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No.39338の一覧
[0] 『完結』【ネタ】一流作家に俺はなる! 『ネタ的な、アンチテーゼのような何か』[HR](2014/03/07 17:17)
[1] 第二話[HR](2014/01/31 22:11)
[2] 第三話[HR](2014/01/31 22:30)
[3] 第四話[HR](2014/02/09 12:14)
[4] 第五話[HR](2014/02/09 12:39)
[5] 第六話[HR](2014/02/15 22:02)
[6] 最終話[HR](2014/03/07 17:17)
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[39338] 第五話
Name: HR◆e89a293b ID:272dd8c9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2014/02/09 12:39

剣とは、何であろうか。
昔、ふと考えたことがある。

物心ついた頃に、父から戦う術を教えると言われ、手渡されたナイフ。
10歳となり、騎士団に入隊した時に渡されたショートソード。

戦うことは、騎士の義務である。
父は、そう言った。


騎士とは、土地と民草を守るためにある。
団長は、そう言っていた。



――――貴族は、田畑を耕さない。


それは、当たり前の事だった。
畑を耕し、作物を育て、実りを生むのは農民。

そして騎士は、その実りある田畑を人々を守り、その代償として上に立つ。



ノブリス・オブリージュ。



父は常々そう言っていた。
我らは生まれながらにして高貴なものであると。
高貴な者は、常に背負うものがある。それは民であり、土地である。
だがそれ以上に、我々は名誉と栄誉を尊ばねばならない。

騎士とは貴族であり、選ばれた者。
自身の命よりも大事なものがあるのだと。

そう、言っていた。



そう。





――――そう、言っていたのだ。









「・・・よし」


そこまで打ち込み、俺は一端キーボードを打つ手を止める。
相変わらず遅々として進まないが、もはや諦めるしかないだろう。


自分でいうのもなんだが、俺は本当に書き込むのが遅い。
別にキーボードを扱うのが苦手というわけじゃない。単純に頭に言葉が思い浮かばない。
別に語彙力が豊富なわけじゃないし、自分の発想が飛び抜けているわけでもない俺には、一行打ち込むのに本当に一苦労だったりする。


ある程度構想を練り上げていても、それをいざ肉付けし、小説として文章にしようとすれば、千字進めるのに三時間かかる時もある。

パソコンという便利なものがあってもこれ程かかるのだ、昔の手書きで書いていた作家達は、一体どれだけの時間をかけたのであろうか。それとも、自分のような凡俗には想像だにしない速度で執筆していたのだろうか。
才能ある人は、実に羨ましい。



「――――っよっと」



片足を引きずりながら、ベットへダイブ。
柔らかな毛布の感触が俺を包み、一抹の安堵を得る。


座りっぱなしというのも存外疲れるものだ。時折姿勢を変えねば体はすぐに硬直し、動きが悪くなる。事務職のように、体の姿勢が硬直されがちな職業もあながち大変なのかもしれない。身体的な意味で。


しかし――と、俺は先ほどの会話を思い出す。


勿論思い出すのは我が弟との会話だ。
あまりのDQNぷりに恐怖すら感じたが、以外に的確な点を突いてくるのだから馬鹿にはできない。部活でやっている空手に関してはかなりの実力のようだし、勘はいいのかもしれない。


ああそれよりも、あいつをどうすればいいか、だ。

正直あれではとても投稿させられない。
VIPに出しても叩かれかねないのではないだろうか。下手をすればネタとして掲示板に晒されかねない。


・・・しかもあいつのことだ、ネットについての知識も十分とは言い難い。
ネットの利便性も、その恐ろしさも大して理解してはいないだろう。
やはり、俺がどうにかして手助けをしなければまずい。


先ほど考えたように、何か弟の好きな作品を基にSSを書くように勧めたらどうだろうか。


弟の好きな漫画か・・・


弟の部屋にある漫画を思い出す。


「ドラゴン○ール、ワン○ース、ナ○ト、ブ○ーチ、ハ○レン、ト○コ・・・」


・・・うん、メジャーすぎるくらいメジャーな作品ばかりだな。



ハガ○ンは別にして、基本的にはどんどんインフレが進む作品か。・・・なんというか、弟の趣向がよく現れている気がする。
俺もブリー○以外は好きな作品だし、実際実力のある作者の作品だと思うけど。
あ、別に勘違いするなよ。単に趣味じゃないってだけな。
どの作者も少年誌で何年も生き残ってるってことは、並大抵のことじゃないと思うぜ。



・・・う~ん、こうして見ると、SSにするには難しい感じがするなあ。
少年誌に人気のバトル物でSSを書こうとしたら、蹂躙系作品になりがちだもの。


転生して神様からチートを貰って原作を破壊しまくって各勢力から注目されて。
そいでお気に入りのヒロインといちゃらぶしてる感じのものが多いし。


何千万部と人気の作品の割に、比率で考えると優れたSSが少ないのはなんでかね?それとも俺の主観の問題かね?


SSを書こうとする層に問題があるのかも。
とらハとか、type-moon系はしっかりした内容のSSが多いし。
こっちの業界にはコアな人が多くて、少年誌的な作品には浮き足立った感じのSS作家が多いとか?



・・・微妙だな。何も根拠があるわけでもないし。
偏見かも。



それよりも、弟をどうするかだ。
妙に負けず嫌いなとこが弟にはあるから、あの調子だとまた何か投稿しかねない。放っておいたら掲示板が炎上しかねないし、もしそうなったら最悪警察の厄介になるかもしれない。
そこまでいくとは思わないが、早めに何かしらの手段を打たないと。



――――と、そこで俺は逆の発想をする。



そうだ。



いっそのこと、蹂躙系を書かせたらどうだろうか。
弟がそういった方向に興味を持っているのだから、逆にその方向に行かせてしまうのだ。



木を隠すには、森の中。


蹂躙系の地雷作品を隠すには、地雷の溜まり場。




そういった系統の作品が集まるサイトや、ジャンルに絞ってしまうのだ。
○ルカディアに地雷を放り込んだからあれほどの罵倒を浴びたのだ。地雷まみれの中にぶち込めば、多少はましになるはずだ!


兵は拙速を尊ぶ。


早く、行動に移さねば!







「翔太、SSを書いてみないか?」


リビングにいた弟を見るやすぐに俺は問う。
ソファに寝っ転がりながら、なにやらポリポリと菓子を食べていた弟はキョトンとした顔を浮かべた。


「エスエス?・・・て何さ」


おう、しっと。
弟よ、ビギナー以前だったか。


「SSってのは、二次創作の事。二次創作ってのは、一次作品を題材にファンが作った小説のこと」



「・・・一次作品って、何さ。俺馬鹿だからわからねえよ」


しかめっ面で弟が言う。


弟よ、無知とは罪だぞ。


「一次作品ってのは、要するに出版されている漫画とかアニメのようなオリジナル作品のこと。基本的には何かをパクったわけじゃない作品だから、一次って言われてるのさ。で、二次ってのはそういったものを題材にファンがまた書き直した作品。ネット小説には一次作品と二次作品ってのがあって、書き手が自分の好きなように書いているわけ」


「あ~、つまり俺が書いていたのは一次作品になるってことでOK?」


「そういうこと。けどいきなりオリジナルで作ろうとすると難しいから、自分の好きな作品を下地に作品を作っていこうかってわけ。オリジナルと違って知られた作品を基にしていたら、それだけ見てくれる人も多いんだ。二つの作品を組み合わせて、夢のクロスオーバーみたいな作品を作るなんて魅力もあるし。
まあ勿論、その分意見も多いから批判も増えちゃうけどね。でも建設的な意見を書いてくれる人も多いはず。きっと翔太のためになるよ」


流石に地雷作品は地雷の中が安心とは言えない。
弟をそこまで貶めたくはない。


「漫画を基に、か・・・」


翔太が神妙な様子になる。
何か思うところがあるのだろうか。


「う~ん、だったらあれが・・・でもあっちも・・・いや、そうだ思い切って!!」


そう言うと、翔太は突如飛び跳ねるように飛び出し、階段を駆け上がる。
それから何やらゴソゴソと物音がし、またドタドタを駆け下りてきた。


「兄貴!俺これとこれで書いてみる!!」


そう言って、翔太は二冊の本を俺に差し出す。


一つは、まあある意味予想できたものだ。世界中で有名なドラゴンボー○。弟には似つかわしいバトル物だし、比較的書きやすいかもしれない。


だが――もう一つが謎だった。
正直理解不能というか、俺自身知っている作品で、一部の人に熱狂的なファンがいるといった作品だったから、完全に予想外だというか。
とにかく、翔太という人間を見知っている俺には完全に想定外だった。


「これは・・・」


「ギ○だよ○ョ!!超吹っ飛んでる漫画なんだぜ!!」



・・・え?








伊○潤二という漫画家をご存知だろうか。
主にホラー漫画を書く漫画家で、精緻な筆致で描かれる突如襲いかかってくる恐怖は、正直俺の筆力では表現しきれない。
それ程に、この作家の描く世界は恐ろしく魅力的だ。妖しくもおぞましく、不気味な魅力を漂わせている。

そんな方の作品の一つに、ギ○――うごめく不気味という作品がある。これは一種のパニックホラー的な作品で、ある日突如足の生えたような魚達が地上に侵攻してくるという作品だ。
魚から生えたような足は、地上につくと今度は人間に取り付き始め、取り付くと人間を養分にして腐敗させながら動き続けるのだ。
これだけ聞くとギャグではないかと思う人もいるかもしれないが、作品を見た時の衝撃は忘れられるものではない。
特に、美しいヒロインが腐敗し、パイプのようなものを突き刺され、異様に肥大しながらも彼氏を追い掛け回す姿はトラウマものだろう。

まあ要するに、アメリカでよくあるゾンビ映画の和風テイストで、それをさらに独自の美学でアレンジしたようなものだと理解すれば分かりやすいかもしれない。


・・・で、だ。


我が弟は、そんな和製パニックホラーと、王道を突っ走る超有名作品をクロスさせると言うのである。
一体、誰がそのような突拍子もない作品を考えつくだろうか。
少なくとも俺は見たことがない。
滅多に上手くいかない超多重クロス作品でもなければそのような発想はしまいて。
そもそもホラー系の二次作品自体、数が少ない。
ああいうのは作品ごとに独特の雰囲気があって、描くのが難しいのだ。
定番的なファンタジーよりも、ファンも熱烈というか、コアな人が多いからSSの書き手側としては要求されるものが多い。


ちまちまオリジナルファンタジーを書いている俺だが、ホラー系のSSを書くとなると、やはり躊躇しがちだ。


――――正直、興味はある。

というか、クロスオーバーで書きたいと思っている。
和製ホラーは好きだが、あまり優れた作品は多くないと言うのが持論だ。
一次でも二次でも。
だったら自分で書いてしまえと思うが、やはり独自の雰囲気が難しい。


コープスパーティ○と地獄先生ぬーべ○と、ゴーストハン○で救済的なSSを書きたいなと思っているがね、どうも俺の筆力では実力が足りないようだ・・・



それはともかく。



問題はそんな癖のあるホラーと王道を混ぜ合わせるというのだ。
全く、我が弟の発想は凄まじいものがある。


「この二つか・・・。で、どういう話しにするの?」


「襲い来る魚達を、悟○が元気玉で吹き飛ばして一挙解決!」


なんというか、ある程度予想はできたが直接的だな。
でも作品の傾向的にそれが妥当かもしれない。
ネタ的な短編として考えれば、ありではないか?
今の弟の実力を考えるに、とても連載などはできそうにないし。


・・・うん。それでいこう


「まあ、それでいいかもね。でも話しの作り的に短編が妥当かな。突如現れた悟○が日本の祈りを聞いて、元気玉で救うって感じで」


元気玉一つで無数にいる魚をどう倒すのか。
むしろ魔人○ウの、人間のほぼ全てだけを殺した技を使った方がいいと思ったが、まあそのくらいは自分で考えてどうにかするだろう。


「うん、じゃあ頑張ってみなよ。始めは上手くいかないだろうけど、まず書き始めないと何も始まらないからね」


プロットがなくても、書いているうちに話しが進むということは存外多い。
手を動かしていると、自然に言葉が浮かび上がるのだ。
脳は手の動きと密接に関わっているというし、あながち間違いではないのかもしれない。

・・・そう考えると、手書き時代の昔の作者の方がやはり頭が良く働いていたのか?

キーボードよりも、手書きの方が良く手を動かすし。
打ち込む速さが上がった分、練り込みが足りなくなった?


これも質より量の影響なのだろうか。

・・・まあ、いいか。



「――――で、兄貴さ」


弟が俺を呼ぶ。
なんだ、まさかもう書くのを飽きたというなよ翔太。


「俺に小説の書き方教えてくんね?」





――――へ?


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