【第6話 おっさんと教官と恋愛原子核】
<< 神宮司まりも >>
10月30日 夕刻 国連軍横浜基地 シミュレーターデッキ
白銀少佐発案による新OS、XM3の慣熟訓練を始めて、はや2日が経った。
今日も訓練兵の教練が終わった後、私は少佐からXM3の指導を受けている。
日を追うごとに、このOSの凄さを実感する。そして、これを発案したという白銀少佐に畏怖を覚えた。
これが普及すれば、間違いなく歴史を変えるだろう。
彼は、完璧なほど軍人だ。特に、公私の切り分けが徹底している。
一人前の軍人ならば当たり前の事だが、彼は18才だ。休憩時間のくだけた雰囲気と、訓練中の厳しい雰囲気。
一回り近くも若いが、いつも私の方が子供に感じる。精神年齢38才──本当に信じてしまいそうになる。
訓練の時、少佐の姿勢に甘いところは一切無い。
私とて、教え子から鬼や狂犬と例えられた事がある。──変な表現になるが、教練の厳しさには自信がある。
その私から見ても、厳しい。厳しいが、理不尽な厳しさではない。
教官職である私には、わかる。これは彼の優しさだ。──どんなに恨まれようと、生き延びる術を叩き込む、という。
──あの子たちが、戦術機指導を受けるときは、白銀少佐を随分恨むかもしない。
できれば、あの子たちが、少佐の真意に気付いてほしいのだが、少佐はおそらく私と同じ考えを持っているだろう。
『たとえ恨まれても、教え子が長生きしてくれれば、それで満足だ』と。
それくらいは、あえて言葉を交わさなくてもわかる。
私はふと、この人を育てたのはどんな教官だったのだろう、と興味が湧いた。さぞ優秀な教官に教練を受けたはずだろう。
休憩時間にそのことを訊ねると、少佐は誇らしげに語った。
「――ああ、最高の教官だったよ。厳しかったが、それ以上に優しかった。無論、軍人として優しい言葉はめったにくれなかったが……落ち込んだ時にくれた優しい言葉と眼差しは、今でも忘れられない。俺の理想だな。俺はいつも、教官役をするときは、“あの人”ならばこうする、と思ってやってるんだ」
白銀少佐は、休憩時間も私的な話題を避ける。しかし、彼は恩師のことを語るとき、いつになく饒舌だった。
これほどの衛士にそこまで言わしめる教官が、どのような人物か知りたかったが、「すまないが、それも機密だ」と言うだけで、年上の女性という事以外は教えて貰えなかった。
白銀少佐に軍人としての基礎を叩き込んだ女性教官。名も知らぬ彼女の事を語るとき、少佐の顔はいつになく優しかった。
嫉妬――そう、私は白銀少佐ほどの衛士から、心からの尊敬と、優しい顔を向けさせるその教官に、嫉妬していた。
会ってまだ1週間。色っぽい会話など1度もしてないはずなのに。年下なのに。――なにより、夕呼と付き合っている相手だというのに。
初恋の人物に、恋人が居ると知ったときと同じ種類の、だが、遥かに強い感情に、私は押しつぶされるような気持ちになった。
そして、この日以降、私は白銀少佐の教官について訊ねることは無かった――。
いや、正確には訊ねたいと思わなくなったというべきだろう。
この日の訓練後、何だかんだで何故か白銀少佐を私の自室に招くことになり――人生初の、嵐のような、甘美な体験をした。
決していい匂いのはずがないのに、顔中にこびりついた白い液体は拭い取るべき代物のはずなのに――私はその空気と感触に浸り、行為の余韻を味わっていた。
──親友にどう報告したものか、と頭の片隅で考えながら。
…………………………
<< 白銀武 >>
10月30日 夜 国連軍横浜基地 香月夕呼執務室
「ああ、またやられた!もう、難しいわね、これ!」
珍しい光景。
夕呼の部屋に入ると、夕呼がゲームガイで遊んでいた。
「何のゲームやってるんです?」
「この、バルジャーノンてやつ」
「……副司令は反射神経が皆無なんですから、他のにすればいいのに。パズルなんてどうですか?」
夕呼と、アクション・シューティングは水と油だ。
見ると、1面の序盤で全滅していた。
「うっさいわね、ゲームの時くらい、頭使いたくないのよ」
「ま、役立ってるようで何よりです。持ってきた甲斐がありました」
夕呼の暇つぶしにでも、と持って来たゲームガイだったが、つぶせる暇ができたようだ。
新理論の数式により、量子電導脳は既に完成目処が立っていた。これで00ユニットの完成は秒読み段階だったが、1点問題が残っていた。
ODL、反応炉を介したBETAへの情報流出。これをなんとかする必要があった。
「そうやってるってことは、解決目処が立ちましたか?」
「まあね。バッフワイト素子を利用した、単純なものだけどね」
「それでは、00ユニットの最終調整に入るんですか?」
「いえ、まだよ」
夕呼が言うには、理論的には大丈夫なはずだが、反応炉は、未だ不明点が多い。何かの手段でBETAに情報が流出すれば、“前の”世界の二の舞になる、とのことだ。
「では――00ユニットの起動は作戦直前ですか?」
「そうよ。XM3で、“前の”世界よりもいくらか時間が稼げるわ。アレも第4計画の成果の一つだしね。甲21号目標――佐渡島ハイヴ攻略の目処が立ったら、00ユニットの起動、調整に入るわ」
00ユニットを安定稼動させるまでの手順は“前の”世界で判明している。
また、“前の”世界で人類の敗北を致命的にした、00ユニットの機能停止を防ぐ方法についても、把握している。
夕呼に詳しく聞かれなかったので、今の所、俺だけしか知らないが。
「その前に、新潟のBETAを相手する必要があるけどね」
新潟BETA上陸は11月11日。1のゾロ目なので、よく覚えていた事象だ。
俺は、“前の”世界の出来事は、余すところなく伝えている。
大局を見た政治レベルの話は、夕呼の方が適役だ。
俺は手足として、夕呼の決定した方針を成功させるべく、必要な事を実行するだけだ。
「では、それまでは駒を少しでも使えるようにしますか。――てことで、いいんですよね?」
「ええ、期待してるわよ」
「了解」
夕呼の期待の言葉は、なかなか珍しい。とりあえず、事態は順調といったところだろう。
<< 香月夕呼 >>
「ところで、その駒たちはどう?伊隅たちを随分“こてんぱん”にしたみたいだけど」
白銀とは別のルートで、伊隅とまりもから、報告は受けてる。
A-01は、隊員同士で意見を出し合ったり演習したりで切磋琢磨できるのに比べ、まりもは一人という理由から、白銀はまりもを直接指導し、伊隅の方は定期的に質問をまとめて持ってこさせる、というやり方を取った。
伊隅によると、白銀は早くもA-01の連中から、親しみをもたれつつ畏敬されるという、なかなか良い関係を構築しつつあるそうだ。
まりもの方は、伊隅たちに比べて触れ合う時間が長いせいか、かなり心酔しているようだ。報告時の言葉の端々で、それが現れている。
――カリスマと言うものが白銀にはある。
まず、公私の切り分けがはっきりしている。私と何度も身体を重ねていながら、最中の時以外は名前で呼ぶことはない。
私はいちいち気にしていないが、コイツの毅然とした態度は、A-01やまりものような正統派の軍人は好感を持つだろう。技術士官の私には出来ない芸当だ(というより、するつもりはない)。
女ばかりの中に男ひとりという状況は、普通の男なら幾分抵抗があるだろうが、コイツの場合は心配するだけ無駄だろう。A-01の連中は綺麗どころが揃っているから、むしろ喜んでいるに違いない。
「ちょっと遊んだだけです。しかし、やはり筋がいいですね。“前の”世界で戦死してた奴等も、かなり期待できます。“前の”世界でも残っててくれれば、随分助かったんですが」
そう言って苦笑する。“前の”世界では、エース級はどんどん死んで行き、気付けば白銀が最先任。部隊のほとんどは新兵という、悲惨な戦いだったようだ。
その中で、トップエースとして君臨しつづける白銀は、自然とそれなりの振る舞いをするようになったとのことだ。
曰く、「俺の一挙手一投足に、新兵どもはすぐ影響されますからね。毛ほども動揺の色を見せないようになるには、結構かかりました。香月“准将”の振る舞いを参考にしましたが、彼女が若い頃から持ってた自然な振る舞いを、俺は年取ってからやっと出来るようになったので、あまり誉められたものではないですが」
その後、まりもの教練状況の報告を聞き、一通り用事が終わったので、私は白銀が入室したときから訊ねたかったことを聞くことにした。
「ところで、ピアティフと社――まで手を出すとは思わなかったけど、今日はどっちを相手してきたの?」
白銀からかすかに漂う精臭。一戦交えてきたことは容易に推測が立った。
「ああ、神宮司軍曹です」
しれっと答えやがった。
「まりも!?――まあ、時間の問題とは思ってたけど、……いや、アンタにしちゃ遅かった方かしらね」
まりもは惚れっぽいような、惚れっぽくないような訳のわからない所がある。
まりもの報告で、初日から白銀に随分関心を持っていたのは察せたので、そのうち、まりもの方から白銀を誘う可能性もある、と踏んでいたが。
「ええ。彼女なら大丈夫と思ったのですが、念の為、訓練に影響が出ないようにしようかと。お近づきになるのは、ひよっこ共が任官してからにしようと思っていましたからね」
「じゃ、どうして今なの?」
「まず、俺に好意を持った事が予想外でした。あえて、色っぽい話は無しで、事務的な話ばかりしてたんですが。それと、俺の教官への嫉妬です。“前の”まりもを少々誉めすぎたようで」
なるほど。自分に嫉妬したわけか。この点、私はまりもの心境を理解できる。
しかし、私と異なるのは、白銀の相手が“自分”だということを知っているかどうかだ。
まりもも、白銀を鍛えたのが“自分”だと知れば、嫉妬心も薄れたろうが――まりもには悪いが、親友とはいえ、白銀の秘密は私と社以外、情報を拡散させるつもりはない。
「それで、なにやら陰に篭りそうだったので、やむを得なく、ね」
「なーにがやむを得なく、よ、このエロオヤジが。――まあ、約束守ってるのならいいわ」
女性関係において白銀との約束はただ1つ。
『女性関係で揉め事は起さない事』
これを守る限り、白銀が誰に手を出そうと、私は関知しない。
“夜伽”をさせてはいるが、白銀を恋人としたわけではない。ここは、最初にハッキリさせておいた。
“前の”私は、白銀をずいぶん好きなようにさせていたらしい。
“前の”私が認めていた事を、“この”私が認めない、というのは自分に負けたような気になるので、基本的に、私も白銀の行動に目を瞑ることにした。
今の白銀を見ていると信じられないが、こんなケダモノでも昔は御剣一筋の頃があったらしい。
なんでもアラスカへ飛ばされたとき、ナントカ中尉の誘惑──その同僚から「悪いことは言わねぇ、アイツだけはやめとけ」という忠告を貰ったにもかかわらず──に、つい乗ってしまい、その晩「地獄を見た」とのことだ。
そしてその折、白銀は、頭の中で“種”のようなものが割れたのを感じた。
以来、白銀は人が変わったようにお盛んになった──と。
白銀が変化前後の自分の状態を自覚しているのも興味深いが、やりたい放題やっておいて、大きな問題にならないのを不思議に思った“前の”私は、次のような仮説を立てたそうだ。
『白銀の内包する恋愛原子核(我ながらいいネーミングだ)が、極度の性的抑圧に起因する“種割れ”により恋愛原子核崩壊をおこし、それを中心として怪しげな波長──これを恋愛放射線と名付ける──を発するようになった。恋愛放射線の作用として、白銀への好意の増幅、本人及び周囲の人間の倫理観に影響を与えることが推測される』
仮説だらけで立証しようもないが、なるほど、私らしい説だ。
まあ結局、この仮説が正しかろうが間違っていようが、白銀が複数の女性に手を出し、今の所、白銀の相手全員がそれを受け入れているという事実は変えようが無い。
「しっかし、あんたってつくづく規格外よね。──まあいいわ、来なさい」
「了解」
これから白銀の重要な任務の1つ、“夜伽”の時間だ。
暇つぶしの考察は今度にしよう。
…………………………
<< おっさん >>
10月30日 深夜 横浜基地 おっさんの巣
「ふう」
ベッドに横になり、ため息をつく。
今日は予定より早かったが、まりもを抱くことになった。
まりもの性癖はある意味王道で──精液好きだ。
まあ、その性癖自体、珍しくはない。イリーナや霞も同じで、嫌いという女は今までいなかった。
まりもは、特に激しいのを好む訳でもなく、多くの女の中で最もノーマルと言えるだろう。
しかし、まりものおそるべき点は、その底なし加減にある。持久力が半端ではないのだ。
どれだけ失神させてもすぐ回復して迫ってくる、ゾンビのような女だ。
一晩で何人も相手するのが当たり前の俺だったが、まりもを相手する時は余力が無くなるため、調整役のみちるが、スケジュールを組むのによく困っていた。
かといって大恩ある相手に回数を減らせ、とも言えず、よく俺に泣きついてきたものだ。
そういう理由もあって、まりもとの関係は後回しにしようと思っていたのだが、俺も若返ったせいで、はるかにパワーアップしている。俺の記憶にあるまりもであれば大した脅威にはならないだろう。
丁度、イリーナだけではもたなくなってきたところだ。
まりもはあの年の割に初めてだった(“前の”世界もそうだった)ので、今日の所は抑えておいたが、徐々に彼女のタフさを発揮してくれるだろう。
霞は、まだまだ開発中だ。当分、気を使って相手しなければならない。
夕呼の場合、こちらが“夜伽”をする立場だ。第一優先は夕呼の満足感。それが契約だ。初日は好き勝手してしまったが、以降、俺は自分を抑えてる。──ソフトSの俺は、発散するべき所が必要なのだ。
まりもに関しては整理がついたので、次は00ユニット──純夏の事を考えよう。
“前の”世界の、00ユニットとして目覚めた純夏は、当初は錯乱状態だった。
宥めても抱きしめてもなかなか効果が出ず、対処に困ったが、夕呼の「とりあえず、抱けば?」という勧めに従ってみると──あっさり安定した。
純夏の外見は、BETAに解体された当時の14歳の体だったが、俺は38才。親子ほど年が離れてしまったが「タケルちゃんはどんな姿でもタケルちゃんだよ♪」と受け入れてくれた時は、207小隊の連中が死んだ時以来の、久しぶりの涙を流した。
38才の中年が14歳の少女の腹に、顔をうずめて号泣する姿は、さぞ滑稽だったろう。
純夏は、自分こそが受け入れてもらえるか心配だったようだが、リーディングで俺の内心を読んで、そこはすぐに解決したそうだ。
しかし、リーディングによる問題が残った。
俺は多くの女性と関係したが、遊びで関係を持ったことなど一度もなく、また、全員の事を覚えている。
純夏は、その彼女たちとの間に起こった事を、リーディングにより全て理解してしまったのだ。
皆琉神威とドッキングする冥夜、鞭打たれる委員長、尿を飲む美琴、回るたま、唾棄&罵倒のみちる、ブタごっこの水月と遙。はたから見れば、とても愛などという単語は出てこないだろう。──しかし、俺は、間違いなく彼女たちを愛していたと、胸を張って言える。
純夏は嫉妬したが、俺の純粋な愛を理解した純夏は、怒ることはなかった。
──が、代わりとして、彼女たちに行った全てのプレイを要求した。
俺は必死で止めた。手首なんて入るはずがない、と。鞭や蝋燭なんて素質がなければ痛いだけだ、と。“たまスクリュー”は、たまにしかできないから“たまスクリュー”なのだ、と。それ以外なら尿でも鼻フックでも、なんでもやってやるから、と。
しかし、もともと頑固なところがある純夏は、強引に全てを実行に移し──全てをやり遂げた。
00ユニットは人間の体を忠実に再現しているとはいうものの、いくらか丈夫に作られている。
しかし、俺の記憶にある全てのプレイは、その耐久力を大きく超えていた。最後のプレイを気力でやり遂げた後、純夏は満足そうな顔で機能停止し──その目を二度と開くことはなく──俺は絶叫した。
「ぅすみかあああああああああああああああああああああ──!」
そのときの自分は、どうなったか覚えていない。気付けば、病室で夕呼と霞に看病されていた。
──純夏、今度はソフトSMまでにしような……。
まだ脳みそ状態の純夏に届くはずもないその言葉は、ただ俺の中で響くだけだった。
──しかし、こんな理由で人類が滅びたと知ったら、夕呼に怒られるかもしれないな……。
かすかな不安とともに、俺はひと時の眠りについた。
…………………………
<< 神宮司まりも >>
10月31日 午前 国連軍横浜基地 グラウンド
「──以上です。それと、予定通り、明日、鎧衣訓練兵が退院し、午後の座学から訓練に参加します」
「そうか」
私は、いつかのように走る訓練兵を眺める白銀少佐に、訓練兵の状況と、鎧衣が予定通り退院することを報告していた。
その横顔を見つめながら、私はついさっきのやりとりを思い出す──
…………………………
結局、昨晩は夕呼の元へ行けなかったが、悩んだ末、今朝ようやく報告に行く決心がついた。
懺悔するように話す私を途中で遮り、
「ああ、いいわよ、別に」
となんでもないように返された。
夕呼と白銀少佐は、別に付き合っているわけではないらしい。
ということは、白銀少佐はいったい──と、悩みかけたが、
「細かいこと気にしないの。白銀のそういう所、悩んでも無駄もいいとこよ。好きなんでしょ?今はそれだけでいいんじゃない?」
といわれてしまい、幾分の抵抗感があったが、考え込むのをやめたのだ。
あまりあれこれ追求して、少佐から見捨てられるのが怖いという気持ちがあったのも否めない。
そして、いつものように訓練兵に持久走をさせているとき、白銀少佐がグラウンドに現れた。
少佐が訓練兵の前に来るのは、初日の顔合わせ以来だ。
「あ、白銀少佐……」
会った際、どう話しかけたものかまとまっていなかった私は、予想外の再開に、つい、甘い声をかけてしまった。
「軍曹。今は職務中だ。区別がつけられないようでは困る」
「は!申し訳ありません!」
背筋を伸ばし、謝罪と敬礼。
どう話かけようか、だと?──お手本が目の前にいたというのに、なんという失態だ……。
…………………………
「では、3日後──11月3日に総戦技評価演習を開始する。副司令には俺から言っておく。訓練兵には、本日の座学の時間に伝えておくように」
「了解しました」
少佐は、そうしめくくった。
軍人として、この人にはかなわない。
しかし、せめて見捨てられないよう、自分なりに努力しよう。女としても衛士としても。
今は、この人のそばにいられる。
──このとき、私は充実感と幸福感を感じていた。