちとクリスタを尻目に、サシャはテーブルに置かれたお菓子ももぐもぐ頬張っている。ほろ苦い甘さのガトーショコラにふわふわのマフィン。クッキーよりもしっとりとしたサブレにさっくさくのメレンゲ、ビスコッティ、アップルパイ。ぷにぷに触感が楽しいグミキャンディーにほわほわのマシュマロ。舌の上で甘く崩れるラングドシャと喉越し爽やかなミルクプディング。極めつけは、サシャにはどうやって作ったのかも解らない、お口でとろける冷たい甘いバニラアイスクリーム。
食べたことのあるお菓子もあれば、見たことも聞いたことも無いお菓子もあったけれど、どれも共通して言えることはただ一つ。
物凄く美味しい。
それは、テーブルでお菓子を頬張る妖精さんも同じ気持ちのようだ。どの個体も満足げな表情をしているのがすぐに解る。
「もむもむ……ところで女神、むごむご……これは一体なんですか?」
口一杯にお菓子を詰め込みながらテーブルでクッキーを抱いて転がる妖精さんを今更ながらに指差すと、クリスタはちょっぴり困った顔をした。
「うーんと……多分、妖精さん? って言うみたい」
「妖精?」
「はい。妖精さんです。ですよね?」
一人の女性がテーブルの上の妖精さんに声をかけると、当の本人たちは首を傾げた。
「さー」「そうよばれていたようなきもしますが?」「おすきによんでくだされば」「にんげんさん、おかしつくれます?」
「残念ながら、私はお菓子は食べる専門ですので」
「あー……」
あっさりとサシャに答えられた妖精さん達は、一斉に肩を落としたのだった。
☆ ☆ ☆
楽しいことが大好きで甘いお菓子はもっと好き、でも、それを提供してくれる人間さんもだーい好き。
旧人類が衰退した後に繁栄した小さな小さな新人類は、人間さんのお願いならば少々の事は叶えることが出来てしまう。
例えば、欲しいお菓子の材料を用意するとか。
例えば、何もない所に物資を補給するとか。
「知能を小麦粉に変えられたこともありましたわね」
「まぁ、使い処に難しい物も多々ございましたわ」
「ここのお菓子の材料も全部妖精さんが用意してくださいましたのよ」
「マジですか!?」
楽しいことがあればたちまちのうちに集まって、一晩で高度な文明を築き上げるも飽きたらすぐに散ってしまう。
繁殖法は誰にも解らず、何時から発生し始めたのかすら解らない。
基本的には人類の良き隣人。でも偶に暴走して周囲を巻き込んだ大事件が起きてしまう。
女性たちとの話によると、それが妖精さんという生き物らしい。
「何か、巨人とはまるで正反対ですね」
「うん。不思議だね。発生源不明とか、巨人の情報と基本は一緒なのに大きいか小さいかでこんなに絶望感が違うなんて……」
☆ ☆ ☆
「にんげんさん、これおさしあげー」
帰り際、妖精さんの一人が豆本を両手に掲げてクリスタに差し出した。
「ありがとうございます。可愛らしい本ですね」
「あらまぁ、妖精さんのマニュアル本ですわ。お懐かしい」
「はい、こちらはお菓子のレシピ。メモ帳にまとめておきましたわ」
「ありがとうございます。本当に助かります」
「お二人とも、もう帰ってしまうの?」
「残念だわ。もっと楽しんで行けばいいのに」
「それはとても名残惜しいのですが、連れを待たせているので私もそろそろ帰らなくては……」
楽しいお茶会も終わり、二人が帰る支度をしていると口々に女性たちから挨拶をされる。
サシャは本気で泣きそうな顔をしているが、お茶会を初めてもう何時間も経っているはずだ。そろそろコニーと落ち合わなければまずいだろう。
「でも、ここからどうやって帰ればいいんでしょうか?」
「実は、私もよく解らないんだよね」
サシャとクリスタが二人でしばし顔を見合わせていると、いつの間にかテーブルの上に置かれたバナナが二本。
隣に置かれたメモにはご丁寧にも『おかえりはこちら』の文字とバナナに向けられた矢印が一つ。
それはとてもあからさまな物だった。
行きに使った物とまったく同じ、黄色い果実を手に取って、二人そろって皮をむく。
「もぐもぐ」
「むぐむぐ」
つるっ。
☆ ☆ ☆
そこは森の中だった。
「イテテ……」
転んだまま、空を仰いだ姿勢のままで、サシャは目を覚ました。
「戻った……?」
見回してみても周囲にあの黄色い果実の木は既に無く、普段通りの木々が大人しく生えそろっていた。
お茶会のテーブルは何処かに消え失せていて、一緒にお菓子を食べていたあの女性たちも妖精さんもクリスタも、サシャの傍には居なかった。
「夢……ですかね?」
まるで現実味が無い、夢のような不思議な空間だったけど、食べたお菓子の味はきっと嘘ではないはずだ。なのに、こんなに自分の思考が頼りないのは何故だろう。
軽い眩暈に襲われながらふらふらとその場に立つと、ガサガサと目の前の草が揺れる。草むらを掻き分けてやってきたのは、ちょっと怒った顔のコニーだった。
「お前、こんなところで何やってんだよ!! もう三十分も探したんだぞ!?」
「たったの三十分ですか!?」
「たったって……二手に別れてから三十分は長いだろ!? もう、そんなことばっか言うならコイツ別けてやらねーからな」
文句を言いながら、コニーは脇に抱えられていた物を見せつける。
「コニー……それは!?」
「ふふーん! お前がどっかで油売ってる間に捕まえてやったぜ! チキンだ!!」
コニーの掲げた物。それは、肌色で鳥肌でプルプルのあの時追いかけていたチキンだ。おいしそうなプロセスチキンがサシャの目の前にずずいと差し出されると、既に大人しくなったチキンの腹を見たサシャは、思わず笑ってしまった。
「おい、何笑ってんだよ。腹が減りすぎてとうとうおかしくなったのか? ははーん。どうしてもって言うなら別けてやらねーでもないけどさ」
「はい、是非別けて欲しいですけど、くくっ、何か色々解ってしまったんですよ」
「は? 何が解ったんだよ」
「いえ、何にも解んないですよ? ただ、あんなに食糧難に喘いでいた壁内に突然食糧が溢れ出した理由が何となく解っただけですよ」
「え? どうやってそんなこと解ったんだ?」
「だから、私にもさっぱり解らないんですってば」
「意味がわかんねぇ」
首を傾げるコニーが手に持った美味しそうなチキン。
その腹には、妖精社のロゴマーク。
カタツムリに乗った、妖精さんの焼印が押されてあった。