※12/9、後書きに<用語解説>を追記しました。
「お久しぶりね。活躍は聞いているわ」
「悪評のほうが多いでしょう」
「ふふ。そうね」
微笑をたたえるファーン・コラード三佐。俺が学んだ第四陸士訓練校の校長。かつて戦技教導隊に所属していた凄腕だ。
今日、この母校を訪ねたのは、レジアス少将直轄プロジェクトの一環としてだ。
「陸士教育カリキュラムの見直しを前提にした、現在の問題点の聞き取り調査、ね?」
「ええ」
何かを達成するには4つの段階がある。
1つ目は現状の把握。5W1Hを軸に、明確な数値と、数値化できない事項とをデータベース化し、感覚的にではなく、明確に目に見える形で現状を把握する。2つ目は対策の実行。現状を踏まえて、目標とする達成状況にどのように持っていくかを検討・立案し、実行する。3つ目は成果の確認。対策を実行した結果、得られた正負の結果を、第一段階と同じ形で把握する。4つ目が改善案の実行。得られた成果を維持するための機能を整える。負の結果は正の結果に、正の結果はより拡大できるよう、改善を施して。あとは、その循環の繰り返しだ。
今回のプロジェクトで言えば、第一段階の調査対象として、まず、犯罪と陸士隊の対応、及び陸士隊の訓練内容が挙げられる。無論、地域別・時期別に分類して、それら3つの噛み合い具合を確認することも必要だ。この調査のための話し合いのとき、俺は陸士訓練校の状況の把握の必要性を提議した。魔道師としての基本を叩き込むのが、陸士訓練校の役割で、現場での対応などを学ぶのは配属された先の部隊任せというのが現状だが、それじゃあ部隊に負担がかかるし、新任陸士自身も相当切れる奴でない限り、効果的に成長できない。
初の社会人経験と部隊への溶け込みと慣れない実務への対応に加えて、成長を要求されるのだ。普通に考えて、上官も当人も、目の前の事に対応するので精一杯になるだろう。陸士訓練校の教育カリキュラムを確認し、可能な範囲で配属後に教育する部分も訓練校で下地を作ってはどうか、という俺の意見は、多少の反論や質問はあったものの、大筋で認められた。
プロジェクトメンバーは、現場で一線を張る指揮官や名の知れたエース、バックアップ部門の責任者など、現場の苦労を知る人間を中心に集められている。現状では、目や手が回らずに放置していた部分でも、筋の通った指摘をすれば、気が付いてくれる。改善の結果が自身の負担軽減につながるから、妙な見栄を張らないよう自分をコントロ-ルする。そういう意味では、よそもので且つ年少の俺でも、提議をしやすい環境だった。
ちなみに、執務官と教導隊の情報は、政治的ルートで、提供を要求することになった。まあ、俺が教導隊のデータを集めてるように、裏から手を回すこともするが、「陸」「海」「空」の関係上、建前は通しておかないと面倒なことになる。どうせ、政治的駆け引きをして手を加えられたデータが手に入ればいい、という程度の結果しか生まないだろうが。
組織の縦割りが健全な競争を生むのではなく、足の引っ張り合いを生んでいるあたり、組織不全の兆候だ。おまけに、魔力量の差による感情的な縺れが混ざって、なんだこの陰湿さは、と言いたくなるような状況になることがある、とは少将の秘書を勤めるオーリス嬢の言だ。
彼女にとって、俺の印象は最悪に近かったらしいが、実際に一緒に仕事をしていくうちに、それなりにトゲが取れてきた。ただ、なれるにつれ、俺の言葉遣いや態度を矯正しようとするようになったのは勘弁して欲しい。確かに今の俺は13歳の少女だが、中身はそれなりに修羅場を潜った陰陽師なのだ。外見に合わせて中身を偽るなんぞ、馬鹿馬鹿しくてやってられん。俺はどうなろうと俺なのだ。
話が逸れたが、今回、俺の母校を訪ねたのは、そういうわけで、現状のカリキュラムに関する現場の意見の確認のためだ。いずれ全訓練校を回る予定ではあるが、ここを一番に持ってきたのは、コラード校長なら、俺の見落としている視点やら聞き取りの際に注意すべき点などを相談できる、という理由による。前世と今生あわせても、さして多くの教育者を知るわけじゃないが、彼女は俺の知る中では疑いなく上位に位置する教育者だ。
いろいろと話を聞き、相談をし、充実した時間が過ぎた。コラード校長は現場経験もあり、その視点からのアドバイスも貰えた。聞き取り調査、というより相談と指導が一段落して、すこしお茶でも、となったとき、校長がふと言った。
「そういえば、貴女の発案したデバイス、ここでも使ってるわよ」
「俺の発案?」
いや、記憶にないんだが。
「ええ。体調管理及び成長サポートシステム・デバイス。さすがに生徒全員には行き渡らないけれど、毎週診断を実施して、生徒の自己管理訓練の教材にしてるの。」
初耳だった。俺自身のために、適当な名目をつけて医療局・技術部を巻き込んで研究・開発したんだが、俺は完成時点で開発ラインから離れたんでその後を知らなかった。訓練校に配布する方向で活用したのか。
あれは年に一度の定期健康診断のときだった。一通り、検査が終わり、医師との問診の際、俺はふと思いついて聞いてみたのだ。大魔力使用の魔法発動時に、リンカーコアのあたりに痛みを感じたことがあったんだが、そういったことはよくあるのか、と。
当時、俺はまだ入局2年目で、リンカーコアの成熟度や魔法使用による身体的負担のことなど、ほとんど知らなかった。だから、全く深刻に考えていなかったし、なにか似たような事例がないかと、軽い気持ちで聞いたのだ。
答えた医師も軽い調子だったが、内容はしゃれにならなかった。
「は? リンカーコアへの負荷過剰?」
しかも、俺のように身体的に成長しきってない場合は、リンカーコアも未成熟な場合が多く、過剰な負荷は容易に慢性的な不調につながる、と。
「なんですか、それ? 聞いたこと無いですよ?」
そんな大事なこと、教習で真っ先に教えることだろ? 戦闘知識だけつめこみゃいいとでも思ってんのか、管理局?
「なに言ってるんだい、常識じゃないか」
「常識って……。まさか、次元世界での?」
「? もちろんそうだよ」
「俺、管理外世界の出身なんですが」
「あ、そうなんだ。それじゃ知らないなんてこともあるかもね」
「あるかもねって…………。……で、どの程度までの負荷なら大丈夫とかの目安は? 回復までのスパンの目安とかも」
「なに言ってるんだい、そんなのは自己責任に決まってるじゃないか。君も管理局員なら、自分の健康管理は自分でしないと」
「…………いや、自己責任を果たすために、目安を教えて欲しいんですが」
「さあ? 人によって千差万別だからねえ。ま、魔法使ってるうちに判ってくるよ。慣れだよ慣れ」
「……………」
「どしたの? ほかになにかある?」
「……………………いえ」
「そう。じゃ、頑張ってね。はい、次の人!」
「…………(なめてんのか、こいつら。)」
正直、あの場でキレなかったのは我ながら大したものだと思う。医者の態度や言葉があまりに阿呆くさくて、気を削がれたせいもあるだろう。
だが、俺はその日のうちに、対策に乗り出した。
こっちは命掛けてんだ。「慣れ」るまで手探りでなんてやってられるか。
1週間の有給休暇を無理やり取得し、その際、上官に魔法使用による成長期の身体への影響とその対策について聞く。上官は役に立たなかったので、医療局に押しかけて、話を聞く。武装隊本部の総務課に出向いて、過去の低年齢魔道師の死傷状況とその際の診療データ及び受傷前の任務状況についてのデータを要求し、ないと言われて、自分で調査する許可を渋る相手から無理やりもぎ取る。
そうやって掻き集めた情報を整理した結果、俺は、まともに武装隊の職務をこなして身体を壊さないつもりなら、俺には最低でも月1の定期検査が必要だと結論した。大魔力を消費する魔法を封印するのも一案だが、実戦でそんな悠長なことは続けられないだろう。
だが、把握したかぎりでの管理局の常識では、そんな頻度の検査は認められない可能性が高い。俺のように、未成熟な身体で急に大魔力を扱うようになるのが異常なのだ。普通は、もっと幼い頃から魔法を使っていて自分の限界を「慣れ」で把握しているか、大魔力を扱えるようになるのが身体がもっと成長してからか、だ。過去のデータでも、低年齢魔道師の死傷率は、管理外世界出身者が桁外れに高い。
俺は一計を案じた。
上記の死傷率のデータを携え、リンカーコアの成熟と魔法行使の影響に関するデータ取得の被検体として、自分を医療局に売りこんだのだ。その名目では、頻繁且つ定期的に休みをとるのは難しい(それに俺には休日にすべきことがあった)とみて、技術部と提携し、常時監視型の身体データ測定デバイスを開発し、そのデータを医療局に提供するという企画案と一緒に。俺の年齢でAAA+という被検体としての希少性も有利に働き、その企画が通って、デバイスの開発が始まった。
俺は企画で、デバイスの機能案を、次のような内容で提出していた。
一つ。リンカーコアの状態の常時監視と記録。
二つ。使用者の脈拍、呼吸、内臓機能の状態など、健康状態の常時監視と記録。
三つ。使用者の肉体の成長・変化の、高頻度での確認と記録。
四つ。使用者の放出魔力量の常時監視と記録。
五つ。可能ならば、上記4項目の個別のデータ解析と、各項目間の因果関係の分析。
六つ。可能ならば、基礎的な医療知識と、第5項目の結果に基づく、使用者への助言・警告機能。
プライバシー真っ青な内容だが、俺は別に気にしない。放出魔力量から、業務以外の時間帯での魔法使用を把握される可能性が高いが、そちらは自主訓練の記録を捏造するなりしてごまかすつもりだった。
幸い、各機能別になら、医療局に同じ機能を持つ検査機器がある。あとは、どこまで観測精度を維持してデバイスの機能に組み込めるかという、技術上の問題だった。
結局、六つ目の項目は医療局の機器で代用し、月に1度、データの提出がてら検診を受けることになり、デバイスの基礎設計は、ほぼ俺の案の丸呑みの形で固まった。ちなみに、月1の医療局の訪問は、やがて、魔法使用の肉体への負担を軽減する方法や、肉体の変調の魔力に及ぼす影響などの検討会へと変化していくことになる。俺の、体調の自己管理の知識のほとんどは、このとき培われたものだ。
月1のデータ提出は2年間続き、その後は年に一度の健康診断時にまとめて提出する、ということでその企画は終わりを迎えた。もっとも、それまでの間に医療局で存分に顔を売った俺は、それからも、暇をみつけては押しかけて、成長期の肉体とリンカーコアのケア方法や、次元世界で一般に知られている、魔力を原因にした病気や障害などについての知識を仕入れつづけている。
この企画・開発したデバイスと、医療局とのコネがなければ、俺は自身の体調をコントロールしきれず、なにかの拍子にでかいミスをやらかしてただろう。実際、自分の感覚ではまだいけそうなのに、デバイスの記録データとその解析結果から休みをとるよう勧められることが結構あった。医療局のお墨付きなので、その場合の休暇はスムーズに通った。上官に嫌味はよく言われたが。
「私はね、貴女に感謝しているの」
俺は、コラード校長の言葉に顔を上げた。
「魔法は便利な力だわ。でも、その力の大きさは天与のもの。力を上手く扱えるかどうかは別問題よ。
そうして、心の成長が追いつかずに力に振り回されて傷つく子たちを、私は大勢見てきた」
彼女の目は、これまで彼女の前を通り過ぎていった、数多の過去の教え子達を眺めているようだった。
「でも、あなたの考えたサポート・デバイスは、そんな子たちの心と力のギャップを緩和してフォローを容易にしてくれる。もちろん、完全に解決するわけではないけれどね。
それでも、今まで全く手をつけられていなかった分野に光をあててくれたおかげで、私たちもやりやすくなったの」
俺はここを3ヶ月の促成コースで卒業したが、実は通常コースでの修学を希望していた。高魔力ランク魔道師の慣例とかで押し切られたのだ。不満たらたらだった俺だが、それでも、すこしでも穴を埋めるべく、通常コ―スで学ぶ内容についても補講の形で学ぶことを要求し、受け入れられた。
その補講の最中に、コラード校長がこぼしたことがある。本当は自分達も、貴女を通常コースで受け入れたかった。でも、実戦部隊からの早期配属要求の圧力が強くて抗しきれなかった、と。ごめんなさい、と謝られた。
現場は、魔力さえ大きければそれだけで期待する。年齢や扱う技術の巧拙は考えないのだ。自分達も多くを実戦で学んできた、だから、お前達も同じ方法でやればそれでいい。その考えの中に、改善や成長への視点は存在しない。そして後輩達に、自分と同じ苦労を繰り返すことを強いる。
そんな風に扱われる低年齢魔道師と、彼らを部隊へと送り出す立場の人間の苦労と心情は、俺も経験者だけによくわかる。もっとも本当のことを言えば、管理局が、魔力が大きいというだけで、精神的に未熟な年齢の人間を戦力として配備するのが根本的な問題だろう、と思うのだが。掲げる理念と運用方針がねじれている。俺なぞ、いい例だ。
精神的に未熟だからという理由で管理局への所属を強要し、所属したら所属したで、自分達が未熟と称した人間をさっさと実戦に放り込む。笑える話だ。
つらつらそんなことを考えていた俺は、そこで気付いた。あのサポート・デバイスは実戦部隊でも使えるんじゃないか?
もともと、あのデバイスは、当時の俺の年齢・知識での魔法の使いすぎによる故障を避けるために開発した。実戦部隊には、決して多くはないが、当時の俺のような年齢の魔道師が存在する。それに、そこまで低年齢でなくとも、環境的に無理を強いられがちな若手の適切な体調管理のために、有効なのは間違いない。
(プロジェクトに情報を上げて、配備を促進させてもいいかもしれん)
そもそも、武装隊の体制は、直接的な打撃力に意識を裂きすぎているのだ。
武装隊の配備装備が、あまりに戦闘用に偏りすぎているのもその一つ。地球の現代の陸軍の師団構成では、直接戦力である歩兵の割合は10%以下。90%超が支援部隊だ。魔道師はある程度万能とは言え、得手不得手や習得してる魔法の傾向はある。それに、そのための装備がなけりゃ、遂行能力は格段に落ちる。
一応、個々の支援分野のサポート人員は配置されているものの、それらを包括的に運用する思想がなく、あくまで戦闘部門への別々の添え物のような扱いなのだ。
(これも、魔法至上主義の表れの一つか。)
魔法を行使する能力(デバイスも含む)さえ有れば万事解決、と思い、実際それでなんとかなってきたから、思い至らないのだろうが、魔道師は極論、エネルギー源にすぎない。魔道師個々の努力で、そのエネルギーを使用できるようになるが、普通なら、どんなエネルギーであれ、効果的に使用するためには、各種サポート機器の充実や、運用ドクトリンの検討が為されてしかるべきだ。
あのサポート・デバイスは、校長の言うように、そのための先駆けとなりうる。
(そうだな。)
発展系として、例えば、戦術サポート機能を追加したらどうだろう。前線指揮官向けのデバイスとして。
戦域情報を収集し、敵対勢力を脅威度別にマッピングする。部隊内リンクで、隊員別の攻撃対象をマッピング表示できたら、なおいい。
(ん、これって、地球のイージス・システムと同じか?)
そう考えると、地上の迎撃魔道兵器群との連携も検討の対象に入れたほうがいいな。
それに、時の庭園でリンディがやったような、魔力炉から魔力の供給を受けて扱う技術を、機能として盛り込めたら。これは魔力不足に悩む部隊の力になる。大魔力を受信し、それを制御するデバイス。もちろん、使用者の身体に害がないようにしなければならないが。
連想が広がっていく。うん、これは悪くないかもしれん。
思考を終了して、俺は視線を、黙ったまま待っていてくれた校長の瞳にあわせた。
「校長」
無言で続きを促す彼女に言う。
「ありがとうございます。おかげさまで、面白い手を思いつきました。うまくいけば、若手局員の負傷率を下げられるし、前線の負担を大きく減らすことができるかもしれません」
「あら、そう。私の言葉が役に立ったのなら嬉しいわ。
でも、切っ掛けは私の言葉でも、思いついたのは貴女。実行していくのも貴女よ」
「もちろん」
「そう」
間髪いれずに言い切った俺の言葉に、校長は暖かく微笑った。
「でも、私に手伝えることがあったら遠慮なくね。現場へのコネもまだ生きてるし、教育機関からの陳情は、上層部に意外に馬鹿にできない効果を与えることがあるから。
実行すると言っても、なにもかもを貴女ひとりでする必要はないのよ」
校長は静かに微笑んでいた。無為に年月を過ごすのではなく、確実に年輪を重ねていった人間にしか出来ない、穏やかで深みのある微笑だった。
■■後書き■■
時の庭園のリンディさんの活躍を考えると、魔力炉から魔力を受けてそれを制御・行使するデバイスって、普通に考えられてそうな気がするんですけど、原作では見ないんですよね。
別に大魔力を扱わなくても、魔力量Cランクの局員にAランクになれる程度の魔力供給をするとか。身体の負担を考えるなら、魔力はデバイス内でのみ循環して、人体に逆流しないような仕組みにするとか。その理屈を活用した戦車とか地対空砲とか、携帯型魔力砲とかの兵器も、けっこう簡単に実現できるし費用対効果も高いんじゃないかと思うのは私だけでしょーか。
なので、なのはさんに思いついてもらいました。予算が問題ですが、クリアできれば大きな力になるはずです。
もし見落としてる理屈とか公式設定とかあったら、お手数ですが教えてください。
<用語解説> ※あったほうがよいとのご意見を頂いたので、12/9 追記しました。
・PDCA
Plan (計画) :従来の実績や将来の予測などをもとにして業務計画を作成する。
Do (実施・実行):計画に沿って業務を行う。
Check(点検・評価):業務の実施が計画に沿っているかどうかを確認する。
Act (処置・改善):実施が計画に沿っていない部分を調べて処置をする。
上記4段階の頭文字をつなげた言葉。順次行って1周したら、最後のActを次のPDCAサイクルにつなげ、螺旋を描くように一周ごとにサイクルをスパイラル・アップさせて、継続的な業務改善をしていく。ビジネスシーンにおいての「仕事の基本」(Wikipedia)。
今話冒頭付近で、なのはが「何かを達成するには4つの段階がある」と言っているのはこれを念頭においている。実行に当たっては、状況にあわせて柔軟に手を加えることが多く、理論自体の解釈も様々な意見がある(actでなくてactionだ、とか)。今話のなのはの解説が、上記の説明と完全に重ならないのはそのせい。品質管理の不良品低減活動への適用事例が、なのはの説明内容に最も近いと思われる。
・KKD
日本語の「勘、経験、度胸」をアルファベットで書いた頭文字を並べたもの。これに頼って、発生する問題を処理し続けていると、根本原因や関連要因は放置されたままになりがちで、そのために違う形での問題再発を生み、中長期で見れば組織にマイナスである。
目先の対応優先になりがちな前線や現場、あるいは、半端に頭が良くて何でも自分一人で考えてすぐ結論を出してしまう人や、経験豊富で従来の手法にこだわるタイプ、職人気質の頑固親父系の人や組織が、この考え方を重視する傾向がある。PDCAの反義語と解釈する意見もある。
今話に登場した医師や実戦部隊の発想がこれにあたる。
※管理局がKKD的発想で組織運営している傾向がある、というのは作者の解釈です。原作には、ユーノ登用以前の無限書庫の放置など、それを匂わせる描写はありますが、断定できるほどではないと考えます。このSS内での解釈として、流してください。