戦争の種は尽きない。私はそう考えているし、人類は相変わらず戦争が大好きだ。そう言うと、多くの論駁が返ってくるだろう。それは、正しいことではある。 だが、世界地図を広げてみるがいい。紛争地帯に点を付けるだけでもうんざりするくらい、世界は戦争で満ち溢れている。本書の冒頭で「提督」の問うた言葉には、とても答える勇気が私にはわかない。だが、日本が平和かどうかで言えば、国内で紛争は起こっていない。爆弾が降り注ぎ、飢えた少年がぎらぎらとした目で他人を見る事など、ほぼない。それは確かではある。ただ、彼らの世界はともかく「共通の敵」が存在する。人類の不倶戴天の敵たる「深海棲艦」が。 それでまとまることができるのが、うらやましいのか、と言われれば甚だ疑問ではある。 とまれ。呉鎮守府所属の艦隊は周防大島を奪還した。これからは、そののちの話をすることにしよう。来た、見た、勝った。そう記したのはユリウス・カエサルであるが、私はカエサルのように短い話が書けるわけでもない。