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No.38616の一覧
[0] 特報-悪逆皇帝の断末魔【コードギアスafter】[いい気分?](2013/09/29 03:05)
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[38616] 特報-悪逆皇帝の断末魔【コードギアスafter】
Name: いい気分?◆893b6cc0 ID:cce7209b
Date: 2013/09/29 03:05
「――――というのが、悪逆皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが帝位簒奪後に行った悪行の数々です」

テレビの中で、番組の司会者がここまでの番組を総括した。
今日はルルーシュ・ヴィ・ブリタニアという最後の皇帝にして最悪の暴君がゼロによって討たれてちょうど5周年。
テレビもラジオも新聞も、誰もが知っているであろうルルーシュの悪行やゼロの偉業を振り返っていた。
そのほとんどは今更振り返る必要もないほどに誰もが知っている内容ばかりだが、しかし、最悪の支配者やその圧政から世界を救った英雄の記憶を風化させないためにも、それは必要なことであった。

「ミレイアナウンサーは悪逆皇帝の学校の先輩だったそうですが、改めて振り返ってどうですか?」

「うーん、正直なところ、未だにあのルルーシュがこのような悪魔に変わるとは信じられないというか……こう、からかい甲斐のある後輩だったんです。もちろん、腹黒い所もあったんですけど………きっと、私の知らない間に、彼の性格を歪ませてしまう何かがあったのではないかと……私は、近くにいたのにそれに気付いてあげられなかったことを悔やんでいます。もし、私が彼の変化を止めてあげられたら、多くの人が救われたんじゃないかと……」

「いえいえ、そんな、ミレイさんの責任ではありませんよ。何しろ相手はあの智謀知己に長けた魔王ですから。その本性を見抜くことは並大抵のことではできないでしょう。何しろ、実の妹であらせられるナナリー代表ですら騙されていらっしゃったのですから」

司会者から振られた役割を、ミレイはいつものように返す。
このやり取りは、この5年間で数え切れないほど行われたものだ。
そして、ミレイ自身の意見は完全なる本音であるため、いつどこで訊かれようが全くブレることは無い。
生中継である今日も、それは同じであった。

アナウンサーという仕事の関係上、ブリタニアの旧皇族であるナナリーと会うこともあるミレイは、ナナリーにも「あれは本当にルルーシュのやったことなのか?」や「ルルーシュに何があったのか?」といった類の質問をぶつけてみたことがある。
しかし、ナナリーからもわからないとの答えしか返ってこなかった。
それどころかナナリーからはルルーシュに対する憎悪すら感じ取ることが出来た。
あれほど兄であるルルーシュを慕っていたナナリーの変化もミレイは中々信じられなかったが、ルルーシュの悪政やナナリー達への仕打ちを考えれば当然なのかもしれないとも考えられた。

ナナリーと言えば、何らかの原因でナナリーに関する記憶が私たちアッシュフォード学園の人間から消えていたが、私やリバルなどはこれまた唐突にそれを思い出していた。
一時期は若年性健忘症の亜種かと疑い、皆で雁首そろえて病院へ向かったこともあるのだが、それはまた別の話である。

「それに、ミレイさん以外の方々に対しても、ルルーシュは完全に騙しきっていたようですからね。完全なる偽りの姿。これぞ悪魔の所業という他ないでしょう。それでは、CMの後は英雄ゼロが皇帝ルルーシュの野望を打ち砕いたシーンを振り返ってみたいと思います」

そう司会者が締めると、番組はCMに切り替わる。

ルルーシュの死後、世界はルルーシュに関して集められるだけの情報を集めた。
否、勝手に集まった。
何しろ、史上最悪の独裁者だ、誰もが情報を求める。
あり得ない話だが、例えどのような人物や組織がその情報を秘匿しようとしたとしても――それがゼロであっても――情報の蓄積を止めることはできない。
そして、人の所業とは思えぬほどに悪辣極まりない所業や、歴史の表舞台に現れる前の本性を隠した姿などが次々と人の世に報じられた。
悪魔の所業としては、花嫁募集と偽って女性を集め大量虐殺したというものや、飼い猫に乱暴したという言いがかりで町ごとその住人達を消滅させたこと、ある同級生の恋心を利用するだけ利用しつくし、最後はゴミでも捨てるようにその女の子を始末したなどのことが挙げられる。
もっとも、戦乱によって様々な資料が失われた今となっては証拠の無いものばかりで、証言を基にしてそれが真実とされているのだが、その点について触れようとする者はおらず、いたとしてもそれを表に出すようなマネは決してしなかった。

「さて、このようにして英雄ゼロはルルーシュを串刺しにして世界を救ったわけですが――――」

CMが終わり、テレビに出すのは甚だ不適切ながら、あまりにも有名すぎるため例外的に報道を許されているそのシーンを再度放送したのち司会者は予定通りの企画を切り出した。

「この死の瞬間、何やらルルーシュは喋っているようにも見えるんですね」

『えーーーーッ!!??』

「っと、番組観覧席からも驚きの声が聞こえますが……ほら、ここを見てください。音声は拾えませんが、口を動かしています。これは、酸素を求めて口をパクパクしているとかそういう動きではありません。何かはわかりませんが、何かを喋っているんです!」

そう言って、再度串刺しとなったルルーシュ映像を流し、その口元をアップにする。
映像を拡大しているためその映像は甚だ不鮮明であるが、司会者の指摘通りに悪逆皇帝は何やら口を動かしているように見える。

「そこで、本番組では読唇術の達人であるジョン先生をお招きし、何をしゃべっているのかを生放送でお届けしたいと思います!先生、よろしくお願いします」

「こちらこそ、これまでそんな所に注目していなかったので、恥ずかしながら気付きもしませんでしたけど、がんばって解読したいと思うのでよろしくお願いします。」

「番組スタッフがこれを見つけた時、この企画が持ち上がったんですよ。ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの最期の言葉、これは世界中が知りたいと思うのではないかと! いやぁ、うちのスタッフがこれを最初に見つけて良かったというのが正直な感想ですね(笑)」

新たに現れてミレイの隣に座った読唇術の権威が、真剣なまなざしを見せる。
その視線の先には、高解像度を誇る最新鋭のモニターがあった。

「それでは、再生いたします。先生、がんばってください」

そう言って、再び映像が再生される。
番組の出演者たちも、それぞれの想いを心に秘めながら、黙って解読作業を行うジョンと映像を見つめた。

「これ…は…お…ま………え、に………」

この中継は、黒の騎士団の幹部たちの処刑に向かうパレードであるため、多くのテレビカメラで映されていた。
メインのカメラでは身体の陰に隠れて口元が見えないようなアングルでも、他のカメラからは映っている。
そして、多少判読不能な部分があったとしても、文脈から考えれば補完することもできる。
そう、この番組はこの企画のために組まれた特集。
生中継にしたのは、そのインパクトを高めるためであった。

「と…て? いや、とって……」

映像が不鮮明なため、つっかえながらであるが、ジョンは真剣なまなざしで解読を続ける。
だが、その表情は徐々に信じられないという風な色合いが濃くなっていった。
その反応に、司会者や番組を見つめるプロデューサーたちは笑いたくなるほどに昂揚していった。
なにしろ、驚くような発見を、自分たちの番組で放送できるのだから。

「――――お、終わりましたか?」

「ええ、正直、自分の解読が間違っているのではないかと不安になる内容でしたが……恐らく、間違いは無いと思います。しかし……いや、信じがたいことですが、これをどう受け取っていいのか…………」

ぶつぶつとした呟きの途切れたジョンを見て、待ちきれないと言った様子で司会者が尋ねた。
しかし、返答は予想外の戸惑いが付加されていた。
大方、英雄ゼロへの見苦しい悪態か、自分の状況を理解できないで威張り散らそうとする発言だろうとあたりをつけていた彼は、その様子を見て焦りを感じた。

「え!? それはどういう……いえ、それでは発表してもらいましょう。先生、お願いします」

会場内にいる全てのスタッフ、出演者、観覧者に緊迫が走る。
そして、一拍置いてジョンは自分の読みとった結果を告げる。

「それでは……まずは、ゼロによって腹を貫かれた直後の言葉です。『これは、お前にとっても罰だ。お前は仮面を被り続ける。枢木スザクとして生きる事はもうない。人並みの幸せも全て世界に捧げてもらう。永遠に……』」

「……………?」

「そして、剣を抜かれ、上段から滑り落ちたルルーシュに対してナナリー総帥がかけられたお言葉が『そんな、お兄様は今まで……お兄様、愛しています!』です。それに対して、ルルーシュは『ああ、俺は…世界を壊し、世界を……創る』と。最後の『創る』は唇の動きが微かで特に解読が困難でしたが。そして、最後に、ナナリー様が『お兄様! 嫌! 目を開けてください! お兄様! お兄様ッ!! ………ずるいです。私は、お兄様だけで良かったのに……お兄様のいない明日なんて……そんなの!』とおっしゃり、泣き崩れられました」

「…………………え? それってスザクが? ゼロ? ナナリー……?」

理解不能。
恨み節でも、威嚇でも、呻きでもなく、見苦しくもない。
完全に理解不可能なその言葉の羅列を受けて、しかしその意味は誰もすぐに理解することはできなかった。
そんな中で、最初に声を発したのはジョンの隣に座っていたミレイだった。
そのミレイにしても自分のちぐはぐな思考を繋げるためだけの、ポツポツとした呟きである。

「え? え? ルルーシュは? え?? えっ!?」

そして戸惑いの表情から、徐々に驚愕の表情に変わっていった。
その他の者たちは、テレビに映されている立場でありながら、何もわからずにポカンと座っているのみ。

「ルルーシュ…………」

予想外の事態に、どうコメントを発して良いのかわからないスタッフは、自失の状態から脱すると、その目玉企画を打ち切り、強引に次のコーナーへと移っていった。







――――衝撃の最期の言葉が発覚した放送の後。
最後のブリタニア皇帝・ルルーシュは、相変わらず魔王として非難の対象とされていた。
しかし、人々の中には、戦争に勝つ気が無いとすら考えられる暴政に対し、改めて疑問を持つ者もポツポツとではあるが現れていった。

さらに十年後、百年後、千年後に悪逆皇帝ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアがどのように表現されるのかは、今はまだ誰にもわからない――――












あとがき
コードギアスを久しぶりに見ましたが、やっぱり面白いですね。
いい感じで謎があったりするので、妄想が止まりません。
そんなわけで、書きたくなったので夜更かしして書きました。明日起きれるかな?
アフター物とか、いっぱいありそうだから誰かが似た様な設定で書いてたりしないか、勢いで書いたので誤字とか文脈とか若干不安ですw
逆行物も時々妄想したりしますけど、とてもじゃないけど時間が無くて書けませんw
つーか、放置してる某SSを先に書けよと自分でも思うけど、いつか、そのうち……


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