壁から登る個体を吹き飛ばしても、未だ無数の巨人面魚が闊歩するトロスト区。
人類は現在、『巨人との共闘』という前代未聞の戦闘を経験しているのだった。
「なんてこった……人類共通の敵だった巨人と一緒に戦う事になるなんてな」
壁から湧き上がってきた巨人面魚を吹き飛ばして消えてしまった超大型巨人と違い、もう一人の『鎧の巨人』は今も巨人面魚を相手に街中で大暴れを繰り広げている。
己よりも大きな巨人面魚の頭を引っ掴んでもぎ取り、急所たるうなじを噛み裂き、あるいは力任せに踏みつける。補給部隊の居る塔に殺到し始めた巨人面魚の群れを体当たりで蹴散らし周囲の建物が崩壊するのも構わず力のままに千切っては投げ千切っては投げ千切っては投げ。
「何かの鬱憤を晴らすような戦い方だな」
エルドがとある家の屋根から見ていると、遠くにでメチャクチャに暴れている鎧の巨人は三メートル級の巨人面魚の尾を掴んでぎゅるぎゅると振り回していた。
「うわわゎ危ねぇ!!」
しばらく回っていた巨人面魚が砲丸投げのように飛ばされ、こちらに向かって砲弾のように飛んで来た。勢いで落ちてくる巨人面魚から間一髪逃れエルドは屋根から飛び降りる。しかし、飛び降りた先には五メートルはありそうな巨人面魚が大口を開けて待ち構えていた。
「マジで!?」
食われる。覚悟した瞬間、隣から「出世魚アタァァァァァック!!!」という物凄い雄叫びと共に、何者かが巨人面魚の開かれた大口に巨大なブリを頭から突きこんでいた。
訳の分からない物を食わされてシドロモドロする巨人面魚。その隙にエルドはワイヤーを向かい側の壁に放ち、隙をついて巨人面魚の背後からうなじを削いで倒したのだが、着地後に周囲を見ると、そこには小柄な人魚の姿。見慣れた青い髪にはアッキガイの髪飾りがついている。金の首飾りにピンクの胸当てのその人魚の女性は正しく――。
「隅田さん!?」
海の方に居たと思っていた女性が現れ驚くのも束の間、怒ったような隅田さんがすぐ傍まで近づいてきた。
「ちょっとエルド、アンタ大丈夫なの!?」
「え、まだ大丈夫だけど何で隅田さんがここに居んの!?」
困惑するエルドに、隅田さんは再び巨大ブリを担ぐと、照れたように顔を赤くして怒鳴った。
「そんなの、アンタが心配だからに決まってるんでしょ!! まだお互い解ってないのに、たかが人面魚なんかに取られてたまるもんですか!!」
「隅田さん……」
「ホントにもう。あの日の責任はちゃんと取ってもらうからね!!」
隅田さんがツン、とした態度にも関わらず、二人の間には何となく良い雰囲気が流れている。しかし、周囲から「ケッ」という舌打ちが聞こえてエルドが先にはっとした。
「ちょっとお二人とも。いい雰囲気な所悪いけどここは戦場なのよ!!」
「そうだぞテメェら! まだ巨人面魚がウヨウヨいるんだ羨ましいなコン畜生!!」
「とにかく、イチャイチャすんのは後に回してくれや!」
超硬質ブレードを構えたペトラとオルオ、それからグンタに言われて、そういえばここはまだ戦場だったことを思い出す。
「隅田さん、悪いけど後で……」
「絶対嫌よ!!」
思った通りの気の強い言葉で即答され、エルドは苦笑した。
「ですよねー……そんなら、踏み潰されないように気を付けてな!!」
「お生憎様! アンタも食われないでよね!」
のっそりと家の陰から現れたるはムスッとした顔の六メートル級巨人面魚。獲物を見つけて襲い掛かる敵に、四人の人間と一人の人魚はそれぞれの武器を手に駆けだした。
☆ ☆ ☆
「Thor hammer!!」
サンダーバードが両手から雷をほとばしらせ巨人面魚へ振り落とせば、近場にたむろしていた巨人面魚の群れは一斉に感電して動きを止める。その隙をついて立体機動を装備して待機していた兵士たちがここぞとばかりに一斉にうなじを削ぎ落して行く。
「燃焼球!!」
すぐ傍では鳳凰が灼熱の業火球を振り落し、多数の巨人面魚を燃やし尽くす。うなじだけが燃え残った物は人力を使って一掃し、そしてハーピーはと言うと。
「ハーピー、いくよ!」
「ぴゅーい♪」
兵士達から提供してもらった二本の超硬質ブレードを携えたイエティは鳥達と共に帰って来たハーピーに跨り巨人面魚と戦っていた。立体機動の移動速度にも勝るとも劣らないハーピーの超高速移動とイエティの神業的武器捌きが合わさって、その白い疾風が吹き抜けた先に居る巨人面魚どもはなすすべも無く屠られていく。
「俺達もイエティさんの後に続くぞ!!」
「おう!!」
そしてハーピーとイエティが通ったその後ろからは、薔薇と翼の紋章を背負った沢山の兵士たちが続き、ウォールシーナへ向かおうとする巨人面魚を必死で食い止めているのだった。
「ハーピー、イエティ……」
駐屯兵団から立体機動装置を借りて装備したキースは兵士と共に戦う孫のような二つの存在を複雑な心境で見つめていた。
出来れば、彼らを戦わせたくは無かった。元来この巨大な魚は人間しか襲わない。人間なんて放っておけば、巨人面魚はイエティやハーピーに危害を加えないはずなのだ。しかし、彼らは己の持つ膨大な戦闘力を沢山の兵士の命を救うために命がけで使ってくれている。
「私は……こんな所で何をしているのだ」
元来ならば、巨人と戦わねばならないのは人類のはずだ。壁の外が海になるずっと前。百年も前から人類はずっと巨人に脅かされていた。その清算をするために、人類は巨人と戦い続けている。だから、人類が戦うのは仕方がない。だが何故、自分達は全く関係の無い人外の子供までもを戦わせているのだろうか。
そんな風に落ち込みかけたキース。すると、隣で何者かが美しい音色で囀った。
「♪~♪♪♪」
唯一戦闘行為に参加していないキンナラが、キースを励ます様に美しい声で歌っていた。
キースのズボンの裾を引っ張ったり、パタパタとその場を飛び回ったりする姿は何だかとても必死に見える。
「もしや、私を慰めてくれているのか?」
「♪♪~♪! ♪♪~!!」
コクコクと頷いてぴょんぴょんと飛び跳ねるキンナラ。まるで「今は落ち込んでいる場合じゃないでしょう」と言われているような気がしたキースは口の端で笑って、ハーピー達にやるようにキンナラの頭を撫でるた。
「そうだな……ハーピーもイエティも、皆、人類の為に頑張ってくれているのだ。私も、今は出来ることをやろう」
覚悟を決め、久方ぶりに立体機動装置のスイッチを握りしめたキースは駆け出し、街の壁に向かってアンカーを射出した。
☆ ☆ ☆
外海に浮かぶとある岩島。その洞窟内部にてされたリヴァイアさんの無慈悲な宣告に、むろみさんは硬直していた。
「え……? まじ?」
「マジっちゃー♪ これが一番簡単且つ面倒くさくない方法だっちゃ」
壁内人類殲滅宣言をしたリヴァイアさんはとても明るく言っているが、目はマジだ。彼女ならば、間違いなくたった一人で壁の中の全ての家を欠片も残さず燃やし尽くし畑を焦し生きとし生ける物全てを焼き払い、全ての土地を塵すら残らない焦土へと変えるだろう。そして海と陸を隔てる広大な壁を吐息一つで薙ぎ払い、そのついでに現在発生しているすべての巨人面魚を容易く滅ぼす事が出来るのだ。
神々と共に超科学を持ったムー大陸を滅ぼし、旧約聖書にも言及される伝説の海獣、リヴァイアさんの実力はダテではない。
「本当に壁の国を滅ぼすん!?」
むろみさんが問い詰めると、リヴァイアさんは暢気にふあーっと欠伸をしてその場にゴロンと寝転んだ。
「でもまぁウチがやらんでも壁内を滅ぼすのは現在巨人面魚がやっとるきー。ウチはもう少しして人類が居なくなった後にのんびり壁を壊しに行くっちゃ。それが一番面倒の無い、楽な方法っちゃき」
そう言って目を瞑り、本格的に眠ろうとするリヴァイアさん。しかし、どうしても諦められないむろみさんはリヴァイアさんを揺り起こす。
「そげなこと言わんと!! あそこの人間さんは良い人たちばっかりやけん助けてほしいと!」
「あの壁の人たちは異世界の住人っちゃ。我が同朋の子孫じゃない以上、見守る義務もウチ達が助ける義理もなかよ。それに巨人に食われるのはあちらの世界の自然の摂理みたいなモンだっちゃ」
「そんなー」
「そんなも何も、むろみがいつもひいちゃんに言っとるのと同じだっちゃ。仲良しこよしの精神は自然を壊すちゃ。あきらめり」
そしてリヴァイアさんは寝息を立てはじめた。
「リヴァイアさん! まだ寝んと! お願い!」
リヴァイアさんの体を揺さぶるむろみさん。近場では妖精が細いスポットライトの下で、新しい非常食糧の缶詰からクッキーを取りだし、カンパンに入った金平糖を食べていた。山積みにされたレーションの中のチョコレートバーを美味しそうに齧り、粉ジュースを小さなカップに入れて水に溶かして飲みながら、場にそぐわぬキャッキャと楽しげな声を出している。
リヴァイアさんは、起きる気は無いらしい。
本気で眠り出したリヴァイアさんを見て、むろみさんは揺さぶるのを止めた。
(お?)
諦めたのかな? と薄目を開けて盗み見るリヴァイアさん。しかし、むろみさんは目に涙を一杯に貯めながらもその場から動こうとしなかった。
「そりゃ、人間やけん、全員がいい人ばっかりでも無かったとよ。でも、良い人も一杯居たのは本当たい。エレン君は生意気だけど優しい子たい。ミカサちゃんはエレン君のことしか考えとらんように見えるけど、実はいろんな人の事も考え取る。アルミン君は二人に振り回されて貧弱そうやけど一番頭が良かよ。そんで、イエティみたいに可愛か。三人とも、アタシの友達たい」
むろみさんは静かに、壁の中で知り合った人たちの事を寝たふりをするリヴァイアさんに語る。
「ジャンは思ったことをすぐ言うアホでエレン君と喧嘩ばっかしやけどやる時はやる男たい。マルコは穏やかで太陽みたいで、いっつもエレンとジャンの喧嘩の仲裁しとる。サシャちゃんはくいしんぼだけどアタシのあげた食べ物すっごく良い笑顔でおいしいおいしいって食べてくれると。アニちゃんはクールで美人で恐そうに見えるけど実は一番乙女心を持ってると。ライナーとベルトルトはいっつもアニちゃんにすっ転ばされとるけど実はアニちゃんが大好きなんよ。アホのコニーも優しいクリスタも番犬みたいなユミルも、ミーナもダズもトーマスも、キーやんも104期生の子たちは皆アタシの友達たい」
むろみさんの言葉はまだまだ続く。
「ハンネスさんは飲んだくれやけど、実は部下にとても慕われとるのも知ってると。小鹿のキッツも臆病やけど実力もちゃんと持っとるし、イアンは誰より勇気があるくせに恋にはチキンでリコちゃんのこと好きやのにまだ言えてなか」
そして、とうとうリヴァイアさんの肩にぽたりと一滴、水が落ちた。
「リヴァイはクッソ無愛想で暴言ばっかしでムカつく。やけん、きちんと周りをみとる。ハンちゃんは巨人馬鹿で酒が入るとお喋りが止まらなくなる。ペトラちゃんとオルオとエルドとグンタは四人ともリヴァイが大好きで、他にもナナバとミケとリーネとヘニングも居て、遊びに行けばいっつもアタシと遊んでくれて、エルヴィンは腹黒やけど誰よりも沢山考えとって……」
「むろみ……」
むろみさんは、溢れる涙も抑えずにリヴァイアさんに訴える。
「アタシは、壁の皆が好きなんよ! 皆友達やけん!! 死んだら嫌たい!! だから、リヴァイアさん! お願いやけん、皆を助けてあげて!!」
むろみさんの必死の言葉を聞いて、リヴァイアさんは仕方がなさそうにむっくりと体を起こした。
「リヴァイアさん!?」
「ん~、むろみがそこまで言うなら仕方がないちゃ」
「助けてくれるの!?」
縋るようにリヴァイアさんを見ると、彼女は八重歯を見せてニコリとほほ笑む。
「壁内の人類は運が良いちゃ。ウチの大好きなむろみがそこまで言っとるのに助けないのも後味悪いちゃきー。安心しぃ、ちょい面倒っちゃけど何とかしてみるちゃー」
☆ ☆ ☆
鎧の巨人、及び鳥達の援軍により快進撃を見せていた人類。しかし――。
「おいおいおいおい、大変だぞ、また巨人面魚が登ってきやがった!?」
「うそでしょ!?」
熱風により吹き飛ばされたはずの巨人面魚が、再び外海からの侵入を開始し始めたのだ。
「バージリィィィィィスク!!」
バジリスクが壁の傍まで飛び、侵入し始める巨人面魚を次々と石に変えていく。だが、大小様々な巨人面魚の群れは後から後からまるで無限に溢れる海水のように石になった仲間を乗り越えて壁内へ入って来るのだ。
その数、既に百や二百では利かないだろう。
「うぅぅ、ツカレた! もうムリ!」
「我疲労了!(私もつかれた)」
「I am very tired!!」
力を使い果たした鳥達が退き、大暴れしていた鎧の巨人もだいぶ動きが鈍くなってきている。
「イエティ! どないしよ!?」
焦るハーピーだが、イエティは悲しそうな顔でゆっくりと首を振った。
「こうなっちゃうとダメ。奴らには感情が無いから、脅しはきかない。壁からの侵入を抑えないと焼け石に水だよ」
☆ ☆ ☆
「俺達はもう、何も出来ないのか……?」
「終わりだ……このまま、魚のエサになるしかねぇ……」
「嫌だ!! 絶対に死にたくねぇ!!」
絶望の悲鳴を上げる兵士達に背を向けて、一人塔の上に立ったリヴァイはじっと巨人面魚が登ってくる壁を物凄い形相で見つめていた。両手に持った刃はボロボロ。ガスも何度補給したのか解らない。屠った巨人面魚の数は……それこそ数えられるような数ではない。どれだけ抗っても抗っても、どこかから吹き出す様に巨人面魚が出てくるのだ。
これでは、兵士たちの心が折れるのも無理はない。
「本当に終わりなのか……俺達はもう……」
ぽつりと呟いたその時、ハンジが立体機動を使ってリヴァイの隣に着地した。そして普段では見ない、焦ったような表情でリヴァイに聞く。
「ねぇリヴァイ、今何か頭の中で声が聞こえなかったかい!?」
「は? 戦い過ぎでとうとう頭がイカレたか?」
「そうじゃないよ! 何かこう、さっきから頭の中で聞こえるんだ!! こうすると、リヴァイも聞こえないかい!?」
耳を澄ませて目を瞑るハンジにならってリヴァイも同じようにしてみると、確かに聞こえてきた。
血と硝煙とバカデカい人面魚が溢れかえる戦場にそぐわない、ゆるーい小倉弁。
『この中でリヴァイっちゅー人類最強が居たら、ウチの呼びかけに答えてほしいっちゃー♪』
その時、周囲で絶望の淵に戦う気力をなくし始めた兵士たちから口々に悲鳴が上がった。
「な、何だあれは!?」
「知らねぇよ!! だが巨人でも巨人面魚でもねぇ!!」
慌ててハンジとリヴァイが目を開くと、巨人面魚が大挙して押し寄せてくる壁の向こうから青く輝く巨大なドラゴンが顔を覗かせていたのだった。
☆ ☆ ☆
「ねぇリヴァイアさん。リヴァイば呼ぶのに何か意味があるん?」
「ちょっとした布石っちゃー」
超巨大海獣へ変化したリヴァイアさんの頭の上でむろみさんが尋ねると、リヴァイアさんが楽しそうに言う。
周囲からは巨人面魚がリヴァイアさんを避けるように壁に群がっているのが見えるが、リヴァイアさんは全て無視している。こんな所で力を使ったら、壁まで砕けてしまうからだ。
「あ、来た!」
その時、遠くからリヴァイの肩を両足で掴んだキンナラがパタパタと飛んでくるのが見えた。
「おー、あれがリヴァイ? むろみの言うとおり目つきの悪か男ちゃね~」
「でしょでしょ? でも人類最強なんよ~」
「♪~♪♪♪。♪♪~」
キンナラはリヴァイアさんの頭上まで飛んでくると、その頭の上にポテッとリヴァイを落として再び戻って行ってしまう。
「……テメェか? 俺を呼んだ奴は……何の用だ?」
銀色の鬣に捕まり、隣に居るむろみさんと見比べるリヴァイが問えば、リヴァイアさんは頷いた。
「そうちゃ。用ってのは他でも無く、この巨人面魚事だっちゃ。ウチならこの海にいる巨人面魚を一週間ばかり滅ぼすことが出来るっちゃ~」
「何だと!? それは本当なのか!?」
「まぁ聞き。でもウチじゃ力が強すぎて壁の中の巨人面魚には手が出せんき。その辺どう? 壁内の戦力だけでなんとかなるちゃ?」
青い海竜から問われ、リヴァイはしばし考える。が、答えは最初から一つしかない。
「ああ。外から入って来る奴が消えるのなら、あとは俺達が何が何でもやるしかねぇだろ」
その言葉が気に入ったのか、リヴァイアさんはクスクスと笑う。
「よっしゃ。なら壁内の事はアンタ達に任せるちゃ♪」
「だが、これだけの量をどう殺す? 本当に出来るのか?」
リヴァイが見下ろせば、そこは巨人面魚の巣窟としか言いようが無かった。広い大海原に、地平線の遥か先まで巨人面魚の頭が海に並び壁に向かって群がっていて、その膨大な量は今までコイツ達の相手をしていたのかと思うと気が遠くなりそうなくらいだ。
「大丈夫大丈夫。リヴァイアさんなら何とかなると!」
力強いむろみさんの言葉に、半信半疑ながらリヴァイが海を見ていると、リヴァイアさんは茶目っ気たっぷりに言う。
「人類よ、括目するちゃ☆」
そして、人類は思い知ることになる。
「出力最大!!」
この世には、例え己が滅ぼされると解っても、決して抗ってはいけない存在があるという事に――。
「オメガブレス!!!!!!!」
リヴァイアさんの口から渦を巻く凶悪な炎の塊が吐き出された。
それは、巨人面魚の肉を焼き海を干上がらせ押し寄せるそれらを一瞬のうちに全身を蒸発させる。岩礁は消し飛び海藻は死に絶え深海生物は気絶した。周辺を回遊していた魚や海獣、海鳥たちが一斉にその場から逃げだせば空が泣き、大地が鳴動し、海底火山は次々と噴火を開始する。
――そして、周辺海域から全ての生きとし生ける物(巨人面魚含)はこの世から消滅した。