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No.4017の一覧
[0] アレな使い魔(ゼロの使い魔・憑依系)[例の人](2008/09/04 19:03)
[1] プロローグ~A long time ago in a galaxy far,far away~[例の人](2008/08/30 14:39)
[2] 第1話~キスまでの距離~[例の人](2008/09/04 19:06)
[3] 第2話~An old maid, an old maid~[例の人](2008/09/04 19:15)
[4] 第3話~栄光への脱出~[例の人](2008/09/04 19:23)
[5] 第4話~EAT-MAN~[例の人](2008/09/05 18:05)
[6] 第5話~宴の支度~[例の人](2008/09/11 07:50)
[7] 第6話~Street Fighter~[例の人](2008/09/16 21:49)
[8] 第7話~宴の始末~[例の人](2008/09/21 13:29)
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[4017] 第5話~宴の支度~
Name: 例の人◆9059b7ef ID:6d7552d7 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/09/11 07:50
さて、突然だがそろそろ今後の身の振り方について考えておこうと思う。
ハルケギニアという異世界に憑依という形で召還された俺。
原作ではルイズちゃんの使い魔として身を削って働き、何度も死にかける才人。
陳腐な言い方だが才人の目的は、現代世界へ帰るという他には、ルイズちゃんを守りつつこちらの世界の平和も守るとかそんなもんだろう。
ガリアの無能王ジョゼフいう悪役に、対するは正義の味方である才人。
ヒロインはルイズちゃんを中心とした美少女のみなさん達。
ある意味、古臭い勧善懲悪型のヒロイックサーガ。
それがゼロの使い魔である。
このまま原作に沿ってイベントを消化すれば、俺もやがてその流れに飲み込まれる事だろう。
最終的にガリアの王様倒して、エルフとも何やかんやあって、伝説とか虚無とか色々あって元の世界に戻って、めでたし、めでたしで完。
……それでいいのか?
否、断じて否。
元の世界に戻る件はひとまず置いとくとしても、俺は正義のヒーロー役には興味がない。
ハルケギニアの平和のためにガリアの無能王を倒したいですか?
ガンダールブの力で世界の平和を守りたいですか?
そう問われたら俺は即答するね。
そんなのどうでもいい、と。
ハルケギニアの平和とか、果てしなくどうでもいい。
戦争紛争大いに結構。
争い、戦うのは人の業である。
むしろ、俺がどこぞの国から王権を簒奪してこの世界の覇権を握るくらいでも一向に構わん。
俺の目的は断じて世界平和ではない。
俺は別に英雄にはなりたくない。
このファンタジックな世界に召還されたからには、やる事はただ一つ。
俺が目指すは、美少女と美女に囲まれた恒久的なハーレム生活だ!

「デザートいかがッスかー」

そんな事を考えながら、俺はシエスタちゃんと一緒に食堂でデザートを配っていた。
銀のトレイにケーキを乗せて、はさみでつまんで渡していく。
それにしても、銀製のトレイとはさすが貴族の学院は違う。
この重さと手触りからして、メッキじゃなくて本物の銀だ。
……そのうち、資金確保のために金になりそうな食器類はこっそり頂こうか。
城下町の質屋でいい値で売れるはずだ。

「才人さん、急に立ち止まってどうなさったんですか?」
「んあ? な、何でもないよ?」
「そうですか……?」

シエスタちゃんが不思議そうにこっちを見ていたので、慌てて返事をする。
いかんいかん、うっかりしていたぜ。
飯の恩にきっちり仕事をせねば。

「デザートいかがッスかー。このケーキは本場直送の生鮮食品ですよー。まだ採れ立てピチピチの新鮮ですよー」

適当な煽り文句を言いながら再びケーキを配る。
もちろん、時々シエスタちゃんの方を観察するのも忘れない。
大きな乳はいいものだ。
ケーキ配りで忙しく動くシエスタちゃんの体。
それに合わせて揺れる乳。
眼福です。
俺は心の中で手を合わせた。
ありがたや、ありがたや。
 
「なぁ、ギーシュ! お前、今は誰と付き合ってるんだ?」
「誰が恋人なのか教えろよギーシュ!」

俺が乳神様に祈りを捧げていたその頃。
とあるテーブルでは、数人の貴族が喧しく話をしていた。
金髪の巻き髪にフリルのついたシャツを着た気障なメイジを中心に、女の子の話題に花が咲いている。
そうです、あれがギーシュさんです。
相変わらず、薔薇を胸ポケットに挿してます。
そのうち口に咥えてタンゴでも踊りだしそうですね。
マタドールとかも似合いそうです。
それはともかく、ついに食堂でヤツとエンカウントしてしまった。
という事は、これからシエスタちゃんが因縁つけられて決闘イベント開始でしょうか?
それとも、原作通りに俺が因縁つけられて決闘でしょうか?
きっと概ねそんな感じですね、分かります。

「付き合うだって? 僕にそのような特定の女性はいないね。薔薇が咲くのは、多くの人を楽しませるためさ」

唇の前に指を立てて話すギーシュ。
それを聞いて盛り上がる周りの友人のみなさん。
ギーシュのいるテーブルに向かってケーキを運ぼうとしているシエスタちゃん。
楽しい楽しいイベントの始まりだ。

「失礼致します。デザートのケーキですが」
「ん、デザートかい? 悪いが僕は結構だよ」
「俺もいらないな」
「俺も。デザートより、話の続きを聞かせろよギーシュ」
「そうだぞ。結局誰と付き合ってるんだ?」
「いやいや、だから僕は薔薇であるからして……」

ごく普通にデザートを断るギーシュ達。
再び始まるギーシュの女の子に対する惚気話。
あれ?
あれれ?
何かおかしいぞ?

「そうですか。それでは私はこれで」

シエスタちゃんは、一礼してからテーブルを去ろうとする。
ちょ、ちょっと待ってくれ。
いかん。これはいかんよ君。
何でギーシュが香水の瓶落とさないんですか?
これは俺に対する嫌がらせですか?
何それ、ふざけてんの?
このままでは決闘が始まらないではないか。
決闘が始まらない=シエスタちゃんとのフラグが立たない。
フラグが立たない=シエスタちゃんとアレやコレができない。
つまり、性欲を持て余す。
それは困る、困るのだ!
シエスタちゃんとのフラグを逃すわけにはいかん。
シエスタちゃんは俺のもんだ。
具体的にはっきり言うと、あの乳は俺のもんだ。
誰にも渡すもんか!
そうと決まれば、行動あるのみ。
我が前に立ち塞がる障害は全て排除してみせる。
トレイを適当に近くのテーブルに置いて、作戦開始だ。

「おおっと! 足が滑ったああああッ!!」
「え?」

俺はギーシュに駆け寄ってタックルすると、倒れ込むようにして懐に潜り込んだ。

「手も滑ったああああッ!!」

そしてギーシュのポケットから素早く小瓶を抜き取った。
自画自賛したくなるほどの、電光石火な早業だ。

「うわッ!? き、君は突然何を!?」
「足が滑ったんです!! 手も滑ったんです!! 文句あんのかコラ!?」
「え? いや、その……」

何が何だか分かっていないギーシュに逆ギレする俺。
周りの友人さん達とシエスタちゃんがポカーンとした顔をしているぜ。
このまま計画続行だ。

「あぁ!? キュルケちゃんが全裸で空飛んでる!!」
「何だって!?」
「ど、どこだ!? キュルケはどこだ!?」
「うおおおお!?」

俺が指差した空に向かって、テーブルの周りにいた全員の視線が集中した。
もちろんシエスタちゃんも例外ではない。
みんなに釣られて上を向いている。
これで条件はクリアされた。
俺はギーシュのポケットから抜き取った小瓶をシエスタちゃんの背後付近の足元に転がすと、再び声を上げる。
それも、かなりの大音量で。

「シエスタちゃああああああああん!!」
「きゃッ!?」

反応して後退りするシエスタちゃん。
と同時に、彼女の足元からは何かが砕ける音がした。

「あああああああ!? そ、そこで割れているのは僕の香水じゃないか!?」
「……え? も、申し訳ありません!」

事態に気付いたギーシュと、慌てて頭を下げるシエスタちゃん。
いくらシエスタちゃんが頭を下げてもギーシュは許さない。

「平民の分際で!」

とか言いながら、唾を飛ばして怒り狂っている。
この分だと、簡単には怒りは収まらないだろう。
だが、これだけでは事態は終わらない。

「ギーシュさま……。その香水は、ミス・モンモランシーの……」
「ケティ!?」

後ろの方のテーブルからやって来たのは、ギーシュ君の浮気相手のケティちゃんでございます。

「こ、これは違うんだ。僕の心に住んでいるのは君だけ……」

言い訳をするギーシュの頬を引っぱたくケティちゃん。
バチーンと、食堂に景気のいい音が響いた。

「その香水が何よりの証拠ですわ! さっき自分の物だとお認めになったでしょう!? さようなら!」

頬をさするギーシュ。
まだ終わらない。
ギーシュに対して、更に追加攻撃は続く。
去っていったケティちゃんの向こうのテーブルから、見事な巻き髪の女の子が立ち上がった。
ドリルなヘアーが個性的ですね。
そう、彼女がギーシュ君の本命であるモンモランシーちゃんです。
鬼のような形相でギーシュの席までやって来ましたよ。

「ち、違うんだよ『香水』のモンモランシー!? その美しい顔を怒りに歪めないでおくれ!」

相変わらず言い訳するギーシュに向かって、モンモランシーちゃんはテーブルにあったワインの瓶を手に取ると、中身をどぼどぼとギーシュの頭からかけた。
ワインの赤い水飛沫が舞う。
あっはっは。
こいつは愉快痛快。
一人ビールかけですか、ギーシュ君。

「嘘吐き!」

モンモランシーちゃんは怒鳴って去っていった。
後に残されたギーシュは呆然としている。
沈黙が流れた。
ギーシュはハンカチを取り出して顔を拭くと、またシエスタちゃんに当たり始めた。

「元はと言えば、君が香水を割ったせいでこうなったんじゃないか!? どう責任を取ってくれるんだい!?」
「も、申し訳ありません……」
「謝って済む問題じゃないよ!」
「申し訳ありません、お許しください……」

土下座せんばかりの勢いでひたすら頭を下げるシエスタちゃん。
怒鳴り散らすギーシュ。
面白そうに静観しているギーシュの友人達。
その様子を少し離れた位置から遠巻きに見ている俺。
そろそろ頃合だ。

「ちょっと待ちたまえ、そこの君達!」

ギーシュとシエスタちゃんの間に割って入る。
その際に、さりげなくシエスタちゃんに微笑むのも忘れない。
これで好感度アップ間違いなしです。
殺伐とした雰囲気の食堂に、俺登場。
突然の闖入者に戸惑うギーシュ。
特に意味はないが不敵に笑ってみせる俺。
俺ってちょっとカッコイイ。
──さぁ、舞台は整った。
茶番劇の幕開けだ。


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