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No.4039の一覧
[0] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~[山崎ヨシマサ](2010/06/05 22:51)
[1] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~プロローグ2[山崎ヨシマサ](2010/11/10 03:38)
[2] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第一章その1[山崎ヨシマサ](2009/09/22 23:11)
[3] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第一章その2[山崎ヨシマサ](2009/09/22 23:17)
[4] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第一章その3[山崎ヨシマサ](2009/09/22 23:23)
[5] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第一章その4[山崎ヨシマサ](2010/06/05 22:53)
[6] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第一章その5[山崎ヨシマサ](2010/06/05 22:55)
[7] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第一章その6[山崎ヨシマサ](2010/06/05 22:59)
[8] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~幕間その1[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:04)
[9] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第二章その1[山崎ヨシマサ](2010/07/19 22:58)
[10] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第二章その2[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:06)
[11] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第二章その3[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:07)
[12] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第二章その4[山崎ヨシマサ](2010/09/11 22:06)
[13] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第二章その5[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:09)
[14] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第二章その6[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:11)
[15] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第二章その7[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:12)
[16] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第二章その8[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:17)
[17] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~幕間その2[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:19)
[18] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第三章その1[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:20)
[19] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第三章その2[山崎ヨシマサ](2010/07/19 23:00)
[20] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第三章その3[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:24)
[21] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第三章その4[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:27)
[22] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第三章その5[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:29)
[23] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第三章その6[山崎ヨシマサ](2010/07/19 23:01)
[24] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第三章その7[山崎ヨシマサ](2009/09/23 13:19)
[25] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第三章その8[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:33)
[26] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~幕間その3[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:36)
[27] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第四章その1[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:38)
[28] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第四章その2[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:40)
[29] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第四章その3[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:42)
[30] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第四章その4[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:42)
[31] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第四章その5[山崎ヨシマサ](2011/04/17 11:29)
[32] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第四章その6[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:45)
[33] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第四章その7[山崎ヨシマサ](2010/07/16 22:14)
[34] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第四章その8[山崎ヨシマサ](2010/07/26 17:38)
[35] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~幕間その4[山崎ヨシマサ](2010/08/13 11:43)
[36] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第五章その1[山崎ヨシマサ](2010/10/24 02:33)
[37] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第五章その2[山崎ヨシマサ](2010/11/10 03:37)
[38] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第五章その3[山崎ヨシマサ](2011/01/22 22:44)
[39] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第五章その4[山崎ヨシマサ](2011/02/26 03:01)
[40] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第五章その5[山崎ヨシマサ](2011/04/17 11:28)
[41] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第五章その6[山崎ヨシマサ](2011/05/24 00:31)
[42] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~幕間その5[山崎ヨシマサ](2011/07/09 21:06)
[43] Muv-Luv Unlimited ~終焉の銀河から~第六章その1(最新話)[山崎ヨシマサ](2011/07/09 21:50)
[44] Muv-Luv Extra’ ~終焉の銀河から~プロローグ[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:47)
[45] Muv-Luv Extra’ ~終焉の銀河から~第一章[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:49)
[46] Muv-Luv Extra’ ~終焉の銀河から~第二章[山崎ヨシマサ](2010/06/05 23:51)
[47] Muv-Luv Extra’ ~終焉の銀河から~第三章[山崎ヨシマサ](2010/06/29 20:22)
[48] Muv-Luv Extra’ ~終焉の銀河から~第四章[山崎ヨシマサ](2010/07/19 22:52)
[49] Muv-Luv Extra’ ~終焉の銀河から~第五章[山崎ヨシマサ](2010/08/13 05:14)
[50] Muv-Luv Extra’ ~終焉の銀河から~第六章[山崎ヨシマサ](2010/09/11 01:12)
[51] Muv-Luv Extra’ ~終焉の銀河から~エピローグ[山崎ヨシマサ](2010/12/06 08:17)
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[4039] Muv-Luv Extra’ ~終焉の銀河から~第二章
Name: 山崎ヨシマサ◆0dd49e47 ID:71b6a62b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/06/05 23:51
Muv-Luv Extra’ ~終焉の銀河から~

第二章

【西暦2001年、日本時間12月14日16時14分、白陵大付属柊学園物理準備室】

「初めまして、香月夕呼よ。まずは表向きの用件から済ませましょう。昨日はまりもを助けてくれてありがとう」

「そうか、お前が。名前は昨晩、神宮司まりもから聞いている。クォヴレー・ゴードンだ。大したことをしたつもりはないが、大切な者の命を救われた心情は理解できる。礼の言葉は素直に受け取っておこう」

 後ろの窓から赤い夕陽の光が差し込む物理準備室で、香月夕呼とクォヴレー・ゴードンは若干緊張感を漂わせた対面を果たしていた。
 夕呼が進めるまま、クォヴレーは折りたたみ式のパイプ椅子に腰を下ろす。

「…………」

「…………」 

 椅子に座り向かい合った二人は、しばし沈黙の時を共有していたが、それはそう長いことではなかった。
 思い切るように一度咳払いをした夕呼が、胸の谷間を強調するように腕を組み直すと、話を切り出す。

「単刀直入に聞くわ。あんた、何者?」

 聞かれたクォヴレーは、少し目をつぶり考え後、素直に答える。

「クォヴレー・ゴードン。所属は地球連邦軍特殊独立部隊αナンバーズ。階級は少尉。現在の役割は「因果地平の番人」だ。俺からも聞かせてもらう。『因果律量子論』とはなんだ? この世界の因果の乱れに、神宮司まりもが死の因果に囚われかかっていたのに、お前は関係しているのか?」

 予想以上にダイレクト且つ荒唐無稽な返球が返ってきたことに内心少し驚きながら、夕呼は赤いルージュを引いた唇を一度嘗めると聞かれたことに素直に答える。

「『因果律量子論』は、私が独自に研究している平行世界の証明と、世界同士の因果関係を立証する理論よ。ちなみにまりもの『死の因果』に私の研究が関与しているか、という点については、イエスともノーとも言えるわ。私の研究を立証する人間が絡んでいるから、無関係とは言えないし、かといって私が意図してまりもをあの状態にしたわけではないから」

 さしもの夕呼もまりもの死の因果について語るときは少し顔を引きつらせたが、クォヴレーは特にそのことについて突っ込むことはなかった。

「そうか。その人物とは? 詳しい話を聞きたいのだが」

「ところで『平行世界の番人』と言う役割について、詳しく教えてもらえるかしら? まあ、名前から大体想像はつくけれど」

 質問と質問がぶつかり合う。互いに聞きたい事が多すぎる。
 なにせ、クォヴレーにとっても夕呼にとっても目の前の相手は、現状を打破するための情報を持った唯一の存在なのだ。

「…………」

「…………」

「……了解、それじゃ交互に質問と返答を行いましょう。今はまず、情報の交換が最優先みたいね」

 大きく息を吐いて、そう言う夕呼に、クォヴレーも特に抵抗なく首を縦に振る。

「ああ、それでいい」

 夕呼とクォヴレーは、時間をかけて互いの質問に答えていくのだった。





「なるほど、文字通り平行世界の番人というわけね。それなら、今この世界にあんたが来たのも分かるわ」

「ああ。ディス・アストラナガンが察知した『因果地平の穴』は、因果導体――白銀武で間違いないようだな」

 情報交換を終えた夕呼とクォヴレーは、そろって小さくため息をついた。
 互いの事情、互いの目的を話し合った結果、二人は共通の認識を持つに至る。
 すなわち、現状のままにしておけば、この世界そのものが危険だと言うこと。そして、それを解決する鍵となるのが因果導体、白銀武であるこうこと。
 当面、香月夕呼とクォヴレー・ゴードンはこの世界の因果歪みを正すために協力することに、異存はなかった。お互い、あまりに荒唐無稽な話をしている感はあるが、よく聞けば内容の筋は通っている。

「それにしても、それならあんた、昨晩は何をやっていたの? 昨晩のうちのまりもから私の事は聞いていたのでしょう?」

 ふと、思いついたように夕呼はそうクォヴレーに尋ねる。クォヴレーにとっては神宮司まりもとその口から出た「因果律量子論」を唱える「香月夕呼」という存在が、使命を果たす上で唯一の手がかりだったはずだ。それなのに、丸1日近く、向こうから接触してくる様子がなかったのは腑に落ちない。まりもは『柊学園教諭』と名乗っていたのだから、こちら居場所は簡単に調べられたはずだ。
 その質問にクォヴレーは少しばつが悪そうに、肩をすくめると答えるのだった。

「ああ、就職活動をしていた。何せ急な転移だったため、この世界に生活基盤がないのものでな」

「なるほど……そういう問題があるか」

 即物的で切実なクォヴレーの返答に、夕呼は虚を突かれたように顔で頷き返す。
 ちょっと考えれば当たり前の問題なのに、遭遇している事態が巨大すぎて、あまりに身近なその問題に気がつかなかった。
 とはいえ、平行世界の番人とはいえ、生身の人間である以上確実につきまとう問題である。

「それで、成果は? もう、どこかに決まったの?」

 少し面白がるようにそう聞く夕呼に、クォヴレーは首を横に振ると、

「いや、2,3当たりをつけて飛び込みの面接に向かおうとしたところで、お前達に声をかけられたのだ」

 そう答えた。

「あら、それは悪いことをしたわね。それじゃ、お詫びに白銀が来るまで、面接試験の予行練習をやってあげましょうか?」

 クォヴレーの答えに、夕呼はちらっと壁掛け時計に目をやり、人の悪い笑みを浮かべる。

「それはありがたいが、出来るのか?」

「まあ、私もこれで一応学園教師だからね。生憎うちは進学校な上に大半がエスカレーターに乗って白陵大に進学するから、就職面接指導はやったことないけど、進学の面接指導は何度かやっているわ。少なくとも、まねごとくらいは出来るわよ」

 香月夕呼の面接指導。柊学園の生徒が聞けば、思わず逃走経路を探すような提案だが今日初めて会ったクォヴレーにそんな事が分かるはずがない。

「ぜひ頼む。この世界の常識に疎い自覚はあるからな」

 クォヴレーは、ごくごく真面目な表情で、頷き返すのだった。





「えー、それではまず、当社を希望した動機から教えて下さい」

 内心はともかく、表情だけは真面目に取り繕い、夕呼は面接官のようにクォヴレー・ゴードンに問いかけた。
 パイプ椅子の上でピンと背筋を伸ばし、軽く握った両拳を太股の上に置いた綺麗な姿勢を保ったまま、クィヴレーは日頃あまり使わない丁寧な口調でこたえる。

「はい。まず、御社の応募要項に、「履歴書」という項目がなかったので、これならば戸籍も就労ビザもない自分も採用されるのではないかと考え、希望しました」

「はい、ストップ。ちょっと待って」

 淀みないクォヴレーの返答に、素に帰った夕呼は右手の平をクォヴレーの顔の前に突きだし、タイムを要求した。

「なんだ?」

 真面目な顔で首を傾げるクォヴレーに、夕呼は若干の疲労感を感じながら、

「うん、私の受け持ちの生徒に、頼めば戸籍とかビザとかどうにかしてくれる子いるから。そこら辺はクリアしてるという前提で話を進めしょう。というか、あんたが想定しているような履歴書も要らない仕事先は、こんな真面目な面接あんまりやらないから」

 そう言って、一つため息をついた。どうやら、異世界との交流は予想以上に常識のギャップが激しいようである。

「む、そうか。了解した」

 クォヴレーとしては否はない。身分証明という問題がクリアできるのならば、それに越したことはない。非常に就職活動が楽になる。そうなれば、水と非常食が尽きる前に、初任給を手にすることも夢物語ではなくなる。
 無表情のまま、どこか嬉しそうにコクコク頷くクォヴレーの前で、夕呼は小さくため息をつきながら、面接ごっこを再開する。

「じゃ、気を取り直して。えー、では、貴方が学生時代、一番力を入れて取り組んでいたことについて教えて下さい」

「学生時代……ですか」

 その言葉に、クォヴレーは困ったように首を傾げながら、沈黙した。そして、しばらくしてから、澄まなそうに素の口調で、告げる。

「ああ、すまん。俺は少し特殊な事情があって、学生時代というのを経験していない。学生時代について聞かれるのは、定番なのか?」

 クォヴレー・ゴードンは、元々『ゼ・バルマリィ帝国』が作った、人造生命体である。戦闘用クローン人間と言いかえても良い。そのため、世間一般で言う学生生活などとは無縁であり、そもそも見た目は十代の後半から二十代の前半に見えるが、正しくそれだけの期間生きてきたわけではないのである。

「そうね、日本の企業に日本人が就職する際には、かなりの確率で聞かれるんじゃないかしら? なにか込み入った事情があるのなら、いっそ国籍はどこか適当な外国にして置いて、就労ビザを発行してもらった方が良いかも知れないわね。日本国籍にするんなら、適当に学生時代をでっち上げておいた方が良いと思うわ。何だったら後で、平均的な学生生活というものを伝授してあげる」

「了解だ、頼む」

 どうやら、込み入った事情がありそうだと理解した夕呼は、あえてなんでもないことのようにクォヴレーの主張を聞き流すと、何食わぬ顔で面接を続ける。

「それでは、趣味・特技などをふまえて、自己アピールをお願いします」

 これも定番の質問である。
 クォヴレーはやっと、自信をもってこたえられる質問が来たと胸を張り、はっきりとした口調で返答する。

「はい、特技は、『機動兵器』の操縦です」

「……『機動兵器』ですか」

 微妙に間が開いた後、目をパチパチさせる夕呼の様子に気づいていないのか、クォヴレーはそのままの調子で続ける。

「はい。『モビルスーツ』『パーソナルトルーパー』といった、『人型機動兵器』を一番得手としていますが、車両型、航空機型の機動兵器も操縦は可能です」

 クォヴレーの返答に、夕呼は少し頭痛を感じながら、半ばヤケになったようにそのまま面接ごっこを続行する。

「……その『機動兵器』の操縦は、我が社で働く上で、どういった場合役に立つと考えますか?」

「はい。『宇宙人』『地底人』『爬虫人』などの奇襲を受けた際、御社の社屋や社員を守り、守備隊が到着するまでの時間稼ぎが出来ると思います」

「…………」

「…………」

 またしばし、沈黙の時間が流れる。
やがて、三百六十度回って冷静さを取り戻した夕呼は、パチンと手を合わせて、宣言する。

「はい、オッケー。うん、ここまでにしましょう。悪いこと言わないわ。あんた、この世界にいる間は、最低限衣食住の面倒くらい見てあげるから、黙って素直にヒモやってなさい」

 容赦なく、夕呼は結論を叩きつけた。

「むう……どこか拙かったか?」

 少し不満そうに、口元を歪めながら首を傾げるクォヴレーに、夕呼は容赦なくだめ出しを続ける。

「ええ。そもそも、今の発言をしておいて「どこが拙かった?」という疑問が出る時点で改善不能レベルに致命的だから、あんた」

「心外だな」

「論外よ」

 どうやら、世界の常識非常識というのは、夕呼が思っている以上に幅があるようだ。
 しきりに首を傾げているこの男に、この世界の常識を叩き込んで、就職活動が出来るまで仕込むくらいなら、生活費を貢いでやって、その分の労力を平行世界の平和のために注いでもらった方が、誰にとっても有益だ。

「すみません、夕呼先生! 大至急来いって、なんか進展があったんですかっ!?」

 息を切らせた白銀武が飛び込んできたのは、ちょうどそんな、ちょっと気まずい空気が漂い始めた頃だった。





 この一件の中核とも言うべき人物、『因果導体』白銀武が到着したところで、クォヴレーと夕呼はグダグダになりつつあった『面接ごっこ』を途中終了させ、再度情報交換を行った。

「『平行世界の番人』か。すげえな、本当にそんなのいるんだ」

 部屋の隅に立てかけてあった予備の折りたたみ椅子を広げ、クォヴレーの隣に座った武は、感心したように声を上げながら、『平行世界の番人』を自称する銀髪の青年を見る。
 普通の人間が聞けば正気を疑うたぐいの話だが、武自身、すでに複数の世界を渡り歩いている身だ。『平行世界』が実在することは、身に染みて理解している。無論、証拠はないが、このタイミングで見ず知らずの人間はそんな馬鹿な嘘をつく理由もない。明確な嘘の証拠が見つかるまで、事実だという前提で行動しても問題はあるまい。

「あ、あと、ありがとうな。まりもちゃん助けてくれて」

 ふと思いだした武は、今更ながらクォヴレーに礼を言い、頭を下げる。
 この男がいなければ、神宮司まりもは昨晩のうちにこの世を去っていたはずだ。『因果導体』白銀武のせいで。
 何も知らずに、自分がもう1人のまりもちゃんまで殺すところだった。それを防いでくれた人間には、どれだけ礼の言葉を並べても、多すぎると言うことはないだろう。

「それで、まりもちゃんはもう大丈夫なんだよな? あと、その、ひょっとして俺の『因果導体』ってのもどうにかできるとか?」

 思わずそう聞いてくる武の態度は、少々他人に頼りすぎている感もあるが、今の武の心理状態を考えれば仕方がないとも言える。『向こう』の世界で武は敗北し、挫折し、師である神宮司まりもを死なせ、心が折れてこの世界に逃げてきたのだ。物事に立ち向かう気力そのものが萎えている。
 そこに現れた『死の因果』から、この世界の神宮司まりもを救ってくれた存在に、思わず全ての解決を委ねたくなるのも無理はない。
 だが、クォヴレーの返答は、武の希望にそうものではなかった。

「ああ、神宮司まりもはもう問題ない。しかし、お前の『因果導体』とやらは、俺にもまだ皆目見当もつかん。ただ、この世界の因果を乱す要因はその『因果導体』であることは、間違いないようだからな。一刻も早い問題解決のために、全力は尽くす」

「そうか……ありがとうな」

 失望の色は隠せないものの、真摯なクォヴレーのこたえに、武は間を開けてから、礼の言葉を返した。
 期待を裏切られても、以外と冷静な反応を返せたのは、今のところ、この世界に来て『因果導体』とやらになった弊害が出たのは、まりもを死の危険に晒したことだけだからだろう。それを偶然とはいえ回避できたため、武はまだいまいち『因果導体』であることが、どれほど自分やその周りの人生を狂わせるのか、実感となっていない。
 ある意味、こうして複数の世界を渡り歩いていることそのものが、因果導体となった弊害そのものとも言えるが、その辺りもこの世界に逃げてきた時点で、無意識のうちに意識の奥に押し込めてしまっている。

「ああ、そう言えば、あんたがどうやってまりもの『死の因果』を引きはがしたのか聞いてなかったわね。因果導体はどうにか出来ないって言うところを見ると、限定的な因果律操作、もしくは因果律修復が可能なのかしら?」

 思い出したようにそう言ってくる夕呼の問いにも、クォヴレーは首を横に振ると、

「いや、そんな上等なモノではない。俺がやったのは、ディス・レヴに『死の因果』を食わせただけだ」

 そう、端的にこたえる。

「ディス・レヴ?」

「ああ、俺がこの世界に乗ってきた機体『ディス・アストラナガン』の心臓部――動力機関だ。こいつは、「死霊」「悪霊」に代表される「負の無限力」を吸収している。だから、限りなく「死」そのものに近い「死の因果」も吸収できるのではないかと考えてな。試してみたところ、うまくいったというわけだ」

 クォヴレーにしても、確信があったわけではない。そう考えれば、まりもが助かったのは非常に運が良かったといえる。

「なんだか、ちょっと聞いた感じじゃ、滅茶苦茶邪悪な機体に聞こえるな、それ」

「死霊」「悪霊」に「負の無限力」。不吉な単語のオンパレードに、武はぼそっと呟いた。
 確かに、ディス・アストラナガンはその動力源といい、機械仕掛けの悪魔を思わせる外形といい、正義の味方とは言い難い印象を与える機体だ。


「ああ。さっき言っていた機体の事ね。それ、どこに隠しているの? 悪いけど早めに白銀を、その機体のところに案内してくれないかしら。白銀を通して流れ込んでくる『死の因果』は、まりものものだけとは限らないから」

「夕呼先生、それって!?」

 驚きの声を上げる武に、夕呼は一つため息をつくと、

「まあ、こうして対処療法とはいえ解決手段が見つかったから言うけど、このままじゃ向こうの世界で死んだ人間全員分の死の因果が流れ込んできても不思議はないのよ。杞憂かも知れないけれど、万が一のことを考えてたら早いほうがいいわ」

 午前中に話したときには伝えられなかった懸念事項を、武に告げる。
 解決手段がないまま、不安だけをあおっても意味がないため、今まで黙っていたがこうして曲がりなりにも解決手段が見つかった以上、放っておく理由はない。
 最悪の場合、全世界で億単位の死人がでるかもしれないのだ。

「は、はい。分かりました」

 夕呼の言っている内容を理解するにつれて顔色を失っていった武は、震える声でそう返し、水打ち鳥のように何度も頷いた。

 話を聞きながら、クォヴレーも真剣な面持ちで頷く。本来であれば会って1日目の人間を、ディス・アストラナガンにあまり近づかせたくはないのだが、億単位の命がかかっていると言われれば、ある程度の妥協は仕方がない。

 
「いいだろう。アストラナガンは、海岸沿いの海中に隠してある。目立たないよう、せめて夜まで待ちたいところなのだが、そういう事情ならばそうも言ってられんだろうからな」

 そう言ってクォヴレーは、やおらその場で起ちあがった。いつどれくらいの死の因果が流れ込んでくるのか、皆目見当もつかないのだ。リスクを恐れて躊躇している場合ではない。

「海中ね。大きいの?」

 夕呼の質問に、クォヴレーは頷く。

「ああ。全長20メートル強だ。この世界ではいささか目立つ」

 この世界に来てからまだ1日しか経っていないが、クォヴレーは人型機動兵器を見ていない。
 まあ、空間歪曲技術を応用した特殊車両が街を走っている位なのだから、特機の一機や二機は存在しているのだろうが、それでも見ず知らずの人型機動兵器が人目に触れれば、大騒ぎになることは請け合いだ。
 夕呼は右手を口元に当ててしばし考えた。

「それはまずいわね。今この街でそんな大きなモノを動かしたら、間違いなく御剣財閥に見咎められるわ。もしかすると、すでに見つかっているかも知れない」

 今、この街には御剣財閥の次期党首である御剣冥夜がいる上に、昨晩の通り魔騒動のせいで、厳戒態勢が取られているのだ。例え人気のない浜辺でも、20メートルオーバーの人型機動兵器などという突飛もない代物を地上にさらせば、気づかれないはずがない。


「御剣、それは俺をここにつれてきた連中か?」

「ええ。この国の影の政府とも言われる、世界有数の大財閥よ。どうせいつまでも隠し通せるとは思えないし、ある程度の事情を話して抱き込んでしまった方がいいんじゃないかしら」

「事情を話す、か。あまり取りたい手段ではないな」

 夕呼の提案に、クォヴレーはあからさまに眉の間に皺を寄せた。この世界の組織に、ディス・アストラナガンを公開するなど、危険極まりない話だ。おいそれと了承できるはずもない。せめて、もう少しこの世界の事情を理解し、その『御剣財閥』とやらがどの程度信用がおけるのか見定めた後でなければ、とてもではないが、そのような危険な真似は出来ない。
 ディス・アストラナガンは単機で世界の軍事バランスを崩すポテンシャルを秘めているのだ。
 そんなクォヴレーの心情が理解できないほど、夕呼は頭の悪い人間ではない。

「分かったわ。それじゃ、今日の所は止めておきましょう。私が車を出すわ。ただし、まず確実にディス・アストラナガンの存在は、御剣の連中に目に触れることになるから、その点は覚悟しておいて頂戴」

「了解だ」

「車って、先生のあの車に3人で乗るんですか?」

 夕呼の愛車が、2シートのスポーツタイプであることを知っている武は、ちょっと怯んだ声を出す。あの助手席に、男2人で座るのは正直遠慮したいところだ。もっとも、今はそんな些細なことで文句を言っている場合ではないことは理解しているので、それ以上は言わない。

「それしかないでしょ。少しぐらい我慢しなさい。ああ、後言ったとおりちゃんと着替え、持ってきたでしょうね?」

「あ、はい。シャツとズボン、あと未使用の下着を適当に突っ込んできただけですけど」

 夕呼に話を振られた武は、持ってきたスポーツバックを床から持ち上げ、掲げてみせる。

「オッケー、それじゃゴードン。あんたは至急白銀が持ってきた服に着替えて頂戴。流石にいつまでもその格好じゃ目立つわ」

「了解だ。色々迷惑を掛ける」

 青と白のパイロットスーツ姿のクォヴレーは、武からスポーツバックを受け取ると、やおらその場で着替え始めるのだった。









【西暦2001年、日本時間12月14日17時24分、横浜市海岸付近】

「うわあ、すっげえ悪役面……」

 近くの自然公園まで、夕呼の愛車でやってきた、夕呼、武、クォヴレーの三名は、人気のない海岸付近で陸揚げされたディス・アストラナガンを見上げていた。

 時刻はすでに夕方の5時を過ぎている。冬のこの時間ではかなり暗いが、そんな暗い海をバックに、膝立ち状態で砂浜の上にしゃがむディス・アストラナガンは、武の言うとおり「世界の敵」と言わんばかりの、凶悪な迫力があった。
 黒を基調とした細身のフォルム。コウモリのような大きな翼。そして、血のように赤い双眼を有するその頭部。予備知識無く見れば、大概の人間が思わず恐怖で息を呑むような迫力がある。
 一見すれば平静を装っている夕呼も、内心では強い衝撃を受けている。戦術機という、人型機動兵器に慣れ親しんでいる武より、ある意味夕呼の感じている衝撃の方が大きいのかも知れない。

『それでは、始めるぞ』

 そんな武と夕呼の内心を知ってか知らずか、ディス・アストラナガンに乗ったクォヴレーは外部スピーカーでそう告げると、早速武の前で、その主動力機関『ディス・レヴ』を回し始める。

「うわっ……」

 目の前で唸りを上げる、ディス・アストラナガンの迫力に、武は思わず一歩後ろに後ずさる。
 危険はないと言われていても、対逃げ腰になってしまう迫力だ。

「…………」

 どれほどの時間、そうしていただろうか? やがて、作業を終えたクォヴレーは、ディス・アストラナガンのコックピットから地上に降りてくる。ブルージーンズに、チェックのワイシャツというラフな姿だが、持ち主の武より若干細身のため、ジーンズもシャツも若干余っており、海風でバタバタと音を立てている。

「ご苦労様。で、成果は?」

 問いかける夕呼と、真剣な面持ちでこちらの返答を待ち受ける武に、クォヴレーは一つ頷き返す。

「ああ。はっきりとは言えんが、成果はあったと思う。単に自然発生するだけの死者の念や、怨霊だけを吸収したにしては、最初のエネルギーの上がり方がおかしかった」

 そう答える。
 クォヴレーの返答に、武は脱力するような安堵感を覚えると同時に、背筋が凍るような恐怖を味わった。
 死の因果を吸収できたと言うことは、死者が出るのを防げたと言うこと。だが、同時に死の因果を吸収できたと言うことは、今もなお、武という因果導体を通してこの世界に死の因果が流入し続けている事を意味している。

「白銀が直接目の当たりにした死であるまりもが特に発現が早かっただけで、死の因果自体はすでにこの世界に流れ込んでいたのかも知れないわね。白銀、あんたが見たその「トライアル中のBETA奇襲」って奴では、それなりに死者も出たんでしょう?」

 何か考察するように、考えながら話す夕呼の問いに、武は思い出したくない記憶を思い出しながらこたえる。

「あ、はい。少なくとも、衛士の人が何人も死んだのは間違いないです……」

 あの場で死んだ横浜基地の兵士達。彼等の死の因果か、この世界の彼等に襲いかかってもおかしくはない。
 そう思うと、武はこのディス・アストラナガンという機体から離れるのが急に怖くなってきた。
 もう大丈夫、とこの場から離れた次の瞬間、どこかで誰かが死の因果に囚われ、死んでいるのかも知れない。その十分に現実となりうる恐怖の想像に、武は心臓を濡れてで鷲づかみにされたような感覚を覚える。

「そう、当分は、定期的にこの作業をやり続けるしかないわね」

「はい……」

「うむ、今は一時的にディス・レヴのパワーゲージの上がり方が収まったから、死の因果の流入も収まった思うのだがな。明確な基準がないため、はっきりとはいえん」

 この世界の日本でも、常に人は死に続け、怨霊は生まれ続けているのだ。クォヴレーには、ディス・レヴが吸収したモノが死者の念なのか、怨霊なのか、はたまた『死の因果』なのか、見分けるすべは今のところない。

 俯く武の横の前まで歩いてきたクォヴレーが、そう抑揚のない声で告げる。それからふとクォヴレーは何かに気づいたように、夕呼の方に振り向くと、疑問の言葉を投げかけた。

「そういえば、そっちの世界から流れ込む因果は『死の因果』だけなのか?」

 質問の意図がいまいち分からない夕呼は首を傾げながら、それでも素直にこたえる。

「分からないわ。ただ因果というのは、多種多様にあるから、『死の因果』に近い重さの因果は、流れ込んでいる可能性が高いわね」

 夕呼のこたえに、クォヴレーは「やはり」と言わんばかりに頷いた。

「そうか。それでは、死に近いほど程度の重い「怪我」や「病気」の因果も流れ込んでいるかも知れないというわけだな」

「そうね。恐らく、そうなるわ。もしかして、そういった因果もどうにか出来るの?」

「ああ、『ディス・レヴ』の吸収条件をもう少し広げれば、そういったモノも吸収できるかもしれん。それらも広義には「負の無限力」に属するものの可能性が高いからな。ただし、その場合は逆に死の因果を取りこぼす可能性も出てくるが」

 たとえて言うならば、それは網の目の細かさと大きさの問題だ。
 網の目を細かくすれば、その分だけ多種多様な代物が網にかかるが、その分網が狭くなり、本来取るべきモノを取りそびれる可能性が出てくる。
 一方網の目を大きくすれば、本来取るべき者を取り損なう可能性は低くなるが、網が粗い分、小さな因果はすり抜けることを覚悟しなければならない。

 最善を目指してリスクを負うか、最悪を回避するためある程度の被害は目を瞑るか。どちらにせよ、全く被害が出ない可能性もあるし、想像以上の被害が出る可能性もある。
そもそも、ディス・レヴが死の因果を吸収できること自体が、想定外の僥倖なのだ。あまり多くは望むべきではないのかも知れない。

「危険ね。やっぱり死者の少なくすることを最優先に考えたようが良いと思うわ」

「うむ……」

 夕呼のこたえに、クォヴレーは即答せず考え込む。死者も負傷者も出さないのが最善なのは間違いないが、負傷者が出ることを恐れて死者を出しては本末転倒だ。だが、救えるのならば負傷者も全て救いたい。分からない前提条件が多すぎて、考えがまとまらない。

(これが、αナンバーズの皆なら何と言っただろうか?)

「決まってるじゃねえか。そんなの、全員救うんだよ。やりもしないで出来ないなんて言ってんじゃねえ!」

 そんな言葉が聞こえてきそうで、クォヴレーは少し微笑んだ。実際、αナンバーズのパイロット、科学者、技術者全員がこの場にいれば、そんな無茶苦茶も不可能ではなかったかも知れない。
 だが、この場にいるのは自分一人、機体は『ディス・アストラナガン』一機があるのみだ。
 全てを救うという気概を忘れず、だが、全てが救えないという現実から目をそらない。
 軍隊とは思えないほど、甘い理想主義者の集まりであったαナンバーズも、最低限そのバランス感覚はあった。そうでなければ、銀河中心部の有人惑星数十を犠牲にして(人は避難させたとはいえ)、BM3(宇宙規模の超大型ブラックホール爆弾)で宇宙怪獣を吹き飛ばす、などという作戦を実行できるはずがない。
 現実を理由に理想を諦めてはいけない。理想を理由に現実を無視してもいけない。いずれにせよ、判断材料が少なすぎる。
 クォヴレーはふと視線を俯いたままの武に向けると、冷静な声で問いかける。

「白銀武。お前の意見が聞きたい。お前はどうするべきだと思う?」

「え? お、俺?」

 急に水を向けられて、戸惑う武に、クォヴレーは頷き返す。

「ああ。向こうの世界を直接知っているのはお前だけだ。そのお前の意見が聞きたい」

 クォヴレーと夕呼の真剣なまなざしに、武は恐怖で回転の鈍くなった頭を精一杯使い考える。
 あっちの世界の死が流れ込む。そう言われて武が思い起こすのは、あのトライアル中に起きたBETAの奇襲だ。
 あの死が、恐怖がこの世界に流れ込む。すでに、まりもはその犠牲になる寸前だった。圧倒的な死の迫力に、武は狂ったように首を左右にふる。

「駄目だっ。あんなのは、駄目だ! 死んだらどうしようもないじゃないかっ!」

 武の判断は、多分に感情的なモノを含んでいる。向こうで死者は目の当たりにしたが、本当に深い戦傷者とはあっていないという経験に基づく部分が大きい。だが、冷静に第三者の視線から見ても、死者を出さないためにある程度の負傷者は許容するというのは、道理にかなった判断でもある。
 クォヴレーは一つ頷くと、決断を下す。

「そうだな。分かった。当面は、死の因果を取りそびれないことに重点を置き、それより軽い因果には目を瞑ろう」

「そうね。それが良いと思うわ。もしかしたら、最善ではないのかも知れないけれど、最善を求めて最悪に近づくわけにはいかないから」

「あ、ああ」

 夕呼の冷静な肯定の声にも助けられ、武はホッと安堵の息を漏らす。
 
(そうだ、怪我なら後で治るかも知れない。治らなくても、少なくとも死ぬよりはマシだ)

 そう考えれば、これは仕方のないことだ。正しい判断であるはずだ。
 白銀武は、そう思った。
 このときは、本当に、そう思った……。


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